(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の効率的なレール冷却システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、冷却対象であるレールとして、分岐器レールを一例として説明するが、本発明は、鉄道車両の走行用のレール全てに対して適用可能である。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における冷却対象となる分岐器レールの説明図である。分岐器レール10は、本線レール11と本線レール12との間に設けられており、
図1の左側の第1の本線21から進入してくる車両を、分岐後の第2の本線22または第3の本線23のいずれかに進入させるための切換器の役割を果たすものである。
【0017】
図1(a)は、分岐器レール10が第1の状態に切り換わることで、車両を第1の本線21から第2の本線22に誘導する場合を示している。一方、
図1(b)は、分岐器レール10が第2の状態に切り換わることで、車両を第1の本線21から第3の本線23に誘導する場合を示している。
【0018】
太陽光の直射により分岐器レール10が熱膨張すると、伸びや歪みが発生し、列車障害を引き起こすこととなる。そして、この分岐器レールに対して散水による冷却を行った場合には、課題として上述したように、細粒化した破石の固着等を招く問題があった。そこで、このような問題を解消するために、本実施の形態1では、分岐器レール10の側面に対して、ミストを噴霧することで冷却を行う構成を備えていることを技術的特徴としており、図面を用いて、以下、詳細に説明する。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1に係るレール冷却システムを分岐器レールの内側に設けた状態を示す説明図であり、分岐器レール10を上方から見た図である。
図2においては、2本の分岐器レールのうち、上方(電車進行方向における左側)に記載されたものを分岐器レール10(1)、下方(電車進行方向における右側)に記載されたものを分岐器レール10(2)として識別している。同様に、本線レールに関しても、上方に記載されたものを本線レール11、下方に記載されたものを本線レール12として識別している。
【0020】
そして、
図2に示すように、分岐器レール10(1)と分岐器レール10(2)との間には、2本の配水管31(1)、31(2)が配置されている。さらに、これら2本の配水管31(1)、31(2)のそれぞれには、適切な間隔(例えば、50〜100cm)で、かつ、分岐器レール10(1)または分岐器レール10(2)の内側から所定の範囲内の距離(噴霧ノズル32から噴霧されたミストが分岐器レール10(2)に届く範囲の距離であって、例えば25〜150cm)になるように、分岐器レール10(1)、10(2)に略垂直に複数の噴霧ノズル32が配置されている。
【0021】
配水管31(1)、31(2)は、不導体であり、例えば、外被はポリウレタン、内管はナイロン12で構成されている。配水管31(1)、31(2)を不導体にすることで、配水管31(1)、31(2)が分岐器レール10等のレール付近に設けられても、電車の運行に支障を来さない。
【0022】
なお、噴霧ノズル32の設置される高さによっては、レールを濡らしつつ、バラストを極力濡らさないように、レールに対して仰角をもって斜め上方に設置してもよい。その場合でも分岐器レール10を上面から見たときに、噴霧ノズル32は、分岐器レール10(1)(2)に対して垂直になるように設けられる。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態1に係るレール冷却システムについて、
図2のA−A断面から見た構成を示した説明図である。本線レール11と本線レール12との間に配置された配水管31(1)、31(2)は、本線レール12の下を通過する配水管31を介して、本線レール12の外側に配置されたポンプユニット33と接続されている。
【0024】
ポンプユニット33が駆動されることで、逆浸透膜34を通過した上水道からの水が、配水管31を経由して、2本に分岐した配水管31(1)、31(2)に供給される。そして、2本の配水管31(1)、31(2)に供給された水は、分岐器レール10(1)、10(2)の直近に配置された複数の噴霧ノズル32から、粒子径が小さく気化しやすいミストとして噴霧される。なお、逆浸透膜34は、必須の構成ではない。
【0025】
図3に示すように、本実施の形態1に係るレール冷却システムは、分岐器レール10の内側の側面に向けてミストを吹き付けることで、2本の分岐器レール10の側面を、直接的に冷却する。分岐器レール10の側面は、上部と比較してより大きな表面積を有しており、側面を直接的に冷却することで、効率よく分岐器レールの冷却を行うことができる。
【0026】
図4は、本発明の実施の形態1に係る複数の噴霧ノズル32のレイアウトを示した図である。複数の噴霧ノズル32は、設置環境に応じて、適切な間隔で配水管31に接続されている。さらに、複数の噴霧ノズル32は、設置環境に応じて適切な値となるように、噴霧されるミストの粒子径を選定する。
【0027】
従来の散水方式とは異なり、本実施の形態1におけるレール冷却システムは、複数の噴霧ノズル32により、配水管31から供給される水を微細な霧の状態にして、分岐器レール10の側面に噴霧するミスト方式を採用している。
【0028】
このミスト方式によれば、粒子径の大きいミストは、空気中で気化せずに分岐器レール10の側面に直接かかり、過熱されている分岐器レール10の表面で気化が促進され、効率的に分岐器レール10から熱を奪う。一方、粒子径の小さいミストは、分岐器レール10にかかる前の空気中で、もしくは過熱されているバラスト表面で気化することで、周囲空気の冷却に寄与する。
【0029】
従って、大きな粒子径と小さな粒子径の双方が効率よく作用することで、少水量による分岐器レール10の冷却、およびバラスト濡れの低減が可能となる。検証実験を行った結果では、噴霧されるミストの平均粒子径を50μm以下とした場合に、冷却効率の良い結果が確認できた。なお、好ましくは、噴霧されるミストの平均粒子径を16μm以下とすることで、さらにバラスト濡れを低減しつつ、十分な冷却効果を実現できる。
【0030】
次に、本実施の形態1におけるレール冷却システムの制御動作について具体的に説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係るレール冷却システムの全体図である。
【0031】
本実施の形態1におけるレール冷却システムは、噴霧制御部1、分岐器レール温度センサ2、降雨センサ3、配水管31、31(1)、31(2)、噴霧ノズル32、ポンプユニット33、逆浸透膜34、およびバルブ35を備えて構成されている。なお、噴霧制御部1、分岐器レール温度センサ2、降雨センサ3、およびバルブ35は、先の
図3では、図示を省略していた構成要素である。
【0032】
なお、逆浸透膜34は、水を通し、水以外の不純物を通過させない性質を有する膜である。そして、本発明においては、この逆浸透膜34は、必須の構成ではない。
【0033】
分岐器レール温度センサ2は、分岐器レール10(1)、10(2)に設置されており、分岐器レール10(1)、10(2)の温度を測定する。また、降雨センサ3は、分岐器レール10(1)、10(2)が設置されている環境において、雨が降っているか否かの降雨状態を検出する。なお、降雨センサ3は、雨の降りかかる屋外、かつ、ノズルからの噴霧による影響を受けない場所に設置されればよく、例えば、ポンプユニット33を収納する箱体の上に設けられる。
【0034】
そして、噴霧制御部1は、分岐器レール温度センサ2、および降雨センサ3による検出結果に基づいて、ポンプユニット33およびバルブ35を制御することで、ミストの噴霧/停止を制御する。
【0035】
図6は、本発明の実施の形態1に係るレール冷却システムの噴霧制御部1により実行される噴霧制御の一例を示した図である。噴霧制御部1は、降雨センサ3の検出結果から、雨が降っていると判断した場合には、雨による冷却が行われるため、噴霧システムの動作を停止させる。
【0036】
一方、噴霧制御部1は、降雨センサ3の検出結果から、雨が降っていないと判断した場合には、分岐器レール10の温度測定結果に応じて、噴霧システムの運転/停止を切り換え制御する。
図6に示した具体例では、噴霧制御部1は、雨が降っておらず、かつ、分岐器レール温度センサ2による測定結果が、所定の温度、例えば30℃以上である場合には、ポンプユニット33を駆動し、バルブ35を開状態に切り換えることで、噴霧システムを運転状態とし、ミストの噴霧を行う。
【0037】
また、噴霧制御部1は、雨が降っていないものの、分岐器レール温度センサ2による測定結果が、所定の温度、例えば30℃未満である場合には、ミストによる冷却が不要と判断し、ポンプユニット33の駆動を停止し、バルブ35を閉状態に切り換えることで、噴霧システムを停止状態とし、ミストの噴霧を停止する。
【0038】
なお、温度センサは、分岐器レール温度センサ2ではなく、気温を計測するものでも良く、気温が所定の温度以上になったときに、噴霧システムを運転状態にし、ミストの噴霧を行っても良い。
【0039】
また、温度センサは、分岐器レール10以外のレールに設けても良い。その場合、レールが移動しないので、温度センサを設ける際の配線等の施工が容易になる。
【0040】
なお、平均粒子径が50μm以下、特に16μm以下のミストは、気化しやすいので、雨が降っていない昼間(特に夏季の昼間)は、連続運転をしても良い。その場合、噴霧制御部1は、分岐器レール温度センサ2による測定結果は用いず、降雨センサ3の検出結果のみで噴霧システムの動作を判断する。
【0041】
また、本実施の形態1における噴霧制御部1は、噴霧条件が成立している場合にも、連続運転により噴霧を実行するのではなく、噴霧ノズル32から間欠的に噴霧を実行しても良い。この結果、バラストが濡れることをさらに回避することができる。
【0042】
具体的には、あらかじめ設定された間欠運転データに従って、一例として、5分噴霧、2分停止を繰り返すことが考えられる。また、分岐器レール温度センサ2により測定された分岐器レール10の温度に応じて、噴霧時間、停止時間を適切な値に切り換えるように、間欠運転データをあらかじめ設定しておくことも可能である。
【0043】
また、分岐器レール10の設置環境によっては、有風時に、噴霧したミストが風下に流されてしまい、効率よく分岐器レール10を濡らすことができず、十分な冷却効果が得られないことが考えられる。
【0044】
しかしながら、本実施の形態1における複数の噴霧ノズル32は、
図2、
図3に示すように、分岐器レール10(1)と分岐器レール10(2)との間で、かつ、分岐器レール10(1)、10(2)の高さよりも低い位置に、設置されるレイアウトとなっている。従って、分岐器レール10(1)、10(2)に直交する方向の風に対しては、このようなレイアウトを採用することで、分岐器レール10(1)、10(2)自体を風よけにすることができる。
【0045】
また、分岐器レール10(1)、10(2)に平行する方向の風に対しては、噴霧ノズル間、または噴霧区間の一端もしくは両端に風よけ板を設置することが考えられる。ここで、風よけ板は、分岐器レール10(1)(2)および地面に対して略垂直に設けられる平板状のものであり、この風よけ板を前述した場所に設置することで、風の影響を小さくすることができる。
【0046】
なお、風よけ板を設ける他に、噴霧区間の両端を延長するように設計し、有風時にミストが風下に流されても分岐器レール10(1)、10(2)にかかるように噴霧ノズル32を増設し、より広いエリアに噴霧できる構成を採用することも考えられる。
【0047】
以上のように、実施の形態1によれば、分岐器レール間に設置された噴霧ノズルから、レール側面に向かってミストを噴霧する構成を備えている。この結果、バラストを極度に濡らすことなく、すなわち、バラストの下に堆積した破石を濡らすことなく、レールを冷却することができる効率的なレール冷却システムを実現できる。
【0048】
また、温度センサや降雨センサの検出結果に応じて、ミストの噴霧/停止を切り換えることのできる制御構成とすることができる。さらに、検出結果に応じて、噴霧が必要を判断された場合に、間欠運転を実行できる構成を備えている。この結果、分岐器レールの表面での気化作用が飽和状態となることを防止し、効率的な冷却を行うことができる。
【0049】
さらに、風によりミストが流されてしまう対策として、風よけ板を設ける、あるいは、噴霧ノズルの設置区間を延長する、といった構成を付加できる。この結果、有風時にも十分な冷却効果を実現できる。
【0050】
実施の形態2.
先の実施の形態1では、噴霧ノズル32による噴霧方向が、冷却対象であるレールの側面に対して、略垂直であり、かつ、噴霧ノズル32を分岐器レール10(1)と分岐器レール10(2)との間に設置した場合について説明した。これに対して、本実施の形態2では、冷却対象であるレールの両側に噴霧ノズル32を設置するとともに、噴霧方向を垂直方向からずらすように傾けている。そこで、噴霧ノズル32のこのような設置により得られるさらなる効果を中心に、以下に説明する。
【0051】
図7は、本発明の実施の形態2に係るレール冷却システムを分岐器レールの両側に設けた状態を示す説明図であり、分岐器レール10を上方から見た図である。
図7においては、2本の分岐器レールのうち、上方(電車進行方向における左側)に記載されたものを分岐器レール10(1)、下方(電車進行方向における右側)に記載されたものを分岐器レール10(2)として識別している。同様に、本線レールに関しても、上方に記載されたものを本線レール11、下方に記載されたものを本線レール12として識別している。
【0052】
そして、
図7に示すように、分岐器レール10(1)の両側には、2本の配水管31(1)、31(3)が配置され、分岐器レール10(2)の両側には、2本の配水管31(2)、31(4)が配置されている。さらに、これら4本の配水管31(1)〜31(4)のそれぞれには、適切な間隔で、かつ、噴霧ノズル32から噴霧されたミストが分岐器レール10に届く範囲の距離になるように、複数の噴霧ノズル32が配置されている。
【0053】
図8は、本発明の実施の形態2に係るレール冷却システムについて、
図7のA−A断面から見た構成を示した説明図である。分岐器レール10(1)の両側に配置された配水管31(1)、31(3)、および分岐器レール10(2)の両側に配置された配水管31(2)、31(4)のそれぞれは、本線レール12の下を通過する配水管31を介して、本線レール12の外側に配置されたポンプユニット33と接続されている。
【0054】
ポンプユニット33が駆動されることで、逆浸透膜34を通過した上水道からの水が、配水管31を経由して、4本に分岐した配水管31(1)〜31(4)に供給される。そして、4本の配水管31(1)〜31(4)に供給された水は、分岐器レール10(1)、10(2)の直近に配置された複数の噴霧ノズル32から、粒子径が小さく気化しやすいミストとして噴霧される。なお、逆浸透膜34は、必須の構成ではない。
【0055】
図8に示すように、本実施の形態2に係るレール冷却システムは、分岐器レール10(1)および分岐器レール10(2)のそれぞれの両側面に向けてミストを吹き付けることで、2本の分岐器レール10の両側面を、直接的に冷却する。分岐器レール10の側面は、上部と比較してより大きな表面積を有しており、両側面を直接的に冷却することで、効率よく分岐器レールの冷却を行うことができる。
【0056】
図9は、本発明の実施の形態2に係る複数の噴霧ノズル32のレイアウトを示した図である。複数の噴霧ノズル32は、設置環境に応じて、適切な間隔で配水管31に接続されている。さらに、複数の噴霧ノズル32は、設置環境に応じて適切な値となるように、噴霧されるミストの粒子径を選定する。
【0057】
また、本実施の形態2における複数の噴霧ノズル32のそれぞれは、噴霧方向が冷却対象であるレールの側面に対して(分岐器レール10を上方から見て)垂直な方向から傾くように配置されている。このように、斜めに向けることで、噴霧ノズル32の先端からレールまで距離を、より長くすることができる。
【0058】
従って、1つの噴霧ノズルによるレール側面の噴霧範囲をより広げることが可能となる。この結果、先の実施の形態1のように噴霧ノズル32を略垂直方向に設置する場合と比較して、限られたスペースに設置する噴霧ノズル32の数を削減することができ、システムの施工が容易になり、低価格化を実現することができる。
【0059】
また、噴霧ノズル32の先端からレールまで距離が長くなることで、噴霧されるミストが気化しやすくなり、バラストを濡らすことを低減できる。
【0060】
なお、噴霧ノズル32の設置される高さによっては、レールを濡らしつつ、バラストを極力濡らさないように、レールに対して仰角をもって斜め上方に設置しても良い。
【0061】
また、噴霧ノズル32を垂直方向から傾けて設置することで、分岐器レール10(1)、10(2)に平行する方向の風の影響によって噴霧方向かずれることにより冷却効果が低減してしまうことを抑制する効果がある。そこで、この効果について、次に説明する。
【0062】
本実施の形態2における複数の噴霧ノズル32は、
図7、
図9に示したように、レール側面に対して垂直な方向から傾くような向きに設置されている。さらに、分岐器レール10(1)について見ると、配水管31(1)に接続された噴霧ノズル32と、配水管31(3)に接続された噴霧ノズル32とは、互いに異なる方向に傾けて設置されている。
【0063】
具体的には、配水管31(1)に接続された噴霧ノズル32の先端は、電車進行方向側(
図7の紙面上で右側)を向くように傾けて配置され、その一方で、配水管31(3)に接続された噴霧ノズル32の先端は、電車進行方向の反対側(
図7の紙面上で左側)を向くように傾けて配置されている。
【0064】
ここで、噴霧ノズル32の先端が電車進行方向側を向く方向をプラス方向とすると、電車進行方向の反対側を向く方向をマイナス方向と表現することができる。すなわち、分岐器レール10を挟んで配置される噴霧ノズル32は、一方がプラス方向、他方がマイナス方向を向くように配置される。
【0065】
なお、具体的には、噴霧ノズル32は、レールの側面に対する垂直な方向から、プラス方向またはマイナス方向に、30〜60°傾斜されると良い。
【0066】
同様に、分岐器レール10(2)について見ると、配水管31(2)に接続された噴霧ノズル32と、配水管31(4)に接続された噴霧ノズル32とは互いに異なる方向に傾けて設置されている。
【0067】
具体的には、配水管31(2)に接続された噴霧ノズル32の先端は、プラス方向、すなわち、電車進行方向側(
図7の紙面上で右側)を向くように傾けて配置され、その一方で、配水管31(4)に接続された噴霧ノズル32の先端は、マイナス方向、すなわち、電車進行方向の反対側(
図7の紙面上で左側)を向くように傾けて配置されている。
【0068】
このように、レールの両側面における噴霧ノズル32の向きを、レール側面に対して垂直方向から傾くように、かつ互いに異なる向きに傾けることで、分岐器レール10(1)、10(2)に平行する方向の風の影響を緩和することができる。
【0069】
具体的に、分岐器レール10(1)を例に説明する。まず始めに、配水管31(1)および配水管31(3)に対して、噴霧ノズル32が略垂直に設置されている場合を考える。この場合に、分岐器レール10(1)に平行する方向に風が吹くと、配水管31(1)および配水管31(3)のそれぞれに接続された噴霧ノズル32から分岐器レール10(1)の両側面に対して噴霧されるミストは、風の影響によって噴霧方向か略垂直の方向からずれることで、レール側面に沿った方向に流されてしまい、両側面の冷却効果がともに低下してしまう。
【0070】
次に、
図7に示したように配置された噴霧ノズル32による分岐器レール10(1)の冷却効果について、説明する。
図7の紙面上で右から左に向いて風が吹いている場合を想定すると、配水管31(3)に接続された噴霧ノズル32から噴霧されるミストは、風の影響によって噴霧方向かずれることで、レール側面に沿った方向に流されてしまい、冷却効果が低下してしまう。
【0071】
しかしながら、配水管31(1)に接続された噴霧ノズル32から噴霧されるミストは、風の影響によって噴霧方向かずれることにより、レール側面に対して垂直に近づく方向に流される。このため、確実にレール側面を冷却でき、風の影響によって噴霧方向かずれることにより、逆に冷却効果が高められることとなる。
【0072】
この結果、分岐器レール10(1)の一方の側面では、風の影響によって噴霧方向かずれることにより冷却効果が低減するものの、他方の側面において冷却効果が逆に高められ、一方の側面による冷却効果の低減が、他方の側面による冷却効果の向上によって相殺されることにより、分岐器レール10(1)の全体としての冷却効果の低減を抑制することができる。
【0073】
従って、
図7に示したように噴霧ノズル32を垂直方向から傾けて配置する際に、風がない状態で所望の冷却効果が得られるように、噴霧ノズル32の個数、ピッチ、レール側面からの距離を設計することで、分岐器レール10(1)、10(2)に平行する方向の風の影響による冷却効果の低減を緩和することができる。
【0074】
図10は、本発明の実施の形態2に係るレール冷却システムの全体図である。本実施の形態2におけるレール冷却システムは、噴霧制御部1、分岐器レール温度センサ2、降雨センサ3、配水管31、31(1)〜31(4)、噴霧ノズル32、ポンプユニット33、逆浸透膜34、およびバルブ35を備えて構成されている。なお、噴霧制御部1、分岐器レール温度センサ2、降雨センサ3、およびバルブ35は、先の
図8では、図示を省略していた構成要素である。
【0075】
本実施の形態2における
図10の構成は、先の実施の形態1における
図5の構成と比較すると、配水管31が2系統から4系統に変更になっているだけである。従って、基本的な制御は、実施の形態1、2で同一であり、説明を省略する。
【0076】
以上のように、実施の形態2によれば、レールの両側に設置された噴霧ノズルから、レールの両側面に向かってミストを噴霧する構成を備えている。この結果、バラストを極度に濡らすことなく、すなわち、バラストの下に堆積した破石を濡らすことなくレールを冷却することができ、かつ、システムの施工容易性を図った効率的なレール冷却システムを実現できる。
【0077】
また、温度センサや降雨センサの検出結果に応じて、ミストの噴霧/停止を切り換えることのできる制御構成とすることができる。さらに、検出結果に応じて、噴霧が必要と判断された場合に、間欠運転を実行できる構成を備えている。この結果、より効率的な冷却を行うことができる。
【0078】
さらに、風によりミストが流されてしまう対策として、レールを挟んで両側面に設置される噴霧ノズルの向きを、レール側面に対して垂直方向から傾くように、かつ互いに異なる方向に傾けることで、冷却効果の低減を抑えることができる。この結果、有風時にも十分な冷却効果を実現できる。
【0079】
なお、上述した実施の形態1、2では、冷却対象であるレールとして、分岐器レールを一例として説明するとともに、レールの側面にミストを噴霧する場合について詳細に説明した。しかしながら、「バラストを極度に濡らすことなく、レールを冷却する」という効果は、レール側面以外の部分にミストを噴霧した場合にも、得ることは可能である。
【0080】
最後に、噴霧ノズル32の具体的な固定方法について補足説明する。
図1に示したように、分岐器レール10は、
図1(a)の第1の状態と、
図1(b)の第2の状態とで、位置が移動することとなる。従って、噴霧ノズル32を枕木等に固定設置した場合には、実際には、第1の状態と第2の状態で分岐器レール10の側面と噴霧ノズル32との距離が変動する。
【0081】
そこで、本発明では、レール間を横切るように配置された枕木に噴霧ノズル32を固定する際の噴霧ノズルの配置を工夫することで、所望の冷却効果を実現している。すなわち、枕木に固定される複数の噴霧ノズル32は、走行車線を切り換えるために分岐器レール10(1)、10(2)が移動する可動範囲内において、それぞれのレール側面からの距離があらかじめ決められた範囲内に収まるような適切な位置に配置される。この結果、分岐器レール10の移動に伴って、分岐器レール10の側面と噴霧ノズル32との距離が変動した場合にも、所望の冷却効果を実現することができる。
【0082】
また、冷却対象であるレールが分岐器レールのように移動しない場合には、複数の噴霧ノズル32を枕木を利用して配置することで、噴霧ノズルとレールの冷却対象部分との距離を常に一定に保つことが可能となる。