(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、ノズルを移動可能とした飲料供給装置において、ノズルをカップ上方から退避させる構造としても、飲料の後垂れが待機位置におけるノズルの周囲の壁面等に付着する可能性がある。
【0006】
特に、カフェラテ等のようにコーヒーとミルクをカップに注いて提供する飲料供給装置においては、ノズルからミルクを注出した後にその都度、空気や温水を排出してノズルを清掃するリンス作業を行う必要がある。このように、リンス作業においてノズルから空気や温水を排出すると、ノズルに残留した飲料や温水が勢いよくノズルから排出する場合があるので、ノズルが待機位置に位置していたとしても、その周囲の壁面等に付着する可能性が高くなる。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ノズルからのカップ内への飲料の後垂れを防止するとともに、ノズルから排出される液体によるノズルの周囲の汚染を防止する飲料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の飲料供給装置は、カップセット部に設置されたカップに対し、当該カップの上方に先端を配置した第1のノズルから飲料を供給する飲料供給装置であって、前記第1のノズルの先端が、前記カップの上方となる第1の位置と前記カップの上方から退避した位置となる第2の位置との間を移動可能に備えられ、前記カップセット部に設置されたカップと前記第1のノズルとの間の上下位置であってかつ少なくとも前記第2の位置に位置している際の前記第1のノズルの先端の下方に備えられた第1の部位を有し、前記第2の位置に位置している前記第1のノズルから落下した液体を前記第1の部位で受けるトレイ
と、前記カップセット部に設置されたカップの上方に先端が配置された第2のノズルと、を備え、前記トレイは、前記第1の位置に位置している際の前記第1のノズルの下方に設けられた穴の周囲を含む第2の部位と、前記第1の部位と、が一体的に形成され、前記トレイの前記第2の部位は、前記第2のノズルの下方に設けられた穴の周囲の部位を含み、当該部位と前記第1の位置に位置している際の前記第1のノズルの下方に設けられた穴の周囲の部位と一体的に形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、好ましくは、前記トレイの上面から上方に突出し、前記第1の部位と前記第2の部位とを仕切る仕切り部を備えるとよい。
【0012】
また、好ましくは、前記第2のノズルを支持する固定ノズル支持具と、前記固定支持具に支持されるとともに前記第1のノズルを支持する可動ノズル支持具と、前記固定ノズル支持具と前記トレイとを連結して、前記固定ノズル支持具と前記トレイとの位置決めをする位置決め手段を備えるとよい。
また、好ましくは、前記トレイは、前記第1の部位で受けた液体を、排水部に排水させるとよい。
また、好ましくは、前記トレイは、開口を有するとともに、前記開口から下方へ延びる筒部を備え、前記トレイの上面は前記開口に向かって下方に傾斜しているとよい。
また、好ましくは、前記筒部の下端は、前記排水部に連通しているとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の飲料供給装置によれば、
第1のノズルの先端がカップの上方となる第1の位置とカップの上方から退避した位置となる第2の位置との間を移動可能であるので、
第1のノズルから飲料を供給後にノズル支持具を第2の位置に移動させることで、カップ内への飲料の後垂れを防止することができる。
【0014】
更に、カップセット部に設置されたカップと
第1のノズルとの間の上下位置であって、かつ少なくとも第2の位置にノズル支持具が位置している際の
第1のノズルの下方に、
第1のノズルから落下した液体を受けるトレイを備えているので、
第1のノズルからの飲料の供給後にノズル支持具を第2の位置に移動させた際に、
第1のノズルから後垂れが発生してもトレイで受け、ノズルの周囲の汚染を防止することができる。
また、カップの上方に先端が配置された第2のノズルを備え、トレイは、第1の位置に位置している際の第1のノズルの下方に設けられた穴の周囲を含む第2の部位を有し、第2の部位と第1の部位とが一体的に形成されるとともに、トレイの第2の部位は、第2のノズルの下方に設けられた穴の周囲の部位を含み、当該部位と第1の位置に位置している際の第1のノズルの下方に設けられた穴の周囲の部位と一体的に形成されているので、第1のノズル及び第2のノズルからの液体の飛散を防止するとともに、トレイを小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係るコーヒーマシン1の外観図である。
図2は、コーヒーマシン1の扉部2を開けた状態を示す正面図である。
【0018】
本発明の一実施形態の飲料供給装置であるコーヒーマシン1は、例えばコンビニエンスストア等の店舗に配置され、コーヒーのみ、あるいはコーヒーとミルクとを混ぜたカフェラテやカプチーノ等の飲料を提供する装置である。
【0019】
図1、2に示すように、本実施形態のコーヒーマシン1は、略矩形箱状の本体部3と本体部3の前面を覆う矩形箱状の扉部2を備えている。
【0020】
本体部3の内部には、図示しないコーヒー豆を貯蔵するキャニスタ、温水タンク、生乳を貯蔵する生乳タンク、生乳を泡立てる泡立てユニット、コーヒー豆を挽くミーヒーミル、コーヒーを抽出する抽出ユニット等が備えられている。
【0021】
扉部2は、内部に空間を有する箱状に形成されており、右側の端部を支点に揺動して左右方向に開閉可能に本体部3に支持されている。扉部2は、抜き差し可能なキー4によって閉じた状態でロック可能となっており、コーヒー豆等の原料の供給や清掃等のメンテナンス時に開放される。
【0022】
扉部2の前面には、コーヒー、カフェラテ等の飲料を選択する選択スイッチ5が備えられている。扉部2の前面下部には、スライド扉6が備えられており、スライド扉6の内部にはカップを設置するカップステーション7(カップセット部)が設けられている。カップステーション7は、扉部2の内部に設けられている。
【0023】
本体部3には、抽出ユニットや生乳タンク等から飲料をカップに供給するノズルユニット10が備えられている。ノズルユニット10は、扉部2を締めた際に、カップステーション7の上方に位置するように配置されている。
【0024】
また、扉部2の本体部側に位置する後面パネル11には、扉部2を閉めた状態で扉部2の内部にノズルユニット10を収納する空間12が形成されている。この空間12は、カップステーション7の上方に位置し、上下左右を区画壁13で覆われ、扉部2の内部の他の空間とは区画されている。なお、下側の区画壁13aには、ノズルユニット10からカップステーション7側へ飲料を通過させるための穴14が空いている。
【0025】
図3は、ノズルユニット10及びノズル下方トレイ20の構成を示す正面図である。
【0026】
図3に示すように、ノズルユニット10は、丸棒を略U字状に折り曲げて形成された支持部材21を介して本体部3に着脱可能に支持されている。
【0027】
ノズルユニット10は、抽出ユニットにおいて抽出されたコーヒーを一時的に溜めるバッファー22と、バッファー22の下部に固定され、バッファー22の下部の注出口からコーヒーを供給するコーヒーノズル23(第2のノズル)と、湯水等のその他飲料を供給する湯水ノズル24(第2のノズル)と、生乳タンクから供給される生乳あるいは生乳を泡立てたミルクを供給するミルクノズル25(第1のノズル)と、バッファー22、コーヒーノズル23及び湯水ノズル24を支持する固定ノズル支持部26(固定ノズル支持具)と、ミルクノズル25を支持する可動ノズル支持部27(可動ノズル支持具)と、を備えている。
【0028】
また、ノズルユニット10の下方には、ノズル下方トレイ20が備えられている。ノズル下方トレイ20は、ミルクノズル25からの後垂れを受ける皿部20aを有している。皿部20aは、各ノズル23、24、25とカップステーション7に設置したカップCとの間の上下位置に配置されている。また、ノズル下方トレイ20の後端部には、皿部20aと一体に成形した上下方向に延びる筒部20bが備えられている。筒部20bの下端部は、排出口20cが設けられているとともに、本体部3の下部に着脱可能に固定されている。このようにノズル下方トレイ20を着脱可能にすることで、ノズル下方トレイ20を容易に取り外して清掃することができ、ノズル下方トレイ20を清潔に保つことができる。
また、皿部20aの上面は、筒部20bに向かって下方に傾斜しているとともに、筒部20b内に連通する開口を備えており、皿部20aの上面に落下した液体は、筒部20bに向かい、筒部20bの内部を下方に流れ、本体部の3の下部に配置された排水トレイ28(排水部)に排出されるように構成されている。
【0029】
図4及び5は、ノズル支持部26、27及びノズル下方トレイ20の構成を示す上面図である。
図4はミルク非供給時、
図5はミルク供給時での状態を示す。
【0030】
図4、5に示すように、固定ノズル支持部26には、支持部材21の屈曲部に着脱可能に固定される支持部材固定部31を備えている。
【0031】
可動ノズル支持部27は、固定ノズル支持部26に対し、上下方向に延びるピン32を介して、左右方向に揺動可能に支持されている。
【0032】
ピン32の周囲には、固定ノズル支持部26に対して可動ノズル支持部27を離間する方向に向かって付勢する捻りバネ33が備えられている。また、固定ノズル支持部26あるいは可動ノズル支持部27には、可動ノズル支持部27が固定ノズル支持部26に対して所定位置(待機位置)まで離間方向に移動した際にそれ以上の離間方向への移動を規制する図示しないストッパを備えている。なお、この可動ノズル支持部27が待機位置に位置する際のミルクノズル25の位置が本発明の第2の位置に該当する。
【0033】
これにより、可動ノズル支持部27は、
図4に示す固定ノズル支持部26から離間した待機位置と、
図5に示す固定ノズル支持部26に接した位置(供給位置)との間での揺動可能となっている。また、可動ノズル支持部27は、捻りバネ33によって付勢されることで、通常は
図4に示す待機位置に位置している。なお、この可動ノズル支持部27が供給位置に位置する際のミルクノズル25の位置が本発明の第1の位置に該当する。
【0034】
更に、固定ノズル支持部26には、ピン32の同軸上の下方位置に、下方に向けて先端がテーパ状に細くなるように突出する突出部34(位置決め手段)を備えている。
【0035】
また、固定ノズル支持部26及び可動ノズル支持部27には、可動ノズル支持部27を供給位置に位置させた際に上下方向に重なる部位に、上下方向に貫通する貫通穴が設けられている。この貫通穴は、円形の貫通穴35aと、扉部2をロックするキー4の先端部が挿入可能な矩形状の貫通穴35bとの2個であり、固定ノズル支持部26及び可動ノズル支持部27に夫々設けられている。
図5に示すように可動ノズル支持部27を供給位置に位置させた状態で、この2個の貫通穴35a、35bのうち少なくともいずれか一方に、挿入可能なピンあるいはキー4の先端部を上方から挿入することで、可動ノズル支持部27を供給位置に位置させた状態で保持することが可能となっている。
【0036】
固定ノズル支持部26には、コーヒーノズル23を上方から挿入して支持するための上下方向に貫通したコーヒーノズル支持穴36と、湯水ノズル24を上方から挿入して支持するための上下方向に貫通した湯水ノズル支持穴37と、を備えている。
【0037】
また、可動ノズル支持部27にはミルクノズル25を上方から挿入して支持するための上下方向に貫通したミルクノズル支持穴が備えられている。なお、
図4、5においては、可動ノズル支持部27のミルクノズル支持穴にミルクノズル25が挿入されて支持された状態を示している。
【0038】
図6は、ノズル下方トレイ20の上面図である。
図7は、ノズル下方トレイ20の斜視図である。
【0039】
図6、7に示すように、ノズル下方トレイ20の皿部20aには、コーヒーノズル23及び湯水ノズル24の下方に位置する部位に夫々、各ノズル23、24の穴よりわずかに大きい穴41、42が設けられている。上記のように、ノズル下方トレイ20の皿部20aはノズルユニット10の下方に配置されているものの、コーヒーノズル23または湯水ノズル24から鉛直方向下方に向けて注出されたコーヒー等の飲料は、ノズル下方トレイ20の穴41、42を通過して、カップステーション7に配置されたカップCに供給される。
【0040】
また、ノズル下方トレイ20の皿部20aには、可動ノズル支持部27が供給位置に位置した際のミルクノズル25の下方に位置する部位にも穴43が設けられている。ミルクノズル25から鉛直方向下方に向けて注出されたミルクは、ノズル下方トレイ20の穴43を通過して、カップステーション7に配置されたカップCに供給される。ノズル下方トレイ20の皿部20aに設けられたこれらの穴41、42、43は、各ノズル23、24、25から注出された飲料が、カップステーション7の所定位置に配置されたカップCの縁部またはカップCの外方に飛散しないように大きさ及び位置が設定されている。
【0041】
また、ノズル下方トレイ20の皿部20aは、可動ノズル支持部27が待機位置に位置した際のミルクノズル25の下方位置を含むように設けられており、待機位置においてミルクノズル25から落下したミルクを受けるように配置されている。
【0042】
また、ノズル下方トレイ20の皿部20aは、可動ノズル支持部27が供給位置に位置した際のミルクノズル25、コーヒーノズル23、湯水ノズル24の下方に設けられる穴41、42、43の周囲と、可動ノズル支持部27が待機位置に位置した際のミルクノズル25の下方位置と、の両方に設けられ、これらの部位が一体的に構成されているので、皿部20aに受けた液体を排出する筒部20bを共通化し、ノズル下方トレイ20を小型化することができる。
【0043】
更に、ノズル下方トレイ20の皿部20aの上面には、可動ノズル支持部27が待機位置に位置した際のミルクノズル25の下方の部位(第1の部位)と、穴41、42、43が設けられている部位(第2の部位)との間を上方に突出してこれらの部位を仕切る第1の仕切り部46(仕切り部)が設けられている。
【0044】
この第1の仕切り部46によって、可動ノズル支持部27が待機位置に位置した際のミルクノズル25から落下したミルクが穴41、42、43へ流出せずに、筒部20bへ排出されるように構成されている。
【0045】
また、皿部20aの上面には、コーヒーノズル23の下方の穴41及び湯水ノズル24の下方の穴42の縁部にも上方に突出する第2の仕切り部47が設けられている。これは、コーヒーノズル23には、バッファー22から注出されたコーヒーの後垂れを後方側の側方に排出する排出穴が備えられており、この排出穴から滴下したコーヒーの後垂れが、皿部20aにおける穴41及び穴42よりも後方の部位に落下する構造となっているためである。この第2の仕切り部47によって、コーヒーノズル23の下方の穴41及び湯水ノズル24の下方の穴42よりも後方に落下したコーヒー等の液体が穴41、42に流出せずに筒部20bに排出されるように構成されている。
【0046】
また、ノズル下方トレイ20には、固定ノズル支持部26のピン32の下方に設けられた突出部34の先端が挿入される支持穴48(位置決め手段)を備えている。この支持穴48に固定ノズル支持部26の突出部34を挿入することで、固定ノズル支持部26は、ノズル下方トレイ20と連結し互いに支持される。したがって、固定ノズル支持部26は支持部材21を介して本体部3に支持されるだけでなく、ノズル下方トレイ20を介して本体部3に支持される。これにより、例えばメンテナンス中に誤ってノズル下方トレイ20やノズルユニット10に接触して押したとしても、ノズル下方トレイ20の倒れやノズルユニット10の脱落等を防止することができる。
【0047】
また、ノズル下方トレイ20の支持穴48に固定ノズル支持部26の突出部34が挿入されることで、ノズル下方トレイ20と固定ノズル支持部26との水平方向の位置決めがされる。これにより、各ノズル23、24、25とノズル下方トレイ20との水平方向の位置決めが正確になされ、各ノズル23、24、25からミルク等の飲料をカップCへ正確に供給するとともに、各ノズル23、24、25からの飲料の後垂れや飛散をノズル下方トレイ20の皿部20aによって正確に受けて排水トレイ28へ排出させることができる。
【0048】
図8は、ミルク供給時におけるノズルユニット10及びノズル移動ユニット50の状態を示す横断面図である。
図8は、
図1中に記載したA−A部の断面図であり、扉部2を閉めた状態で可動ノズル支持部27が供給位置に位置する状態を示している。
【0049】
図8に示すように、扉部2には、可動ノズル支持部27を移動させるためのノズル移動ユニット50を備えている。
【0050】
ノズル移動ユニット50は、扉部2におけるノズルユニット10を収納する空間12に対して、可動ノズル支持部27側(
図8中左側)の内部空間に配置されている。
【0051】
ノズル移動ユニット50は、電気駆動のアクチュエータ51と、可動ノズル支持部27を押すプッシャ52と、を備えている。
【0052】
プッシャ52は、筒状に形成された基端部52aと、基端部52aに挿入され基端部52aに対して伸縮可能な先端部52bを備えている。プッシャ52の内部には、基端部52aに対し先端部52bを伸長方向に付勢する圧縮コイルバネ53が備えられている。
【0053】
プッシャ52は、可動ノズル支持部27と同一の上下位置に配置され、扉部2に対し水平方向(左右方向)に移動可能に配置されている。
【0054】
ノズルユニット10を収納する空間12を区画する区画壁13のうち可動ノズル支持部27側、即ち
図8中の左側の区画壁13bには、プッシャ52の基端部52aが通過する穴が設けられている。この穴は、プッシャ52の基端部52aと接触しない程度で、かつ基端部52aとの隙間が極力小さくなるように形成されている。
【0055】
アクチュエータ51は、プッシャ52の基端部52aを扉部2に対して左右方向に移動させる機能を有しており、例えば電気モータと当該電気モータによる回転を直動に変換する機構によって構成してもよいし、直動型のソレノイドによって構成してもよい。但し、アクチュエータ51は、ソレノイドよりも電気モータの方が望ましい。ソレノイドよりも電気モータの方がプッシャ52を滑らかに伸縮動させることが可能であるので、可動ノズル支持部27を滑らかに移動させることができる。これにより、ミルク供給後にミルクノズル25内に残留しているミルクを可動ノズル支持部27の移動の際に飛散することを抑制することができる。
【0056】
図8に示すように、扉部2を閉めた状態で、アクチュエータ51を作動させてプッシャ52を可動ノズル支持部27に向けて移動させる伸長作動を行うことで、プッシャ52の先端部52bが可動ノズル支持部27の側面27aを押す。なお、プッシャ52の圧縮コイルバネ53による付勢力は、ノズルユニット10に設けられた捻りバネ33による可動ノズル支持部27に対する付勢力よりも大きく設定されている。したがって、アクチュエータ51を作動させてプッシャ52の先端部52bによって可動ノズル支持部27を押すことで、可動ノズル支持部27が固定ノズル支持部26に向かって移動する。このとき、可動ノズル支持部27が供給位置まで移動するように、プッシャ52の位置が設定されている。
【0057】
一方、アクチュエータ51によってプッシャ52を可動ノズル支持部27から離間する方向に移動させる縮作動を行った場合には、可動ノズル支持部27が捻りバネ33の付勢力によって待機位置まで移動し、プッシャ52の先端部52bが可動ノズル支持部27から離間するように、プッシャ52の移動量が設定されている。
【0058】
また、
図8に示すように、可動ノズル支持部27におけるプッシャ52の先端部52bが当接する側面27aは、供給位置に位置する可動ノズル支持部27において、扉部2の開閉の揺動支点Rcを中心とした略円弧状になるように丸面取りされている。
【0059】
以上のような構成のコーヒーマシン1においては、ミルクノズル25からミルク等を供給させるときのみ、プッシャ52を伸長作動させるようにノズル移動ユニットの50のアクチュエータ51を作動制御し、可動ノズル支持部27を供給位置に移動させる。ミルクを供給させるとき以外、例えばミルク供給後では、アクチュエータ51によってプッシャ52を縮作動させることで、可動ノズル支持部27を待機位置に移動させる。
【0060】
ミルク供給後には可動ノズル支持部27が待機位置に移動するので、ミルクノズル25からミルクの後垂れが滴下しても、ノズル下方トレイ20の皿部20aに落下して筒部20bを通過し排水トレイ28に排出される。これにより、次にカップステーション7に設置したカップC内にミルクの後垂れが混入することを防止することができる。したがって、次のカップにストレートコーヒーのようなミルクを使用しない飲料を提供する場合に、ミルクの混入を防止することが可能となり、次のカップで例えば牛乳アレルギーを有するユーザーに対してもミルクを使用しない飲料を安全に提供することができる。
【0061】
なお、本実施形態のコーヒーマシン1では、ミルクノズル25から圧縮空気及び温水を排出させる図示しない洗浄ユニットを備えている。そして、ミルクノズル25からミルクを供給した後にその都度、まず一定時間ミルクノズル25から空気を排出し、その後温水を排出することで、ミルクノズル25及びミルク供給路を洗浄させるリンス作業が可能となっている。
【0062】
本実施形態において、ミルク供給後に可動ノズル支持部27を待機位置に移動させてからリンス作業を行うよう制御することで、ミルクノズル25から注出された後にミルク供給路に残留していたミルクや温水をノズル下方トレイ20の皿部20aによって受け、区画壁13等への飛散を防止することができる。また、コーヒーマシン1には、リンス作業時にスライド扉6をロックさせるロック機構が設けられている。しかし、このロック機構の故障やスライド扉6の破損によりリンス作業時にカップステーション7内に誤って手指を入れてしまったとしても、ミルクノズル25から排出された温水がノズル下方トレイ20の皿部20aで受けるので、手指の火傷を回避することができる。
【0063】
更には、コーヒーノズル23や湯水ノズル24の下方についても、皿部20aが設けられているので、コーヒーノズル23や湯水ノズル24からコーヒー等の液体が飛散したとしても、ノズル下方トレイ20の皿部20aによって受け、区画壁13等への飛散を防止することができる。
【0064】
本実施形態のコーヒーマシン1において、ノズルユニット10の洗浄等のメンテナンスを行う際には、扉部2を開き、ノズルユニット10を支持部材21から外すことで、バッファー22及び各ノズル23、24、25を洗浄することができる。また、ノズル下方トレイ20も本体部3から外して洗浄することができる。
【0065】
本実施形態のコーヒーマシン1は、可動ノズル支持部27を作動させるノズル移動ユニット50がノズルユニット10とは別体であり、ノズルユニット10を洗浄する際には、ノズル移動ユニット50を取り外す必要がないので、ノズルユニット10について洗浄等のメンテナンスを容易に行うことができる。また、ノズル移動ユニット50は扉部2に設けられているので、メンテナンス時に扉部2を開くことで、ノズルユニット10及び本体部3と
ノズル移動ユニット50とを離間させることができる。これにより、本体部3に設置した状態のノズルユニット10やその周辺の本体部3内を温水により洗浄する内部清掃を行ったとしても、ノズル移動ユニット50のアクチュエータ51への飛散を防止してアクチュエータ51の保護を図ることができる。
【0066】
また、可動ノズル支持部27は、捻りバネ33によって待機位置に付勢されているので、プッシャ52が縮状態であれば確実にミルクノズル25をノズル下方トレイ20の皿部20aの上方に位置させることができる。また、ミルクノズル25からミルクを注出している途中に誤って扉部2を開放した場合、プッシャ52が離間して可動ノズル支持部27が捻りバネ33により待機位置に移動するので、ミルクノズル25からミルクが注出し続けたとしてもノズル下方トレイ20に排出され、ノズルユニット10の下方の本体部3を汚してしまうことを防止することができる。
【0067】
また、可動ノズル支持部27を移動させるプッシャ52は、ノズル移動ユニット50のアクチュエータ51によって移動可能であるとともに、先端部52bが伸縮動可能な2段伸縮構造となっている。そして、先端部52bは圧縮コイルバネ53によって伸長方向に付勢されており、可動ノズル支持部27を供給位置に作動させた際にも圧縮コイルバネ53によって先端部52bを伸長方向に付勢して可動ノズル支持部27を固定ノズル支持部26側に付勢するので、ミルク供給時には可動ノズル支持部27を固定ノズル支持部26に確実に当接するように位置決めすることができる。これにより、ミルク供給時には、ミルクノズル25から注出したミルクを、ノズル下方トレイ20の穴43を通過させて、カップステーション7に設置したカップC内に確実に供給することができる。
【0068】
図9は、扉部2の開放途中時でのノズルユニット10及びノズル移動ユニット50の状態を示す横断面図である。
図9は、
図8と同様に、
図1中に記載したA−A部の断面図である。
【0069】
また、
図9に示すように、可動ノズル支持部27の側面27aが、扉部2の揺動支点Rcを中心とした略円弧状になるように丸面取りされているので、停電や故障等によりプッシャ52が伸長し突出した状態でアクチュエータ51が停止しても、可動ノズル支持部27に引っかからずに扉部2を開閉することができる。また、プッシャ52の先端部52bが伸縮可能な構造になっているので、プッシャ52が伸長し突出した状態でアクチュエータ51が停止した場合に扉部2を開閉した際に、容易に扉部2を開閉することができる。これにより、本体部3内の点検等を可能にすることができる。
【0070】
また、可動ノズル支持部27及び固定ノズル支持部26には、可動ノズル支持部27を供給位置にした状態で連通する貫通穴35a、35bが設けられているので、可動ノズル支持部27を供給位置に押した状態で貫通穴35a、35bにピンやキー4の先端部を差し込むことで、可動ノズル支持部27を供給位置に保持することができる。これにより、扉部2を開いた状態で、例えばミルクノズル25からミルクが所定量注出されているか点検する際に、ノズルユニット10の下方に設置したカップにミルクを注出させて、ミルクの供給量を容易に確認することができる。また、温水を排出させてミルクノズル25等のミルク供給系を洗浄するメンテナンス作業を実行する際に、ノズルユニット10の下方に大型の排水受けを設置することで、ミルクノズル25から大量に温水を排出させることができ、ミルク供給系の洗浄作業を十分に行うことが可能となる。
【0071】
なお、ミルク供給後に、ミルクノズル25が待機位置と第1の仕切り部46との間で移動するように、プッシャ52の伸長量を制限した上で伸縮動を数回繰り返すようアクチュエータ51を制御して、可動ノズル支持部27を待機位置付近で揺動させるようにしてもよい。このように、ミルク供給後に可動ノズル支持部27を数回揺動させることで、ミルクノズル25内に残留するミルクを振り出し、ノズル下方トレイ20の皿部20aの上に排出すことができる。これにより、ミルク供給後におけるミルクの後垂れを更に抑制することができる。
【0072】
なお、本発明の飲料供給装置は、以上の実施形態に限定されるものではない。例えばカップを設置するカップセット部については、上記実施形態のように扉部2に設けられたカップステーション7に限定するものではなく、カップホルダによってカップを把持する構成でもよいし、本体部3内の所定の位置でカップへ飲料を供給した後に取出口へ移送して提供する構成でもよい。
また、上記実施形態のコーヒーマシン1は、生乳を泡立てたミルクをミルクノズルから供給するものであるが、粉末乳をお湯で溶解したミルクをカップに供給するコーヒーマシンにも本発明を適用することができる。また、ココアや抹茶等のようにミルクやコーヒー以外の飲料を提供する装置にも本発明を広く適用することができる。