特許第6865839号(P6865839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6865839車両のトレーラの周囲の物体を検出するためのセンサ装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865839
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】車両のトレーラの周囲の物体を検出するためのセンサ装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20210419BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20210419BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   B60W50/14
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-540615(P2019-540615)
(86)(22)【出願日】2018年1月24日
(65)【公表番号】特表2020-506475(P2020-506475A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(86)【国際出願番号】EP2018051707
(87)【国際公開番号】WO2018138134
(87)【国際公開日】20180802
【審査請求日】2019年8月21日
(31)【優先権主張番号】17153513.1
(32)【優先日】2017年1月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーバ ネーメト
(72)【発明者】
【氏名】レヴェンテ バログ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル ティハニー
(72)【発明者】
【氏名】ラースロー ダーノシュ
【審査官】 上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−043530(JP,A)
【文献】 特開2010−244128(JP,A)
【文献】 特開2017−210017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B60W 10/00−10/30
30/00−60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)によって牽引される場合のトレーラ(40)の周囲の物体(60)を検出するためのセンサ装置において、前記センサ装置は、
前記トレーラ(40)下方の視野領域(115)を伴うように前記車両(10)の後側に取り付け可能でかつ前記物体(60)からの検出信号を捕捉するように構成された少なくとも1つのセンサ(110)と、
前記少なくとも1つのセンサ(110)からのセンサ信号を受信するように構成された制御ユニット(120)と、
を備え、
前記センサ信号は、前記物体(60)を示し、前記制御ユニット(120)は、前記トレーラ(40)の背後または側方の前記物体(60)の存在を確認するように構成されており、
前記制御ユニット(120)は、さらに、前記車両(10)上の記憶装置から前記トレーラ(40)の長さについての情報を取得することにより、前記物体(60)から前記トレーラ(40)の背後までの距離を決定するよう構成されている、
センサ装置。
【請求項2】
前記制御ユニット(120)は、前記トレーラの背後または側方の前記物体(60)の存在について運転者または前記車両の自動運転管理システムに警告するように構成されている、
請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(120)は、さらに前記物体(60)から前記車両(10)の後側(12)または前記トレーラ(40)の後側までの距離を決定するように構成されている、
請求項1または2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記制御ユニット(120)は、さらに前記トレーラのコンポーネントから受信したセンサ信号と、前記物体(60)から受信した検出信号と、を区別するように構成され、前記制御ユニット(120)は、前記物体(60)の存在を確認するときに前記トレーラ(40)の前記コンポーネントから受信したセンサ信号を無視するように構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記制御ユニット(120)は、前記トレーラ(40)自体または前記トレーラ(40)のコンポーネント(42)のうちの1つを検出するように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記制御ユニット(120)は、前記トレーラ(40)または前記トレーラ(40)の前記コンポーネント(42)のうちの少なくとも1つの検出に基づいて、前記車両(10)と前記トレーラ(40)との間の連結可動角度(α)を決定するように構成されている、
請求項5記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記制御ユニット(120)は、地面(80)から反射した信号、または、前記物体(60)と前記少なくとも1つのセンサ(110)との間の障害物によって反射した信号に基づいて前記物体(60)を検出するように構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセンサ(110)は、以下のユニット、すなわち、レーダ、超音波センサ、ライダ、カメラまたは任意の他の種類の環境センサのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から7までのいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサ(110)は、異なる視点からの少なくとも2つの視野を捕捉するために少なくとも2つのセンサユニットを含む、
請求項1から8までのいずれか1項記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記制御ユニット(120)は、前記少なくとも2つのセンサの各々から各センサ信号を受信し、信号の冗長性に基づき検出精度を向上させる以下の機能のうちの、すなわち、立体画像を生成する機能、前記物体(60)までの距離を決定する機能のうちの少なくとも1つのために、少なくとも2つのセンサ信号を使用するように構成されている、
請求項9記載のセンサ装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のセンサ装置を備える、
両。
【請求項12】
車両(10)によって牽引される場合のトレーラ(40)の周囲の物体(60)を検出するための方法において、以下のステップ、すなわち、
−前記トレーラ(40)下方の視野領域(115)を伴うように前記車両(10)の後側(12)にある少なくとも1つのセンサ(110)に、前記物体(60)からの検出信号を捕捉させるステップ(S110)と、
−制御ユニット(120)に、前記少なくとも1つのセンサ(110)からの、前記物体(60)を表すセンサ信号を受信させるステップ(S120)と、
−前記トレーラ(40)の背後または側方の前記物体(60)の存在を確認するステップ(S130)と、を含み、
前記ステップ(S130)は、前記車両(10)上の記憶装置から前記トレーラ(40)の長さについての情報を取得することにより、前記物体(60)から前記トレーラ(40)の背後までの距離を決定することさらに含む方法。
【請求項13】
コンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムがコンピュータまたはプロセッサ上で実行されるときに、請求項12記載の方法を実施するためのプログラムコードを備えている、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用またはコンビネーション車両のトラクタ用のセンサ装置、該センサ装置を使用する方法、および特に後方監視環境センサ配置に関している。
【背景技術】
【0002】
輸送車両の自動運転は、関心が高まっている分野である。さまざまな種類のセンサや認識技術を含む車両のハードウェアインフラストラクチャには、ますます多くの機能が統合されるべきである。現在の技術では、自動化レベルはまだ車両の運転者の存在および注意を必要としている。しかしながら、システムの次のレベルは、運転者の継続的な注意なしで自動運転を実行するように管理すべきであり、したがって改善された環境検出能力を必要とする。
【0003】
現在の技術段階における商用車は、例えば適応型クルーズコントロール(ACC)用および高度緊急ブレーキシステム(AEBS)用の長距離レーダ、ならびに車線逸脱警報システム(LDWS)用の中距離カメラのような前方監視センサを含み得る。例えば、欧州特許第1386774号明細書(EP1386774)は、前方監視レーダを備えた商用車のブレーキのための制御ユニットを開示しており、特開2012−246828号公報(JP2012−246828)は、LDWSおよびアイドリングストップ用に使用される車両前面装着型カメラを開示している。さらに、中国特許第203255120号明細書(CN203255120)は、前方レーダおよび他のセンサを備えたAEBSシステムを開示している。
【0004】
しかしながら、運転者がもはや制御ループ内にいない高度に自動化された車両のケースでは、トレーラの後方領域を含む完全な後方視野カバー範囲が必要とされる。例えば、従来のシステムでは完全にはカバーされていない自動車線変更機能に対しては、運転者の後方監視ミラーの死角となるトレーラ後方領域の至近範囲も確実に監視されるべきである。既知のシステムは、車両の真後ろかまたは車両の側方に位置する物体に対する確実な検出機構を提供することができない。
【0005】
それゆえ、トレーラを牽引することができかつトレーラ後方の死角の確実なカバー範囲を提供することができる、車両用に使用することが可能なセンサ装置に対する需要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した問題の少なくともいくつかは、請求項1記載のセンサ装置または請求項12記載の方法によって克服される。従属請求項は、独立請求項に特定された対象のさらなる好適な実現化に関するものである。
【0007】
本発明は、車両によって牽引される場合のトレーラの周囲の物体を検出するためのセンサ装置に関する。このセンサ装置は、トレーラ下方の視野領域を伴うように車両の後側に取り付け可能でかつ物体からの検出信号を捕捉するように構成された少なくとも1つのセンサを含む。さらに、このセンサ装置は、少なくとも1つのセンサからのセンサ信号を受信するように構成された制御ユニットを含み、ここでのセンサ信号は、物体を示し、制御ユニットは、トレーラの背後または側方の物体の存在を確認するように構成されている。
【0008】
車両またはトレーラは、特許請求の範囲に記載のセンサ装置の一部ではないことを理解されたい。しかしながら、センサ装置は、それが車両に取り付けられるときに検出を実行するように(例えば適切なソフトウェアを制御ユニットにインストールすることによって)適合化される。物体からの検出信号は、これらの信号が物体によって反射もしくは放出されているかどうかにかかわらず、物体から生じる任意の信号であってもよい。視野領域は、少なくとも捕捉領域または視野方向の一部であってもよい。
【0009】
任意選択的に、制御ユニットは、トレーラの背後または側方の物体の存在について運転者または車両の自律的運転管理システムに警告するように構成されている。この運転者警告は、例えば、運転者に提供される光学的、音響的または触覚的な信号を含んでいてもよい。
【0010】
制御ユニットは、さらに、物体から車両の後側またはトレーラの後側までの距離を決定するように構成されてもよい。この機能を達成するために、制御ユニットは、データベースまたは車両上の任意の記憶装置からトレーラの長さについての情報を取得し、この長さ情報を考慮し得る。さらに制御ユニットは、トレーラの下方の所定の位置から受信したすべての潜在的な検出信号を無視するために、この長さ情報を使用するように構成されてもよい。
【0011】
また、制御ユニットは、トレーラのコンポーネント(または任意の他の障害物)から受信したセンサ信号と、物体から受信した検出信号と、を区別するように構成されてもよい。任意選択的に、トレーラのコンポーネントから受信したこれらのセンサ信号は、物体の存在を確認するときには無視してもよい。それにより、制御ユニットは、存在を確認する過程において、物体からのセンサ信号のみを考慮することができる。
【0012】
任意選択的に、制御ユニットは、トレーラ自体またはそのコンポーネントのうちの1つ以上を(例えば運行の開始時に)検出(またはスキャン)するように構成されている。また、制御ユニットは、車両と比較した場合のトレーラの相対運動を識別するためにトレーラを繰り返し検出することができる。物体から受信した信号(=検出信号)を、トレーラから受信した信号と区別するために、トレーラまたはそのコンポーネントの情報を使用することができる。
【0013】
したがって、制御ユニットは、トレーラまたは該トレーラのコンポーネントのうちの少なくとも1つの検出に基づいて、車両とトレーラとの間の連結可動角度を決定するように構成され得る。
【0014】
任意選択的に、制御ユニットは、地面から反射した信号、または物体と少なくとも1つのセンサとの間の障害物(または家屋、壁またはその他の車両)によって反射した信号に基づいて物体を検出するように構成されている。
【0015】
任意選択的に、少なくとも1つのセンサは、以下のユニットのうちの、すなわち、レーダ、超音波センサ、ライダ、カメラ、または任意の他の種類の環境センサのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
また、少なくとも1つのセンサは、異なる視点からの少なくとも2つの視野を捕捉するために少なくとも2つのセンサユニットを含み得る。その結果として、制御ユニットは、少なくとも2つのセンサの各々から各センサ信号を受信し、かつ信号の冗長性に基づき検出精度を向上させる以下の機能のうちの、すなわち、立体画像を生成する機能、物体までの距離を決定する機能のうちの少なくとも1つのために、少なくとも2つのセンサ信号を使用する(例えば一方の検出信号を他方の検出信号の確認用として使用する)ように構成することができる。
【0017】
また、本発明は、上述のセンサ装置を1つ備えた車両に関する。この車両は、商用車かまたはコンビネーション車両のトラクタであり得る。制御ユニットは、車両またはその一部に存在する任意の制御ユニットであり得る。その機能は、そのような制御ユニットにインストールされた適切なソフトウェアによって実施されてもよい。
【0018】
本発明はまた、車両によって牽引される場合のトレーラの周囲の物体を検出するための方法に関する。この方法は以下のステップ、すなわち、
−トレーラ下方の視野領域を伴う車両の後側における少なくとも1つのセンサに、物体からの検出信号を捕捉させるステップと、
−制御ユニットに、少なくとも1つのセンサからの、物体を表すセンサ信号を受信させるステップと、
−トレーラの背後または側方の物体の存在を確認するステップと、
を含む。
【0019】
この方法は、ソフトウェア、コンピュータプログラム製品、または電子制御ユニット内のソフトウェアモジュールにおいても実施することができる。それゆえ、これらの実施形態は、コンピュータプログラムがプロセッサ上で実行されるときに、この方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムにも関する。
【0020】
従来のシステムと比較した場合、本発明の実施形態は以下の利点を提供する。トレーラに設置された任意のセンサも環境検出のために使用することができるが、現時点では、環境感知情報をトレーラからトラクタに返送することができる、トラクタと、商用のコンビネーション車両のトレーラと、の間の標準化されたインターフェースは存在しない。トラクタは通常異なるトレーラと共に使用されるので、従来の環境検出は、特定のトレーラの設置に依存する。それゆえ、本発明の実施形態は、特に、トラクタのシステムが、トレーラに設置されたセンサ装置と互換性がないようなコンビネーション車両に対して使用することができる。したがって、これらの実施形態は、前方、左右のゾーンだけでなく、車両の周囲のすべてのゾーンの環境感知を提供するために有益である。これらのゾーンはトラクタのみからカバーされている。しかしながら、特に感知は、特定のトレーラに依存せず、トレーラから独立しているが、トレーラの下方に十分な視野領域がある限り、ほとんどの任意のトレーラに使用することができる。
【0021】
この効果は、トレーラ下方からセンサデータを捕捉し、それにより、トラクタからトレーラの周囲の環境を検出することができ、特にトレーラの後部ゾーンを監視することができるセンサ装置の提供によって達成される。センサ信号を正しく解釈するために、制御ユニットは、トレーラの可能なコンポーネントを考慮するように構成されている。それゆえ、トレーラにセンサを設置する必要はない。このことは、トレーラと、トレーラに設置される可能性のあるセンサが、トラクタシステムとの互換性がある必要がないという利点を提供する。
【0022】
以下では、本装置および/または本方法のいくつかの例を、単なる例として、および添付の図面に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による、物体を検出するためのセンサ装置を示した図
図2】商用車の後面への後方監視センサの実装を示した図
図3】自動運転のためのモータ駆動型商用車用の後方視野環境センサの視野領域を示した図
図4】物体を検出するための方法のフローチャートを示した図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、車両またはトラクタ10によって牽引される場合のトレーラ40の周囲の物体60を検出するのに適したセンサ装置を示す。このセンサ装置は、少なくとも1つのセンサ110と、共通のハウジングに収容されても収容されなくてもよい制御ユニット120と、を含む。少なくとも1つのセンサ110は、車両10の周囲の物体60からの検出信号を受信するように構成され、さらにトレーラ40下方の視野方向115を伴うように車両10の後側12に取り付けられるように構成されている。制御ユニット120は、少なくとも1つのセンサ110からのセンサ信号を受信するように構成されている。センサ信号は、トレーラ40の背後または側方に存在する物体60を示す。制御ユニット120も、物体60の存在を確認するように構成されている。
【0025】
さらに、制御ユニット120は、トレーラバスシステムに連結されるように構成されてもよく、あるいは検出された物体60についての情報を提供するために、車両10の他の電子制御ユニットに、任意の他の手段によって(例えば無線または信号線路によって)接続されてもよい。物体60は、例えば、コンビネーション車両10,40の後方(例えば死角内)を移動する他の車両であってもよい。それはまた、コンビネーション車両10,40の周囲に存在する人または任意の他の物体であってもよい。制御ユニット120は、特に、これらの信号の起源に関して視野方向115から受信した信号を区別するように構成されている。例えば制御ユニット120は、トレーラ40のコンポーネントを、例えばホイール42もしくは車軸、またはトレーラ40の任意の他のコンポーネントとして識別することができる。これらの信号は、例えば、コンビネーション車両10,40の一部ではない物体60から受信した信号のみを、車両10の運転者または自動運転管理システムに提供される警報をトリガし得る潜在的な検出信号として、使用するためにフィルタリングすることができる。物体60から受信した信号は、地面80(例えば路面)から反射されてもされなくてもよい光信号またはレーダ信号であってもよい。それゆえ、制御ユニット120は、格納されているソフトウェアに基づいて、トレーラ40のさまざまなコンポーネントの間から関心のある物体60を区別することができるようにするために、少なくとも1つのセンサ110によって受信した信号を正しく解釈するように構成され得る。
【0026】
それゆえ、このセンサ装置は、運転手のミラーが当該領域をカバーしていないために通常トラクタからは見えないトレーラ背後の死角をカバー可能にする。本発明は、トレーラの床下を使用する。これらの床下は、しばしば部分的にしか塞がれていないため、センサが適切に配置されている場合にはトラクタからの後方視野が可能になる。これは将来的な自動運転のために必要なコンビネーショントラクタトレーラの完全な後方カバーを可能にする。
【0027】
図2は、商用車に対する例示としてのセミトレーラトラクタ10用の装置を示す。少なくとも1つのセンサ110は、後方視野領域115をカバーするように車両10の後側12に設置される。少なくとも1つのセンサ110は、例えば、路面の真上の領域を監視できる位置での車両10に取り付けられている。その上さらに、少なくとも1つのセンサ110は、車両10の後側12の背後の障害物から反射された検出領域115内の反射信号も検出するように構成されてもよい。それゆえ、トラクタ10の後面12に配置された1つ以上の後方監視センサ110は、トレーラの床下の領域115を捕捉することができる。
【0028】
本発明は、トラクタ10に取り付けられた単一のセンサに限定されるものではない。その代わりに、少なくとも2つのセンサ111,112をトラクタ10に取り付けることも可能である。その結果として、2つのセンサ信号を相互に独立して得ることができ、それによる冗長性は、例示的なトラクタ10の周囲に存在し得る物体の検出における信頼性を向上させる。さらに、例示的なトラクタ10の後側からの立体画像を生成することができ、この立体画像は、例えば、物体までの距離の決定または例示的なトラクタ10の周囲における物体の可能な動きの決定を可能にする。
【0029】
1つ以上のセンサ110は、トレーラ40の背後のまたはトレーラ40以外の他の物体を見るために、近接した物体としてのトレーラ40も、センサ(例えばレーダ)を部分的に塞いでいる車軸などの床下の物体も見ることができる。例示的なレーダ波の一部は、地面80から反射されてもよいものであるが、それでもなおこれらの信号は、1つ以上のセンサ110によって検出され得る。ここでは本発明が、特定の種類のセンサに、あるいは特定の種類のトラクタ10に限定されるものではないことを理解されたい。したがって、少なくとも1つのセンサ110は、所望の視野領域115(例えばトレーラの床下)が依然としてカバーされ得る限り、トラクタ10のほぼどこにでも配置することができる。
【0030】
図3は、トラクタ10と例示的なトレーラ40とを有するコンビネーション車両の概略図を示す。少なくとも1つのセンサ110は、再びトラクタ10に取り付けられ、トラクタ10の後側だけでなくトラクタ10およびトレーラ40の左側および右側にも延びている領域115をカバーしている。それゆえ、トラクタ10の側方に位置する物体を識別できるようになる。
【0031】
この実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ110は、適切な視野領域115を有する。例えば、1つ以上のセンサ110は、トレーラ40がトラクタ10と比較して可動連結されている場合であっても、トレーラ40以外の物体も検出できるような広い視野角度領域を有するセンサであってもよい。これは以下のように達成され得る。センサ装置は、トレーラ40自体の連続的なカバーを提供する。それゆえ、制御ユニット120は、トレーラ40の少なくとも1つの床下コンポーネントを識別し、その位置を適時に追跡することができる。その結果として、トラクタ10とトレーラ40との間の連結可動角度αは、トレーラ40の床下コンポーネントの実際の位置から決定することができる。この床下コンポーネントは、トレーラ40の車軸または支持脚部であってもよく、それらの位置または位置変化は、追跡情報から適時に得られるそれらの1つ以上の基準ライン直線位置と比較することができる。
【0032】
図4は、車両10によって牽引される場合のトレーラ40の周囲の物体60を検出するための方法のフローチャートを示している。この方法は以下のステップ、すなわち、
−トレーラ40下方の視野領域を伴う車両10の後側における少なくとも1つのセンサ110に、物体60からの検出信号を捕捉させるステップS110と、
−制御ユニット120に、少なくとも1つのセンサ110からの、物体を表すセンサ信号を受信させるステップS120と、
−トレーラ40の背後または側方の物体60の存在を確認するステップS130と、
を含む。
【0033】
当業者であるならば、上述のさまざまな方法のステップは、プログラミングされたコンピュータによって実行され得ることは容易に認識されるであろう。したがって、この方法は、コンピュータで実施される方法でもあり得る。また、それらの実施形態は、プログラム記憶デバイス、例えばデジタルデータ記憶媒体を網羅することを意図している。それらは、機械またはコンピュータで読み取り可能であり、コンピュータまたはプロセッサ上で実行されるときに上述した方法の動作の一部もしくは全部を実行する命令からなる、機械で実行可能なプログラムまたはコンピュータで実行可能なプログラムを符号化する。
【0034】
従来のシステムと比較して、本発明の好適な実施形態に関連している内容は特に以下のとおりである。
【0035】
運転者の連続的な監督なしで運転される商用車またはコンビネーション車両用のセンサ装置は、衝突回避および環境検出を提供し、ここでは、センサ110が、トレーラの床下から当該トレーラ40の後方および/または側方の物体を視認できるように、トラクタ10に配置されている。このセンサ装置では、以下の特徴のうちの少なくとも1つが実現され得る。すなわち、
−1つ以上のセンサ110は、トラクタまたは牽引車両10の後方に配置され得る。
−1つ以上のセンサ110は、レーダ、超音波センサ、ライダ、カメラ、または任意の他の種類の環境センサであり得る。
−1つ以上のセンサ110は、トレーラの背後またはトレーラ以外の物体60の検出を提供し得る。
−1つ以上のセンサ110は、トレーラ自体または該トレーラのコンポーネントの検出を提供し得る。
−コンピュータシステムは、トレーラまたは該トレーラのコンポーネントの検出から、トラクタとトレーラとの間の連結可動角度を決定し得る。
【0036】
本説明および図面は、単に本開示の原理を示すものである。したがって、当業者であるならば、たとえ本明細書で明示的に説明もしくは示されていなくても、本開示の原理を具体化しかつその範囲内に含まれるさまざまな装置を考案することができることは理解されよう。
【0037】
さらに、各実施形態は、別個の例示としてそれ自体独立し得るが、定義された特徴は、他の実施形態ではさまざまに組み合わせることができることを述べておく。すなわち一実施形態で説明した特定の特徴は、他の実施形態でも実現できる。そのような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないと述べられていない限り、本明細書の開示によってカバーされる。
【符号の説明】
【0038】
10 車両
12 車両の後側
40 トレーラ
42 トレーラの例示的なコンポーネント
60 物体
80 地面
110 少なくとも1つのセンサ
115 視野領域
120 制御ユニット
α 連結可動角度
図1
図2
図3
図4