(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865678
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】縦断的特徴に基づく関心組織の健康状態の分類
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20210419BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20210419BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20210419BHJP
【FI】
A61B5/00 G
A61B6/03 370Z
G06T7/00 350B
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-513516(P2017-513516)
(86)(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公表番号】特表2017-532998(P2017-532998A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】IB2015057433
(87)【国際公開番号】WO2016059493
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年9月27日
(31)【優先権主張番号】62/062,977
(32)【優先日】2014年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ボロツキー リラ
(72)【発明者】
【氏名】ウィムカー ラファエル
【審査官】
増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0274338(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0092064(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/102661(WO,A2)
【文献】
特表2006−511880(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0173027(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0081386(US,A1)
【文献】
国際公開第2005/081168(WO,A2)
【文献】
韓国公開特許第10−2017−0026656(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/01
A61B 6/00−6/14
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムの作動方法であって、
前記コンピュータシステムのプロセッサが、対象の少なくとも一つの画像ペアにおける当該対象の関心組織の健康状態を、当該対象の少なくとも一つの画像ペアにおける当該対象の関心組織の縦断的特徴の既定セットに基づいて、決定するステップと、
前記プロセッサが、決定された健康状態を示すサインを視覚的に表示するステップと、を有し、
前記対象の少なくとも一つの画像ペアが、第一の瞬間において収集される前記関心組織の第一の画像と、第二の瞬間において収集される前記関心組織の第二の画像とを含み、
前記関心組織の縦断的特徴は、前記第一の瞬間と前記第二の瞬間との間の前記関心組織における変化であり、前記関心組織の縦断的特徴の既定セットが、前記関心組織の形状の変化、前記関心組織の辺縁の変化、前記関心組織のテクスチャの変化、前記関心組織の血管分布の変化、前記関心組織の構造の変化、前記関心組織の併存疾患の変化、又は前記関心組織の同時罹患の変化のうち一つ以上を含む、
コンピュータシステムの作動方法。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記対象の少なくとも一つの画像ペアをレジストレーションするステップと、
前記プロセッサが、レジストレーションされた少なくとも一つの画像ペアにおいて少なくとも一つの関心ボリュームを識別するステップであって、前記関心組織が前記少なくとも一つの関心ボリュームに位置する、ステップと、
前記プロセッサが、識別された少なくとも一つの関心ボリュームから縦断的特徴の既定セットを抽出するステップと、
前記プロセッサが、抽出された縦断的特徴のセットを分類することによって前記関心組織の健康状態を決定するステップと
をさらに有する、請求項1に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記対象についての非画像データを取得するステップと、
前記プロセッサが、前記抽出された縦断的特徴のセットと前記非画像データとを分類することによって前記関心組織の健康状態を決定するステップと
をさらに有する、請求項2に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項4】
前記非画像データが、デモグラフィックス、病歴、家族歴、リスクファクター、分子検査結果、又は遺伝子検査結果のうち一つ以上を含む、請求項3に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記少なくとも一つの画像ペアから前記関心組織の縦断的特徴の既定セットの縦断的特徴を決定するステップをさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項6】
前記プロセッサが、決定された健康状態に基づいて、既定の範囲の数値スコアで、数値スコアを決定するステップをさらに有し、当該範囲の第一のスコアは疾患がないことを示し、当該範囲の第二のスコアは疾患があることを示し、前記サインを視覚的に表示するステップが前記数値スコアを視覚的に表示するステップを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項7】
前記数値スコアが疾患の重篤度を示す、請求項6に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記既定の範囲の数値スコアの異なるサブ範囲を、異なる重篤度と異なる色にマッピングするマップを作成するステップと、
前記プロセッサが、当該マップに基づくスコアを示す色でグラフィックのサインを視覚的に表示するステップと
をさらに有する、請求項6又は7に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項9】
前記健康状態の分布が、地理的地域、年齢、性別、リスク型、又は同時罹患のうちの少なくとも一つによって層別化される、請求項8に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項10】
前記プロセッサが、組織の画像ペアの訓練データのセットを受信するステップであって、各ペアが異なる瞬間において収集される画像を含み、前記訓練データの第一のサブセットが組織の第一の既知の健康状態を含み、前記訓練データの少なくとも第二のサブセットが組織の少なくとも第二の既知の健康状態を含む、ステップと、
前記プロセッサが、前記訓練データのセットにおいて画像をレジストレーションするステップと、
前記プロセッサが、レジストレーションされた前記訓練データのセットの画像において前記関心組織を識別するステップと、
前記プロセッサが、前記レジストレーションされた訓練データのセットの画像において前記関心組織の縦断的特徴の既定セットをトレンディングするステップと、
前記プロセッサが、関連特徴のセットをあらわす特徴のセットのサブセットを選択するステップと、
前記プロセッサが、前記訓練データのセットと、選択された特徴のセットのサブセットとに基づいて分類器を作成し訓練するステップであって、前記分類器が一つ以上のサブ分類器を含む、ステップと
をさらに有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項11】
前記プロセッサが、前記対象についての非画像データを取得するステップと、
前記プロセッサが、抽出された縦断的特徴のセットと前記非画像データを分類することによって前記関心組織の健康状態を決定するステップと
をさらに有する、請求項10に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項12】
前記プロセッサが、画像ペア間の特徴の差を決定することによって前記縦断的特徴の既定セットをトレンディングするステップをさらに有する、請求項10又は11に記載のコンピュータシステムの作動方法。
【請求項13】
画像データ処理モジュールの命令を保存するメモリと、
当該命令を実行するプロセッサと
を有するコンピュータシステムであって、
当該命令は当該プロセッサに、
対象の少なくとも一つの画像ペアにおける当該対象の関心組織の健康状態を、当該対象の少なくとも一つの画像ペアにおける当該対象の関心組織の縦断的特徴の既定セットに基づいて、分類させ、
決定された健康状態を示すサインを視覚的に表示させ、
前記対象の少なくとも一つの画像ペアが、第一の瞬間において収集される前記関心組織の第一の画像と、第二の異なる瞬間において収集される前記関心組織の第二の画像とを含み、
前記関心組織の縦断的特徴は、前記第一の瞬間と前記第二の瞬間との間の前記関心組織における変化であり、前記関心組織の縦断的特徴の既定セットが、前記関心組織の形状の変化、前記関心組織の辺縁の変化、前記関心組織のテクスチャの変化、前記関心組織の血管分布の変化、前記関心組織の構造の変化、前記関心組織の併存疾患の変化、又は前記関心組織の同時罹患の変化のうち一つ以上を含む、
コンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は概してコンピュータ支援診断(CADx)に、より具体的には、対象の画像ペアにおける縦断的特徴(longitudinal feature)と非画像ベース臨床情報とに基づいて対象の関心組織の健康状態を分類することに関し、特にコンピュータ断層撮影(CT)に応用して説明される。しかしながら、超音波(US)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、磁気共鳴イメージング(MRI)など、他のイメージングモダリティが本明細書で考慮される。
【背景技術】
【0002】
好調ながん生存傾向とがん治療の進歩にもかかわらず、早期がん診断は予後良好のために不可欠である傾向がある。他方で、がんの偽陽性診断は合併症の可能性、過剰治療、患者不安、回避可能コストなどを伴う不要手術につながり得る。コンピュータ支援診断(CADx)システムは、臨床医(例えば放射線科医)の診断能の向上を目的として、肺がん、乳がん、前立腺がんなどといった様々ながん診断において臨床医を支援し得る。
【0003】
CADxシステムは臨床医を支援するために、単一のイメージングモダリティから、又は複数の異なるイメージングモダリティの組み合わせからの画像データを使用してきた。かかるイメージングモダリティの例は、超音波(US)、コンピュータ断層撮影(CT)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、磁気共鳴イメージング(MRI)などを含んでいる。デモグラフィックス、病歴及び家族歴、リスクファクター、分子遺伝子検査などの非イメージングデータも使用されている。残念ながら、CADxシステムは現在のイメージング研究のみに基づく支援を提供してきた。
【0004】
例として、放射線科医が患者の現在の肺画像において異常(例えば肺結節)を識別すると、放射線科医は識別された結節の生検若しくは所定時間間隔でのイメージングフォローアップなど、後続アクションのための勧告を提供する必要がある。肺がんCADxシステムは現在画像(及びオプションとして非画像データ)を処理し、それに基づいて結果を生成し、これが、放射線科医が現在画像上で患者の診断を形成することを支援し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に記載の態様は上記問題などに対処する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、方法は、コンピュータ実装分類器で、対象の少なくとも一つの画像ペアにおける対象の関心組織の健康状態を、対象の少なくとも一つの画像ペアにおける対象の関心組織の縦断的特徴の既定セットに基づいて、決定するステップを含む。対象の少なくとも一つの画像ペアは、第一の瞬間において収集される関心組織の第一の画像と、第二の瞬間において収集される関心組織の第二の画像を含む。第一及び第二の瞬間は異なる瞬間である。方法は決定された健康状態を示すサイン(indicia)を視覚的に表示するステップをさらに含む。
【0007】
別の態様において、コンピュータシステムは画像データ処理モジュールの命令を保存するメモリと、命令を実行するプロセッサとを含む。命令を実行するプロセッサは、対象の少なくとも一つの画像ペアにおける対象の関心組織の健康状態を、対象の少なくとも一つの画像ペアにおける対象の関心組織の縦断的特徴の既定セットに基づいて分類する。対象の少なくとも一つの画像ペアは、第一の瞬間において収集される関心組織の第一の画像と、第二の瞬間において収集される関心組織の第二の画像とを含む。第一及び第二の瞬間は異なる瞬間である。命令を実行するプロセッサは、さらに決定された健康状態を示すサインを視覚的に表示する。
【0008】
別の態様において、コンピュータ可読記憶媒体がコンピュータ可読命令でエンコードされる。コンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、各ペアが異なる瞬間において収集される画像を含む、組織の画像ペアの訓練データセットを受信させ、訓練データの第一のサブセットは組織の第一の既知の健康状態を含み、訓練データの少なくとも第二のサブセットは、組織の少なくとも第二の既知の、異なる健康状態を含み;訓練データセットにおいて画像をレジストレーションさせ;レジストレーションされた訓練データセット画像において関心組織を識別させ;レジストレーションされた訓練データセット画像において関心組織の縦断的特徴の既定セットをトレンディング(trend)させ;関連特徴のセットをあらわす特徴のセットのサブセットを選択させ;訓練データセットと、選択された特徴のセットのサブセットとに基づいて分類器を作成させ、分類器は一つ以上のサブ分類器を含む。
【0009】
本発明は様々な構成要素と構成要素の配置で、及び様々なステップとステップの配置で具体化し得る。図面は好適な実施形態を例示する目的に過ぎず、本発明を限定するものと解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】イメージングシステムと接続した、画像データ処理モジュールを伴うコンピュータシステムを概略的に図示する。
【
図2】画像データ処理モジュールの一実施例を概略的に図示する。
【
図3】訓練データセットの縦断的特徴に基づいて関心組織の健康状態を決定する一つ以上の分類器を訓練するための方法例を図示する。
【
図4】評価データセットの縦断的特徴に基づいて関心組織の健康状態を決定する一つ以上の分類器を利用するための方法例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1はコンピュータ断層撮影(CT)スキャナなどのイメージングシステム100を図示する。
【0012】
別の実施形態において、イメージングシステム100は、超音波(US)、ポジトロン放出断層撮影(PET)、単光子放出断層撮影(SPECT)、X線、磁気共鳴イメージング(MRI)などのイメージングシステムといった、異なるイメージングモダリティを含む。別の実施形態は、個々のイメージングシステム及び/又は二つの異なるモダリティを伴うハイブリッドイメージングシステムを含む、一つより多くの(同じ若しくは異なる)イメージングシステム100を含む。
【0013】
図示のイメージングシステム100は一般に固定ガントリ102と、固定ガントリ102によって回転可能に支持され、z軸まわりに検査領域106まわりを回転する回転ガントリ104とを含む。x線管などの放射線源108が回転ガントリ104によって回転可能に支持され、回転ガントリ104とともに回転し、検査領域106を横断する放射線を発する。
【0014】
検出器アレイ110は、放射線源108に対して検査領域106の反対側の角度のある円弧に対し、検査領域106を横断する放射線を検出し、それを示す投影データを生成する。長椅子などの対象支持台112は対象若しくはオブジェクトを検査領域106内で支持し、スキャンと協調して動くことができる。
【0015】
再構成器114は画像データを生成する投影データを再構成する。データリポジトリ116はイメージングシステム100及び/又は他のイメージングシステムからの画像データを保存する。リポジトリの例は、画像保存通信システム(PACS)、放射線医学情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)、電子医療記録(EMR)、データベース、サーバなどを含む。データはDigital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)、Health Level 7(HL7)などを介して送信され得る。
【0016】
汎用コンピュータシステムがオペレータコンソール118として機能する。コンソール118はシステム100のローカル若しくはリモートのコンピュータ可読記憶媒体に保存若しくはエンコードされる一つ以上のコンピュータ可読命令(ソフトウェア)を実行する一つ以上のプロセッサを含む。コンソール118に常駐するソフトウェアは、オペレータがイメージングプロトコルの選択、スキャン開始などといったシステム100の動作を制御することを可能にする。
【0017】
コンピュータシステム122は、一時的媒体を除き、物理メモリ及び/又は他の非一時的媒体を含む、コンピュータ可読記憶媒体("メモリ")126に保存される少なくとも一つのコンピュータ可読命令を実行する、少なくとも一つのプロセッサ124(例えばマイクロプロセッサ、中央処理ユニットなど)を含む。マイクロプロセッサ124は搬送波、信号若しくは他の一時的媒体によって搬送される一つ以上のコンピュータ可読命令も実行し得る。命令は、この実施例において、画像データ処理モジュール132を含む。
【0018】
以下により詳細に記載の通り、この画像データ処理モジュール132は、一例として、プロセッサ124に少なくとも二つの異なる時間において収集される画像データを処理させ(例えば初期収集と三ヵ月後のフォローアップ収集)、そこから関心組織(例えば腫瘍)の縦断的特徴若しくは特性変化を抽出させ、抽出された縦断的特徴を利用して関心組織の健康状態(例えば良性若しくは悪性、悪性度など)を決定させる、命令を実行する。
【0019】
縦断的特徴の例は、ボリュームの変化、テクスチャの変化、組成の変化、形状の変化、辺縁の変化などを含む。他の縦断的変化及び/又は特性も本明細書で考慮される。かかる情報は特定の健康状態の確率を示し得る。従って、コンピュータシステム122は、現在画像のみを処理し早期収集画像を処理しない構成に対し、改良された結果を提供し得る。
【0020】
別の実施形態において、画像データ処理モジュール132は事前収集画像のみの、現在画像のみの、及び/又は事前収集画像と現在画像の組み合わせの、健康状態を決定し、出力装置130を介して、三つの結果の一つ以上を視覚的に提示することができ、これらは臨床医によって観察及び/又はレビューされ得る。そして臨床医はモジュール132の視点から変化の傾向を見ることができる。モジュール132は付加的に非画像データを処理し得る。
【0021】
コンピュータシステム122は表示モニタ、フィルマーなどといった出力装置130と、マウス、キーボードなどといった入力装置128をさらに含む。コンピュータシステム122はイメージングシステム100から分離し(図示の通り)、コンソール118の一部であり、システム全体に分散し得る。一例としてコンピュータシステム122はコンピュータ支援診断(CADx)システムの一部であるか及び/又はCADxシステムを形成することができる。
【0022】
図2は画像データ処理モジュール132の一実施例を概略的に図示する。
【0023】
画像データ処理モジュール132は、入力として、一つ以上の訓練データセット202と評価データセット240を受信する。一つ以上の訓練データセット202は少なくとも縦断的特徴、又は縦断的特徴及び/又は関心組織の特性の変化に基づいて、分類器を訓練するために使用される。一つ以上の訓練データセット202は関心組織を含むボリュームの画像と関心組織なしのボリュームの画像に対応する画像ペアを含み、両方の場合の画像は二つの異なる時点で収集される。一つ以上の訓練データセット202は非画像データも含み得る。
【0024】
評価データセット204は、画像ペア、例えば患者の事前に収集された画像と現在収集された画像を含み、これは訓練された分類器を用いて評価される。一例として、二つの収集は例えば、関心組織ががんなどの腫瘍を含むことが疑われる、初期収集とフォローアップ収集(例えば三ヵ月後)に対応する。評価データセット204は非画像データも含み得る。非画像データの例は、デモグラフィックス、病歴、家族歴、リスクファクター、分子検査結果、遺伝子検査結果などを含む。
【0025】
画像データ処理モジュール132はレジストレーションコンポーネント206をさらに含む。レジストレーションコンポーネント206は一つ以上の訓練データセット202における画像と評価データセット204における画像とを空間的にコレジストレーションする。図示の実施形態において、レジストレーションコンポーネント206はレジストレーションアルゴリズムバンク208からのアルゴリズムを利用し、これはアフィン変換及び/又は弾性変換を含む既知の及び/又は他のレジストレーション技術を含む。アフィン変換は一般に線形変換であり、回転、スケーリング、並進などを含み、弾性変換は一般にワーピングも許可し、放射基底関数、物理的連続体モデル、大変形モデルなどを含む。
【0026】
画像データ処理モジュール132は関心ボリューム(VOI)識別コンポーネント210をさらに含む。VOI識別コンポーネント210は一つ以上の訓練データセット202と評価データセット204のコレジストレーション画像において一つ以上のVOIを識別する。一例として、VOI識別コンポーネント210はコンピュータ支援検出アプローチを用いて自動アプローチを利用する。このアプローチで、VOI識別コンポーネント210は識別アルゴリズムバンク212からのアルゴリズムを利用し、これは既知の及び/又は他の識別技術を含む。別の例において、VOI識別コンポーネント210はユーザ入力を利用する。さらに別の例において、VOI識別コンポーネント210は自動アプローチとユーザ入力の組み合わせを利用する。
【0027】
画像データ処理モジュール132はセグメンテーションコンポーネント214をさらに含む。セグメンテーションコンポーネント214は一つ以上の訓練データセット202と評価データセット204のコレジストレーション画像において識別されたVOIをセグメント化する。図示の実施形態において、セグメンテーションコンポーネント214はセグメンテーションアルゴリズムバンク216からのアルゴリズムを利用し、これは自動、手動、若しくは半自動(例えばコンピュータが初期輪郭を生成してユーザがそれを修正する)三次元(3D)セグメンテーションアプローチを含む、既知の及び/又は他のセグメンテーション技術を含む。
【0028】
画像データ処理モジュール132は特徴抽出コンポーネント218をさらに含む。特徴抽出コンポーネント218は一つ以上の訓練データセット202と評価データセット204のセグメント化領域及び/又は周辺関心組織から特徴を抽出する。図示の実施形態において、特徴抽出コンポーネント218は特徴抽出アルゴリズムバンク220からのアルゴリズムを利用し、これは既知の及び/又は他の特徴抽出技術を含む。
【0029】
適切な特徴の例は、限定されないが、形状(例えば円形、卵形、不整形など)、辺縁(例えば平滑、スピキュラなど)、テクスチャ(例えば充実性、半充実性若しくは非充実性結節)、関心組織周辺組織の血管特徴(例えば結節周辺血管の血管特徴)、臓器の構造上の特徴(例えば臓器形状及び実質解析)、関心組織併存疾患(co‐existence)(例えば結節の総数、空間分布、コンステレーションなど)、同時罹患(co‐morbidity)特徴(肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など)、並びに一つ以上の他の特徴を含む。
【0030】
特徴抽出アルゴリズム例が、2007年9月18日出願の"Advanced computer‐aided diagnosis of lung nodules"と題する出願番号12/441,950に記載され、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。別の特徴抽出アルゴリズム例が2009年9月9日出願の"System and method for fusing clinical and image features for computer‐aided diagnosis"と題する出願番号13/061,959に記載され、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。特徴を抽出するための他のアプローチも本明細書で考慮される。
【0031】
画像データ処理モジュール132は縦断的トレンディングコンポーネント222を含む。訓練に関して、縦断的トレンディングコンポーネント222は一つ以上の訓練データセット202について、その中の画像及び/又は非画像情報も含め、縦断的傾向を計算する。一例として、これは特徴値の差分若しくはパーセンテージ変化を計算すること、又は充実性結節から非充実性結節への変化を"1"とするなど、カテゴリー変化の値を割り当てることを含む。図示の実施形態において、縦断的トレンディングコンポーネント222は縦断的トレンディングアルゴリズムバンク224からのアルゴリズムを利用し、これは既知の及び/又は他の縦断的トレンディング技術を含む。
【0032】
画像データ処理モジュール132は特徴選択コンポーネント226をさらに含む。訓練に関して、特徴選択コンポーネント226は特徴選択アルゴリズム228からの特徴選択アルゴリズムを適用し、これは訓練データセットと選ばれた分類器を用いて可能な全特徴から最も関連する特徴のセットを識別する。適切なアルゴリズムの例は、限定されないが、全数検索、遺伝的アルゴリズム、前進若しくは後退消去アルゴリズムなどを含む。
【0033】
画像データ処理モジュール132は分類器生成コンポーネント230をさらに含む。訓練に関して、分類器生成コンポーネント230は選択された特徴を用いて、関心組織の健康状態を推定する一つ以上の分類器を構築し訓練する。図示の実施形態において、分類器生成コンポーネント230は分類器アルゴリズムバンク232からのアルゴリズムを利用し、これは既知の及び/又は他の分類器技術を含む。適切な分類器の例は、限定されないが、線形回帰、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン、決定木などを含む。分類器のアンサンブルは、限定されないが、ランダムフォレストなどの決定木のアンサンブルを含む。
【0034】
画像データ処理モジュール132は評価コンポーネント234をさらに含む。評価に関して、評価コンポーネント234は作成され訓練された分類器の一つ以上を利用して評価データセット204の画像から関心組織の健康状態を決定する。評価コンポーネント234は評価結果を示す信号(すなわちそれを示す健康状態スコア若しくはサイン)を生成する。評価のためにアンサンブルを用いるとき、健康状態は健康状態推定の大多数、健康状態推定の平均などとして導出され得る。
【0035】
画像データ処理モジュール132はロジック238をさらに含む。評価に関してロジック238は信号をフォーマットし出力する。信号は出力装置130の表示モニタを介して視覚的に提示され得る、及び/又は別の装置へ伝達され得る。図示の実施形態において、ロジック238は提示アルゴリズムバンク240からのアルゴリズムを利用する。例えば、一つのアルゴリズムで、ロジック238は数値スコアを視覚的に提示する。例えば、スコアは0.0から1.0の範囲であり得、0.0のスコアは疾患がない(例えば腫瘍が良性である)ことを示し、1.0のスコアは疾患がある(例えば腫瘍が悪性である)ことを示す。
【0036】
別の実施例において、ロジック238はカラーコーディング及びグラフィックのサインでスコアを視覚的に提示する。例えば、一実施例において、スコアはスコアを三つの個別の色へ閾値化することに基づいて交通信号灯として視覚的に提示される(緑:例えばスコア<0.25;黄色:0.25〜0.75のスコア;赤:スコア>0.75)。別の例において、スコアは連続カラーバーとして視覚的に提示される(例えば緑から黄色、オレンジを経て赤;緑は0.0のスコアをあらわし、赤は1.0のスコアをあらわす)。別の実施例において、ロジック238は、地理的地域、年齢、性別、リスク型、同時罹患によって潜在的に層別化される、他の(匿名)症例の疾患分布の背景上にスコアを視覚的に提示する。
【0037】
図3は縦断的特徴に基づいて一つ以上の分類器を作成するための方法例を例示する。
【0038】
動作の順序は限定するものではないことが理解されるものとする。従って、他の順序が本明細書で考慮される。加えて、一つ以上の動作が省略されてもよく、及び/又は一つ以上の追加動作が含まれてもよい。
【0039】
302において、訓練データセットが取得される。
【0040】
本明細書で記載の通り、これは関心組織(例えば腫瘍)を伴う(例えば事前に収集された及び現在収集された)画像ペアのサブセットと、関心組織を伴わない(例えば事前に収集された及び現在収集された)異なる画像ペアのサブセットを含む。
【0041】
304において、画像がレジストレーションされる。
【0042】
306において、一つ以上の関心ボリュームがレジストレーション画像において識別される。
【0043】
308において、特徴のセットが関心ボリュームについてトレンディングされる。
【0044】
310において、特徴のセットのサブセットが選択される。
【0045】
312において、本明細書に記載の通り及び/又は他の方法で、訓練データセットと特徴のサブセットとを用いて一つ以上の分類器が作成され、訓練される。
【0046】
オプションとして、一つ以上の分類器を作成し訓練するために非画像データが付加的に使用され得る。
【0047】
上記は、コンピュータプロセッサによって実行されるときに上記動作をプロセッサに実行させる、コンピュータ可読記憶媒体上にエンコードされる若しくは埋め込まれるコンピュータ可読命令によって実現され得る。付加的に若しくは代替的に、コンピュータ可読命令の少なくとも一つは信号、搬送波若しくは他の一時的媒体によって搬送される。
【0048】
図4は縦断的特徴に基づく
図3の一つ以上の分類器を利用するための方法例を例示する。
【0049】
動作の順序は限定するものではないことが理解されるものとする。従って、他の順序が本明細書で考慮される。加えて、一つ以上の動作が省略されてもよく、及び/又は一つ以上の追加動作が含まれてもよい。
【0050】
402において、評価データセットが取得される。
【0051】
本明細書に記載の通り、これは異なる瞬間において(例えば三ヶ月差で)収集される領域の少なくとも一つの画像ペアを含む。
【0052】
404において、画像がレジストレーションされる。
【0053】
406において、一つ以上の関心ボリュームがレジストレーション画像において識別される。
【0054】
408において、特徴の既定セットが各関心ボリュームから抽出される。
【0055】
オプションとして、非画像データが取得され得る。
【0056】
410において、抽出された特徴の既定セットに基づいて評価データセットを評価するために分類器が使用される。
【0057】
412において、結果が視覚的に提示される。
【0058】
上記は、コンピュータプロセッサによって実行されるときに上記動作をプロセッサに実行させる、コンピュータ可読記憶媒体上にエンコードされる若しくは埋め込まれるコンピュータ可読命令によって実現され得る。付加的に若しくは代替的に、コンピュータ可読命令の少なくとも一つは信号、搬送波若しくは他の一時的媒体によって搬送される。
【0059】
本発明は好適な実施形態を参照して記載されている。先の詳細な説明を読んで理解することで修正及び変更が想到され得る。本発明はかかる修正及び変更を、それらが添付の請求項若しくはその均等物の範囲内にある限り全て含むように構成されることが意図される。