(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0026】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0027】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0028】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
【0029】
本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0030】
図2は、実施の形態に係る灯具システムのブロック図である。灯具システム1は、バッテリ2、車両ECU(Electronic Control Unit)4および車両用灯具10を備える。車両用灯具10は、
図1(a)、(b)に示した、追加ハイビームと、路面マーキングの機能を提供する。
図2には、これらの機能に関連する機能ブロックのみが示されており、ロービームおよびハイビームに関する機能ブロックは省略される。
【0031】
車両用灯具10は、灯具ECU100、光源ユニット200、点灯回路300を備える。灯具ECU100は主としてスイッチ102およびコントローラ104を備える。コントローラ104は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのネットワーク6を介して、車両ECU4と接続される。コントローラ104は、CPUやマイクロコントローラなどであり、車両ECU4からの、点消灯指示、車速情報、カメラ情報などを受信し、受信した信号にもとづいて、スイッチ102および光源ユニット200を制御する。
【0032】
スイッチ102は、バッテリ2から点灯回路300への電源電圧(バッテリ電圧V
BAT)の供給経路上に設けられる。コントローラ104は、車両ECU4からのオン指令を受けると、スイッチ102をオンする。
【0033】
光源ユニット200は、光源202、冷却ファン204、アクチュエータ206、スリット208、温度検出素子210、異常検出回路212、タイマー回路214を備える。光源202は、レーザダイオードやLEDなどの半導体光源である。冷却ファン204は、光源202を空冷する。温度検出素子210はサーミスタや熱電対などであり、光源202の温度を検出する。
【0034】
灯具ECU100は複数の点灯モードをサポートする。本実施の形態では、点灯モードは、アクチュエータ206の状態に応じて切りかえ可能である。たとえばアクチュエータ206には、スリット208が取り付けられており、スリット208の位置に応じて、複数の点灯モードが切り替え可能であってもよい。あるいはアクチュエータ206によって、光源202や、図示しない光学系のレンズやミラーなどの位置や傾きを制御して、複数の点灯モードを切りかえてもよい。
【0035】
点灯モードのひとつは、光源202の点滅を伴っており、たとえば路面マーキングである。点灯モードの別のひとつは、たとえば遠方照射ハイビームである。
【0036】
点灯回路300は、制御部302および駆動部310を備える。制御部302は、コントローラ104からの制御信号Sig1,Sig2にもとづいて、駆動部310を制御する。また制御部302は、光源ユニット200や点灯回路300の診断結果(異常の有無)を示す診断信号DIAGをコントローラ104に出力する。
【0037】
駆動部310は、スイッチングコンバータ312、ファンコントローラ314、ソレノイド駆動回路316、保護スイッチ318を備える。スイッチングコンバータ312は、定電流出力を有し、目標電流I
REFに安定化された駆動電流I
OUTを発生し、光源202に供給する。ファンコントローラ314は、冷却ファン204を駆動する。たとえばアクチュエータ206はソレノイドアクチュエータであり、ソレノイド駆動回路(アクチュエータ駆動回路)316は、アクチュエータ206を駆動する。保護スイッチ318は、駆動電流I
OUTの経路上に設けられ、異常が検出されると、ターンオフする。
【0038】
車両用灯具10は、フェイルセーフ機能を備える。フェイルセーフ機能に関連して、異常検出回路212、タイマー回路214が設けられる。異常検出回路212は、車両用灯具10において生ずる異常状態を監視する。異常検出回路212は、光源202の点灯中に、異常状態を示唆する所定の状態が検出される間、異常検出信号S
1をアサートする。
【0039】
たとえば光源202は、青色レーザと蛍光体を備える白色光源であってもよい。青色レーザの出射光(励起光)は蛍光体に入射し、蛍光体が発生する黄色い光と合成されて白色光が生成される。
【0040】
正常時は、青色レーザは蛍光体によって散乱される。一方、蛍光体が青色レーザの光軸から外れると、あるいは経年変化の影響が顕著になると、生の青色レーザ光が散乱されずにそのまま出射することとなり(漏光異常という)、周囲を眩惑するおそれがある。異常検出回路212は、漏光異常を監視してもよい。そのほか異常検出回路212は、光源202の光軸の異常などを検出してもよい。
【0041】
異常検出回路212は検出対象の異常を検出しやすい箇所に設ければよく、漏光異常が検出対象である場合、光源ユニット200に設けることが好ましいといえる。異常検出回路212の構成は特に限定されないが、たとえば特開2016−058370号公報に記載の回路を用いることができる。
【0042】
タイマー回路214は、異常検出回路212が生成する異常検出信号S
1にもとづいて、フェイル信号S
2を生成する。タイマー回路214は、(i)光源202の点灯中に異常検出信号S
1がアサートされる間、計時を進め、異常検出信号S
1がネゲートされると計時をリセットする。またタイマー回路214は、(ii)光源202の消灯中に、直前の点灯期間において計時した時間を保持する。またタイマー回路214は、(iii)計時した時間が所定の判定時間T
0に達すると、フェイル信号S
2をアサートする。タイマー回路214は、光源ユニット200に設けてもよいし、点灯回路300側に制御部302の一部として構成してもよい。
【0043】
図3は、光源ユニット200の構成例を示す断面図である。ミラー220およびレンズ222は、光源202の出射光を反射、集光し、出射光の拡散角や光軸などを調節する。スリット208は、ミラー220とレンズ222の間に設けられる。アクチュエータ206は、スリット208の位置を、
図3の208A,208Bの位置で変化させる。たとえばアクチュエータ206の非通電状態においてスリット208の位置は208Aであり、このときミラー220の反射光がスリット208を通過することにより、路面マーキングに適した配光パターンが形成される。アクチュエータ206のソレノイドに電流が供給されると(通電状態)、スリット208の位置が208Bに変化し、スリット208は光には作用せず、遠方照射ハイビームの配光が形成される。
【0044】
図4は、車両用灯具10による異常検出動作を説明する図である。車両用灯具10は、光源202を点滅させる点灯モード(たとえば路面マーキング)で動作しており、光源202は所定の周期で点灯期間T
ONと消灯期間T
OFFを繰り返す。
【0045】
時刻t
0〜t
1の間、ノイズの影響により、漏光異常が生じていないにもかかわらず、異常検出信号S
1がアサート(ここではハイレベルとして示す)される。タイマー回路214は、異常検出信号S
1がアサートされる期間を計時する。時刻t
1に異常検出信号S
1がネゲート(ローレベル)されると、計時時間Tはゼロにリセットされる。
【0046】
時刻t
2に、光源202に漏光異常が発生すると、異常検出回路212が異常検出信号S
1をアサートする。タイマー回路214は、点灯期間T
ON中に異常検出信号S
1がアサートされる間、計時を進め、計時時間Tが増大する。
【0047】
時刻t
3〜t
4の消灯期間において、計時時間Tは、直前の点灯期間の最終的な値τ
1が維持される。消灯期間における異常検出信号S
1の状態はアサートであるとネゲートであるとを問わない。
【0048】
時刻t
4に次の点灯期間が開始すると、タイマー回路214は、保持しておいた計時時間τ
1から計時を再開する。時刻t
5〜t
6の消灯期間の間、計時時間T=τ
1+τ
2が保持される。時刻t
6に次の点灯期間が開始すると、タイマー回路214は、保持しておいた計時時間τ
1+τ
2から計時を再開する。そして時刻t
7に計時時間Tが判定しきい値T
0に達すると、フェイル信号S
2がアサートされ、光源202の駆動が停止し、発光が停止する。
【0049】
以上が車両用灯具10の動作である。この車両用灯具10によれば、光源202を点滅させている最中に異常が発生しても、確実に異常を検知し、光源202の発光を停止できる。また、正常時にノイズによって異常検出信号S
1が誤ってアサートされた場合には、フェイル信号S
2が誤ってアサートされず、光源202の発光を維持できる。
【0050】
図5は、タイマー回路214の構成例(214A)を示す回路図である。タイマー回路214Aは、キャパシタC
1、充放電回路216、コンパレータ215を含む。
【0051】
キャパシタC
1は一端が接地される。充放電回路216は、光源202の点灯中に異常検出信号S
1がアサート(この例ではローレベル)される間、キャパシタC
1を充電し、光源202の点灯中に異常検出信号S
1がネゲート(この例ではハイレベル)されると、キャパシタC
1を放電する。
【0052】
充放電回路216は、充電抵抗R
1、充電スイッチSW
1、放電スイッチSW
2、リセットスイッチSW
3、インバータ217A、NANDゲート217Bを含む。点消灯指示信号S
3は、点灯期間にハイレベル(H)、消灯期間にローレベル(L)である。モード制御信号S
4は、路面マーキングモードが有効であるときハイレベル、無効であるときローレベルである。インバータ217Aは点消灯指示信号S
3を反転する。NANDゲート217Bは、モード制御信号S
4とインバータ217Aの出力の否定論理積を生成する。充電スイッチSW
1は、電源ラインV
DDとキャパシタC
1の間に、充電抵抗R
1と直列に設けられる。充電スイッチSW
1は、NANDゲート217Bの出力がハイレベルのときオン、ローレベルのときオフとなる。これにより路面マーキングモードが有効であるときに、点灯期間が発生すると、キャパシタC
1が充電可能な状態となる。
【0053】
放電スイッチSW
2は、一端が接地され、他端が充電抵抗R
1と充電スイッチSW
1の接続ノードと接続される。放電スイッチSW
2は、異常検出信号S
1がハイレベルのとき、すなわち正常であるときオンであり、キャパシタC
1は充電されない。異常検出信号S
1がローレベルのとき、すなわち異常を示唆する所定状態において、放電スイッチSW
2がオフとなり、キャパシタC
1が、充電スイッチSW
1および抵抗R
1を介して充電される。リセットスイッチSW
3は、パワーオンリセット信号に応答してオンとなり、キャパシタC
1の電荷を放電する。なお充放電回路216の構成は
図4のそれに限定されない。
【0054】
コンパレータ215は、キャパシタC
1の電圧V
C1を所定のしきい値V
THと比較する。コンパレータ215の出力はフェイル信号S
2に対応しており、V
C1>V
THとなると、ローレベルとなる。しきい値電圧V
THは、電源電圧を抵抗分圧して生成してもよい。
【0055】
このタイマー回路214では、キャパシタC
1の電圧V
C1が計時時間Tに、しきい値電圧V
THが判定しきい値T
0に対応する。
【0056】
図6は、タイマー回路214の別の構成例(214B)を示す回路図である。タイマー回路214Bは、カウンタ218およびカウンタコントローラ219を含む。カウンタ218は、クロック入力端子(CK)とクリア端子(CLR)を有する。この例ではカウンタ218は6ビットである。
【0057】
カウンタコントローラ219は、光源202の点灯中に異常検出信号S
1がアサートされる間、カウンタ218のクロック入力端子(CK)にクロック信号CLKを供給する。また光源202の点灯中に異常検出信号S
1がネゲートされると、カウンタ218のクリア端子(CLR)にハイレベルのクリア信号S
5を供給する。
【0058】
タイマー回路214Bは、カウンタ218の最上位ビットQ6に1がたつと、フェイル信号S
2をアサート(この例ではローレベル)する。
【0059】
カウンタコントローラ219の構成は特に限定されず、上述の機能が実現できるように組み合わせ回路で構成すればよい。インバータ217AとNANDゲート217Bは、
図5のそれらと対応する。インバータ217Dは、カウンタ218のカウント値の最上位ビットQ6を反転する。ANDゲート217Eは、マスク回路であり、Q6がローであり、かつNANDゲート217Bの出力がハイレベルであるときに、クロック信号CLKを通過させ、それ以外の場合にはクロック信号CLKをマスクする。ORゲート217Cは、異常検出信号S
1とパワーオンリセット信号PORの論理和を生成し、カウンタ218のクリア端子に供給する。
【0060】
このタイマー回路214Bによれば、カウンタ218の状態(最上位ビット)に応じてフェイル信号S
2を生成できる。
【0061】
異常検出回路212の監視対象の異常は、漏光異常に限定されない。たとえば異常検出回路212は、光源202のショート異常、オープン異常、駆動部310の過電圧異常、過電流異常などを検出対象としてもよい。
【0062】
図2に戻る。続いて、制御部302とコントローラ104とのインタフェースについて説明する。制御部302は、2本の制御ライン12,14を介して第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2を受け、第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2にもとづいて、消灯モードおよび複数の点灯モードのうちひとつを選択する。駆動部310は、制御部302が選択したモードにしたがい、光源ユニット200を駆動する。
【0063】
これにより、点灯モードの個数にかかわらず2本の制御ライン12,14で複数のモードを選択できる。
【0064】
制御部302は、第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2の少なくとも一方が非パルス信号であるとき、消灯モードを選択する。消灯モードでは、スイッチングコンバータ312の目標電流I
REFがゼロにセットされ、駆動電流I
OUTがゼロとなる。消灯モードにおいて、保護スイッチ318をオフしてもよい。
【0065】
制御ライン12,14に地絡や天絡、コントローラ104の出力インタフェースの異常などが発生し、制御ライン12,14の少なくとも一方の電位が固定され、パルス信号が伝搬できなくなった場合には、必ず消灯モードが選択されることが保証されるため、光源202をオフすることができ、フェイルセーフ機能を高めることができる。
【0066】
制御部302は、第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2が両方、パルス信号であるとき、第1制御信号Sig1と第2制御信号Sig2のデューティ比の組み合わせにもとづいて、複数の点灯モードのひとつを選択する。第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2の周波数は一定であってもよく、たとえば200Hz程度とすることができる。
【0067】
制御部302は、第1制御信号Sig1のデューティ比が第1範囲(たとえば40〜80%)に含まれるとき第1点灯モードMODE1を選択し、第1制御信号Sig1のデューティ比が第2範囲(20〜40%)に含まれるとき第2点灯モードMODE2を選択する。
【0068】
点灯モードに応じて、アクチュエータ206の状態が変化する場合、制御部302は、ソレノイド駆動回路316に対して、モード毎に異なる制御指令を与える。
【0069】
一例として、第1点灯モードは
図1(a)を参照して説明した遠方照射モードであり、第2点灯モードは
図1(b)を参照して説明した路面マーキングモードである。以下、その場合を説明する。
【0070】
第2制御信号Sig2のデューティ比は、点灯モードとは別のパラメータの制御に利用することができる。たとえば第2点灯モードにおいて、第2制御信号Sig2のデューティ比が第1範囲(たとえば0〜20%)に含まれるとき、制御部302は光源202に駆動電流I
OUTを供給して点灯させ、第2制御信号Sig2のデューティ比が第2範囲(たとえば80〜100%)に含まれるとき、駆動電流I
OUTをゼロにして光源202を消灯してもよい。第1点灯モードでは、第2制御信号Sig2のデューティ比はマスクするとよい。
【0071】
つまり第2点灯モード(路面マーキングモード)において、第2制御信号Sig2のデューティ比を、第1範囲と第2範囲の間で交互に遷移させることにより、光源202を点滅させることができる。
【0072】
第1点灯モードにおいて、駆動部310は、光源202を、徐変点灯、徐変消灯してもよい。具体的には、点灯指令を受けると、駆動部310は駆動電流I
OUTを時間とともに緩やかに上昇させて輝度を緩やかに高めていき、反対に消灯指示を受けると、駆動部310は駆動電流I
OUTを時間とともに緩やかに低下させて輝度を緩やかに低下させてもよい。光源202の輝度変化を利用して高級感を演出できる。
【0073】
さらに駆動部310は、第1制御信号Sig1のデューティ比が、第1範囲と隣接する第3範囲(たとえば80〜100%)に含まれるとき、光源202を瞬時に消灯してもよい。第1点灯モード(遠方照射モード)では、ビームによる先行車や対向車の眩惑を防止するため、先行車を検出した場合には、徐変消灯ではなく、瞬時に光源202を消灯することが求められる。そこで、第1制御信号Sig1のデューティ比の一部の範囲を、瞬時消灯に割り当てることで、安全性をさらに高めることができる。
【0074】
さらに第3点灯モードMODE3を追加してもよく、第1制御信号Sig1のデューティ比が第4範囲(たとえば0〜20%)である場合に、第3点灯モードMODE3を選択してもよい。
【0075】
光源202は高輝度であるため、車両停車(あるいは低速走行中)に発光すると、周囲を強く眩惑する。したがってコントローラ104は、車速を監視し、車速が所定値以上の場合に限り、第1点灯モード(遠方照射モード)および第2点灯モード(路面マーキングモード)を選択するよう設計される。この場合、車両の停車時にメンテナンス等を目的として光源202を点灯させることができないという問題がある。そこで車両停車中においても光源202を点灯可能な第3点灯モード(メンテナンスモードという)MODE3を用意してもよい。これによりメンテナンスが可能となる。
【0076】
上述のように駆動部310は、第1点灯モードMODE1において、光源202を徐変点灯させるが、第3点灯モードMODE3において、第1点灯モードMODE1よりもさらに遅い速度で光源202を点灯させてもよい。
【0077】
異常検出回路212における光源202の異常検出には、応答遅れが存在する。輝度の上昇速度を遅くすることで、応答遅れの間の光源の輝度の上昇幅を小さくできるため、異常が生じていた場合に、より小さい輝度で光源を消灯できる。
【0078】
図7は、第1制御信号Sig1、第2制御信号Sig2と、複数のモードあるいは機能の対応関係を示す図である。
【0079】
図8(a)、(b)は、
図2の車両用灯具の第1点灯モードの動作波形図である。
図8(a)を参照する。時刻t
0より前において光源202は消灯している。時刻t
0に、50%のデューティ比の第1制御信号Sig1と第2制御信号Sig2を与えると、制御部302は第1点灯モードMODE1と判定する。この間、第2制御信号Sig2は非パルスであればよく、80〜100%である必要は無い。スイッチングコンバータ312は、駆動電流I
OUTを第1速度(たとえば0.8秒の時定数)で増加させる。これにより光源202がゆっくりと点灯し(徐変点灯)、急激な明るさの変化を抑制して、運転者や周囲を眩惑するのを防止するとともに、高級感が演出される。
【0080】
時刻t
1に、第1制御信号Sig1、第2制御信号Sig2の少なくとも一方が非パルスに変更されると、制御部302は消灯モードと判定し、出力電流I
OUTを第1速度で減少させ、光源202を徐変消灯する。
【0081】
図8(b)を参照する。時刻t
2より前において光源ユニット200は第1点灯モードで点灯している。時刻t
2に、前方車が検出されると、第1制御信号Sig1のデューティ比を90%に変更する。そうすると制御部302は、スイッチングコンバータ312の出力電流I
OUTを徐変消灯時より短い時間でゼロとする。これにより、光源202を瞬時に消灯させることができ、前方車の眩惑を防止できる。
【0082】
図9(a)、(b)は、
図2の車両用灯具の第2点灯モードの動作波形図である。
図9(a)を参照する。時刻t
0より前において光源202は消灯している。時刻t
0に、25%のデューティ比の第1制御信号Sig1と、90%のデューティ比の第2制御信号Sig2を与えると、制御部302は第2点灯モードMODE2と判定する。スイッチングコンバータ312は、駆動電流I
OUTを第1速度(たとえば0.8秒の時定数)より速い速度で増加させる。これにより光源202が瞬時に点灯し、路面に適切な図形情報が描画される。
【0083】
時刻t
1に、第1制御信号Sig1、第2制御信号Sig2の少なくとも一方が非パルスに変更されると、制御部302は消灯モードと判定する。そして出力電流I
OUTを第1速度より速い速度で減少させ、光源202を瞬時に消灯する。
【0084】
図9(b)を参照する。時刻t
2より前において光源ユニット200は第2点灯モードで点灯している。時刻t
2以降、第2制御信号Sig2のデューティ比が、所定の点滅周期(たとえば0.3秒)で、90%と10%の2値で変化する。これにより、光源202を点滅させることが可能となる。
【0085】
光源を点滅させるために、車両用灯具のオシレータを使用して、点滅制御のためのパルスを生成する方法も考えられる。ところがこの方式では、右の灯具と左の灯具の光源が非同期で点滅することとなる。ここで説明したように、第2制御信号Sig2に、点滅のための制御情報を重畳することにより、左右の灯具の点滅動作を同期させることが可能となる。
【0086】
図10は、制御部302の構成例を示すブロック図である。第1入力バッファ350、第2入力バッファ352はそれぞれ、第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2を受信する。第1パルス検出器354は、第1制御信号Sig1がパルス信号であるか、非パルス信号であるかを判定し、パルス信号であるとき第1レベル(たとえばハイ)、非パルス信号であるとき第2レベル(ロー)の第1判定信号S
31を生成する。すなわち第1パルス検出器354は、所定の周期(たとえば200Hz)で第1制御信号Sig1のエッジが入力されているか否かを判定する。
【0087】
調光回路370は、スイッチングコンバータ312の出力電流I
OUTの目標値I
REFを規定する信号V
SSを生成する。出力バッファ380は信号V
SSに応じて駆動電流I
OUTの目標値I
REFを生成する。
【0088】
調光回路370は、徐変点消灯回路を含み、第1点灯モードにおいて、点灯開始時には信号V
SSを緩やかに上昇させ、消灯時には信号V
SSを緩やかに低下させる。たとえば調光回路370は、キャパシタ372、充電回路374、放電回路376を含んでもよい。充電回路374、放電回路376は電流源のシンボルで示されるが、それらの構成は限定されず、抵抗やスイッチであってもよい。
【0089】
第1判定信号S
31は、それがローレベルであるときに、目標電流I
REFがゼロとなるように、制御部302の少なくともひとつのブロックに供給される。たとえば第1判定信号S
31は調光回路370に供給され、調光回路370は、第1判定信号S
31がローレベルとなると、信号V
SSをゼロとしてもよい。
【0090】
第2パルス検出器356は、第2制御信号Sig2がパルス信号であるか非パルス信号であるかを判定し、判定結果を示す判定信号S
32を生成する。判定信号S
32は、
図2の保護スイッチ318の制御に使用され、第2制御信号Sig2がパルス信号であるとき、判定信号S
32はハイレベルとなり、保護スイッチ318はオンとなる。第2制御信号Sig2が非パルス信号であるとき、判定信号S
32はローレベルとなり、保護スイッチ318はオフとなり、消灯モードが選択される。
【0091】
たとえばパルス検出器354、356は、再トリガ可能なワンショットマルチバイブレータで構成することができるがその限りではない。
【0092】
平滑回路358は、第1制御信号Sig1を平滑化するローパスフィルタであり、第1制御信号Sig1のデューティ比に応じた検出電圧V
DUTY1を生成する。平滑回路358は第1判定信号S
31に応じてオン、オフ可能に構成され、第1判定信号S
31がハイレベルであるとき、検出電圧V
DUTY1を生成し、ローレベルであるとき、検出電圧V
DUTY1をゼロとする。
【0093】
第1コンパレータCOMP1〜第3コンパレータCOMP3は、検出電圧V
DUTY1を、しきい値V
80%,V
40%,V
20%と比較し、第1制御信号Sig1のデューティ比が、0〜20%、20〜40%、40〜80%、80〜100%のいずれの範囲に含まれるか判定する。第1コンパレータCOMP1の出力S
41は、V
DUTY1>V
80%のときハイレベルとなる。第2コンパレータCOMP2の出力S
42は、V
DUTY1>V
40%のときハイレベルとなる。第3コンパレータCOMP3は逆論理であり、その出力S
43は、V
DUTY1<V
20%のときハイレベルとなる。
【0094】
以下、第1制御信号Sig1のデューティ比Dutyの範囲ごとに、制御部302の動作を説明する。
【0095】
(1)0%<Duty≦20% (第3点灯モード)
この場合、第3コンパレータCOMP3の出力信号S
43がハイレベルとなる。信号S
43は調光回路370の充電回路374に作用し、キャパシタ372への充電電流量を減少させる。これにより、電圧V
SSの上昇速度が遅くなる。
【0096】
(2)20%<Duty≦40% (第2点灯モード)
第2コンパレータCOMP2、第3コンパレータCOMP3の出力信号S
42,S
43が両方、ローレベルとなる。論理ゲート364は、信号S
42,S
43が両方ローレベルとなると、第1スイッチ362をオンする。論理ゲート364はNORゲートであってもよい。
【0097】
フィルタ360は、第2入力バッファ352の出力をなまらせる。フィルタ360の出力は、抵抗R
61を介してバッファ380の入力に作用する。第2制御信号Sig2のデューティ比が80%以上の一定値であるとき、フィルタ360の出力はハイレベルとなる。この状態では、フィルタ360の出力はバッファ380の入力に影響を与えず、目標値I
REFは、調光回路370の出力V
SSが支配的となる。
【0098】
第2制御信号Sig2のデューティ比が20%以下の一定値であるとき、フィルタ360の出力はローレベルとなる。R
61<R
62が成り立っており、バッファ380の入力電圧は、調光回路370の出力信号V
SSよりも、ローレベルであるフィルタ360の出力の方が優先されるようになっている。その結果、バッファ380の出力である目標値I
REFがゼロとなって光源202が消灯する。
【0099】
第2制御信号Sig2のデューティ比を所定の周期で、Duty1(<20%)とDuty2(>80%)で変化させると、フィルタ360の出力は、ローレベルとハイレベルを緩やかに往復する。その結果、光源202を点滅させることができる。
【0100】
(3)40%<Duty≦80% (第1点灯モード)
第2コンパレータCOMP2の出力S
42がハイレベルとなる。これにより、ソレノイド駆動回路316がアクティブとなり、アクチュエータ206が通電状態となり、第1点灯モードとなる。
【0101】
(4)80%<Duty (瞬時消灯)
第1コンパレータCOMP1の出力S
41がハイレベルとなる。これにより第2スイッチ378がオンとなり、調光回路370の出力V
SSが瞬時にゼロとなり、光源202が消灯する。
【0102】
図10において、フィルタ360の出力は点滅周期信号であり、
図5,
図6の点消灯指示信号S
3に対応付けることができる。また
図10において、論理ゲート364の出力は、路面マーキングモード設定信号であり、
図5,
図6のモード制御信号に対応付けることができる。
【0103】
当業者によれば、制御部302の構成が
図10のそれに限定されず、さまざまな変形例が存在することが理解される。たとえば制御部302をデジタル回路で構成してもよいし、あるいはソフトウェア制御により同じ機能を実現してもよい。
【0104】
以上、本発明について実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0105】
複数の点灯モードの組み合わせは、実施の形態で説明したそれに限定されない。ロービーム用や通常ハイビーム用の光源ユニットについて、複数の点灯モードが存在する場合、その制御に上述の技術を適用できる。
【0106】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。