特許第6865633号(P6865633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865633
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/20 20200101AFI20210419BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20210419BHJP
   B60Q 1/26 20060101ALI20210419BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20210419BHJP
   B60Q 11/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H05B47/20
   B60Q1/04 Z
   B60Q1/26 Z
   F21V9/30
   B60Q11/00 610B
   B60Q11/00 610Z
   B60Q11/00 620A
   B60Q1/04 E
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-98230(P2017-98230)
(22)【出願日】2017年5月17日
(65)【公開番号】特開2018-195448(P2018-195448A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】市川 知幸
(72)【発明者】
【氏名】菊池 賢
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−199145(JP,A)
【文献】 特開2016−163461(JP,A)
【文献】 特開2009−284721(JP,A)
【文献】 特開2016−058370(JP,A)
【文献】 特開2016−002974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00 − 45/58
H05B 47/00 − 47/29
B60Q 1/00 − 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点滅させる駆動部と、
前記光源の点灯中に、異常状態を示唆する所定の状態が検出される間、異常検出信号をアサートする異常検出回路と、
(i)前記光源の点灯中に前記異常検出信号がアサートされる間、計時を進め、前記異常検出信号がネゲートされると計時をリセットし、(ii)前記光源の消灯中に、直前の点灯期間において計時した時間を保持し、(iii)計時した時間が所定の判定時間に達すると、フェイル信号をアサートするタイマー回路と、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光源は、
励起光を出射する半導体光源と、
前記励起光により励起されて蛍光を発する蛍光体と、
を含み、前記励起光と前記蛍光のスペクトルを含む白色の出力光を生成するよう構成され、
前記異常状態は、前記励起光の漏光であることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記タイマー回路は、
キャパシタと、
前記光源の点灯中に前記異常検出信号がアサートされる間、前記キャパシタを充電し、前記光源の点灯中に前記異常検出信号がネゲートされると、前記キャパシタを放電する充放電回路と、
前記キャパシタの電圧を所定のしきい値と比較するコンパレータと、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記異常検出回路は、
クロック入力端子とクリア端子を有するカウンタと、
前記光源の点灯中に前記異常検出信号がアサートされる間、前記クロック入力端子にクロック信号を供給し、前記光源の点灯中に前記所定の状態が検出されないとき、前記クリア端子にクリア信号を供給するカウンタコントローラと、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源は路面マーキング用であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光源は、路面マーキング用と遠方照射ハイビームで兼用されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用灯具に、高輝度なLD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)などの半導体光源が利用される。高輝度光源を利用することで、視認性ひいては安全性を高めることが可能な配光パターンを形成することができる。
【0003】
図1(a)、(b)は、高輝度光源を利用した配光パターンの一例を示す図である。レーザなどの指向性が高いビームを利用することで、遠方の局所的な領域700を明るくすることが可能となる。高速走行時において、ロービームおよびハイビームそれぞれの照射領域702、照射領域704に加えて、遠方照射領域700を照らすことで、視認性を高めることができる(遠方照射ハイビームや追加ハイビームと称する)。
【0004】
図1(b)は、高輝度光源を利用した配光パターンの別の例を示す図である。高輝度光源を利用することで、路面710に形状や文字などの図形情報712を、ロービームの照射領域702よりも高い照度で描画することが可能となる(路面マーキング)。図形情報712は、運転者に注意喚起を目的として、歩行者720の位置を示すものであってもよいし、歩行者720に車両の接近を知らせるものであってもよい。そのほか、図形情報712によって、車両が走行すべきラインをトレースしたり、ナビ情報にもとづいて交差点や分岐路において進行方向を示してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−233305号公報
【特許文献2】特開2016−058370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、このような車両用灯具について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
【0007】
遠方照射ハイビームや路面マーキングやに使用される高輝度光源に異常が発生すると、周囲を眩惑することとなる。そこで高輝度光源の異常の有無を監視する異常検出回路を設け、異常状態を検出すると、適切な保護処理を行うことが望ましい。
【0008】
ノイズにより異常状態を誤検知するのを防止するため、異常検出回路は、異常状態を示唆する所定の状態の持続時間をタイマー回路によって測定し、所定の判定時間、持続した場合に、異常状態と判定する。高輝度光源による眩惑を防止するという観点から、判定時間は、人がまぶしさを感じて目を閉じるのに要する反応時間(〜250ms)より短く設定することが好ましくたとえば判定時間を200msに設定したとする。
【0009】
異常検出回路は、上述の高輝度光源の異常状態を示唆する所定の状態を、高輝度光源の点灯中においてのみ高精度に検出可能であるとする。消灯期間中において、検出精度が低下する場合、所定の状態が発生していないにもかかわらず、所定の状態が発生しているものと誤判定するおそれがある。この問題は、高輝度光源の消灯期間中、所定の状態が生じていないものと強制的に判定させ、タイマー回路をリセットすることで解決できる。
【0010】
ところが路面マーキングでは、より強い注意喚起のために、路面に描画する図形情報712を点滅させることが有効である。この点滅を数Hzで行ったとすると、点灯時間TONが判定時間(200ms)より短くなる状況が生ずる。たとえば4Hzで点滅させる場合、点灯時間、消灯時間はそれぞれ125msとなる。この場合、高輝度光源に異常が発生したとしても、消灯期間の間にタイマー回路のリセットが繰り返されるため、保護処理を行うことができない。
【0011】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、光源を点滅させる際にも、異常を検出可能な点灯回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある態様は、車両用灯具に関する。車両用灯具は、光源と、光源を点滅させる駆動部と、光源の点灯中に、異常状態を示唆する所定の状態が検出される間、異常検出信号をアサートする異常検出回路と、(i)光源の点灯中に異常検出信号がアサートされる間、計時を進め、異常検出信号がネゲートされると計時をリセットし、(ii)光源の消灯中に、直前の点灯期間において計時した時間を保持し、(iii)計時した時間が所定の判定時間に達すると、フェイル信号をアサートするタイマー回路と、を備える。
【0013】
この態様によると、点灯時間が判定時間より短い状況においても、異常状態を確実に検出できる。
【0014】
光源は、励起光を出射する半導体光源と、励起光により励起されて蛍光を発する蛍光体と、を含み、励起光と蛍光のスペクトルを含む白色の出力光を生成するよう構成されてもよい。異常状態は、励起光の漏光であってもよい。
【0015】
異常状態は、光源のショート、オープン、駆動部の出力のオープン、ショートのいずれかであってもよい。
【0016】
駆動部は、フェイル信号がアサートされると、光源への通電を停止してもよい。これにより光源をすみやかに発光停止できる。
【0017】
タイマー回路は、キャパシタと、光源の点灯中に異常検出信号がアサートされる間、キャパシタを充電し、光源の点灯中に異常検出信号がネゲートされると、キャパシタを放電する充放電回路と、キャパシタの電圧を所定のしきい値と比較するコンパレータと、を含んでもよい。
これによりコンパレータの出力にもとづいてフェイル信号を生成できる。
【0018】
異常検出回路は、クロック入力端子とクリア端子を有するカウンタと、光源の点灯中に異常検出信号がアサートされる間、クロック入力端子にクロック信号を供給し、光源の点灯中に異常検出がネゲートされると、クリア端子にクリア信号を供給するカウンタコントローラと、を含んでもよい。
これによりカウンタの状態に応じてフェイル信号を生成できる。
【0019】
光源は路面マーキング用であってもよい。
【0020】
光源は、路面マーキング用と遠方照射ハイビームで兼用されてもよい。遠方照射ハイビームとして光源を連続点灯させる場合の異常状態も検出できる。
【0021】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0022】
さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明のある態様によれば、光源を点滅させる際にも、異常を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1(a)、(b)は、高輝度光源を利用した配光パターンの一例を示す図である。
図2】実施の形態に係る灯具システムのブロック図である。
図3】光源ユニットの構成例を示す断面図である。
図4】車両用灯具による異常検出動作を説明する図である。
図5】タイマー回路の構成例を示す回路図である。
図6】タイマー回路の別の構成例を示す回路図である。
図7】第1制御信号Sig1、第2制御信号Sig2と、複数のモードあるいは機能の対応関係を示す図である。
図8図8(a)、(b)は、図2の車両用灯具の第1点灯モードの動作波形図である。
図9図9(a)、(b)は、図2の車両用灯具の第2点灯モードの動作波形図である。
図10】制御部の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0026】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0027】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0028】
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
【0029】
本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0030】
図2は、実施の形態に係る灯具システムのブロック図である。灯具システム1は、バッテリ2、車両ECU(Electronic Control Unit)4および車両用灯具10を備える。車両用灯具10は、図1(a)、(b)に示した、追加ハイビームと、路面マーキングの機能を提供する。図2には、これらの機能に関連する機能ブロックのみが示されており、ロービームおよびハイビームに関する機能ブロックは省略される。
【0031】
車両用灯具10は、灯具ECU100、光源ユニット200、点灯回路300を備える。灯具ECU100は主としてスイッチ102およびコントローラ104を備える。コントローラ104は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのネットワーク6を介して、車両ECU4と接続される。コントローラ104は、CPUやマイクロコントローラなどであり、車両ECU4からの、点消灯指示、車速情報、カメラ情報などを受信し、受信した信号にもとづいて、スイッチ102および光源ユニット200を制御する。
【0032】
スイッチ102は、バッテリ2から点灯回路300への電源電圧(バッテリ電圧VBAT)の供給経路上に設けられる。コントローラ104は、車両ECU4からのオン指令を受けると、スイッチ102をオンする。
【0033】
光源ユニット200は、光源202、冷却ファン204、アクチュエータ206、スリット208、温度検出素子210、異常検出回路212、タイマー回路214を備える。光源202は、レーザダイオードやLEDなどの半導体光源である。冷却ファン204は、光源202を空冷する。温度検出素子210はサーミスタや熱電対などであり、光源202の温度を検出する。
【0034】
灯具ECU100は複数の点灯モードをサポートする。本実施の形態では、点灯モードは、アクチュエータ206の状態に応じて切りかえ可能である。たとえばアクチュエータ206には、スリット208が取り付けられており、スリット208の位置に応じて、複数の点灯モードが切り替え可能であってもよい。あるいはアクチュエータ206によって、光源202や、図示しない光学系のレンズやミラーなどの位置や傾きを制御して、複数の点灯モードを切りかえてもよい。
【0035】
点灯モードのひとつは、光源202の点滅を伴っており、たとえば路面マーキングである。点灯モードの別のひとつは、たとえば遠方照射ハイビームである。
【0036】
点灯回路300は、制御部302および駆動部310を備える。制御部302は、コントローラ104からの制御信号Sig1,Sig2にもとづいて、駆動部310を制御する。また制御部302は、光源ユニット200や点灯回路300の診断結果(異常の有無)を示す診断信号DIAGをコントローラ104に出力する。
【0037】
駆動部310は、スイッチングコンバータ312、ファンコントローラ314、ソレノイド駆動回路316、保護スイッチ318を備える。スイッチングコンバータ312は、定電流出力を有し、目標電流IREFに安定化された駆動電流IOUTを発生し、光源202に供給する。ファンコントローラ314は、冷却ファン204を駆動する。たとえばアクチュエータ206はソレノイドアクチュエータであり、ソレノイド駆動回路(アクチュエータ駆動回路)316は、アクチュエータ206を駆動する。保護スイッチ318は、駆動電流IOUTの経路上に設けられ、異常が検出されると、ターンオフする。
【0038】
車両用灯具10は、フェイルセーフ機能を備える。フェイルセーフ機能に関連して、異常検出回路212、タイマー回路214が設けられる。異常検出回路212は、車両用灯具10において生ずる異常状態を監視する。異常検出回路212は、光源202の点灯中に、異常状態を示唆する所定の状態が検出される間、異常検出信号Sをアサートする。
【0039】
たとえば光源202は、青色レーザと蛍光体を備える白色光源であってもよい。青色レーザの出射光(励起光)は蛍光体に入射し、蛍光体が発生する黄色い光と合成されて白色光が生成される。
【0040】
正常時は、青色レーザは蛍光体によって散乱される。一方、蛍光体が青色レーザの光軸から外れると、あるいは経年変化の影響が顕著になると、生の青色レーザ光が散乱されずにそのまま出射することとなり(漏光異常という)、周囲を眩惑するおそれがある。異常検出回路212は、漏光異常を監視してもよい。そのほか異常検出回路212は、光源202の光軸の異常などを検出してもよい。
【0041】
異常検出回路212は検出対象の異常を検出しやすい箇所に設ければよく、漏光異常が検出対象である場合、光源ユニット200に設けることが好ましいといえる。異常検出回路212の構成は特に限定されないが、たとえば特開2016−058370号公報に記載の回路を用いることができる。
【0042】
タイマー回路214は、異常検出回路212が生成する異常検出信号Sにもとづいて、フェイル信号Sを生成する。タイマー回路214は、(i)光源202の点灯中に異常検出信号Sがアサートされる間、計時を進め、異常検出信号Sがネゲートされると計時をリセットする。またタイマー回路214は、(ii)光源202の消灯中に、直前の点灯期間において計時した時間を保持する。またタイマー回路214は、(iii)計時した時間が所定の判定時間Tに達すると、フェイル信号Sをアサートする。タイマー回路214は、光源ユニット200に設けてもよいし、点灯回路300側に制御部302の一部として構成してもよい。
【0043】
図3は、光源ユニット200の構成例を示す断面図である。ミラー220およびレンズ222は、光源202の出射光を反射、集光し、出射光の拡散角や光軸などを調節する。スリット208は、ミラー220とレンズ222の間に設けられる。アクチュエータ206は、スリット208の位置を、図3の208A,208Bの位置で変化させる。たとえばアクチュエータ206の非通電状態においてスリット208の位置は208Aであり、このときミラー220の反射光がスリット208を通過することにより、路面マーキングに適した配光パターンが形成される。アクチュエータ206のソレノイドに電流が供給されると(通電状態)、スリット208の位置が208Bに変化し、スリット208は光には作用せず、遠方照射ハイビームの配光が形成される。
【0044】
図4は、車両用灯具10による異常検出動作を説明する図である。車両用灯具10は、光源202を点滅させる点灯モード(たとえば路面マーキング)で動作しており、光源202は所定の周期で点灯期間TONと消灯期間TOFFを繰り返す。
【0045】
時刻t〜tの間、ノイズの影響により、漏光異常が生じていないにもかかわらず、異常検出信号Sがアサート(ここではハイレベルとして示す)される。タイマー回路214は、異常検出信号Sがアサートされる期間を計時する。時刻tに異常検出信号Sがネゲート(ローレベル)されると、計時時間Tはゼロにリセットされる。
【0046】
時刻tに、光源202に漏光異常が発生すると、異常検出回路212が異常検出信号Sをアサートする。タイマー回路214は、点灯期間TON中に異常検出信号Sがアサートされる間、計時を進め、計時時間Tが増大する。
【0047】
時刻t〜tの消灯期間において、計時時間Tは、直前の点灯期間の最終的な値τが維持される。消灯期間における異常検出信号Sの状態はアサートであるとネゲートであるとを問わない。
【0048】
時刻tに次の点灯期間が開始すると、タイマー回路214は、保持しておいた計時時間τから計時を再開する。時刻t〜tの消灯期間の間、計時時間T=τ+τが保持される。時刻tに次の点灯期間が開始すると、タイマー回路214は、保持しておいた計時時間τ+τから計時を再開する。そして時刻tに計時時間Tが判定しきい値Tに達すると、フェイル信号Sがアサートされ、光源202の駆動が停止し、発光が停止する。
【0049】
以上が車両用灯具10の動作である。この車両用灯具10によれば、光源202を点滅させている最中に異常が発生しても、確実に異常を検知し、光源202の発光を停止できる。また、正常時にノイズによって異常検出信号Sが誤ってアサートされた場合には、フェイル信号Sが誤ってアサートされず、光源202の発光を維持できる。
【0050】
図5は、タイマー回路214の構成例(214A)を示す回路図である。タイマー回路214Aは、キャパシタC、充放電回路216、コンパレータ215を含む。
【0051】
キャパシタCは一端が接地される。充放電回路216は、光源202の点灯中に異常検出信号Sがアサート(この例ではローレベル)される間、キャパシタCを充電し、光源202の点灯中に異常検出信号Sがネゲート(この例ではハイレベル)されると、キャパシタCを放電する。
【0052】
充放電回路216は、充電抵抗R、充電スイッチSW、放電スイッチSW、リセットスイッチSW、インバータ217A、NANDゲート217Bを含む。点消灯指示信号Sは、点灯期間にハイレベル(H)、消灯期間にローレベル(L)である。モード制御信号Sは、路面マーキングモードが有効であるときハイレベル、無効であるときローレベルである。インバータ217Aは点消灯指示信号Sを反転する。NANDゲート217Bは、モード制御信号Sとインバータ217Aの出力の否定論理積を生成する。充電スイッチSWは、電源ラインVDDとキャパシタCの間に、充電抵抗Rと直列に設けられる。充電スイッチSWは、NANDゲート217Bの出力がハイレベルのときオン、ローレベルのときオフとなる。これにより路面マーキングモードが有効であるときに、点灯期間が発生すると、キャパシタCが充電可能な状態となる。
【0053】
放電スイッチSWは、一端が接地され、他端が充電抵抗Rと充電スイッチSWの接続ノードと接続される。放電スイッチSWは、異常検出信号Sがハイレベルのとき、すなわち正常であるときオンであり、キャパシタCは充電されない。異常検出信号Sがローレベルのとき、すなわち異常を示唆する所定状態において、放電スイッチSWがオフとなり、キャパシタCが、充電スイッチSWおよび抵抗Rを介して充電される。リセットスイッチSWは、パワーオンリセット信号に応答してオンとなり、キャパシタCの電荷を放電する。なお充放電回路216の構成は図4のそれに限定されない。
【0054】
コンパレータ215は、キャパシタCの電圧VC1を所定のしきい値VTHと比較する。コンパレータ215の出力はフェイル信号Sに対応しており、VC1>VTHとなると、ローレベルとなる。しきい値電圧VTHは、電源電圧を抵抗分圧して生成してもよい。
【0055】
このタイマー回路214では、キャパシタCの電圧VC1が計時時間Tに、しきい値電圧VTHが判定しきい値Tに対応する。
【0056】
図6は、タイマー回路214の別の構成例(214B)を示す回路図である。タイマー回路214Bは、カウンタ218およびカウンタコントローラ219を含む。カウンタ218は、クロック入力端子(CK)とクリア端子(CLR)を有する。この例ではカウンタ218は6ビットである。
【0057】
カウンタコントローラ219は、光源202の点灯中に異常検出信号Sがアサートされる間、カウンタ218のクロック入力端子(CK)にクロック信号CLKを供給する。また光源202の点灯中に異常検出信号Sがネゲートされると、カウンタ218のクリア端子(CLR)にハイレベルのクリア信号Sを供給する。
【0058】
タイマー回路214Bは、カウンタ218の最上位ビットQ6に1がたつと、フェイル信号Sをアサート(この例ではローレベル)する。
【0059】
カウンタコントローラ219の構成は特に限定されず、上述の機能が実現できるように組み合わせ回路で構成すればよい。インバータ217AとNANDゲート217Bは、図5のそれらと対応する。インバータ217Dは、カウンタ218のカウント値の最上位ビットQ6を反転する。ANDゲート217Eは、マスク回路であり、Q6がローであり、かつNANDゲート217Bの出力がハイレベルであるときに、クロック信号CLKを通過させ、それ以外の場合にはクロック信号CLKをマスクする。ORゲート217Cは、異常検出信号Sとパワーオンリセット信号PORの論理和を生成し、カウンタ218のクリア端子に供給する。
【0060】
このタイマー回路214Bによれば、カウンタ218の状態(最上位ビット)に応じてフェイル信号Sを生成できる。
【0061】
異常検出回路212の監視対象の異常は、漏光異常に限定されない。たとえば異常検出回路212は、光源202のショート異常、オープン異常、駆動部310の過電圧異常、過電流異常などを検出対象としてもよい。
【0062】
図2に戻る。続いて、制御部302とコントローラ104とのインタフェースについて説明する。制御部302は、2本の制御ライン12,14を介して第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2を受け、第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2にもとづいて、消灯モードおよび複数の点灯モードのうちひとつを選択する。駆動部310は、制御部302が選択したモードにしたがい、光源ユニット200を駆動する。
【0063】
これにより、点灯モードの個数にかかわらず2本の制御ライン12,14で複数のモードを選択できる。
【0064】
制御部302は、第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2の少なくとも一方が非パルス信号であるとき、消灯モードを選択する。消灯モードでは、スイッチングコンバータ312の目標電流IREFがゼロにセットされ、駆動電流IOUTがゼロとなる。消灯モードにおいて、保護スイッチ318をオフしてもよい。
【0065】
制御ライン12,14に地絡や天絡、コントローラ104の出力インタフェースの異常などが発生し、制御ライン12,14の少なくとも一方の電位が固定され、パルス信号が伝搬できなくなった場合には、必ず消灯モードが選択されることが保証されるため、光源202をオフすることができ、フェイルセーフ機能を高めることができる。
【0066】
制御部302は、第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2が両方、パルス信号であるとき、第1制御信号Sig1と第2制御信号Sig2のデューティ比の組み合わせにもとづいて、複数の点灯モードのひとつを選択する。第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2の周波数は一定であってもよく、たとえば200Hz程度とすることができる。
【0067】
制御部302は、第1制御信号Sig1のデューティ比が第1範囲(たとえば40〜80%)に含まれるとき第1点灯モードMODE1を選択し、第1制御信号Sig1のデューティ比が第2範囲(20〜40%)に含まれるとき第2点灯モードMODE2を選択する。
【0068】
点灯モードに応じて、アクチュエータ206の状態が変化する場合、制御部302は、ソレノイド駆動回路316に対して、モード毎に異なる制御指令を与える。
【0069】
一例として、第1点灯モードは図1(a)を参照して説明した遠方照射モードであり、第2点灯モードは図1(b)を参照して説明した路面マーキングモードである。以下、その場合を説明する。
【0070】
第2制御信号Sig2のデューティ比は、点灯モードとは別のパラメータの制御に利用することができる。たとえば第2点灯モードにおいて、第2制御信号Sig2のデューティ比が第1範囲(たとえば0〜20%)に含まれるとき、制御部302は光源202に駆動電流IOUTを供給して点灯させ、第2制御信号Sig2のデューティ比が第2範囲(たとえば80〜100%)に含まれるとき、駆動電流IOUTをゼロにして光源202を消灯してもよい。第1点灯モードでは、第2制御信号Sig2のデューティ比はマスクするとよい。
【0071】
つまり第2点灯モード(路面マーキングモード)において、第2制御信号Sig2のデューティ比を、第1範囲と第2範囲の間で交互に遷移させることにより、光源202を点滅させることができる。
【0072】
第1点灯モードにおいて、駆動部310は、光源202を、徐変点灯、徐変消灯してもよい。具体的には、点灯指令を受けると、駆動部310は駆動電流IOUTを時間とともに緩やかに上昇させて輝度を緩やかに高めていき、反対に消灯指示を受けると、駆動部310は駆動電流IOUTを時間とともに緩やかに低下させて輝度を緩やかに低下させてもよい。光源202の輝度変化を利用して高級感を演出できる。
【0073】
さらに駆動部310は、第1制御信号Sig1のデューティ比が、第1範囲と隣接する第3範囲(たとえば80〜100%)に含まれるとき、光源202を瞬時に消灯してもよい。第1点灯モード(遠方照射モード)では、ビームによる先行車や対向車の眩惑を防止するため、先行車を検出した場合には、徐変消灯ではなく、瞬時に光源202を消灯することが求められる。そこで、第1制御信号Sig1のデューティ比の一部の範囲を、瞬時消灯に割り当てることで、安全性をさらに高めることができる。
【0074】
さらに第3点灯モードMODE3を追加してもよく、第1制御信号Sig1のデューティ比が第4範囲(たとえば0〜20%)である場合に、第3点灯モードMODE3を選択してもよい。
【0075】
光源202は高輝度であるため、車両停車(あるいは低速走行中)に発光すると、周囲を強く眩惑する。したがってコントローラ104は、車速を監視し、車速が所定値以上の場合に限り、第1点灯モード(遠方照射モード)および第2点灯モード(路面マーキングモード)を選択するよう設計される。この場合、車両の停車時にメンテナンス等を目的として光源202を点灯させることができないという問題がある。そこで車両停車中においても光源202を点灯可能な第3点灯モード(メンテナンスモードという)MODE3を用意してもよい。これによりメンテナンスが可能となる。
【0076】
上述のように駆動部310は、第1点灯モードMODE1において、光源202を徐変点灯させるが、第3点灯モードMODE3において、第1点灯モードMODE1よりもさらに遅い速度で光源202を点灯させてもよい。
【0077】
異常検出回路212における光源202の異常検出には、応答遅れが存在する。輝度の上昇速度を遅くすることで、応答遅れの間の光源の輝度の上昇幅を小さくできるため、異常が生じていた場合に、より小さい輝度で光源を消灯できる。
【0078】
図7は、第1制御信号Sig1、第2制御信号Sig2と、複数のモードあるいは機能の対応関係を示す図である。
【0079】
図8(a)、(b)は、図2の車両用灯具の第1点灯モードの動作波形図である。図8(a)を参照する。時刻tより前において光源202は消灯している。時刻tに、50%のデューティ比の第1制御信号Sig1と第2制御信号Sig2を与えると、制御部302は第1点灯モードMODE1と判定する。この間、第2制御信号Sig2は非パルスであればよく、80〜100%である必要は無い。スイッチングコンバータ312は、駆動電流IOUTを第1速度(たとえば0.8秒の時定数)で増加させる。これにより光源202がゆっくりと点灯し(徐変点灯)、急激な明るさの変化を抑制して、運転者や周囲を眩惑するのを防止するとともに、高級感が演出される。
【0080】
時刻tに、第1制御信号Sig1、第2制御信号Sig2の少なくとも一方が非パルスに変更されると、制御部302は消灯モードと判定し、出力電流IOUTを第1速度で減少させ、光源202を徐変消灯する。
【0081】
図8(b)を参照する。時刻tより前において光源ユニット200は第1点灯モードで点灯している。時刻tに、前方車が検出されると、第1制御信号Sig1のデューティ比を90%に変更する。そうすると制御部302は、スイッチングコンバータ312の出力電流IOUTを徐変消灯時より短い時間でゼロとする。これにより、光源202を瞬時に消灯させることができ、前方車の眩惑を防止できる。
【0082】
図9(a)、(b)は、図2の車両用灯具の第2点灯モードの動作波形図である。図9(a)を参照する。時刻tより前において光源202は消灯している。時刻tに、25%のデューティ比の第1制御信号Sig1と、90%のデューティ比の第2制御信号Sig2を与えると、制御部302は第2点灯モードMODE2と判定する。スイッチングコンバータ312は、駆動電流IOUTを第1速度(たとえば0.8秒の時定数)より速い速度で増加させる。これにより光源202が瞬時に点灯し、路面に適切な図形情報が描画される。
【0083】
時刻tに、第1制御信号Sig1、第2制御信号Sig2の少なくとも一方が非パルスに変更されると、制御部302は消灯モードと判定する。そして出力電流IOUTを第1速度より速い速度で減少させ、光源202を瞬時に消灯する。
【0084】
図9(b)を参照する。時刻tより前において光源ユニット200は第2点灯モードで点灯している。時刻t以降、第2制御信号Sig2のデューティ比が、所定の点滅周期(たとえば0.3秒)で、90%と10%の2値で変化する。これにより、光源202を点滅させることが可能となる。
【0085】
光源を点滅させるために、車両用灯具のオシレータを使用して、点滅制御のためのパルスを生成する方法も考えられる。ところがこの方式では、右の灯具と左の灯具の光源が非同期で点滅することとなる。ここで説明したように、第2制御信号Sig2に、点滅のための制御情報を重畳することにより、左右の灯具の点滅動作を同期させることが可能となる。
【0086】
図10は、制御部302の構成例を示すブロック図である。第1入力バッファ350、第2入力バッファ352はそれぞれ、第1制御信号Sig1および第2制御信号Sig2を受信する。第1パルス検出器354は、第1制御信号Sig1がパルス信号であるか、非パルス信号であるかを判定し、パルス信号であるとき第1レベル(たとえばハイ)、非パルス信号であるとき第2レベル(ロー)の第1判定信号S31を生成する。すなわち第1パルス検出器354は、所定の周期(たとえば200Hz)で第1制御信号Sig1のエッジが入力されているか否かを判定する。
【0087】
調光回路370は、スイッチングコンバータ312の出力電流IOUTの目標値IREFを規定する信号VSSを生成する。出力バッファ380は信号VSSに応じて駆動電流IOUTの目標値IREFを生成する。
【0088】
調光回路370は、徐変点消灯回路を含み、第1点灯モードにおいて、点灯開始時には信号VSSを緩やかに上昇させ、消灯時には信号VSSを緩やかに低下させる。たとえば調光回路370は、キャパシタ372、充電回路374、放電回路376を含んでもよい。充電回路374、放電回路376は電流源のシンボルで示されるが、それらの構成は限定されず、抵抗やスイッチであってもよい。
【0089】
第1判定信号S31は、それがローレベルであるときに、目標電流IREFがゼロとなるように、制御部302の少なくともひとつのブロックに供給される。たとえば第1判定信号S31は調光回路370に供給され、調光回路370は、第1判定信号S31がローレベルとなると、信号VSSをゼロとしてもよい。
【0090】
第2パルス検出器356は、第2制御信号Sig2がパルス信号であるか非パルス信号であるかを判定し、判定結果を示す判定信号S32を生成する。判定信号S32は、図2の保護スイッチ318の制御に使用され、第2制御信号Sig2がパルス信号であるとき、判定信号S32はハイレベルとなり、保護スイッチ318はオンとなる。第2制御信号Sig2が非パルス信号であるとき、判定信号S32はローレベルとなり、保護スイッチ318はオフとなり、消灯モードが選択される。
【0091】
たとえばパルス検出器354、356は、再トリガ可能なワンショットマルチバイブレータで構成することができるがその限りではない。
【0092】
平滑回路358は、第1制御信号Sig1を平滑化するローパスフィルタであり、第1制御信号Sig1のデューティ比に応じた検出電圧VDUTY1を生成する。平滑回路358は第1判定信号S31に応じてオン、オフ可能に構成され、第1判定信号S31がハイレベルであるとき、検出電圧VDUTY1を生成し、ローレベルであるとき、検出電圧VDUTY1をゼロとする。
【0093】
第1コンパレータCOMP1〜第3コンパレータCOMP3は、検出電圧VDUTY1を、しきい値V80%,V40%,V20%と比較し、第1制御信号Sig1のデューティ比が、0〜20%、20〜40%、40〜80%、80〜100%のいずれの範囲に含まれるか判定する。第1コンパレータCOMP1の出力S41は、VDUTY1>V80%のときハイレベルとなる。第2コンパレータCOMP2の出力S42は、VDUTY1>V40%のときハイレベルとなる。第3コンパレータCOMP3は逆論理であり、その出力S43は、VDUTY1<V20%のときハイレベルとなる。
【0094】
以下、第1制御信号Sig1のデューティ比Dutyの範囲ごとに、制御部302の動作を説明する。
【0095】
(1)0%<Duty≦20% (第3点灯モード)
この場合、第3コンパレータCOMP3の出力信号S43がハイレベルとなる。信号S43は調光回路370の充電回路374に作用し、キャパシタ372への充電電流量を減少させる。これにより、電圧VSSの上昇速度が遅くなる。
【0096】
(2)20%<Duty≦40% (第2点灯モード)
第2コンパレータCOMP2、第3コンパレータCOMP3の出力信号S42,S43が両方、ローレベルとなる。論理ゲート364は、信号S42,S43が両方ローレベルとなると、第1スイッチ362をオンする。論理ゲート364はNORゲートであってもよい。
【0097】
フィルタ360は、第2入力バッファ352の出力をなまらせる。フィルタ360の出力は、抵抗R61を介してバッファ380の入力に作用する。第2制御信号Sig2のデューティ比が80%以上の一定値であるとき、フィルタ360の出力はハイレベルとなる。この状態では、フィルタ360の出力はバッファ380の入力に影響を与えず、目標値IREFは、調光回路370の出力VSSが支配的となる。
【0098】
第2制御信号Sig2のデューティ比が20%以下の一定値であるとき、フィルタ360の出力はローレベルとなる。R61<R62が成り立っており、バッファ380の入力電圧は、調光回路370の出力信号VSSよりも、ローレベルであるフィルタ360の出力の方が優先されるようになっている。その結果、バッファ380の出力である目標値IREFがゼロとなって光源202が消灯する。
【0099】
第2制御信号Sig2のデューティ比を所定の周期で、Duty1(<20%)とDuty2(>80%)で変化させると、フィルタ360の出力は、ローレベルとハイレベルを緩やかに往復する。その結果、光源202を点滅させることができる。
【0100】
(3)40%<Duty≦80% (第1点灯モード)
第2コンパレータCOMP2の出力S42がハイレベルとなる。これにより、ソレノイド駆動回路316がアクティブとなり、アクチュエータ206が通電状態となり、第1点灯モードとなる。
【0101】
(4)80%<Duty (瞬時消灯)
第1コンパレータCOMP1の出力S41がハイレベルとなる。これにより第2スイッチ378がオンとなり、調光回路370の出力VSSが瞬時にゼロとなり、光源202が消灯する。
【0102】
図10において、フィルタ360の出力は点滅周期信号であり、図5図6の点消灯指示信号Sに対応付けることができる。また図10において、論理ゲート364の出力は、路面マーキングモード設定信号であり、図5図6のモード制御信号に対応付けることができる。
【0103】
当業者によれば、制御部302の構成が図10のそれに限定されず、さまざまな変形例が存在することが理解される。たとえば制御部302をデジタル回路で構成してもよいし、あるいはソフトウェア制御により同じ機能を実現してもよい。
【0104】
以上、本発明について実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0105】
複数の点灯モードの組み合わせは、実施の形態で説明したそれに限定されない。ロービーム用や通常ハイビーム用の光源ユニットについて、複数の点灯モードが存在する場合、その制御に上述の技術を適用できる。
【0106】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0107】
1…灯具システム、2…バッテリ、4…車両ECU、10…車両用灯具、100…灯具ECU、102…スイッチ、104…コントローラ、200…光源ユニット、202…光源、204…冷却ファン、206…アクチュエータ、208…スリット、210…温度検出素子、212…異常検出回路、214…タイマー回路、C…キャパシタ、215…コンパレータ、216…充放電回路、218…カウンタ、219…カウンタコントローラ、220…ミラー、222…レンズ、S…異常検出信号、S…フェイル信号、300…点灯回路、302…制御部、310…駆動部、312…スイッチングコンバータ、314…ファンコントローラ、316…ソレノイド駆動回路、318…保護スイッチ、350…第1入力バッファ、352…第2入力バッファ、354…第1パルス検出器、356…第2パルス検出器、358…平滑回路、360…フィルタ、362…第1スイッチ、364…論理ゲート、370…調光回路、372…キャパシタ、374…充電回路、376…放電回路、378…スイッチ、380…バッファ、Sig1…第1制御信号、Sig2…第2制御信号。
図1
図2
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