(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1を参照して、第1の実施形態に係る磁気センサ回路の構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る磁気センサ回路の回路図である。
【0017】
第1の実施形態に係る磁気センサ回路100は、それぞれ磁電変換素子であるホール素子1aと、ホール素子1bと、第1のスイッチ回路2と、信号処理回路3とを備える。ホール素子1aとは、第1のホール素子の一例である。また、ホール素子1bとは、第2のホール素子の一例である。ホール素子1aは、端子Aと、端子Bと、端子Cと、端子Dとを備える。ホール素子1bは、端子Eと、端子Fと、端子Gと、端子Hとを備える。第1のスイッチ回路2は、第1のスイッチ2aと第1のスイッチ2bとを備える。第1のスイッチ回路2は、信号切替部の一例である。信号処理回路3は、差動増幅器4と第2のスイッチ回路5とを備える。信号処理回路3は、信号処理部の一例である。差動増幅器4は、入力端子V5と、入力端子V6と、出力端子VO3と、出力端子VO4とを備える。第2のスイッチ回路5は、第2のスイッチ5aと、第2のスイッチ5bと、第2のスイッチ5cと、第2のスイッチ5dとを備える。第2のスイッチ回路5は、第2の信号切替部の一例である。
【0018】
ホール素子1aとホール素子1bとは、互いに近い位置に配置される。また、ホール素子1aの端子Aと端子Cとを結んだ直線と、ホール素子1bの端子Eと端子Gとを結んだ直線とが、互いに略平行の位置に配置される。また、ホール素子1aの端子Bと端子Dとを結んだ直線と、ホール素子1bの端子Fと端子Hとを結んだ直線とが、互いに略平行の位置に配置される。上述のように2つのホール素子が配置されると、2つのホール素子に印加される磁界強度又は磁束密度を揃えることができる。これにより、2つのホール素子から出力される電圧信号の電圧の大きさを揃えることができる。
ホール素子1aの端子Aには、電源電圧が供給される。ホール素子1aの端子Cには、接地電圧が供給される。
ホール素子1bの端子Hには、電源電圧が供給される。ホール素子1bの端子Fには、接地電圧が供給される。
【0019】
第1のスイッチ2aは、入力端子V1と、入力端子V2と、出力端子VO1とを備える。入力端子V1は、ホール素子1aの端子Bと接続される。入力端子V2は、ホール素子1aの端子Dと接続される。出力端子VO1は、差動増幅器4の入力端子V5と接続される。
第1のスイッチ2bは、入力端子V3と、入力端子V4と、出力端子VO2とを備える。入力端子V3は、ホール素子1bの端子Eと接続される。入力端子V4は、ホール素子1bの端子Gと接続される。出力端子VO2は、差動増幅器4の入力端子V6と接続される。
【0020】
第2のスイッチ回路5は、入力端子V7と、入力端子V8と、出力端子VO5と、出力端子VO6とを備える。
入力端子V7は、第2のスイッチ5a及び第2のスイッチ5cと接続される。第2のスイッチ5aは、出力端子VO5と接続される。第2のスイッチ5cは、出力端子VO6と接続される。
入力端子V8は、第2のスイッチ5b及び第2のスイッチ5dと接続される。第2のスイッチ5bは、出力端子VO5と接続される。第2のスイッチ5dは、出力端子VO6と接続される。
【0021】
[磁気センサ回路100の動作の概要]
次に、本実施形態の磁気センサ回路100の動作を説明する。
磁気センサ回路100は、ホール素子1a及びホール素子1bに印加される磁界強度又は磁束密度に応じた信号を出力する。
ホール素子1a及びホール素子1bは、印加される磁界強度又は磁束密度に応じた電圧信号を、ホール素子信号として出力する。このホール素子信号の電圧には、信号成分を示す電圧とオフセット成分を示すオフセット電圧とが含まれる。
【0022】
ここで、ホール素子1a及びホール素子1bから出力されるホール素子信号について説明する。ホール素子1a及びホール素子1bから出力されるホール素子信号を、式(1)から式(4)に示す。なお、式(1)から式(4)に含まれるVsigは、ホール素子1a及びホール素子1bから出力される信号成分の電圧を示す。式(1)から式(4)に含まれるVosは、ホール素子1a及びホール素子1bから出力されるオフセット成分の電圧を示す。
ホール素子1aの端子Bから出力されるホール素子信号V
T2を式(1)に示す。ここで、ホール素子信号V
T2は、第1の信号の一例である。
【0024】
ホール素子1aの端子Dから出力されるホール素子信号V
T4を式(2)に示す。ここで、ホール素子信号V
T4は、第2の信号の一例である。
【0026】
つまり、ホール素子1aは、信号成分が互いに逆相かつオフセット成分が互いに逆相の2種類の信号である第1の信号と第2の信号とを出力する。
【0027】
ホール素子1bの端子Eから出力されるホール素子信号V
T1を式(3)に示す。ここで、ホール素子信号V
T1は、第3の信号の一例である。ホール素子信号V
T1は、ホール素子信号V
T2の信号成分と同相の信号成分を有しかつホール素子信号V
T2のオフセット成分と逆相のオフセット成分を有する。
【0029】
ホール素子1bの端子Gから出力されるホール素子信号V
T3を式(4)に示す。ここで、ホール素子信号V
T3は、第4の信号の一例である。ホール素子信号V
T3は、ホール素子信号V
T4の信号成分と同相の信号成分を有しかつホール素子信号V
T4のオフセット成分と逆相のオフセット成分を有する。
【0031】
つまり、ホール素子1bは、信号成分が互いに逆相かつオフセット成分が互いに逆相の2種類の信号であって、ホール素子信号V
T1と、ホール素子信号V
T3とを出力する。
【0032】
次に、第1のスイッチ回路2について説明する。
第1のスイッチ回路2は、ホール素子信号V
T1とホール素子信号V
T2とホール素子信号V
T3とホール素子信号V
T4とのうちから、少なくとも2つの互いに種類が異なる信号を第1の出力信号として選択する。第1のスイッチ回路2の出力端子VO1は、選択したホール素子信号を信号S1として出力する。第1のスイッチ回路2の出力端子VO2は、選択したホール素子信号を信号S2として出力する。第1の出力信号とは、第1のスイッチ回路2から出力される信号S1及び信号S2である。具体的には、第1のスイッチ回路2は、オフセット成分同士が互いに同相の場合には、信号成分同士が互いに逆相の信号を選択する。また、第1のスイッチ回路2は、オフセット成分同士が互いに逆相の場合には、信号成分同士が互いに同相の信号を選択する。
【0033】
より具体的には、第1のスイッチ2aがホール素子信号V
T2を選択する場合には、第1のスイッチ2bはホール素子信号V
T3を選択する。この第1のスイッチ2aがホール素子信号V
T2を選択し、第1のスイッチ2bがホール素子信号V
T3を選択する状態を、第1相とも記載する。
【0034】
また、第1のスイッチ2aがホール素子信号V
T4を選択する場合には、第1のスイッチ2bはホール素子信号V
T1を選択する。この第1のスイッチ2aがホール素子信号V
T4を選択し、第1のスイッチ2bがホール素子信号V
T1を選択する状態を、第2相とも記載する。
【0035】
第1のスイッチ回路2は、この一例では、不図示の発振器からの信号に応じて第1相と、第2相とを切り替える。この発振器は、数百(kHz)の周波数の信号を出力する。この発振器が出力する信号の周波数のことを、クロック周波数とも記載する。第1のスイッチ回路2は、クロック周波数に応じて第1相と第2相とを、交互に切り替える。
【0036】
信号処理回路3は、第1のスイッチ回路2が選択する第1の出力信号同士を演算することにより、第1の出力信号同士のオフセット成分を低減した第2の出力信号を出力する。具体的には、差動増幅器4は、入力端子V5に供給される信号S1と、入力端子V6に供給される信号S2との差を演算する。差動増幅器4は、出力端子VO3から信号S3を出力する。また、差動増幅器4は、出力端子VO4から、信号S4を出力する。この信号S3及び信号S4は、差動信号である。第2の出力信号には、この信号S3と信号S4とが含まれる。
【0037】
ここで、
図2を参照して、差動増幅器4に供給される第1の出力信号と、差動増幅器4から出力される第2の出力信号の一例について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る差動増幅器4の回路動作を示すタイムチャートである。
【0038】
図2(A)に、入力端子V5に供給される信号S1のタイムチャートを示す。
図2(B)に、入力端子V6に供給される信号S2のタイムチャートを示す。
図2(C)に、出力端子VO3から出力される信号S3のタイムチャートを示す。
図2(A)から(C)に示すように、第1相P1では、入力端子V5には式(1)に示すホール素子信号V
T2が入力され、入力端子V6には、式(4)に示すホール素子信号V
T3が供給される。差動増幅器4は、ホール素子信号V
T2からホール素子信号V
T3を減算する。具体的には、差動増幅器4は、ホール素子信号V
T3の正負を反転する。差動増幅器4は、反転したホール素子信号V
T3と、ホール素子信号V
T2とを加算する。差動増幅器4は、減算した電圧信号を信号S3として、出力端子VO3から出力する。
【0039】
また、第2相P2では、入力端子V5には式(2)に示すホール素子信号V
T4が入力され、入力端子V6には式(3)に示すホール素子信号V
T1が供給される。差動増幅器4は、ホール素子信号V
T4からホール素子信号V
T1を減算する。具体的には、差動増幅器4は、ホール素子信号V
T1の正負を反転する。差動増幅器4は、反転したホール素子信号V
T1と、ホール素子信号V
T4とを加算する。差動増幅器4は、減算した電圧信号を信号S3として、出力端子VO3から出力する。
【0040】
出力端子VO4は、出力端子VO3から出力される電圧信号とは電圧が逆相の信号を、信号S4として出力する。
差動増幅器4は、第1のスイッチ回路2が第1相P1の場合には、出力端子VO3から電圧が+Aop×Vsig/2の信号S3を出力し、出力端子VO4から電圧が−Aop×Vsig/2の信号S4を出力する。ここで、Aopとは、差動増幅器4の増幅率である。また、差動増幅器4は、第1のスイッチ回路2が第2相P2の場合には、出力端子VO3から電圧が−Aop×Vsig/2の信号S3を出力し、出力端子VO4から電圧が+Aop×Vsig/2の信号S4を出力する。
【0041】
この出力端子VO3から出力される信号S3は、オフセット成分Vosが低減された信号である。また、出力端子VO4から出力される信号S4は、オフセット成分Vosが低減された信号である。
【0042】
次に、第2のスイッチ回路5の回路動作について説明する。第2のスイッチ回路5は、入力端子V7から供給される信号S3と、入力端子V8から供給される信号S4との出力先を、第1のスイッチ回路2が切り替える信号の種類に応じて切り替える。具体的には、第2のスイッチ回路5は、第1のスイッチ回路2が信号を選択する動作に同期させて出力する信号を切り替える。
【0043】
より具体的には、第1のスイッチ回路2が第1相P1の場合には、第2のスイッチ回路5は、第2のスイッチ5aと、第2のスイッチ5dとを導通状態にする。また、第2のスイッチ回路5は、第2のスイッチ5bと、第2のスイッチ5cとを非導通状態にする。この場合には、出力端子VO5からは、入力端子V7から供給される信号S3が出力される。また、出力端子VO6からは、入力端子V8から供給される信号S4が出力される。
【0044】
また、第1のスイッチ回路2が第2相P2の場合には、第2のスイッチ回路5は、第2のスイッチ5bと、第2のスイッチ5cとを導通状態にする。また、第2のスイッチ回路5は、第2のスイッチ5aと、第2のスイッチ5dとを非導通状態にする。この場合には、出力端子VO5からは、入力端子V8から供給される信号S4が出力される。また、出力端子VO6からは、入力端子V7から供給される信号S3が出力される。
【0045】
なお、上述した第2のスイッチ回路5は必須ではない。第2のスイッチ回路5は、差動増幅器4から出力された増幅後の電圧信号の周波数を、元の電圧信号の周波数に戻す回路である。この増幅後の電圧信号は、ホール素子1a及びホール素子1bから供給される微小電圧信号よりも大きな電圧の信号である。この増幅後の電圧信号は、増幅前の電圧信号と比較すると、ノイズの影響を受けにくい。この増幅後の電圧信号は、ノイズの影響を受けにくいため、様々な信号処理をすることができる。
【0046】
以上をまとめると、第1の実施形態に係る磁気センサ回路100は、チョッピング回路を構成する。このチョッピング回路は、ホール素子1aと、ホール素子1bと、第1のスイッチ回路2とから構成される。この第1のスイッチ回路2は、オフセット成分が低減する組み合わせのホール素子信号を選択する。差動増幅器4は、第1のスイッチ回路2が選択したホール素子信号同士を演算することにより、ホール素子から生じるノイズであるオフセット成分を低減する。また、チョッピング回路は、第1のスイッチ回路2が選択したホール素子信号の周波数域を、第1のスイッチ回路2が選択するホール素子信号を切り替えるクロック周波数域に変調する。フリッカノイズの周波数は、低周波数域のノイズである。この低周波数域のノイズを除去することにより、フリッカノイズを除去することができる。つまり、差動増幅器4から生じるフリッカノイズは、上述したチョッピング回路と不図示の後置フィルタとによって除去することができる。これにより、フリッカノイズなどのノイズを低減することができる磁気センサ回路100を提供することができる。
【0047】
また、第1のスイッチ回路2は、従来技術のスピニングカレントに用いられるスイッチ回路よりも小型のスイッチを用いることができる。スピニングカレントとは、ホール素子に供給される電源の端子と、ホール素子から出力されるホール素子信号を取り出す端子とを切り替えることにより、ホール素子から生じるオフセット成分を低減する技術である。このホール素子に供給される電源の端子を切り替えるスイッチは、ホール素子信号を切り替える第1のスイッチ回路2よりも大きなスイッチである。また、電源の端子を切り替えることにより生じるスイッチングノイズと、ホール素子信号を切り替えることにより生じるスイッチングノイズとを比較すると、ホール素子信号を切り替えるスイッチングノイズの方が生じるノイズが小さい。これにより、第1のスイッチ回路2は、スピニングカレントに用いられるスイッチ回路よりも小型のスイッチを用いることができる。また、第1のスイッチ回路2は、スピニングカレントに用いられるスイッチ回路よりもスイッチングノイズを低減することができる。
【0048】
上述した説明では、差動増幅器4が減算器の場合について説明したが、これに限られない。差動増幅器4は、加算器であってもよい。差動増幅器4が加算器の場合には、第1のスイッチ回路2は、信号成分が同相かつオフセット成分が逆相の信号を選択する。例えば、第1のスイッチ回路2は、上述したホール素子信号V
T2とホール素子信号V
T1とを、第1相として選択する。また、第1のスイッチ回路2は、上述したホール素子信号V
T4とホール素子信号V
T3とを、第2相として選択する。
【0049】
なお、ホール素子1aと、ホール素子1bと、第1のスイッチ回路2と、差動増幅器4と、第2のスイッチ回路5とは、同じ半導体基板に形成されてもよい。この場合には、半導体基板は、CMOSプロセスによって製造することができる。従来技術の差動増幅器4は、フリッカノイズを生じないバイポーラトランジスタを用いることが望ましかった。これは、CMOSデバイスで生じるオフセット成分及びフリッカノイズを低減するためである。しかし、バイポーラトランジスタによって構成する場合には、半導体基板のプロセスコストがCMOSよりも高価であり、半導体基板の大きさも大きい。つまり、磁気センサ回路100は、チョッピング回路を備えることでホール素子信号と差動増幅器4で生じるフリッカノイズとの周波数域を分離することができ、CMOSプロセスによって製造することにより、安価に、半導体基板の大きさもより小さく製造することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
ここまでは、信号処理回路が1つの差動増幅器を備える構成について説明した。次に、
図3を参照して、信号処理回路が2つの差動増幅器を備える構成について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3は、第2の実施形態に係る磁気センサ回路の回路図である。
【0051】
第2の実施形態に係る磁気センサ回路3100は、それぞれ磁電変換素子であるホール素子1aと、ホール素子1bと、第1のスイッチ回路32と、信号処理回路33とを備える。第1のスイッチ回路32は、第1のスイッチ32aと、第1のスイッチ32bと、第1のスイッチ32cと、第1のスイッチ32dとを備える。端子信号処理回路33は、差動増幅器34aと、差動増幅器34bと、減算器36と、第2のスイッチ回路35とを備える。
【0052】
差動増幅器34aは、入力端子V39と、入力端子V40と、出力端子VO35と、出力端子VO36とを備える。
差動増幅器34bは、入力端子V41と、入力端子V42と、出力端子VO37と、出力端子VO38とを備える。
【0053】
減算器36は、入力端子V43と、入力端子V44と、入力端子V45と、入力端子V46と、出力端子VO39と、出力端子VO40とを備える。この減算器36は、第1の出力信号同士の演算に用いる演算器の一例である。
第2のスイッチ回路35は、入力端子V47と、入力端子V48と、出力端子VO41と、出力端子VO42とを備える。
【0054】
第1のスイッチ32aは、入力端子V31と、入力端子V32と、出力端子VO31とを備える。入力端子V31は、ホール素子1aの端子Bと接続される。入力端子V32は、ホール素子1aの端子Dと接続される。出力端子VO31は、差動増幅器34aの入力端子V39と接続される。
第1のスイッチ32bは、入力端子V33と、入力端子V34と、出力端子VO32とを備える。入力端子V33は、ホール素子1bの端子Eと接続される。入力端子V34は、ホール素子1bの端子Gと接続される。出力端子VO32は、差動増幅器34aの入力端子V40と接続される。
【0055】
第1のスイッチ32cは、入力端子V35と、入力端子V36と、出力端子VO33とを備える。入力端子V35は、ホール素子1aの端子Bと接続される。入力端子V36は、ホール素子1aの端子Dと接続される。出力端子VO33は、差動増幅器34bの入力端子V41と接続される。
第1のスイッチ32dは、入力端子V37と、入力端子V38と、出力端子VO34とを備える。入力端子V37は、ホール素子1bの端子Eと接続される。入力端子V38は、ホール素子1bの端子Gと接続される。出力端子VO34は、差動増幅器34bの入力端子V42と接続される。
【0056】
差動増幅器34aの出力端子VO35は、減算器36の入力端子V43と接続される。差動増幅器34aの出力端子VO36は、減算器36の入力端子V44と接続される。
差動増幅器34bの出力端子VO37は、減算器36の入力端子V45と接続される。差動増幅器34bの出力端子VO38は、減算器36の入力端子V46と接続される。
【0057】
減算器36の出力端子VO39は、第2のスイッチ回路35の入力端子V47と接続される。
減算器36の出力端子VO40は、第2のスイッチ回路35の入力端子V48と接続される。
【0058】
第2のスイッチ回路35の入力端子V47は、第2のスイッチ35a及び第2のスイッチ35cと接続される。第2のスイッチ35aは、出力端子VO41と接続される。第2のスイッチ5cは、出力端子VO42と接続される。
入力端子V48は、第2のスイッチ35b及び第2のスイッチ35dと接続される。第2のスイッチ35bは、出力端子VO41と接続される。第2のスイッチ35dは、出力端子VO42と接続される。
【0059】
[磁気センサ回路3100の動作の概要]
次に、磁気センサ回路3100の動作を説明する。
第1のスイッチ回路32は、ホール素子1a及びホール素子1bから供給されたホール素子信号を選択する。第1のスイッチ32aは、選択したホール素子信号を信号S31として出力する。第1のスイッチ32bは、選択したホール素子信号を信号S32として出力する。第1のスイッチ32cは、選択したホール素子信号を信号S33として出力する。第1のスイッチ32dは、選択したホール素子信号を信号S34として出力する。本実施形態の第1の出力信号には、信号S31と、信号S32と、信号S33と、信号S34とが含まれる。
【0060】
第1のスイッチ回路32は、第1の実施形態と同様に、第1相と、第2相との2種類の状態を交互に切り替える。
第1のスイッチ回路32が、第1相の場合について説明する。
第1のスイッチ32aは、入力端子V31に供給されるホール素子信号V
T2を選択する。第1のスイッチ32bは、入力端子V34に供給されるホール素子信号V
T3を選択する。第1のスイッチ32cは、入力端子V36に供給されるホール素子信号V
T4を選択する。第1のスイッチ32dは、入力端子V37に供給されるホール素子信号V
T1を選択する。
【0061】
次に、第1のスイッチ回路32が、第2相の場合について説明する。
第1のスイッチ32aは、入力端子V32に供給されるホール素子信号V
T4を選択する。第1のスイッチ32bは、入力端子V33に供給されるホール素子信号V
T1を選択する。第1のスイッチ32cは、入力端子V35に供給されるホール素子信号V
T2を選択する。第1のスイッチ32dは、入力端子V38に供給されるホール素子信号V
T3を選択する。
【0062】
差動増幅器34aは、入力端子V39及び入力端子V40に供給される電圧信号の差を演算する。差動増幅器34aは、出力端子VO35及び出力端子VO36から、演算した電圧信号である差動信号を出力する。
差動増幅器34bは、入力端子V41及び入力端子V42に供給される電圧信号の差を演算する。差動増幅器34bは、出力端子VO37及び出力端子VO38から、演算した電圧信号である差動信号を出力する。
【0063】
ここで、
図4を参照して、差動増幅器34aに供給される第1の出力信号と、差動増幅器34aから出力される差動信号の一例について説明する。
図4は、第2の実施形態に係る差動増幅器34aの回路動作を示すタイムチャートである。
【0064】
図4(A)に、入力端子V39に供給される信号S31のタイムチャートを示す。
図4(B)に、入力端子V40に供給される信号S32のタイムチャートを示す。
図4(C)に、出力端子VO35から出力される信号S35のタイムチャートを示す。
図4(A)から(C)に示すように、第1相P1では、入力端子V39には式(1)に示すホール素子信号V
T2が入力され、入力端子V40には式(4)に示すホール素子信号V
T3が供給される。差動増幅器34aは、ホール素子信号V
T2からホール素子信号V
T3を減算する。差動増幅器34aは、この減算した電圧信号を信号S35として、出力端子VO35から出力する。具体的には、差動増幅器34aは、ホール素子信号V
T3の正負を反転する。差動増幅器34aは、反転したホール素子信号V
T3と、ホール素子信号V
T2とを加算する。
【0065】
また、第2相P2では、入力端子V39には式(2)に示すホール素子信号V
T4が入力され、入力端子V40には式(3)に示すホール素子信号V
T1が供給される。差動増幅器34aは、ホール素子信号V
T4からホール素子信号V
T1を減算する。差動増幅器34aは、この減算した電圧信号を信号S35として、出力端子VO35から出力する。具体的には、差動増幅器34aは、ホール素子信号V
T1の正負を反転する。差動増幅器34aは、反転したホール素子信号V
T1と、ホール素子信号V
T4とを加算する。
【0066】
出力端子VO36は、出力端子VO35に出力される電圧信号とは電圧が逆相の信号を、信号S36として出力する。この一例では、差動増幅器34aは、第1のスイッチ回路32が第1相の場合には、出力端子VO35から電圧が+Aop×Vsig/2の信号S35を出力し、出力端子VO36から電圧が−Aop×Vsig/2の信号S36を出力する。差動増幅器34aは、第1のスイッチ回路32が第2相の場合には、出力端子VO35から電圧が−Aop×Vsig/2の信号S35を出力し、出力端子VO36から電圧が+Aop×Vsig/2の信号S36を出力する。ここで、Aopとは、差動増幅器34aの増幅率である。
【0067】
次に、
図5を参照して、差動増幅器34bに供給される第1の出力信号と、差動増幅器34bから出力される差動信号の一例について説明する。
図5は、第2の実施形態に係る差動増幅器34bの回路動作を示すタイムチャートである。
【0068】
図5(A)に、入力端子V41に供給される信号S33のタイムチャートを示す。
図5(B)に、入力端子V42に供給される信号S34のタイムチャートを示す。
図5(C)に、出力端子VO37から出力される信号S37のタイムチャートを示す。
図5(A)から(C)に示すように、第1相P1では、入力端子V41には、式(2)に示すホール素子信号V
T4が入力され、入力端子V42には、式(3)に示すホール素子信号V
T1が供給される。差動増幅器34bは、ホール素子信号V
T4からホール素子信号V
T1を減算する。差動増幅器34bは、この減算した電圧信号を信号S37として、出力端子VO37から出力する。具体的には、差動増幅器34bは、ホール素子信号V
T1の正負を反転する。差動増幅器34bは、反転したホール素子信号V
T1と、ホール素子信号V
T4とを加算する。
【0069】
また、第2相P2では、入力端子V41には、式(1)に示すホール素子信号V
T2が入力され、入力端子V42には式(4)に示すホール素子信号V
T3が供給される。差動増幅器34bは、ホール素子信号V
T2からホール素子信号V
T3を減算する。差動増幅器34bは、この減算した電圧信号を信号S37として、出力端子VO37から出力する。具体的には、差動増幅器34bは、ホール素子信号V
T3の正負を反転する。差動増幅器34bは、反転したホール素子信号V
T2と、ホール素子信号V
T3とを加算する。
【0070】
出力端子VO38は、出力端子VO37に出力される電圧信号とは電圧が逆相の信号を、信号S38として出力する。この一例では、差動増幅器34bは、第1のスイッチ回路32が第1相の場合には、出力端子VO37から電圧が−Aop×Vsig/2の信号S37を出力し、出力端子VO38から電圧が+Aop×Vsig/2の信号S38を出力する。差動増幅器34bは、第1のスイッチ回路32が第2相の場合には、出力端子VO37から電圧が+Aop×Vsig/2の信号S37を出力し、出力端子VO38から電圧が−Aop×Vsig/2の信号S38を出力する。ここで、Aopとは、差動増幅器34bの増幅率である。
【0071】
次に、減算器36の動作について説明する。減算器36は、入力端子V43から供給される信号S35と、入力端子V45から供給される信号S37とを減算する。入力端子V43から供給される信号S35と、入力端子V45から供給される信号S37とは、逆相の信号である。
また、減算器36は、入力端子V44から供給される信号S36と、入力端子V46から供給される信号S38とを減算する。入力端子V44から供給される信号S36と、入力端子V46から供給される信号S38とは、逆相の信号である。
つまり、減算器36は、信号成分を強調した信号を出力する。この減算器36から出力される信号S39及び信号S40は、第2の出力信号の一例である。
【0072】
次に、第2のスイッチ回路35の回路動作について説明する。第2のスイッチ回路35は、入力端子V47から供給される信号S39と、入力端子V48から供給される信号S40との出力先を、第1のスイッチ回路32が切り替える信号の種類に応じて切り替える。具体的には、第2のスイッチ回路35は、第1のスイッチ回路32が信号を選択する動作に同期させて出力する信号を切り替える。
【0073】
より具体的には、第1のスイッチ回路32が第1相の場合には、第2のスイッチ回路35は、第2のスイッチ35aと、第2のスイッチ35dとを導通状態にする。また、第2のスイッチ回路35は、第2のスイッチ35bと、第2のスイッチ35cとを非導通状態にする。この場合には、出力端子VO41からは、入力端子V47から供給される信号S39が出力される。また、出力端子VO42からは、入力端子V48から供給される信号S40が出力される。
【0074】
また、第1のスイッチ回路32が第2相の場合には、第2のスイッチ回路35は、第2のスイッチ5bと、第2のスイッチ5cとを導通状態にする。また、第2のスイッチ回路35は、第2のスイッチ5aと、第2のスイッチ5dとを非導通状態にする。この場合には、出力端子VO41からは、入力端子V48から供給される信号S40が出力される。また、出力端子VO42からは、入力端子V47から供給される信号S39が出力される。
【0075】
[第3の実施形態]
ここで、
図6から
図7までを参照して、信号処理回路が加算器を備える場合の回路について説明する。なお、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同一の構成及び動作については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6は、第3の実施形態に係る磁気センサ回路の回路図である。
【0076】
磁気センサ回路6100と、上述した磁気センサ回路3100とは、破線WMに示すホール素子1a及びホール素子1bと、第1のスイッチ回路32の一部との接続とが異なる。また、磁気センサ回路6100が備える信号処理回路63は、加算器66を備える。加算器66は、差動増幅器34a及び差動増幅器34bからそれぞれ供給される信号を加算する。
【0077】
第1のスイッチ32cの入力端子V35は、ホール素子1bの端子Gと接続される。第1のスイッチ32cの入力端子V36は、ホール素子1bの端子Eと接続される。
第1のスイッチ32dの入力端子V37は、ホール素子1aの端子Dと接続される。第1のスイッチ32dの入力端子V38は、ホール素子1aの端子Bと接続される。
【0078】
加算器66は、入力端子V61と、入力端子V62と、入力端子V63と、入力端子V64と、出力端子VO61と、出力端子VO62とを備える。
差動増幅器34aの出力端子VO35は、加算器66の入力端子V61と接続される。差動増幅器34aの出力端子VO36は、加算器66の入力端子V62と接続される。
差動増幅器34bの出力端子VO37は、加算器66の入力端子V63と接続される。差動増幅器34bの出力端子VO38は、加算器66の入力端子V64と接続される。
【0079】
加算器66の出力端子VO61は、第2のスイッチ回路35の入力端子V47と接続される。
加算器66の出力端子VO62は、第2のスイッチ回路35の入力端子V48と接続される。
【0080】
[磁気センサ回路6100の動作の概要]
次に、磁気センサ回路6100の動作を説明する。
第1のスイッチ回路32が、第1相の場合について説明する。
第1のスイッチ32cは、入力端子V36から供給されるホール素子信号V
T1を選択する。第1のスイッチ32dは、入力端子V37から供給されるホール素子信号V
T4を選択する。
【0081】
次に、第1のスイッチ回路32が、第2相の場合について説明する。
第1のスイッチ32cは、入力端子V35から供給されるホール素子信号V
T3を選択する。第1のスイッチ32dは、入力端子V38から供給されるホール素子信号V
T2を選択する。
【0082】
ここで、
図7を参照して、差動増幅器34bに供給される第1の出力信号と、差動増幅器34aから出力される差動信号の一例について説明する。なお、差動増幅器34aに入出力される信号は、
図4に示す信号と同一である。
図7は、第3の実施形態に係る差動増幅器34bの回路動作を示すタイムチャートである。
【0083】
図7(A)に、入力端子V41に供給されるホール素子信号のタイムチャートを示す。
図7(B)に、入力端子V42に供給されるホール素子信号のタイムチャートを示す。
図7(C)に、出力端子VO37から出力される電圧信号のタイムチャートを示す。
図7(A)から(C)に示すように、第1相P1では、入力端子V41には、式(3)に示すホール素子信号V
T1が入力され、入力端子V42には、式(2)に示すホール素子信号V
T4が供給される。差動増幅器34bは、ホール素子信号V
T1からホール素子信号V
T4を減算する。差動増幅器34bは、この減算した電圧信号を信号S37として、出力端子VO37から出力する。具体的には、差動増幅器34bは、ホール素子信号V
T4の正負を反転する。差動増幅器34bは、反転したホール素子信号V
T4と、ホール素子信号V
T1とを加算する。
【0084】
また、第2相P2では、入力端子V41には、式(4)に示すホール素子信号V
T3が入力され、入力端子V42には式(1)に示すホール素子信号V
T2が供給される。差動増幅器34bは、ホール素子信号V
T2からホール素子信号V
T3を減算する。差動増幅器34bは、この減算した電圧信号を信号S37として、出力端子VO37から出力する。具体的には、差動増幅器34bは、ホール素子信号V
T3の正負を反転する。差動増幅器34bは、反転したホール素子信号V
T3と、ホール素子信号V
T2とを加算する。
【0085】
出力端子VO38は、出力端子VO37から出力される電圧信号とは電圧が逆相の信号を、信号S38として出力する。この一例では、差動増幅器34bは、第1のスイッチ回路32が第1相の場合には、出力端子VO37から電圧が+Aop×Vsig/2の信号S37を出力し、出力端子VO38から電圧が−Aop×Vsig/2の信号S38を出力する。差動増幅器34bは、第1のスイッチ回路32が第2相の場合には、出力端子VO37から電圧が−Aop×Vsig/2の信号S37を出力し、出力端子VO38から電圧が+Aop×Vsig/2の信号S38を出力する。ここで、Aopとは、差動増幅器34aの増幅率である。
【0086】
次に、加算器66の動作について説明する。加算器66は、入力端子V61から供給される信号S35と、入力端子V63から供給される信号S37とを加算する。入力端子V61から供給される信号S35と、入力端子V63から供給される信号S37とは、電圧が同相の電圧信号である。加算器66は、出力端子VO61から、この加算した電圧信号を信号S61として出力する。信号S61は、第2のスイッチ回路35の入力端子V47に対して供給される。
【0087】
また、加算器66は、入力端子V62から供給される信号S36と、入力端子V64から供給される信号S38とを加算する。入力端子V62から供給される信号S36と、入力端子V64から供給される信号S38とは、電圧が同相の電圧信号である。加算器66は、出力端子VO62から、この加算した電圧信号を信号S62として出力する。信号S62は、第2のスイッチ回路35の入力端子V48に対して供給される。
つまり、加算器66は、信号成分を強調した信号S61と信号S62とを出力する。この信号S61及び信号S62は、第2の出力信号の一例である。
【0088】
以上をまとめると、第2の実施形態に係る磁気センサ回路3100及び磁気センサ回路6100は、ホール素子1a、ホール素子1b、第1のスイッチ回路32からチョッピング回路を構成する。この第1のスイッチ回路32は、ホール素子1a及びホール素子1bから出力される4つのホール素子信号のうちから、オフセット成分同士が低減する組み合わせのホール素子信号を選択する。磁気センサ回路3100及び磁気センサ回路6100は、ホール素子が出力する全てのホール素子信号を利用することができる。つまり、磁気センサ回路3100及び磁気センサ回路6100は、磁気センサ回路100と比較して、磁界強度又は磁束密度の検出に用いる電力の利用効率を高めることができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態及びその変形を説明したが、これらの実施形態及びその変形は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態及びその変形は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、上述した各実施形態及びその変形は、互いに適宜組み合わせることができる。