【文献】
Clin. Cancer Res., 2013, Vol.19, No.12, p.3153-3164
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒト抗受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)抗体またはその抗原結合性フラグメントであって、重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖可変(VH)領域を含み、
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号27、28、および29記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、34、および35記載のアミノ酸配列を含むか;または
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、34、および52記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、34、および55記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、34、および53記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、34、および56記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、34、および61記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、34、および59記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、171、および60記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号162、170、および50記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号162、170、および51記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号161、169、および54記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号159、167、および57記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号160、168、および58記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号158、166、および62記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号27、164および68記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号27、164および64記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号27、164および66記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号156、34、および35記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号158、166および63記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号158、166および65記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号157、165および67記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号163、173および69記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号163、173および174記載のアミノ酸配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号160、172および71記載のアミノ酸配列を含むか;または
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ配列番号33、34および70記載のアミノ酸配列を含む、
ヒト抗受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)抗体またはその抗原結合性フラグメント。
ROR1発現がんが、B細胞白血病、リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、腎細胞癌、大腸がん、直腸結腸がん、乳がん、扁平上皮細胞がん、黒色腫、骨髄腫、胃がん、脳がん、肺がん、膵がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、副腎がんおよび頭頸部がんからなる群より選択される、請求項21記載の使用のための組成物。
【発明を実施するための形態】
【0068】
詳細な説明
ROR1結合分子、例えば抗体(例えば重鎖可変(VH)領域や、scFvを含む一本鎖フラグメントなどの、抗原結合性抗体フラグメントを含む)、および組換え受容体、例えばそのような抗体およびフラグメントを含有するキメラ受容体、そのような抗体およびフラグメントをコードする核酸、ならびにこれらの抗体およびフラグメントを発現する、そしてこれらの抗体およびフラグメントを生産するための、細胞、例えば組換え細胞が提供される。本発明は、前記抗体およびフラグメントを発現しまたは含有する細胞を製造し使用する方法も提供する。
【0069】
I. ROR1結合分子
いくつかの局面では、ROR1結合分子、例えばROR1結合性ポリペプチドが提供される。そのような結合分子には、ヒトROR1タンパク質などのROR1タンパク質に特異的に結合する抗体(抗原結合性フラグメントを含む)が包含される。結合分子には、そのような抗体を含有するポリペプチド、例えばそのような抗体を含有する一本鎖細胞表面タンパク質、例えばキメラ抗原受容体などの組換え受容体も含まれる。
【0070】
A. ROR1抗体
抗ROR1抗体(機能的抗体フラグメントを含む)が提供される。いくつかの態様において、抗体には、軽鎖抗原結合部位とペアを形成していなくても、かつ/または追加の抗体ドメインもしくは結合部位がなくても、ROR1に特異的に結合する能力を有する、可変重鎖を含有する単一ドメイン抗体であるものが含まれる。抗体には、単一ドメイン抗体のV
Hドメインまたはその抗原結合部位から構成される、多ドメイン抗体、例えばV
HドメインおよびV
Lドメインを有するものも含まれる。いくつかの態様において、抗体には、scFvなどの、可変重鎖および可変軽鎖が含まれる。抗体には、ROR1(例えばヒトROR1)に特異的に結合する抗体が含まれる。ここに提供する抗ROR1抗体にはヒト抗体が含まれる。抗体には単離された抗体が含まれる。分子には単離された分子が含まれる。そのような抗体を含有する分子、例えば一本鎖タンパク質、融合タンパク質、および/または抗原受容体を含むキメラ受容体などの組換え受容体も提供される。
【0071】
本明細書において「抗体」という用語は最も広義に使用され、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を包含し、インタクトな抗体および機能的(抗原結合性)抗体フラグメント、例えばFab(fragment antigen binding)フラグメント、F(ab')
2フラグメント、Fab'フラグメント、Fvフラグメント、組換えIgG(rIgG)フラグメント、抗原に特異的に結合する可変重鎖(V
H)領域、一本鎖可変フラグメント(scFv)および単一ドメイン抗体(例えばsdAb、sdFv、ナノボディ)フラグメントを含む一本鎖抗体フラグメントを包含する。この用語は、遺伝子改変型および/または他の形で修飾された形態の免疫グロブリン、例えばイントラボディ(intrabody)、ペプチボディ(peptibody)、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性(例えば二重特異性)抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムジ-scFv、タンデムトリ-scFvを包含する。別段の明示がある場合を除き、「抗体」という用語は、その機能的抗体フラグメントを包含すると理解すべきである。この用語は、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgA、ならびにIgDなど、任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、インタクトな抗体、すなわち完全長抗体も包含する。
【0072】
「相補性決定領域」および「CDR」という用語が「超可変領域」または「HVR」と同義であって、抗原特異性および/または結合アフィニティーを付与する抗体可変領域内の不連続なアミノ酸の配列を指すことは、当技術分野において公知である。一般に、各重鎖可変領域中に3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)が存在し、各軽鎖可変領域中に3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)が存在する。「フレームワーク領域」および「FR」が、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指すことは、当技術分野において公知である。一般に、各完全長重鎖可変領域中に4つのFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3、およびFR-H4)が存在し、各完全長軽鎖可変領域中に4つのFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3、およびFR-L4)が存在する。
【0073】
所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列の境界は、Kabat et al.(1991)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(「Kabat」ナンバリングスキーム)、Al-Lazikani et al., (1997)JMB 273,927-948(「Chothia」ナンバリングスキーム)、MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745(1996)「Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography」J. Mol. Biol. 262, 732-745(「コンタクト」ナンバリングスキーム)、Martin et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 86:9268-9272 (1989)(“AbM” numbering scheme)、Lefranc MP et al.「IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains」Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」ナンバリングスキーム)、およびHonegger A and Pluckthun A「Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool」J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」ナンバリングスキーム)に記載されているものを含めて、いくつかある周知のスキームのいずれかを使って容易に決定することができる。
【0074】
所与のCDRまたはFRの境界は、同定に使用するスキームに依存して変動しうる。例えば、Kabatスキームは構造アライメントに基づき、一方、Chothiaスキームは構造情報に基づく。KabatスキームとChothiaスキームはどちらのナンバリングも最も一般的な抗体領域配列長に基づいており、挿入には挿入文字、例えば「30a」で適応し、一部の抗体には欠失が現れる。これら2つのスキームは一定の挿入および欠失(「インデル」)を異なる位置に置くことで、差異のあるナンバリングをもたらす。コンタクトスキームは、複合体結晶構造の解析に基づき、多くの点でChothiaナンバリングスキームに類似している。
【0075】
Kabat、Chothia、およびコンタクトスキームによってそれぞれ規定されるCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3およびCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3の例示的位置境界を、下記表1に列挙する。CDR-H1については、KabatナンバリングスキームとChothiaナンバリングスキームの両方を使って残基ナンバリングを列挙する。FRは、例えばFR-L1がCDR-L1とCDR-L2の間に位置するなど、CDRの間に位置する。表示のKabatナンバリングスキームは挿入をH35AおよびH35Bに置くので、Chothia CDR-H1ループの末端は、表示のKabatナンバリング法を使ってナンバリングすると、ループの長さに依存してH32とH34の間で変動することに注意されたい。
【0076】
(表1)
1 - Kabat et al.(1991)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD
2 - Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273, 927-948
【0077】
したがって、別段の指定がある場合を除き、所与の抗体またはその一領域(例えばその可変領域)の「CDR」、すなわち「相補性決定領域」、または個々の指定されたCDR(例えばCDR-H1、CDR-H2)は、上述のスキームのいずれかによって規定される相補性決定領域(またはその指定相補性決定領域)を包含すると理解すべきである。例えば、ある特定CDR(例えばCDR-H3)が所与のV
Hアミノ酸配列またはV
Lアミノ酸配列中の対応するCDRのアミノ酸配列を含有するという場合、そのようなCDRは上述のスキームのいずれかによって規定される可変領域内の対応するCDR(例えばCDR-H3)の配列を有すると理解すべきである。いくつかの態様では、特異的なCDR配列が明示される。
【0078】
同様に、別段の指定がある場合を除き、所与の抗体またはその一領域(例えばその可変領域)のFRまたは個々の指定されたFR(例えばFR-H1、FR-H2)は、公知のスキームのいずれかによって規定されるフレームワーク領域(またはその指定フレームワーク領域)を包含すると理解すべきである。いくつかの例では、特定のCDR、FR、または複数のFRもしくは複数のCDRを同定するためのスキームが、Kabat、Chothia、またはコンタクト法によって規定されるCDRなどというように、指定される。他の場合には、CDRまたはFRの特定アミノ酸配列が与えられる。
【0079】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体重鎖または抗体軽鎖のうち、抗原への抗体の結合に関与するドメインを指す。ネイティブ抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン(それぞれV
HおよびV
L)は一般に類似する構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つのCDRとを含んでいる(例えばKindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91(2007)を参照されたい)。抗原結合特性を付与するには単一のV
HドメインまたはV
Lドメインで十分でありうる。さらにまた、特定の抗原に結合する抗体は、その抗原に結合する抗体からのV
HドメインまたはV
Lドメインを使って、それぞれ相補的なV
LドメインまたはV
Hドメインのライブラリーをスクリーニングすることにより、単離することができる。例えばPortolano et al., J. Immunol. 150:880-887(1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628(1991)を参照されたい。
【0080】
ここに提供する抗体には抗体フラグメントが含まれる。「抗体フラグメント」とは、インタクトな抗体ではない分子であって、インタクトな抗体のうち、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する部分を含む分子を指す。抗体フラグメントの例には、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')
2;ダイアボディ;線状抗体;可変重鎖(V
H)領域;一本鎖抗体分子、例えばscFvおよび単一ドメインV
H単一抗体;および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体があるが、それらに限定されるわけではない。特定の態様において、抗体は、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む一本鎖抗体フラグメント、例えばscFvである。
【0081】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部または抗体の軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体フラグメントである。一定の態様において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。
【0082】
抗体フラグメントは、例えば限定するわけではないが、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化および組換え宿主細胞による生産などといった、さまざまな技法によって製造することができる。いくつかの態様において、抗体は組換え生産されたフラグメント、例えば自然には見いだされない編成を含むフラグメント、例えば2つ以上の抗体領域または抗体鎖が合成リンカー(例えばペプチドリンカー)で連結されているもの、および/または天然のインタクトな抗体の酵素消化では生産され得ないものである。いくつかの局面において、抗体フラグメントはscFvである。
【0083】
「ヒト化」抗体は、CDRアミノ酸残基のすべてまたは実質上すべてが非ヒトCDRに由来し、FRアミノ酸残基のすべてまたは実質上すべてがヒトFRに由来する抗体である。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来の抗体定常領域の少なくとも一部分を含みうる。非ヒト抗体の「ヒト化型」とは、典型的には、親非ヒト抗体の特異性およびアフィニティーを保ちつつヒトに対する免疫原性を低減するためにヒト化を受けた、非ヒト抗体の変異体を指す。いくつかの態様では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基が、例えば抗体の特異性またはアフィニティーを回復または改良するために、非ヒト抗体(例えばCDR残基の由来源である抗体)の対応残基で置換される。
【0084】
ここに提供する抗ROR1抗体にはヒト抗体が含まれる。「ヒト抗体」は、ヒトまたはヒト細胞によって生産されるアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を持つか、ヒト抗体レパートリーまたは他のヒト抗体コード配列(例えばヒト抗体ライブラリー)を利用する非ヒト供給源によって生産されるアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を持つ抗体である。非ヒト抗原結合領域を含む非ヒト抗体のヒト化型、例えばCDRのすべてまたは実質上すべてが非ヒトであるものは、この用語から除外される。この用語は、ヒト抗体の抗原結合断片を含む。
【0085】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を持つインタクトな抗体を生産するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって調製しうる。そのような動物は、典型的には、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部であって、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えているか、染色体外に存在するか、動物の染色体にランダムに組み込まれているものを含有する。そのようなトランスジェニック動物において内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に不活化されている。ヒト抗体は、ヒトレパートリーに由来する抗体コード配列を含有するファージディスプレイおよび無細胞ライブラリーを含むヒト抗体ライブラリーからも誘導されうる。
【0086】
ここに提供する抗体には、モノクローナル抗体(モノクローナル抗体フラグメントを含む)が含まれる。本明細書において使用する「モノクローナル抗体」という用語は、実質上均一な抗体の集団から得られる抗体またはそのような集団内にある抗体を指す。すなわち集団を構成する個々の抗体は、天然の突然変異を含有する変異体またはモノクローナル抗体調製物の生産中に生じる変異体が考えられる点を除けば同一であり、そのような変異体の存在量は一般に微量である。典型的には異なるエピトープを指向する異なる抗体を含むポリクローナル調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、ある抗原上の単一エピトープを指向する。この用語は、何らかの特定の方法による抗体の生産を必要とすると解釈してはならない。モノクローナル抗体は、例えば限定するわけではないが、ハイブリドーマからの生成、組換えDNA法、ファージディスプレイ、および他の抗体ディスプレイ法など、さまざまな技法によって製造しうる。
【0087】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために可換的に使用され、最小の長さに限定されることはない。ポリペプチド、例えばここに提供する抗体および抗体鎖、ならびに他のペプチド、例えばリンカーおよびROR-1結合ペプチドは、アミノ酸残基(天然アミノ酸残基および/または非天然アミノ酸残基を含む)を含みうる。これらの用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えばグリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化なども包含する。いくつかの局面において、ポリペプチドは、タンパク質が所望の活性を維持している限り、ネイティブ配列または天然配列に対する修飾を含有しうる。これらの修飾は、部位特異的突然変異導入によるもののように、意図的である場合もあるし、タンパク質を生産する宿主の突然変異によるもの、またはPCR増幅のエラーによるものなど、偶発的である場合もある。
【0088】
例示的抗体
いくつかの態様において、抗体、例えば抗ROR1抗体、例えば抗原結合性抗体フラグメントは、記載の重鎖および/もしくは軽鎖可変(V
HまたはV
L)領域配列またはその十分な抗原結合部分を含有する。いくつかの態様において、抗ROR1抗体、例えば抗原結合性抗体フラグメントは、記載のCDR-H1、CDR-H2および/またはCDR-H3を含有するV
H領域配列またはその十分な抗原結合部分を含有する。いくつかの態様において、抗ROR1抗体、例えば抗原結合性抗体フラグメントは、記載のCDR-L1、CDR-L2および/またはCDR-L2を含有するV
L領域配列または十分な抗原結合部分を含有する。いくつかの態様において、抗ROR1抗体、例えば抗原結合性抗体フラグメントは、記載のCDR-H1、CDR-H2および/またはCDR-H3を含有するV
H領域配列を含有し、記載のCDR-L1、CDR-L2および/またはCDR-L2を含有するV
L領域配列を含有する。ここに提供する抗体には、そのような配列に対して少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%または約90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一な配列を有するものが含まれる。
【0089】
いくつかの態様において、抗体、例えばその抗原結合性フラグメントは、SEQ ID NO:8、10、13、15、17または19に示すアミノ酸配列を有する、またはSEQ ID NO:8、10、13、15、17、もしくは19に示す重鎖可変(V
H)領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、V
H領域を有するか、またはそのようなV
H配列中に存在するCDR-H1、CDR-H2,および/またはCDR-H3を含有する。
【0090】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列:
を含有する重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)を含むものであり、ここで、X
1はD、V、Q、I、T、G、A、またはEであり; X
2はS、F、N、R、G、T、Y、D、Q、M、K、I、L、またはPであり; X
3はS、N、G、E、D、P、I、V、R、F、N、またはLであり; X
4はY、R、V、G、S、P、E、A、またはLであり; X
5はD、E、W、R、S、L、A、V、G、またはPであり; X
6はA、W、S、E、G、Y、R、F、H、V、D、S、またはQであり; X
7はF、Y、A、W、L、G、D、V、N、S、K、またはRであり; X
8はF、Y、H、E、L、W、V、N、I、D、またはヌルであり; X
9はF、L、V、S、E、W、G、P、Y、またはヌルであり; X
10はS、E、L、Y、W、F、N、G、P、またはヌルであり; X
11はY、V、L、F、I、W、N、またはヌルであり; X
12はF、Y、W、またはヌルであり; X
13はY、F、T、またはヌルであり; X
14はFまたはヌルであり; X
15はDまたはQであり;かつX
16はI、Y、またはPである。いくつかのそのような態様において、該CDR-H3では、X
1はDまたはVであり; X
2はSまたはFであり; X
3はS、N、G、またはEであり; X
4はY、R、またはVであり; X
5はD、E、W、またはRであり; X
6はA、Y、S、またはEであり; X
7はF、Y、またはAであり; X
8はF、Y、H、またはヌルであり; X
9はF、L、またはヌルであり; X
10はSまたはヌルであり; X
11はYまたはヌルであり; X
12はFまたはヌルであり; X
13はヌルであり; X
14はヌルであり; X
15はDであり;かつX
16はIまたはYである。いくつかのそのような態様において、該CDR-H3では、X
1はVまたはDであり; X
2はSまたはFであり; X
3はNまたはGであり; X
4はYまたはRであり; X
5はEまたはWであり; X
6はYまたはGであり; X
7はYであり; X
8はFまたはYであり; X
9はFまたはヌルであり; X
10はヌルであり; X
11はヌルであり; X
12はヌルであり; X
13はヌルであり; X
14はヌルであり; X
15はDであり;かつX
16はYである。
【0091】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列:
を含有するCDR-H3を含むものであり、ここで、X
1はDまたはVであり; X
2はSまたはFであり; X
3はS、N、G、またはEであり; X
4はY、R、またはVであり; X
5はD、E、W、またはRであり; X
6はA、Y、S、またはEであり; X
7はF、Y、またはAであり; X
8はF、Y、H、またはヌルであり; X
9はF、L、またはヌルであり; X
10はSまたはヌルであり; X
11はYまたはヌルであり; X
12はFまたはヌルであり;かつX
14はIまたはYである。
【0092】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列:
を含有するCDR-H3を含むものであり、ここで、X
1はVまたはDであり; X
2はSまたはFであり; X
3はNまたはGであり; X
4はYまたはRであり; X
5はEまたはWであり; X
6はYまたはGであり; X
8はFまたはYであり;かつX
9はFまたはヌルである。
【0093】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列:
を含有するCDR-H3を含むものであり、ここで、X
1はVまたはDであり; X
3はSまたはNであり; X
5はDまたはEであり; X
6はYまたはAであり; X
7はFまたはYであり; X
8はFまたはヌルであり;かつX
10はIまたはYである。
【0094】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列:
を含有するCDR-H3を含むものであり、ここで、X
2はSまたはNまたはRであり; X
3はNまたはGであり; X
4はYまたはGまたはSである。
【0095】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71または174に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。そのような実施例のいずれかにおいて、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209のいずれかに示すV
H領域配列であって、そこに含まれる対応するCDR-H3配列(例えばKabatナンバリングでアミノ酸残基H95〜H102に対応するもの)が、SEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71または174に示すCDR-H3配列で置き換えられているものを含有することができる。
【0096】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:22、29、35、45、または52に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:22、29または35に示すCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:29または35に示すCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:29または52に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H3内に含まれるCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8または10に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H3内に含まれるCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:10、13、15、17または19に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H3内に含まれるCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13、15または19に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H3内に含まれるCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13または15に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H3内に含まれるCDR-H3を含有する。
【0097】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列: X
1X
2X
3MX
5(SEQ ID NO:95)を含有する重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)を含むものであり、ここで、X
1はS、D、またはNであり; X
2はYまたはAであり; X
3はY、A、またはWであり;かつX
5はHまたはSである。いくつかの態様において、該CDR-H1では、X
1はDまたはNであり; X
2はYまたはAであり; X
3はAまたはWであり;かつX
5はSである。
【0098】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列: X
1X
2X
3MS(SEQ ID NO:97)を含有するCDR-H1を含むものであり、ここで、X
1はDまたはNであり; X
2はYまたはAであり;かつX
3はAまたはWである。
【0099】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:20、27、33、155、156、157、158、159、160、161、162または163に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:269、270、271、272、273、274、275、276、277、278または279に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:75、77、79、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289または290に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:20、27、33、75、77、79、269、270または271に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:27、33、77、79、270または271に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:74、76または78に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H1内に含まれるCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8または10に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H1内に含まれるCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:10、13、15、17または19に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H1内に含まれるCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13、15または19に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H1内に含まれるCDR-H1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13または15に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H1内に含まれるCDR-H1を含有する。
【0100】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列:
を含有する重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)を含むものであり、ここで、X
1はI、S、またはRであり; X
3はN、S、またはKであり; X
4はP、G、またはSであり; X
5はKまたはヌルであり; X
6はTまたはヌルであり; X
7はS、D、またはNであり; X
9はGまたはRであり; X
10はSまたはTであり; X
12はSまたはDであり; X
13はYまたはHであり; X
15はQ、D、またはAであり; X
16はK、Y、またはPであり; X
17はFまたはVであり;かつX
18はQまたはKである。いくつかの態様において、該CDR-H2では、X
1はSまたはRであり; X
3はSまたはKであり; X
4はGまたはSであり; X
5はKまたはヌルであり; X
6はTまたはヌルであり; X
7はSまたはDであり; X
9はGまたはRであり; X
10はSまたはTであり; X
12はDであり; X
13はYまたはHであり; X
15はDまたはAであり; X
16はYまたはPであり; X
17はFであり;かつX
18はKである。
【0101】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
H領域は、アミノ酸配列:
を含有するCDR-H2を含むものであり、ここで、X
1はI、S、またはRであり; X
3はN、S、またはKであり; X
4はP、G、またはSであり; X
5はKまたはヌルであり; X
6はTまたはヌルであり; X
7はS、D、またはNであり; X
9はGまたはRであり; X
10はSまたはTであり; X
12はSまたはDであり; X
13はYまたはHであり; X
15はQ、D、またはAであり; X
16はK、Y、またはPであり; X
17はFまたはVであり;かつX
18はQまたはKである。
【0102】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:21、26、28、34、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173または318に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302または303に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316または317に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:21、26、28、34、291、292、293、294、304、305、306、307に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:26、28、34、291、292、294、304、305または307に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:28、34、291、292、304または305に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:80、81、82または83に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H2内に含まれるCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8または10に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H2内に含まれるCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:10、13、15、17または19に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H2内に含まれるCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13、15または19に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H2内に含まれるCDR-H2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13または15に示すV
H領域アミノ酸配列のCDR-H2内に含まれるCDR-H2を含有する。
【0103】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:20、27、33、155、156、157、158、159、160、161、162または163に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1、SEQ ID NO:21、26、28、34、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173または318に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2、およびSEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71または174に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:269、270、271、272、273、274、275、276、277、278または279に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1、SEQ ID NO:291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302または303に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2、およびSEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71または174に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:75、77、79、280、281、282、283、284、285、286、287、288または289に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1、SEQ ID NO:304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316または317に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2、およびSEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71または174に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。
【0104】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:20、27、33、75、77、79、269、270、または271に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1、SEQ ID NO:21、26、28、34、291、292、293、294、304、305 306または307に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2、およびSEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71または174に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:20、27、33、75、77、79、269、270、または271に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1、SEQ ID NO:21、26、28、34、291、292、293、294、304、305 306または307に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2、およびSEQ ID NO:22、29、35または52に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:27、33、77、79、269、271に示すアミノ酸配列を有するCDR-H1、SEQ ID NO:28、34、291、292、304または305に示すアミノ酸配列を有するCDR-H2、およびSEQ ID NO:29または352に示すアミノ酸配列を有するCDR-H3を含有する。
【0105】
いくつかの態様において、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:20、21、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:20、26、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:27、28、および29の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、34、および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、34、および52の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:27、164および45の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:27、164および68の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:27、164および64の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:27、164および66の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、318、および35の配列を有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、34および70の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、34および55の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、34および53の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、34および56の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、34および61の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、34および59の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、171および60の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:155、34および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:156、34および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:162、170および50の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:162、170および51の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:161、169および54の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:159、167および57の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:160、168および58の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:158、166および62の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:158、166および63の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:158、166および65の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:157、165および67の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:163、173および69の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:160、172、71の配列を含有するか、またはCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:160、172、174の配列を含有する。
【0106】
いくつかの態様において、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:269、293、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:269、294、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:270、292、および29の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291、および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291、および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291、および52の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291、および52の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:270、296および45の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:270、296および68の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:270、296および64の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:270、296および66の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、295、および35の配列を有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、295、および35の配列を有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291および70の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291および70の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291および55の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291および55の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291および53の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291および53の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291および56の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291および56の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291および61の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291および61の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291および59の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291および59の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291および60の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:276、291および60の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:274、291および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:275、291および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:273、302および50の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:273、302および51の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:279、301および54の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:277、299および57の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:278、300および58の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:273、298および62の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:273、298および63の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:273、298および65の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:272、297および67の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:273、303および69の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:278、300、71の配列を含有するか、またはCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:278、300、174の配列を含有する。
【0107】
いくつかの態様において、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:75、306、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:75、307、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:77、305、および29の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304、および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304、および52の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:77、309および45の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:77、309および68の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:77、309および64の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:77、309および66の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、308、および35の配列を有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304および70の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304および55の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:284、304および55の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304および53の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304および56の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304および61の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304および59の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304および60の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:280、304および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:283、304および35の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:288、315および50の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:288、315および51の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:287、314および54の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:285、312および57の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:286または289、313および58の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:282、311および62の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:282、311および63の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:282、311および65の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:281、310および67の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:290、317および69の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:286または289、316、71の配列を含有するか、またはCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:286または289、316、174の配列を含有する。
【0108】
いくつかの態様において、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:20、80、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:20、83、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:27、81、および29の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、82、および35の配列を含有するか、またはCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:33、82、および52の配列を含有する。
【0109】
いくつかの態様において、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:269、293、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:269、294、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:270、292、および29の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291、および35の配列を含有するか、またはCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:271、291、および52の配列を含有する。
【0110】
いくつかの態様において、CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:75、306、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:75、307、および22の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:77、305、および29の配列を含有するか、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304、および35の配列を含有するか、またはCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3は、それぞれSEQ ID NO:79、304、および52の配列を含有する。
【0111】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、または19に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8または10に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:10、13、15、17または19に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13、15または19に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13または15に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3を含有する。
【0112】
いくつかの態様において、V
H領域は、記載のCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3のいずれかを含有し、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すV
H領域アミノ酸配列に示すフレームワーク領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含有するフレームワーク領域を含有する。いくつかの態様において、抗ROR1抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3、ならびにSEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含有するフレームワーク領域を含有することができる。
【0113】
いくつかの態様において、V
H領域は、記載のCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3のいずれかを含有し、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、または19に示すV
H領域アミノ酸配列に示すフレームワーク領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含有するフレームワーク領域を含有する。例えば、抗ROR1抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、または19に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3、ならびにSEQ ID NO:8、10、13、15、17、または19に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含有するフレームワーク領域を含有することができる。
【0114】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すアミノ酸の配列を有するV
H領域を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17または19に示すアミノ酸の配列を有するV
H領域を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:10、13、15または19に示すアミノ酸の配列を有するV
H領域を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13、15または19に示すアミノ酸の配列を有するV
H領域を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:13または15に示すアミノ酸の配列を有するV
H領域を含有する。
【0115】
そのような配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有する抗体も提供される。
【0116】
いくつかの態様において、抗体は、V
H領域配列のみ、例えば上述のV
H領域配列のいずれか、またはその十分な抗原結合部分のみを含有する単一ドメイン抗体(sdAb)である。
【0117】
いくつかの態様において、V
H領域を含有する抗ROR1抗体は、軽鎖またはその十分な抗原結合部分を、さらに含有する。例えばいくつかの態様において、抗体は、V
H領域およびV
L領域、またはV
H領域およびV
L領域の十分な抗原結合部分を含有する。そのような態様において、V
H領域配列は、上述のV
H配列のいずれかであることができる。いくつかのそのような態様において、抗体は、FabまたはscFvなどの抗原結合性フラグメントである。いくつかのそのような態様において、抗体は、定常領域も含有する完全長抗体またはインタクト抗体である。
【0118】
いくつかの態様において、抗体、例えばその抗原結合性フラグメントは、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247または248に示すアミノ酸配列またはSEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247もしくは248に示すV
H領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。いくつかの態様において、抗体、例えばその抗原結合性フラグメントは、SEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸配列またはSEQ ID NO:14、16、もしくは18に示すV
H領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変(VL)領域を有する。
【0119】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
L領域は、アミノ酸配列:
を含有する軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含むものであり、ここで、X
1はQ、A、またはKであり; X
2はQ、V、A、またはSであり; X
3はY、W、またはLであり; X
4はE、D、K、またはNであり; X
5はS、D、N、またはGであり; X
6はL、T、S、D、R、またはYであり; X
7はP、G、L、S、N、またはTであり; X
8はD、S、N、またはヌルであり; X
9はH、G、L、またはヌルであり; X
10はY、P、V、R、H、またはLであり;かつX
11はT、V、S、またはMである。いくつかの態様において、該CDR-L3では、X
1はQまたはAであり; X
2はQ、V、またはAであり; X
3はYまたはWであり; X
4はEまたはDであり; X
5はSまたはDであり; X
6はL、T、またはSであり; X
7はP、G、またはLであり; X
8はD、S、またはヌルであり; X
9はH、G、またはヌルであり; X
10はY、P、またはVであり;かつX
11はTまたはVである。
【0120】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
L領域は、アミノ酸配列:
を含有する軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含むものであり、ここで、X
1はQまたはAであり; X
2はQ、V、またはAであり; X
3はYまたはWであり; X
4はEまたはDであり; X
5はSまたはDであり; X
6はL、T、またはSであり; X
7はP、G、またはLであり; X
8はD、S、またはヌルであり; X
9はH、G、またはヌルであり; X
10はY、P、またはVであり;かつX
11はTまたはVである。
【0121】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、49、232または233に示すアミノ酸配列を有するCDR-L3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247または248に示すV
L領域配列であって、そこに含まれる対応するCDR-L3配列(例えばKabatナンバリングでアミノ酸残基L89〜L97に対応するもの)が、SEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、49、232または233に示すCDR-L3配列で置き換えられているものを含有することができる。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すV
L領域配列であって、そこに含まれる対応するCDR-L3配列(例えばKabatナンバリングでアミノ酸残基L89〜L97に対応するもの)がSEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、および49に示すCDR-L3配列で置き換えられているものを含有することができる。
【0122】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:25、32、または38に示すアミノ酸配列を有するCDR-L3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すV
L領域アミノ酸配列のCDR-L3内に含まれるCDR-L3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:32または38に示すアミノ酸配列を有するCDR-L3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14または16に示すV
L領域アミノ酸配列のCDR-L3内に含まれるCDR-L3を含有する。
【0123】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
L領域は、アミノ酸配列:
を含有する軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)を含むものであり、ここで、X
1はQ、G、またはSであり; X
2はAまたはGであり; X
4はQ、N、またはSであり; X
5はSまたはヌルであり; X
6はNまたはヌルであり; X
7はDまたはIであり; X
8はIまたはGであり; X
10はNまたはEであり; X
11はYまたはSであり; X
12はLまたはVであり;かつX
13はNまたはYである。
【0124】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:23、30、36、210、211、212、213、214、215、217、216、218、219または220に示すアミノ酸配列を有するCDR-L1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247または248に示すV
L領域アミノ酸配列のCDR-L1内に含まれるCDR-L1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:23、30、または36に示すアミノ酸配列を有するCDR-L1を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すV
L領域アミノ酸配列のCDR-L1内に含まれるCDR-L1を含有する。
【0125】
いくつかの態様において、抗ROR1抗体のV
L領域は、X
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7(SEQ ID NO:102)のアミノ酸配列を含有する軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)を含むものであり、ここで、X
1はDまたはRであり; X
2はA、T、またはNであり; X
3はS、T、またはNであり; X
4はY、D、またはQであり; X
5はLまたはRであり; X
6はEまたはPであり;かつX
7はTまたはSである。
【0126】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:24、31、37、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230または231に示すアミノ酸配列を有するCDR-L2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247または248に示すV
L領域アミノ酸配列のCDR-L2内に含まれるCDR-L2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:24、31、または37に示すアミノ酸配列を有するCDR-L2を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すV
L領域アミノ酸配列のCDR-L2内に含まれるCDR-L2を含有する。
【0127】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:23、30、36、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219または220に示すアミノ酸配列を有するCDR-L1、SEQ ID NO:24、31、37、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230または231に示すアミノ酸配列を有するCDR-L2、およびSEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、49または233に示すアミノ酸配列を有するCDR-L3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:23、30、または36に示すアミノ酸配列を有するCDR-L1、SEQ ID NO:24、31、または37に示すアミノ酸配列を有するCDR-L2、およびSEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48 49または233に示すアミノ酸配列を有するCDR-L3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:23、30、または36に示すアミノ酸配列を有するCDR-L1、SEQ ID NO:24、31、または37に示すアミノ酸配列を有するCDR-L2、およびSEQ ID NO:25、32または38に示すアミノ酸配列を有するCDR-L3を含有する。
【0128】
いくつかの態様において、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:23、24、および25の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:30、31、および22の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:36、37、および38の配列を含むか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:216、227、および40の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:218、229、および39の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:219、230、および43の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:220、231、および46の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:210、221、および49の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:210、221、および233の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:211、222、および48の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:212、223、および42の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:214、225、および232の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:215、226、および44の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:217、228、および41の配列を含有するか、CDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:36、37、および38の配列を含有するか、またはCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3は、それぞれSEQ ID NO:213、224、および47の配列を含有する。
【0129】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245 246、247または248に示すV
L領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すV
L領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14または16に示すV
L領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含有する。
【0130】
いくつかの態様において、V
L領域は、記載のCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3のいずれかを含有し、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245 246、247または248に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含有するフレームワーク領域を含有する。例えば抗ROR1抗体は、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245 246、247または248に示すV
L領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3、ならびにSEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245 246、247または248に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含有するフレームワーク領域を含有することができる。
【0131】
いくつかの態様において、V
L領域は、記載のCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3のいずれかを含有し、SEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含有するフレームワーク領域を含有する。例えば抗ROR1抗体は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すV
L領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-L1、CDR-L2およびCDR-L3、ならびにSEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含有するフレームワーク領域を含有することができる。
【0132】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245 246、247または248に示すアミノ酸の配列を有するV
L領域を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸の配列を有するV
L領域を含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、SEQ ID NO:14または16に示すアミノ酸の配列を有するV
L領域を含有する。
【0133】
そのような配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有する抗体も提供される。
【0134】
いくつかの態様において、抗体またはフラグメントのV
H領域は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すアミノ酸配列を含み、抗体またはフラグメントのV
L領域は、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245 246、247または248に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはフラグメントのV
H領域は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17または19に示すアミノ酸配列を含み、抗体またはフラグメントのV
L領域は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはフラグメントのV
H領域は、SEQ ID NO:10、13、15または19に示すアミノ酸配列を含み、抗体またはフラグメントのV
L領域は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはフラグメントのV
H領域は、SEQ ID NO:13、15または19に示すアミノ酸配列を含み、抗体またはフラグメントのV
L領域は、SEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはフラグメントのV
H領域は、SEQ ID NO:13または15に示すアミノ酸配列を含み、抗体またはフラグメントのV
L領域は、SEQ ID NO:14または16に示すアミノ酸配列を含む。
【0135】
そのような配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有する抗体も提供される。
【0136】
いくつかの態様において、抗体のV
H領域は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含有し、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245 246、247または248に示す軽鎖可変(VL)領域アミノ酸配列内に含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列を含有する。いくつかの態様において、抗体のV
H領域は、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、または19に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含有し、SEQ ID NO:14、16、または18に示す軽鎖可変(VL)領域アミノ酸配列内に含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列を含有する。いくつかの態様において、抗体のV
H領域は、SEQ ID NO:10、13、15、17、または19に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含有し、SEQ ID NO:14、16、または18に示す軽鎖可変(VL)領域アミノ酸配列内に含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列を含有する。いくつかの態様において、抗体のV
H領域は、SEQ ID NO:13、15または19に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含有し、SEQ ID NO:14、16、または18に示す軽鎖可変(VL)領域アミノ酸配列内に含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列を含有する。いくつかの態様において、抗体のV
H領域は、SEQ ID NO:13または15に示すV
H領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含有し、SEQ ID NO:14または16に示す軽鎖可変(VL)領域アミノ酸配列内に含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列を含有する。
【0137】
いくつかの態様において、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:19および18のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:17および18のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:15および16のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:13および14のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:182および242のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:182および246のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:182および247のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:185および248のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:186および248のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:175および234のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:175および235のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:176および236のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:176および237のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:177および238のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:179および240のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:180および241のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:181および241のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:183および243のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:183および244のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:184および243のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:184および244のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:183および245のアミノ酸配列を含むか、抗体またはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:184および245のアミノ酸配列を含むか、または抗体もしくはフラグメントのV
H領域およびV
L領域は、それぞれSEQ ID NO:178および239のアミノ酸配列を含む。
【0138】
そのような配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有する抗体も提供される。
【0139】
いくつかの態様において、抗体は、一本鎖抗体フラグメント、例えばscFvまたはダイアボディまたはVHのみの単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、一本鎖抗体は、2つの抗体ドメインまたは領域、例えば可変重鎖(VH)領域と可変軽鎖(V
L)を接合する、1つまたは複数のリンカーを含む。リンカーは、典型的には、ペプチドリンカー、例えば柔軟なおよび/または可溶性のペプチドリンカーである。リンカーには、グリシンおよびセリンならびに/または場合によってはスレオニンに富むものが含まれる。いくつかの態様において、リンカーはさらに、可溶性を改良することができるリジンおよび/またはグルタミン酸などの荷電残基を含む。いくつかの態様において、リンカーはさらに、1つまたは複数のプロリンを含む。
【0140】
したがって、ここに提供する抗ROR1抗体は、一本鎖抗体フラグメント、例えばscFvおよびダイアボディ、特にヒト一本鎖フラグメント、典型的には、2つの抗体ドメインまたは領域、例えばV
HドメインおよびV
Lドメインを接合するリンカーを含むものである。リンカーは、典型的にはペプチドリンカー、例えば柔軟なおよび/または可溶性のペプチドリンカー、例えばグリシンおよびセリンに富むものである。
【0141】
いくつかの局面において、グリシンおよびセリン(および/またはスレオニン)に富むリンカーは、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のそのようなアミノ酸を含む。いくつかの態様において、それらは、少なくとも50%、55%、60%、70%、もしくは75%のまたは約50%、55%、60%、70%、もしくは75%のグリシン、セリン、および/またはスレオニンを含む。いくつかの態様において、リンカーは、実質上もっぱらグリシン、セリン、および/またはスレオニンで構成される。リンカーは一般に約5〜約50アミノ酸長であり、典型的には、少なくとも10アミノ酸長または約10アミノ酸長〜少なくとも30アミノ酸長または約30アミノ酸長、例えば10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸長、いくつかの例では10〜25アミノ酸長である。例示的なリンカーには、さまざまな数の配列GGGGS(4GS; SEQ ID NO:111)またはGGGS(3GS; SEQ ID NO:112)の繰り返し、例えばそのような配列の2、3、4〜5回の繰り返しを有するリンカーが含まれる。例示的なリンカーには、
に示す配列を有するもの、または同配列からなるものが含まれる。さらに例示的なリンカーには、
に示す配列を有するもの、または同配列からなるものも含まれる。
【0142】
したがって、いくつかの態様において、ここに提供する態様には、上述のリンカー、例えばグリシン/セリンリッチリンカー(GGGSまたはGGGGSの繰り返しを有するリンカーを含む)、例えばSEQ ID NO:91として示すリンカーの1つまたは複数を含む一本鎖フラグメント、例えばscFvが包含される。
【0143】
いくつかの態様において、リンカーは、SEQ ID NO:91に示す配列を含有するアミノ酸配列を有する。フラグメント、例えばscFvは、V
H領域またはその一部分と、それに続くリンカーと、それに続くV
Lまたはその一部分を含みうる。フラグメント、例えばscFvは、V
Lと、それに続くリンカーと、それに続くVHを含みうる。
【0144】
いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267または268に示すアミノ酸配列を有するか、SEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267または268に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一である配列を有する。いくつかの局面において、scFvは、SEQ ID NO:2、4、6、または12に示すアミノ酸配列を有するか、SEQ ID NO:2、4、6、または12に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な配列を有する。いくつかの局面において、scFvは、SEQ ID NO:4または6に示すアミノ酸配列を有するか、SEQ ID NO:4または6に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な配列を有する。
【0145】
いくつかの局面において、scFvは、SEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267または268に示すVH、リンカーおよびVL、またはそのような配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または約少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な配列を含有するが、そのVHおよびVLは、そのような配列と比べて反対の配向、すなわちVL-VHになるように構成されている。いくつかの局面において、scFvは、SEQ ID NO:2、4、6または12に示すアミノ酸配列を有するか、SEQ ID NO:2、4、6または12に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な配列を有するが、そのVHおよびVLは、そのような配列と比べて反対の配向、すなわちVL-VHになるように構成されている。いくつかの態様において、scFvはSEQ ID NO:12に示すアミノ酸配列を有するが、そのVHおよびVLは、そのような配列と比べて反対の配向、すなわちVL-VHになるように構成されている。いくつかの態様において、scFvはSEQ ID NO:6に示すアミノ酸配列を有するが、そのVHおよびVLは、そのような配列と比べて反対の配向、すなわちVL-VHになるように構成されている。
【0146】
リファレンス抗体によって特異的に結合されるエピトープと同じまたはオーバーラップするヒトROR1タンパク質などのROR1タンパク質のエピトープに特異的に結合するヒト抗ROR1抗体、例えば抗原結合性抗体フラグメントも提供される。そのようなリファレンス抗体は、上述の抗体またはR12と呼ばれる抗ROR1抗体もしくはその抗原結合性フラグメントのいずれかでありうる。
【0147】
ヒトROR1タンパク質などのROR1タンパク質に特異的に結合し、ROR1タンパク質への結合に関して、上述の抗体のいずれかであるリファレンス抗体またはR12と呼ばれる抗ROR1抗体もしくはその抗原結合性フラグメントであるリファレンス抗体と競合する、ヒト抗ROR1抗体、例えば抗原結合性抗体フラグメントも提供される。
【0148】
いくつかのそのような態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267または268に示すアミノ酸配列を含むscFv、またはSEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267もしくは268に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な配列を有するscFvであることができる。いくつかのそのような態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:2、4、6、または12に示すアミノ酸配列を含むscFv、またはSEQ ID NO:2、4、6、もしくは12に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%または約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一な配列を有するscFvであることができる。いくつかの態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267または268に示すアミノ酸配列(例えばSEQ ID NO:2、4、6、または12に示すもの)を含むscFvのV
HおよびV
Lを含有する抗体であることができる。
【0149】
ここに提供するヒト抗ROR1抗体のいくつかの態様において、ヒト抗体は、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する部分、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Dセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を持つ部分、および/または生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Jセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する部分を含有するV
H領域を含有し、かつ/または生殖細胞系ヌクレオチドヒトカッパもしくはラムダ鎖Vセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を持つ部分、および/または生殖細胞系ヌクレオチドヒトカッパもしくはラムダ鎖Jセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を持つ部分を含有するV
L領域を含有する。いくつかの態様では、V
H領域の前記部分がCDR-H1、CDR-H2および/またはCDR-H3に対応する。いくつかの態様では、V
H領域の前記部分がフレームワーク領域1(FR1)、FR2、FR2および/またはFR4に対応する。いくつかの態様では、V
L領域の前記部分がCDR-L1、CDR-L2および/またはCDR-L3に対応する。いくつかの態様では、V
L領域の前記部分がFR1、FR2、FR2および/またはFR4に対応する。
【0150】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-H1領域のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR-H1を含有する。例えば、ヒト抗体は、いくつかの態様において、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-H1領域と比較して、100%同一である配列、またはアミノ酸相違が1つ以下、2つ以下、もしくは3つ以下である配列を有するCDR-H1を含有する。
【0151】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-H2領域のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR-H2を含有する。例えば、ヒト抗体は、いくつかの態様において、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-H2領域と比較して、100%同一である配列、またはアミノ酸相違が1つ以下、2つ以下、もしくは3つ以下である配列を有するCDR-H2を含有する。
【0152】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメント、DセグメントおよびJセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-H3領域のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR-H3を含有する。例えば、ヒト抗体は、いくつかの態様において、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメント、DセグメントおよびJセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-H3領域と比較して、100%同一である配列、またはアミノ酸相違が1つ以下、2つ以下、もしくは3つ以下である配列を有するCDR-H3を含有する。
【0153】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、生殖細胞系ヌクレオチドヒト軽鎖Vセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-L1領域のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR-L1を含有する。例えば、ヒト抗体は、いくつかの態様において、生殖細胞系ヌクレオチドヒト軽鎖Vセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-L1領域と比較して、100%同一である配列、またはアミノ酸相違が1つ以下、2つ以下、もしくは3つ以下である配列を有するCDR-L1を含有する。
【0154】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、生殖細胞系ヌクレオチドヒト軽鎖Vセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-L2領域のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR-L2を含有する。例えば、ヒト抗体は、いくつかの態様において、生殖細胞系ヌクレオチドヒト軽鎖Vセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-L2領域と比較して、100%同一である配列、またはアミノ酸相違が1つ以下、2つ以下、もしくは3つ以下である配列を有するCDR-L2を含有する。
【0155】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、生殖細胞系ヌクレオチドヒト軽鎖VセグメントおよびJセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-L3領域のアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するCDR-L3を含有する。例えば、ヒト抗体は、いくつかの態様において、生殖細胞系ヌクレオチドヒト軽鎖VセグメントおよびJセグメントによってコードされる配列内の対応するCDR-L3領域と比較して、100%同一である配列、またはアミノ酸相違が1つ以下、2つ以下、もしくは3つ以下である配列を有するCDR-L3を含有する。
【0156】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系遺伝子セグメント配列を含有するフレームワーク領域を含有する。例えば、いくつかの態様において、ヒト抗体は、フレームワーク領域、例えばFR1、FR2、FR3およびFR4が、Vセグメントおよび/またはJセグメントなどのヒト生殖細胞系抗体セグメントによってコードされるフレームワーク領域に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
H領域を含有する。いくつかの態様において、ヒト抗体は、フレームワーク領域、例えばFR1、FR2、FR3およびFR4が、Vセグメントおよび/またはセグメントなどのヒト生殖細胞系抗体セグメントによってコードされるフレームワーク領域に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するV
L領域を含有する。例えば、いくつかのそのような態様では、ヒト生殖細胞系抗体セグメントによってコードされるフレームワーク領域と比較した、V
H配列および/またはV
L配列のフレームワーク配列の相違は、10アミノ酸以下、例えば9、8、7、6、5、4、3、2、または1アミノ酸以下である。
【0157】
抗体、例えば抗体フラグメントは、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分、例えば1つまたは複数の定常領域ドメインを含有しうる。いくつかの態様において、定常領域は軽鎖定常領域および/または重鎖定常領域1(CH1)を含む。いくつかの態様において、抗体は、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメイン、例えばFc領域を含む。いくつかの態様において、Fc領域は、IgG1またはIgG4などのヒトIgGのFc領域である。
【0158】
また、抗体および/またはその部分、例えば鎖をコードする核酸も提供する。ここに提供する核酸には、本明細書に記載する抗ROR抗体をコードするものが含まれる。核酸は、天然および/または非天然ヌクレオチドおよび塩基を包含するもの、例えば主鎖修飾を持つものなどを含みうる。「核酸分子」、「核酸」および「ポリヌクレオチド」という用語は可換的に使用することができ、ヌクレオチドのポリマーを指す。そのようなヌクレオチドのポリマーは天然および/または非天然ヌクレオチドを含有することができ、DNA、RNA、およびPNAを含むが、それらに限定されるわけではない。「核酸配列」とは、核酸分子またはポリヌクレオチドを構成するヌクレオチドの線状配列を指す。
【0159】
また、前記核酸を含有するベクター、前記ベクターを含有する宿主細胞、例えば抗体を生産するためのものも提供する。また、前記抗体を生産するための方法も提供する。核酸は、抗体のV
Lを含むアミノ酸配列および/またはV
Hを含むアミノ酸配列(例えば抗体の軽鎖および/または重鎖)をコードしうる。さらに別の態様では、前述の核酸を含む1つまたは複数のベクター(例えば発現ベクター)が提供される。さらに別の態様では、前述の核酸を含む宿主細胞が提供される。そのような一態様において、宿主細胞は、抗体のV
Hを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクターを含む(例えば前記ベクターで形質転換されている)。そのような別の態様において、宿主細胞は、(1)抗体のV
Lを含むアミノ酸配列と抗体のV
Hを含むアミノ酸配列とをコードする核酸を含むベクターを含む(例えば前記ベクターで形質転換されている)か、または(2)抗体のV
Lを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1ベクターと抗体のV
Hを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2ベクターとを含む(例えば前記ベクターで形質転換されている)。
【0160】
また、抗ROR1抗体(抗原結合性フラグメントを含む)を製造する方法も提供する。抗ROR1抗体の組換え生産のために、抗体(例えば上述のもの)をコードする核酸を単離し、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞における発現のために、1つまたは複数のベクターに挿入しうる。そのような核酸は、従来の手法を使って(例えば抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合する能力を有するオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離し、配列決定することができる。いくつかの態様では、抗ROR1抗体を製造する方法であって、上で述べた抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に適した条件下で培養する工程、および任意で、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から抗体を回収する工程を含む方法が提供される。
【0161】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物も、抗体をコードするベクターにとって適切なクローニング宿主または発現宿主であり、これには、ヒト細胞におけるグリコシル化経路を模倣しまたはそれとほぼ同じになるようにグリコシル化経路が修飾されていて、その結果、部分的または完全にヒトグリコシル化パターンを持つ抗体を生産する真菌株および酵母株が含まれる。Gerngross, Nat. Biotech. 22: 1409-1414(2004)およびLiら、Nat. Biotech. 24:210-215(2006)を参照されたい。
【0162】
ポリペプチドを発現させるために使用しうる例示的真核細胞には、COS7細胞を含むCOS細胞; 293-6E細胞を含む293細胞; CHO-S、DG44.Lec13 CHO細胞、およびFUT8 CHO細胞を含むCHO細胞; PER.C6(登録商標)細胞;およびNSO細胞などがあるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様では、抗体重鎖および/または抗体軽鎖を酵母で発現させうる。例えば米国特許出願公開第2006/0270045号(A1)を参照されたい。いくつかの態様では、特定の真核宿主細胞が、重鎖および/または軽鎖に所望の翻訳後修飾を加えるその能力に基づいて選択される。例えば、いくつかの態様において、CHO細胞は、293細胞中で生産される同じポリペプチドよりもシアリル化のレベルが高いポリペプチドを生産する。
【0163】
いくつかの態様において、抗体は無細胞系において生産される。例示的無細胞系は、例えばSitaraman et al., Methods Mol. Biol. 498:229-44(2009); Spirin, Trends Biotechnol. 22:538-45(2004); Endo et al, Biotechnol. Adv. 21: 695-713(2003)に記載されている。
【0164】
ここに提供する態様にはさらに、抗体および他の結合タンパク質を発現し生産するためのベクターおよび宿主細胞ならびに他の発現系、例えば真核宿主細胞および原核宿主細胞、例えば細菌、糸状菌、および酵母、ならびに哺乳動物細胞、例えばヒト細胞、ならびに無細胞発現系が含まれる。
【0165】
例示的特徴
いくつかの局面において、ここに提供する抗体は、1つまたは複数の指定された機能的特徴、例えば、特定エピトープ(例えばリファレンス抗体などの他の抗体によって特異的に結合されるものと類似するまたはオーバーラップするエピトープ)への結合、結合に関してリファレンス抗体などの他の抗体と競合する能力、および/または特定の結合アフィニティーなどといった結合特性を有する。
【0166】
いくつかの態様において、抗体はROR1タンパク質に特異的に結合する。本明細書における態様のいずれかのいくつかの態様において、ROR1はヒトROR1を指す。抗体または他の結合分子がROR1に結合するまたはROR1に特異的に結合するという知見は、それがあらゆる種のROR1に結合することを、必ずしも意味しない。例えば、いくつかの態様において、ROR1に結合する特徴、例えばROR1に特異的に結合し、かつ/またはROR1への結合に関してリファレンス抗体と競合し、かつ/または特定のアフィニティーで結合するもしくは特定の程度に競合する能力は、いくつかの態様では、ヒトROR1タンパク質に関する能力を指し、抗体は、別の種のROR1、例えばマウスのROR1に関しては、この特徴を有さないこともありうる。いくつかの態様において、抗体はヒトROR1に結合し、マウスなどの別の種のROR1にも結合する。
【0167】
いくつかの態様において、抗体は、ヒトROR1に、例えばヒトROR1のエピトープまたは一領域に、例えばSEQ ID NO:103(GenBank番号NP_005003.2、例えばGenBank番号NM_005012.3に示されるヌクレオチドがコードするもの)に示すヒトROR1またはそのアレル変異体もしくはスプライス変異体に、特異的に結合する。一態様において、ヒトROR1は、SEQ ID NO:104またはSEQ ID NO:105に示すアミノ酸の配列を有する転写変異体またはアイソフォームである。
【0168】
いくつかの態様において、抗体は、非ヒトROR1、例えばサル、ウサギ、ラット、マウス、または他の種のROR1に結合する。いくつかの態様において、抗体は、マウスROR1に、例えばマウスROR1のエピトープまたは一領域に、例えばSEQ ID NO:106(GenBank番号NP_038873、例えばGenBank番号NM_013845に示されるヌクレオチドによってコードされるもの)に示すマウスROR1に、結合する。いくつかの態様において、抗体はヒトROR1に結合し、マウスROR1にも結合する。いくつかの態様において、マウスROR1などの非ヒトROR1への抗ROR1抗体の結合の程度は、ROR1への抗体の結合の少なくとも(または少なくとも約)75%、80%、90%、95%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、またはそれ以上である。
【0169】
いくつかの態様において、抗体は、マウスROR1に、例えばSEQ ID NO:106(GenBank番号NP_038873、例えばGenBank番号NM_013845に示されるヌクレオチドによってコードされるもの)に示すマウスROR1に、結合しない。
【0170】
一態様において、無関係な非ROR1タンパク質または非ヒトROR1もしくは他の非ROR1タンパク質への抗ROR1抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、ヒトROR1への抗体の結合の10%未満または約10%未満である。いくつかの態様において、提供される抗体には、マウスROR1への結合がヒトROR1への抗体の結合の10%未満または10%または約10%である抗体が含まれる。いくつかの態様において、提供される抗体には、ヒトROR2などのROR2への結合がヒトROR1への抗体の結合の10%未満または10%または約10%である抗体が含まれる。
【0171】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、いくつかある公知の方法のいずれかによって測定した場合に、ヒトROR1および/またはマウスROR1などのROR1に、少なくとも一定のアフィニティーで結合する能力を有する。いくつかの態様において、アフィニティーは解離定数(Kd)によって表される。いくつかの態様において、アフィニティーはEC50によって表される。
【0172】
いくつかの態様において、ヒトROR1またはマウスROR1などのROR1に対する抗体の結合アフィニティー(EC50)および/または解離定数は、0.1nM〜500nM、0.1nM〜100nM、0.1nM〜50nM、0.1nM〜10nM、0.1nM〜1nM、1nM〜500nM、1nM〜100nM、1nM〜50nM、1nM〜10nM、10nM〜500nM、10nM〜100nM、10nM〜50nM、50nM〜500nM、50nM〜100nMもしくは100nM〜500nM、または約0.1nM〜500nM、0.1nM〜100nM、0.1nM〜50nM、0.1nM〜10nM、0.1nM〜1nM、1nM〜500nM、1nM〜100nM、1nM〜50nM、1nM〜10nM、10nM〜500nM、10nM〜100nM、10nM〜50nM、50nM〜500nM、50nM〜100nMもしくは100nM〜500nMである。一定の態様において、ヒトROR1またはマウスROR1などのROR1に対する抗体の結合アフィニティー(EC50)および/または解離定数は、100nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、もしくは1nMまたは約100nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、もしくは1nM、あるいは100nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、もしくは1nM未満または約100nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、もしくは1nM未満である。いくつかの態様において、抗体は、ヒトROR1またはマウスROR1などのROR1に、ナノモル濃度未満の結合アフィニティーで、例えば1nM未満、例えば0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nMまたは0.1nM未満の結合アフィニティーで結合する。
【0173】
いくつかの態様において、抗体、例えばヒト抗体は、ROR1の特定のエピトープまたは領域に、例えば一般的には細胞外エピトープまたは細胞外領域に、特異的に結合する。ROR1は、免疫グロブリン(Ig)ドメイン、frizzled(Fz)ドメインおよびkringle(Kr)ドメインを含有する細胞外領域と、それに続く膜貫通ドメインとを含有するI型膜タンパク質である。SEQ ID NO:103に示すヒトROR1について述べると、細胞外領域はアミノ酸1〜377に対応し、ここではアミノ酸13〜118がIgドメインに対応し、アミノ酸136〜270がFzドメインに対応し、アミノ酸283〜362がKrドメインに対応する。いくつかの態様において、ヒト抗体などの抗体は、Igドメイン、Fzドメインおよび/またはKrドメイン内の残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、ヒト抗体などの抗体は、Igドメインおよび/またはFzドメイン内の残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、ヒト抗体などの抗体は、IgドメインとFzドメインの両方の内部にあるエピトープに結合する。
【0174】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体特性または特徴は、別の抗体、例えばリファレンス抗体に観察される特性との関連において記述される。いくつかの態様において、リファレンス抗体は非ヒト抗ROR1抗体、例えばウサギまたはキメラまたはヒト化抗ROR1抗体である。いくつかの局面において、リファレンス抗体は、R12と呼ばれるキメラウサギ/ヒトIgG1抗体(例えばYang et al.(2011)PloS ONE, 6:e21018;米国特許出願番号US2013/0251642参照)、および/またはそこから誘導されるフラグメント、例えばそのscFvフラグメント、ならびに/またはそのような抗体のV
H配列とV
L配列および/もしくはそのような抗体の重鎖CDRと軽鎖CDRを含有する抗体である。R12の抗原結合性scFvフラグメントを含有するキメラ抗原受容体(CAR)は、CAR療法における抗腫瘍反応性を効果的に促進することが証明されている(Hudecek et al.(2013)Clin. Cancer Res., 19:3153;国際公開されたPCT出願WO2014031687)。
【0175】
例えばいくつかの態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:85に示す配列を含有するV
H領域を有するか、そのような配列内のCDR1、CDR2、および/もしくはCDR3を含み、かつ/またはSEQ ID NO:86に示す配列を含有するV
Lを有するか、そのような配列内のCDR1、CDR2、および/もしくはCDR3を含む。例えば、リファレンス抗体は、
のCDR-H1配列、
(SEQ ID NO:88に示すもの)のCDR-H2配列、
のCDR-H3配列、
のCDR-L1配列、
のCDR-L2配列、および/または
のCDR-L3配列を含有する抗体であることができる。いくつかの態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:84に示すアミノ酸の配列を含むscFvである。
【0176】
いくつかの態様において、リファレンス抗体は、2A2と呼ばれるマウス抗ヒトROR1抗体および/またはそこから誘導されるフラグメント、例えばそのscFvフラグメント、ならびに/またはそのような抗体のV
H配列およびV
L配列もしくはそのような抗体の重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含有する抗体である(例えばBaskar et al.(2012)I, 4:349-361;米国特許出願公開番号US2012/20058051参照)。
【0177】
例えばいくつかの態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:114に示す配列を含有するV
H領域を有するか、そのような配列内のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を含み、かつ/またはSEQ ID NO:115に示す配列を含有するV
Lを有するか、そのような配列内のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む。例えばリファレンス抗体は、
のCDR-H1配列、
(SEQ ID NO:117に示すもの)のCDR-H2配列、
のCDR-H3配列、
のCDR-L1配列、
のCDR-L2配列、および/または
のCDR-L3配列を含有する抗体であることができる。いくつかの態様において、リファレンス抗体はscFv型の抗体2A2である。
【0178】
いくつかの態様において、リファレンス抗体はヒト抗ROR1抗体またはヒト化抗ROR1抗体である。例示的なヒト化抗ROR1抗体は、国際PCT出願番号はWO2014/031174に記載されている。いくつかの態様において、リファレンス抗体は、99961と呼ばれる抗体のヒト化変異体である。いくつかの態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:122、123、124または125に示す配列を含有するV
H領域を有するか、そのような配列内のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を含み、かつ/またはSEQ ID NO:126、127、128もしくは129に示す配列を含有するV
Lを有するか、そのような配列内のCDR1、CDR2、および/またはCDR3を含む。いくつかの態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:130または133に示すCDR-H1配列、SEQ ID NO:131または134に示すCDR-H2配列、SEQ ID NO:132または135に示すCDR-H3配列、SEQ ID NO:136または139に示すCDR-L1配列、SEQ ID NO:137または140に示すCDR-L2配列、および/またはSEQ ID NO:138もしくは141に示すCDR-L3配列を含有する抗体であることができる。
【0179】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、1つまたは複数のリファレンス抗体中に存在するCDRとは異なる重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、R12と呼ばれる抗体中に存在する(例えばSEQ ID NO:85に示すV
H領域および/またはSEQ ID NO:86に示すV
L領域中に存在する)CDRとは異なる重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、2A2と呼ばれる抗体中に存在する(SEQ ID NO:104に示すV
H領域および/またはSEQ ID NO:105に示すV
L領域中に存在する)CDRとは異なる重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含有する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、99961と呼ばれる抗体のヒト化変異体中に存在する(例えばSEQ ID NO:122、123、124または125に示すV
H領域および/またはSEQ ID NO:126、127、128もしくは129に示すV
L領域中に存在する)CDRとは異なる重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含有する。
【0180】
ここに提供する抗体には、結合に関してR12などの1つまたは複数のリファレンス抗体と競合し、かつ/またはR12などの1つまたは複数のリファレンス抗体によって結合されるエピトープと同じまたはオーバーラップするROR1のエピトープに結合するが、それにもかかわらず、異なるCDRを、例えば異なる重鎖および/または軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含有するものが含まれる。
【0181】
いくつかの態様において、リファレンス抗体は、本明細書に記載する抗体またはその一部分中に存在する配列、例えばここに提供する例示的な抗体のいずれかに存在する配列を有する。例えばいくつかの態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:20、27、または33に示すアミノ酸配列を含むCDR-H1、SEQ ID NO:21、26、28、または34に示すアミノ酸配列を含むCDR-H2、SEQ ID NO:22、29、35、46、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71または174に示すアミノ酸配列を含むCDR-H3、SEQ ID NO:23、30、または36に示すアミノ酸配列を含むCDR-L1、SEQ ID NO:24、31、または37に示すアミノ酸配列を含むCDR-L2;および/またはSEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、45、47、48、および49に示すアミノ酸配列を含むCDR-L3を含有する。例えばいくつかの態様において、リファレンス抗体は、SEQ ID NO:14、16、または18に示す軽鎖可変(V
L)領域アミノ酸配列を有し、かつ/またはSEQ ID NO:8、10、13、15、17、もしくは19に示す重鎖可変(VH)領域を有する。いくつかのそのような態様において、抗体は、そのような抗体中に存在する重鎖および/または軽鎖CDR1、2、および/または3を有する。
【0182】
いくつかの態様において、抗体は、対応する形態のリファレンス抗体のアフィニティー、例えばEC50またはKdとほぼ同じかそれより低い、例えば対応する形態のリファレンス抗体のEC50またはKdの約1.5倍以下または約2倍以下、3倍以下、および/または10倍以下のアフィニティー、例えばEC50またはKdを有する。いくつかの態様において、抗体は、対応する形態のリファレンス抗体のEC50またはKdより、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍、250倍以上、または約5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍、200倍、250倍以上のアフィニティー、例えばEC50またはKdを有する。
【0183】
いくつかの態様において、抗体は、ROR1陰性細胞と比較してROR1発現細胞への結合選好(binding preference)を呈する。例えばROR1を発現することが知られておりかつ/または本明細書に記載される特定細胞、ならびにROR1を発現しないことが知られている特定細胞。いくつかの態様では、ROR1発現細胞に対して非発現細胞との比較で有意に大きい結合度が測定される結合選好が観察される。いくつかの態様において、例えばフローサイトメトリーに基づくアッセイにおける平均蛍光強度および/または解離定数もしくはEC50などによって測定した場合に検出される、非ROR1発現細胞と比較したROR1発現細胞への結合度の変化倍率は、少なくとも1.5、2、3、4、5、6もしくは約1.5、2、3、4、5、6またはそれ以上であり、かつ/または対応する形態のリファレンス抗体について観察される変化倍率と、ほぼ同じくらいである(about as great)か、ほぼ同じである(about the same)か、少なくとも同じくらいである(at least as great)か、少なくともほぼ同じくらいである(at least about as great)か、それより大きい。場合によっては、ROR1へのまたはROR1発現細胞への観察される結合の総合的な程度は、対応する形態のリファレンス抗体について観察されるものと、およそ同じであるか、少なくとも同じくらいであるか、またはそれより大きい。
【0184】
いくつかの局面において、アフィニティーは、対応する形態のリファレンス抗体、例えばウサギROR1抗体と比較して、同じかほぼ同じ程度、または実質的に同じかほぼ同じ程度のアフィニティーである。いくつかの局面において、アフィニティーは、対応する形態のリファレンス抗体のアフィニティーと、少なくとも80、85、90、95、または99%同じである。
【0185】
いくつかの態様において、抗体は、リファレンス抗体によって結合されるROR1のエピトープとオーバーラップするエピトープに特異的に結合する。いくつかの局面において、そのような抗体には、リファレンス抗体と同じまたは類似するエピトープに結合する抗体が含まれる。いくつかの態様において、一方の抗体の結合を低減または排除する抗原中のアミノ酸突然変異のすべてまたは本質的にすべてが、他方の抗体の結合を低減または排除するのであれば、それら2つの抗体は同じエピトープおよび/またはオーバーラップするエピトープに特異的に結合する。
【0186】
いくつかの態様において、抗体は、リファレンス抗体、例えば抗ROR1抗体R12またはそのscFvフラグメント(SEQ ID NO:84に示すもの;例えばYang et al.(2011)PloS ONE, 6:e21018参照)と、同じまたは類似するROR1のエピトープに、またはROR1の同じ領域内のエピトープに、またはROR1の同じ領域内の残基を含有するエピトープに結合する。いくつかのそのような態様において、抗体は、ヒトROR1などのROR1のIgドメインおよびFzドメイン内のアミノ酸を含有するエピトープ、例えばそのようなドメインの両方からの残基および/またはIgドメインとFzドメインの接合部にある残基を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、抗体は、R12および/またはそのscFvフラグメントによって特異的に結合されるエピトープとオーバーラップするROR1のエピトープに結合し、結合に関して、そのような抗体と競合する。
【0187】
いくつかの態様において、抗体は、リファレンス抗体によるヒトROR1などのROR1への結合を阻害し、かつ/またはヒトROR1などのROR1への結合に関して、リファレンス抗体と競合する。いくつかの態様において、抗体は、R12またはそのIgGもしくは抗原結合性フラグメントによるヒトROR1などのROR1への結合を阻害し、かつ/またはヒトROR1などのROR1への結合に関して、R12またはそのIgGもしくは抗原結合性フラグメントと競合する。
【0188】
抗体は、それがROR1へのリファレンス抗体の結合を競合的に阻害し、かつ/またはリファレンス抗体がROR1への当該抗体の結合を競合的に阻害するのであれば、リファレンス抗体と、ROR1への「結合に関して競合する」。抗体は、過剰量の当該抗体の存在が、その抗原への他方の抗体の結合を検出可能に阻害(ブロック)するのであれば、抗原へのリファレンス抗体の結合を競合的に阻害する。特定の阻害程度を指定しうる。
【0189】
競合阻害アッセイは公知であり、これには、ELISAに基づくアッセイ、フローサイトメトリーに基づくアッセイ、およびRIAに基づくアッセイが含まれる。いくつかの局面において、競合阻害アッセイは、一方の抗体の非標識型を過剰に組み込み、結合の程度およびその低減をラベルまたはマーカーの検出によって評価することができるように検出可能なマーカーで標識された他方の抗体の結合をブロックするその能力を評価することによって実行される。
【0190】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体を、リファレンス抗体の量または濃度と比較して過剰に、例えば1倍、2倍、5倍、10倍、50倍または100倍過剰に添加すると、リファレンス抗体による抗原への結合が阻害される(またはその逆が起こる)。いくつかの態様において、結合の阻害は少なくとも50%の阻害であり、いくつかの態様では、少なくとも75%、90%または99%の阻害である。いくつかの局面において、競合阻害は、競合結合アッセイにおいて測定される阻害である(例えばJunghans et al., Cancer Res. 1990:50: 1495-1502)。
【0191】
いくつかの態様において、リファレンス抗体が2nMまたは約2nMの濃度で存在する場合、ここに提供する抗体は、リファレンス抗体の結合を、200nM、150nM、100nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、もしくは10nM未満または約200nM、150nM、100nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、もしくは10nM未満のIC50で、または9nM、8nM、7nM、6nM、もしくは5nM未満または約9nM、8nM、7nM、6nM、もしくは5nM未満のIC50で阻害する。いくつかの態様において、ここに提供する抗体が2nMまたは約2nMの濃度で存在する場合、リファレンス抗体は、ここに提供する抗体の結合を、200nM、150nM、100nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、もしくは10nM未満または約200nM、150nM、100nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、19nM、18nM、17nM、16nM、15nM、14nM、13nM、12nM、11nM、もしくは10nM未満未満のIC50で、または9nM、8nM、7nM、6nM、もしくは5nM未満または約9nM、8nM、7nM、6nM、もしくは5nM未満のIC50で阻害する。
【0192】
いくつかの態様において、ここに提供する抗体によるリファレンス抗体の結合の競合阻害(またはその逆)は、リファレンス抗体自身(例えば非標識リファレンス抗体)によるリファレンス抗体の結合の競合阻害の程度と同じ程度もしくはほぼ同じ程度または少なくとも同じ程度もしくは少なくともほぼ同じ程度である。いくつかの態様において、ここに提供する抗体は、ヒトROR1へのリファレンス抗体の結合、例えばR12 scFvの結合を、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%阻害する。
【0193】
本明細書において提供される抗ROR1抗体は、さまざまな公知のアッセイによって、同定し、スクリーニングし、またはその物理的/化学的特性および/もしくは生物学的活性について特徴づけることができる。一局面において、抗体はその抗原結合活性について、例えばターゲット抗原(例えばROR1)を発現する細胞への抗体(例えば蛍光マーカーにコンジュゲートされたものまたはタグ付けされたもの)の結合を評価する細胞に基づく結合アッセイを含むELISA、ウェスタンブロッティング、および/またはフローサイトメトリーアッセイなどの公知の方法により、場合によってはターゲット抗原(例えばROR1)を発現しない細胞を使った結果と比較して、試験される。結合アフィニティーはKdまたはEC50として測定しうる。
【0194】
本明細書に記載する抗体のいずれかと競合する抗体を同定するには、競合アッセイを使用することができる。本抗体およびリファレンス抗体によって結合されるエピトープをマッピングするためのアッセイも使用することができ、公知である。
【0195】
イムノコンジュゲート
いくつかの態様において、抗体は、イムノコンジュゲートであるか、イムノコンジュゲートの一部であり、ここでは、抗体が1つまたは複数の異種分子、例えば限定するわけではないが、細胞毒性作用物質、イメージング作用物質にコンジュゲートされている。細胞毒性作用物質には、放射性同位体(例えばAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212およびLuの放射性同位体);化学療法剤(例えばメトトレキサート、アドリアマイシン(adriamicin)、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたは他のインターカレート剤);成長阻害性作用物質;酵素およびそのフラグメント、例えば核酸分解酵素;抗生物質;毒素、例えば低分子量毒素または酵素活性毒素などがあるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、抗体は、1つまたは複数の細胞毒性作用物質、例えば化学療法剤もしくは化学療法薬、成長阻害性作用物質、毒素(例えば細菌、真菌、植物、もしくは動物由来のタンパク質毒素、酵素活性毒素、またはそれらのフラグメント)、または放射性同位体にコンジュゲートされる。
【0196】
イムノコンジュゲートには、抗体が1つまたは複数の薬物、例えば限定するわけではないがメイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号および欧州特許第0 425 235号B1参照);アウリスタチン、例えばモノメチルアウリスタチン薬物部分DEおよびDF(MMAEおよびMMAF)(米国特許第5,635,483号および同第5,780,588号、および同第7,498,298号参照);ドラスタチン;カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、および同第5,877,296号; Hinman et al., Cancer Res. 53:3336-3342(1993);およびLode et al., Cancer Res. 58:2925-2928(1998)参照);アントラサイクリン、例えばダウノマイシンまたはドキソルビシン(Kratz et al., Current Med. Chem. 13:477-523(2006); Jeffrey et al, Bioorganic & Med. Chem. Letters 16:358-362(2006); Torgov et al, Bioconj. Chem. 16:717-721(2005); Nagy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:829-834(2000); Dubowchik et al., Bioorg. & Med. Chem. Letters 12: 1529-1532(2002); King et al., J. Med. Chem. 45:4336-4343(2002);および米国特許第6,630,579号参照);メトトレキサート;ビンデシン;タキサン、例えばドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、およびオルタタキセル;トリコテセン;ならびにCC1065にコンジュゲートされている抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が含まれる。
【0197】
また、イムノコンジュゲートには、抗体が酵素活性毒素またはそのフラグメント、例えば限定するわけではないがジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性フラグメント、エキソトキシンA鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ツルレイシ(momordica charantia)インヒビター、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)インヒビター、ゲロニン、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセン(tricothecene)にコンジュゲートされているものが含まれる。
【0198】
また、イムノコンジュゲートには、抗体が、放射性原子にコンジュゲートされてラジオコンジュゲートを形成しているものも含まれる。例示的放射性同位体には、At
211、I
131、I
125、Y
90、Re
186、Re
188、Sm
153、Bi
212、P
32、Pb
212およびLuの放射性同位体などがある。
【0199】
抗体と細胞毒性作用物質とのコンジュゲートは、いくつかある公知のタンパク質カップリング剤(例えばリンカー)のどれを使って製造してもよい(Vitetta et al., Science 238: 1098(1987); W094/11026参照)。リンカーは、細胞における細胞毒性薬の放出を容易にする「切断可能なリンカー」、例えば酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー、およびジスルフィド含有リンカーであってよい(Chari et al., Cancer Res. 52: 127-131(1992);米国特許第5,208,020号)。
【0200】
多重特異性抗体
一定の態様において、ROR1結合分子、例えば抗体またはそれを含有するキメラ受容体などのポリペプチドは、多重特異性である。多重特異性結合分子には、例えば二重特異性抗体などの多重特異性抗体が含まれる。多重特異性結合パートナー、例えば抗体は、同じ抗原中にあっても異なる抗原中にあってもよい少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有する。一定の態様では、結合特異性の一方がROR1に対する特異性であり、他方が別の抗原に対するものである。一定の態様において、二重特異性抗体はROR1の2つの異なるエピトープに結合しうる。二重特異性抗体は、ROR1を発現する細胞に細胞毒性作用物質を局在化させるためにも使用しうる。二重特異性抗体は完全長抗体または抗体フラグメントとして調製することができる。多重特異性抗体には、多重特異性一本鎖抗体、例えばダイアボディ、トリアボディおよびテトラボディ、タンデムジ-scFv、およびタンデムトリ-scFvが含まれる。抗体を含有する多重特異性キメラ受容体、例えば多重特異性CARも提供される。抗体またはそれを含むポリペプチドを含有する多重特異性細胞、例えば抗ROR1抗体を含む細胞表面タンパク質と、異なる抗原またはROR1上の異なるエピトープに結合する追加の細胞表面タンパク質、例えば追加のキメラ受容体とを含有する細胞も提供される。
【0201】
例示的な追加の抗原には、B細胞特異的抗原、他の腫瘍特異的抗原、例えばB細胞白血病、リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、AML、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、腎細胞癌、大腸がん、直腸結腸がん、乳がん、扁平上皮細胞がん、黒色腫、骨髄腫、胃がん、脳がん、肺がん、膵がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、副腎がんおよび/または頭頸部がん上に特異的に発現するか、またはそれらに関連する抗原、ならびにT細胞上に発現する抗原が含まれる。例示的抗原には、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD46、CD52、CD54、CD74、CD80、CD126、CD138、B7、MUC-1、Ia、HM1.24、HLA-DR、テネイシン、血管新生因子、VEGF、PIGF、ED-Bフィブロネクチン、がん遺伝子、がん遺伝子産物、CD66a〜d、壊死抗原、Ii、IL-2、T101、TAC、IL-6、TRAIL-R1(DR4)およびTRAIL-R2(DR5)が含まれる。
【0202】
変異体
一定の態様において、抗体は、本明細書に記載する抗体の配列と比較して、1つまたは複数のアミノ酸変異、例えば置換、欠失、挿入、および/または突然変異を含む。例示的変異体には、抗体の結合アフィニティーおよび/または他の生物学的特性を改良するために設計されたものが含まれる。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適当な修飾を導入することによって、またはペプチド合成によって、調製しうる。そのような修飾には、例えば抗体のアミノ酸配列からの欠失、および/または抗体のアミノ酸配列への挿入、および/または抗体のアミノ酸配列内での残基の置換が含まれる。最終コンストラクトが所望の特徴、例えば抗原結合性を有する限り、欠失、挿入、および置換を自由に組み合わせて最終コンストラクトに到達することができる。
【0203】
一定の態様において、抗体は、例えば本明細書に記載する抗体配列と比較して、かつ/または天然レパートリー(例えばヒトレパートリー)の配列と比較して、1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。置換突然変異導入に関する関心対象部位には、CDRおよびFRが含まれる。アミノ酸置換を関心対象の抗体に導入し、その産物を所望の活性、例えば抗原結合性の保持/改良、免疫原性の減少、半減期の改良、および/または抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)もしくは補体依存性細胞傷害(CDC)を促進する能力などといったエフェクター機能の改良について、スクリーニングすることができる。
【0204】
いくつかの態様では、親抗体(例えばヒト化抗体またはヒト抗体)のCDR内の1つまたは複数の残基が置換される。いくつかの態様では、例えばヒト対象への投与時の免疫原性の可能性を低減させるなどの目的で、生殖細胞系配列、例えば生殖細胞系(例えばヒト生殖細胞系)に見いだされる抗体配列へと、配列または配列中の位置が復帰するように、置換が加えられる。
【0205】
いくつかの態様では、CDR「ホットスポット」、体細胞成熟過程中に高い頻度で突然変異を起こすコドンがコードする残基(例えばChowdhury, Methods Mol. Biol. 207:179-196(2008)を参照されたい)、および/または抗原と接触する残基に改変を加え、その結果として生じる変異体V
HまたはV
Lを結合アフィニティーについて試験する。二次ライブラリーを構築してそこから再選択することによる親和性成熟については、例えばHoogenboomらがMethods in Molecular Biology 178:1-37(O'Brien et al., ed., Humana Press, Totowa, NJ,(2001))に記載している。親和性成熟のいくつかの態様では、さまざまな方法(例えばエラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指定突然変異導入法)のいずれかによって、成熟のために選ばれた可変遺伝子に多様性が導入される。次に、二次ライブラリーを作成する。次に、そのライブラリーをスクリーニングして、所望のアフィニティーを持つ抗体変異体をすべて同定する。多様性を導入するための別の方法では、数個のCDR残基(例えば一度に4〜6残基)をランダム化するCDR指向的アプローチをとる。例えばアラニンスキャニング突然変異導入またはモデリングを使って抗原結合に関与するCDR残基を特異的に同定することができる。特にCDR-H3およびCDR-L3は標的とすることが多い。
【0206】
一定の態様において、置換、挿入、または欠失は、前述の改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低減しない限り、1つまたは複数のCDR内に存在しうる。例えば、結合アフィニティーを実質的に低減しない保存的改変(例えば本明細書にいう保存的置換)をCDRに加えうる。そのような改変は、例えばCDR中の抗原接触残基以外に存在しうる。上で述べた変異体V
HおよびV
L配列の一定の態様では、各CDRが無改変であるか、1つ以下、2つ以下または3つ以下のアミノ酸置換を含有する。
【0207】
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100残基以上を含有するポリペプチドまでの範囲にわたるアミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合、ならびに1つまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入物の例には、N末端メチオニル残基を持つ抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体には、抗体のN末端またはC末端の、酵素への、または抗体の血清中半減期を増加させるポリペプチドへの融合物が含まれる。
【0208】
修飾
一定の態様では、例えばアミノ酸配列を改変することによって1つまたは複数のグリコシル化部位を除去または挿入することにより、かつ/または例えば一定の細胞株を使ってグリコシル化部位に取り付けられるオリゴ糖を修飾することにより、抗体を改変することで、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させる。
【0209】
いくつかの態様では、コンセンサス配列-Asn-Xaa-Ser/Thr中のアスパラギンに見いだされるグリコシル化部位であるN結合型グリコシル化が、除去され、または挿入される。例えば例示的なN結合型コンセンサス配列は、Kabatナンバリングで、SEQ ID NO:17に示す例示的重鎖の残基N52/P52A/S53に対応する。いくつかの態様では、N52、P52Aおよび/またはS53に対応する1つまたは複数の残基が、グリコシル化部位を除去するために別のアミノ酸で置き換えられる。S53N、例えばSEQ ID NO:19に示す例示的重鎖に施されるものは、典型的な修飾である。
【0210】
例示的修飾、変異体および細胞株は、例えば特許出願公開番号US2003/0157108、US2004/0093621、US2003/0157108; WO2000/61739; WO2001/29246; US2003/0115614; US2002/0164328; US2004/0093621; US2004/0132140; US2004/0110704; US2004/0110282; US2004/0109865; WO2003/085119; WO2003/084570; WO2005/035586; WO2005/035778; WO2005/053742; WO2002/031140; Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249(2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87:614(2004); Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545(1986);米国特許出願公開番号US2003/0157108 A1、Presta, L;およびWO2004/056312 A1、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614(2004); Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688(2006);およびWO2003/085107; WO2003/011878(Jean-Mairet et al.);米国特許第6,602,684号(Umana et al.);およびUS2005/0123546(Umana et al.); WO1997/30087(Patel et al.); WO1998/58964(Raju, S.);およびWO1999/22764(Raju, S.)に記載されている。
【0211】
修飾抗体には、Fc領域に1つまたは複数のアミノ酸修飾を有するもの、例えば1つまたは複数のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば置換)を含むヒトFc領域配列または定常領域の他の部分(例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域)を有するものが含まれる。
【0212】
そのような修飾は、例えば半減期を改良するために、1タイプまたは複数タイプのFc受容体への結合を改変するために、かつ/またはエフェクター機能を改変するために行うことができる。
【0213】
また、変異体には、例えば作用物質およびリンカー-作用物質のコンジュゲーションに使用してイムノコンジュゲートを生産するために、アクセス可能な部位に反応性チオール基を生じさせる目的で、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換されているシステイン改変抗体、例えば「チオMAb(thioMAb)」および他のシステイン改変変異体も含まれる。システイン改変抗体は、例えば米国特許第7,855,275号および同第7,521,541号に記載されている。
【0214】
いくつかの態様では、追加の非タンパク質性部分、例えば水溶性ポリマーを含有するように、抗体が修飾される。例示的ポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマー)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、およびそれらの混合物などがあるが、それらに限定されるわけではない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性ゆえに、製造に際して利点を有しうる。ポリマーは任意の分子量であってよく、分枝ポリマーであっても、非分枝ポリマーであってもよい。抗体に取り付けられるポリマーの数はさまざまであってよく、2つ以上のポリマーが取り付けられる場合、それらは同じ分子であることも異なる分子であることもできる。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数および/またはタイプは、例えば限定するわけではないが、改良しようとする抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が所定の条件下で治療に使用されるかどうかなどの考察に基づいて決定することができる。
【0215】
B.組換え受容体
ここに提供する結合分子、例えばROR1結合分子は、組換え受容体、例えば、提供された抗体のうちの1つを含むようなものである。この受容体は、ROR1に特異的に結合する抗原受容体および他のキメラ受容体などの組換え受容体、例えばここに提供する抗ROR1抗体(例えば抗体フラグメント)を含有する受容体が含まれる。抗原受容体には、機能的非TCR抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)が含まれる。また、組換え受容体を発現する細胞、ならびに養子細胞療法におけるその使用、例えばROR1発現と関連する疾患および障害の処置におけるその使用も提供する。
【0216】
例示的抗原受容体(CARを含む)およびそのような受容体を工学的に製作し細胞中に導入するための方法には、例えば国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、および/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April;3(4):388-398; Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol, 2012 October;24(5):633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2):160-75によって記載されているものなどがある。いくつかの局面において、抗原受容体には、米国特許第7,446,190号に記載のCAR、および国際特許出願公開番号WO/2014055668 A1に記載されているものが含まれる。CARの典型例としては、上述の刊行物のいずれか、例えばWO2014031687、US8,339,645、US7,446,179、US2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号に開示されているCARであって、例えば抗原結合部分(例えばscFv)が、例えばここに提供する抗体で置き換えられているものが挙げられる。
【0217】
キメラ受容体にはキメラ抗原受容体(CAR)が含まれる。CARなどのキメラ受容体は一般に、ここに提供する抗ROR1抗体の一つを含む細胞外抗原結合ドメイン、ここに提供する抗ROR1抗体である細胞外抗原結合ドメイン、またはここに提供する抗ROR1抗体内に含まれる細胞外抗原結合ドメインを含む。したがってキメラ受容体、例えばCARは、典型的には、その細胞外部分に、1つまたは複数のROR1結合分子、例えば1つまたは複数の抗原結合性フラグメント、ドメイン、もしくは部分、または1つもしくは複数の抗体可変ドメインおよび/もしくは抗体分子、例えば本明細書に記載するものを含む。いくつかの態様において、CARは、抗体分子の1つまたは複数のROR1結合部分、例えば抗体の可変重(V
H)鎖領域および/または可変軽(V
L)鎖領域、例えばscFv抗体フラグメントを含む。
【0218】
ROR1ターゲティングCARは、例えばHudecek et al., Clin Cancer Res, 19(12), 3153-3164 (2013) and Baskar et al. MAbs. 4(3): 349-361 (2012)によって記載されている。WO2014031687も参照されたい。
【0219】
いくつかの態様において、CARなどの組換え受容体、例えばその抗体部分はさらにスペーサーを含み、このスペーサーは、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分またはその変異体もしくは修飾型、例えばヒンジ領域(IgG4ヒンジ領域など)、および/またはCH1/CLおよび/またはFc領域であってもよいし、それらを含んでもよい。いくつかの態様において、定常領域または定常部分はIgG4またはIgG1などといったヒトIgGのものである。いくつかの局面において、定常領域の前記一部分は、抗原認識構成成分(例えばscFv)と膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として役立つ。スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して、抗原結合後の細胞の応答性を増加させる長さであることができる。いくつかの例において、スペーサーは12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長または12アミノ酸長以下である。例示的スペーサーとして、少なくとも約10〜229アミノ酸、約10〜200アミノ酸、約10〜175アミノ酸、約10〜150アミノ酸、約10〜125アミノ酸、約10〜100アミノ酸、約10〜75アミノ酸、約10〜50アミノ酸、約10〜40アミノ酸、約10〜30アミノ酸、約10〜20アミノ酸、または約10〜15アミノ酸(列挙した範囲のいずれかの終点間の整数をいずれも含む)を有するものが挙げられる。いくつかの態様において、スペーサー領域は約12個以下のアミノ酸、約119個以下のアミノ酸、または約229個以下のアミノ酸を有する。例示的スペーサーは、IgG4ヒンジのみ、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的スペーサーには、Hudecek et al.(2013)Clin. Cancer Res., 19:3153、または国際特許出願公開番号WO2014031687に記載されているものがあるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、スペーサーはSEQ ID NO:108に示すもの)を有し、SEQ ID NO:107に示す配列によってコードされる。いくつかの態様において、スペーサーはSEQ ID NO:142に示す配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーはSEQ ID NO:143に示す配列を有する。
【0220】
いくつかの態様において、定常領域または定常部分はIgDのものである。いくつかの態様において、スペーサーはSEQ ID NO:144に示す配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:108、142、143、または144のいずれかに対して少なくとも、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を有する。
【0221】
抗原認識ドメインは一般に、1つまたは複数の細胞内シグナリング構成成分、例えばCARの場合であればTCR複合体などの抗原受容体複合体による活性化を模倣しかつ/または別の細胞表面受容体を介してシグナリングするシグナリング構成成分に連結される。したがって、いくつかの態様において、ROR1特異的結合構成成分(例えば抗体)は、1つまたは複数の膜貫通ドメインおよび細胞内シグナリングドメインに連結される。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは細胞外ドメインに融合される。一態様では、受容体(例えばCAR)中のドメインの一つに天然に付随している膜貫通ドメインが使用される。いくつかの例において、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他の構成要素との相互作用を最小限に抑えるために、同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの前述のドメインの結合が回避されるように選択され、またはアミノ酸置換によって修飾される。
【0222】
膜貫通ドメインは、いくつかの態様において、天然供給源または合成供給源に由来する。供給源が天然である場合、ドメインは、いくつかの局面において、任意の膜結合型タンパク質または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域には、T細胞受容体のアルファ、ベータまたはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154に由来するもの(すなわち、少なくともその膜貫通領域を含むもの)が含まれる。あるいは、いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、いくつかの態様において、合成物である。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、主として、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を含む。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインの各末端にはフェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが見いだされるであろう。いくつかの態様では、連結が、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメインによる。
【0223】
細胞内シグナリングドメインには、天然抗原受容体によるシグナル、共刺激受容体と組み合わせされたそのような受容体によるシグナル、および/または共刺激受容体のみによるシグナルを模倣し、またはそれらとほぼ同じであるものが含まれる。いくつかの態様では、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば2〜10アミノ酸長のリンカー、例えばグリシンおよびセリン(例えばグリシン-セリンダブレット)を含有するものが存在し、それがCARの膜貫通ドメインと細胞質シグナリングドメインとの間の連結部を形成している。
【0224】
受容体、例えばCARは一般に、少なくとも1つの細胞内シグナリング構成成分または細胞内シグナリング構成成分群を含む。いくつかの態様において、受容体は、TCR複合体の細胞内構成成分、例えばT細胞活性化および細胞傷害性を媒介するTCR CD3鎖、例えばCD3ゼータ鎖を含む。したがっていくつかの局面において、ROR1結合抗体は1つまたは複数の細胞シグナリングモジュールに連結される。いくつかの態様において、細胞シグナリングモジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナリングドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、受容体、例えばCARは、1つまたは複数の追加分子、例えばFc受容体γ、CD8、CD4、CD25、またはCD16などの一部分を、さらに含む。例えば、いくつかの局面において、CARは、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25またはCD16とのキメラ分子を含む。
【0225】
いくつかの態様では、CARのライゲーション時に、CARの細胞質ドメインまたは細胞内シグナリングドメインが、免疫細胞、例えばCARを発現するように工学的に改変されたT細胞の正常なエフェクター機能または応答の少なくとも1つを活性化する。例えば、いくつかの状況では、CARが、細胞溶解活性またはTヘルパー活性などといったT細胞の機能、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌などを誘導する。いくつかの態様では、例えば、もし抗原受容体構成成分または共刺激分子の細胞内シグナリングドメインの切断された一部分が、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、それがインタクトな免疫刺激鎖の代わりに使用される。いくつかの態様において、1つまたは複数の細胞内シグナリングドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、いくつかの局面では、自然状況下で前述の受容体と強調して作用することで抗原受容体エンゲージメントに続くシグナル伝達を開始させる補助受容体の細胞質配列、および/またはそのような分子の任意の誘導体または変異体、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列も含む。
【0226】
天然TCRの場合、完全な活性化は一般に、TCRによるシグナリングを必要とするだけでなく、共刺激シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様では、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成成分も、CARに含まれる。別の態様において、CARは、共刺激シグナルを生成するための構成成分を含まない。いくつかの局面では、同じ細胞中で別のCARが発現し、それが二次シグナルまたは共刺激シグナルを生成するための構成成分を提供する。
【0227】
T細胞活性化は、いくつかの局面において、2種類の細胞質シグナリング配列、すなわちTCRによる抗原依存性一次活性化を開始するもの(一次細胞質シグナリング配列)および抗原非依存的に作用して二次シグナルまたは共刺激シグナルを与えるもの(二次細胞質シグナリング配列)によって媒介されると記述される。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナリング構成成分の一方または両方を含む。
【0228】
いくつかの局面において、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナリング配列を含む。刺激性に作用する一次細胞質シグナリング配列は、免疫受容体チロシン活性化モチーフすなわちITAMとして公知のシグナリングモチーフを含有しうる。ITAM含有一次細胞質シグナリング配列の例は、TCRまたはCD3ゼータ、FcRガンマ、FcRベータ、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CDS、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するものを含む。いくつかの態様において、CAR中の細胞質シグナリング分子は、CD3ゼータ由来の細胞質シグナリングドメイン、その一部分、または配列を含有する。
【0229】
いくつかの態様において、CARは、CD28、4-1BB、OX40、DAP10、およびICOSなどの共刺激受容体のシグナリングドメインおよび/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面では、同じCARが活性化構成成分と共刺激構成成分との両方を含む。
【0230】
いくつかの態様において、活性化ドメインは、1つのCAR内に含まれるが、共刺激構成成分は、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様において、CARは活性化CAR、すなわち刺激CAR、および共刺激CARを含み、両者は同じ細胞上に発現する(WO2014/055668参照)。いくつかの局面では、ROR1ターゲティングCARが刺激CAR、すなわち活性化CARであり、他の局面では、それが共刺激CARである。いくつかの態様において、細胞はさらに、例えばROR1以外の抗原を認識するCARなどの阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215)(December, 2013)参照)を含み、阻害性CARがそのリガンドに結合することによって、ROR1ターゲティングCARから送達される活性化シグナルが削減または阻害されて、例えばオフターゲット効果を低減する。
【0231】
一定の態様において、細胞内シグナリングドメインは、CD3(例えばCD3-ゼータ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通およびシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナリングドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結されたキメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激ドメインを含む。
【0232】
いくつかの態様において、CARは、細胞質部分に1つまたは複数の(例えば2つまたは3つの)共刺激ドメインおよび活性化ドメイン、例えば一次活性化ドメインを包含する。例示的CARは、CD3-ゼータ、CD28、および4-1BBの細胞内構成成分を含む。
【0233】
いくつかの態様において、CARまたは他の抗原受容体はさらに、受容体、例えば切断型の細胞表面受容体(切断型EGFR(tEGFR)など)を発現させるための細胞の形質導入または工学的改変を確認するために使用しうるマーカー、例えば細胞表面マーカーを含む。いくつかの局面において、マーカーは、CD34、NGFR、または上皮成長因子受容体(例えばtEGFR)の全部または一部(例えば切断型)を含む。いくつかの態様では、マーカーをコードする核酸が、リンカー配列、例えばT2Aなどの切断可能リンカー配列をコードするポリヌクレオチドに、機能的に連結される。WO2014031687を参照されたい。いくつかの態様において、T2Aリボソームスイッチで分けられた、CARおよびEGFRtをコードする構築物の導入は、同じ構築物に由来する二つのタンパク質を発現することができ、EGFRtは、そのような構築物を発現する細胞を検出するためのマーカーとして使用することができる。いくつかの態様において、マーカーおよび任意でリンカー配列は、特許出願公開番号WO2014031687に開示されているもののどれであってもよい。例えばマーカーは、任意でT2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に連結された、切断型EGFR(tEGFR)であることができる。切断型EGFR(例えばtEGFR)の例示的ポリペプチドは、SEQ ID NO:154に示すアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:154に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む。例示的T2Aリンカー配列は、SEQ ID NO:153に示すアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:153に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む。
【0234】
いくつかの態様において、マーカーは、T細胞上に天然には見いだされない分子またはT細胞の表面上に天然には見いだされない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部分である。
【0235】
いくつかの態様において、分子は非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち細胞の養子移入を受ける宿主の免疫系によって「自己」と認識されないものである。
【0236】
いくつかの態様において、マーカーは、治療的機能を果たさず、かつ/または遺伝子光学用のマーカーとして、例えばうまく工学的に改変された細胞を選択するために使用されること以外の効果を生じない。別の態様において、マーカーは治療分子であるか、または他の形で何らかの望ましい効果を発揮する分子、例えばインビボで出会う細胞のリガンド、例えば養子移入されてリガンドと出会った時の細胞の応答を強化および/または減弱するための共刺激分子または免疫チェックポイント分子でありうる。
【0237】
場合により、CARは、第1、第2、および/または第3世代CARと呼ばれる。いくつかの局面において、第1世代CARは、抗原結合時にCD3鎖誘発性シグナルを与えるだけのものであり、いくつかの局面において、第2世代CARはそのようなシグナルと共シグナル、例えばCD28またはCD137など共刺激受容体からの細胞内シグナリングドメインとを与えるものであり、いくつかの局面において、第3世代CARは、いくつかの局面において、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0238】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載する抗体またはフラグメントを含有する細胞外部分を含む。いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、本明細書に記載する抗体またはフラグメントを含有する細胞外部分と細胞内シグナリングドメインとを含む。いくつかの態様において、抗体またはフラグメントは、scFvまたは単一ドメインV
H抗体と、ITAMを含有する細胞内ドメインとを含む。いくつかの局面において、細胞内シグナリングドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナリングドメインとを連結する膜貫通ドメインを含む。いくつかの局面において、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。細胞外ドメインと膜貫通ドメインは直接的または間接的に連結することができる。
【0239】
いくつかの態様において、細胞外ドメインと膜貫通部は、スペーサー(例えば本明細書に記載するスペーサーのいずれか)によって連結される。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子の細胞内ドメインを、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナリングドメインとの間に含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子はCD28または41BBである。
【0240】
いくつかの態様において、CARは、抗体、例えば抗体フラグメント、CD28の膜貫通部分またはその機能的変異体であるかそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナリング部分またはその機能的変異体およびCD3ゼータのシグナリング部分またはその機能的変異体を含有する細胞内シグナリングドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、抗体、例えば抗体フラグメント、CD28の膜貫通部分またはその機能的変異体であるかそれを含有する膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナリング部分またはその機能的変異体およびCD3ゼータのシグナリング部分またはその機能的変異体を含有する細胞内シグナリングドメインを含有する。いくつかのそのような態様において、受容体は、Ig分子(ヒトIg分子など)の一部分、例えばIgヒンジ(例えばIgG4ヒンジ)を含有するスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーを、さらに含む。
【0241】
いくつかの態様において、受容体(例えばCAR)の膜貫通ドメインは、ヒトCD28またはその変異体の膜貫通ドメイン、例えばヒトCD28(アクセッション番号: P10747.1)の27アミノ酸膜貫通ドメインであるか、SEQ ID NO:145に示すアミノ酸の配列またはSEQ ID NO:145に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む膜貫通ドメインであり、いくつかの態様において、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、SEQ ID NO:146に示すアミノ酸の配列、またはそれに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上または約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0242】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体はT細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激分子はCD28または41BBである。
【0243】
いくつかの態様において、細胞内シグナリングドメインは、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナリングドメインまたはその機能的変異体もしくは一部分、例えばその41アミノ酸ドメインおよび/またはネイティブCD28タンパク質の位置186〜187にLL→GG置換を持つそのようなドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナリングドメインは、SEQ ID NO:147または148に示すアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:147もしくは148に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸配列を含むことができる。いくつかの態様において、細胞内ドメインは、41BBの細胞内共刺激シグナリングドメインまたはその機能的変異体もしくは一部分、例えばヒト4-1BB(アクセッション番号Q07011.1)の42アミノ酸細胞質ドメインまたはその機能的変異体もしくは一部分、例えばSEQ ID NO:149に示すアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:149に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む。
【0244】
いくつかの態様において、細胞内シグナリングドメインは、ヒトCD3ゼータ刺激シグナリングドメインまたはその機能的変異体、例えばヒトCD3ζのアイソフォーム3(アクセッション番号: P20963.2)の112AA細胞質ドメインまたは米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載のCD3ゼータシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナリングドメインは、SEQ ID NO:150、151または152に示すアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:150、151もしくは152に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む。
【0245】
いくつかの局面において、スペーサーはIgGのヒンジ領域のみ、例えばIgG4またはIgG1のヒンジのみ、例えばSEQ ID NO:108に示すヒンジのみのスペーサーを含有する。別の態様では、スペーサーは、CH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様において、スペーサーは、CH2ドメインおよびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジ、例えばSEQ ID NO:143に示すものである。いくつかの態様において、スペーサーは、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジ、例えばSEQ ID NO:142に示すものである。いくつかの態様において、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他の柔軟なリンカー、例えば公知の柔軟なリンカーである。
【0246】
例えばいくつかの態様において、CARは、本明細書に記載のROR-1抗体またはフラグメント、例えば、sdAb(例えばV
H領域のみを含有するもの)およびscFvを含む、ヒトROR1抗体のいずれか、スペーサー、例えばIg-ヒンジ含有スペーサーのいずれか、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内シグナリングドメイン、およびCD3ゼータシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、ROR-1抗体またはフラグメント、例えば、本明細書に記載のsdAbおよびscFvを含む、ヒトROR1抗体のいずれか、スペーサー、例えばIg-ヒンジ含有スペーサーのいずれか、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内シグナリングドメイン、およびCD3ゼータシグナリングドメインを含む。いくつかの態様において、そのようなCARコンストラクトはさらに、T2Aリボソームスキップ要素および/またはtEGFR配列を、例えばCARの下流に含む。
【0247】
C.工学的に改変された細胞
細胞、例えば工学的に改変された抗原受容体を含有する細胞、例えば本明細書に記載する抗ROR1抗体またはフラグメントを含む細胞外ドメインを含有するものも提供される。そのような細胞の集団、そのような細胞を含有しかつ/またはそのような細胞が濃縮された組成物、例えばROR1結合分子を発現する細胞が、組成物中の全細胞またはT細胞もしくはCD8+もしくはCD4+細胞などの一定タイプの細胞の少なくとも50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99パーセントまたはそれ以上を占めるものも提供される。本組成物には、例えば養子細胞療法のための、薬学的組成物および投与のための製剤が含まれる。また、対象、例えば患者に細胞および組成物を投与するための治療方法も提供される。
【0248】
したがって、抗体を含有する組換え受容体を発現する遺伝子改変細胞、例えばCARを含有する細胞も提供する。細胞は一般に、哺乳動物細胞などの真核細胞であり、典型的にはヒト細胞である。いくつかの態様において、細胞は血液、骨髄、リンパ、またはリンパ器官に由来し、免疫系の細胞、例えば自然免疫または適応免疫の細胞、例えばリンパ球を含む骨髄系細胞またはリンパ系細胞、典型的にはT細胞および/またはNK細胞である。他の例示的細胞として、幹細胞、例えば誘導多能性幹細胞s(iPSC)を含む複能性幹細胞および多能性幹細胞が挙げられる。細胞は典型的には初代細胞、例えば対象から直接単離されたものおよび/または対象から単離され凍結されたものである。いくつかの態様において、細胞は、T細胞または他の細胞タイプの1つまたは複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4+ 細胞、CD8+ 細胞、およびそれらの亜集団、例えば活性化状態、成熟度、分化能、増殖能、再循環能、局在能、および/または存続能、抗原特異性、抗原受容体のタイプ、特定器官または特定コンパートメントにおける存在、マーカーまたはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化度によって規定されるものを含む。処置しようとする対象に関して、細胞は同種異系および/または自家である。本方法には既製(off-the-shelf)の方法が含まれる。いくつかの局面において、例えば既製技術に関して、細胞は多能性および/または複能性であり、例えば幹細胞、例えば誘導多能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの態様において、本方法は、対象から細胞を単離し、調製し、処理し、培養し、かつ/または本明細書に記載するようにそれらを工学的に改変し、それらを凍結保存せずに、または凍結保存後に、患者に再導入する工程を含む。
【0249】
T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+ T細胞のサブタイプおよび亜集団には、ナイーブT(T
N)細胞、エフェクターT細胞(T
EFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(T
SCM)、中枢メモリーT(T
CM)、エフェクターメモリーT(T
EM)、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連不変T(MAIT)細胞、天然および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、およびデルタ/ガンマT細胞がある。
【0250】
いくつかの態様において、細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は単球または顆粒球、例えば骨髄性細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0251】
いくつかの態様において、細胞は、遺伝子改変によって導入される1つまたは複数の核酸を含み、その結果、そのような核酸の組換え産物または遺伝子改変産物を発現する。いくつかの態様において、核酸は異種、すなわち細胞中または細胞から得られる試料中に通常は存在しないもの、例えば別の生物または細胞から得られるものであって、例えば工学的に改変される細胞および/またはそのような細胞の由来源である生物には通常見いだされないものである。いくつかの態様において、核酸は天然ではなく、例えば自然界には見いだされない核酸、例えば複数の異なる細胞タイプからのさまざまなドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含むものである。
【0252】
ベクターおよび遺伝子改変の方法
また、抗体を含む受容体などの結合分子を発現させるための、そしてまた、そのような結合分子を発現する遺伝子改変細胞を生産するための方法、核酸、組成物、およびキットも提供する。遺伝子改変では、一般に、組換え構成成分または工学的に改変された構成成分をコードする核酸が、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換などによって、細胞に導入される。
【0253】
いくつかの態様において、遺伝子導入は、細胞を、例えばサイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定される増殖、生存、および/または活性化などの応答を誘発する刺激と混合することなどによって、まず細胞を刺激してから、活性化された細胞の形質導入、臨床応用に十分な数への拡大培養を行うことによって達成される。
【0254】
状況によっては、刺激因子(例えばリンホカインまたはサイトカイン)の過剰発現は対象にとって毒性でありうる。したがって状況によっては、工学的に改変された細胞は、例えば養子免疫療法において投与された時に、細胞がインビボで陰性選択を受けうるようにする遺伝子セグメントを含む。例えば、いくつかの局面において、細胞は、それらが投与された患者のインビボ条件の変化の結果として排除されうるように、工学的に改変される。陰性選択可能表現型は、投与される作用物質、例えば化合物への感受性を付与する遺伝子の挿入に起因しうる。陰性選択可能遺伝子には、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子(Wigler et al., Cell II :223, 1977);細胞ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、細胞アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌シトシンデアミナーゼ(Mullen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:33(1992))などがある。
【0255】
いくつかの局面において、細胞はさらに、サイトカインまたは他の因子の発現を促進するように工学的に改変される。遺伝子改変構成成分、例えば抗原受容体、例えばCARを導入するためのさまざまな方法は周知であり、ここに提供する方法および組成物に使用しうる。例示的方法には、ウイルス(例えばレトロウイルスまたはレンチウイルス)形質導入、トランスポゾン、およびエレクトロポレーションによる方法などといった、受容体をコードする核酸を導入するための方法がある。
【0256】
いくつかの態様において、組換え核酸は、例えばシミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)由来のベクターなどの組換え感染性ウイルス粒子を使って細胞に導入される。いくつかの態様において、組換え核酸は、組換えレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター、例えばガンマ-レトロウイルスベクターを使って、T細胞に導入される(例えばKoste et al.(2014)Gene Therapy 2014 Apr 3. doi:10.1038/gt.2014.25; Carlens et al.(2000)Exp Hematol 28(10):1137-46; Alonso-Camino et al.(2013)Mol Ther Nucl Acids 2, e93; Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11):550-557を参照されたい)。
【0257】
いくつかの態様において、例えばモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)由来のレトロウイルスベクターなど、レトロウイルスベクターは、長末端反復配列(LTR)を有する。大半のレトロウイルスベクターはマウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類細胞または哺乳動物細胞供給源に由来するものが包含される。レトロウイルスは典型的にはアンホトロピックである。つまり、それらは、ヒトを含む複数種の宿主細胞に感染する能力を有する。一態様では、発現させようとする遺伝子でレトロウイルスgag、polおよび/またはenv配列を置き換える。実例となるレトロウイルス系がいくつか記述されている(例えば米国特許第5,219,740号;同第6,207,453号;同第5,219,740号;Miller and Rosman(1989)BioTechniques 7:980-990; Miller, A.D.(1990)Human Gene Therapy 1:5-14; Scarpa et al.(1991)Virology 180:849-852; Burns et al.(1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin(1993)Cur. Opin. Genet. Develop. 3: 102-109)。
【0258】
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的方法は、例えばWang et al.(2012)J. Immunother. 35(9):689-701; Cooper et al.(2003)Blood. 101: 1637-1644; Verhoeyen et al.(2009)Methods Mol Biol. 506:97-114;およびCavalieri et al.(2003)Blood. 102(2):497-505に記載されている。
【0259】
いくつかの態様において、組換え核酸は、エレクトロポレーションによってT細胞に導入される(例えばChicaybam et al,(2013)PLoS ONE 8(3):e60298およびVan Tedeloo et al.(2000)Gene Therapy 7(16):1431-1437)。いくつかの態様において、組換え核酸は、転移(transposition)によってT細胞に導入される(例えばManuri et al.(2010)Hum Gene Ther 21(4): 427-437; Sharma et al.(2013)Molec Ther Nucl Acids 2, e74; and Huang et al.(2009)Methods Mol Biol 506: 115-126を参照されたい)。免疫細胞における遺伝物質の導入および発現の方法には、他にも、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y.に記載されているもの)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソームによるトランスフェクション、タングステン粒子によるマイクロパーティクルボンバードメント(Johnston, Nature, 346: 776-777(1990))、およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7:2031-2034(1987))などがある。
【0260】
組換え産物をコードする核酸を導入するための他のアプローチおよびベクターは、例えば国際特許出願公開番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されているものである。
【0261】
追加の核酸、例えば導入用遺伝子には、治療の効力を、例えば移植された細胞の生存性および/または機能を促進することなどによって改良するもの、細胞の選択用および/または評価用の遺伝子マーカーを提供するための(例えばインビボでの生存または局在化を評価するための)遺伝子、例えばLupton S.D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6(1991)およびRiddell et al., Human Gene Therapy 3:319-338(1992)に記載されているように細胞をインビボでの陰性選択を受けうるようにすることなどによって、安全性を改良するための遺伝子が含まれる。また、優性陽性選択可能マーカーを陰性選択可能マーカーと融合することによって得られる二官能性選択可能融合遺伝子の使用を記載しているLuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公開公報も参照されたい。例えばRiddellらの米国特許第6,040,177号の第14〜17欄を参照されたい。
【0262】
工学的改変用の細胞の調製
いくつかの態様において、工学的に改変された細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製工程を含む。ROR1結合分子、例えばCARを導入するための細胞は、生物学的試料などの試料、例えば対象から得られるものまたは対象に由来するものから単離しうる。いくつかの態様において、細胞の単離源となる対象は、疾患または状態を有する者、または細胞療法の必要がある者、または細胞療法が施行される予定である者である。対象は、いくつかの態様において、特定の治療的介入を必要とするヒト、例えばその治療のために細胞が単離され、処理され、かつ/または工学的に改変されている養子細胞療法を必要とするヒトである。
【0263】
したがって細胞は、いくつかの態様において、初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料としては、対象から直接採取された組織、体液、および他の試料、ならびに例えば分離、遠心分離、遺伝子改変(例えばウイルスベクターによる形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどといった1つまたは複数の処理工程の結果として得られる試料が挙げられる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接的に得られる試料であるか、処理された試料であることができる。生物学的試料としては、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液試料、組織試料および器官試料(それらに由来する処理済み試料を含む)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
【0264】
いくつかの局面において、細胞の由来源または単離源となる試料は、血液または血液由来の試料であるか、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシス産物であるか、またはそれに由来する。例示的試料として、全血、末梢血単核球(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、大腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸、精巣、卵巣、扁桃、もしくは他の器官、および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。細胞療法、例えば養子細胞療法との関連において、試料には、自家供給源および同種異系供給源からの試料が包含される。
【0265】
いくつかの態様において、細胞は、細胞株、例えばT細胞株に由来する。細胞は、いくつかの態様において、異種供給源、例えばマウス、ラット、非ヒト霊長類、またはブタから得られる。
【0266】
いくつかの態様において、細胞の単離は、1つまたは複数の調製工程および/または非アフィニティー系細胞分離工程を含む。いくつかの例では、例えば不要な構成成分を除去し、所望の構成成分を濃縮し、特定の試薬に対して感受性である細胞を溶解または除去するために、1つまたは複数の試薬の存在下で、細胞を洗浄し、遠心分離し、かつ/またはインキュベートする。いくつかの例では、細胞が、1つまたは複数の性質、例えば密度、付着性、サイズ、特定の構成成分に対する感受性および/または耐性に基づいて単離される。
【0267】
いくつかの例では、対象の循環血からの細胞が、例えばアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面において、リンパ球、例えばT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球および/または血小板を含有し、いくつかの局面において、赤血球および血小板以外の細胞を含有する。
【0268】
いくつかの態様では、例えば血漿画分を除去したり、後続の処理工程に適した緩衝液または培地に細胞を入れたりするために、対象から収集した血球を洗浄する。いくつかの態様では、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。いくつかの態様では、洗浄溶液がカルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくはすべての二価カチオンを欠く。いくつかの局面では、洗浄工程が半自動「フロースルー」遠心分離機(例えばCobe2991細胞処理装置、Baxter)により、製造者の指示に従って達成される。いくつかの局面では、洗浄工程がタンジェンシャルフロー濾過(TFF)により、製造者の指示に従って達成される。いくつかの態様では、洗浄後に、例えばCa
++/Mg
++非含有PBSなどのさまざまな生物適合性緩衝液に、細胞を再懸濁する。一定の態様では、血球試料の構成成分を取り出し、細胞を培養培地に直接再懸濁する。
【0269】
いくつかの態様において、本方法は、密度に基づく細胞分離方法、例えば赤血球の溶解およびPercollまたはFicoll勾配での遠心分離による末梢血からの白血球の調製を含む。
【0270】
いくつかの態様において、単離方法は、細胞における1つまたは複数の特異的分子、例えば表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸の発現または存在に基づく、異なる細胞タイプの分離を含む。いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づいて分離するための任意の公知方法を使用しうる。いくつかの態様では、分離がアフィニティーまたはイムノアフィニティーに基づく分離である。例えば単離は、いくつかの局面において、例えば細胞をそのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーと共にインキュベートし、続いて一般に洗浄工程を行い、抗体または結合パートナーに結合した細胞を抗体または結合パートナーに結合しなかった細胞から分離することなどによる、1つまたは複数のマーカー(典型的には細胞表面マーカー)の細胞発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離を含む。
【0271】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞をその後の使用のためにとっておく陽性選択および/または抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞をとっておく陰性選択に基づくことができる。いくつかの例では、両方のフラクションをその後の使用のためにとっておく。いくつかの局面において、不均一な集団中の一細胞タイプを特異的に同定する抗体を利用できず、所望の集団以外の細胞が発現するマーカーに基づいて分離を実行することが最善である場合に、陰性選択は特に役立ちうる。
【0272】
分離が、特定マーカーを発現する特定の細胞集団または細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、ある特定タイプの細胞(例えばあるマーカーを発現するもの)の陽性選択または濃縮とは、そのような細胞の数またはパーセンテージを増加させることを指し、当該マーカーを発現しない細胞が全く存在しない状態をもたらす必要はない。同様に、特定タイプの細胞(例えばあるマーカーを発現するもの)の陰性選択、除去、または枯渇とは、そのような細胞の数またはパーセンテージを減少させることを指し、すべてのそのような細胞の完全な除去をもたらす必要はない。
【0273】
いくつかの例では、分離工程を複数回実行し、1つの工程で陽性選択または陰性選択されたフラクションを別の分離工程(例えば後続の陽性選択または陰性選択)に供する。いくつかの例では、例えば陰性選択のための標的となるマーカーにそれぞれ特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることなどにより、単一の分離工程で、複数のマーカーを発現する細胞を同時に枯渇させることができる。同様に、さまざまな細胞タイプ上での発現物と複数の抗体または結合パートナーを共に細胞をインキュベートすることにより、複数の細胞タイプを同時に陽性選択することもできる。
【0274】
例えば、いくつかの局面では、T細胞の特定亜集団、例えば1つまたは複数の表面マーカーが陽性であるか高レベルに発現する細胞、例えばCD28
+、CD62L
+、CCR7
+、CD27
+、CD127
+、CD4
+、CD8
+、CD45RA
+、および/またはCD45RO
+ T細胞が、陽性選択技法または陰性選択技法によって単離される。
【0275】
例えば、CD3
+、CD28
+ T細胞は、CD3/CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えばDYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使って、陽性選択することができる。
【0276】
いくつかの態様では、陽性選択で特定細胞集団を濃縮することによって、または陰性選択で特定細胞集団を枯渇させることによって、単離が実行される。いくつかの態様において、陽性選択または陰性選択は、それぞれ陽性選択または陰性選択される細胞上に発現しているか(マーカー
+)、比較的高レベルに発現している(マーカー
high)、1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合作用物質と共に、細胞をインキュベートすることによって達成される。
【0277】
いくつかの態様において、T細胞は、B細胞、単球、または他の白血球などの非T細胞上に発現するマーカー(例えばCD14)の陰性選択によって、PBMC試料から分離される。いくつかの局面では、CD4
+ヘルパーT細胞とCD8
+細胞傷害性T細胞とを分離するために、CD4
+またはCD8
+選択工程が使用される。そのようなCD4
+集団およびCD8
+集団はさらに、1つまたは複数のナイーブT細胞亜集団、メモリーT細胞亜集団、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現しているマーカーまたは比較的高度に発現しているマーカーに関する陽性選択または陰性選択によって亜集団に選別することができる。
【0278】
いくつかの態様では、CD8
+細胞を、ナイーブ細胞、中枢メモリー細胞、エフェクターメモリー細胞、および/または中枢メモリー幹細胞について、例えば各亜集団に関連する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択などによって、さらに濃縮するか、または枯渇させる。いくつかの態様では、効力を増加させるために、例えば投与後の長期生存、増殖および/または定着を改良するために、中枢メモリーT(T
CM)細胞の濃縮が実行される(いくつかの局面において、前記の性質はそのような亜集団では特にロバストである)。Terakuraら(2012)Blood.1:72-82; Wang et al.(2012)J Immunother. 35(9):689-701参照。いくつかの態様では、T
CM濃縮CD8
+ T細胞およびCD4
+ T細胞を組み合わせることによって、効力がさらに強化される。
【0279】
諸態様において、メモリーT細胞は、CD8
+末梢血リンパ球のCD62L
+サブセットとCD62L
-サブセットの両方に存在する。抗CD8抗体および抗CD62L抗体を使用するなどして、PBMCを、CD62L
-CD8
+フラクションおよび/またはCD62L
+CD8
+フラクションについて、濃縮し、または枯渇させることができる。
【0280】
中枢メモリーT(T
CM)細胞の濃縮は、いくつかの態様では、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性発現または高表面発現に基づき、いくつかの局面では、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現または高度に発現する細胞の陰性選択に基づく。いくつかの局面において、T
CM細胞が濃縮されたCD8
+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって実行される。一局面において、中枢メモリーT(T
CM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択される細胞の陰性フラクションから出発して実行され、それが、CD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択およびCD62Lに基づく陽性選択に付される。そのような選択は、いくつかの局面では同時に実行され、別の局面では逐次的に、いずれかの順序で実行される。いくつかの局面では、CD8
+細胞集団または亜集団の調製に使用したものと同じCD4発現に基づく選択工程を、CD4
+細胞集団または亜集団を作製するためにも使用することで、CD4に基づく分離からの陽性フラクションおよび陰性フラクションの両方をとっておき、任意で1つまたは複数のさらなる陽性選択工程または陰性選択工程後に、本方法の後続の工程において使用する。
【0281】
特定の一例では、PBMCの試料または他の白血球試料をCD4
+細胞の選択に付し、陰性フラクションと陽性フラクションの両方をとっておく。次に、陰性フラクションを、CD14およびCD45RAまたはROR1の発現に基づく陰性選択およびCD62LまたはCCR7などの中枢メモリーT細胞に特有のマーカーに基づく陽性選択に供する。この場合、前記陽性選択と陰性選択はいずれかの順序で行われる。
【0282】
細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、CD4
+ Tヘルパー細胞を、ナイーブ細胞、中枢メモリー細胞、およびエフェクター細胞に選別する。CD4
+リンパ球は標準的方法によって得ることができる。いくつかの態様において、ナイーブCD4
+ Tリンパ球は、CD45RO
-、CD45RA
+、CD62L
+、CD4
+ T細胞である。いくつかの態様において、中枢メモリーCD4
+細胞はCD62L
+かつCD45RO
+である。いくつかの態様において、エフェクターCD4
+細胞はCD62L
-かつCD45RO
-である。
【0283】
一例では、CD4
+細胞を陰性選択によって濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルが、典型的には、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様では、陽性選択および/または陰性選択のための細胞の分離に備えて、抗体または結合パートナーを磁気ビーズまたは常磁性ビーズなどの固形支持体またはマトリックスに結合させる。例えば、いくつかの態様では、免疫磁気(またはアフィニティー磁気)分離技法を使って、細胞および細胞集団が分離または単離される(Methods in Molecular Medicine, vol. 58: Metastasis Research Protocols, Vol. 2: Cell Behavior In Vitro and In Vivo, p 17-25 Edited by: S.A. Brooks and U. Schumacher(c)Humana Press Inc., Totowa, NJに概説されている)。
【0284】
いくつかの局面では、分離しようとする細胞の試料または組成物を、小さな磁化可能材料または磁気応答材料、常磁性ビーズなどの磁気応答粒子または微粒子(例えばDynalビーズまたはMACSビーズなど)と共にインキュベートする。磁気応答材料、例えば粒子は、一般に、分離することが望まれる(例えば陰性選択または陽性選択することが望まれる)1つまたは複数の細胞または細胞の集団上に存在する分子(例えば表面マーカー)に特異的に結合する結合パートナー(例えば抗体)に、直接的または間接的に取り付けられる。
【0285】
いくつかの態様において、磁気粒子または磁気ビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合構成要素に結合した磁気応答材料を含む。磁気分離法において使用される周知の磁気応答材料は数多くある。適切な磁気粒子には、Moldayの米国特許第4,452,773号および欧州特許明細書EP452342Bに記載されているものがあり、これらの文献は参照により本明細書に組み入れられる。他の例には、コロイドサイズの粒子、例えばOwenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているものがある。
【0286】
インキュベーションは一般に、抗体もしくは結合パートナー、またはそのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する分子、例えば二次抗体または他の試薬であって、磁気粒子または磁気ビーズに取り付けられているものが、細胞表面分子に(それがもし試料内の細胞上に存在するのであれば)特異的に結合するような条件下で実行される。
【0287】
いくつかの局面において、試料を磁場に入れると、磁気応答粒子または磁化可能粒子が取り付けられている細胞は磁石に引きつけられ、非標識細胞から分離されるであろう。陽性選択の場合は、磁石に引きつけられた細胞をとっておき、陰性選択の場合は、磁石に引きつけられなかった細胞(非標識細胞)をとっておく。いくつかの局面では、同じ選択工程中に陽性選択と陰性選択との組み合わせを実施して、陽性フラクションと陰性フラクションとをとっておいて、さらに処理するか、さらなる分離工程に供する。
【0288】
一定の態様において、磁気応答粒子は、一次抗体もしくは他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンで被覆される。一定の態様において、磁気粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に取り付けられる。一定の態様では、ビーズではなく細胞を一次抗体または結合パートナーで標識してから、細胞タイプ特異的二次抗体被覆磁気ビーズまたは他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)被覆磁気ビーズを加える。一定の態様では、ストレプトアビジン被覆磁気ビーズをビオチン化一次または二次抗体と共に使用する。
【0289】
いくつかの態様では、磁気応答粒子を細胞に取り付けたままにしておき、その細胞を引き続いてインキュベートし、培養し、かつ/または工学的に改変する。また、いくつかの局面では、患者に投与するために粒子を細胞に取り付けたままにしておく。いくつかの態様では、磁化可能粒子または磁気応答粒子を細胞から取り除く。磁化可能粒子を細胞から取り除くための方法は公知であり、例えば競合非標識抗体の使用、切断可能なリンカーにコンジュゲートされた磁化可能粒子または抗体などがある。いくつかの態様において、磁化可能粒子は生分解性である。
【0290】
いくつかの態様において、アフィニティーに基づく選択は、磁気活性化細胞選別法(magnetic-activated cell sorting: MACS)(Miltenyi Biotech、カリフォルニア州オーバン)による。磁気活性化細胞選別(MACS)システムでは、磁気粒子が取り付けられている細胞の高純度選択が可能である。一定の態様において、MACSは、外部磁場の適用後に非ターゲット種とターゲット種とが逐次的に溶出するモードで作動する。すなわち、磁化粒子に取り付けられた細胞はその場に保持され、一方、取り付けられていない種は溶出する。次に、この第1溶出工程が完了した後に、磁場に捕らわれて溶出が妨げられていた種が、溶出して回収されうるような何らかの方法で解放される。一定の態様では、非ターゲット細胞を標識して、不均一な細胞集団から枯渇させる。
【0291】
一定の態様では、単離または分離が、本方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤工程のうちの1つまたは複数を実行するシステム、デバイス、または装置を使って実行される。いくつかの局面では、例えばエラー、ユーザー操作および/または汚染を最小限に抑えるために、システムを使って、閉鎖環境または無菌環境においてこれらの工程のそれぞれを実行する。一例において、システムは、国際特許出願公開番号WO2009/072003またはUS20110003380A1に記載のシステムである。
【0292】
いくつかの態様では、システムまたは装置が、単離、処理、工学的改変、および製剤化工程のうちの1つまたは複数、例えば全てを、統合型システムまたは自己完結型システムにおいて、かつ/または自動化されたもしくはプログラム可能な形で実行する。いくつかの局面において、システムまたは装置は、システムまたは装置と通信するコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムであって、ユーザーが処理工程、単離工程、工学的改変工程、および製剤化工程のさまざまな局面をプログラムし、制御し、その成果を評価し、かつ/または調節することを可能にするものを含む。
【0293】
いくつかの局面において、分離工程および/または他の工程は、例えば閉鎖された無菌系における臨床スケールレベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotic)を使って実行される。構成部品には、組み込みマイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、およびさまざまなピンチ弁が含まれうる。組み込みコンピュータは、いくつかの局面において、計器のすべての構成部品を制御し、標準化されたシーケンスで反復手順を行うようにシステムに指示する。磁気分離ユニットは、いくつかの局面において、可動永久磁石および選択カラム用の保持具を含む。蠕動ポンプは管系セット全体の流速を制御し、ピンチ弁と共に、システムを通る緩衝液の制御された流れと細胞の絶え間ない懸濁とを保証する。
【0294】
CliniMACSシステムは、いくつかの局面において、無菌非発熱性溶液に入れて供給される抗体カップリング磁化可能粒子を使用する。いくつかの態様では、磁気粒子による細胞の標識化後に、細胞を洗浄して過剰の粒子を除去する。次に、細胞調製バッグを管系セットに接続し、そしてその管系セットを緩衝液を含有するバッグおよび細胞収集バッグに接続する。管系セットは組み立て済みの無菌管系(プレカラムおよび分離カラムを含む)からなり、1回限りの使い捨て用である。分離プログラムの開始後に、システムは自動で細胞試料を分離カラムに適用する。標識細胞はカラム内に保持され、一方、非標識細胞は一連の洗浄工程によって除去される。いくつかの態様では、本明細書に記載する方法で使用するための細胞集団が標識されておらず、カラム中に保持されない。いくつかの態様では、本明細書に記載する方法で使用するための細胞集団が標識されており、カラム中に保持される。いくつかの態様では、磁場の除去後に、本明細書に記載する方法で使用するための細胞集団をカラムから溶出させて、細胞収集バッグ内に収集する。
【0295】
一定の態様では、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使って、分離および/または他の工程が実行される。CliniMACS Prodigyシステムは、いくつかの局面において、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニット(cell processing unity)を装備している。CliniMACS Prodigyシステムは、ソース細胞産物(source cell product)の肉眼的層を識別することによって最適な細胞分画終点を決定する内蔵カメラおよび画像認識ソフトウェアも含むことができる。例えば末梢血は、赤血球、白血球および血漿層へと自動的に分離され得る。CliniMACS Prodigyシステムは、例えば細胞の分化および増殖、抗原負荷、および長期細胞培養などの細胞培養プロトコールを遂行する組み込み細胞培養チャンバーも含むことができる。投入口は、培地の無菌的取り出しおよび補充を可能にすることができ、組み込み顕微鏡を使って細胞を監視することができる。例えばKlebanoff et al.(2012)J Immunother. 35(9):651-660、Terakura et al.(2012)Blood.1:72-82、およびWang et al.(2012)J Immunother. 35(9):689-701を参照されたい。
【0296】
いくつかの態様では、複数種の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流にのせて運ばれるフローサイトメトリーによって本明細書に記載する細胞集団が収集され、濃縮(または枯渇)される。いくつかの態様では、調製用(FACS)選別法によって、本明細書に記載する細胞集団が収集され、濃縮(または枯渇)される。一定の態様では、微小電気機械システム(MEMS)チップをFACSベースの検出システムと併用することによって、本明細書に記載する細胞集団が収集され、濃縮(または枯渇)される(例えばWO 2010/033140、Cho et al.(2010)Lab Chip 10, 1567-1573、およびGodin et al.(2008)J Biophoton. 1(5):355-376を参照されたい)。どちらの場合も、細胞を複数種のマーカーで標識して、高純度の明確なT細胞サブセットの単離を可能にすることができる。
【0297】
いくつかの態様では、陽性選択および/または陰性選択のための分離が容易になるように、抗体または結合パートナーが、1つまたは複数の検出可能マーカーで標識される。例えば分離は蛍光標識抗体への結合に基づきうる。いくつかの例では、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離が、流体流中で、例えば蛍光活性化細胞選別法(FACS)(例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせされた分取用(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを含む)によって行われる。そのような方法により、複数種のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択が同時に可能になる。
【0298】
いくつかの態様において、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または工学的改変の前または後に、細胞を凍結するための方法、例えば冷凍保存するための方法を含む。いくつかの態様では、凍結とそれに続く融解の工程によって、細胞集団中の顆粒球が除去され、ある程度は単球も除去される。いくつかの態様では、例えば血漿および血小板を除去するための洗浄工程後に、細胞が凍結溶液に懸濁される。さまざまな公知の凍結溶液およびパラメータはどれでも、いくつかの局面において使用しうる。一例では、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBSまたは他の適切な細胞凍結培地が使用される。次に、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるように、これを培地で1:1希釈する。次に細胞を、毎分1°の速度で-80℃まで凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存する。
【0299】
いくつかの態様において、ここに提供する方法は、培養(cultivation)、インキュベーション、培養(culture)、および/または遺伝子改変工程を含む。例えば、いくつかの態様では、枯渇処理した細胞集団および培養開始組成物をインキュベートしかつ/または工学的に改変する方法が提供される。
【0300】
したがって、いくつかの態様では、細胞集団を培養開始組成物中でインキュベートする。インキュベーションおよび/または工学的改変は、ユニット、チャンバー、ウェル、カラム、チューブ、管系セット、バルブ、バイアル、培養ディッシュ、バッグ、または他の培養物用もしくは細胞培養用容器などの培養槽中で実行しうる。
【0301】
いくつかの態様では、遺伝子改変の前に、または遺伝子改変との関連において、細胞をインキュベートし、かつ/または培養する。インキュベーション工程は、培養(culture)、培養(cultivation)、刺激、活性化、および/または増殖を含むことができる。いくつかの態様では、組成物または細胞を、刺激条件または刺激作用物質の存在下でインキュベートする。そのような条件には、集団中の細胞の増殖(proliferation)、増殖(expansion)、活性化、および/または生存を誘発し、抗原ばく露を模倣し、かつ/または遺伝子改変のために(例えば組換え抗原受容体を導入するために)細胞をプライミングするように意図されたものが含まれる。
【0302】
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化することを意図した他の任意の作用物質の1つまたは複数を含むことができる。
【0303】
いくつかの態様において、刺激条件または刺激作用物質は、TCR複合体の細胞内シグナリングドメインを活性化する能力を有する1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面では、作用物質が、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナリングカスケードを作動させる、すなわち開始させる。そのような作用物質は、抗体、例えばTCR構成成分および/または共刺激受容体に特異的なもの、例えば抗CD3、抗CD28(例えばビーズなどの固形支持体に結合したもの)、および/または1つまたは複数のサイトカインを含みうる。任意で、増殖方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培養培地に(例えば少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)加える工程をさらに含みうる。いくつかの態様において、刺激作用物質は、IL-2および/またはIL-15、例えば少なくとも約10単位/mLの濃度のIL-2を含む。
【0304】
いくつかの局面では、インキュベーションが、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012)J Immunother. 35(9):651-660、Terakuraら(2012)Blood.1:72-82、および/またはWang et al.(2012)J Immunother. 35(9):689-701に記載されている技法などの技法に従って実行される。
【0305】
いくつかの態様では、培養開始組成物に非分裂末梢血単核球(PBMC)などのフィーダー細胞を(例えば結果として生じる細胞の集団が、増殖される開始集団中の各Tリンパ球につき少なくとも約5、10、20、もしくは40またはそれ以上のPBMCフィーダー細胞を含有するように)加え、その培養物を(例えばT細胞の数を増加させるのに十分な時間にわたって)インキュベートすることによって、T細胞を増殖させる。いくつかの局面において、非分裂フィーダー細胞は、ガンマ照射PBMCフィーダー細胞を含むことができる。いくつかの態様では、細胞分裂を防止するために、約3000〜3600ラドの範囲のガンマ線をPBMCに照射する。いくつかの局面では、T細胞の集団を加える前に、フィーダー細胞を培養培地に加える。
【0306】
いくつかの態様において、刺激条件には、ヒトTリンパ球の成長に適した温度、例えば少なくとも摂氏約25度、一般的には少なくとも約30度、一般的には摂氏37度または約37度が含まれる。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として加えることをさらに含みうる。LCLは、約6000〜10,000ラドの範囲のガンマ線で照射することができる。LCLフィーダー細胞は、いくつかの局面において、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞対初期Tリンパ球の比など、任意の適切な量で与えることができる。
【0307】
諸態様では、ナイーブTリンパ球または抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって、抗原特異的CD4+および/またはCD8+ T細胞などの抗原特異的T細胞を得る。例えば、サイトメガロウイルス抗原に対しては、感染対象からT細胞を単離し、インビトロでその細胞を同じ抗原で刺激することによって、抗原特異的T細胞株または抗原特異的T細胞クローンを作製することができる。
【0308】
II.組成物、方法および使用
また、ROR1結合分子および工学的に改変された細胞を含む組成物(薬学的組成物および薬学的製剤を含む)、ROR1が発現する疾患、状態、および障害の処置などにおける、前記分子および前記組成物の使用方法、ならびに前記分子および前記組成物の使用、ならびに/または検出、診断、および予後方法も提供する。
【0309】
A.薬学的組成物および薬学的製剤
ROR1結合分子、例えば抗体もしくはキメラ受容体、および/または前記分子を発現する工学的に改変された細胞を含む薬学的製剤が提供される。薬学的組成物および製剤は一般に、1つまたは複数の随意の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの追加治療作用物質を含む。
【0310】
「薬学的製剤」という用語は、そこに含有される活性成分の生物学的活性が有効であることを許すような形態にあって、その製剤が投与されるであろう対象にとって許容できないほどに毒性な追加の構成成分を含有しない調製物を指す。
【0311】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0312】
いくつかの局面において、担体の選択は、一つには、その特定の細胞、結合分子、および/または抗体によって、かつ/または投与の方法によって決まる。したがって適切な製剤はさまざまである。例えば、薬学的組成物は保存剤を含むことができる。適切な保存剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムを挙げることができる。いくつかの局面では、2つ以上の保存剤の混合物が使用される。保存剤またはその混合物は、典型的には、組成物全体の約0.0001〜約2重量%の量で存在する。担体は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.(1980)によって記載されている。薬学的に許容される担体は使用する投薬量および濃度において一般に受容者にとって非毒性であり、これには例えば、リン酸、クエン酸および他の有機酸などの緩衝剤;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン;保存剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール、またはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;単糖、二糖、および他の糖質、例えばグルコース、マンノース、またはデキストリン;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質複合体);および/またはポリエチレングリコール(PEG)などのノニオン界面活性剤があるが、それらに限定されるわけではない。
【0313】
いくつかの局面では、緩衝作用物質が組成物に含まれる。適切な緩衝作用物質には、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、および他のさまざまな酸および塩がある。いくつかの局面では、2種以上の緩衝作用物質の混合物を使用する。緩衝作用物質またはその混合物は、典型的には組成物全体の約0.001〜約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的方法は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed.(May 1, 2005)に詳述されている。
【0314】
抗体の製剤として、凍結乾燥製剤および水溶液を挙げることができる。
【0315】
製剤または組成物は、当該結合分子または細胞で処置されるその特定適応症、疾患、または状態に有用な2種以上の他の活性成分、好ましくは当該結合分子または細胞に対して相補的な活性を持ち、それぞれの活性が互いに有害な影響を及ぼさないものも含有しうる。そのような活性成分は意図した目的に有効な量で組み合わせされて適切に存在する。したがって、いくつかの態様において、薬学的組成物は、他の薬学的に活性な作用物質または薬物、例えば化学療法剤、例えばアスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどを、さらに含む。いくつかの態様において、細胞または抗体は、塩の形態、例えば薬学的に許容される塩の形態で投与される。適切な薬学的に許容される酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸などの鉱酸、および酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸などの有機酸から誘導されるものがある。
【0316】
活性成分は、マイクロカプセル、コロイド状薬物送達システム(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルションに封入してもよい。一定の態様では、薬学的組成物が、シクロデキストリン包接複合体などの包接複合体として、またはリポソームとして、製剤化される。リポソームは、宿主細胞(例えばT細胞またはNK細胞)を特定組織に誘導するのに役立ちうる。リポソームの調製には、例えばSzoka et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9: 467(1980)および米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,837,028号、および第5,019,369号に記載されているものなど、数多くの方法を利用することができる。
【0317】
組成物の送達が、処置しようとする部位の増感に先だって、その増感を引き起こすのに十分な時間で起こるように、薬学的組成物は、いくつかの局面において、持効性送達システム、遅延放出性送達システム、および徐放性送達システムを使用することができる。数多くのタイプの放出送達システムを利用することができ、それらは公知である。そのようなシステムは、組成物の反復投与を回避し、よって対象および医師の利便性を増加させることができる。
【0318】
薬学的組成物は、いくつかの態様において、疾患または状態を処置または防止するのに有効な量で、例えば治療有効量で、または予防有効量で、結合分子および/または細胞を含有する。治療効力または予防効力は、いくつかの態様において、処置された対象の周期的評価によって監視される。状態に依存して数日またはそれ以上にわたる繰り返し投与の場合、疾患症状の望ましい抑制が起こるまで、処置を繰り返す。しかし、他の用量用法が役立つ場合もあり、他の用量用法を決定することができる。望ましい投薬量は、組成物の単回ボーラス投与によって、または組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の持続注入投与によって送達することができる。
【0319】
一定の態様において、結合分子を含有する遺伝子改変細胞との関連では、対象には、約100万〜約1000億個の範囲の細胞、例えば100万〜約500億個(例えば約500万個、約2500万個、約5億個、約10億個、約50億個、約200億個、約300億個、約400億個、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲)の細胞、例えば約1000万〜約1000億個(例えば約2000万個、約3000万個、約4000万個、約6000万個、約7000万個、約8000万個、約9000万個、約100億個、約250億個、約500億個、約750億個、約900億個、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲)の細胞、また場合によっては約1億個〜約500億個(例えば約1億2000万個、約2億5000万個、約3億5000万個、約4億5000万個、約6億5000万個、約8億個、約9億個、約30億個、約300億個、約450億個)もしくはこれらの範囲の間の任意の値の細胞、および/または対象の体重1キログラムにつきそのような数の細胞が投与される。
【0320】
組成物または細胞は、標準的な投与技法、製剤、および/またはデバイスを使って投与しうる。組成物の貯蔵および投与のために、シリンジおよびバイアルなどの製剤およびデバイスが提供される。細胞の投与は、自家投与であるか、異種投与であることができる。例えば免疫応答細胞または前駆細胞を対象から得て、それを同じ対象または異なる適合対象に投与することができる。末梢血由来免疫応答細胞またはそれらの子孫(例えばインビボ、エクスビボまたはインビトロ派生物)は、限局的注射(カテーテル投与を含む)、全身注射、限局的注射、静脈内注射、または非経口投与によって投与することができる。治療用組成物(例えば遺伝子修飾免疫応答細胞を含有する薬学的組成物)を投与する場合、治療組成物は一般に注射可能な単位剤形(溶液、懸濁液、エマルション)に製剤化されるであろう。
【0321】
製剤には、経口投与用、静脈内投与用、腹腔内投与用、皮下投与用、肺投与用、経皮投与用、筋肉内投与用、鼻腔内投与用、口腔粘膜投与用、舌下投与用、または坐剤投与用のものが含まれる。いくつかの態様において、細胞集団は非経口投与される。本明細書において使用する「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸投与、腟投与、頭蓋内投与、胸郭内投与および腹腔内投与を包含する。いくつかの態様では、細胞集団が、静脈内注射、腹腔内注射、または皮下注射による末梢全身送達を使って対象に投与される。
【0322】
組成物は、いくつかの態様において、無菌液状調製物として、例えば等張性水溶液、懸濁液、エマルション、分散液、または粘性組成物として提供され、それらは、いくつかの局面において、選択されたpHに緩衝化されている。液状調製物は、通常、ゲル、他の粘性組成物、および固形組成物よりも調製が容易である。加えて、液状組成物は、投与(特に注射によって投与)するのに多少便利である。一方、粘性組成物は、特定組織との接触期間が長くなるように、適当な粘度範囲内で製剤化することができる。液状組成物または粘性組成物は担体を含むことができ、それらは、例えば水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(polyoi)(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物などを含有する溶媒または分散媒であることができる。
【0323】
無菌注射可能溶液は、結合分子を溶媒に組み入れることによって、例えば無菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどの適切な担体、希釈剤、または賦形剤と混合して調製することができる。組成物は凍結乾燥することもできる。組成物は、投与経路および所望の調製物に依存して、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えばメチルセルロース)、pH緩衝作用物質、ゲル化または増粘性添加剤、保存剤、香味剤、着色剤などの補助物質を含有することができる。いくつかの局面では、標準的な教本を参照することで、適切な調製物を調製することができる。
【0324】
抗微生物保存剤、酸化防止剤、キレート剤、および緩衝剤など、組成物の安定性および無菌性を強化するさまざまな添加剤を加えることができる。微生物作用の防止は、さまざまな抗細菌および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確保することができる。注射可能な薬学的形態の長時間にわたる吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって引き起こすことができる。
【0325】
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適例は、造形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態にある、抗体を含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含む。
【0326】
インビボ投与に使用される製剤は一般に無菌である。無菌性は例えば無菌濾過膜による濾過などによって容易に達成されうる。
【0327】
B.治療的および予防的な方法および使用
また、ROR1結合分子(抗ROR1抗体、例えば抗体フラグメント、およびキメラ受容体のようなものを含むタンパク質を含む)および/または組換え受容体を発現する工学的に改変された細胞を投与する方法およびそれらの使用、例えば治療的および予防的使用も提供する。そのような方法および使用には、例えば、ROR1を発現するかROR1発現に関連する疾患、状態または障害を有し、かつ/または細胞もしくは組織がROR1を発現、例えば特異的に発現する対象に、分子、細胞またはそれらを含む組成物を投与することを伴う治療的方法および治療的使用が含まれる。いくつかの態様において、分子、細胞、および/または組成物は、疾患または障害の処置を達成するために、有効量で投与される。使用には、前述の方法および処置における結合分子、CAR、抗体および細胞の使用、前述の治療方法を実行するための医薬の調製における抗体および細胞の使用が含まれる。いくつかの態様において、方法は、疾患または状態を有するか、それらを有すると疑われる対象に、抗体もしくは細胞またはそれらを含む組成物を投与することによって実行される。いくつかの態様において、本方法は、それによって、対象における疾患または状態または障害を処置する。
【0328】
本明細書にいう「処置」(およびその文法上の変形、例えば「処置する」または「処置すること」)は、疾患もしくは状態もしくは障害、またはそれに伴う症状、有害作用もしくはアウトカム、もしくは表現型の完全なまたは部分的な改善または低減を指す。処置の望ましい効果には、疾患の発生または再発の防止、症状の軽減、疾患の何らかの直接的または間接的な病理学的結果の減縮、転移の防止、疾患進行速度の減少、疾患状態の改善または緩和、ならびに寛解または予後の改良などがあるが、それらに限定されるわけではない。これらの用語は、疾患の完全な治癒も、何らかの症状またはすべての症状もしくはアウトカムに対する何らかの効果の完全な排除も含意しない。
【0329】
本明細書において「疾患の発達を遅延させる」とは、疾患(例えばがん)の発達を延期し、妨げ、減速し、遅延させ、安定化し、抑制し、かつ/または先延ばしにすることを意味する。この遅延は、処置される疾患および/または個体の履歴に依存して、さまざまな長さの期間であることができる。当業者には明白であるように、十分な遅延または著しい遅延は、その個体では疾患が発達しないという点で、実際上、防止を包含することができる。例えば末期がん(転移の発達など)を遅延させうる。
【0330】
本明細書にいう「防止する」には、ある疾患に対する素因を有しうるがまだその疾患とは診断されていない対象における当該疾患の発生または再発に関して、予防が含まれる。いくつかの態様において、ここに提供する分子および組成物は、疾患の発達を遅延させるためまたは疾患の発達を遅くするために使用される。
【0331】
本明細書において使用する場合、機能または活性を「抑制する」とは、関心対象の条件またはパラメータを除く他の点では同じ条件と比較して、あるいは別の条件と比較して、その機能または活性を低減することである。例えば、腫瘍成長を抑制する抗体または組成物または細胞は、その抗体または組成物または細胞が存在しない場合の腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低減する。
【0332】
投与との関連において、作用物質、例えば薬学的製剤、結合分子、抗体、もしくは細胞、または組成物の「有効量」とは、所望の結果、例えば治療結果または予防結果を達成するのに、必要な投薬量/量および期間において、有効な量を指す。
【0333】
作用物質、例えば薬学的製剤、抗体、または細胞の「治療有効量」とは、例えば疾患、状態または障害の処置に関して所望の治療結果、および/または処置の薬物動態的もしくは薬力学的効果を達成するのに、必要な投薬量および期間において、有効な量を指す。治療有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに投与される細胞集団などの因子に応じて変動しうる。いくつかの態様において、ここに提供する方法は、分子、細胞、および/または組成物を有効量で、例えば治療有効量で投与することを伴う。
【0334】
「予防有効量」とは、所望の予防結果を達成するのに、必要な投薬量および期間において、有効な量を指す。予防用量は疾患に先だってまたは疾患の初期段階において対象に使用されるので、典型的には、予防有効量は治療有効量より少ないであろうが、必ずしもそうとは限らない。
【0335】
本明細書にいう「対象」は哺乳動物、例えばヒトまたは他の動物であり、典型的にはヒトである。
【0336】
処置される疾患には、任意のROR1関連疾患もしくはROR1関連状態またはROR1が特異的に発現する疾患もしくは状態が含まれる。一定の疾患および状態では、悪性細胞およびがん上にROR1が発現する。いくつかの態様では、疾患または状態がROR1発現がんである。処置することができるROR1関連疾患またはROR1関連状態には、例えばB細胞白血病、リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、AML、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、腎細胞癌、大腸がん、直腸結腸がん、乳がん、扁平上皮細胞がん、黒色腫、骨髄腫、胃がん、脳がん、肺がん、膵がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、副腎がんおよび頭頸部がんが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0337】
いくつかの態様では、本方法により、ROR1関連疾患またはROR1関連障害を有する対象、それを有すると疑われる対象、またはそれを発症するリスクがある対象が同定されうる。したがって、上昇したROR1発現と関連する疾患または障害を持つ対象を同定し、ここに提供するROR1結合分子、例えば抗ROR1抗体のいずれか、例えば抗体フラグメントおよびそれを含有するタンパク質、例えばキメラ受容体、および/または組換え受容体を発現する工学的に改変された細胞などによる処置のために、それらの対象を選択するための方法が提供される。
【0338】
例えば、上昇したROR1発現と関連する疾患または障害の存在、例えばROR1発現がんの存在に関して、対象をスクリーニングすることができる。いくつかの態様において、本方法は、ROR1関連疾患(例えば腫瘍)の存在をスクリーニングまたは検出する工程を含む。したがっていくつかの局面では、上昇したROR1発現と関連する疾患または障害を有すると疑われる患者から試料を採取し、ROR1の発現レベルについてアッセイすることができる。いくつかの局面では、ROR1関連疾患またはROR1関連障害に関する検査が陽性である対象を、本方法による処置のために選択し、治療有効量の、本明細書に記載するROR1抗体、ROR1を発現するCAR、CARを含有する細胞、またはそれらの薬学的組成物を投与することができる。いくつかの態様において、本方法は、例えば本方法による処置の前、処置中、または処置後に、ROR1発現組織(例えば腫瘍)のサイズまたは密度を経時的にモニタリングするために使用することができる。
【0339】
いくつかの態様において、対象は、例えば別のROR1特異的抗体による処置および/またはROR1ターゲティングキメラ受容体を発現する細胞による処置ならびに/または化学療法、放射線および/もしくは造血幹細胞移植(HSCT)、例えば同種異系HSCTを含む他の治療法による処置後に、持続する疾患または再燃した疾患を有する。いくつかの態様において、本投与は、対象が別のROR1標的治療法に対して抵抗性になっているにもかかわらず、対象を効果的に処置する。いくつかの態様において、対象は再燃していないが、再燃のリスクがある(例えば再燃のリスクが高い)と決定され、したがって、例えば再燃の可能性を低減し、または再燃を防止するために、本化合物または組成物が予防的に投与される。
【0340】
いくつかの態様において、本処置は、治療に対する対象による免疫応答を誘発せず、かつ/または疾患もしくは状態の効果的な処置を妨げるほどにはそのような応答を誘発しない。いくつかの局面において、免疫原性および/または移植片対宿主応答の程度は、異なる処置だが比較しうる処置で観察されるものより低い。例えば、ここに提供する抗ROR1抗体を含むCARを発現する細胞を用いる養子細胞療法の場合、いくつかの態様における免疫原性の程度は、類似する(例えばオーバーラップする)エピトープに結合しかつ/またはROR1への結合に関してここに提供する抗体と競合する異なる抗体(例えばマウス、ウサギ、またはヒト化抗体)を含むCARと比較して、低減する。
【0341】
いくつかの態様において、本方法は、ここに提供する抗ROR1含有受容体(例えばROR1標的CAR)を発現する遺伝子改変細胞が対象に投与される養子細胞療法を含む。そのような投与は、疾患または障害の細胞が破壊の標的となるように、ROR1を標的とする形で、細胞の活性化(例えばT細胞活性化)を促進することができる。
【0342】
したがって、ここに提供する方法および使用は、養子細胞療法のための方法および使用を含む。いくつかの態様において、本方法は、対象、組織、または細胞、例えば疾患、状態もしくは障害を有するもの、または疾患、状態もしくは障害のリスクがあるもの、または疾患、状態もしくは障害を有すると疑われるものへの、細胞または細胞を含む組成物の投与を含む。いくつかの態様では、細胞、集団、および組成物を、例えば養子T細胞療法などの養子細胞療法によって処置しようとする特定の疾患または状態を有する対象に投与する。いくつかの態様では、細胞または組成物を対象に(例えば疾患または状態を有する対象または疾患もしくは状態のリスクがある対象に)投与する。いくつかの局面において、本方法は、それにより、例えばROR1発現がんにおける腫瘍量を減らすことなどによって、疾患または状態の1つまたは複数の症状を処置(例えば改善)する。
【0343】
養子細胞療法のために細胞を投与する方法は公知であり、ここに提供する方法および組成物との関連において使用しうる。例えば養子T細胞療法は、Gruenberg et alの米国特許出願公開番号2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号; Rosenberg(2011)Nat Rev Clin Oncol. 8(10):577-85などに記載されている。例えばThemeli et al.(2013)Nat Biotechnol. 31(10):928-933; Tsukahara et al.(2013)Biochem Biophys Res Commun 438(1):84-9; Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4):e61338を参照されたい。
【0344】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける対象からまたはそのような対象に由来する試料から細胞を単離しかつ/または他の形で調製する自家移植によって実行される。したがって、いくつかの局面において、細胞は処置を必要としている対象、例えば患者に由来し、細胞は単離および処理後に同じ対象に投与される。
【0345】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば養子細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞療法を受ける予定の対象または最終的に細胞療法を受ける対象とは異なる対象(例えば第1対象)から細胞を単離しかつ/または他の形で調製する同種異系移植によって実行される。そのような態様では、次に細胞が、同じ種の異なる対象(例えば第2対象)に投与される。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に同一である。いくつかの態様において、第1対象と第2対象は遺伝子的に類似している。いくつかの態様において、第2対象は第1対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0346】
いくつかの態様において、細胞、細胞集団、または組成物の投与を受ける対象は、ヒトなどの霊長類である。いくつかの態様において、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は男性または女性であることができ、幼児対象、若年対象、青年対象、成人対象、および老齢対象を含む任意の適切な年齢であることができる。いくつかの態様において、対象は、齧歯類などの非霊長類哺乳動物である。いくつかの例において、患者または対象は、疾患の、養子細胞療法の、および/またはサイトカイン放出症候群(CRS)などの毒性のアウトカムを評価するための、有効な動物モデルである。
【0347】
ROR1結合分子、例えば抗体および抗体を含有するキメラ受容体、ならびにそれらを発現する細胞は、任意の適切な手段によって、例えば注射によって、例えば静脈内注射または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、サブコンジェクトバル(subconjectval)注射、結膜下注射、テノン鞘下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または強膜近傍後部送達によって、投与することができる。いくつかの態様では、投与が非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって行われ、局所処置にとって望ましい場合には、病巣内投与によって行われる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、頭蓋内、胸郭内または皮下投与が含まれる。投薬および投与は、一つには、投与が短期間であるか慢性であるかに依存しうる。さまざまな投薬計画には、単回またはさまざまな時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0348】
疾患の防止または処置にとって、結合分子または細胞の適当な投薬量は、処置しようとする疾患のタイプ、結合分子のタイプ、疾患の重症度および経過、結合分子が防止目的で投与されるか治療目的で投与されるか、それまでの治療法、患者の病歴および結合分子に対する応答、ならびに担当医の裁量に依存しうる。組成物および分子および細胞は、いくつかの態様において、一度にまたは一連の処置によって、患者に適切に投与される。
【0349】
抗体の投薬量としては、疾患のタイプおよび重症度に依存して、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1mg/kg〜10mg/kg)、約1μg/kg〜100mg/kgまたはそれ以上、約0.05mg/kg〜約10mg/kg、0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kgまたは10mg/kgを挙げることができる。間欠的に、例えば1週間ごとまたは3週間ごとに、複数回、投与を行ってもよい。最初は高い初回負荷量を投与し、続いて低用量を1回または複数回投与してもよい。
【0350】
一定の態様では、結合分子を含有する遺伝子改変細胞との関連において、約100万〜約1000億個の範囲の細胞、および/または体重1キログラムにつきその量の細胞が、例えば100万〜約500億個の細胞(例えば約500万個、約2500万個、約5億個、約10億個、約50億個、約200億個、約300億個、約400億個、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲の細胞)、例えば約1000万〜約1000億個の細胞(例えば約2000万個、約3000万個、約4000万個、約6000万個、約7000万個、約8000万個、約9000万個、約100億個、約250億個、約500億個、約750億個、約900億個、または前述の値のうちのいずれか2つによって規定される範囲の細胞)、そして場合によっては約1億個〜約500億個の細胞(例えば約1億2000万個、約2億5000万個、約3億5000万個、約4億5000万個、約6億5000万個、約8億万個、約9億個、約30億個、約300億個、約450億個の細胞)またはこれらの範囲の間にある任意の値が、かつ/または体重1キログラムにつき、対象に投与される。ここでも、投薬量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の処置に特有の属性に依存して変動しうる。
【0351】
いくつかの態様において、細胞または抗体は併用処置の一部として、例えば別の治療的介入、例えば別の抗体または工学的に改変された細胞または受容体または作用物質、例えば細胞毒性剤または治療剤と同時に、または任意の順序で逐次的に、投与される。
【0352】
細胞または抗体は、いくつかの態様において、1つまたは複数の追加治療剤と、または別の治療的介入とともに、同時に、または任意の順序で逐次的に、共投与される。いくつかの状況下において、細胞は、細胞集団が1つまたは複数の追加治療剤の効果を強化するように、またはその逆になるように十分に近い時間間隔で、別の治療法と共投与される。いくつかの態様において、細胞または抗体は、1つまたは複数の追加治療剤に先だって投与される。いくつかの態様において、細胞または抗体は、1つまたは複数の追加治療剤の後に投与される。
【0353】
細胞を哺乳動物(例えばヒト)に投与したら、いくつかの局面では、工学的に改変された細胞の集団および/または抗体の生物学的活性を、いくつかある公知の方法のいずれかによって測定する。評価するパラメータには、例えばイメージングによるインビボでの、または例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによるエクスビボでの、抗原に対する工学的に改変されたT細胞もしくは天然T細胞または他の免疫細胞の特異的結合が含まれる。一定の態様では、例えばKochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7):689-702(2009)およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1):25-40(2004)などに記載の細胞傷害性アッセイなど、当技術分野において公知である任意の適切な方法を使って、ターゲット細胞を破壊する工学的に改変された細胞の能力を測定することができる。一定の態様において、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、およびTNFなどといった一定のサイトカインの発現および/または分泌をアッセイすることによって測定することもできる。いくつかの局面において、生物学的活性は、腫瘍量または腫瘍負荷量の低減などといった臨床アウトカムを評価することによって測定される。
【0354】
一定の態様では、工学的に改変された細胞を、それらの治療的または予防的効力が増加するように、いくつかの方法で修飾する。例えば、その集団によって発現される工学的に改変されたCARまたはTCRは、いくつかの態様において、ターゲティング部分に直接的に、またはリンカーを介して間接的に、コンジュゲートされる。化合物(例えばCARまたはTCR)をターゲティング部分にコンジュゲートする手法は当技術分野において公知である。例えばWadwa et al., J.Drug Targeting 3:111(1995)および米国特許第5,087,616号を参照されたい。
【0355】
C.診断方法および検出方法
また、ROR1の検出、例えばROR1発現と関連する疾患の診断および/または予後予測のために、ここに提供する結合分子、例えば抗体の使用を伴う方法も提供する。本方法は、いくつかの態様において、生物学的試料を抗体と共にインキュベートし、かつ/または抗体を対象に投与する工程を含む。一定の態様において、生物学的試料は、細胞または組織、例えば腫瘍もしくはがん組織を含む。一定の態様において、接触は、ROR1への抗ROR1抗体の結合、抗ROR1抗体とROR1との間に複合体が形成されるかどうかを許容する条件下で行われる。そのような方法はインビトロ法またはインビボ法でありうる。一態様において、抗ROR1抗体は、例えばROR1が患者を選択するためのバイオマーカーである場合に、抗ROR1抗体または工学的に改変された抗原受容体による治療法に適格である対象を選択するために使用される。
【0356】
いくつかの態様では、試料、例えば細胞、組織試料、溶解物、組成物、またはそこから得られる他の試料を抗ROR1抗体と接触させ、抗体と試料(例えば試料中のROR1)との間の結合または複合体の形成を決定または検出する。同じ組織タイプのリファレンス細胞と比較して試験試料における結合が実証または検出される場合、それは、関連する疾患または状態の存在を示す。いくつかの態様において、試料はヒト組織に由来する。
【0357】
特異的抗体-抗原結合を検出するには、当技術分野において公知のさまざまな方法を使用することができる。例示的イムノアッセイには、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、比濁阻害イムノアッセイ(NIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、およびラジオイムノアッセイ(RIA)がある。対象抗体には指示薬部分またはラベル基を取り付けることができ、指示薬部分またはラベル基は、本方法のさまざまな使用の必要を満たすように選択され、それらは、アッセイ機器の入手可能性および適合するイムノアッセイ手順によって決まることが多い。例示的ラベルには、放射性核種(例えば
125I、
131I、
35S、
3H、または
32P)、酵素(例えばアルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、またはβ-ガラクトシダーゼ(glactosidase))、蛍光部分または蛍光タンパク質(例えばフルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、GFP、またはBFP)、または発光部分(例えばQuantum Dot Corporation(カリフォルニア州パロアルト)が供給するQdot(商標)ナノ粒子)がある。さまざまな上記イムノアッセイを実施する際に使用される一般技法が当業者には公知である。
【0358】
診断のために、抗体を検出可能部分、例えば限定するわけではないが当技術分野において公知の放射性同位体、蛍光ラベル、およびさまざまな酵素-基質ラベルで、標識することができる。抗体にラベルをコンジュゲートする方法は当技術分野において公知である。
【0359】
いくつかの態様では、抗体を標識する必要はなく、その存在は、抗体に結合する標識抗体を使って検出することができる。
【0360】
いくつかの態様では、提供される抗体は、競合結合アッセイ、直接および間接サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイなど、任意の公知アッセイ方法において使用することができる。Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp.147-158(CRC Press, Inc. 1987)。
【0361】
本抗体およびポリペプチドは、インビボイメージングなどのインビボ診断アッセイにも使用することができる。一般に抗体は、対象への投与後に関心対象の細胞または組織の位置をインビボで特定することができるように、放射性核種(
111In、
99Tc、
14C、
131I、
125I、または
3Hなど)で標識される。
【0362】
本抗体は、病理学において、例えば公知の技法を使って、染色試薬としても使用しうる。
【0363】
III.製造物品
また、ここに提供する結合分子、例えば抗体およびCAR、ならびに/または遺伝子改変細胞、ならびに/または組成物を含有する製造物品も提供する。製造物品は、容器、および容器上のまたは容器に付随するラベルまたは添付文書を含みうる。適切な容器として、例えば瓶、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなど、さまざまな素材で形成されうる。容器は、いくつかの態様では、単独の組成物、または前記状態を処置、防止および/もしくは診断するのに有効な別の組成物と組み合わせされた組成物を保持する。いくつかの態様において、容器は無菌アクセスポートを有する。例示的容器として、静脈内溶液バッグ、バイアル、例えば注射針で突き刺すことができる栓を有するものが挙げられる。ラベルまたは添付文書は、本組成物がROR1発現疾患もしくは状態またはROR1関連疾患もしくは状態を処置するために使用されることを示しうる。製造物品は、(a)本抗体または工学的に改変された抗原受容体を含む組成物が入っている第1容器と、(b)細胞毒性剤または他の形の治療剤などのさらなる作用物質を含む組成物が入っている第2容器とを含みうる。製造物品は、特定の状態を処置するために本組成物を使用できることを示す添付文書を、さらに含みうる。これに代えて、またはこれに加えて、製造物品は、薬学的に許容される緩衝液を含む別の容器または同じ容器をさらに含みうる。製造物品はさらに、他の材料、例えば他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、および/またはシリンジなどを含みうる。
【0364】
本明細書にいう「対応する形態」の抗体とは、2つの抗体の性質または活性を比較する場合に、その性質が同じ形態の抗体を使って比較されることを意味する。例えば、ある抗体が、対応する形態の第1抗体と比較して高い活性を有するという場合、それは、その抗体のscFvなどの特定の形態が、第1抗体のscFv形と比較して高い活性を有することを意味する。
【0365】
「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域に帰すことができる生物学的活性を指し、これは抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例には、C1q結合および補体依存性細胞傷害(CDC); Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);貪食;細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)のダウンレギュレーション;およびB細胞活性化がある。
【0366】
「Fc領域」という用語は、本明細書では、定常領域の少なくとも一部分を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために使用される。この用語は、ネイティブ配列Fc領域および変異体Fc領域を包含する。一態様において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226またはPro230から重鎖のカルボキシル末端までにわたる。ただし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は存在しても存在しなくてもよい。本明細書において別段の指定がある場合を除き、Fc領域または定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載のEUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)による。
【0367】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」および「全抗体」という用語は、本明細書では、ネイティブ抗体構造に実質的に類似する構造を有する抗体または本明細書に規定するFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すために、可換的に使用される。
【0368】
「単離された」抗体は、その自然環境の構成成分から分離されたものである。いくつかの態様において、抗体は、例えば電気泳動(例えばSDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えばイオン交換または逆相HPLC)による決定で、95%超または99%超の純度まで精製される。抗体純度の評価方法の概要については、例えばFlatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0369】
「単離された」核酸とは、その自然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸には、当該核酸分子を通常含有する細胞中に含まれている核酸分子であるが、その核酸分子が染色体外に存在するか、その自然の染色体位置とは異なる染色体位置にあるものが包含される。
【0370】
「抗ROR1抗体をコードする単離された核酸」は、抗体重鎖および抗体軽鎖(またはそのフラグメント)をコードする1つまたは複数の核酸分子を指し、単一のベクターまたは別々のベクター中に存在するそのような核酸分子、および宿主細胞中の1つまたは複数の場所に存在するそのような核酸分子を包含する。
【0371】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」および「宿主細胞培養」という用語は可換的に使用され、外来核酸が導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を包含する。宿主細胞は「形質転換体」および「形質転換細胞」を包含し、これには初代形質転換細胞とそこから派生する子孫が、継代数とは関係なく含まれる。子孫は、核酸の内容が親細胞と完全には同一ではなくて、突然変異を含有してもよい。元の形質転換細胞においてスクリーニングまたは選択の対象となったものと同じ機能または生物学的活性を有する突然変異形子孫は、ここに包含される。
【0372】
本明細書にいう「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」および「同一性パーセント」は、あるアミノ酸配列(リファレンスポリペプチド配列)に関して使用する場合、配列をアライメントし、保存的置換はいずれも配列同一性の一部とはみなさないで、最大の配列同一性パーセントが達成されるように、必要であればギャップを導入した後に、リファレンスポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列(例えば対象抗体またはフラグメント)中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントは、当技術分野における技量の範囲内にあるさまざまな方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公に利用できるコンピュータソフトウェアを使って達成することができる。当業者は、配列をアライメントするための適当なパラメータ(比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要なあらゆるアルゴリズムを含む)を、決定することができる。
【0373】
アミノ酸置換には、ポリペプチド中のあるアミノ酸の、別のアミノ酸による置き換えを含めることができる。例示的置換を表1に示す。結合分子、例えば関心対象の抗体中にアミノ酸置換を導入し、その産物を、保持された/改良された抗原結合性、減少した免疫原性、または改良されたADCCもしくはCDCなどの所望の活性について、スクリーニングすることができる。
【0374】
アミノ酸は、一般に、次に挙げる共通の側鎖特性に従ってグループ分けすることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性: Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性: Asp、Glu;
(4)塩基性: His、Lys、Arg;
(5)鎖の配向に影響を及ぼす残渣: Gly、Pro;
(6)芳香族: Trp、Tyr、Phe。
【0375】
非保存的アミノ酸置換では、これらのクラスのうちの一つを別のクラスと交換することになる。
【0376】
本明細書において使用する「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を増殖させる能力を有する核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターも、それが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターも包含する。一定のベクターは、それらが機能的に連結された核酸の発現を指示する能力を有する。そのようなベクターを本明細書では「発現ベクター」という。
【0377】
「添付文書」という用語は、治療製品の市販パッケージに通例含まれていて、適応症、使用法、用量、投与、併用療法、禁忌症に関する情報および/または前述の治療製品の使用に関する警告を含む説明書を指すために使用される。
【0378】
別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用する専門用語、表記ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は、特許請求の範囲の内容が関係する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有するものとする。場合により、一般に理解されている意味を持つ用語を、明快さのために、かつ/またはいつでも参照できるように、本明細書において定義するが、本明細書にそのような定義を含めることは、必ずしも、当技術分野において一般に理解されているものとの実質的な相違を表すと解釈すべきでない。
【0379】
本明細書において使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上そうでないことが明確である場合を除き、複数の指示対象を包含する。例えば「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載する局面および変形は、局面および変形「からなる」ならびに/または局面および変形「から本質的になる」を包含すると理解される。
【0380】
この開示の全体を通して、特許請求の範囲に記載する内容のさまざまな局面は、範囲形式で提示される。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、特許請求の範囲に記載する内容に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解すべきである。したがって範囲の記載は、可能な部分範囲およびその範囲内の個々の数値をすべて具体的に開示しているとみなすべきである。例えば、値の範囲が与えられた場合、その範囲の上限および下限と、他の任意の明示された値またはその明示された範囲内の中間値との間にある中間値は、特許請求の範囲の内容に包含される。これら小範囲の上端および下端は独立してその小範囲に含まれてよく、それらもまた、特許請求の範囲の内容に包含される。ただし、明示されたその範囲内にあって特に除外された端点はいずれも除く。明示された範囲が端点の一方または両方を含む場合、それら含まれた端点の一方または両方を除外した範囲も特許請求の範囲の内容に含まれる。これは範囲の幅とは無関係に適用される。
【0381】
本明細書において使用する「約」という用語は、当業者にとっては明白な、各値に関する通常の誤差範囲を指す。本明細書において「約」がつく値またはパラメータは、その値またはパラメータそのものに向けられた態様を包含する(そしてそのような態様を記載している)。例えば「約X」という記載は「X」の記載を包含する。
【0382】
本明細書にいう組成物とは、2種類以上の製品、物質、または化合物(細胞を含む)の任意の混合物を指す。これは溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組み合わせでありうる。
【0383】
本明細書において、ある細胞または細胞の集団がある特定マーカーに関して「陽性」であるとは、その細胞上またはその細胞中における特定マーカー(典型的には表面マーカー)の検出可能な存在を指す。表面マーカーに関する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって(例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し、該抗体を検出することによって)検出される表面発現の存在を指し、この場合、前記染色は、アイソタイプ対応対照を他の点では同一な条件下で使って同じ手順を実行することで検出される染色を実質的に上回るレベル、および/またはそのマーカーに関して陽性であることがわかっている細胞でのレベルと類似するレベルで、および/またはそのマーカーに関して陰性であることがわかっている細胞でのレベルより実質的に高いレベルで、フローサイトメトリーによって検出されうる。
【0384】
本明細書において、ある細胞または細胞の集団が特定マーカーに関して「陰性」であるとは、その細胞上またはその細胞中における特定マーカー(典型的には表面マーカー)の検出可能な実質的存在がないことを指す。表面マーカーに関する場合、この用語は、フローサイトメトリーによって(例えばマーカーに特異的に結合する抗体で染色し、該抗体を検出することによって)検出される表面発現の非存在を指し、この場合、前記染色は、アイソタイプ対応対照を他の点では同一な条件下で使って同じ手順を実行することで検出される染色を実質的に上回るレベル、および/またはそのマーカーに関して陽性であることがわかっている細胞でのレベルより実質的に低いレベル、および/またはそのマーカーに関して陰性であることがわかっている細胞でのレベルと比較して実質的に類似するレベルでは、フローサイトメトリーによって検出されない。
【0385】
本願において言及する刊行物は、特許文書、科学論文およびデータベースを含めてすべて、個々の刊行物が個別に参照により本明細書に組み入れられた場合と同じ程度に、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み入れられる。本明細書に示す定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、出願公開および他の刊行物において示された定義に反するか、または他の形で一致しない場合は、本明細書に示す定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義に優先する。
【0386】
本明細書において使用する項見出しには構成上の目的しかなく、記載する内容をそれらが限定するとみなしてはならない。
【0387】
IV.例示的態様
本明細書において提供する態様には、次に挙げるものがある。
1.
SEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71もしくは174に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3);または
SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208もしくは209に示す重鎖可変(V
H)配列内に含まれるCDR-H3
を含む重鎖可変(V
H)領域
を含む、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
2.
SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示す重鎖可変(V
H)領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を含むV
H領域
を含む、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
3.
SEQ ID NO:8、10、13、15、17、または19に示す重鎖可変(V
H)領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を含むV
H領域
を含む、態様2記載の抗体またはその抗原結合性フラグメント。
4.
V
H領域が、
SEQ ID NO:92、93、94、109または110に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3)
を含む、態様2または態様3記載の抗体またはフラグメント。
5.
V
H領域が、
SEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71もしくは174に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3);または
SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208もしくは209に示すV
H配列内に含まれるCDR-H3
を含む、態様2〜4のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
6.
V
H領域が、
SEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71もしくは174に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3);または
SEQ ID NO:8、10、13、15、17、もしくは19に示すV
H配列内に含まれるCDR-H3
を含む、態様2〜5のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
7.
V
H領域が、
SEQ ID NO:22、29、35もしくは52に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(CDR-H3);または
SEQ ID NO:10、13、15もしくは19に示すV
H配列内に含まれるCDR-H3
を含む、態様2〜6のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
8.
V
H領域が、
SEQ ID NO:72に示すアミノ酸配列を含むCDR-H3、またはSEQ ID NO:85に示すV
H配列内に含まれるCDR-H3
を含む、態様2または態様3記載の抗体またはフラグメント。
9.
V
H領域が、
SEQ ID NO:95もしくは97に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1);および/または
SEQ ID NO:96もしくは98に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)
を含む、態様1〜8のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
10.
V
H領域が、
SEQ ID NO:20、27、33、155、156、157、158、159、160、161、162もしくは163に示すアミノ酸配列を含み、かつ/またはSEQ ID NO:269、270、271、272、273、274、275、276、278もしくは279に示すアミノ酸配列を含み、かつ/またはSEQ ID NO:75、77、79、280、281、282、283、284、285、286、287、288もしくは289に示すアミノ酸配列を含む、重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、および/またはSEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208もしくは209に示すV
H配列内に含まれるCDR-H1;ならびに/あるいは
SEQ ID NO:21、26、28、34、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173もしくは318に示すアミノ酸配列を含み、かつ/またはSEQ ID NO:291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302もしくは303に示すアミノ酸配列を含み、かつ/またはSEQ ID NO:304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316もしくは317に示すアミノ酸配列を含む、重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)、および/またはSEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208もしくは209に示すV
H配列内に含まれるCDR-H2
を含む、態様1〜9のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
11.
V
H領域が、
SEQ ID NO:20、27、もしくは33に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)および/またはSEQ ID NO:8、10、13、15、17、もしくは19に示すV
H配列内に含まれるCDR-H1;ならびに/あるいは
SEQ ID NO:21、26、28、もしくは34に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)および/またはSEQ ID NO:8、10、13、15、17、もしくは19に示すV
H配列内に含まれるCDR-H2
を含む、態様1〜10のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
12.
V
H領域が、
SEQ ID NO:20、27、もしくは33に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)および/またはSEQ ID NO:10、13、15もしくは19に示すV
H配列内に含まれるCDR-H1;ならびに/あるいは
SEQ ID NO:26、28、もしくは34に示すアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(CDR-H2)および/またはSEQ ID NO:10、13、15もしくは19に示すV
H配列内に含まれるCDR-H2
を含む、態様1〜11のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
13.
重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖可変(V
H)領域を含む抗体またはその抗原結合性フラグメントであって、
CDR-H1が、SEQ ID NO:20、27、33、75、77、79、155、156、157、158、159、160、161、162、163、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278もしくは279に示すアミノ酸配列を含み;
CDR-H2が、SEQ ID NO:21、26、28、34、80、81、82、83、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303もしくは318に示すアミノ酸配列を含み;かつ/または
CDR-H3が、SEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71もしくは174に示すアミノ酸配列を含む、
抗体またはその抗原結合性フラグメント。
14.
CDR-H1が、SEQ ID NO:20、27、もしくは33に示すアミノ酸配列を含み、
CDR-H2が、SEQ ID NO:21、26、28、もしくは34に示すアミノ酸配列を含み;かつ/または
CDR-H3が、SEQ ID NO:22、29、35、45、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70もしくは71に示すアミノ酸配列を含む、
態様11記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
15.
CDR-H3が、アミノ酸配列:
を含む、態様1、4〜7および9〜14のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
16.
重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖可変(V
H)領域を含み、
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:20、21、および22の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:20、26、および22の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:27、28、および29の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および35の配列を含むか;または
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および52の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:27、164および45の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:27、164および68の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:27、164および64の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:27、164および66の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、318、および35の配列を有するか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34および70の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および55の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および53の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および56の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および61の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および59の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、171、および60の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:155、34、および35の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:156、34、および35の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:162、170、および50の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:162、170、および51の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:161、169、および54の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:159、167、および57の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:160、168、および58の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:158、166、および62の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:158、166および63の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:158、166および65の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:157、165および67の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:163、173および69の配列を含むか;または
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:160、172、71の配列を含むか;または
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:160、172、174の配列を含む、
態様1〜7および9〜15のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
17.
重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖可変(V
H)領域を含み、
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:20、21、および22の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:20、26、および22の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:27、28、および29の配列を含むか;
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および35の配列を含むか;または
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および52の配列を含む、
態様1〜7および9〜16のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
18.
SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示す重鎖可変(V
H)領域アミノ酸配列内に含まれる重鎖相補性決定領域1(CDR-H1)、CDR-H2、およびCDR-H3のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含むV
H領域
を含む、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
19.
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、または19に示すV
H領域アミノ酸配列内に含まれるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のアミノ酸配列を含む、態様18記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
20.
V
H領域が、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域1(FR1)、FR2、FR3、および/またはFR4に対してそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を含むFR1、FR2、FR3、および/またはFR4を含む、態様1〜19のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
21.
V
H領域が、SEQ ID NO:8、10、13、15、17または19に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域1(FR1)、FR2、FR3、および/またはFR4に対してそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を含むFR1、FR2、FR3、および/またはFR4を含む、態様1〜20のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
22.
V
H領域が、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208または209に示すアミノ酸の配列を含む、態様1〜7および9〜21のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
23.
V
H領域が、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、または19に示すアミノ酸の配列を含む、態様1〜7および9〜22のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
24.
V
H領域が、SEQ ID NO:8または10に示すアミノ酸の配列を含む、態様23記載の抗体またはフラグメント。
25.
V
H領域が、それぞれSEQ ID NO:20、26、および22に示すCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含み、かつ/あるいは
V
H領域が、SEQ ID NO:19に示すアミノ酸の配列を含む、
態様1〜7および9〜24のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
26.
V
H領域が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および52に示すCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含み、かつ/あるいは
V
H領域が、SEQ ID NO:10に示すアミノ酸の配列を含む、
態様1〜7および9〜24のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
27.
V
H領域が、それぞれSEQ ID NO:33、34、および35に示すCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含み、かつ/あるいは
V
H領域が、SEQ ID NO:13に示すアミノ酸の配列を含む、
態様1〜7および9〜24のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
28.
V
H領域が、それぞれSEQ ID NO:27、28、および29に示すCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含み、かつ/あるいは
V
H領域がSEQ ID NO:15に示すアミノ酸の配列を含む、
態様1〜7および9〜24のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
29.
軽鎖可変(VL)領域を含まず、CDR-L1、CDR-L2、および/もしくはCDR-L3を含まず、かつ/またはV
H領域だけを含む単一ドメイン抗体(sdAb)である、態様1〜28のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
30.
V
H領域だけを含むsdAbである、態様1〜29のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
31.
軽鎖可変(VL)領域をさらに含む、態様1〜28のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
32.
V
L領域が、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247または248に示すV
L領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を含む、態様31記載の抗体またはフラグメント。
33.
V
L領域が、SEQ ID NO:14、16、または18に示すV
L領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を含む、態様31または態様32記載の抗体またはフラグメント。
34.
V
L領域が、SEQ ID NO:99または100に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、態様31〜33のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
35.
V
L領域が、SEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、49、232または233に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、態様31〜34のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
36.
V
L領域が、SEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48または49に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)を含む、態様31〜35のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
37.
V
L領域が、SEQ ID NO:101に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)および/またはSEQ ID NO:102に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)を含む、態様31〜36のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
38.
V
L領域が、
SEQ ID NO:23、30、36、210、211、212、213、214、215、217、216、218、219もしくは220に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、および/またはSEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247もしくは248に示すV
L配列内に含まれるCDR-L1;ならびに/あるいは
SEQ ID NO:24、31、37、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230もしくは231に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および/またはSEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247もしくは248に示すV
L配列内に含まれるCDR-L2
を含む、態様31〜38のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
39.
V
L領域が、
SEQ ID NO:23、30、もしくは36に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、および/またはSEQ ID NO:14、16、もしくは18に示すV
L配列内に含まれるCDR-L1;ならびに/あるいは
SEQ ID NO:24、31、もしくは37に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2)、および/またはSEQ ID NO:14、16、もしくは18に示すV
L配列内に含まれるCDR-L2
を含む、態様31〜38のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
40.
V
L領域が、
SEQ ID NO:23、30、36、210、211、212、213、214、215、217、216、218、219または220に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1);
SEQ ID NO:24、31、37、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230または231に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2);および
SEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、49、232または233に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)
を含む、態様31〜39のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
41.
V
L領域が、
SEQ ID NO:23、30、または36に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1);
SEQ ID NO:24、31、または37に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(CDR-L2);および
SEQ ID NO:25、32、38、39、40、41、42、43、44、46、47、48、または49に示すアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(CDR-L3)
を含む、態様31〜40のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
42.
CDR-L3がSEQ ID NO:25、32または38に示すアミノ酸配列を含む、態様36〜41のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
43.
V
L領域が、
それぞれSEQ ID NO:23、24、および25の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:30、31、および32の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:36、37、および38の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:216、227および40の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:218、229および39の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:219、230および43の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:220、231および46の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:210、221および49の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:210、221および233の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:211、222および48の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:212、223および42の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:214、225および232の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:215、226および44の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:217、228および41の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;または
それぞれSEQ ID NO:213、224および47の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3
から選択されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む、態様31〜42のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
44.
V
L領域が、
それぞれSEQ ID NO:23、24、および25の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;
それぞれSEQ ID NO:30、31、および32の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3;または
それぞれSEQ ID NO:36、37、および38の配列を含む、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3
から選択されるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む、態様31〜43のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
45.
V
L領域が、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247または248に示すV
L領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれる軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、CDR-L2、およびCDR-L3を含む、態様31〜44のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
46.
V
L領域が、SEQ ID NO:14、16、または18に示すV
L領域アミノ酸配列内にそれぞれ含まれる軽鎖相補性決定領域1(CDR-L1)、CDR-L2、およびCDR-L3を含む、態様31〜45のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
47.
V
L領域が、SEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸配列のフレームワーク領域1(FR1)、FR2、FR3、および/またはFR4に対してそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を含む、FR1、FR2、FR3、および/またはFR4を含む、態様31〜46のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
48.
V
L領域が、SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247または248に示すアミノ酸配列を含む、態様31〜47のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
49.
V
L領域が、SEQ ID NO:14、16、または18に示すアミノ酸配列を含む、態様31〜48のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
50.
SEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208もしくは209に示すV
H領域アミノ酸配列内に含まれる重鎖相補性決定領域1、2、および3(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)配列のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3;ならびに/または
SEQ ID NO:14、16、18、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247もしくは248に示す軽鎖可変(VL)領域アミノ酸配列内に含まれる軽鎖相補性決定領域1、2、および3(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)配列のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3
を含む、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
51.
CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3が、それぞれ、SEQ ID NO:8、10、13、15、17、もしくは19に示すV
H領域アミノ酸配列内に含まれるCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3配列のアミノ酸配列を含み;かつ/または
CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3が、それぞれ、SEQ ID NO:14、16、もしくは18に示す軽鎖可変(VL)領域アミノ酸配列内に含まれるCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3配列のアミノ酸配列を含む、
態様50記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
52.
それぞれSEQ ID NO:19および18に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:17および18に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:15および16に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;または
それぞれSEQ ID NO:13および14に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:182および242に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:182および246に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:182および247に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:185および248に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:186および248に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:175および234に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:175および235に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:176および236に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:176および237に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:177および238に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:179および240に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:180および241に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:181および241に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:183および243に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:183および244に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:184および243に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:184および244に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:183および245に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:184および245に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;または
それぞれSEQ ID NO:178および239に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域
を含む、抗体またはその抗原結合性フラグメント。
53.
それぞれSEQ ID NO:19および18に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:17および18に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;
それぞれSEQ ID NO:15および16に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域;または
それぞれSEQ ID NO:13および14に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むV
H領域およびV
L領域
を含む、態様52記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
54.
V
H領域およびV
L領域がそれぞれSEQ ID NO:19および18のアミノ酸配列を含むか;
V
H領域およびV
L領域がそれぞれSEQ ID NO:17および18のアミノ酸配列を含むか;
V
H領域およびV
L領域がそれぞれSEQ ID NO:15および16のアミノ酸配列を含むか;または
V
H領域およびV
L領域がそれぞれSEQ ID NO:13および14のアミノ酸配列を含む、
態様52または態様53記載の抗体またはフラグメント。
55.
ROR1タンパク質に特異的に結合する、態様1〜54のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
56.
ROR1タンパク質がヒトROR1タンパク質である、態様55記載の抗体またはフラグメント。
57.
ROR1タンパク質がマウスROR1タンパク質である、態様55記載の抗体またはフラグメント。
58.
ROR1タンパク質に対して、EC50が、0.1nM〜100nM、0.5nM〜50nMもしくは1nM〜10nMまたは約0.1nM〜100nM、約0.5nM〜50nMもしくは約1nM〜10nMである結合アフィニティーを有するか;あるいは
ROR1タンパク質に対して、EC50が、100nM未満もしくは約100nM未満、50nM未満もしくは約50nM未満、10nM未満もしくは約10nM未満、または1nM未満もしくは約1nM未満である結合アフィニティーを有する、
態様1〜57のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
59.
ヒトROR1タンパク質に対して、対応する形態の抗ROR1抗体R12、またはR12のscFvフラグメントであってもよいその抗原結合性フラグメントの、該ROR1タンパク質に対する結合アフィニティーと、少なくとも同じまたは実質的に同じ高さである結合アフィニティーを有する、態様1〜58のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
60.
抗ROR1抗体R12、またはR12のscFvフラグメントであってもよいその抗原結合性フラグメントによって特異的に結合されるエピトープと同じエピトープまたはオーバーラップするヒトROR1タンパク質のエピトープに対して特異的に結合する、態様1〜59のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
61.
ヒトROR1タンパク質への結合に関して、抗ROR1抗体R12、またはR12のscFvフラグメントであってもよいその抗原結合性フラグメントと競合する、態様1〜60のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
62.
ヒトROR1タンパク質への、抗ROR1抗体R12、またはR12のscFvフラグメントであってもよいその抗原結合性フラグメントの結合を、80%超もしくは約80%超、または90%超もしくは約90%超、阻害する、態様1〜61のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
63.
抗ROR1抗体R12、またはR12のscFvフラグメントであってもよいその抗原結合性フラグメントによって特異的に結合されるエピトープとオーバーラップするヒトROR1タンパク質のエピトープに結合し、かつマウスROR1に結合する、態様1〜62のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
64.
ヒトROR1タンパク質がSEQ ID NO:103に示すアミノ酸配列を含む、態様55、56および58〜63のいずれかに記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
65.
ROR1タンパク質の細胞外部分内のエピトープに結合し;かつ/または
ROR1タンパク質のfzドメインまたはIgドメイン内の残基を含むROR1タンパク質のエピトープに結合する、
態様55、56および58〜64のいずれかに記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
66.
エピトープがROR1タンパク質のfzドメイン内の残基およびROR1タンパク質のIgドメイン内の残基を含む、態様65記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
67.
IgドメインがSEQ ID NO:103に示すアミノ酸配列の残基13〜118を含み;かつ/またはfzドメインがSEQ ID NO:103に示すアミノ酸配列の残基136〜270を含む、態様65または態様66記載の抗体またはその抗原結合性フラグメント。
68.
細胞外部分がSEQ ID NO:103のアミノ酸1〜377を含む、態様65記載の抗体または抗原結合性フラグメント。
69.
抗体が、マウスROR1タンパク質に特異的に結合しない、またはSEQ ID NO:106に示すアミノ酸配列を有するタンパク質に特異的に結合しない、態様1〜56、58〜62および64〜68のいずれかに記載の抗体またはそのフラグメント。
70.
抗ROR1抗体R12および/または抗ROR1抗体2A2の、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3および/またはCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3配列を含まない、態様1〜7および9〜69のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
71.
抗ROR1抗体R12および/または抗ROR1抗体2A2の、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3および/またはCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3配列に対して少なくとも90%の同一性を有するCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3および/またはCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3配列を含まない、態様1〜7および9〜70のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
72.
ヒト抗体またはヒトフラグメントである、態様1〜71のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
73.
態様1〜72のいずれかに記載の抗体もしくはそのフラグメントであるリファレンス抗体または抗ROR1抗体R12もしくはその抗原結合性フラグメントであるリファレンス抗体によって特異的に結合されるエピトープと同じまたはオーバーラップするROR1タンパク質のエピトープに特異的に結合するヒト抗体またはその抗原結合性フラグメントであって、
R12および/または2A2中に存在するCDRとは異なる重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む、ヒト抗体またはその抗原結合性フラグメント。
74.
ROR1に特異的に結合し、ROR1への結合に関して、態様1〜72のいずれかに記載の抗体もしくはフラグメントであるリファレンス抗体または抗ROR1抗体R12もしくはその抗原結合性フラグメントであるリファレンス抗体と競合するヒト抗体またはその抗原結合性フラグメントであって、
R12および/または2A2中に存在するCDRとは異なる重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含む、ヒト抗体またはその抗原結合性フラグメント。
75.
抗体が重鎖可変(V
H)領域を含み、
該V
H領域が、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有する部分、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Dセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を持つ部分、および/または生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Jセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有する部分を含み、かつ/あるいは
抗体が軽鎖可変(V
L)領域を含み、
該V
L領域が、生殖細胞系ヌクレオチドヒトカッパもしくはラムダ鎖Vセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を持つ部分、および/または生殖細胞系ヌクレオチドヒトカッパもしくはラムダ鎖Jセグメントによってコードされるアミノ酸配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を持つ部分を含む、
態様72〜74のいずれかに記載のヒト抗体またはフラグメント。
76.
CDR-H1および/もしくはCDR-H2が、生殖細胞系ヌクレオチドヒト重鎖Vセグメントによってコードされる配列内のCDR-H1および/もしくはCDR-H2のアミノ酸配列と比較してそれぞれ100%同一であるか2つ以上のアミノ酸相違がない配列を含み、かつ/または
CDR-L1および/もしくはCDR-L2が、生殖細胞系ヌクレオチドヒトカッパもしくはラムダvセグメントによってコードされる配列内のCDR-L1および/もしくはCDR-L2のアミノ酸配列と比較してそれぞれ100%同一であるか2つ以上のアミノ酸相違がない配列を含む、
態様72〜75のいずれかに記載のヒト抗体またはフラグメント。
77.
組換え体である、態様1〜76のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
78.
モノクローナルである、態様1〜77のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
79.
抗原結合性フラグメントである、態様1〜78のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
80.
一本鎖フラグメントである、態様1〜79のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
81.
柔軟なリンカーによって接合された抗体V
H領域およびV
L領域を含むフラグメントである、態様31〜80のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
82.
フラグメントがscFvを含む、態様80または態様81記載の抗体またはフラグメント。
83.
scFvがSEQ ID NO:91に示す配列を含むリンカーを含む、態様82記載の抗体またはフラグメント。
84.
scFvが、SEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267もしくは268に示すアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267もしくは268に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む、態様82または態様83記載の抗体またはフラグメント。
85.
scFvが、SEQ ID NO:2、4、6、もしくは12に示すアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2、4、6、もしくは12に示すアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を呈するアミノ酸の配列を含む、態様82〜84のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
86.
scFvが、SEQ ID NO:2、4、6、または12に示すアミノ酸配列を含む、態様82〜85のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
87.
SEQ ID NO:19に示すV
H領域およびSEQ ID NO:18に示すV
L領域を含み、かつ/またはSEQ ID NO:12に示すアミノ酸の配列を含む、態様31〜86のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
88.
SEQ ID NO:13に示すV
H領域およびSEQ ID NO:14に示すV
L領域を含み、かつ/またはSEQ ID NO:6に示すアミノ酸の配列を含む、態様31〜86のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
89.
SEQ ID NO:15に示すV
H領域およびSEQ ID NO:16に示すV
L領域を含み、かつ/またはSEQ ID NO:4に示すアミノ酸の配列を含む、態様31〜86のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
90.
SEQ ID NO:17に示すV
H領域およびSEQ ID NO:18に示すV
L領域を含み、かつ/またはSEQ ID NO:2に示すアミノ酸の配列を含む、態様31〜86のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
91.
態様1〜90のいずれかに記載の抗体またはフラグメント
を含む、一本鎖細胞表面タンパク質。
92.
SEQ ID NO:2、4、6、12、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267もしくは268のscFv配列を含む、またはSEQ ID NO:8、10、13、15、17、19、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208もしくは209に示すV
H配列
を含む、一本鎖細胞表面タンパク質。
93.
SEQ ID NO:2、4、6もしくは12のscFv配列を含む、またはSEQ ID NO:8、10、13、15、17、もしくは19に示すV
H配列を含む、態様92の一本鎖細胞表面タンパク質。
94.
免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分をさらに含む、態様1〜90のいずれかに記載の抗体またはフラグメント。
95.
SEQ ID NO:108に示すスペーサーをさらに含む、態様94記載の抗体またはフラグメント。
96.
免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分がFc領域を含む、態様94記載の抗体またはフラグメント。
97.
Fc領域がヒトIgGのFc領域である、態様96記載の抗体またはフラグメント。
98.
態様1〜97のいずれかに記載の抗体またはフラグメントと
異種分子または異種部分と
を含む、コンジュゲート。
99.
態様1〜97のいずれかに記載の抗体またはフラグメントを含む細胞外部分と
細胞内シグナリングドメインと
を含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
100.
抗体またはフラグメントがVH sdAb、scFvを含み、細胞内シグナリングドメインがITAMを含む、態様99記載のキメラ抗原受容体。
101.
細胞内シグナリングドメインがCD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖のシグナリングドメインを含む、態様99または100記載のキメラ抗原受容体。
102.
細胞外ドメインと細胞内シグナリングドメインとを連結する膜貫通ドメインをさらに含む、態様99〜101のいずれかに記載のキメラ抗原受容体。
103.
膜貫通ドメインがCD28の膜貫通部分を含む、態様102記載のキメラ抗原受容体。
104.
T細胞共刺激分子の細胞内シグナリングドメインをさらに含む、態様99〜103のいずれかに記載のキメラ抗原受容体。
105.
T細胞共刺激分子がCD28および41BBからなる群より選択される、態様104のキメラ抗原受容体。
106.
態様1〜97のいずれかに記載の抗体もしくはそのフラグメント、態様98記載のコンジュゲート、または態様99〜105のいずれかに記載のキメラ抗原受容体
をコードする、核酸。
107.
態様1〜97のいずれかに記載の抗体もしくはフラグメントを含む受容体、態様98記載のコンジュゲート、または態様99〜105のいずれかに記載のキメラ抗原受容体
を発現する、工学的に改変された細胞。
108.
T細胞である、態様107記載の工学的に改変された細胞。
109.
態様1〜97のいずれかに記載の抗体もしくはそのフラグメント、態様98記載のコンジュゲート、態様99〜105のいずれかに記載のCAR、または態様107もしくは108記載の細胞
を含む、組成物。
110.
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、態様109記載の組成物。
111.
態様109または態様110記載の組成物を、ROR1と関連する疾患または障害を有する対象に投与する段階
を含む、処置の方法。
112.
態様1〜97のいずれかに記載の抗体もしくはフラグメント、態様98記載のコンジュゲート、態様99〜103のいずれかに記載のCAR、または態様107もしくは108記載の細胞を、ROR1と関連する疾患または障害を有する対象に投与する段階
を含む、処置の方法。
113.
態様107または態様108記載の細胞を、ROR1と関連する疾患または障害を有する対象に投与する段階
を含む、処置の方法。
114.
疾患または障害がROR1発現がんである、態様112〜113のいずれかに記載の方法。
115.
ROR1発現がんが、B細胞白血病、リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、AML、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、腎細胞癌、大腸がん、直腸結腸がん、乳がん、扁平上皮細胞がん、黒色腫、骨髄腫、胃がん、脳がん、肺がん、膵がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、副腎がんおよび頭頸部がんからなる群より選択される、態様112〜114のいずれかに記載の方法。
116.
ROR1と関連する疾患または障害の処置に使用するための、態様109または態様110記載の組成物。
117.
ROR1と関連する疾患または障害を処置するための医薬を製造するための、態様109または態様110記載の組成物の使用。
118.
疾患または障害がROR1発現がんである、態様116記載の使用のための組成物または態様117記載の使用。
119.
ROR1発現がんが、B細胞白血病、リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)、AML、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経芽細胞腫、腎細胞癌、大腸がん、直腸結腸がん、乳がん、扁平上皮細胞がん、黒色腫、骨髄腫、胃がん、脳がん、肺がん、膵がん、子宮頸がん、卵巣がん、肝がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん、副腎がんおよび頭頸部がんからなる群より選択される、態様118記載の使用のための組成物または使用。
【実施例】
【0388】
V.
実施例
以下の実施例は、例示を目的として掲載するに過ぎず、発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0389】
実施例1:抗ROR1抗体(VH)の作成および評価
例示的な抗ROR1抗体、すなわち可変軽(V
L)鎖が存在しなくともROR1に特異的に結合する可変重(VH)鎖を、作製し、評価した。ROR1発現細胞に特異的に結合する能力および/または結合に関してウサギ由来の抗ROR1リファレンス抗体と競合する能力に基づく選択の結果として、抗ROR1抗体(VH)を得た。
【0390】
1A. ライブラリー選択、抗体作製
無細胞系でディスプレイさせたdsDNAコードヒトナイーブ抗体V
Hライブラリー上で一連の選択工程を実行することによって、例示的な抗ROR1抗体(VH)を作製した。V
Hライブラリーの構成要素を、生細胞への結合について、5ラウンド連続して選択することにより、安定トランスフェクトROR1発現CHOK1、K562および/またはHEK293細胞には特異的に結合するが、ROR1を発現しない親K562および/またはCHOK1細胞には特異的に結合しない構成要素を濃縮した。V
H結合物質を回収するために、さらなる選択を行った。ブランチ(a)では、広いエピトープ範囲およびアフィニティー範囲をカバーするROR1 V
H結合物質を回収するために、5ラウンドの選択すべてに表面ストリッピングを適用した。別のブランチ(b)では、2ラウンドの表面ストリッピング後に、ウサギ抗ROR1抗体、R12 scFv(SEQ ID NO:84に示す配列を有し、R12と呼ばれるウサギ-ヒト抗体からのV
H配列およびV
L配列を含むもの)を使って競合溶出を適用することにより、ROR1への結合に関して、例えばR12 scFvエピトープへの結合に関して、R12 scFvと競合する結合物質を濃縮した。
【0391】
結果として得られたクローンの一部を、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを使って配列決定することにより、アミノ酸配列を決定した。表2Aに、例示的なクローンのVH配列ならびにその中の対応する例示的CDR-H1、CDR-H2およびCDR-H3の配列番号を列挙する。表2Bに、例示的なクローンの例示的CDR-H3(Kabat)アミノ酸配列に対応する配列番号を列挙する。クローンV70のV
H配列をSEQ ID NO:8に示す。このクローンは、それぞれSEQ ID NO:27および28に示すCDR-H1およびCDR-H2(Kabat)配列を有した。クローンV353のV
H配列をSEQ ID NO:10に示す。このクローンは、それぞれSEQ ID NO:33および34に示すCDR-H1およびCDR-H2(Kabat)配列を有した。表2Bには、ウサギ由来のリファレンス抗体R12(これはSEQ ID NO:85に示すV
H配列を有する)のCDR-H3(Kabat)配列も挙げる。この研究では、このリファレンス抗体R12のscFvフラグメントを対照として使用した。クローンV355はV
H1配列から誘導された配列を持つ重鎖フレームワークを有し、クローンV331およびV345はヒトV
H4配列から誘導された配列を持つ重鎖フレームワークを有した。表2Aおよび表2Bに列挙した他のクローンは(R12を除いて)すべて、ヒトV
H3配列から誘導された配列を持つフレームワークを含有していた。
【0392】
(表2A)例示的クローンの配列(SEQ ID NO.)
【0393】
(表2B)
【0394】
1B.結合アフィニティー、リファレンス抗体との競合
実施例1Aに記載の選択プロセスにおいて作製された例示的ROR1結合性V
Hクローンをさらに評価した。クローンを精製し、タイトレートし、ROR1発現K562およびCHOK1細胞へのそれらの結合アフィニティー(EC
50)を、リファレンス抗体(R12 scFv)のEC
50を陽性対照として、フローサイトメトリーによって評価した。
【0395】
ROR1発現細胞への結合に関するクローンとリファレンス抗体(R12 scFv)との競合を評価するためのアッセイも行った。V
HクローンをROR1/K562細胞上で2nM Myc-R12に対してタイトレートし、競合を抗Myc-Alexa647二次抗体によって評価し、50%阻害濃度(half maximal inhibitory concentration)(IC
50)を、各クローンについて決定した。
【0396】
さらに、ROR1発現細胞へのパーセント(%)最大(max)結合およびリファレンス抗体(R12 scFv)との%最大競合も算出した。最大結合(%)値および最大競合(%)値は、それぞれ、各試験において100%に割り当てたR12 scFv結合およびR12 scFv阻害に関する値に対して、予想プラトー(4パラメータ非線形回帰を使ってPrism(登録商標)により測定したもの)に基づいて算出した。
【0397】
結果を表2Cに提示する。この表は、さまざまなクローンについて、表示した数の実験に基づいて、平均EC
50(結合アフィニティー)値、IC
50(競合)値、最大結合(%)値、および最大競合(%)値を列挙している。予想どおり、この研究において、リファレンス抗体(R12 scFv)は、ROR1に特異的に結合し、それ自体と競合することが確認された。これらの結果から、さまざまなクローンについて、さまざまな程度での、ROR1特異的結合およびR12 scFvリファレンス抗体との競合が証明された。作製したクローンには、ROR1に対する類似のアフィニティー(EC
50)、およびROR1への結合に関して類似するレベルのリファレンス抗体との競合を呈するものが含まれていた。
【0398】
1回のR12 scFv競合アッセイにおいてクローンV9の2つの調製物を試験したところ、これらは検出可能な競合結合活性を有さないことがわかった。
【0399】
(表2C)さまざまな結合アッセイおよび競合アッセイからの結果
ND=未検出
【0400】
実施例2:抗ROR1抗体(scFv)の作製および評価
ROR1に特異的に結合する例示的抗ROR1抗体(scFv)を、結合に関してR12 scFvリファレンス抗体と競合するものを含めて、作製し、評価した。
【0401】
2A.ライブラリー選択、抗体作製
無細胞系でディスプレイさせたdsDNAコードヒトナイーブ抗体ライブラリー上で実行されるさまざまな選択アプローチによって、例示的抗ROR1 scFv抗体を作製した。いくつかのアプローチでは、V
Lライブラリー構成要素を、実施例1で述べた研究において作製されたROR1特異的なVHのみの抗体とペアにした。
【0402】
あるアプローチでは、V
Hライブラリーを、安定にトランスフェクトされたROR1発現CHOK1、K562、および/またはHEK293細胞には特異的に結合するが、親ROR1陰性細胞には結合しない構成要素について、連続する3ラウンドによって濃縮した。結果として得られた濃縮V
Hライブラリーを、VH-(G4S)
3-V
LフォーマットでナイーブヒトV
Lライブラリーとシャッフルすることによって、scFvライブラリーに変換した。次に、シャッフルされたscFvライブラリーを、第4選択ラウンドおよび第5選択ラウンドにおいて、ROR1発現(親ではない)CHOK1細胞への特異的結合について濃縮し、表面ストリッピングによる溶出を行った。第6ラウンドでは、陰性選択によって、親細胞(K562、CHOK1)に結合しない構成要素を濃縮した後、ROR1発現K562および/またはCHOK1細胞への結合についての陽性選択を行った。(a)表面ストリッピングまたは(b)R12競合溶出のいずれかによって、溶出プールを作製した。
【0403】
別のアプローチでは、ナイーブヒトscFvライブラリーを、ROR1-HEK293、ROR1-CHO、およびROR1-K562細胞とのROR1特異的結合、ならびにHEK293、CHO-K1、およびK562親細胞との非結合について、ラウンドごとに細胞株を入れ替えることで複数ラウンドにわたって濃縮し、続いて、scFv結合物質を回収するために表面ストリッピング(R1C)、R12 scFvによる競合溶出(R2〜4)、および免疫沈降(R5)の組み合わせを行うことにより、デノボ選択を実行した。
【0404】
別のアプローチでは、実施例1Bで述べた研究において作製したROR1特異的なV
Hのみの抗体を、dsDNAディスプレイと、それに続くROR1-HEK293細胞およびROR1-CHO細胞を使った連続3ラウンドのROR1結合に関する選択により、ヒトナイーブV
Lライブラリー(ナイーブV
Hライブラリーと同じドナーセットから構築されたもの)の構成要素と非共有結合的にペアにした。選択されたV
Lの配列を使って、scFvクローンを作製した。
【0405】
これらさまざまなアプローチにおいて選択されたscFvクローンについて、ROR1発現K562細胞への特異的結合を、インビトロ翻訳粗細胞溶解物または細菌産生上清のどちらかを使って、ROR1を発現しない対照細胞と比較して、フローサイトメトリーによって評価した。ROR1に対する結合選好を示す一定のクローンをさらに分析した。
【0406】
フォワードプライマーおよびリバースプライマーを使ってクローンを配列決定した。例示的クローンの例示的CDR-H3(Kabat)アミノ酸配列とそれぞれの配列番号を表3Aに示す。クローン83の脱グリコシル化変異体クローン「83B」は、クローン83のN-グリコシル化モチーフを除去するためにV
H位置53(Kabat)にセリン(S)からアスパラギン(N)への置換を導入することによって作製した。表3Bに、例示的クローンのV
H配列およびV
L配列ならびに例示的CDR-H1、2、および3(Kabat)配列ならびにCDR-L配列の配列番号を列挙する。表3Aには、個々の抗体のフレームワーク配列を誘導する元となったそれぞれの軽鎖ヒトv-セグメントも列挙する。この表中の各抗体は、ヒトVH3配列から誘導された重鎖フレームワーク配列を含んだ。
【0407】
(表3A)例示的クローン
【0408】
(表3B)例示的クローンおよびリファレンス抗体の配列(SEQ ID NO:)
【0409】
2B.結合アフィニティー、リファレンス抗体との競合
クローンを精製し、タイトレートし、ROR1発現K562およびCHOK1細胞へのそれらの結合アフィニティー(EC
50)を、フローサイトメトリーによって評価した。この研究ではR12 scFvリファレンス抗体のEC
50を陽性対照とした。
【0410】
実施例1で述べたように、ROR1発現細胞への結合に関するクローンとR12 scFvリファレンス抗体との競合(50%阻害濃度(IC
50)として測定)を評価するためのアッセイも行った。最大ROR1(%)および最大競合(%)を、R12 scFvリファレンス抗体と比較して、実施例1で述べたように決定した。
【0411】
結果を表3Cに提示する。この表は、さまざまなクローンについて、複数回の実験で決定した平均EC
50(結合アフィニティー)値、IC
50(競合)値、最大結合(%)値、および最大競合(%)値を列挙している。予想どおり、この研究において、リファレンス抗体は、ROR1特異的結合およびそれ自体との競合を呈することが確認された。これらの結果から、さまざまなクローンの間で、さまざまな程度のROR1特異的結合アフィニティーおよびR12 scFvリファレンス抗体との競合が証明された。アッセイしたクローンには、リファレンス抗体と比較して類似するROR1結合アフィニティーを持つもの、および結合に関して、リファレンス抗体そのものと比較して、類似する程度にリファレンス抗体と競合するものが含まれていた。
【0412】
(表3C)さまざまな結合アッセイおよび競合アッセイからの結果
ND=未検出
【0413】
実施例3:ROR1に対するキメラ抗原受容体(CAR)の作製、そのようなCARを発現する細胞の工学的作製、およびそのようなCAR発現細胞のエフェクター機能の評価
実施例1に記載のヒト抗ROR1抗原結合ドメインを含有する抗原結合領域を使って、さまざまな例示的キメラ抗原受容体(CAR)を作製した。具体的には、VH-VLフォーマットのscFv抗原結合ドメイン(クローン83B、クローン298もしくはクローン48)またはVHのみの抗原結合ドメイン(クローンV70およびクローンV353)のどちらか一方を含有するCARをコードする核酸分子を作製した。例示的scFv抗原結合ドメインについては、同じVHおよびVL配列を有するが逆の配向(VL-VH)で存在するCARをコードするコンストラクトも作製した。ウサギ抗ROR1 scFv(R12)を(VH-VL配向で)含有するCARを対照として使用した。各CARはさらに、Ig由来ヒンジのみのスペーサー、ヒトCD28由来の膜貫通ドメイン、ヒト4-1BB由来の細胞内シグナリングドメイン、ヒトCD3ゼータ由来のシグナリングドメイン、および自己切断性T2A配列によってCAR配列から分離されている、形質導入マーカーとして使用するための切断型EGFR(tEGFR)配列を含有した。
【0414】
さまざまなCARを発現する初代ヒトT細胞集団を作製した。各CARをコードする核酸分子をレンチウイルスベクター中に個別にクローニングし、それを使って、健常ドナーから得たヒトPBMC試料から単離された集団中のCD8+ T細胞の形質導入を行った(本質的にYam et al.(2002)Mol. Ther. 5:479、WO2015/095895に記載のとおり)。対照として、tEGFR配列のみをコードする核酸を含有するレンチウイルスベクターを使って、tEGFRのみを発現する対照細胞を作製した。上述のように生産したヒト抗ROR1抗原結合ドメインを含有するさまざまなCARを発現する遺伝子改変ヒトCD8+ T細胞を、ROR1発現細胞との共培養に続くさまざまな応答について評価した。
【0415】
A.細胞溶解活性
ROR1発現ターゲット細胞を、さまざまなCARを発現するCD8+ T細胞またはtEGFRのみを発現するCD8+ T細胞(陰性対照)と共に、インキュベートした。インキュベーションに続いて、ターゲット細胞の溶解をモニタリングした。具体的には、ROR1形質導入K562細胞(K562/ROR1)、JeKo-1(マントル細胞リンパ腫株)細胞、および非形質導入K562対照細胞(陰性対照)(
図1A)の溶解を試験した。
【0416】
ターゲット細胞(K562/ROR1、JeKo-1、非形質導入K562対照細胞)を
51Crで一晩標識した。標識された細胞を洗浄し、エフェクターT細胞(CAR発現CD8+ 細胞および陰性対照CD8+ 細胞)と共に、単一のエフェクター対ターゲット(E:T)比でインキュベートした。自発的溶解を測定するために、ターゲット細胞を等体積の培地と共にエフェクター細胞なしでインキュベートした。また、ターゲット細胞を完全に溶解するために、ターゲット細胞を洗浄剤と共にインキュベートした後に、最大溶解を決定した。4時間のインキュベーション後にγ計数のために上清を収穫した。その実験条件での特異的溶解率(%)を、
[(実験的放出-自発的放出)/(最大放出-自発的放出)]×100
として算出した。
【0417】
結果を
図1Aに示す。
図1Aに示すように、さまざまなヒト抗ROR1抗原結合ドメイン含有CARを発現する工学的に改変されたCD8+ T細胞は、K562/ROR1細胞に対する抗原特異的細胞溶解活性を呈し、ウサギ抗ROR1(R12)scFvを含有するCARを発現する細胞も同様であった。この細胞傷害活性は、ROR1を発現しない対照K562細胞に対しては、一般に観察されなかった。これらの結果から、VHドメインのみを含有する例示的V353クローンを含有するCARで工学的に改変された細胞は、scFvフォーマットの抗原結合ドメインを含有するCARに匹敵する、細胞溶解活性を呈することが示された。与えられたヒトscFvをVH-VL配向で持つCARを発現する細胞で観察される細胞溶解活性の程度は、対応するscFvを逆のVL-VH配向(LH)で持つCARを発現する細胞で観察されるものより、一般に大きかった。
【0418】
B.サイトカイン放出
CAR発現細胞を抗原発現ターゲット細胞および対照ターゲット細胞と共にインキュベートした後に、サイトカイン放出を評価した。形質導入されたCD8+ T細胞を、ターゲット細胞(K562、K562/ROR1、JeKo-1)と、単一のエフェクター対ターゲット(E:T)比で共培養した。共培養細胞を約24時間インキュベートし、次に、サイトカインイムノアッセイを使ってIFN-γを測定するために、上清を収集した。
【0419】
結果を
図1Bに示す。さまざまなヒト抗ROR1抗原結合ドメイン含有CARを発現する工学的に改変されたCD8+ T細胞は、K562/ROR1細胞とのインキュベーションに続いて抗原特異的にIFN-ガンマを分泌し、ウサギ抗ROR1(R12)scFvを含有するCARを発現する細胞も同様であることが観察された。サイトカイン分泌は、ROR1を発現しない対照K562細胞とのインキュベーション後には、一般に観察されなかった。これらの結果から、VHドメインのみを含有する例示的V353クローンを含有するCARで工学的に改変された細胞は、scFvフォーマットの抗原結合ドメインを含有するCARに匹敵するレベルのIFN-γ分泌を呈することが示された。与えられたヒトscFvをVH-VL配向で持つCARを発現する細胞で観察されるIFNγ分泌の程度は、対応するscFvを逆の(VL-VH)配向で持つCARを発現する細胞で観察されるものより、一般に大きかった。
【0420】
実施例4:ヒトROR1またはマウスROR1を発現する細胞に対するCAR発現細胞のエフェクター機能の評価
さまざまな例示的キメラ抗原受容体(CAR)を作製し、それらを使って、実施例3で述べたように、CAR発現CD8+ T細胞を作製した。
【0421】
CAR発現細胞をK562/ヒトROR1(hROR1)抗原発現細胞またはK562/マウスROR1(mROR1)抗原発現細胞のどちらか一方と共にインキュベートした後のサイトカイン放出を評価した。形質導入されたCD8+ T細胞を、抗原発現細胞と、単一のエフェクター対ターゲット(E:T)で共培養した。共培養細胞を約24時間インキュベートし、次に、サイトカインイムノアッセイを使ってIFN-γを測定するために、上清を収集した。
【0422】
結果を
図2に示す。さまざまなヒト抗ROR1抗原結合ドメイン含有CARを発現する工学的に改変されたCD8+ T細胞は、hROR1発現細胞またはmROR1発現細胞のどちらか一方とのインキュベーションに続いて、同等レベルのIFN-γを分泌することが観察された。対照的に、ウサギ抗ROR1(R12)scFvで工学的に改変された細胞は、hROR-1発現細胞とのインキュベーション後にのみIFN-γを分泌し、mROR-1発現細胞とのインキュベーション後はIFN-γを分泌しないことが観察された。この結果は、R12が、ヒトROR1には特異的だがマウスROR1には特異的でないと報告されていることと合致する(Yang et al.(2011)PLoS ONE, 6:e21018)。したがって、これらの結果は、実施例2における結果と共に全体として、試験したCARのヒト抗ROR1抗原結合性結合ドメインは、R12とオーバーラップしうるヒトROR1中のエピトープに結合するが、R12によって認識されないマウスROR1中のエピトープにも結合することを示した。
【0423】
本発明は、その範囲を、開示した特定態様に限定しようとするものではなく、それら特定態様は、例えば本発明のさまざまな局面を例示するために提供するものである。記載した組成物および方法のさまざまな修飾態様は、本明細書の説明および教示から明白になるであろう。そのような変形は、本開示の真の範囲および思想から逸脱することなく実施することができ、本開示の範囲に包含されるものとする。
【0424】
配列