特許第6865676号(P6865676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865676
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】光送信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2507 20130101AFI20210419BHJP
   H04B 10/516 20130101ALI20210419BHJP
【FI】
   H04B10/2507
   H04B10/516
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-253621(P2017-253621)
(22)【出願日】2017年12月28日
(65)【公開番号】特開2019-121840(P2019-121840A)
(43)【公開日】2019年7月22日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】石村 昇太
(72)【発明者】
【氏名】田中 和樹
(72)【発明者】
【氏名】西村 公佐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正敏
【審査官】 対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−003813(JP,A)
【文献】 XU L. et al.,Fiber Dispersion Induced RF Power Fading Compensated Microwave Photonic Filter with A Tunable Single Passband,2017 Opto-Electronics and Communications Conference (OECC) and Photonics Global Conference (PGC),IEEE,2017年 8月
【文献】 ISHIMURA S. et al.,1.032-Tb/s CPRI-Equivalent Data Rate Transmission using IF-over-Fiber System for High Capacity Mobile Fronthaul Links,2017 European Conference on Optical Communication (ECOC),2017年 9月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00−10/90
H04J 14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1連続光を第1ポートに入力される信号に基づき位相変調して第1位相変調光信号を生成し、第2連続光を第2ポートに入力される信号に基づき位相変調して第2位相変調光信号を生成し、前記第1位相変調光信号と前記第2位相変調光信号とを合成して出力する光変調手段と、
入力される電気信号を第1電気信号及び第2電気信号に2分岐し、前記第1電気信号を前記第1ポートに入力し、前記第2電気信号を反転させた第3電気信号を前記第2ポートに入力する第1処理手段と、
入力される電気信号を第4電気信号及び第5電気信号に2分岐し、前記第4電気信号を前記第1ポートに入力し、前記第5電気信号を前記第2ポートに入力する第2処理手段と、
入力される電気信号を前記第1ポートに入力する第3処理手段と、
入力される電気信号を前記第2ポートに入力する第4処理手段と、
を備えていることを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
前記光変調手段は、入力される連続光を2分岐して前記第1連続光及び前記第2連続光を生成することを特徴とする請求項1に記載の光送信装置。
【請求項3】
前記第1ポートと前記第2ポートに同じ信号が入力されるとき、前記第1位相変調光信号と前記第2位相変調光信号の位相差は、π/2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光送信装置。
【請求項4】
前記光変調手段は、二電極型マッハツェンダ変調器であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光送信装置。
【請求項5】
入力される電気信号を、前記第1処理手段、前記第2処理手段、前記第3処理手段及び前記第4処理手段のいずれかの入力として振り分ける振分手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光送信装置。
【請求項6】
前記振分手段には、互いに帯域の異なる複数の電気信号が入力され、
前記振分手段は、前記複数の電気信号のそれぞれを前記第1処理手段、前記第2処理手段、前記第3処理手段及び前記第4処理手段のいずれかの入力として振り分けることを特徴とする請求項5に記載の光送信装置。
【請求項7】
前記振分手段は、前記複数の電気信号のそれぞれについて、電気信号の帯域と、当該電気信号を伝送する距離と、に基づき、当該電気信号を前記第1処理手段、前記第2処理手段、前記第3処理手段及び前記第4処理手段のいずれの入力とするかを判定することを特徴とする請求項6に記載の光送信装置。
【請求項8】
複数の電気信号の帯域が互いに異なる様に周波数変換を行って、前記振分手段に出力する変換手段をさらに備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載の光送信装置。
【請求項9】
前記第3処理手段及び前記第4処理手段は、それぞれ、前記入力される電気信号の振幅を調整する調整手段を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接検波方式を使用する光通信システムの光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいては、波長分散フェージングが生じる。また、波長分散フェージングにより、強度変調(IM)光信号(又は、振幅変調(AM)光信号)が位相変調(PM)光信号に変換され、PM光信号がIM(又は、AM)光信号に変換される、IM(AM)−PM変換と呼ばれる現象が生じることが知られている。例えば、光送信装置が送信したIM光信号は、伝送距離に応じて徐々にPM光信号に変化する。このPM光信号は、さらに伝送距離に応じて徐々にIM光信号に変化する。なお、このIM−PM変換は、周波数特性を有する。つまり、複数のIM光信号を波長多重して光送信装置から送信すると、所定の距離を伝送後においては、その一部がPM光信号になり、その一部がIM光信号のままであり、残りがその中間、つまり、強度変調及び位相変調された光信号になる。直接検波方式の光受信装置は、IM光信号の強度の変化を電気信号として取り出すため、強度が変化しないPM光信号を検出できない。したがって、光送信装置が送信したIM光信号がPM光信号に変換されるところで光受信装置が受光する様な場合、この光通信システムは動作できない。また、光送信装置が送信したIM光信号が、完全なPM光信号に変換されておらず、強度変調及び位相変調された光信号となるところで光受信装置が受光する様な場合、光受信装置は、光信号の強度の変化を取り出すことができるが、そのレベルは小さくなり信号対雑音比が劣化する。
【0003】
このため、非特許文献1は、光送信装置に強度変調器と位相変調器の2つの変調器を設け、伝送距離(光受信装置までの距離)と、信号の周波数帯域(信号帯域)に応じて、強度変調器と位相変調器のいずれかを使用する構成を開示している。これは、IM光信号からPM光信号への変換と、PM光信号からIM光信号への変換は、各周波数について、同じ伝送距離毎に生じるからである。具体的には、信号帯域が第1周波数帯域であるIM光信号を第1距離だけ伝送すると、当該IM光信号は完全なPM光信号になるものとする。この場合、信号帯域が第1周波数帯域であるPM光信号を第1距離だけ伝送すると、当該PM光信号は完全なIM光信号になる。この特性を利用し、非特許文献1は、送信する光信号の信号帯域と、光受信装置までの伝送距離に基づき、当該光信号に対して強度変調と位相変調のいずれを適用するかを決定している。
【0004】
また、非特許文献2は、二電極型マッハツェンダ変調器(Dual electrode Mach−Zehnder modulator:DEMZM)とデジタル信号処理を用いて、伝送路で発生する分散の逆特性を有するような波形を発生させることで、波長分散を補償する構成を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】S.Ishimura,et al.,"1.032−Tb/s CPRI−equivalent data rate transmission using IF−over−Fiber system for high capacity mobile fronthaul links",in European Conference on Optical Communication(ECOC2017),Th.PDP.B.6、2017年
【非特許文献2】R.I.Killey,et al.,"Electronic dispersion compensation by signal predistortion using digital processing and a dual−drive Mach−Zehnder modulator"、IEEE Photon.Technol.Lett.,vol.17,714−16、2005年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1の構成では、強度変調器と位相変調器の2つの変調器を必要とし、光送信装置のコストが高くなる。また、非特許文献1の構成では、周波数帯域と伝送距離によっては、IM光信号とPM光信号のどちらを送信しても、光受信装置においては、その中間の光変調信号となる場合が生じる。その様な場合、光受信装置が直接検波して出力する電気信号のレベル(信号検出レベル)は小さくなる(劣化する)。一方、非特許文献2の構成では、完全な分散補償が可能であり、信号検出レベルの劣化は生じないが、広帯域の信号処理が必要となり、光送信装置のコストの大幅な増加を招く。
【0007】
本発明は、安価な構成で、光受信装置による信号検出レベルの劣化を抑えることができる光送信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によると、光送信装置は、第1連続光を第1ポートに入力される信号に基づき位相変調して第1位相変調光信号を生成し、第2連続光を第2ポートに入力される信号に基づき位相変調して第2位相変調光信号を生成し、前記第1位相変調光信号と前記第2位相変調光信号とを合成して出力する光変調手段と、入力される電気信号を第1電気信号及び第2電気信号に2分岐し、前記第1電気信号を前記第1ポートに入力し、前記第2電気信号を反転させた第3電気信号を前記第2ポートに入力する第1処理手段と、入力される電気信号を第4電気信号及び第5電気信号に2分岐し、前記第4電気信号を前記第1ポートに入力し、前記第5電気信号を前記第2ポートに入力する第2処理手段と、入力される電気信号を前記第1ポートに入力する第3処理手段と、入力される電気信号を前記第2ポートに入力する第4処理手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、安価な構成で、光受信装置による信号検出レベルの劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による光送信装置の構成図。
図2】一実施形態による光変調器の動作の説明図。
図3】20km伝送後の各変調信号の周波数応答を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0012】
図1は、本実施形態による光送信装置の構成図である。周波数変換部1には、複数の電気信号が入力される。この電気信号は、後述する様に、連続光を変調するための信号であり、以下では変調信号と呼ぶ。変調信号は、それぞれが情報を搬送している。周波数変換部1は、複数の変調信号それぞれの周波数帯域が重ならない様に、各変調信号の周波数変換を行い、周波数変換後の各変調信号を振分部2に出力する。振分部2は、各変調信号を、分岐部3、調整部4、調整部5、分岐部6のいずれかに振り分ける。
【0013】
分岐部3は、入力される変調信号を同じ振幅レベルで2分岐し、一方を合波部8に出力し、他方を反転部7に出力する。反転部7は、入力される変調信号の波形を反転させて、反転された変調信号を合波部9に出力する。
【0014】
調整部4は、入力される変調信号の振幅を√2倍にして、振幅調整後の変調信号を合波部8に出力する。調整部5は、入力される変調信号の振幅を√2倍にして、振幅調整後の変調信号を合波部9に出力する。
【0015】
分岐部6は、入力される変調信号を同じ振幅レベルで2分岐し、一方を合波部8に出力し、他方を合波部9に出力する。
【0016】
合波部8は、入力される各変調信号を合波して第1合波信号を生成し、この第1合波信号を二電極型マッハツェンダ変調器(DEMZM)10のポートAに印加する。合波部9は、入力される各変調信号を合波して第2合波信号を生成し、この第2合波信号をDEMZM10のポートBに印加する。
【0017】
図2は、DEMZM10による光変調方法の説明図である。DEMZM10の光ポートINには、図示しない光源から連続光が入力される。DEMZM10の光ポートINに入力された連続光は、第1経路301を通過する第1連続光と、第2経路302を通過する第2連続光に2分岐される。第1経路301を通過した第1連続光と、第2経路302を通過した第2連続光は、再度、合波されてDEMZM10の光ポートOUTから出力される。ここで、ポートA及びポートBへのDCバイアス電圧は、第1連続光と第2連続光との位相差がπ/2で合波される様に、印加されている。(以下、このDCバイアス電圧を、直交バイアス電圧と呼ぶ。)図2(B)は、ポートA及びポートBに直交バイアス電圧が印加されている場合の第1連続光100と第2連続光200を複素平面上で示したものである。
【0018】
DEMZM10のポートAには、直交バイアス電圧に加えて変調信号が印加される。つまり、直交バイアス電圧と変調信号を加算した電圧が印加される。この変調信号により、複素平面上において、第1連続光100は、直交バイアス電圧のみが印加された状態を起点とし、変調信号の振幅に比例してI軸との角度が変化する。つまり、DEMZM10は、ポートAに入力される変調信号に基づき第1連続光100を位相変調する。同様に、ポートBにも、直交バイアス電圧に加えて変調信号が印加される。この変調信号により、複素平面上において、第2連続光200は、直交バイアス電圧のみが印加された状態を起点とし、変調信号の振幅に比例してI軸との角度が変化する。つまり、DEMZM10は、ポートBに入力される変調信号に基づき第2連続光200を位相変調する。なお、ポートA及びポートBに印加する変調信号が同じ場合の、I軸との角度の変化量は同じものとする。
【0019】
したがって、DEMZM10のポートA及びポートBに振幅値が同じで、かつ、正負が逆転した変調信号を印加すると、第1連続光100と第2連続光200は、複素平面上においてI軸に対して対称に変化し、よって、その合波光は、I軸上を移動する。つまり、この場合、DEMZM10の光ポートOUTから出力される合波光は、印加された変調信号により強度変調された光信号(IM光信号)となる。なお、このIM光信号は、チャープパラメータα=0に対応する。
【0020】
また、DEMZM10のポートA及びポートBに同じ変調信号を印加すると、第1連続光100と第2連続光200の合波光は、変調信号の振幅に比例して等振幅でI軸との角度のみが変化する。つまり、この場合、DEMZM10の光ポートOUTから出力される合波光は、印加された変調信号により位相変調された光信号(PM光信号)となる。なお、このPM光信号は、チャープパラメータα=+∞又は−∞に対応する(なお、以下では、α=+∞又は−∞を、纏めて∞と表記する)。
【0021】
また、DEMZM10のポートAのみに変調信号を印加すると、第1連続光100と第2連続光200の合波光は、複素平面上において振幅とI軸との角度の両方が変化する。つまり、この場合、DEMZM10の光ポートOUTから出力される合波光は、印加された変調信号により強度・位相光変調された信号(以下、第1IPM光信号と呼ぶ。)となる。なお、この第1IPM光信号は、チャープパラメータα=−1に対応する。
【0022】
また、DEMZM10のポートBのみに変調信号を印加すると、第1連続光100と第2連続光200の合波光は、複素平面上において振幅とI軸との角度の両方が変化する。つまり、この場合、DEMZM10の光ポートOUTから出力される合波光は、印加された変調信号により強度・位相光変調された信号(以下、第2IPM光信号と呼ぶ。)となる。なお、この第2IPM光信号は、チャープパラメータα=+1に対応する。
【0023】
図1の構成において、分岐部3に入力された変調信号は、2分岐され、その一方は、合波部8を介してDEMZM10のポートAに印加され、他方は、反転部7で反転された後、合波部9を介してDEMZM10のポートBに印加される。したがって、DEMZM10は、分岐部3に入力された変調信号で連続光を強度変調し、IM光信号を出力する。同様に、分岐部6に入力された変調信号は、2分岐され、その一方は、合波部8を介してDEMZM10のポートAに印加され、他方は、合波部9を介してDEMZM10のポートBに印加される。したがって、DEMZM10は、分岐部9に入力された変調信号で連続光を位相変調し、PM光信号を出力する。
【0024】
また、調整部4に入力された変調信号は、合波部8を介してDEMZM10のポートAのみに印加される。したがって、DEMZM10は、調整部4に入力された変調信号で連続光を強度・位相変調し、第1IPM光信号を出力する。同様に、調整部5に入力された変調信号は、合波部9を介してDEMZM10のポートBのみに印加される。したがって、DEMZM10は、調整部5に入力された変調信号で連続光を強度・位相変調し、第2IPM光信号を出力する。
【0025】
DEMZM10は、実際には、上記4つの変調光信号がまざった光信号を出力するが、各変調信号の周波数帯域は、周波数変換部1での周波数変換により互いに重ならない様にされているため、DEMZM10が出力する変調光信号において、各変調信号は、周波数軸上では重なりを持たないことになる。なお、図2(B)から明らかな様に、DEMZM10が出力するIM光信号及びPM光信号の振幅は、それぞれ、第1連続光100及び第2連続光200の√2倍になる。調整部4、5において、入力される変調信号を、それぞれ、√2倍にするのは各変調光のパワーの差を抑えるためである。
【0026】
図3は、チャープパラメータαが0、∞、1、−1である変調光信号を20km伝送して直接検波、つまり、光電変換を行って得られる電気信号の周波数応答特性を示している。なお、上述した様に、チャープパラメータα=0はIM光信号に対応し、α=∞はPM光信号に対応し、α=−1は第1IPM光信号に対応し、α=1は、第2IPM光信号に対応する。
【0027】
図3に示す様に、IM光信号は14GHzにおいて大きく落ち込み、PM光信号は20GHzにおいて大きく落ち込み、第1IPM光信号は10GHzにおいて大きく落ち込み、第2IPM光信号は17GHzにおいて大きく落ち込んでいる。これは、送信した各変調光信号が、それら周波数において、PM光信号となっているからである。一方、IM光信号は20GHzにおいて良好に検出され、PM光信号は14GHzにおいて良好に検出され、第1IPM光信号は17GHzにおいて良好に検出され、第2IPM光信号は10GHzにおいて良好に検出される。この良好に検出される周波数は、それら周波数において、送信した各変調信号が、IM光信号となっていることを示している。
【0028】
また、図3から明らかな様に、各変調光信号の周波数特性の最も高い部分だけを見ると、周波数に応じて若干の変動があるものの、その変動量は、非特許文献1の構成(α=0とα=∞のみを使用)より小さい。本実施形態において、振分部2は、図3に示す特性を有しており、入力される変調信号の周波数(信号帯域)に応じて、4つの変調方式から光受信装置において最も良好に検出される変調方式を選択し、対応するパス、つまり、分岐部3からのパス、調整部4からのパス、調整部5からのパス、分岐部6からのパスのいずれかに出力する。この構成により、1つの光変調器を使用して、複数種類の光変調信号を合成した信号を送信でき、かつ、各光変調信号の光受信装置による信号検出レベルの劣化を抑えることができる。
【0029】
なお、本発明の光送信装置は、例えば、P−P型の光通信システムに適用することができる。この場合、伝送距離は、光受信装置の設置位置に応じて決まるため、例えば、その伝送距離に対応する周波数応答特性(図3)を振分部2に設ければよい。また、本発明の光送信装置は、PON等のP−MP型の光通信システムに適用することができる。この場合、光送信装置は、複数の光受信装置に光信号を送信し、各光受信装置までの伝送距離は、光受信装置毎に異なる。この場合、各伝送距離に対応する周波数応答特性(図3)を振分部2に設ければよい。また、図3に示す様な周波数応答特性を振分部2に設けるのではなく、伝送距離により振分部2が、図3に示す様な周波数応答特性を計算する構成とすることもできる。さらに、オペレータが、図3に示す周波数応答特性に基づき、各変調信号の周波数と、どの変調方式を使用するかを決定して、周波数変換部1及び振分部2に設定する構成とすることもできる。この場合、周波数変換部1は設定に従い周波数変換し、振分部2は、設定に従い振分を行う。
【0030】
なお、図1の構成において、分岐部3からDEMZM10までのパス(DEMZM10は除く)は、第1処理部を構成している。また、分岐部6からDEMZM10までのパス(DEMZM10は除く)は、第2処理部を構成している。さらに、調整部4からDEMZM10までのパス(DEMZM10は除く)は、第3処理部を構成している。さらに、調整部5からDEMZM10までのパス(DEMZM10は除く)は、第4処理部を構成している。そして、振分部2は、入力される変調信号を、第1処理部、第2処理部、第3処理部、第4処理部のいずれかに向けて出力する。なお、振分部2は、ユーザ設定に従い、或いは、入力される変調信号の周波数帯域とその伝送距離に応じて、入力される変調信号を、第1処理部、第2処理部、第3処理部、第4処理部のいずれかに向けて出力する。
【0031】
また、図1の構成において、振分部2、分岐部3、調整部4、調整部5、分岐部6、反転部7、合波部8、合波部9は、DEMZM10を駆動する駆動部を構成している。そして、この駆動部は、入力される変調信号の周波数帯域と、当該変調信号を伝送する距離と、に応じて選択したチャープパラメータの光変調信号を出力する様に、当該変調信号に基づきDEMZM10を駆動する様に構成されている。或いは、駆動部は、周波数変換部1から入力される、互いに帯域の異なる複数の変調信号それぞれに関連付けられたチャープパラメータの設定値を保持し、前記複数の変調信号それぞれについて、前記関連付けられたチャープパラメータの光変調信号を出力する様にDEMZM10を駆動する様に構成されている。
【符号の説明】
【0032】
3、6:分岐部、4、5:調整部、7:反転部、8、9:合波部、10:二電極型マッハツェンダ変調器
図1
図2
図3