(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同心状に配置された内筒と外筒とを有し、前記内筒と前記外筒の間に形成された加熱流路を流れる高温ガスによって前記内筒内を通過する被処理物が間接的に加熱されて熱分解ガスと熱分解残渣とに熱分解し、前記熱分解ガスを燃焼炉で燃焼して生じたガスが前記高温ガスとして前記加熱流路に供給される、ロータリーキルンの運転方法であって、
前記ロータリーキルンの連続する定常運転の間に前記内筒の外表面の付着物及び/又は堆積物を除去するためのリフレッシュ運転を行い、
前記リフレッシュ運転において、前記加熱流路のガス出口の前記高温ガスのノルマル流量を前記定常運転時の値又はその値から所定の範囲内に維持しながら、前記定常運転時に前記加熱流路を流れる前記高温ガスよりも温度が高く且つダスト濃度が低いフレッシュガスを、所定のリフレッシュ時間に亘って前記加熱流路へ流す、
ロータリーキルンの運転方法。
【背景技術】
【0002】
従来から、外熱式のロータリーキルンが知られている。特許文献1は、この種のロータリーキルンを開示する。
【0003】
特許文献1のロータリーキルン(炭化炉)は、横置きに設置された外筒内に、当該外筒と同心円状に挿入された内筒(キルンシェル)を備えている。このロータリーキルンでは、内筒に被処理物(乾燥汚泥)を投入して当該内筒を回転させながら、外筒と内筒の間に形成された加熱流路に導入された高温ガスで内筒内の被処理物を間接加熱して低酸素雰囲気で熱分解させることにより、被処理物から可燃性の熱分解ガスと炭化物とを生成する。
【0004】
上記のような外熱式ロータリーキルンにおいては、ロータリーキルンから発生する熱分解ガスを燃焼炉で燃焼し、その排ガスの一部をロータリーキルンの熱源(高温ガス)として利用することにより、排熱を有効に利用することが行われている。しかしながら、燃焼炉の排ガスには灰や塵などのダストが同伴しており、この排ガスがロータリーキルンの加熱流路に供給されると、内筒の外表面にダストが付着・堆積し、この付着物及び/又は堆積物(以下、「付着物等」と称する)によって内筒の伝熱性能が低下し、その結果、ロータリーキルンの熱効率を低下させることが問題となっている。
【0005】
この問題に対し、特許文献1では、外筒に空気噴出ノズルを設置し、内筒の外表面のダストの付着量が一定量を超えたときに、空気噴出ノズルから内筒の外表面へ向けて圧縮空気を噴出するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1の構成によれば、空気噴出ノズルは複数箇所に設けられているものの、内筒の外表面にスポット的に圧縮空気が作用することになり、内筒の外表面の全体に亘る付着物等の剥離効果が期待できない。また、内筒の外表面の広い範囲に圧縮空気を作用させるためには、空気噴射ノズルの数や空気圧縮機の容量を増加せねばならず、空気噴出ノズルや空気圧縮機の容量増加分に伴う設備費用が嵩むので経済的ではない。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、既存の外熱式ロータリーキルンの設備を利用して、内筒の外表面へのダストの付着を抑制し、また、内筒の外表面の付着物等を除去することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の発明者らは、内筒の外表面にダストが付着する現象(堆積も含む)は、外筒と内筒との間に導入される高温ガスのダスト濃度と流量とに関連していると考えている。この観点に基づけば、内筒の外表面に付着しているダストを吹き飛ばすための方策として、高温ガスの流量を増やす方法と、高温ガスのダスト濃度を下げる方法とが考えられる。
【0010】
高温ガスの流量を増やす方法では、ダストが付着したときよりも多い流量の高温ガスを内筒と外筒の間に流せばよい。しかし、高温ガスの流量が増大すると、系の熱量バランスが乱れ、ロータリーキルンの運転が不安定となる恐れがある。また、高温ガスの流量を増大させるために、ファンが大型化するため、経済的ではない。
【0011】
高温ガスのダスト濃度を下げる方法では、ダストが付着したときよりもダスト濃度の低い高温ガスを内筒と外筒の間に流せばよい。しかし、高温ガスのダスト濃度の低減だけでは、付着物等の高い剥離効果は見込めない。
【0012】
そこで、本発明の一態様に係るロータリーキルンの運転方法は、
同心状に配置された内筒と外筒とを有し、前記内筒と前記外筒の間に形成された加熱流路を流れる高温ガスによって前記内筒内を通過する被処理物が間接的に加熱されて熱分解ガスと熱分解残渣とに熱分解し、前記熱分解ガスを燃焼炉で燃焼して生じたガスが前記高温ガスとして前記加熱流路に供給される、ロータリーキルンの運転方法であって、
前記ロータリーキルンの連続する定常運転の間に前記内筒の外表面の付着物及び/又は堆積物を除去するためのリフレッシュ運転を行い、
前記リフレッシュ運転において、前記加熱流路のガス出口の前記高温ガスのノルマル流量を前記定常運転時の値又はその値から所定の範囲内に維持しながら、前記定常運転時に前記加熱流路を流れる前記高温ガスよりも温度が高く且つダスト濃度が低いフレッシュガスを、所定のリフレッシュ時間に亘って前記加熱流路へ流すことを特徴としている。
【0013】
上記ロータリーキルンの運転方法の前記リフレッシュ運転において、前記加熱流路のガス出口の前記高温ガスのノルマル流量、及び、前記加熱流路のガス入口の前記高温ガスの温度を前記定常運転時の値又はその値から所定の範囲内に維持しながら、前記ロータリーキルンへの前記被処理物の供給を中断し、前記被処理物の供給を中断してから前記被処理物の前記ロータリーキルンにおける滞留時間が経過し、更に、所定のリフレッシュ時間が経過してから、前記被処理物の供給を再開してよい。
【0014】
また、本発明の別の一態様に係るロータリーキルンは、
同心状に配置された内筒と外筒とを有し、前記内筒と前記外筒の間に高温ガスが流れる加熱流路が形成された炉本体と、
前記内筒内へ被処理物を供給する供給装置と、
前記炉本体で前記被処理物の熱分解により生じた熱分解ガスを、燃焼炉へ燃料として送る熱分解ガスラインと、
前記燃焼炉で生じた燃焼ガスを前記高温ガスとして前記加熱流路のガス入口へ送る高温ガス供給ラインと、
前記加熱流路のガス入口へ供給される前記高温ガスの温度を検出する入口温度センサと、
前記加熱流路のガス入口へ供給される前記高温ガスの温度を調整する温度調整装置と、
前記加熱流路のガス出口から排出される前記高温ガスの温度を検出する出口温度センサと、
前記加熱流路のガス出口から排出される前記高温ガスの流量を検出する流量センサと、
前記加熱流路のガス出口から前記高温ガスを強制排気するファンと、
前記供給装置、前記温度調整装置、及び前記ファンの動作を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、連続する定常運転の間に前記内筒の外表面の付着物及び/又は堆積物を除去するためのリフレッシュ運転を行い、前記リフレッシュ運転において、前記加熱流路のガス出口の前記高温ガスのノルマル流量が前記定常運転時の値又はその値から所定の範囲内を維持するように前記出口温度センサ及び前記流量センサの検出値に基づいて前記ファンを動作させ、前記加熱流路のガス入口の前記高温ガスの温度が前記定常運転時の値を維持するように前記入口温度センサの検出値に基づいて前記温度調整装置を動作させ、前記炉本体への前記被処理物の供給を中断し、前記被処理物の供給を中断してから前記被処理物の前記炉本体における滞留時間が経過し、更に、所定のリフレッシュ時間が経過してから、前記被処理物の供給を再開するように前記供給装置を動作させるように構成されていることを特徴としている。
【0015】
上記のロータリーキルン及びロータリーキルンの運転方法によれば、リフレッシュ運転時の加熱流路には、定常運転時よりも高い温度で、且つ、ダスト濃度が低い高温ガス(即ち、フレッシュガス)が流れる。リフレッシュ運転時と定常運転時とで加熱流路から排出される高温ガスのノルマル流量は同じであるが、リフレッシュ運転時では定常運転時と比較して温度が高いため実流量は多い。従って、リフレッシュ運転時には、定常運転時と比較して、実流量が多く且つダスト濃度が低い高温ガス(即ち、フレッシュガス)が加熱流路を流れることとなる。この高温ガスの流れによって、定常運転時に内筒の外表面に付着したダストは吹き飛ばされ、また、内筒の外表面に付着しようとしているダストは高温ガスの流れに乗って加熱流路から排出される。このように、上記のロータリーキルン及びロータリーキルンの運転方法によれば、既存の外熱式ロータリーキルンの設備を利用して、内筒の外表面へのダストの付着を抑制し、また、内筒の外表面の付着物等を除去することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、既存の外熱式ロータリーキルンの設備を利用して、内筒の外表面へのダストの付着を抑制し、また、内筒の外表面の付着物等を除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る本発明のロータリーキルン100の概略構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る外熱式のロータリーキルン100は、外熱式の炉本体1と、ロータリーキルン100の動作を制御するコントローラ3などとを備えている。ロータリーキルン100には、発生する熱分解ガス8を燃焼する燃焼炉2が隣設されている。
【0020】
ロータリーキルン100の炉本体1は、長手方向の一端を入口1aとし且つ他端を出口1bとし、入口1a側より出口1b側へ或る角度、たとえば、約3度下方へ傾斜させた状態で横向きに配置されている。
【0021】
炉本体1の入口1aには、投入ホッパ41を備えた供給装置4が設けられている。供給装置4は、例えば、スクリューフィーダであってよい。
【0022】
また、炉本体1の出口1bには、熱分解ガス8と熱分解残渣9を分離して取り出すための分離室7が設けられている。分離室7の頂部には、熱分解ガス出口22が設けられており、この熱分解ガス出口22は熱分解ガスライン24を通じて燃焼炉2と接続されている。また、分離室7の底部には、熱分解残渣回収口23が設けられている。
【0023】
炉本体1は、内筒18と、その外側に同心状に配置された外筒21とからなる、二重筒構造を有する。本実施形態においては、内筒18は一本であるが、内筒18は複数であってもよい。内筒18と外筒21は、図示しない駆動機構により一体的に回転駆動される。
【0024】
内筒18は、入口1a側に供給管19が、出口1b側に排出管20が、それぞれ接続されている。供給装置4は、被処理物6の出口が供給管19の内側に挿入されるように配置されており、供給装置4によって投入ホッパ41内の被処理物6が内筒18内へ供給される。
【0025】
内筒18と外筒21との間には、高温ガスが通過する加熱流路10が形成されている。この加熱流路10を通過する高温ガスによって、内筒18を通過する被処理物6(例えば、廃棄物)が間接的に加熱される。
【0026】
加熱流路10のガス入口10aは炉本体1の出口1b側部分に設けられ、加熱流路10のガス出口10bは炉本体1の入口1a側部分に設けられている。加熱流路10のガス入口10aは、高温ガス供給ライン13を介して、燃焼炉2と接続されている。高温ガス供給ライン13には、燃焼炉2から加熱流路10のガス入口10aへ送られる高温ガスの流量を調節する流量調整弁16が設けられている。また、高温ガス供給ライン13においてガス入口10aの近傍には、加熱流路10のガス入口10aへ送られる高温ガスの温度を検出する入口温度センサ17が設けられている。
【0027】
一方、加熱流路10のガス出口10bには、高温ガス循環ファン38を備えた高温ガス循環ライン37の上流側端部が接続されている。高温ガス循環ファン38の設計風量は、定常運転時の風量(定常風量)に設計余裕を加えた値である。設計余裕は、定常風量の10〜20%であってよい。
【0028】
高温ガス循環ライン37の下流側端部は、燃焼炉2と接続されている。高温ガス循環ライン37には、加熱流路10のガス出口10bから排出された高温ガスの温度を検出する出口温度センサ32が設けられている。また、高温ガス循環ライン37において燃焼炉2の近傍には、燃焼炉2へ戻される高温ガスの流量を検出する流量センサ39が設けられている。
【0029】
更に、高温ガス循環ライン37の高温ガス循環ファン38よりも下流側には、高温ガス戻しライン33の上流側端部が接続されており、この高温ガス戻しライン33の下流側端部は高温ガス供給ライン13と接続されている。この高温ガス戻しライン33を通じて、加熱流路10のガス出口10bから排出された高温ガスをガス入口10aへ戻すことができる。高温ガス戻しライン33には、加熱流路10のガス出口10bからガス入口10aへ戻される高温ガスの流量と、加熱流路10のガス出口10bから燃焼炉2へ還流する高温ガスの流量とを調整する流量調整弁34が設けられている。
【0030】
コントローラ3は、入口温度センサ17、出口温度センサ32、及び流量センサ39などの検出値に基づいて、供給装置4、高温ガス循環ファン38、流量調整弁16、及び流量調整弁34などの動作を制御する。
【0031】
コントローラ3は、いわゆるコンピュータであって、プロセッサと、メモリ及び通信インターフェイスなどとを備えている(いずれも図示略)。メモリは、各種のRAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどによって実現されてよい。メモリには、プロセッサによって実行される、OS、各種の制御プログラム、並びにプロセッサによって読み出される各種データを格納する。通信インターフェイスは、プロセッサによって制御されることによって、無線又は有線の通信手段を利用して、供給装置4、高温ガス循環ファン38、流量調整弁16、及び流量調整弁34などとデータを送受信し、また、入口温度センサ17、出口温度センサ32、及び流量センサ39から検出信号を受信する。
【0032】
プロセッサは、メモリに記憶されている各種のプログラムを実行することによって、各種の処理を実行する。換言すれば、コントローラ3における処理は、各ハードウェアおよびプロセッサにより実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、メモリ又は他の記憶媒体に予め記憶されている。
【0033】
〔ロータリーキルン100の定常運転時の動作〕
ここで、上記構成のロータリーキルン100の定常運転時の動作を説明する。
【0034】
加熱流路10のガス入口10aには、燃焼炉2で発生した燃焼ガスが高温ガス供給ライン13を通じて供給され、この高温ガスが加熱流路10を流れている。加熱流路10のガス入口10aに供給される高温ガスが所定の入口温度(例えば、550℃)となるように、コントローラ3は、入口温度センサ17の検出値に基づいて、流量調整弁16,34の動作を制御する。ここで、流量調整弁16,34は、加熱流路10のガス入口10aへ供給される高温ガスの温度を調整する温度調整装置として機能する。
【0035】
加熱流路10のガス出口10bから排出された高温ガスは、高温ガス循環ファン38の稼働により、一部分が高温ガス循環ライン37を通じて燃焼炉2へ戻され、残部が高温ガス循環ライン37、高温ガス戻しライン33、及び高温ガス供給ライン13を通じて、加熱流路10のガス入口10aへ戻される。加熱流路10のガス出口10bから排出される高温ガスのノルマル流量が所定の値となるように、コントローラ3は、出口温度センサ32の検出値に基づいて、高温ガス循環ファン38の動作を制御する。
【0036】
内筒18内には、供給装置4の動作により、投入ホッパ41内の被処理物6が供給されている。被処理物6は、回転する内筒18内を分離室7へ向けて移動するうちに、加熱流路10を通過する高温ガスによって間接的に加熱されて、熱分解ガス8と熱分解残渣9に熱分解する。
【0037】
分離室7は、被処理物6の熱分解によって生じた熱分解ガス8と熱分解残渣9を、排出管20を通して一旦受け取り、気体である熱分解ガス8と固体である熱分解残渣9とを分離させる。熱分解ガス8は、分離室7の頂部の熱分解ガス出口22から、熱分解ガスライン24を通じて燃焼炉2へ送られ、燃料として利用される。一方、熱分解残渣9は、分離室7の底部の熱分解残渣回収口23から排出され、回収される。
【0038】
燃焼炉2は、ロータリーキルン100から送られてきた熱分解ガス8を燃料として燃焼し、高温ガスを発生させる。燃焼炉2には、助燃バーナ25と、炉内の温度を検出する温度センサ26と、温度維持装置27とが設けられている。温度維持装置27は、温度センサ26の検出値に基づいて、炉内が所定の炉内温度に維持されるように、助燃バーナ25を動作させる。つまり、温度維持装置27は、炉本体1から送られてくる熱分解ガス8の燃焼だけでは炉内が所定温度に満たないときには、助燃バーナ25を燃焼させて炉内を所定の炉内温度まで上昇させる。
【0039】
上記のロータリーキルン100では、炉本体1の加熱流路10をダストを伴う燃焼炉2の燃焼ガスが通過することから、内筒18の外表面にダストが付着(又は、堆積)するおそれがある。そこで、ロータリーキルン100では、所定間隔(例えば、半月ごと)で、内筒18の外表面の付着物等を除去するためのリフレッシュ運転を行う。以下、ロータリーキルン100のリフレッシュ運転時の動作を説明する。
【0040】
〔ロータリーキルン100のリフレッシュ運転時の動作〕
図2は、リフレッシュ運転中の加熱流路10のガス入口10a及びガス出口10bの高温ガスの温度の変化を表す図表である。
図2に示すように、コントローラ3は、連続する定常運転の間にリフレッシュ運転を行う。リフレッシュ運転の間隔は予めスケジュールされている。
【0041】
コントローラ3は、定常運転からリフレッシュ運転に切り替えると、供給装置4を停止させて、被処理物6の供給を中断する。
【0042】
なお、リフレッシュ運転の間、加熱流路10のガス入口10aの高温ガスの温度は、定常運転時の値に維持される。つまり、コントローラ3は、入口温度センサ17の検出値に基づいて、定常運転時と同じ入口温度となるように、温度調整装置(流量調整弁16,34)を動作させる。
【0043】
また、リフレッシュ運転の間、加熱流路10のガス出口10bの高温ガスのノルマル流量は、定常運転時の値に維持される。つまり、コントローラ3は、出口温度センサ32及び流量センサ39の検出値に基づいて、加熱流路10のガス出口10bのノルマル流量が定常運転時と同じノルマル流量となるように、高温ガス循環ファン38を動作させる。このように、定常運転とリフレッシュ運転とを通じて、系のノルマル流量の変動が抑えられることで、系のガス流量が安定し、その結果、安定した運転を維持することができる。但し、リフレッシュ運転の間の加熱流路10のガス出口10bのノルマル流量は、厳密に定常運転時と同じノルマル流量に維持される必要はなく、定常運転時の値から高温ガス循環ファン38の風量が設計風量以下となる所定の範囲内での変動が許容されてもよい。
【0044】
リフレッシュ運転の間、被処理物6の供給は中断しているが炉本体1での熱分解処理は継続している。そのため、被処理物6の供給を中断する前に最後に炉本体1に供給された被処理物6は、被処理物6の供給が中断してから被処理物6の既知の炉本体1における滞留時間T1が経過したときに熱分解ガス出口22又は熱分解残渣回収口23から排出される。従って、被処理物6の供給を中断してから滞留時間T1が経過したあとは、炉本体1内がパージされており、内筒18内には被処理物6が残っていない状態となっている。
【0045】
そして、コントローラ3は、被処理物6の供給を中断してから滞留時間T1が経過し、更に、所定のリフレッシュ時間T2が経過してから、リフレッシュ運転を終了して被処理物6の供給を再開する。リフレッシュ時間T2は、1時間以上3時間以内の時間であってよい。
【0046】
上記のリフレッシュ運転において、炉本体1内がパージされたあとは、炉本体1から燃焼炉2へ送られる熱分解ガス8の量が殆どゼロまで減少する。そのため、燃焼炉2では、炉内を所定の炉内温度(例えば、850℃)に維持するために、助燃バーナ25で補助燃料の燃焼が行われる。補助燃料の燃焼で発生する灰や塵などのダストの量は、熱分解ガス8の燃焼で発生するダストの量と比較して、著しく少ない。よって、炉本体1内がパージされたあとリフレッシュ時間T2が経過するまでの間は、燃焼炉2から加熱流路10へ供給される高温ガスのダスト濃度は、定常運転時と比較して少ない。
【0047】
また、リフレッシュ運転時は、炉本体1で処理される被処理物6の量が定常運転時より少ない又は殆ど無いことから、加熱流路10を流れる高温ガスの吸熱反応が抑えられ、その結果、加熱流路10を流れる高温ガスの温度が定常運転時と比較して高い。
【0048】
つまり、リフレッシュ運転時(とりわけ、炉本体1内がパージされたあとリフレッシュ時間T2が経過するまでの間)の加熱流路10には、定常運転時よりも高い温度且つダスト濃度の低い高温ガスが流れる。そのため、加熱流路10のガス出口10bの高温ガスのノルマル流量は定常運転時とリフレッシュ運転時とで同じであるが、加熱流路10を流れる高温ガスの実流量はリフレッシュ運転時の方が多い。従って、リフレッシュ運転時の加熱流路10には、定常運転時よりも実流量が多く且つダスト濃度が低い高温ガス(以下、「フレッシュガス」と称する場合がある)が流れる。この高温ガスの流れによって、定常運転時に内筒18の外表面に付着したダストは吹き飛ばされる。なお、吹き飛ばされたダストを含む、内筒18の外表面に付着しようとしているダストは、高温ガスに同伴してガス出口10bから排出される。このようにして、リフレッシュ運転では、内筒18の外表面に付着したダストを取り除き、また、内筒18の外表面に付着しようとしているダストを加熱流路10から排出することができる。
【0049】
以上に説明したように、本実施形態のロータリーキルン100の運転方法は、ロータリーキルン100の連続する定常運転の間にリフレッシュ運転を行い、リフレッシュ運転において、加熱流路10のガス出口10bの高温ガスのノルマル流量、及び、加熱流路10のガス入口10aの高温ガスの温度を定常運転時の値(又はその値から所定の範囲内)に維持しながら、ロータリーキルン100への被処理物6の供給を中断し、被処理物6の供給を中断してから被処理物6のロータリーキルン100における滞留時間T1が経過し、更に、所定のリフレッシュ時間T2が経過してから、被処理物の供給を再開する(即ち、リフレッシュ運転から定常運転に切り替える)ことを特徴としている。
【0050】
同様に、本実施形態のロータリーキルン100は、同心状に配置された内筒18と外筒21とを有し、内筒18と外筒21の間に高温ガスが流れる加熱流路10が形成された炉本体1と、内筒18内へ被処理物6を供給する供給装置4と、炉本体1で被処理物6の熱分解により生じた熱分解ガス8を、燃焼炉2へ燃料として送る熱分解ガスライン24と、燃焼炉2で生じた燃焼ガスを高温ガスとして加熱流路10のガス入口10aへ送る高温ガス供給ライン13と、加熱流路10のガス入口10aへ供給される高温ガスの温度を検出する入口温度センサ17と、加熱流路10のガス入口10aへ供給される高温ガスの温度を調整する温度調整装置(流量調整弁16,34)と、加熱流路10のガス出口10bから排出される高温ガスの温度を検出する出口温度センサ32と、加熱流路10のガス出口10bから排出される高温ガスの流量を検出する流量センサ39と、加熱流路10のガス出口10bから高温ガスを強制排気するファン38と、供給装置4、温度調整装置(流量調整弁16,34)、及びファン38の動作を制御するコントローラ3とを備えている。
【0051】
そして、上記ロータリーキルン100は、コントローラ3が、連続する定常運転の間にリフレッシュ運転を行い、リフレッシュ運転において、加熱流路10のガス出口10bの高温ガスのノルマル流量が定常運転時の値を維持するように出口温度センサ32及び流量センサ39の検出値に基づいてファン38を動作させ、加熱流路10のガス入口10aの高温ガスの温度が定常運転時の値(又はその値から所定の範囲内)を維持するように入口温度センサ17及び流量センサ39の検出値に基づいて温度調整装置(流量調整弁16,34)を動作させ、炉本体1への被処理物6の供給を中断し、被処理物6の供給を中断してから被処理物6の炉本体1における滞留時間T1が経過し、更に、所定のリフレッシュ時間T2が経過してから、被処理物6の供給を再開するように供給装置4を動作させることを特徴としている。
【0052】
上記ロータリーキルン100及びその運転方法によれば、リフレッシュ運転時の加熱流路10には、定常運転時よりも高い温度で、且つ、ダスト濃度が低い高温ガス(即ち、フレッシュガス)が流れる。リフレッシュ運転時と定常運転時とで加熱流路10から排出される高温ガスのノルマル流量は同じである(又は微増する)が、リフレッシュ運転時では定常運転時と比較して温度が高いため実流量は多い。従って、リフレッシュ運転時には、定常運転時と比較して、実流量が多く且つダスト濃度が低い高温ガス(即ち、フレッシュガス)が加熱流路10を流れることとなる。この高温ガスの流れによって、定常運転時に内筒18の外表面に付着したダストは吹き飛ばされ、また、内筒18の外表面に付着しようとしているダストは高温ガスの流れに乗って加熱流路10から排出される。このように、上記のロータリーキルン100及びロータリーキルン100の運転方法によれば、既存の外熱式ロータリーキルンの設備を利用して、内筒18の外表面へのダストの付着を抑制し、また、内筒18の外表面の付着物等を除去することができる。
【0053】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明の精神を逸脱しない範囲で、上記実施形態の具体的な構造及び/又は機能の詳細を変更したものも本発明に含まれ得る。上記の構成は、例えば、以下のように変更することができる。
【0054】
例えば、上記実施形態に係るロータリーキルン100では、リフレッシュ運転において被処理物6の供給の中断と再開の指令をコントローラ3が供給装置4に出力するが、オペレータが図示しない操作具を用いて被処理物6の供給の中断と再開の指令を供給装置4に入力してもよい。
【0055】
また、例えば、上記実施形態に係るロータリーキルン100では、加熱流路10のガス入口10aの高温ガスの温度が定常運転とリフレッシュ運転とを通じて一定に維持されるが、温度調整装置(流量調整弁16,34)によってリフレッシュ運転時の加熱流路10のガス入口10aの高温ガスの温度が定常運転時よりも高くなるように高温ガスの温度が調整されてもよい。この場合、リフレッシュ運転時の加熱流路10を流れる高温ガス(フレッシュガス)は、定常運転時よりも高温で膨張しているので、定常運転時と比較して実流量が大きく、ダスト濃度も僅かであるが低下している。
【0056】
つまり、本発明に係るロータリーキルンの運転方法は上記実施形態に限らず、ロータリーキルンの連続する定常運転の間にリフレッシュ運転を行い、そのリフレッシュ運転において、加熱流路10のガス出口10bの高温ガスのノルマル流量を定常運転時の値(又はその値から所定の範囲内)に維持しながら、定常運転時に加熱流路10を流れる高温ガスよりも温度が高く且つダスト濃度が低いフレッシュガスを、所定のリフレッシュ時間に亘って加熱流路10へ流すものであればよい。