(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
取得された前記証明書の画像を解析して、発行時期を特定すると共に、前記証明書により証明される事柄についての記載内容のうち、発行時期によって記載の有無が異なる所定の記載内容を検出することと、
特定された前記発行時期と、前記所定の記載内容についての検出結果とが整合するか否かを確認し、整合しないことが確認された場合には、取得された前記証明書の画像が贋物であると判定することと
をさらに含む、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の真贋判定方法。
取得された前記証明書の画像を解析し、発行者の特定に利用可能な文字又は数字が記載される複数の第2の記載欄のそれぞれから前記文字又は数字を抽出し、前記複数の第2の記載欄に対応する発行者が互いに一致するか否かを確認し、一致しないことが確認された場合には、取得された前記証明書の画像が贋物であると判定すること
をさらに含む、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の真贋判定方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、本明細書及び図面において実質的に同一の機能を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0013】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態について説明する。
【0014】
[1−1.システム]
図1を参照しながら、第1実施形態に係る真贋判定装置を含むシステムについて説明する。
図1は、第1実施形態に係る真贋判定装置を含むシステムについて説明するためのブロック図である。
【0015】
図1に示すように、第1実施形態に係るシステムは、真贋判定装置10、判定器生成装置20、及びユーザ機器30を含む。真贋判定装置10は、第1実施形態に係る真贋判定装置の一例である。判定器生成装置20は、第1実施形態に係る判定器生成装置の一例である。ユーザ機器30は、第1実施形態に係るユーザ機器の一例である。
【0016】
真贋判定装置10は、本人確認のために受領した証明書画像の真贋を判定する。判定器生成装置20は、真贋判定装置10が証明書画像の真贋判定に利用する判定器及びDB(Database)を生成し、その判定器及びDBを真贋判定装置10に提供する。ユーザ機器30は、ネットワークNWを介して真贋判定装置10に接続され、本人確認書類として証明書画像を真贋判定装置10に提供する。
【0017】
(ハードウェア)
ここで、
図2を参照しながら、第1実施形態に係る真贋判定装置の機能を実現可能なハードウェアについて説明する。
図2は、第1実施形態に係る真贋判定装置の機能を実現可能なハードウェアについて説明するためのブロック図である。
【0018】
真贋判定装置10が有する機能は、
図2に示した情報処理装置のハードウェアを用いて実現することが可能である。つまり、真贋判定装置10が有する機能は、コンピュータプログラムを用いて
図2に示した情報処理装置のハードウェアを制御することで実現されうる。
【0019】
図2に示した情報処理装置は、プロセッサ10a、メモリ10b、表示IF(Interface)10c、通信IF10d、及び接続IF10eを含む。
【0020】
プロセッサ10aは、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphic Processing Unit)などであってよい。メモリ10bは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどであってよい。
【0021】
表示IF10cは、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro-Luminescence Display)などのディスプレイ装置を接続するためのインターフェースである。通信IF10dは、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。ネットワークNWは、WAN(Wide Area Network)、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、移動体通信ネットワークなどを少なくとも一部に含む通信ネットワークである。ネットワークNWは、有線の通信ネットワークを含んでもよいし、無線の通信ネットワークを含んでもよい。
【0022】
接続IF10eは、外部デバイスを接続するためのインターフェースである。接続IF10eは、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)などであってよい。接続IF10eには、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッドなどの入力IFが接続されうる。接続IF10eには、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な可搬性の記録媒体10fが接続されうる。記録媒体10fは、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどであってよい。
【0023】
プロセッサ10aは、記録媒体10fに格納されたプログラムを読み出してメモリ10bに格納し、メモリ10bから読み出したプログラムに従って真贋判定装置10の動作を制御してよい。真贋判定装置10の動作を制御するプログラムは、メモリ10bに予め格納されてもよいし、通信IF10dを介してダウンロードされてもよい。
【0024】
真贋判定装置10の機能を実現可能なハードウェアについて説明したが、判定器生成装置20及びユーザ機器30の機能も、
図2に示した情報処理装置のハードウェアを利用して実現可能である。そのため、上述したハードウェアの説明を援用し、判定器生成装置20及びユーザ機器30のハードウェアについては詳細な説明を省略する。
【0025】
(真贋判定装置の機能)
再び
図1を参照し、真贋判定装置10の機能について、さらに説明する。
図1に示すように、真贋判定装置10は、確認書類受付部11、記憶部12、第1判定部13、第2判定部14、第3判定部15、及び総合判定部16を有する。
【0026】
確認書類受付部11の機能は、主に、上述したプロセッサ10a及び通信IF10dにより実現されうる。記憶部12の機能は、主に、上述したメモリ10bにより実現されうる。第1判定部13、第2判定部14、第3判定部15、及び総合判定部16の機能は、主に、上述したプロセッサ10aにより実現されうる。なお、複数の情報処理装置を利用し、第1判定部13、第2判定部14、及び第3判定部15の機能が、それぞれ異なる情報処理装置に割り当てられてもよい。
【0027】
確認書類受付部11は、ユーザ機器30から本人確認の必要がある手続き(口座開設手続など)の申込を受け付けた場合に、ユーザ機器30に対して本人確認書類の提示を要求する。また、確認書類受付部11は、本人確認書類の提示要求に対してユーザ機器30から本人確認書類として提示される証明書画像を受領する。そして、確認書類受付部11は、証明書画像を記憶部12に格納する。また、確認書類受付部11は、証明書画像の真贋判定結果に応じたメッセージをユーザ機器30に送信する。
【0028】
第1判定部13は、確認書類受付部11により記憶部12に格納された証明書画像にマスキングを施して黒塗り画像を生成し、パターン認識器を利用して、黒塗り画像に基づく証明書画像の真贋判定(以下、黒塗り画像判定)を実施する。なお、黒塗り画像は、判定用画像の一例である。パターン認識器は、事前に用意された多数の証明書画像をマスキングして生成される多数のテンプレート画像をAI(Artificial Intelligence)に学習させることで得られる。パターン認識器の生成方法及び黒塗り画像判定の方法については、後でさらに説明する。
【0029】
第2判定部14は、確認書類受付部11により記憶部12に格納された証明書画像から、証明書に記載の文字又は数字の画像(以下、字形画像)を抽出し、字形画像DBを利用して、字形画像に基づく証明書画像の真贋判定(以下、字形画像判定)を実施する。字形画像DBは、事前に用意された多数の証明書画像から抽出される文字及び数字の図形(以下、字形画像)を格納したデータベースである。字形画像DBの生成方法及び字形画像判定の方法については、後でさらに説明する。
【0030】
第3判定部15は、確認書類受付部11により記憶部12に格納された証明書画像から、相互に関係する複数の記載内容を特定し、記載内容の関係を示すDBを利用して、特定した記載内容同士の整合性を確認することで証明書画像の真贋判定(以下、関係性判定)を実施する。記載内容の関係を示すDBの例及び関係性判定の方法については、後でさらに説明する。
【0031】
総合判定部16は、第1判定部13、第2判定部14、及び第3判定部15による真贋判定の結果を総合的に考慮して最終的な真贋判定(以下、総合判定)を実施する。総合判定の方法については、後でさらに説明する。総合判定の結果は、確認書類受付部11に入力される。確認書類受付部11は、総合判定の結果に応じたメッセージをユーザ機器30に送信する。
【0032】
(判定器生成装置の機能)
次に、判定器生成装置20の機能について説明する。
【0033】
判定器生成装置20は、解析部21、及び記憶部22を有する。解析部21の機能は、主に、上述したプロセッサ10aに相当するハードウェア資源を利用して実現可能である。記憶部22の機能は、主に、上述したメモリ10bに相当するハードウェア資源を利用して実現可能である。
【0034】
解析部21は、第1判定部13が利用するパターン認識器を生成する。また、解析部21は、第2判定部14が利用する字形画像DBを生成する。記憶部22には、本人確認書類として利用される証明書についての事前に用意された多数の証明書画像を含む証明書画像群22aと、黒塗り画像を生成する際に用いられるマスク画像22bとが格納される。マスク画像22bは、マスキングする部分を示す画像である。以下、証明書画像群22aに含まれる証明書画像をサンプル画像と表記する。
【0035】
(パターン認識器の生成方法)
パターン認識器を生成する際、解析部21は、マスク画像22bを利用して、証明書画像群22aに含まれるサンプル画像にマスキングを施す。以下、マスキング後のサンプル画像をテンプレート画像と表記する。また、解析部21は、マスキングにより生成された多数のテンプレート画像をAIに学習させてパターン認識器を生成する。パターン認識器の生成には、画像パターンの認識に利用可能な任意のAI技術を適用することができる。また、学習手法としては、既知の機械学習及び深層学習を任意に適用することができる。
【0036】
ここで、
図3及び
図4を参照しながら、第1実施形態に係るマスキング及びパターン学習について、具体例を挙げてさらに説明する。
図3は、第1実施形態に係るマスキング及びパターン学習について説明するための第1の模式図である。
図4は、第1実施形態に係るマスキング及びパターン学習について説明するための第2の模式図である。
【0037】
図3には、一例として、運転免許証を本人確認書類として利用する場合のサンプル画像41が示されている。サンプル画像41は、文字、数字、写真、図形のいずれかを含む記載欄41a、…、41nを有する。記載欄41aの左側には被証明者の氏名が記載され、その右側には生年月日が記載されている。記載欄41bには被証明者の住所が記載されている。記載欄41cの左側には運転免許証の交付日が記載され、その右側には交付日に応じて割り振られる照会番号が記載されている。この照会番号は、発行者である公安委員会毎に異なる基準で割り振られることがある。
【0038】
記載欄41dには被証明者の写真が添付されている。記載欄41eには、運転免許証の有効期限が記載されている。有効期限の背景色は、運転免許に関する被証明者の属性(免許取得後の経過日数、事故状況、違反状況など)に応じて決められる。例えば、被証明者が“優良運転者”の場合、有効期限の背景色はゴールドになる。この場合、記載欄41gに“優良運転者”を示すマークが記載される。このマークは、“優良”の文字及びこの文字を囲む枠線により構成される。また、免許取得後に最初の更新を迎えるまでは背景色がグリーンになる。それ以外の場合は背景色がブルーになる。
【0039】
記載欄41fには、免許の条件等が記載される。例えば、運転免許証の種類が“オートマチック限定免許”の場合、記載欄41fには、“普通車はAT車に限る”などと記載される。また、記載欄41fには、“準中型車(5t)に限る”、“中型車(8t)に限る”、“小型二輪のAT車に限る”などの限定条件が記載される。限定免許の種類は交付時期によって異なることがあるため、限定条件の記載内容は交付時期によって変わりうる。
【0040】
記載欄41hには、12桁の数字が記載される。12桁のうち、左側から2桁(1、2番目)の数字は公安委員会番号を示す。従って、記載欄41hに記載されている数字の1、2番目の数字を参照すると運転免許証を交付した公安委員会を特定することができる。次の2桁(3、4番目)の数字は、運転免許証の取得年を示す番号(西暦の下2桁)である。従って、記載欄41hに記載されている数字の3、4番目の数字を参照すると運転免許証を最初に取得した年を特定することができる。
【0041】
次の6桁(5〜10番目)の数字は、各都道府県の公安委員会が独自の基準で設定しうる管理番号である。次の1桁(11番目)の数字はチェックディジットである。そして、最後の1桁(12番目)の数字は再交付の回数を示す。
【0042】
記載欄41iには、運転免許証であることを示す文字列が記載される。記載欄41jには、免許の種類が記載される。記載欄41kには、対応する区分についての免許の取得年月日が記載される。複数の免許を含む区分については、その区分に含まれる免許のうち最初に取得した免許の取得年月日が対応する欄に記載される。
【0043】
記載欄41mには、公安委員会の名称が記載される。記載欄41nには、公安委員会の印鑑が表示されることがある。従って、記載欄41m、41nを参照することで、運転免許証の発行者を特定することができる。なお、特定の公安委員会が交付した運転免許証には、公安委員会の印鑑が表示されないこともある。
【0044】
運転免許証には、上述した記載欄に記載される内容の他、記載欄を囲む枠線や模様などが付されている。上述した記載欄に記載されている文字及び数字の字形、文字及び数字の配置、特定の記載欄に記載される内容、及び、枠線の記載方法(例えば、線の太さ、枠の形状、枠のレイアウト)など、運転免許証の表記は、発行者毎に異なることがある。従って、運転免許証のうち、発行者を特定可能な情報を含む部分の画像と、表記が変化しうる部分の画像とをAIに学習させることで、発行者毎に異なる違いを認識することができるパターン認識器を生成することができる。
【0045】
上記の通り、運転免許証には、被証明者に関する情報が記載される記載欄が多く含まれる。被証明者に関する情報としては、被証明者の氏名、生年月日、住所、免許証番号(記載欄41hの番号)、免許の条件等、取得日、免許の種類がある。また、有効期限は、交付日及び運転免許に関する被証明者の属性(優良運転者など)に依存する。被証明者に依存する情報は、発行者に依存する情報を認識するためのパターン認識器を生成する際にはノイズとなる。そのため、解析部21は、被証明者に依存する情報を極力排除するようにサンプル画像41に対してマスキングを施す。
【0046】
図3に例示したテンプレート画像42では、被証明者に依存する情報の大部分がマスキングされている一方で、記載欄41bに記載されている住所のうち、行政区画(都道府県)を示す“東京都”の文字がマスキングされずに残されている。運転免許証の場合、被証明者が居住する行政区画の公安委員会が発行者となるため、行政区画を示す文字は、発行者の特定に利用可能な情報として利用することができる。この例のように、発行者に関する情報を積極的に残すことは、発行者に依存する情報を認識するパターン認識器を生成する際には認識精度を高める上で有利に作用する。
【0047】
運転免許証以外の証明書を本人確認書類として利用する場合についても同様である。例えば、個人番号カード(マイナンバーカード)を利用する場合には
図4のようになる。
図4には、個人番号カードのサンプル画像51と、サンプル画像51をマスキングしたテンプレート画像52とが例示されている。この例では、記載欄51aに被証明者の氏名が記載され、記載欄51bに住所が記載されている。記載欄51cには被証明者の生年月日が記載され、記載欄51dには証明書の種類(個人番号カード)を示すマークが記載されている。
【0048】
記載欄51eには被証明者の性別が記載され、記載欄51fには有効期限が記載されている。個人番号カードの有効期限は、発行日から10回目の誕生日までに設定される。そのため、有効期限の月日と、生年月日の月日とは同じになる。記載欄51gには個人番号カードを発行した市区町村長を示す文字が記載される。従って、記載欄51gを参照すると個人番号カードを発行した発行者を特定することができる。
【0049】
記載欄51hには電子証明書の有効期限が記載されうる。電子証明書の有効期限は、被証明者が電子証明書を発行した場合に記載される。記載欄51jには被証明者の写真が添付されている。記載欄51i、51nは、被証明者又は発行者側で記入する事項の記載欄である。記載欄51k、51mの数字は、被証明者又は発行者に関する情報を含みうる。
【0050】
個人番号カードには、上述した記載欄に記載される内容の他、記載欄を囲む枠線や模様などが付されている。上述した記載欄に記載されている文字及び数字の字形、文字及び数字の配置、特定の記載欄に記載される内容、枠線の記載方法(例えば、線の太さ、枠の形状、枠のレイアウト)、及び背景の模様など、個人番号カードの表記は、発行者毎に異なることがある。従って、運転免許証の場合と同様に、発行者を特定可能な情報を含む部分の画像と、表記が変化しうる部分の画像とをAIに学習させることで、発行者毎に異なる違いを認識することができるパターン認識器を生成することができる。
【0051】
被証明者の氏名、住所、生年月日、性別、写真、及び生年月日に依存する有効期限は、被証明者に依存する情報である。記載欄51k、51m、51nの記載内容も、被証明者に依存する情報を含みうる。電子証明書の有効期限も、被証明者の行動(電子証明書の発行申請)に依存する。これらの情報は、発行者に依存する情報を認識するためのパターン認識器を生成する際にはノイズとなる。そのため、解析部21は、これらの情報を極力排除するようにサンプル画像51に対してマスキングを施す。
【0052】
図4に例示したテンプレート画像52では、被証明者に依存する情報の大部分がマスキングされている一方で、記載欄51bに記載されている住所のうち、行政区画(市区町村)を示す“東京都○○区”の文字がマスキングされずに残されている。個人番号カードの場合、被証明者が居住する行政区画の長が発行者となるため、行政区画を示す文字は、発行者の特定に利用可能な情報として利用することができる。この例のように、発行者に関する情報を積極的に残すことは、発行者に依存する情報を認識するパターン認識器を生成する際には認識精度を高める上で有利に作用する。
【0053】
図3及び
図4に示した例のように、解析部21は、証明書画像群22aに含まれるサンプル画像にマスキングを施してテンプレート画像を生成する。そして、解析部21は、テンプレート画像をAIに学習させてパターン認識器を生成する。上記の例では運転免許証及び個人番号カードを例に挙げたが、運転経歴証明書やパスポートなどについても同様に上記の方法を適用することができる。解析部21は、生成したパターン認識器を第1判定部13に提供する。
【0054】
(字形画像判定)
次に、
図5を参照しながら、第1実施形態に係る字形画像DBの生成について説明する。
図5は、第1実施形態に係る字形画像DBの生成について説明するための模式図である。
図5には、運転免許証のサンプル画像41と、サンプル画像41を含む運転免許証のサンプル画像群から生成される字形画像DB43とが例示されている。
【0055】
既に説明したように、運転免許証の表記は、発行者によって変わりうる。また、運転免許証の表記は、交付時期によっても変わりうる。例えば、特定の部分に記載される文字・数字の字形は、発行者及び交付時期によって変わることがある。そのため、特定の部分に記載される文字・数字の字形は、運転免許証の真贋判定に利用することができる。その真贋判定の際に利用される正しい字形の情報を格納したデータベースが字形画像DB43である。字形画像DB43には、発行者、交付時期、記載箇所、文字・数字、及びその文字・数字の画像(字形画像)が対応付けて格納される。
【0056】
解析部21は、証明書画像群22aから運転免許証のサンプル画像を抽出し、任意の文字認識技術を利用して所定の記載箇所に記載されている文字・数字を認識する。例えば、OCR(Optical Character Recognition)で用いられる文字認識技術を利用することができる。
図5に例示したサンプル画像41の場合、解析部21は、記載欄41bに記載されている住所のうち、行政区画を示す“東京都”の文字を認識し、字形画像DB43の発行者欄に記録する。また、解析部21は、記載欄41cに記載されている交付日を認識し、その交付日に対応する時期を字形画像DB43の交付時期欄に記録する。なお、解析部21は、交付日の年月を交付時期欄に記録してもよい。
【0057】
また、解析部21は、事前に設定された記載箇所の文字・数字を認識し、その記載箇所を示す情報を字形画像DB43の記載箇所欄に記録する。さらに、解析部21は、その記載箇所に記載されている文字・数字の認識結果を字形画像DB43の文字・数字欄に記録し、その文字・数字の字形画像を字形画像DB43の字形画像欄に記録する。
図5の例では、記載欄41aに記載されている生年月日の数字“5”が認識され、記載箇所欄には“生年月日欄”、文字・数字欄には“5”、字形画像欄にはその字形画像が記録されている。
【0058】
上記と同様に、
図5の例では、記載欄41eに記載されている有効期限のうち元号の文字“平成”が認識され、字形画像DB43の記載箇所欄には“有効期限欄”、文字・数字欄には“平成”、字形画像欄にはその字形画像が記録されている。記載欄41hに記載の文字“号”についても同様に字形画像DB43に情報が記録されている。
【0059】
図5の例では説明の都合上、サンプル画像41の注目部分に太枠を付し、その部分について字形画像DB43に記録される事項を例示したが、他の記載箇所についても同様に処理される。処理対象となる記載箇所は、全ての記載箇所であってもよいし、事前に選択された任意の記載箇所であってもよい。例えば、背景色がない部分の記載箇所を処理対象とすれば文字認識が容易になる。また、被証明者、発行者、交付時期に依らず同じ文字が記載される記載箇所(例えば、記載欄41i)を処理対象とすれば、その文字がほぼ全てのサンプル画像に含まれるため、より多く字形画像が得られる。
【0060】
ここでは、運転免許証についての字形画像DB43を生成する方法について示したが、他の証明書についても同様の方法を適用して字形画像DBを生成することができる。この方法を適用することで、発行者及び交付時期と、字形画像との関係が既知でない証明書についても字形画像DBを生成することができる。解析部21は、本人確認書類として利用可能な各証明書についての字形画像DBを第2判定部14に提供する。
【0061】
(判定器生成装置の動作)
次に、
図6を参照しながら、第1実施形態に係る判定器生成装置の動作について説明する。
図6は、第1実施形態に係る判定器生成装置の動作について説明するためのフロー図である。
【0062】
(S101)解析部21は、記憶部22に格納されている証明書画像群22aの各サンプル画像を読み込む。
【0063】
(S102)解析部21は、記憶部22に格納されているマスク画像22bを用いて各サンプル画像にマスキングを施し、各サンプル画像に対応するテンプレート画像を生成する。例えば、解析部21は、
図3及び
図4に示すように、発行者に関する情報を残し、かつ被証明者に依存する情報をマスキングしたテンプレート画像を生成する。なお、マスキングの際、サンプル画像のうち発行者に関する情報の一部がマスキングされてもよいし、被証明者に依存する情報の一部が残されてもよい。
【0064】
(S103、S104)解析部21は、証明書画像群22aに含まれる多数のサンプル画像に対応する多数のテンプレート画像をAIに学習させてパターン認識器を生成する。テンプレート画像内では発行者に関する情報が残され、被証明者に依存する情報がマスキングされているため、被証明者に非依存の表記について、発行者に依存する表記の違いを認識しうるパターン認識器が生成される。解析部21は、生成したパターン認識器を第1判定部13に提供する。
【0065】
(S105)解析部21は、各サンプル画像を解析して発行者、交付時期を特定し、事前に設定された記載箇所(所定欄)の文字・数字を読み取る。例えば、解析部21は、文字認識により被証明者の住所を読み取り、住所の行政区画を示す文字から発行者を特定する。また、解析部21は、文字認識により交付日を読み取り、その交付日に対応する交付時期を特定する。また、解析部21は、文字認識により所定欄の文字・数字を読み取ると共に、その文字・数字の字形画像をサンプル画像から切り取る。
【0066】
(S106、S107)解析部21は、証明書の種類毎に、発行者、交付時期、文字・数字、及び文字・数字の字形画像を字形画像DBに対応付けて格納する。そして、解析部21は、字形画像DBを第2判定部14に提供する。S107の処理が完了すると、
図6に示した一連の処理は終了する。なお、変形例として、S102〜S104の処理群とS105〜S107の処理群とを入れ替えてもよいし、これら2つの処理群を並列に実行してもよい。
【0067】
(ユーザ機器の機能)
再び
図1を参照し、ユーザ機器30の機能について説明する。
図1に示すように、ユーザ機器30は、撮像部31、記憶部32、制御部33、及び表示部34を有する。
【0068】
撮像部31の機能は、レンズを含む光学系、及び、CCD(Charge-Coupled Device)センサ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの撮像素子とを有するカメラユニットを利用して実現可能である。記憶部32の機能は、主に、上述したメモリ10bに相当するハードウェア資源を利用して実現可能である。制御部33の機能は、主に、上述したプロセッサ10aに相当するハードウェア資源を利用して実現可能である。表示部34の機能は、主に、上述した表示IF10cに相当するハードウェア資源及びそれに接続されるディスプレイ装置を利用して実現可能である。
【0069】
撮像部31は、ユーザ機器30のカメラ機能を提供する。例えば、撮像部31は、本人確認書類として利用される証明書を撮像するために利用される。この場合、撮像部31は、制御部33による制御に応じて証明書を撮像し、証明書画像を記憶部32に格納する。また、撮像部31は、ユーザ機器30を操作するユーザの顔を撮像するために利用されてよい。この場合、撮像部31は、ユーザの顔写真を記憶部32に格納する。
【0070】
制御部33は、ユーザ操作に応じて記憶部32に格納された証明書画像を真贋判定装置10に送信する。このとき、制御部33は、証明書画像と共にユーザの顔写真を真贋判定装置10に送信してもよい。ユーザの顔写真を併せて送信することで、真贋判定装置10の側において、証明書画像の顔写真と、受信されたユーザの顔写真との類似性から、被証明者が証明書画像を送信したことを確認することができるようになる。
【0071】
表示部34には、撮像部31により撮像された証明書画像及びユーザの顔写真が表示されうる。また、表示部34には、真贋判定装置10から送信されるメッセージが表示されうる。例えば、本人確認を要する手続きを申し込む場合、その申込に利用する情報入力フォームが真贋判定装置10の側から提供され、その情報入力フォームが表示部34に表示されてもよい。また、ユーザ機器30から送信された証明書画像に対する真贋判定の結果を示すメッセージが表示部34に表示されてもよい。
【0072】
なお、ユーザ機器30は、本人確認書類として被証明者が証明書画像を真贋判定装置10に送信するために利用する情報処理装置であり、その形態は任意である。例えば、ユーザ機器30は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC(Personal Computer)、デスクトップPC、ゲーム機、又は、ATM(Automatic Teller Machine)などの店頭端末であってよい。
図1の例では、ユーザ機器の数が1つであるが、複数のユーザ機器がネットワークNWを介して真贋判定装置10に接続されてもよい。
【0073】
以上、第1実施形態に係るシステムについて説明した。以下では、真贋判定装置10が有する第1判定部13、第2判定部14、第3判定部15、及び総合判定部16の機能及び動作について、さらに説明する。
【0074】
[1−2.第1判定部(黒塗り画像判定)]
まず、
図7を参照しながら、第1実施形態に係る第1判定部の機能について説明する。
図7は、第1実施形態に係る第1判定部の機能について説明するためのブロック図である。
【0075】
図7に示すように、第1判定部13は、記憶部131、対象画像取得部132、マスキング部133、及び黒塗り画像判定部134を有する。
【0076】
記憶部131には、マスク画像131a及びパターン認識器131bが格納される。マスク画像131aは、判定器生成装置20が証明書画像群22aのサンプル画像をマスキングする際に利用したマスク画像22bと同じものである。パターン認識器131bは、判定器生成装置20により生成されたパターン認識器である。
【0077】
対象画像取得部132は、真贋判定の対象となる証明書画像(以下、対象画像)を確認書類受付部11から取得する。マスキング部133は、マスク画像131aを利用して対象画像にマスキングを施す。以下、マスキング後の対象画像を黒塗り画像と表記することがある。黒塗り画像判定部134は、マスキング部133により生成された黒塗り画像をパターン認識器131bに入力する。
【0078】
パターン認識器131bは、学習したテンプレート画像と、入力された黒塗り画像との間の一致点及び相違点を認識し、部分的に相違する度合いが大きいほど低くなる確信度C1を認識結果として出力する。テンプレート画像及び黒塗り画像では発行者に関する情報を含む部分がマスキングされていないため、その部分については一致点として認識され、その他の部分におけるテンプレート画像と黒塗り画像との間の相違点がパターン認識器131bにより評価される。パターン認識器131bから出力される確信度C1は総合判定部16に入力される。
【0079】
ここで、
図8を参照しながら、第1実施形態に係る黒塗り画像判定の処理について、処理の流れを説明する。
図8は、第1実施形態に係る黒塗り画像判定の処理について説明するためのフロー図である。
【0080】
(S111)マスキング部133は、記憶部131に格納されているマスク画像131aを用いて、対象画像取得部132により取得される対象画像にマスキングを施し、その対象画像に対応する黒塗り画像を生成する。マスキング部133は、生成された黒塗り画像を黒塗り画像判定部134へと出力する。
【0081】
(S112)黒塗り画像判定部134は、記憶部131に格納されているパターン認識器131bに対し、マスキング部133により生成された黒塗り画像を入力する。そして、黒塗り画像判定部134は、パターン認識器131bから認識結果として出力される確信度を総合判定部16へと出力する。
【0082】
(S113)第1判定部13は、全ての対象画像についてS111及びS112の処理(黒塗り画像判定)を実行したか否かを判定する。全ての対象画像を処理し終えた場合、
図8に示した一連の処理は終了する。一方、未処理の対象画像がある場合、処理はS111へと進み、未処理の対象画像について、S111及びS112の処理が実行される。
【0083】
[1−3.第2判定部(字形画像判定)]
次に、
図9を参照しながら、第1実施形態に係る第2判定部の機能について説明する。
図9は、第1実施形態に係る第2判定部の機能について説明するためのブロック図である。
【0084】
図9に示すように、第2判定部14は、記憶部141、対象画像取得部142、文字認識部143、及び字形判定部144を有する。
【0085】
記憶部141には、字形画像DB141a及び類似度判定器141bが格納される。字形画像DB141aは、運転免許証に対応する上記の字形画像DB43と同様に、発行者、交付時期、記載箇所、文字・数字、及びその文字・数字の字形画像が対応付けて格納された各証明書に対応する字形画像DBである。
【0086】
類似度判定器141bは、2つの画像を比較し、それらの類似度を出力するプログラムモジュールである。類似度判定器141bは、AI学習を利用して判定器生成装置20により生成されてもよいし、汎用の類似度判定器が適用されてもよい。類似度判定の手法としては、BRIEF(Binary Robust Independent Elementary Features)、ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)、SURF(Speeded-Up Robust Features)などの画像特徴を用いた判定手法がある。
【0087】
対象画像取得部142は、対象画像を確認書類受付部11から取得する。文字認識部143は、任意の文字認識技術を利用して、発行者の特定に利用可能な記載欄の文字・数字を読み取り、その文字・数字から発行者を特定する。また、文字認識部143は、文字認識により、交付時期の特定に利用可能な記載欄の文字・数字を読み取り、その文字・数字から交付時期を特定する。
【0088】
また、文字認識部143は、特定した発行者及び交付時期に対応する字形画像DB141aのレコードを特定する。そして、文字認識部143は、特定したレコードに含まれる記載箇所について、文字認識により対象画像の該当部分から文字・数字を読み取ると共に、その文字・数字の字形画像を切り取る。そして、文字認識部143は、読み取った文字・数字に対応するレコードをさらに抽出し、抽出されたレコードの情報及び対象画像から切り取った字形画像を字形判定部144に提供する。
【0089】
字形判定部144は、文字認識部143から提供されたレコードの情報に基づいて字形画像DB141aの該当レコードに含まれる字形画像を取得する。そして、字形判定部144は、文字認識部143から提供された字形画像と、字形画像DB141aから取得した字形画像とを類似度判定器141bに入力する。類似度判定器141bは、入力された2つの字形画像の類似度を出力する。
【0090】
字形判定部144は、類似度判定器141bを利用し、全ての記載箇所に対応する字形画像について類似度を計算する。類似度は、最も類似している場合に1、最も類似していない場合に0となるように規格化されてもよい。字形判定部144は、計算した類似度に基づいて確信度C2を計算する。例えば、確信度C2は、全ての記載箇所に対応する類似度の積で与えられる。字形判定部144は、計算した確信度C2を総合判定部16に提供する。
【0091】
ここで、
図10を参照しながら、第1実施形態に係る字形画像判定の処理について、処理の流れを説明する。
図10は、第1実施形態に係る字形画像判定の処理について説明するためのフロー図である。
【0092】
(S121)文字認識部143は、任意の文字認識技術を利用して、発行者の特定に利用可能な記載欄の文字・数字を読み取り、その文字・数字から発行者を特定する。また、文字認識部143は、文字認識により、交付時期の特定に利用可能な記載欄の文字・数字を読み取り、その文字・数字から交付時期を特定する。また、文字認識部143は、特定した発行者及び交付時期に対応する字形画像DB141aのレコードを特定する。そして、文字認識部143は、特定したレコードに対応する記載箇所を全て抽出する。
【0093】
(S122、S125)S123、S124の処理は、抽出された各記載箇所について実行される。例えば、発行者が“東京都”で、発行時期が“平成16年4月〜9月”の運転免許証に対応する字形画像DB141aの記載箇所欄に、生年月日欄、有効期限欄、番号欄…という記載がある場合、これらの各欄についてS123、S124の処理が繰り返し実行される。全ての記載箇所について処理が完了すると、処理はS126へと進む。
【0094】
(S123)文字認識部143は、該当する対象画像の記載箇所から文字・数字を読み取ると共に、その文字・数字の字形画像を切り出す。また、文字認識部143は、読み取った文字・数字に対応するレコードを字形画像DB141aから抽出する。
【0095】
(S124)字形判定部144は、S123で文字認識部143が抽出した字形画像DB141aのレコードに含まれる字形画像を取得する。そして、字形判定部144は、文字認識部143が対象画像から切り出した字形画像と、字形画像DB141aから取得した字形画像とを類似度判定器141bに入力し、入力された2つの字形画像の類似度を計算する。類似度は、最も類似している場合に1、最も類似していない場合に0となるように規格化されてもよい。
【0096】
(S126)字形判定部144は、計算した類似度に基づいて確信度C2を計算する。例えば、確信度C2は、全ての記載箇所に対応する類似度の積で与えられる。字形判定部144は、計算した確信度C2を総合判定部16に提供する。
【0097】
(S127)第2判定部14は、全ての対象画像についてS121〜S126の処理(字形画像判定)を実行したか否かを判定する。全ての対象画像を処理し終えた場合、
図10に示した一連の処理は終了する。一方、未処理の対象画像がある場合、処理はS121へと進み、未処理の対象画像について、S121〜S126の処理が実行される。
【0098】
[1−4.第3判定部(関係性判定)]
次に、
図11を参照しながら、第1実施形態に係る第3判定部の機能について説明する。
図11は、第1実施形態に係る第3判定部の機能について説明するためのブロック図である。
【0099】
図11に示すように、第3判定部15は、記憶部151、対象画像取得部152、日付・文字認識部153、及び整合性判定部154を有する。
【0100】
記憶部151には、日付条件DB151a及び関係性DB151bが格納される。日付条件DB151aは、1つの証明書の中に含まれる複数の日付について、比較される日付のペア、及び日付の先後関係を示す情報が格納されたDBである。関係性DB151bは、1つの証明書の中に含まれる文字、数字、日付、図形について、表記の有無又は表記の方法が変わる条件を示す情報が格納されたDBである。
【0101】
ここで、
図12を参照しながら、第1実施形態に係る日付条件DBについて、さらに説明する。
図12は、第1実施形態に係る日付条件DBについて説明するための図表である。
【0102】
図12に示すように、日付条件DB151aは、証明書種別欄、2つの日付欄、及び日付条件欄を有する。証明書種別欄には、証明書の種類を示す情報が記載されている。2つの日付欄には、比較対象となる日付の種類が記載されている。日付条件は、2つの日付の間の関係が記載されている。
【0103】
運転免許証の場合、
図3を参照しながら既に説明したように、交付日、有効期限、取得日、取得年、生年月日が得られる。
【0104】
取得年は、運転免許証を最初に取得した年である。取得日は、対応する区分に含まれる免許のうち最初の免許を取得した日付である。従って、取得年と、取得日の欄に記載される年とは同じか、取得年の方が前(過去)になる。交付日は、運転免許証が最初に交付された日又は更新日である。従って、取得日と交付日とは同じ日か、取得日の方が前(過去)になる。有効期限は、交付日から所定期間後の日に設定される。従って、有効期限よりも交付日の方が前(過去)になる。運転免許証は、当然、被証明者の生誕後に発行される。そのため、生年月日は、取得年より前(過去)になる。
【0105】
図12に示した日付条件DB151aには、日付条件の欄に上記の関係を示している。日付(X)の欄に記載の日付をX、日付(Y)の欄に記載の日付をYとし、Xの方が過去の場合にX<Yと表記し、XとYとが同じか、Xの方が過去の場合にX≦Yと表記している。また、月日を比較せず、年だけを比較する場合、日付条件の欄に(年)と表記している。他の証明書種別についても同様である。なお、個人番号カードの欄にあるTは5(発行時の年齢が19歳以下の場合)又は10(発行時の年齢が20以上の場合)の値が入る。後述するように、比較される2つの日付について上記の条件が満たされる場合には“真”、満たされない場合には“偽”と判定される。
【0106】
次に、
図13を参照しながら、第1実施形態に係る関係性DBについて説明する。
図13は、第1実施形態に係る関係性DBについて説明するための図表である。
【0107】
図13に示すように、関係性DB151bは、証明書種別欄、及び2つの参照箇所/条件欄を有する。証明書種別欄には、証明書の種類を示す情報が記載されている。参照箇所/条件欄には、参照箇所を示す情報と、その参照箇所の記載内容に関する条件を示す情報とが記載される。2つの参照箇所/条件欄に記載される条件を両方満たす場合には“真”、満たさない場合には“偽”と判定される。
【0108】
運転免許証の場合、取得した時期によって限定条件の表記が異なることがある。例えば、1991年11月1日にAT限定の普通自動車免許が創設されており、この日以前にはAT限定であることを示す限定条件が運転免許証に表記されることはない。限定条件以外でも、優良運転者の場合には有効期限の背景色がゴールドになり、かつ、優良運転者を示すマークが表記される。従って、その一方が欠落している場合には、贋物であることが多分に疑われる。
図13には運転免許証の例を示しているが、他の証明書についても同様である。
【0109】
再び
図11を参照する。対象画像取得部152は、対象画像を確認書類受付部11から取得する。日付・文字認識部153は、文字認識により、対象画像から日付を読み取る。また、日付・文字認識部153は、関係性DB151bに示されている参照箇所について、文字認識により、各参照箇所の情報を読み取る。整合性判定部154は、日付・文字認識部153により読み取られた日付が、対応する日付条件DB151aの日付条件を全て満たすことを確認する。また、整合性判定部154は、日付・文字認識部153により読み取られた情報が、対応する関係性DB151bの条件を全て満たすことを確認する。
【0110】
整合性判定部154は、日付条件を満たさない日付があるか、参照箇所から読み取った情報が関係性DB151bの条件(以下、関係性条件)を満たさない場合、対象画像が贋物であると判定する。対象画像が贋物であると判定した場合、整合性判定部154は、真贋判定装置10のオペレータにエラーメッセージを通知してもよい。メッセージには、例えば、日付条件を満たさない日付があった旨、或いは、関係性条件を満たさない情報があった旨を含んでよい。整合性判定部154は、判定結果を総合判定部16に通知する。
【0111】
応用例として、整合性判定部154は、同じ対象を特定可能な複数の記載内容を対象画像から読み出し、それら複数の記載内容を照合してもよい。例えば、
図3に例示した運転免許証の場合、記載欄41m、41nの記載内容は発行者を表す。また、記載欄41bに記載される住所のうち行政区画を示す文字は、発行者の特定に利用可能である。また、記載欄41hに記載される番号のうち先頭の2桁は、発行者の特定に利用可能である。
【0112】
この例の場合、整合性判定部154は、記載欄41b、41h、41m、41nにそれぞれ対応する発行者を特定し、特定した発行者が全て同じであるかを判定してもよい。全て同じである場合には記載内容が整合していると判定され、少なくとも1つの発行者が異なる場合には記載内容に不整合があると判定される。このように、上述した第3判定部15の構成から様々な応用例に着想することができ、そうした応用例についても当然に第1実施形態の技術的範囲に属する。
【0113】
ここで、
図14及び
図15を参照しながら、第1実施形態に係る関係性判定の処理について、処理の流れを説明する。
図14は、第1実施形態に係る関係性判定の処理について説明するための第1のフロー図である。
図15は、第1実施形態に係る関係性判定の処理について説明するための第2のフロー図である。
【0114】
(S131、S132)日付・文字認識部153は、対象画像の証明書種別に対応する日付条件DB151aのレコードを選択する。また、日付・文字認識部153は、文字認識により、対象画像から日付を読み取る。
【0115】
(S133)整合性判定部154は、日付・文字認識部153により読み取られた日付が、選択されたレコードの日付条件と整合するか否かを判定する。日付条件と整合する場合、処理はS134へと進む。一方、日付条件と整合しない場合、処理はS141へと進む。
【0116】
(S134)第3判定部15は、対象となる日付条件DB151aのレコードを全て選択したか否かを判定する。対象画像の証明書種別に対応するレコードが複数ある場合、S131で日付・文字認識部153により選択されていないレコードがあるときには、処理がS131へと進む。一方、対象となるレコードが全て選択された場合、処理はS135へと進む。
【0117】
(S135)整合性判定部154は、対象画像が日付条件(日付条件DB151aに記載の条件)を満たすと判定し、処理をS136へと進める。
【0118】
(S136、S137)日付・文字認識部153は、対象画像の証明書種別に対応する関係性DB151bのレコードを選択する。また、日付・文字認識部153は、文字認識により、選択されたレコードの参照箇所に対応する対象画像の記載欄から文字・数字を認識し、参照箇所に記載されている情報を読み取る。例えば、参照箇所が生年月日欄の場合、日付・文字認識部153は、対象画像の生年月日欄から文字及び数字を認識し、生年月日を示す日付の情報を読み取る。
【0119】
(S138)整合性判定部154は、日付・文字認識部153が読み取った参照箇所の情報が、選択されたレコードに記載の2つの参照箇所に対応する2つの条件(条件A、B)と整合するか否かを判定する。つまり、整合性判定部154は、条件A、Bを共に満たすか、条件A、Bを共に満たさない場合には整合すると判定し、それ以外の場合には整合しないと判定する。整合すると判定された場合、処理はS139へと進む。一方、整合しないと判定された場合、処理はS141へと進む。
【0120】
例えば、証明書種別が運転免許証であり、条件A(背景色=金色)に対応する参照箇所が“有効期限”欄、条件B(“優良”マークあり)に対応する参照箇所が“免許の条件等”欄の下である場合について考える。この場合、“有効期限”欄の背景色がゴールドで、“免許の条件等”欄の下に“優良”マークがあるとき、或いは、“有効期限”欄の背景色がグリーン又はブルーで、“免許の条件等”欄の下に“優良”マークがないとき、整合性判定部154は、条件A、Bと整合すると判定する。それ以外のとき、整合性判定部154は、条件A、Bと整合しないと判定する。
【0121】
(S139)第3判定部15は、対象となる関係性DB151bのレコードを全て選択したか否かを判定する。対象画像の証明書種別に対応するレコードが複数ある場合、S136で日付・文字認識部153により選択されていないレコードがあるときには、処理がS136へと進む。一方、対象となるレコードが全て選択された場合、処理はS140へと進む。
【0122】
(S140)整合性判定部154は、対象画像が関係性条件(関係性DB151bに記載の条件)を満たすと判定し、処理をS142へと進める。対象画像が日付条件を満たす場合にS136へと処理が進むことから、S140へと処理が到達したことは、対象画像が日付条件及び関係性条件を共に満たすことを意味する。この場合、整合性判定部154は、関係性判定の結果として、対象画像が“真”である旨を総合判定部16に通知する。
【0123】
(S141)整合性判定部154は、対象画像が贋物であると判定し、処理をS142へと進める。対象画像がいずれかの日付条件を満たさない場合、又は対象画像がいずれかの関係性条件を満たさない場合にS141へと処理が進むことから、S141へと処理が到達したことは、対象画像の記載情報に不整合があることを意味する。この場合、整合性判定部154は、関係性判定の結果として、対象画像が“偽”である旨を総合判定部16に通知する。
【0124】
(S142)第3判定部15は、全ての対象画像についてS131以降の処理(関係性判定)を実行したか否かを判定する。判定対象となる複数の対象画像があるとき、未判定の対象画像について処理が完了していない場合には、処理がS131へと進み、未判定の対象画像についてS131以降の処理が実行される。一方、全ての対象画像について処理が完了している場合には、
図14及び
図15に示した一連の処理は終了する。
【0125】
なお、日付条件の判定に関するS131〜S135の処理群と、関係性条件に関するS136〜S140の処理群とは実行順序を入れ替えてもよいし、或いは、これら2つの処理群を並列で実行してもよい。
【0126】
[1−5.総合判定部]
次に、
図16を参照しながら、第1実施形態に係る総合判定部の機能について説明する。
図16は、第1実施形態に係る総合判定部の機能について説明するためのブロック図である。
【0127】
図16に示すように、総合判定部16は、記憶部161、判定結果取得部162、判定処理部163、及びメッセージ出力部164を有する。
【0128】
記憶部161には、判定モードDB161a及び閾値DB161bが格納される。判定モードDB161aは、対象画像の真贋判定に利用する判定処理の組み合わせに関する情報が格納されたDBである。閾値DB161bは、対象画像の真贋を判定する際に用いる閾値及び判定条件に関する情報が格納されたDBである。
【0129】
ここで、
図17を参照しながら、第1実施形態に係る判定モードDBについて説明する。
図17は、第1実施形態に係る判定モードDBについて説明するための図表である。
【0130】
図17に示すように、判定モードDB161aには、複数の判定モードに関する情報が記載されている。
図17の例では、第1判定部13に対応する黒塗り画像判定、第2判定部14に対応する字形画像判定、及び第3判定部15に対応する関係性判定の可能な組み合わせに対応する7つの判定モードが示されている。
【0131】
モード1は、黒塗り画像判定、字形画像判定、及び関係性判定の判定結果を全て利用する判定モードである。判定モードがモード1に設定されている場合、総合判定部16は、第1判定部13、第2判定部14、及び第3判定部15から出力される全ての判定結果を総合的に考慮して対象画像の真贋を判定する。モード1は、最も厳格に判定を行うための判定モードである。
【0132】
モード2は、黒塗り画像判定、及び関係性判定の判定結果だけを利用する判定モードである。判定モードがモード2に設定されている場合、総合判定部16は、第1判定部13、及び第3判定部15から出力される判定結果を総合的に考慮して対象画像の真贋を判定する。モード2は、論理的な矛盾を検出して判定を行う関係性判定の判定結果を組み合わせるため、信頼性の高い判定モードである。
【0133】
モード3は、字形画像判定、及び関係性判定の判定結果だけを利用する判定モードである。判定モードがモード3に設定されている場合、総合判定部16は、第2判定部14、及び第3判定部15から出力される判定結果を総合的に考慮して対象画像の真贋を判定する。モード3も、論理的な矛盾を検出して判定を行う関係性判定の判定結果を組み合わせるため、信頼性の高い判定モードである。
【0134】
モード4は、黒塗り画像判定、及び字形画像判定の判定結果だけを利用する判定モードである。判定モードがモード4に設定されている場合、総合判定部16は、第1判定部13、及び第2判定部14から出力される判定結果を総合的に考慮して対象画像の真贋を判定する。モード4は、記載内容間の関係性が既知でない証明書に対して適用可能な判定モードであり、2種類の画像判定を組み合わせて十分な信頼性を確保した判定モードである。
【0135】
モード5は、黒塗り画像判定の判定結果だけを利用する判定モードである。判定モードがモード5に設定されている場合、総合判定部16は、第1判定部13から出力される判定結果に基づいて対象画像の真贋を判定する。モード5は、1種類の判定結果だけを利用するため、処理負荷が低く、高速処理が可能な判定モードである。また、モード4と同様に、記載内容間の関係性が既知でない証明書に対しても適用可能である。
【0136】
モード6は、字形画像判定の判定結果だけを利用する判定モードである。判定モードがモード6に設定されている場合、総合判定部16は、第2判定部14から出力される判定結果に基づいて対象画像の真贋を判定する。モード6は、1種類の判定結果だけを利用するため、処理負荷が低く、高速処理が可能な判定モードである。また、モード4と同様に、記載内容間の関係性が既知でない証明書に対しても適用可能である。
【0137】
モード7は、関係性判定の判定結果だけを利用する判定モードである。判定モードがモード7に設定されている場合、総合判定部16は、第3判定部15から出力される判定結果に基づいて対象画像の真贋を判定する。モード7は、1種類の判定結果だけを利用するため、処理負荷が低く、高速処理が可能な判定モードである。また、論理的な矛盾を検出して判定を行うため、高い確信度で贋物を見分けることが可能である。
【0138】
判定モードは、事前に設定されてもよいし、証明書の種別や、手続きの種類に応じて手動又は自動で設定されてもよい。例えば、ユーザ機器30から受信した証明書画像の写真と、別途受信した本人の写真との類似度が所定値未満の場合にモード1が選択され、その類似度が所定値以上の場合にモード2〜4のいずれかが選択されるようにしてもよい。このとき、記載内容間の関係性が既知でない証明書の場合にはモード4が選択されるようにしてもよい。また、複数の証明書画像が提供された場合には、1つの証明書画像の判定についてモード1が選択され、他の証明書画像の判定についてモード2〜7のいずれかが選択されるようにしてもよい。
【0139】
次に、
図18を参照しながら、第1実施形態に係る閾値DBについて説明する。
図18は、第1実施形態に係る閾値DBについて説明するための図表である。
【0140】
図18に示すように、閾値DB161bには、第1判定部13から出力される確信度C1、及び第2判定部14から出力される確信度C2に関する判定条件が記載されている。
図18の例では、確信度C1、C2を個別に利用して判定するための判定条件に加え、確信度C1、C2に基づく評価値を利用して判定するための判定条件が示されている。また、
図18の例では、判定条件に加え、オペレータによる目視検査を要求するメッセージを出力する条件(目検条件)が示されている。なお、評価値を用いる判定条件及び目検条件は省略されてもよい。
【0141】
確信度C1、C2を個別に利用して判定するための判定条件において、確信度C1は、閾値TH1と比較される。C1≧TH1のとき、黒塗り画像判定の結果は“真”となる。確信度C1が0〜1の範囲内にある値で示されるとき、閾値TH1は、例えば、0.9(確信度90%に相当)に設定されてよい。同様に、確信度C2は、閾値TH2と比較される。C2≧TH2のとき、字形画像判定の結果は“真”となる。確信度C2が0〜1の範囲内にある値で示されるとき、閾値TH2は、例えば、0.9(確信度90%に相当)に設定されてよい。
【0142】
目検条件を設定する場合、確信度C1については、TH1a<C1<TH1という条件が設定されうる。閾値TH1aは、閾値TH1より僅かに小さい値に設定される。例えば、閾値TH1が0.9の場合、閾値TH1aは0.85に設定される。同様に、確信度C2については、TH2a<C2<TH2という条件が設定されうる。閾値TH2aは、閾値TH2より僅かに小さい値に設定される。例えば、閾値TH2が0.9の場合、閾値TH2aは0.85に設定される。
【0143】
画像判定を組み合わせる場合、証明書画像の鮮明度や各種ノイズに起因して、低めの確信度C1、C2が出力される可能性がある。そのため、閾値TH1、TH2より僅かに小さい確信度C1、C2がそれぞれ出力された場合には目視検査を要求することで、本物の証明書画像を最終的に贋物と判定してしまうリスクを回避することができる。なお、オペレータに目視検査を要求するのではなく、目検条件を満たした場合には証明書画像の再送付を要求するメッセージをユーザ機器30に送信する仕組みにしてもよい。
【0144】
確信度C1、C2に基づく評価値を利用して判定する場合、
図18の例では、その前提として確信度C1、C2がそれぞれ閾値TH1b、TH2b以上であることを要求する。閾値TH1b、TH2bは、それぞれ閾値TH1、TH2以下であってよい。
図18には、確信度C1、C2の積を評価値として利用する判定条件(下記の式(1)を参照)と、確信度C1、C2の重み平均を評価値として利用する判定条件(下記の式(2)を参照)とが例示されている。
【0146】
(K1*C1+K2*C2)/(K1+K2)≧TH3
…(2)
但し、K1>0、K2>0である。
【0147】
上記の式(1)で与えられる判定条件を採用する場合、C1≧TH1b、C2≧TH2b、及び式(1)の条件を満たしたとき、黒塗り画像判定及び字形画像判定に基づく判定結果が“真”となる。上記の式(2)で与えられる判定条件を採用する場合、C1≧TH1b、C2≧TH2b、及び式(2)の条件を満たしたとき、黒塗り画像判定及び字形画像判定に基づく判定結果が“真”となる。
【0148】
上記式(1)又は式(2)の判定条件を採用する場合も目検条件が設定されてよい。この場合、式(1)の判定条件を採用する場合における目検条件は下記の式(3)で与えられ、式(2)の判定条件を採用する場合における目検条件は下記の式(4)で与えられる。閾値TH3a、TH3bは、閾値TH3より僅かに小さい値に設定される。例えば、閾値TH3が0.9の場合、閾値TH3a、TH3bは0.85に設定される。なお、目検条件を満たした場合に、目視検査の要求ではなく、証明書画像の再送付を要求するメッセージをユーザ機器30に送信する仕組みにしてもよい。
【0149】
TH3a<C1*C2<TH3
…(3)
【0150】
TH3b<(K1*C1+K2*C2)/(K1+K2)<TH3
…(4)
【0151】
再び
図16を参照する。判定結果取得部162は、第1判定部13から確信度C1を取得し、第2判定部14から確信度C2を取得し、第3判定部15から関係性判定の結果(“真”/“偽”)を取得する。判定処理部163は、設定されている判定モードに応じて、黒塗り画像判定、字形画像判定、及び関係性判定の結果を全て又は選択的に利用し、対象画像に対する最終的な真贋判定を行う。
【0152】
例えば、モード1の場合、判定処理部163は、まず、関係性判定の結果を参照し、関係性判定の結果が“偽”である場合、対象画像が贋物であると判定する。関係性判定の結果が“真”である場合、判定処理部163は、閾値DB161bの判定条件を参照し、確信度C1、C2が、対象とする全ての判定条件を満たすことを確認する。
【0153】
例えば、確信度C1、C2を個別に利用して判定する場合、判定処理部163は、確信度C1がC1≧TH1を満たし、かつ、確信度C2がC2≧TH2を満たすことを確認する。いずれかの判定条件が満たされない場合、判定処理部163は、対象画像が贋物であると判定する。一方、全ての判定条件が満たされている場合、判定処理部163は、対象画像が本物であると判定する。
【0154】
また、確信度C1、C2に基づく評価値(上記の式(1)及び式(2)のいずれか)を利用して判定する場合、判定処理部163は、確信度C1がC1≧TH1bを満たし、かつ、確信度C2がC2≧TH2bを満たされ、かつ、上記の式(1)又は式(2)のうち対象となる式の条件が満たされることを確認する。少なくとも1つの条件が満たされていない場合、判定処理部163は、対象画像が贋物であると判定する。一方、全ての条件が満たされている場合、判定処理部163は、対象画像が本物であると判定する。
【0155】
なお、目検条件が満たされる場合、判定処理部163は、メッセージ出力部164を介して、オペレータに対する目視検査の要求メッセージ又はユーザ機器30に対する証明書画像の再送付メッセージを出力してよい。
【0156】
メッセージ出力部164は、判定処理部163による判定結果に応じて、ユーザ機器30に送信するためのメッセージを出力する。例えば、メッセージ出力部164は、最終的な真贋判定において対象画像が贋物であると判定された場合に、手続きの続行ができない旨を伝えるメッセージや、正しい証明書画像を提供するように促すメッセージを出力する。これらのメッセージは、確認書類受付部11を介してユーザ機器30に送られる。
【0157】
ここで、
図19及び
図20を参照しながら、第1実施形態に係る総合判定の処理について、処理の流れを説明する。
図19は、第1実施形態に係る総合判定の処理について説明するための第1のフロー図である。
図20は、第1実施形態に係る総合判定の処理について説明するための第2のフロー図である。
【0158】
(S151)判定処理部163は、判定モードDB161aを参照し、判定モードの設定に応じて実行する判定処理を決定する。
【0159】
判定モードがモード1の場合、S152以降の全ての処理が実行される。判定モードがモード2の場合、確信度C2に関するS156〜S158の処理がスキップされる。判定モードがモード3の場合、確信度C1に関するS153〜S155の処理がスキップされる。判定モードがモード4の場合、関係性判定の結果に関するS152の処理がスキップされる。
【0160】
判定モードがモード5の場合、確信度C2及び関係性判定の結果に関するS152、S156〜S158の処理がスキップされる。判定モードがモード6の場合、確信度C1及び関係性判定の結果に関するS152、S153〜S155の処理がスキップされる。判定モードがモード7の場合、確信度C1、C2に関するS153〜S161の処理がスキップされる。
【0161】
(S152)判定処理部163は、第3判定部15から出力される関係性判定の結果に基づいて、日付条件及び関係性条件を満たしたか否かを判定する。なお、関係性判定の結果が“真”の場合には日付条件及び関係性条件を満たされており、関係性判定の結果が“偽”の場合には日付条件及び関係性条件の少なくとも一方が満たされていない。日付条件及び関係性条件が満たされている場合、処理はS153へと進む。一方、日付条件及び関係性条件が満たされていない場合、処理はS163へと進む。
【0162】
(S153)判定処理部163は、C1≧TH1の条件を満たすか否かを判定する。C1≧TH1の条件が満たされる場合、処理はS156へと進む。一方、この条件が満たされない場合、処理はS154へと進む。
【0163】
(S154)判定処理部163は、C1>TH1aの条件を満たすか否かを判定する。なお、処理がS154へと到達する場合、C1<TH1の条件が満たされており、S154では実質的に
図18に示した確信度C1についての目検条件が判定される。C1>TH1aの条件が満たされる場合、処理はS155へと進む。一方、この条件が満たされない場合、処理はS163へと進む。
【0164】
(S155)判定処理部163は、“要目視検査”のフラグを設定する。なお、証明書画像の再送付をユーザ機器30に要求するための“要再送付”フラグが代わりに設定されてもよい。
【0165】
(S156)判定処理部163は、C2≧TH2の条件を満たすか否かを判定する。C2≧TH2の条件が満たされる場合、処理はS159へと進む。一方、この条件が満たされない場合、処理はS157へと進む。
【0166】
(S157)判定処理部163は、C2>TH2aの条件を満たすか否かを判定する。なお、処理がS157へと到達する場合、C2<TH2の条件が満たされており、S157では実質的に
図18に示した確信度C2についての目検条件が判定される。C2>TH2aの条件が満たされる場合、処理はS158へと進む。一方、この条件が満たされない場合、処理はS163へと進む。
【0167】
(S158)判定処理部163は、“要目視検査”のフラグを設定する。なお、証明書画像の再送付をユーザ機器30に要求するための“要再送付”フラグが代わりに設定されてもよい。
【0168】
(S159)判定処理部163は、“要目視検査”のフラグ設定があるか否かを判定する。なお、“要再送付”フラグが設定されている場合には、そのフラグ設定があるか否かを判定する。フラグ設定がある場合、処理はS160へと進む。一方、フラグ設定がない場合、処理はS162へと進む。
【0169】
(S160)判定処理部163は、メッセージ出力部164を介して、オペレータに目視検査を要求するメッセージを出力する。そして、判定処理部163は、オペレータによる目視検査の実施結果を受領する。なお、“要再送付”フラグを設定した場合、判定処理部163は、メッセージ出力部164を介して、証明書画像の再送付をユーザ機器30に要求するメッセージを送付し、
図19及び
図20に示した一連の処理を終了する。
【0170】
(S161)判定処理部163は、目視検査により対象画像が贋物と判定されたか否かを確認する。目視検査により対象画像が贋物と判定された場合、処理はS163へと進む。一方、目視検査により対象画像が本物と判定された場合、処理はS162へと進む。
【0171】
(S162)判定処理部163は、対象画像を“本物”と判定する。この場合、申し込まれた手続きに関する処理が確認書類受付部11により進められる。また、
図19及び
図20に示した一連の処理は終了する。
【0172】
(S163)判定処理部163は、対象画像を“贋物”と判定する。この場合、申し込まれた手続きに関する処理は中断され、手続きの続行ができない旨を伝えるメッセージや、正しい証明書画像を提供するように促すメッセージが、確認書類受付部11を介してユーザ機器30に送られる。また、
図19及び
図20に示した一連の処理は終了する。
【0173】
なお、
図19及び
図20の例は、上述した確信度C1、C2を個別に利用する方法を想定しているが、確信度C1、C2に基づく評価値を利用する方法を適用する場合には、S156〜S158の処理が省略され、S153の判定条件が上記の式(1)又は式(2)に置き換えられ、S154の目検条件が上記の式(3)又は式(4)に置き換えられる。また、判定モードはモード1又はモード4に設定される。
【0174】
また、目検条件に関する処理は省略されてもよい。また、確信度C1の判定に関するS153〜S155の処理群と、確信度C2の判定に関するS156〜S158の処理群とは実行順序を入れ替えてもよいし、或いは、これら2つの処理群を並列で実行してもよい。
【0175】
[1−6.変形例]
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。
【0176】
(黒塗り画像判定の変形について)
上述した黒塗り画像判定の説明では、発行者に関する情報を残し、主に被証明者に依存する情報をマスキングする方法について述べた。第1実施形態に係るマスキング方法はこれに限定されず、例えば、発行者に関する情報及び枠線を残し、その他の文字及び数字を全てマスキングする方法(以下、方法A)を適用してもよい。発行者が異なると、証明書の印刷を行う印刷業者又は印刷機械が異なることがあり、枠線の表記に違いが生じうる。このような違いを人が認識することは難しい一方、文字・数字を含まない図形パターンを精度良く認識することはAIにとって得意とするところである。そのため、方法Aを適用する場合でも、証明書の真贋判定に利用可能なパターン認識器を生成することができる。
【0177】
また、上記の説明では、テンプレート画像をAIに学習させてパターン認識器を生成していたが、各テンプレート画像に対応する交付日又は交付時期に関する情報を教師データとしてAIに与え、教師あり学習によりパターン認識器を生成する方法(以下、方法B)を適用してもよい。この場合、対象画像を判定する際に、対象画像から文字認識により読み取った交付日又は交付時期に関する情報がパターン認識器に入力される。方法Bの場合、テンプレート画像が交付日又は交付時期について正確に分類されるため、認識精度が向上することがある。
【0178】
上記の方法Bでは交付日又は交付時期に関する情報を教師データとしてAIに与えるが、さらに、発行者に関する情報(交付場所の情報)を教師データとしてAIに与えてパターン認識器を生成する方法(以下、方法C)を適用してもよい。この場合、対象画像を判定する際に、対象画像から文字認識により読み取った交付日又は交付時期に関する情報と、発行者に関する情報(交付場所の情報)がパターン認識器に入力される。方法Cの場合、テンプレート画像が交付日又は交付時期と発行者(交付場所)について正確に分類されるため、認識精度が向上することがある。
【0179】
上記の方法Aのようにマスキングする部分は適宜変更することができる。また、上記の方法B及び方法Cのように、文字認識により読み取り可能な情報を教師データとしてAIに与え、教師あり学習によりパターン認識器を生成することができる。このような変形についても当然に第1実施形態の技術的範囲に属する。
【0180】
(字形画像判定の変形について)
上述した字形画像判定の説明では、字形画像DB141aを利用して字形の類似度を評価していたが、パターン認識器を利用して字形画像判定を実施してもよい。例えば、交付日、発行者(交付場所)、所定文字を含む証明書の所定領域だけを残したテンプレート画像を用意し、そのテンプレート画像をAIに学習させることで、交付日及び発行者(交付場所)に応じた所定文字の字形を認識するパターン認識器を生成することができる。このパターン認識器を利用することで字形画像判定が可能になる。
【0181】
また、字形画像判定においても、交付日又は交付時期と、発行者(交付場所)に関する情報を教師データとしてAIに与え、所定文字の字形をAIに学習させることでパターン認識器を生成する方法(以下、方法D)を適用することができる。この場合、対象画像を判定する際に、対象画像から文字認識により読み取った交付日又は交付時期に関する情報がパターン認識器に入力される。方法Dの場合、テンプレート画像が交付日又は交付時期について正確に分類されるため、認識精度が向上しうる。このような変形についても当然に第1実施形態の技術的範囲に属する。
【0182】
(真贋判定装置の変形について)
上記の説明では、第1判定部13、第2判定部14、及び第3判定部15を全て含む真贋判定装置10を例示したが、その一部を省略する変形が可能である。
【0183】
第1判定部13を省略した真贋判定装置10は、字形画像判定及び関係性判定の少なくとも一方を実施する。第2判定部14を省略した真贋判定装置10は、黒塗り画像判定及び関係性判定の少なくとも一方を実施する。第3判定部15を省略した真贋判定装置10は、黒塗り画像判定及び字形画像判定の少なくとも一方を実施する。第1判定部13及び第2判定部14を省略した真贋判定装置10は、関係性判定を実施する。第1判定部13及び第3判定部15を省略した真贋判定装置10は、字形画像判定を実施する。第2判定部14及び第3判定部15を省略した真贋判定装置10は、黒塗り画像判定を実施する。
【0184】
このように、真贋判定装置10の形態は適宜変形可能であり、そのような変形例についても当然に第1実施形態の技術的範囲に属する。
【0185】
(システムの変形)
図1に示したシステムでは、真贋判定装置10と判定器生成装置20とが別々の装置とされているが、真贋判定装置10と判定器生成装置20とが、同じ1台のコンピュータ、或いは、複数のコンピュータを接続した1つの分散処理システムで構成されてもよい。また、第1判定部13、第2判定部14、第3判定部15、及び総合判定部16は、それぞれ別々のコンピュータにより構成されてもよいし、或いは、それらの一部が1つのコンピュータで構成され、残りの部分が他のコンピュータで構成されてもよい。また、真贋判定装置10及び判定器生成装置20が有する各記憶部の機能は、ネットワークNW又は他のネットワーク上にあるクラウドストレージにより実現されてもよい。
【0186】
このように、第1実施形態に係るシステムの形態は適宜変形可能であり、そのような変形例についても当然に第1実施形態の技術的範囲に属する。
【0187】
<2.第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と重複する部分の説明については詳細な説明を省略する。
【0188】
(黒塗り画像判定)
まず、第2実施形態に係る黒塗り画像判定について説明する。第2実施形態に係る黒塗り画像判定は、上記の第1実施形態とは異なり、証明書画像群22aからマスク画像22bを利用して生成されうる各テンプレート画像と、対象画像から生成される黒塗り画像とを比較し、その比較結果に基づいて行われる。
【0189】
第2実施形態において、第1判定部13は、後述するテンプレート画像DB231aを参照し、画像同士の類似度を判定するパターン認識器を利用して、黒塗り画像と各テンプレート画像との間の類似度を判定する。なお、テンプレート画像DB231aは判定器生成装置20により生成されてもよいし、第1判定部13の記憶部131に予め格納されてもよい。また、第2実施形態に係るパターン認識器は、上述した第1実施形態に係るパターン認識器131bとは異なる点に留意されたい。
【0190】
テンプレート画像DB231aは、例えば、
図21に示すような情報を含む。
図21は、本開示の第2実施形態に係るテンプレート画像DBについて説明するための図表である。
図21に示すように、テンプレート画像DB231aには、発行者、条件、交付日、及びテンプレート画像の画像データ(tP190410_01aなど)が対応付けて格納される。なお、
図21の例では、発行者、条件、交付日の1つの組み合わせに対して複数のテンプレート画像が対応付けられているが、1つの組み合わせに対して1つのテンプレート画像が対応付けられていてもよい。また、条件の欄に記載の条件は、
図13に例示した関係性DB151bに含まれる各種条件であってよい。例えば、優良運転者に該当するか否か、“準中型車”の免許種別に該当するか否かなどの条件が対象となりうる。また、テンプレート画像DB231aでは、発行者、条件、及び交付日の各組について、複数のテンプレート画像が対応付けられる。
【0191】
第2実施形態に係る第1判定部13は、
図22に例示した流れに沿って処理を実行する。
図22は、本開示の第2実施形態に係る黒塗り画像判定の処理について説明するためのフロー図である。
【0192】
(S201)マスキング部133は、マスク画像131aを用いて対象画像にマスキングを施し、黒塗り画像を生成する。
【0193】
(S202、S206)黒塗り画像判定部134は、テンプレート画像DB231aに含まれるテンプレート画像を特定するためのパラメータpを1からNP(NPはテンプレート画像数)まで変更しながら、S202〜S206の間の処理を繰り返し実行する。但し、S205の条件が満たされた場合、繰り返し処理の途中で処理はS208へと進む。
【0194】
(S203)黒塗り画像判定部134は、テンプレート画像DB231aからp番目のテンプレート画像を読み出す。
【0195】
(S204)黒塗り画像判定部134は、パターン認識器を用いて、黒塗り画像と、読み出したテンプレート画像との間の類似度を計算する。ここで用いるパターン認識器は、BRIEF、ORB、SIFT、SURFなどの画像特徴に基づいて画像同士の類似度を判定する判定器であってよい。この場合、黒塗り画像判定部134は、黒塗り画像とテンプレート画像とを判定器に入力し、判定器から出力される類似度を取得する。
【0196】
(S205)黒塗り画像判定部134は、S204で計算された類似度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。例えば、比較対象の画像が同一の場合に類似度が1、完全に異なる場合に0となるように類似度が規格化されている場合、所定の閾値は、0から1の範囲内の値(例えば、0.9)に設定される。類似度が所定の閾値以上である場合、処理はS208へと進む。一方、類似度が所定の閾値以上でない場合、処理はS206へと進む。処理がS206へと進んだ場合、pがNP未満のときには処理がS202へと戻り、pがNPのときには処理がS207へと進む。
【0197】
(S207)黒塗り画像判定部134は、黒塗り画像判定の結果を偽とし、判定結果を総合判定部16に提供する。
図22の例では、黒塗り画像が、テンプレート画像DB231aに含まれるテンプレート画像のいずれとも類似しない場合に、処理がS207へ到達する。そして、S207の処理に到達した場合には、判定結果が偽とされる。S207の処理が完了すると、処理はS209へと進む。
【0198】
(S208)黒塗り画像判定部134は、黒塗り画像判定の結果を真とし、判定結果を総合判定部16に提供する。
図22の例では、黒塗り画像が、テンプレート画像DB231aに含まれるテンプレート画像のいずれかと類似している場合(類似度が閾値以上の場合)に、処理がS208へ到達する。そして、S208の処理に到達した場合には、判定結果が真とされる。
【0199】
(S209)第1判定部13は、全ての対象画像について上述した黒塗り画像判定を実施したか否かを判定する。未処理の対象画像がある場合、処理はS201へと進む。一方、全ての対象画像について黒塗り画像判定を実施し終えた場合には、
図22に示した一連の処理は終了する。
【0200】
上記のように、第2実施形態では、テンプレート画像DB231aに予め用意された全てのテンプレート画像と、黒塗り画像とが突合され、いずれかのテンプレート画像との間の十分な類似性が確認できた場合に、黒塗り画像判定の結果が真となる。
【0201】
黒塗り画像判定の結果、黒塗り画像に対応するテンプレート画像が特定されると、テンプレート画像DB231aの内容から、そのテンプレート画像に対応する発行者、条件、交付日の組が特定されうる。特定された発行者、条件、交付日は他の判定に活用することができる。例えば、対象画像に記載されている発行者、条件、交付日と、テンプレート画像DB231aに基づいて特定された発行者、条件、交付日との整合性を確認することで、真贋判定の精度をより高めることができる。
【0202】
(字形画像判定)
次に、第2実施形態に係る字形画像判定について説明する。第2実施形態に係る字形画像判定では、上述した第1実施形態に係る字形画像判定とは異なり、対象画像から発行者及び交付時期を特定することなく、後述する字形画像DB241aを利用し、字形画像の類似度に基づいて判定を行う。字形画像DB241aは、例えば、
図23に示すような情報を含む。
図23は、本開示の第2実施形態に係る字形画像DBについて説明するための図表である。
【0203】
図23の例において、第2実施形態に係る字形画像DB241aには、発行者、条件、交付日、記載箇所、及び字形画像の画像データ(tC190410_01aなど)が対応付けて格納されている。条件の欄に記載の条件は、
図13に例示した関係性DB151bに含まれる各種条件であってよい。例えば、優良運転者に該当するか否か、“準中型車”の免許種別に該当するか否かなどの条件が対象となりうる。また、字形画像DB241aでは、発行者、条件、及び交付日の各組について複数の字形画像が対応付けられる。
【0204】
なお、証明書の記載欄には、元号や年月日などを表す特定の文字及び数字が用いられる。そのため、各記載欄に記載されうる文字・数字について、発行者、条件、及び交付日の各組に対応する複数の字形画像が用意され、字形画像DB241aに格納される。字形画像DB241aに格納された字形画像を、対象画像から抽出される各字形画像と比較し、全ての字形画像が十分に類似していれば、その対象画像は真であると推定されうる。第2実施形態に係る字形画像判定では、この仕組みを利用して判定を行う。なお、第2実施形態では、第2判定部14の文字認識部143は省略されてよい。
【0205】
以下、
図24及び
図25を参照しながら、第2実施形態に係る字形画像判定の処理について、さらに説明する。
図24は、本開示の第2実施形態に係る字形画像判定の処理について説明するための第1のフロー図である。
図25は、本開示の第2実施形態に係る字形画像判定の処理について説明するための第2のフロー図である。なお、第2判定部14の記憶部141に字形画像DB241aが格納されているものとする。
【0206】
(S211、S218)S211とS218との間の処理は、対象となる記載箇所のそれぞれについて実行される。対象となる記載箇所は、字形画像DB241aに記載された全ての記載箇所である。S211では記載箇所が順次選択され、選択された記載箇所についてS218までの処理が実行される。例えば、「有効期限欄」についてS211とS218との間の処理が実行され、「生年月日欄」についてS211とS218との間の処理が実行され、他の記載箇所についても同様に順次処理が実行される。
【0207】
(S212、S217)S212とS217との間の処理は、S211で選択された記載箇所に対応する字形画像DB241aの各字形画像について実行される。S212では、対象となる字形画像を特定するためのパラメータq(q=1〜NQ;NQは対象となる字形画像の数)が順次選択され、パラメータqの各値についてS212とS217との間お処理が実行される。つまり、選択された記載箇所に記載されうる文字・数字の字形画像の全てと、対応する対象画像の記載欄から切り出される字形画像とが突合される。
【0208】
(S213)字形判定部144は、対象画像の該当記載箇所から字形画像を抽出する。以下では、説明を簡単にするため、対象画像から抽出された字形画像の字形を「対象字形」と表記することがある。
【0209】
(S214)字形判定部144は、字形画像DB241aから、該当記載箇所で用いられうる全ての字形画像を取得する。以下では、説明を簡単にするため、字形画像DB241aから取得された字形画像の字形を「参照字形」と表記することがある。
【0210】
(S215)字形判定部144は、対象画像から抽出された字形画像と、字形画像DB241aから取得された字形画像のそれぞれとを類似度判定器に入力し、対象字形と、各参照字形との間の類似度を計算する。つまり、第2実施形態では、全ての参照字形と、対象字形とが比較される。例えば、
図3に示した運転免許証の場合、記載欄41hには、0〜9の数字を並べた数字の列が記載される。この場合、参照字形は記載欄41hに記載されうる0〜9の字形であり、字形判定部144は、0〜9の全ての字形(参照字形)と、対象画像の同じ記載欄から抽出された各数字の字形(対象字形)とを比較する。
【0211】
(S216)字形判定部144は、対象字形と各参照字形との間の類似度を所定の閾値と比較する。対象字形が複数あり、比較される参照字形が複数ある場合、まず、1つの対象字形について類似度が閾値以上となる参照字形が存在するかが判定される(判定A)。さらに、全ての対象字形についての判定Aの結果から、類似度が閾値以上となる参照字形が存在することが判定される(判定B)。
【0212】
上記の判定Bで、全ての対象字形について類似度が閾値以上となる参照字形が存在すると判定された場合、字形判定部144は、各対象字形について閾値以上の類似度が得られたと判定する。各対象字形について閾値以上の類似度が得られた場合、処理はS217へと進む。処理がS217へと進んだ場合、パラメータqがNQ未満ならば処理はS212へと戻り、パラメータqがNQならば処理はS218へと進む。さらに、全ての記載箇所について処理がS212〜S217の処理が実行完了した場合に処理はS219へと進む。一方、いずれかの対象字形について閾値以上の類似度が得られなかった場合、処理はS220へと進む。
【0213】
(S219)字形判定部144は、字形画像判定の結果を真とし、判定結果を総合判定部16に提供する。
図24及び
図25の例では、1つの記載箇所について、対象字形のそれぞれについて類似する参照字形の存在が確認され、さらに、その確認が全ての記載箇所についてとれた場合に、処理がS219へ到達する。そして、S219の処理に到達した場合には、判定結果が真とされる。S219の処理が完了すると、処理はS221へと進む。
【0214】
(S220)字形判定部144は、字形画像判定の結果を偽とし、判定結果を総合判定部16に提供する。
図24及び
図25の例では、いずれかの記載箇所について、対象字形のそれぞれについて類似する参照字形の存在が確認できなかった場合、処理がS220へ到達する。そして、S220の処理に到達した場合には、判定結果が偽とされる。
【0215】
(S221)第2判定部14は、全ての対象画像について上述した字形画像判定を実施したか否かを判定する。未処理の対象画像がある場合、処理はS211へと進む。一方、全ての対象画像について字形画像判定を実施し終えた場合には、
図24及び
図25に示した一連の処理は終了する。
【0216】
上記のように、第2実施形態では、記載箇所毎に、字形画像DB241aに予め用意された全ての字形画像の字形(参照字形)と、対象画像の字形(対象字形)とが突合され、各対象字形について、いずれかの参照字形との間の十分な類似性が確認できた場合に、字形画像判定の結果が真となる。なお、字形画像判定の結果が偽の場合でも、対応する参照字形がない対象字形の字形画像を含む記載箇所を特定することができるため、どの記載欄に偽造が施されているかを特定することができる。また、それ以外の記載箇所については記載内容が正しいと推定されうる。
【0217】
以上、第2実施形態に係る黒塗り画像判定及び字形画像判定について説明してきた。黒塗り画像判定及び字形画像判定以外の要素については、上述した第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、第2実施形態に係る黒塗り画像判定及び字形画像判定の一方だけを第1実施形態の対応する要素と置き換えるように変形してもよいし、第1実施形態の説明において述べた各種の変形を適用してもよい。このように、第1及び第2実施形態の技術的要素を任意に組み合わせてよいし、また、さらに変形してもよい。そうした変形例についても当然に本開示に係る実施形態の技術的範囲に属する。
【0218】
<3.付記>
以下、本開示の実施形態に係る技術的事項について、さらに付記を開示する。以下に示す付記の内容は、本開示の技術的範囲を限定する意図ではなく、また、その内容に基づいて当業者が想到しうる変形例、応用例、及び具体例についても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【0219】
(付記1)真贋判定の対象となる証明書の画像を取得することと、
取得された前記証明書の画像を解析して、発行者及び発行時期を特定し、所定の記載欄にある文字又は数字の画像を抽出することと、
発行者、発行時期、及び、前記所定の記載欄にある文字又は数字の画像とを対応付けるデータベースを参照し、取得された前記証明書の画像から抽出された前記文字又は数字の画像と、前記データベースから抽出される前記文字又は数字の画像との類似度を判定する判定器を用いて、取得された前記証明書の画像の真贋を判定すること
を含む処理をコンピュータが実行する、真贋判定方法。
【0220】
(付記1A)真贋判定の対象となる証明書の画像を取得することと、
取得された前記証明書の画像を解析して、発行者及び発行時期を特定し、所定の記載欄にある文字又は数字の画像を抽出することと、
前記証明書について事前に用意された複数のサンプル画像について、発行者及び発行時期を教師データとして与え、前記所定の記載欄にある文字又は数字の画像をパターン学習させて得られる判定器と、特定された前記発行者及び発行時期と、抽出された前記文字又は数字の画像とを用いて、取得された前記証明書の画像の真贋を判定すること
を含む処理をコンピュータが実行する、真贋判定方法。
【0221】
(付記1B)真贋判定の対象となる証明書の画像を取得することと、
取得された前記証明書の画像を解析して、発行者及び発行時期の特定に利用可能な情報を含む領域と、所定の記載欄にある文字又は数字の画像とを抽出することと、
前記証明書についての複数のサンプル画像について、前記領域の画像と、前記所定の記載欄にある文字又は数字の画像とをパターン学習させて得られる判定器と、抽出された前記領域の画像と前記文字又は数字の画像とを用いて、取得された前記証明書の画像の真贋を判定すること
を含む処理をコンピュータが実行する、真贋判定方法。
【0222】
(付記2)取得された前記証明書の画像を解析し、日付が記載される複数の第1の記載欄から複数の日付を取得することと、
前記複数の第1の記載欄に記載される日付の先後関係を示す第1の情報を参照し、取得された前記複数の日付の先後関係が前記第1の情報が示す先後関係と整合するか否かを確認し、整合しないことが確認された場合には、取得された前記証明書の画像が贋物であると判定することとをさらに含む、
付記1、1A、1Bに記載の真贋判定方法。
【0223】
(付記3)取得された前記証明書の画像を解析して、前記証明書により証明される事柄についての記載内容のうち、発行時期によって記載の有無が異なる所定の記載内容を検出することと、
特定された前記発行時期と、前記所定の記載内容についての検出結果とが整合するか否かを確認し、整合しないことが確認された場合には、取得された前記証明書の画像が贋物であると判定することとをさらに含む、
付記1、1A、1B又は2に記載の真贋判定方法。
【0224】
(付記4)取得された前記証明書の画像を解析し、発行者の特定に利用可能な文字又は数字が記載される複数の第2の記載欄のそれぞれから前記文字又は数字を抽出し、前記複数の第2の記載欄に対応する発行者が互いに一致するか否かを確認し、一致しないことが確認された場合には、取得された前記証明書の画像が贋物であると判定することをさらに含む、
付記1〜3のいずれか1つに記載の真贋判定方法。
【0225】
(付記5)真贋判定の対象となる証明書の画像を取得する取得部と、
取得された前記証明書の画像を解析して、発行者と、発行時期と、所定の記載欄にある文字又は数字とを特定し、前記文字又は数字の画像を抽出する解析部と、
発行者、発行時期、及び、前記所定の記載欄にある文字又は数字の画像とを対応付けるデータベースを参照し、取得された前記証明書の画像から抽出された前記文字又は数字の画像と、前記データベースから抽出される前記文字又は数字の画像との類似度を判定する判定器を用いて、取得された前記証明書の画像の真贋を判定する判定部とを有する、情報処理装置。
【0226】
(付記6)付記1〜4のいずれか1つに記載の真贋判定方法に係る処理をさらに実行する、付記5に記載の情報処理装置。
【0227】
(付記7)付記1〜4のいずれか1つに記載の真贋判定方法に係る処理をコンピュータにさらに実行させる、プログラム。
【0228】
(付記8)付記7に記載のプログラムが格納された、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-transitory computer readable storage medium)。
【0229】
(付記9)真贋判定の対象となる証明書の画像を取得することと、
発行者に関する情報が記載される第1の部分を残し、かつ被証明者毎に内容が異なる第2の部分を少なくとも隠すマスク画像を利用し、取得された前記証明書の画像にマスキングを施して判定用画像を生成することと、
事前に用意された前記証明書についてのサンプル画像に対して前記マスク画像によるマスキングを施した画像群をパターン学習させて得られる第1の判定器と、前記判定用画像とを用いて、取得された前記証明書の画像の真贋を判定することと
を含む処理をコンピュータが実行する、真贋判定方法。
【0230】
(付記10)取得された前記証明書の画像から、発行者と、発行時期と、所定の記載欄にある文字又は数字の画像を抽出することと、
発行者、発行時期、前記所定の記載欄にある文字又は数字の画像とを対応付けるデータベースを参照し、取得された前記証明書の画像から抽出された前記文字又は数字の画像と、前記データベースから抽出される前記文字又は数字の画像との類似度を判定する第2の判定器を用いて、取得された前記証明書の画像の真贋を判定することと
をさらに含む、
付記9に記載の真贋判定方法。
【0231】
(付記11)取得された前記証明書の画像を解析し、日付が記載される複数の第1の記載欄から複数の日付を取得することと、
前記複数の第1の記載欄に記載される日付の先後関係を示す第1の情報を参照し、取得された前記複数の日付の先後関係が前記第1の情報が示す先後関係と整合するか否かを確認し、整合しないことが確認された場合には、取得された前記証明書の画像が贋物であると判定することと
をさらに含む、
付記10又は11に記載の真贋判定方法。
【0232】
(付記12)取得された前記証明書の画像を解析して、発行時期を特定すると共に、前記証明書により証明される事柄についての記載内容のうち、発行時期によって記載の有無が異なる所定の記載内容を検出することと、
特定された前記発行時期と、前記所定の記載内容についての検出結果とが整合するか否かを確認し、整合しないことが確認された場合には、取得された前記証明書の画像が贋物であると判定することと
をさらに含む、
付記9〜11のいずれかに記載の真贋判定方法。
【0233】
(付記13)取得された前記証明書の画像を解析し、発行者の特定に利用可能な文字又は数字が記載される複数の第2の記載欄のそれぞれから前記文字又は数字を抽出し、前記複数の第2の記載欄に対応する発行者が互いに一致するか否かを確認し、一致しないことが確認された場合には、取得された前記証明書の画像が贋物であると判定すること
をさらに含む、
付記9〜12のいずれかに記載の真贋判定方法。
【0234】
(付記14)真贋判定の対象となる証明書の画像を取得する取得部と、
発行者に関する情報が記載される第1の部分を残し、かつ被証明者毎に内容が異なる第2の部分を少なくとも隠すマスク画像を利用し、取得された前記証明書の画像にマスキングを施して判定用画像を生成するマスキング部と、
事前に用意された前記証明書についてのサンプル画像に対して前記マスク画像によるマスキングを施した画像群をパターン学習させて得られる第1の判定器と、前記判定用画像とを用いて、取得された前記証明書の画像の真贋を判定する判定部と
を有する、情報処理装置。
【0235】
(付記15)真贋判定の対象となる証明書の画像を取得することと、
発行者に関する情報が記載される第1の部分を残し、かつ被証明者毎に内容が異なる第2の部分を少なくとも隠すマスク画像を利用し、取得された前記証明書の画像にマスキングを施して判定用画像を生成することと、
事前に用意された前記証明書についてのサンプル画像に対して前記マスク画像によるマスキングを施した画像群をパターン学習させて得られる第1の判定器と、前記判定用画像とを用いて、取得された前記証明書の画像の真贋を判定することと
を含む処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【0236】
付記15に記載のプログラムが格納された、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-transitory computer readable storage medium)。
【0237】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。