特許第6865814号(P6865814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6865814二色成形金型、二色成形品の製造方法および光学機能部品を備える撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865814
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】二色成形金型、二色成形品の製造方法および光学機能部品を備える撮像装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/32 20060101AFI20210419BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20210419BHJP
   B29C 45/40 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   B29C45/32
   B29C45/16
   B29C45/40
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-513691(P2019-513691)
(86)(22)【出願日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】JP2018016207
(87)【国際公開番号】WO2018194141
(87)【国際公開日】20181025
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】特願2017-84758(P2017-84758)
(32)【優先日】2017年4月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 正輝
【審査官】 松田 成正
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−108174(JP,A)
【文献】 特開2004−053879(JP,A)
【文献】 特開2003−195111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
A61B 1/00− 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定一次型、固定二次型および可動型を備える二色成形金型であって、
前記固定一次型は、第一の凹部を有し、
前記可動型は、前記第一の凹部と対向する第二の凹部と、前記第二の凹部の底面から前記第一の凹部の底面に向かって突出し、前記第一の凹部および前記第二の凹部との間で筒状の一次成形キャビティを形成するコアピンと、を有し、
前記固定一次型との型締め時に、前記一次成形キャビティに有色の一次成形樹脂が充填されることにより、筒状の一次成形品を成形可能であり、
前記固定一次型との型開き時に、前記コアピンによって、前記固定一次型から離型された前記一次成形品を保持し、
前記固定二次型は、
前記一次成形品を保持した前記可動型との型締め時に、前記一次成形品の開口端を含む先端部と、前記一次成形品の開口端からその先端面が突出した前記コアピンとを覆い、前記一次成形品の先端部および前記コアピンとの間で、凹状の二次成形キャビティを形成する第三の凹部を有し、
前記可動型との型締め時に、前記二次成形キャビティに透明色の二次成形樹脂が充填されることにより、前記コアピンの先端面によって光学機能面が転写された二次成形品を成形可能であることと、
さらに前記固定一次型の前記第一の凹部は、前記一次成形品の端部と前記コアピンの非光学機能面とで形成される段部を形成するための有底部を有することを特徴とする二色成形金型。
【請求項2】
前記固定二次型と前記一次成形品を保持した前記可動型との型締め時において、前記一次成形品の開口端から前記コアピンの先端面までの突出長さは、前記一次成形品の二次成形樹脂流動方向の開口端における肉厚の1倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の二色成形金型。
【請求項3】
前記第一の凹部の底面の外縁には、前記一次成形品の開口端の外縁に突出部を形成するための窪み部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二色成形金型。
【請求項4】
前記第一の凹部の底面の外縁には、前記一次成形品の開口端の外縁を曲面状に形成するための曲面部が設けられていることと、
前記固定二次型の前記第三の凹部は、前記一次成形品を覆うように有底筒状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二色成形金型。
【請求項5】
前記固定二次型は、前記二次成形樹脂を前記二次成形キャビティに充填するゲートを有し、
前記ゲートは、前記二次成形品の前記光学機能面を含む所定の領域である光学機能領域以外の位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二色成形金型。
【請求項6】
固定一次型、固定二次型および可動型を備える二色成形金型によって、二色成形品を製造する二色成形品の製造方法であって、
前記固定一次型と前記可動型とを型締めし、前記固定一次型の第一の凹部と前記可動型の第二の凹部およびコアピンとによって形成された筒状の一次成形キャビティに、有色の一次成形樹脂を充填することにより、筒状の一次成形品を成形する一次成形工程と、
前記固定二次型と、前記コアピンによって前記一次成形品を保持した前記可動型とを型締めし、前記固定二次型の第三の凹部と、前記一次成形品の開口端を含む先端部および前記一次成形品の開口端からその先端面が突出した前記コアピンとの間に形成された、凹状の二次成形キャビティに、透明色の二次成形樹脂を充填することにより、前記コアピンの先端面によって光学機能面が転写された二次成形品を成形する二次成形工程と、
を含み、
前記二次成形樹脂の充填は、前記二次成形品の前記光学機能面を含む所定の領域である、光学機能領域以外の位置に設けられたゲートから行うことと、
さらに前記ゲートから充填する透明色の溶融した二次成型樹脂により、前記一次成形品の極表面を溶解しながら充填することと、
前記極表面を溶解した樹脂を、前記一次成形品の端部と前記コアピンの非光学機能面とで形成される段部を形成するための有底部でトラップすることを特徴とする二色成形品の製造方法。
【請求項7】
非光学機能樹脂によって、少なくとも一部が筒状である一次成形品が一次成形され、光学機能樹脂によって、前記一次成形品の筒状部を覆うように二次成形品が二次成形され、前記筒状部の先端側の光学機能面から前記二次成形品の外表面にかけて光学機能領域を有する光学機能部品を備える撮像装置であって、
前記筒状部の内径部の先端と前記光学機能面の最外縁との距離は、前記筒状部の先端の肉厚の1倍以上であることを特徴とする光学機能部品を備える撮像装置。
【請求項8】
非光学機能樹脂によって、少なくとも一部が筒状である一次成形品が一次成形され、光学機能樹脂によって、前記一次成形品の筒状部を覆うように二次成形品が二次成形され、前記筒状部の先端側の光学機能面から前記二次成形品の外表面にかけて光学機能領域を有する光学機能部品を備える撮像装置であって、
前記筒状部の先端部の前記光学機能領域に対向する面には、さらに外縁に突出部を形成するための窪み部が設けられており、
前記窪み部の底面と前記光学機能面の最外縁との距離は、前記窪み部の外周突出部の肉厚の1倍以上であることを特徴とする光学機能部品を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二色成形金型、二色成形品の製造方法および光学機能部品を備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示パネル部品のように透明部を有する二色成形品は、組立コストの低減と審美性の向上を目的として電気製品で多く用いられている。しかしながら、有色樹脂(一次成形樹脂)を一次成形した後にその上から透明樹脂(二次成形樹脂)を二次成形する場合、一次成形部分の表層に透明樹脂によるせん断応力が作用し、一次成形部分の表層の有色樹脂が再溶融して流動する色流れ現象(樹脂流れ現象)が発生する。これにより、有色樹脂が透明色の二次成形部分の一部を遮り、二次成形部分の透明性が損なわれるという問題がある。
【0003】
このような問題に対して、例えば特許文献1では、二次成形の際に有色の一次成形部分が透明色の二次成形部分に溶け出さないパネルを成形することを目的として、一次成形キャビ型(固定型)と、パネルの表示部となる部分に突起部を設けたコア型(可動型)とで一次成形部分を成形した後、二次成形部分を一体成型する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−174599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法は、二色成形品であるパネルを上から見た場合において、有色の一次成形部分の幅(径)が一定以上の幅である場合にのみ適用可能であり、例えば一次成形部分の幅が小さい場合や、一次成形部分が筒状である場合等は、色流れ現象を抑制することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、色流れ現象が発生した場合であっても、二次成形部分の透明性を確保することができる二色成形金型、二色成形品の製造方法および光学機能部品を備える撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る二色成形金型は、固定一次型、固定二次型および可動型を備える二色成形金型であって、前記固定一次型は、第一の凹部を有し、前記可動型は、前記第一の凹部と対向する第二の凹部と、前記第二の凹部の底面から前記第一の凹部の底面に向かって突出し、前記第一の凹部および前記第二の凹部との間で筒状の一次成形キャビティを形成するコアピンと、を有し、前記固定一次型との型締め時に、前記一次成形キャビティに有色の一次成形樹脂が充填されることにより、筒状の一次成形品を成形可能であり、前記固定一次型との型開き時に、前記コアピンによって、前記固定一次型から離型された前記一次成形品を保持し、前記固定二次型は、前記一次成形品を保持した前記可動型との型締め時に、前記一次成形品の開口端を含む先端部と、前記一次成形品の開口端からその先端面が突出した前記コアピンとを覆い、前記一次成形品の先端部および前記コアピンとの間で、凹状の二次成形キャビティを形成する第三の凹部を有し、前記可動型との型締め時に、前記二次成形キャビティに透明色の二次成形樹脂が充填されることにより、前記コアピンの先端面によって光学機能面が転写された二次成形品を成形可能であることと、さらに前記固定一次型の前記第一の凹部は、前記一次成形品の端部と前記コアピンの非光学機能面とで形成される段部を形成するための有底部を有すること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る二色成形金型は、上記発明において、前記固定二次型と前記一次成形品を保持した前記可動型との型締め時において、前記一次成形品の開口端から前記コアピンの先端面までの突出長さは、前記一次成形品の二次成形樹脂流動方向の開口端における肉厚の1倍以上であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る二色成形金型は、上記発明において、前記第一の凹部の底面の外縁には、前記一次成形品の開口端の外縁に突出部を形成するための窪み部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る二色成形金型は、上記発明において、前記第一の凹部の底面の外縁には、前記一次成形品の開口端の外縁を曲面状に形成するための曲面部が設けられていることと、前記固定二次型の前記第三の凹部は、前記一次成形品を覆うように有底筒状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る二色成形金型は、上記発明において、前記固定二次型は、前記二次成形樹脂を前記二次成形キャビティに充填するゲートを有し、前記ゲートは、前記二次成形品の前記光学機能面を含む所定の領域である光学機能領域以外の位置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る二色成形品の製造方法は、固定一次型、固定二次型および可動型を備える二色成形金型によって、二色成形品を製造する二色成形品の製造方法であって、前記固定一次型と前記可動型とを型締めし、前記固定一次型の第一の凹部と前記可動型の第二の凹部およびコアピンとによって形成された筒状の一次成形キャビティに、有色の一次成形樹脂を充填することにより、筒状の一次成形品を成形する一次成形工程と、前記固定二次型と、前記コアピンによって前記一次成形品を保持した前記可動型とを型締めし、前記固定二次型の第三の凹部と、前記一次成形品の開口端を含む先端部および前記一次成形品の開口端からその先端面が突出した前記コアピンとの間に形成された、凹状の二次成形キャビティに、透明色の二次成形樹脂を充填することにより、前記コアピンの先端面によって光学機能面が転写された二次成形品を成形する二次成形工程と、を含み、前記二次成形樹脂の充填は、前記二次成形品の前記光学機能面を含む所定の領域である、光学機能領域以外の位置に設けられたゲートから行うことと、さらに前記ゲートから充填する透明色の溶融した二次成型樹脂により、前記一次成形品の極表面を溶解しながら充填することと、前記極表面を溶解した樹脂を、前記一次成形品の端部と前記コアピンの非光学機能面とで形成される段部を形成するための有底部でトラップすることを特徴とする。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学機能部品を備える撮像装置は、非光学機能樹脂によって、少なくとも一部が筒状である一次成形品が一次成形され、光学機能樹脂によって、前記一次成形品の筒状部を覆うように二次成形品が二次成形され、前記筒状部の先端側の光学機能面から前記二次成形品の外表面にかけて光学機能領域を有する光学機能部品を備える撮像装置であって、前記筒状部の内径部の先端と前記光学機能面の最外縁との距離は、前記筒状部の先端の肉厚の1倍以上であることを特徴とする。上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学機能部品を備える撮像装置は、非光学機能樹脂によって、少なくとも一部が筒状である一次成形品が一次成形され、光学機能樹脂によって、前記一次成形品の筒状部を覆うように二次成形品が二次成形され、前記筒状部の先端側の光学機能面から前記二次成形品の外表面にかけて光学機能領域を有する光学機能部品を備える撮像装置であって、前記筒状部の先端部の前記光学機能領域に対向する面には、さらに外縁に突出部を形成するための窪み部が設けられており、前記窪み部の底面と前記光学機能面の最外縁との距離は、前記窪み部の外周突出部の肉厚の1倍以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、固定二次型と可動型との型締め時に、コアピンの先端面と一次成形品の開口端との間に、樹脂溜まりとして機能する段部が形成される。そのため、例えば二次成形時に色流れが発生した際に、一次成形樹脂が当該段部に流れ込み、コアピンの先端面、すなわち二次成形品の光学機能面に一次成形樹脂が到達しにくくなる。従って、再溶融した有色の一次成形樹脂によって透明色の二次成形品の光学機能面が遮られることを抑制することができ、二次成形品の透明性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型の構成を示す断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型を用いた二色成形品の製造方法の一次成形工程において、一次成形キャビティに一次成形樹脂を充填した際の状態を示す断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型を用いた二色成形品の製造方法の一次成形工程において、型開き時の状態を示す断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型を用いた二色成形品の製造方法において、可動型を二次成形金型側に移動させた際の状態を示す断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型を用いた二色成形品の製造方法の二次成形工程において、二次成形キャビティに二次成形樹脂を充填した際の状態を示す断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型を用いた二色成形品の製造方法の二次成形工程において、型開き時の状態を示す断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型において形成される一次成形キャビティを示す断面図であり、図1のA部拡大図である。
図8図8は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型において形成される二次成形キャビティを示す断面図であり、図4のB部拡大図である。
図9図9は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型によって成形した二色成形品を示す平面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型によって成形した二色成形品を示す、図9のX−X断面図である。
図11図11は、本発明の実施の形態2に係る二色成形金型において形成される一次成形キャビティおよび二次成形キャビティを示す断面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態3に係る二色成形金型において形成される一次成形キャビティおよび二次成形キャビティを示す断面図である。
図13図13は、本発明の実施の形態4に係る二色成形金型において形成される一次成形キャビティおよび二次成形キャビティを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る二色成形金型、二色成形品の製造方法および光学機能部品を備える撮像装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。また、本発明の実施の形態における二色成形品とは、撮像装置における光学機能部品であり、より具体的には、内視鏡におけるワキワク(脇枠)である。
【0017】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係る二色成形金型1の構成について、図1を参照しながら説明する。なお、同図は、二色成形金型1の型締め時の状態を示している。
【0018】
二色成形金型1は、図示しない二色成形機の一次射出ノズルおよび二次射出ノズルの位置に合わせて、当該二色成形機に取り付けられている。二色成形金型1は、図1に示すように、一次成形金型10と、二次成形金型20と、を備えている。一次成形金型10は、固定一次型11と、当該固定一次型11に対してパーティングライン(以下、「P.L.」という)を挟んで対向して配置された可動型12と、を備えている。二次成形金型20は、固定二次型21と、当該固定二次型21に対してP.L.を挟んで対向して配置された可動ダミー型22と、を備えている。
【0019】
可動型12および可動ダミー型22は、可動プラテン31に支持されており、当該可動プラテン31によって固定一次型11および固定二次型21に対して開閉方向に移動可能に構成されている。また、可動型12および可動ダミー型22は、可動プラテン31が回転軸32周りに回動することにより、各々の位置を変更可能に構成されている。すなわち、可動プラテン31が回転軸32周りに180°回動することにより、可動型12は固定一次型11と対向する位置から固定二次型21と対向する位置へと移動し、可動ダミー型22は固定二次型21と対向する位置から固定一次型11と対向する位置へと移動する。
【0020】
固定一次型11は、主に、取付板111と、落下板112と、固定一次側型板113と、一対のガイドピン114と、を備えている。固定一次型11には、一次スプルー41と、ランナー42と、二次スプルー43と、ゲート44と、が形成されている。また、固定一次側型板113には、可動側型板121と対向する面に凹部(第一の凹部)113aが形成されている。この凹部113aは、後記する一次成形工程において、一次成形キャビティ45を形成する。
【0021】
可動型12は、主に、可動側型板121と、受け板122と、スペーサーブロック123と、取付板124と、一対の締結ボルト125と、突出し板126と、エジェクターピン127と、コアピン128と、を備えている。また、可動側型板121には、固定一次側型板113と対向する面に、凹部113aと対向する凹部(第二の凹部)121aが形成されている。この凹部121aは、後記する一次成形工程において、一次成形キャビティ45を形成する。
【0022】
コアピン128は、可動側型板121の凹部121aと固定一次側型板113の凹部113aとの間に配置されており、凹部113a,121aとの間で筒状の一次成形キャビティ45を形成する。また、コアピン128は、二色成形品の成形工程(一次成形工程および二次成形工程)を通して、可動側型板121に対して相対位置を維持するように、受け板122に組み込まれている。
【0023】
固定二次型21は、主に、取付板211と、落下板212と、固定二次側型板213と、一対のガイドピン214と、を備えている。固定二次型21には、一次スプルー51と、ランナー52と、二次スプルー53と、ゲート54と、が形成されている。また、固定二次側型板213には、可動ダミー側型板221と対向する面に凹部(第三の凹部)213aが形成されている。この凹部213aは、後記する二次成形工程において、二次成形キャビティ55(図4参照)を形成する。
【0024】
可動ダミー型22は、主に、可動ダミー側型板221と、受け板222と、スペーサーブロック223と、取付板224と、一対の締結ボルト225と、を備えている。
【0025】
[二色成形品の製造方法]
以下、二色成形金型1を利用した二色成形品の製造方法について、図2図6を参照しながら説明する。二色成形品の製造方法では、一次成形工程と、二次成形工程とを実施する。なお、本実施の形態では、一次成形工程を経て成形される二色成形品の一次成形部分のことを「一次成形品」と定義し、二次成形工程を経て成形される二色成形品の二次成形部分のことを「二次成形品」と定義する。
【0026】
(一次成形工程)
まず、図2に示すように、二色成形金型1を型締めした状態で、固定一次型11の一次スプルー41、ランナー42、二次スプルー43およびゲート44を通じて、固定一次側型板113、可動側型板121およびコアピン128によって形成される一次成形キャビティ45に有色の一次成形樹脂r1を充填する。この一次成形樹脂r1としては、例えばPC(ポリカーボネート)に不透明な着色をした着色樹脂を用いることができる。また、一次成形キャビティ45の詳細については後記する(図7参照)。
【0027】
続いて、図3に示すように、二色成形金型1の型開きを行う。これにより、一次成形キャビティ45に充填された一次成形樹脂r1は、可動型12のコアピン128に保持される一次成形品M1と、固定一次型11に保持される一次成形スプルー部M43および一次成形ゲート部M44とに分離される。なお、固定一次型11から離型された一次成形品M1は、有色かつ筒状に形成される。
【0028】
続いて、図4に示すように、可動プラテン31を回転軸32周りに180°回動させることにより、コアピン128によって一次成形品M1を保持している可動型12と可動ダミー型22との位置を入れ替えた後、型締めを行う。これにより、固定二次側型板213の凹部213aと、一次成形品M1およびコアピン128との間で、二次成形キャビティ55が形成される。この二次成形キャビティ55の詳細については後記する(図8参照)。
【0029】
(二次成形工程)
続いて、図5に示すように、二色成形金型1を型締めした状態で、固定二次型21の一次スプルー51、ランナー52、二次スプルー53およびゲート54を通じて、二次成形キャビティ55に透明色の二次成形樹脂r2を充填する。この二次成形樹脂r2としては、例えばPC(ポリカーボネート)等の透明樹脂を用いることができる。
【0030】
続いて、図6に示すように、二色成形金型1の型開きを行う。これにより、二次成形キャビティ55に充填された二次成形樹脂r2は、可動型12のコアピン128に保持される一次成形品M1および二次成形品M2からなる二色成形品Mと、固定二次型21に保持される二次成形スプルー部M53および二次成形ゲート部M54とに分離される。
【0031】
また、可動型12のコアピン128に保持された二色成形品Mは、突出し板126がP.L.方向に移動し、突出し板126に組み込まれたエジェクターピン127によって押されることにより、可動型12から離型される。なお、可動型12から離型された二色成形品Mのうちの二次成形品M2は、透明色かつ有底筒状に形成され、後記するように、コアピン128によって光学機能面M128aが転写される(図9参照)。
【0032】
以下、二色成形金型1に形成される一次成形キャビティ45および二次成形キャビティ55と、前記した製造方法によって製造される二色成形品Mの詳細について、図7図10を参照しながら説明する。
【0033】
(一次成形キャビティ)
図7は、図1のA部拡大図であり、一次成形工程における型締め時の一次成形キャビティ45の断面形状を示している。一次成形キャビティ45は、可動側型板121の凹部121aと、固定一次側型板113の凹部113aと、コアピン128とで形成される。
【0034】
凹部121aは、所定の径を有する円柱状に形成されており、一次成形樹脂r1の流入口であるゲート44と連通している。凹部113aは、凹部121aよりも小径の円柱状に形成されている。また、凹部113aは、第一の底面113bと、コアピン128の先端面128aが配置される第二の底面113cとを有している。
【0035】
コアピン128は、可動側型板121の凹部121aの底面から、固定一次側型板113の凹部113aの底面(第一の底面113bおよび第二の底面113c)に向かって突出しており、凹部113aの第二の底面113cに係合している。以上説明したような凹部121a,113aおよびコアピン128から構成される一次成形キャビティ45は、段部を有する円筒状をなしている。
【0036】
(二次成形キャビティ)
図8は、図4のB部拡大図であり、二次成形工程における型締め時の二次成形キャビティ55の断面形状を示している。二次成形キャビティ55は、一次成形品M1の開口端M113bを含む先端部M1aと、コアピン128と、固定二次側型板213の凹部213aとで形成される。
【0037】
一次成形品M1は、筒状に形成されており、中心にコアピン128が挿通されている。コアピン128の先端面128aは、曲面状に形成されており、一次成形品M1の開口端M113bから突出している。これにより、先端面128aと開口端M113bとの間に段部s1が形成される。この段部s1は、例えば二次成形時に、一次成形品M1の開口端M113b付近の一次成形樹脂r1が再溶融して色流れが発生した際に、当該一次成形樹脂r1の流入を食い止める樹脂溜まりとして機能する。
【0038】
ここで、一次成形品M1の開口端M113bからコアピン128の先端面128aの外周部までの突出長さL1は、一次成形品M1の二次成形樹脂流動方向の開口端M113bにおける肉厚T1の1倍以上とすることが好ましい。これにより、色流れの発生時に再溶融した一次成形樹脂r1を流入させる樹脂溜まりを大きくすることができるため、再溶融した一次成形樹脂r1が、二次成形品M2の光学機能面M128aに、より一層到達しにくくなる。なお、突出長さL1と肉厚T1とを上記のような関係にするには、図7に示すように、固定一次側型板113の凹部113aについて、第一の底面113bから第二の底面113cまでの長さL2を、凹部113aにおける第二の底面113cを除いた半径T2の1倍以上に設定した上で、一次成形工程を実施すればよい。
【0039】
凹部213aは、円錐台状に形成されており、二次成形樹脂r2の流入口であるゲート54と連通している。凹部213aは、一次成形品M1の先端部M1aと、一次成形品M1の開口端M113bから突出したコアピン128とを覆うように配置されている。以上説明したような先端部M1a、コアピン128および凹部213aから構成される二次成形キャビティ55は、全体として凹状をなしている。
【0040】
(二色成形品)
図9および図10は、二色成形金型1によって成形した二色成形品Mを示している。これらの図では、説明の便宜上、二色成形品Mに二次成形ゲート部M54が付いたままの状態を図示している。また、図10では、二次成形ゲート部M54を形成するための固定二次型21のゲート54(図8参照)を破線で図示している。
【0041】
二色成形品Mには、コアピン128が挿入されていた部分に孔部M128が形成されている。この孔部M128には、例えば光源装置に接続されたライトガイドが挿入される。孔部M128の先端側には、コアピン128の先端面128aによって光学機能面M128aが転写されている。
【0042】
二次成形ゲート部M54を形成するためのゲート54は、図10に示すように、二色成形品Mの光学機能領域Ar以外の位置、すなわち光学機能領域Arを遮らない位置に設けられている。ここで、光学機能領域Arとは、二次成形品M2の光学機能面M128aを含む所定の角度領域を意味している。光学機能領域Arの具体的な角度領域は、孔部M128に挿入される挿入物(例えばライトガイド)の種類によって異なるが、同図では、光学機能領域Arの角度領域が180°である場合を一例として示している。
【0043】
このように、光学機能領域Arから離れた位置にゲート54を設けることにより、二次成形工程において、光学機能領域Arから離れた位置で二次成形樹脂r2が二次成形キャビティ55に流入する。そのため、光学機能領域Arに近い位置の一次成形樹脂r1が再溶融しにくくなり、色流れが発生しにくくなる。また、仮に色流れが発生したとしても、一次成形樹脂r1の再溶融量が少なくなる。なお、本実施の形態では、図4に示すように、固定二次型21の側にゲート54を設けているが、可動型12の側にゲート54を設けることにより、色流れをより一層低減することができる。
【0044】
以上説明したような二色成形金型1およびこれを利用した二色成形品Mの製造方法によれば、固定二次型21と可動型12との型締め時に、コアピン128の先端面128aと一次成形品M1の開口端M113bとの間に、樹脂溜まりとして機能する段部s1が形成される。そのため、例えば二次成形時に、一次成形品M1の開口端M113b付近の一次成形樹脂r1が再溶融して色流れが発生した際に、一次成形樹脂r1が段部s1に流れ込み、コアピン128の先端面128a、すなわち二次成形品M2の光学機能面M128aに一次成形樹脂r1が到達しにくくなる。従って、再溶融した有色の一次成形樹脂r1によって透明色の二次成形品M2の光学機能面M128aが遮られることを抑制することができ、二次成形品M2の透明性を確保することができる。
【0045】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係る二色成形金型について、図11を参照しながら説明する。本実施の形態において、一次成形キャビティ45Aおよび二次成形キャビティ55A以外の構成は、実施の形態1に係る二色成形金型1と同様である。従って、図11では、一次成形キャビティ45Aおよび二次成形キャビティ55Aに関連する構成以外の図示は省略している。また、同図は、二次成形工程における型締め時の二次成形キャビティ55Aの断面形状を示しているが、説明の便宜上、一次成形キャビティ45Aの一部についても破線で示している。
【0046】
二次成形キャビティ55Aは、一次成形品M1Aの開口端M113bを含む先端部M1Aaと、コアピン128と、固定二次側型板213の凹部213aとで形成される。一次成形品M1Aの開口端M113bの外縁には、突出部M113dが周方向に連続して設けられている。すなわち、本実施の形態に係る二色成形金型では、固定一次側型板113に形成された凹部113Aaの第一の底面113bの外縁に、一次成形品M1Aの突出部M113dを形成するための窪み部113dが周方向に連続して設けられている。そして、一次成形工程において、前記した凹部113Aaによって形成された一次成形キャビティ45Aに一次成形樹脂r1を充填することにより、上記のような突出部M113dを備える一次成形品M1Aを成形する。
【0047】
ここで、一次成形品M1Aの開口端M113bからコアピン128の先端面128aの外周部までの突出長さL3は、一次成形品M1Aの突出部M113dにおける肉厚T3の1倍以上とすることが好ましい。これにより、色流れの発生時に再溶融した一次成形樹脂r1を流入させる樹脂溜まりを大きくすることができるため、再溶融した一次成形樹脂r1が、二次成形品M2の光学機能面M128aに、より一層到達しにくくなる。なお、突出長さL3と肉厚T3とを上記のような関係にするには、固定一次側型板113の凹部113Aaについて、第一の底面113bから第二の底面113cまでの長さを、窪み部113dの1倍以上に設定した上で、一次成形工程を実施すればよい。
【0048】
以上説明したような実施の形態2に係る二色成形金型およびこれを利用した二色成形品の製造方法によれば、例えば二次成形時に色流れが発生した際に、一次成形樹脂r1が段部s1に流れ込み、二次成形品M2の光学機能面M128aに一次成形樹脂r1が到達しにくくなる。そのため、再溶融した有色の一次成形樹脂r1によって透明色の二次成形品M2の光学機能面M128aが遮られることを抑制することができ、二次成形品M2の透明性を確保することができる。
【0049】
また、本実施の形態によって製造した二色成形品は、一次成形品M1Aに突出部M113dが形成されているため、一次成形品M1Aに対する光学機能面M128a(図10参照)の突出量が小さい。従って、製造した二色成形品の孔部M128(同図参照)に、挿入物(例えばライトガイド)を挿入した際に、当該挿入物が有色の一次成形品M1Aによって遮蔽されて外部に露出しないため、外観が向上する。
【0050】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3に係る二色成形金型について、図12を参照しながら説明する。本実施の形態において、一次成形キャビティ45Bおよび二次成形キャビティ55B以外の構成は、実施の形態1に係る二色成形金型1と同様である。従って、図12では、一次成形キャビティ45Bおよび二次成形キャビティ55Bに関連する構成以外の図示は省略している。また、同図は、二次成形工程における型締め時の二次成形キャビティ55Bの断面形状を示しているが、説明の便宜上、一次成形キャビティ45Bの一部についても破線で示している。
【0051】
二次成形キャビティ55Bは、一次成形品M1Bの開口端M113bを含む先端部M1Baと、コアピン128と、固定二次側型板213の凹部213aとで形成される。一次成形品M1Bの開口端M113bの外縁は曲面状に形成されており、曲面部M113eが周方向に連続して設けられている。すなわち、本実施の形態に係る二色成形金型では、固定一次側型板113に形成された凹部113Baの第一の底面113bの外縁に、一次成形品M1Bの曲面部M113eを形成するための曲面部113eが周方向に連続して設けられている。そして、一次成形工程において、前記した凹部113Baによって形成された一次成形キャビティ45Bに一次成形樹脂r1を充填することにより、上記のような曲面部M113eを備える一次成形品M1Bを成形する。
【0052】
以上説明したような実施の形態3に係る二色成形金型およびこれを利用した二色成形品の製造方法によれば、例えば二次成形時に色流れが発生した際に、一次成形樹脂r1が段部s1に流れ込み、二次成形品M2の光学機能面M128aに一次成形樹脂r1が到達しにくくなる。そのため、再溶融した有色の一次成形樹脂r1によって透明色の二次成形品M2の光学機能面M128aが遮られることを抑制することができ、二次成形品M2の透明性を確保することができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、色流れが発生しやすい部位である一次成形品M1Bの開口端M113bの外縁に曲面部M113eを設けることにより、二次成形樹脂r2が二次成形キャビティ55Bを流れる際に起こるせん断応力の集中を、曲面部M113eによって分散させることができる。従って、一次成形樹脂r1を再溶融しにくくし、色流れを低減することができる。
【0054】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4に係る二色成形金型について、図13を参照しながら説明する。本実施の形態において、一次成形キャビティ45Cおよび二次成形キャビティ55C以外の構成は、実施の形態1に係る二色成形金型1と同様である。従って、図13では、一次成形キャビティ45Cおよび二次成形キャビティ55Cに関連する構成以外の図示は省略している。また、同図は、二次成形工程における型締め時の二次成形キャビティ55Cの断面形状を示しているが、説明の便宜上、一次成形キャビティ45Cの一部についても破線で示している。
【0055】
二次成形キャビティ55Cは、一次成形品M1Cの開口端M113bを含む先端部M1Caと、コアピン128と、固定二次側型板213の凹部213aとで形成される。一次成形品M1Cの開口端M113bの外縁には、突出部M113fが周方向に連続して設けられている。また、突出部M113fの外縁には、曲面部M113gが設けられている。すなわち、本実施の形態に係る二色成形金型では、固定一次側型板113に形成された凹部113Caの第一の底面113bの外縁に、一次成形品M1Cの突出部M113fを形成するための窪み部113fが周方向に連続して設けられている。また、窪み部113fの外縁には、曲面部113gが設けられている。そして、一次成形工程において、前記した凹部113Caによって形成された一次成形キャビティ45Cに一次成形樹脂r1を充填することにより、上記のような突出部M113fおよび曲面部M113gを備える一次成形品M1Cを成形する。
【0056】
ここで、一次成形品M1Cの開口端M113bからコアピン128の先端面128aの外周部までの突出長さL4は、前記した実施の形態2と同様に、一次成形品M1Cの突出部M113fにおける肉厚T4の1倍以上とすることが好ましい。
【0057】
以上説明したような実施の形態4に係る二色成形金型およびこれを利用した二色成形品の製造方法によれば、例えば二次成形時に色流れが発生した際に、一次成形樹脂r1が段部s1に流れ込み、二次成形品M2の光学機能面M128aに一次成形樹脂r1が到達しにくくなる。そのため、再溶融した有色の一次成形樹脂r1によって透明色の二次成形品M2の光学機能面M128aが遮られることを抑制することができ、二次成形品M2の透明性を確保することができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、前記した実施の形態2と同様に、製造した二色成形品の孔部M128(図10参照)に、挿入物(例えばライトガイド)を挿入した際に、当該挿入物が外部に露出しないため、外観が向上する。また、前記した実施の形態3と同様に、二次成形樹脂r2が二次成形キャビティ55Cを流れる際に起こるせん断応力の集中を、曲面部M113gによって分散させることができるため、一次成形樹脂r1が再溶融しにくくなり、色流れを低減することができる。
【0059】
[撮像装置]
前記した各実施の形態に係る二色成形金型によって成形した二色成形品Mは、具体的には撮像装置に適用することができる。この撮像装置は、非光学機能樹脂(一次成形樹脂r1)によって、少なくとも一部が筒状である一次成形品(一次成形品M1,M1A,M1B,M1C)が一次成形され、光学機能樹脂(二次成形樹脂r2)によって、一次成形品の筒状部を覆うように二次成形品(二次成形品M2)が二次成形され、一次成形品の筒状部の先端側の光学機能面(光学機能面M128a)から二次成形品の外表面にかけて光学機能領域(光学機能領域Ar)を有する光学機能部品(二色成形品M)を備えている。そして、撮像装置では、一次成形品の筒状部の先端の肉厚(肉厚T1,T3,T4)が、一次成形品の筒状部の内径部の先端(開口端M113b)と光学機能面の内側有効径(光学機能面M128aの最外縁)との距離(突出長さL1,L3,L4)の1倍以上に設定されている。
【0060】
以上、本発明に係る二色成形金型、二色成形品の製造方法および光学機能部品を備える撮像装置について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0061】
1 二色成形金型
10 一次成形金型
11 固定一次型
111 取付板
112 落下板
113 固定一次側型板
113a,113Aa,113Ba,113Ca 凹部(第一の凹部)
113b 第一の底面
113c 第二の底面
113d 窪み部
113e 曲面部
113f 窪み部
113g 曲面部
114 ガイドピン
12 可動型
121 可動側型板
121a 凹部(第二の凹部)
122 受け板
123 スペーサーブロック
124 取付板
125 締結ボルト
126 突出し板
127 エジェクターピン
128 コアピン
128a 先端面
20 二次成形金型
21 固定二次型
211 取付板
212 落下板
213 固定二次側型板
213a 凹部(第三の凹部)
214 ガイドピン
22 可動ダミー型
221 可動ダミー側型板
222 受け板
223 スペーサーブロック
224 取付板
225 締結ボルト
31 可動プラテン
32 回転軸
41,51 一次スプルー
42,52 ランナー
43,53 二次スプルー
44,54 ゲート
45,45A,45B,45C 一次成形キャビティ
55,55A,55B,55C 二次成形キャビティ
Ar 光学機能領域
L1,L3,L4 突出長さ
L2 長さ
M 二色成形品
M1,M1A,M1B,M1C 一次成形品
M1a,M1Aa,M1Ba,M1Ca 先端部
M2 二次成形品
M43 一次成形スプルー部
M44 一次成形ゲート部
M53 二次成形スプルー部
M54 二次成形ゲート部
M113b 開口端
M113d 突出部
M113e 曲面部
M113f 突出部
M113g 曲面部
M128 孔部
M128a 光学機能面
r1 一次成形樹脂
r2 二次成形樹脂
s1 段部
T1,T3,T4 肉厚
T2 半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13