特許第6865587号(P6865587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865587
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】地山状況予測方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/00 20060101AFI20210419BHJP
   E21D 11/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   E21D9/00 Z
   E21D11/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-271(P2017-271)
(22)【出願日】2017年1月4日
(65)【公開番号】特開2018-109311(P2018-109311A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 快尚
(72)【発明者】
【氏名】市來 孝志
(72)【発明者】
【氏名】山上 順民
(72)【発明者】
【氏名】谷 卓也
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−284749(JP,A)
【文献】 特開2001−020674(JP,A)
【文献】 特開平04−120495(JP,A)
【文献】 特開2003−185589(JP,A)
【文献】 特開2009−079953(JP,A)
【文献】 特開2007−268632(JP,A)
【文献】 特開2004−012152(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1181382(KR,B1)
【文献】 特開平07−027564(JP,A)
【文献】 特開平10−205273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00−9/14
E21D 11/00−19/06
E21D 23/00−23/26
G01V 1/00−99/00
G01D 18/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光照射手段と撮影手段とを備える坑内撮影装置を所定の位置に配置する位置合わせ作業と、
前記撮影手段を利用してトンネル壁面を撮影する撮影作業と、
撮影された画像を利用して展開写真を作成する写真加工作業と、
前記展開写真を利用して切羽前方の地山状況を予測する予測作業と、を備える地山状況予測方法であって、
前記位置合わせ作業では、レーザー光照射手段によりトンネル周壁面に向けてレーザー光を照射し、前記レーザー光照射手段および前記撮影手段を支持する支持架台を鉛直軸を中心に回動させることにより前記レーザー光の線が既設の支保工と平行になるように前記坑内撮影装置の向きを修正するとともに、前記レーザー光の線が素掘り部分と前記支保工の前端縁との境界と重なるように前記坑内撮影装置の位置を修正することを特徴とする、地山状況予測方法。
【請求項2】
前記撮影作業では、素掘り部分の撮影とともに、前記撮影手段からトンネル壁面までの距離を測定し、
前記写真加工作業では、前記距離の測定値を利用して撮影された画像の距離ひずみの補正を行うことを特徴とする、請求項1に記載の地山状況予測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山状況予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルを安全かつ経済的に施工するためには、トンネル周辺の地山状況を把握することが重要である。切羽前方の地山状況の変化を早期に把握することができれば、岩盤崩壊や剥落の危険性がある場合でも安全対策を事前に講じることができるとともに、地山状況に応じた掘削方法の採用、支保の設置、補助工法の選定・採用が可能となる。
切羽前方の地山状況を予測する方法として、例えば特許文献1には、定点カメラで切羽を正面から適宜撮影し、複数の撮影画像により地質パターンを分析し、この地質パターンを用いて切羽前方の地山状況を予測するトンネル前方地質判定システムが開示されている。
【0003】
特許文献1のトンネル前方地質判定システムは、トンネル施工に支障をきたすことがないように、定点カメラをトンネル天端に設置するため、カメラの設置作業に手間がかかる。また、切羽を撮影した2次元の画像データを利用して、定性的に3次元的な地質の判定を行う必要があるため、判定結果に個人差が生じるおそれがある。そのため、切羽の画像データとトンネル壁面の画像データとを組み合わせることで、3次元的な展開画像を作成して地山状況を予測する場合がある。
【0004】
撮影した画像から地山状況を判断するためには、歪みの少ない画像を取得する必要があるため、カメラをトンネル中心軸に据え付けるのが望ましい。トンネル中心軸にカメラを据え付ける方法として、特許文献2には、光線を水平方向に照射する光線照射部と、この光線を直角方向に屈折させる屈折部と、この屈折部を水平軸回りに回転させて照射方向を変化させる駆動部とを備える光線照射装置を利用してカメラを所望の位置に据え付ける方法が開示されている。特許文献2の設置方法では、光線を水平方向、鉛直方向およびトンネル周方向に照射させることで、光線照射装置をトンネル中心軸上の所望の位置に据え付けた後、この光線照射装置から水平方向に照射された光線を利用してカメラをトンネル中心軸上に据え付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−120495号公報
【特許文献2】特開平04−286912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
支保工が設置される前の素掘り状態のトンネル壁面を撮影するためには、切羽近傍にカメラを設置する必要があるため、設置作業の安全性を確保するためには、作業を迅速に行う必要がある。ところが、特許文献2の設置方法は、光線照射装置とカメラとを個別に据え付ける必要があるため、作業に手間と時間がかかる。
このような観点から、本発明は、迅速に位置合わせを行うことを可能とし、かつ、切羽近傍において歪みの少ない画像を安全に取得することを可能とした地山状況予測方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の地山状況予測方法は、レーザー光照射手段と撮影手段とを備える坑内撮影装置を所定の位置に配置する位置合わせ作業と、前記撮影手段を利用してトンネル壁面を撮影する撮影作業と、撮影された画像を利用して展開写真を作成する写真加工作業と、前記展開写真を利用して切羽前方の地山状況を予測する予測作業とを備えるものである。前記位置合わせ作業では、レーザー光照射手段によりトンネル周壁面に向けてレーザー光を照射し、前記レーザー光照射手段および前記撮影手段を支持する支持架台を鉛直軸を中心に回動させることにより前記レーザー光の線が既設の支保工と平行になるように前記坑内撮影装置の向きを修正するとともに、前記レーザー光の線が素掘り部分と前記支保工の前端縁との境界と重なるように前記坑内撮影装置の位置を修正する。
【0008】
かかる地山状況予測方法によれば、レーザー光を利用することで、坑内撮影装置の位置決めを迅速に行うことができる。切羽近傍へ坑内撮影装置を短時間で据え付けることができれば安全性が向上する。また、坑内撮影装置を所望の位置に据え付けることができれば、高品質な画像を撮影することが可能となり、ひいては、地山状況を高精度に予測することが可能となる。トンネル壁面に照射されたレーザー光を利用することで、簡易に位置決め作業を行うことができるため、坑内撮影装置を離れた位置から棒状の操作手段等を用いて位置決めを行うことも可能である。このようにすると、作業員が切羽に近づく必要がなくなるので、安全に作業を行うことができる。
【0009】
前記地山状況予測方法では、撮影作業において素掘り部分の撮影とともに前記撮影手段からトンネル壁面までの距離を測定しておき、前記写真加工作業において前記距離の測定値を利用して撮影された画像の距離ひずみの補正を行うのが望ましい。
かかる地山状況予測方法によれば、撮影手段とトンネル壁面との位置関係により距離ひずみを修正するため、トンネルの中心軸に坑内撮影装置が配置されていない場合であっても、より高精度に地山状況を予測することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の地山状況予測方法によれば、迅速に位置合わせを行うことを可能とし、かつ、切羽近傍において歪みの少ない画像を安全に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の坑内撮影装置の概要を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図2】坑内撮影装置を利用した地山状況予測方法を示す図であって、(a)は位置合わせ作業を示す平面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
図3】坑内撮影装置による撮影作業のイメージを示す横断図である。
図4】展開写真のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態では、山岳トンネルの施工において、素掘り状態のトンネル壁面を撮影した画像を用いて切羽前方の地山状況を予測する地山状況予測方法およびこれに使用する坑内撮影装置について説明する。本実施形態の坑内撮影装置1は、図1に示すように、台車2、レーザー光照射手段3、操作手段4、支持架台5、撮影手段6、距離計7および照明手段8を備えている。
【0016】
台車2は、坑内撮影装置1を支持している。台車2は、トンネル軸方向に沿って敷設されたレール21に沿って移動可能である。すなわち、坑内撮影装置1は、台車2に載せられた状態でトンネル軸方向に沿って移動する。レール21は、先端が切羽近傍に位置するように敷設する。なお、台車2の構成は限定されるものではない。また、台車2は、必ずしもレール21に沿って移動する必要ない。例えば、トンネル坑内の地面を走行するものであってもよい。
【0017】
レーザー光照射手段3は、トンネル壁面に向けて可視域のレーザー光を発光する装置であって、台車2に上載されている。レーザー光照射手段3は、トンネル周壁面に向けてラインレーザー光(レーザー光の線)を照射する。レーザー光照射手段3は、台車2の移動に伴い、トンネル軸方向に沿って移動する。レーザー光照射手段3は、台車2に対して、鉛直軸を中心に回転可能に取り付けられている。なお、レーザー光照射手段3(台車2)は、少なくともトンネル軸方向に対して移動可能であればよく、必ずしも回転可能に取り付けられている必要はない。なお、レーザー光照射手段3は、必ずしも台車2に上載されている必要はなく、例えば、レーザー光照射手段3が車輪等の走行手段を有している場合には、台車2を省略してもよい。
【0018】
レーザー光照射手段3には、操作手段4が接続されている。本実施形態の操作手段4は、棒状部材からなる。操作手段4の一端はレーザー光照射手段3に接続されていて、操作手段4の他端はレーザー光照射手段3の後方(坑口側)に配設される。なお、操作手段4の構成は限定されるものではなく、例えば、坑内撮影装置1を遠隔操作するための、有線または無線の制御手段であってもよい。レーザー操作手段3は、操作手段4を操作(押し引き)することで、トンネル軸方向(レール21)に沿って移動するとともに、鉛直軸を中心に回転する。なお、操作手段4は、台車2の移動および回転を操作するように台車2に取り付けられていてもよい。
【0019】
本実施形態のレーザー光照射手段3は、支持架台5を介して台車2に上載されている。すなわち、支持架台5は、台車2とともにレール21に沿って移動可能である。支持架台5は、架台本体51と、サーボモータ52と、台座53とを備えている。
架台本体51は、回転体54を介して、台車2に取り付けられている。すなわち、架台本体51は、台車2に対して鉛直軸を中心に回転可能である。架台本体51には、レーザー光照射手段3、撮影手段6、距離計7および照明手段8が上載されている。レーザー光照射手段3は、架台本体51に固定されている。また、架台本体51には、サーボモータ52が固定されている。サーボモータ52の出力軸は、台座53を回転可能に支持している。本実施形態では、サーボモータ52の前後に二つの台座53,53が配設されている。切羽側の台座53には撮影手段6および距離計7が搭載されており、坑口側の台座53には照明手段8が搭載されている。すなわち、サーボモータ52を駆動させると、台座53が水平軸を中心に回転するとともに、台座53に上載された撮影手段6、距離計7および照明手段8が水平軸(トンネル軸と平行な軸)を中心に回転する。なお、支持架台5の構成は限定されるものではない。例えば、台座53を回転させる駆動手段はサーボモータに限定されるものではなく、例えば、ステッピングモータを使用してもよい。また、台座53を手動で回転させる場合には、サーボモータ(駆動手段)52は省略してもよい。また、台座53は、必ずしも複数ある必要はなく、1つのみであってもよい。
【0020】
撮影手段6は、レーザー光照射手段3の切羽側に配設されたカメラであって、支持架台5によって支持されている。撮影手段6とレーザー光照射手段3との離隔距離は限定されるものではないが、本実施形態では、鋼製支保工の設置間隔の半分(鋼製支保工にピッチが1mの場合は約50cm)とする。撮影手段6は、支持架台5の回転に伴って連続的にトンネル壁面を撮影する。
【0021】
距離計7は、撮影手段6とトンネル壁面との距離を測定する。距離計7は、撮影手段6の側面に固定されていて、撮影手段6と常に同じ方向を向くように構成されている。本実施形態の距離計7はいわゆるレーザー距離計であって、トンネル壁面に対してレーザー光を照射して反射したレーザー光を受信するまでの時間により撮影手段6からトンネル壁面までの距離を算出する。なお、距離計7は、レーザー距離計に限定されるものではなく、例えば、超音波距離計を使用してもよい。
【0022】
照明手段8は、白熱電球、LED照明、蛍光灯等を備えていて、トンネル坑内に光を照らすものである。本実施形態の照明手段8は、レーザー光照射手段3と撮影手段6との間に配設されている。照明手段8は、撮影手段6の撮影方向と同じ方向に光を照射するように配置されていて、撮影手段6の回転とともに水平軸を中心に回転する。なお、照明手段8の配設箇所は限定されるものではなく、例えば、撮影手段6の切羽側に配設されていてもよい。また、照明手段8は、必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。
【0023】
以下、坑内撮影装置1を利用した地山状況予測方法を説明する。本実施形態の地山状況予測方法は、位置合わせ作業と、撮影作業と、写真加工作業と、予測作業とを備えている。
位置合わせ作業では、坑内撮影装置1を所定の位置に配置する。まず、レール21をトンネル坑内に敷設する。このとき、レール21の先端は、切羽近傍に位置させる。なお、台車2が、地盤面を直接走行する車輪を備えている場合には、レール21を敷設する必要はない。次に、台車2をレール21に沿って摺動させることにより、坑内撮影装置1を切羽近傍に配置する。台車2の移動は、操作手段4を押し引きすることにより行う。次に、レーザー光照射手段3によりトンネルTの周壁面に向けてレーザー光を照射する。そして、図2(a)および(b)に示すように、トンネルTの周壁面に照射されたレーザー光の線Lが既設の鋼製支保工Tと平行になるようにレーザー光照射手段3の向きを調整する。レーザー光照射手段3の向きの調整は、操作手段4を介して鉛直軸(回転体54)を中心にレーザー光照射手段3を回動させることにより行う。レーザー光照射手段3の向きを調整したら、坑内撮影装置1の前後位置の調整を行う。前後位置の調整は、レーザー光の線Lが素掘り部分と既設の支保工(吹付けコンクリート又は鋼製支保工T)の前端縁との境界に配置されるように(重なるように)坑内撮影装置1をトンネル軸方向に沿って移動させることのより行う。坑内撮影装置1を所定の位置に配置したら、坑内撮影装置1を固定する。
【0024】
坑内撮影装置1を所定の位置に据え付けたら、撮影作業を開始する。撮影作業では、撮影手段6を利用してトンネル壁面を撮影する。撮影作業では、撮影手段6によって素掘り部分を撮影するとともに、距離計7によって撮影手段6からトンネル壁面までの距離を測定する。本実施形態では、サーボモータ52を駆動させて、図3に示すように、撮影手段6を回転させながら、連続写真を撮影する。なお、トンネル壁面は、動画によって撮影してもよい。撮影手段6による撮影時には、照明手段8によって、撮影対象部分(トンネル壁面)に光を照射する。撮影した画像は、コンピュータに送信されるとともに保存される。撮影作業では、トンネル壁面の撮影に伴い、切羽も正面から撮影する。切羽の撮影画像もコンピュータに保存する。なお、撮影画像の保存方法は限定されるものではなく、例えば、メモリーに保存したものを、コンピュータに転送してもよい。
【0025】
写真加工作業では、撮影された画像を利用して展開写真を作成する。展開写真はコンピュータを利用して作成する。まず、距離の測定値を利用して撮影された画像の距離ひずみの補正を行う。すなわち、カメラからトンネル壁面までの距離の違いにより生じる距離ひずみを、距離の測定値を利用して修正する。次に、距離ひずみが補正された画像をつなぎ合わせる。このとき、トンネル壁面の画像に切羽の画像も組み合わせることにより、図4に示すように、3次元的な展開写真を作成する。
予測作業では、展開写真により亀裂Gの存在および連続性を確認するとともに、地層の変化(地層Gと地層Gとの境界)を確認することで、切羽前方の地山状況を予測する。
【0026】
本実施形態の地山状況予測方法によれば、坑内撮影装置1の位置決めを安全かつ迅速に行うことができる。すなわち、坑内撮影装置1の向きおよび位置は、支保工との位置関係に応じて調整するため、坑内撮影装置1の位置決めが容易である。また、操作手段4を利用して離れた位置から坑内撮影装置1の位置や向きの調整およびトンネル壁面や切羽の撮影を行うため、作業員が切羽に入る必要がない。
また、坑内撮影装置1の位置決めは、トンネル壁面に照射されたレーザー光の線Lを既設の支保工(吹付けコンクリート又は鋼製支保工T)の先端縁に重ね合わせることにより行うため、目視により簡易に行うことができる。そのため、位置合わせ作業及び撮影作業に要する時間を削減し、ひいては、工期短縮化を図ることができる。
【0027】
また、坑内撮影装置1を所望の位置に据え付けることで、高品質な画像を撮影することが可能となり、ひいては、より高精度な地山状況の予測が可能となる。
また、撮影手段とトンネル壁面との位置関係により距離ひずみを修正するため、トンネルの中心軸に坑内撮影装置1が配置されていない場合であっても、より高精度に地山状況を予測することができる。
さらに、3次元的な展開写真を利用することで、より高精度な地山予測が可能となる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、距離計7のより坑壁までの距離を測定して距離ひずみの補正を行う場合について説明したが、トンネルの中心に坑内撮影装置を据え付けることが可能であれば、距離計を利用した距離測定は省略してもよい。
前記実施形態では、レーザー光照射手段3(支持架台5)が鉛直軸を中心に回転可能である場合について説明したが、レーザー光照射手段3(支持架台5)は、必ずしも鉛直軸を中心に回転可能である必要はない。
【0029】
レーザー光照射手段3、サーボモータ52、撮影手段6、距離計7および照明8の制御は、無線または有線により坑内撮影装置1に接続された制御手段により、坑内撮影装置1の坑口側に離れた位置において行えばよい。なお、坑内撮影装置1の制御には、操作手段4を利用してもよい。
レーザー光照射手段3の構成は限定されるものではなく、例えば、回転するポリゴンミラーを用いてレーザー光をトンネルTの周壁面に照射してレーザー光の光跡によりトンネルの周壁面にレーザー光の線を表示するものであってもよい。
【0030】
前記実施形態では、レーザー光の線Lが既設の鋼製支保工Tと平行になるようにレーザー光照射手段3の向きを調整したが、レーザー光照射手段3の向きは、鋼製支保工Tとの位置関係に応じて適宜調整すればよい。例えば、レーザー光の線Lと鋼製支保工Tとが略平行となるように、鋼製支保工Tを目安にして、レーザー光照射手段3の向きを調整すればよい。また、レーザー光の線Lと既設の鋼製支保工Tとの内角が所定の角度になるようにレーザー光照射手段3の向きを調整してもよい。
また、前記実施形態では、レーザー光の線Lが素掘り部分と既設の支保工(吹付けコンクリート又は鋼製支保工T)の端縁との境界に配置されるように坑内撮影装置1の前後位置を調整したが、レーザー光照射手段3の前後位置は、支保工との位置関係に応じて適宜調整すればよい。例えば、レーザー光の線Lと支保工の端縁との間隔が所定の範囲内に収まるように坑内撮影装置1の前後位置を調整してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 坑内撮影装置
2 台車
3 レーザー光照射手段
4 操作手段
5 支持架台
6 撮影手段
7 距離計
L レーザー光の線
T トンネル
図1
図2
図3
図4