(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パルス幅信号生成器は、前記変調信号が前記キャリア信号より小さい場合に前記低状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される、請求項1に記載の制御回路。
前記パルス幅信号生成器は、前記変調信号及び前記キャリア信号に基づいて、前記低状態と前記高状態との間にある中間状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される、請求項1−2のうち何れか1項に記載の制御回路。
請求項1−3のうちの何れか1項に記載の共振電力コンバータを制御する制御回路、及び/又は請求項4に記載の電源のためのコンピュータ・プログラム要素であって、プロセッサにより実行されると、請求項5−7のうちの何れか1項に記載の方法を実行するように構成されているコンピュータ・プログラム要素。
【背景技術】
【0002】
本発明の一般的な背景は電力変換である。スイッチトモード電力コンバータは、低電力から高電力に及ぶ全ての種類の電力アプリケーションにおいて幅広い用途を見出している。幾つかのコンバータ・トポロジ及び制御技術が存在し;アプリケーションに依存して、トポロジ及び制御の様々な組み合わせが使用され得る。最も良く知られており広く使用されている制御技術の1つは、パルス幅変調(PWM)である。
【0003】
PWMは、変調器信号をキャリア信号と比較することにより、スイッチ・オン及びスイッチ・オフの時点を決定し;変調器がキャリアより大きい場合に出力はONであり、そうでなければ出力はOFFである(非反転PWM)。変調器信号は、幾つかの測定された回路変数及びリファレンスを処理することにより生成され、リファレンスは一定の信号(定点)であるとすることが可能であるが、時間変動する信号であるとすることも可能であり;それは緩やかに変化する信号である(典型的には、帯域が制限された信号であり、帯域幅はスイッチング周波数より非常に低い)。キャリア信号は外的に生成され、全ての変調器ダイナミック・レンジを掃引する周期的な信号であり;このようにして、出力における周期的なON−OFF挙動を強制する。出力信号の周波数はキャリア信号の周波数に対応する。典型的なキャリア波形は、三角形及び鋸状である。幾つかのアプリケーションではPWMの固定周波数動作が有利であるが、それらのうちの幾つかにおいては制限でもある。それは量子共鳴コンバータ(自励発振システム)の場合である。
【0004】
共振コンバータは、それらとともに達成可能な電圧変換比及び高効率に起因して、中−電力及び高−電力で使用される。確かに、電圧及び電流の固有の周期的な挙動は、有利なことに、スイッチング損失を最小化するために使用されることが可能である(ゼロ電圧スイッチング又はゼロ電流スイッチング)。あいにく、完全にソフト遷移を達成することは、タイミングが重要であるので、実現するのに非常に困難であり;更に、全てのスイッチング・イベントが、共振電圧又は共振電流のゼロ交差で生じるように強制される場合、出力の制御が制約される(リップルが増加する)可能性がある。
【0005】
共振コンバータの瞬時共振周波数は、コンバータの寸法だけでなく、その状態(即ち、インダクタ及びキャパシタに保存されるエネルギの量)及び負荷にも依存する。共振コンバータで従来のPWMを使用することは、キャリアのスイッチング周波数及び変調器のデューティ・サイクルに従うことをコンバータに強制する。出力電圧は依然として制御可能であるかもしれないが、内部ではコンバータは次善の状態(増大した無効電力及びスイッチング損失)の下で動作するであろう。キャリア周波数はコンバータの瞬時共振周波数に合わせることはできず、なぜなら瞬時周波数はサイクル毎に(特に過渡状態の間に)変化し得るからであることに留意を要する。次のサイクルの周波数が推定され得るにすぎない。
【0006】
共振コンバータに対するPWMの制限は、パルス周波数変調(PFM)の変形によって部分的に克服される。共振コンバータのPFMでは、一定のデューティ・サイクル(通常、50%に近い)が共振コンバータに適用され;この信号の周波数を変えることにより、出力が制御され得る。適切な共振コンバータでは、これはPWMと比較して幅広い動作レンジにわたってソフト・スイッチング(soft switching)を保証するが、動作レンジのかなりの部分について、無効電力の増加(及びスイッチング損失)とうい欠点がある。更に、PFMは共振周波数より高い周波数のためにしか使用され得ない。
【0007】
US6,487,099B1は、一次電流、伝導時間、及びパルス幅変調器コントローラを有する直列的な共振電力コンバータのための電流モード・コントローラを説明している。電流モード・コントローラは、一次電流と電気的に通信する電流ランプ生成器を有し、一次電流に比例する電圧を有する電圧ランプを生成するように動作する。電圧ランプ生成器は、電力コンバータと電気的に通信し、電圧ランプを生成するように動作する。電流モード・コントローラは、電流ランプ生成器及び電圧ランプ生成器と電気的に通信する乗算器を更に含む。乗算器は、電力コンバータの伝導期間に比例する振幅を有する時間依存電流ランプを生成するように動作する。制限された電圧ランプを生成するように動作する制限電圧ランプ生成器は、電圧ランプ生成器と電気的に通信する。この点に関し、電流モード・コントローラは加算器を更に有し、加算器は制限電圧ランプ生成器及び乗算器と電気的に通信し、制限電圧ランプ及び時間依存電流ランプに比例する制御ランプを生成するように動作する。従って加算器はパルス幅変調器と電気的に通信し、それにより制御ランプは電力コンバータの伝導期間を制御する。
【発明の概要】
【0008】
共振電力コンバータを制御することを含む、共振電力コンバータを制御するための改善された制御回路を有することは有利なことであろう。
【0009】
本発明の課題は、独立請求項の対象事項により解決され、更なる実施形態は従属請求項に組み込まれている。本発明の以下に説明される態様及び具体例は、共振電力コンバータ、電源、共振電力コンバータを制御する方法、コンピュータ・プログラム要素、及びコンピュータ読み取り可能な媒体にも適用されることに留意すべきである。
【0010】
第1態様によれば、共振電力コンバータを制御する制御回路が提供され、制御回路は:
変調信号生成器;
キャリア信号生成器;及び
パルス幅信号生成器を有する。
【0011】
変調器信号生成器は変調信号を生成するように構成される。キャリア信号生成器はキャリア信号を生成するように構成され、キャリア信号の生成は、共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号の測定を含む。パルス幅信号生成器は、変調信号及びキャリア信号に基づいて、共振電力コンバータについての少なくとも1つの大きさの値を制御するために使用可能なスイッチング信号を生成するように構成される。
【0012】
言い換えれば、共振電力コンバータを制御する制御回路は、周知の電力コンバータのためのパルス幅変調PWM又は電力コンバータのためのパルス周波数変調PFMに類似しているが、キャリア信号は、外的に生成されるのではなく、コンバータ自身の回路測定値から生成される。別の言い方をすると、共振電力コンバータを制御する制御回路は、コンバータ変数からキャリア信号を導出し、これはまた共振電力コンバータが変調周波数を決定できることも意味する。
【0013】
このように、共振電力コンバータを制御する制御回路は、キャリア信号及び変調器信号に基づいて、例えばこれらの信号を比較することにより、従来のPWMのような方法で出力を生成することができる。一例において、パルス幅信号の生成は、リファレンス信号が変調信号より小さい場合、出力は低状態にあり、そうでなければ高状態にあるという点で交差技術を構成し、この場合において比較器が使用され得る。
【0014】
こうして、PFMで達成される得るよりも広い帯域幅で、改善された動作が提供され得る(より速い過渡現象)。共振電力コンバータを制御する制御回路はPWMに類似しているので、PWMのために開発されたモデリング及び制御設計技術を容易に採用することができ、これにより制御ループの設計を簡単にすることができる。
【0015】
また、様々なパルス・パターンとのより豊富な互換性が提供され、シーケンス+1,−1が使用可能であり、シーケンス+1,0が使用可能であり、シーケンス+1,0,−1が使用可能であり、この点は例えばシーケンス+1,0,−1しか使用できないPFMと対照的である。
【0016】
更に、共振コンポーネントの電力能力の完全な長所が有効にされ、なぜならスイッチング周波数(パルス幅信号の周波数)がコンバータにより設定され、コンバータにより分配される電圧/電力が増加するにつれて、スイッチング周波数が共振周波数(最大電力伝達点、ハードウェア限界)に収束するからである。これは例えばPFMとは対照的であり、外的なキャリア周波数は共振周波数より大きな値に設定されなければならず、設計マージンにより、共振周波数より1/3大きくなる可能性があり、これにより目下の電力コンバータはPFMコンバータを上回って電力伝達を最大化することができる。
【0017】
具体例において、パルス幅信号生成器は、変調信号がキャリア信号より小さい場合に低状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される。
【0018】
言い換えれば、動作はPWMアプローチに類似しているが、キャリア周波数は内的に生成される。
【0019】
具体例において、パルス幅信号生成器は、変調信号及びキャリア信号に基づいて高状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される。
【0020】
具体例において、パルス幅信号生成器は、変調信号がキャリア信号より大きい場合に高状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される。
【0021】
言い換えれば、動作はPWMアプローチに類似しているが、キャリア信号は内的に生成される。
【0022】
具体例において、パルス幅信号生成器は、変調信号及びキャリア信号に基づいて、中間状態にある(即ち、低状態と高状態との間にある)スイッチング信号を生成するように構成される。
【0023】
第1態様において、共振電力コンバータは、スイッチング信号の少なくとも1つの持続時間を測定するように構成されるパルス持続時間モニタを有し、少なくとも1つの持続時間は、低状態にあるスイッチング信号の持続時間と高状態にあるスイッチング信号の持続時間とを含み、パルス幅信号生成器は、変調信号がキャリア信号より大きく、スイッチング信号の少なくとも1つの持続時間が閾値以下である場合に、低状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される。
【0024】
従って、連続するスイッチング・イベント間の隔たりが過剰に短くなる場合(即ち、短い複数のパルスの場合)そのような複数のパルスの長さは、複数のスイッチング・サイクル全体にわたって拡張され、同じ平均値を維持するがより広いパルスで生成される。言い換えれば、スイッチング周波数が非常に高くなると、電力コンバータを制御する制御回路は、スイッチングを最大スイッチング周波数に制限するために、低状態に維持されることが可能である。具体例において、低状態は1つ以上のサイクルについて維持される。
【0025】
具体例において、キャリア信号を生成する共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号は、共振電圧を有する。
【0026】
具体例において、キャリア信号を生成する共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号は、共振電流を有する。
【0027】
具体例において、キャリア信号を生成する共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号は、共振電流の符号が乗算された共振電圧を有する。
【0028】
第2態様において電源が提供され、電源は:
共振電力コンバータ;及び
第1態様に従って共振電力コンバータを制御する制御回路を有する。
【0029】
第3態様において、共振電力コンバータを制御する方法が提供され、方法は:
a)変調信号を生成するステップ;
b)キャリア信号を生成するステップであって、キャリア信号の生成は電力コンバータからの少なくとも1つの信号を測定することを含む、ステップ;
c)変調信号及びキャリア信号に基づいて共振電力コンバータについての少なくとも1つの大きさの値を制御するために使用可能なスイッチング信号を生成するステップを含む。
【0030】
具体例において、ステップc)において、スイッチング信号は、変調信号がキャリア信号より小さい場合に低状態で生成される。
【0031】
具体例において、方法は、変調信号及びキャリア信号に基づいて高状態にあるスイッチング信号を生成するステップd)を含む。
【0032】
第3態様において、方法は、スイッチング信号の少なくとも1つの持続時間を測定するステップe)を有し、少なくとも1つの持続時間は、低状態にあるスイッチング信号の持続時間と高状態にあるスイッチング信号の持続時間とを有し、方法は、変調信号がキャリア信号より大きく、スイッチング信号の少なくとも1つの持続時間が閾値以下である場合に、低状態にあるスイッチング信号を生成するステップf)を有する。
【0033】
別の態様によれば、上述した装置を制御するコンピュータ・プログラム要素が提供され、コンピュータ・プログラム要素が処理ユニットにより実行される場合に、上述した方法ステップを実行するように構成される。
【0034】
別の態様によれば、上述したコンピュータ要素を格納したコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【0035】
コンピュータ・プログラム要素は、例えばソフトウェア・プログラムであるとすることが可能であるが、FPGA、PLD、又は適切な他の任意のディジタル手段であるとすることも可能である。
【0036】
有利なことに、上記の任意の態様により提供される恩恵は他の全ての態様に等しく適用され、逆もまた同様である。上記の態様及び具体例は、以下に説明される実施形態から明らかになり、それらに関連して説明される。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は共振電力コンバータを制御する制御回路10の具体例を示す。制御回路10は、変調器信号生成器20と、キャリア信号生成器30と、パルス幅信号生成器40とを有する。変調器信号生成器20は変調信号を生成するように構成される。
キャリア信号生成器30はキャリア信号を生成するように構成される。キャリア信号の生成は、共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号の測定を含む。パルス幅信号生成器40は、変調信号及びキャリア信号に基づいて、共振電力コンバータについての少なくとも1つの大きさの値を制御するために使用可能なスイッチング信号を生成するように構成される。
【0039】
具体例において、変調信号及びキャリア信号に基づいてスイッチング信号を生成することは、変調信号とキャリア信号との比較を含む。
【0040】
具体例において、低状態は−1という状態を含む。
【0041】
具体例において、低状態は0という状態を含む。
【0042】
具体例において、変調信号は(間接的ではあるが)スイッチング信号から導出される。具体例において、変調信号は電力コンバータの出力電圧から導出され、出力信号それ自体はスイッチング信号から導出される。従って、共振電力コンバータは、スイッチング周波数又は動作周波数を自ら決定する。更に説明すると、スイッチング信号は、電力の流れを制御するコンバータのスイッチを制御する。電力がコンバータを通じて流れる場合に、内部コンバータ波形が生成され、そのうちの1つが出力電圧である。従って、変調信号の波形は間接的なものであり、実際、スイッチング信号の波形からかなり離れている。具体例において、変調信号は、従来のPWMに類似する方法で比較器の出力電圧から導出される。このように、共振電力コンバータを制御する制御回路は、共振電力コンバータの内部波形に依存してキャリア信号及び変調信号の双方を生成し、より良い過渡的な挙動及びコンバータ変数のより良い制御性が提供される。
【0043】
具体例において、共振電力コンバータは、直並列LCC共振電力コンバータである。具体例において、共振電力コンバータは、直列LC共振電力コンバータである。具体例において、共振電力コンバータは、並列LC共振電力コンバータである。
【0044】
具体例において、制御される共振電力コンバータについての少なくとも1つの大きさは、電圧を含む。具体例において、制御される共振電力コンバータについての少なくとも1つの大きさは、電流を含む。具体例において、制御される共振電力コンバータについての少なくとも1つの大きさは、電力を含む。言い換えれば、制御回路は、共振電力コンバータの電圧、電流、又は電力のうちの1つ以上を制御することができる。
【0045】
具体例において、キャリア信号が生成される生成元の共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号は、異なる時間に正及び負の値を有する信号を含む。言い換えれば、キャリア信号が導出される導出元の信号は、負及び正の値の双方を通じて掃引する測定されることが可能な大きさを有する。具体例において、信号は周期的である。
【0046】
具体例によれば、パルス幅信号生成器は、変調信号がキャリア信号より小さい場合に低状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される。
【0047】
具体例によれば、パルス幅信号生成器は、変調信号及びキャリア信号に基づいて、高状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される。
【0048】
具体例において、変調信号及びキャリア信号に基づいて、高状態にあるスイッチング信号を生成することは、変調信号及びキャリア信号の比較を含む。
【0049】
具体例において、高状態は+1という状態を有する。
【0050】
具体例によれば、パルス幅信号生成器は、変調信号がキャリア信号より大きい場合に高状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される。
【0051】
具体例によれば、パルス幅信号生成器は、変調信号及びキャリア信号に基づいて、中間状態にある(即ち、低状態と高状態との間にある)スイッチング信号を生成するように構成される。
【0052】
具体例において、高状態は+1であり、中間状態は0であり、低状態は−1である。
【0053】
具体例によれば、共振電力コンバータは、スイッチング信号の少なくとも1つの持続時間を測定するように構成されるパルス持続時間モニタ50を有する。少なくとも1つの持続時間は、低状態にあるスイッチング信号の持続時間と高状態にあるスイッチング信号の持続時間とを含む。パルス幅信号生成器は、変調信号がキャリア信号より大きく、スイッチング信号の少なくとも1つの持続時間が閾値以下である場合に、低状態にあるスイッチング信号を生成するように構成される。
【0054】
具体例によれば、キャリア信号が生成される生成元の共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号は、共振電圧を含む。
【0055】
具体例によれば、キャリア信号が生成される生成元の共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号は、共振電流を含む。
【0056】
具体例によれば、キャリア信号が生成される生成元の共振電力コンバータからの少なくとも1つの信号は、共振電流の符号が乗算された共振電圧を含む。
【0057】
具体例において、共振電流は、正又は負であり、その絶対値又はモジュラスで除算され、共振電流の符号(+1又は−1)を与え、これはキャリア信号を生成するために共振電圧とともに使用される。
【0058】
言い換えれば、キャリア信号は、共振電流の符号が乗算された共振電圧であるとすることが可能である。
【0059】
図2は電源100の具体例を示す。電源100は、共振電力コンバータ110と、
図1に関連して上述したような共振電力コンバータを制御する制御回路10とを有する。
【0060】
具体例において、電源は医療撮像システムのためのものである。
【0061】
図3はその基本ステップにおいて共振電力コンバータを制御する方法200を示す。方法200は:
ステップa)としても言及される、変調信号を生成する生成ステップ210;
ステップb)としても言及される、キャリア信号を生成する生成ステップ220であって、キャリア信号の生成は、電力コンバータからの少なくとも1つの信号を測定することを含む、ステップ;及び
ステップc)としても言及される、スイッチング信号を生成する生成ステップ230であって、スイッチング信号は、変調信号及びキャリア信号に基づいて共振電力コンバータについての少なくとも1つの大きさの値を制御するために使用されることが可能である、ステップを含む。
【0062】
具体例において、あるステップは他のステップの後に、又は他のステップと同時に、又は他のステップと時間的にオーバーラップして実行されることが可能である。
【0063】
具体例において、変調信号は変調信号生成器により生成される。
【0064】
具体例において、キャリア信号はキャリア信号生成器により生成される。
【0065】
具体例において、スイッチング信号はパルス幅信号生成器により生成される。
【0066】
具体例によれば、ステップc)において、スイッチング信号は、変調信号がキャリア信号より小さい場合には、低状態で生成される。
【0067】
具体例によれば、方法は、変調信号及びキャリア信号に基づいて高状態にあるスイッチング信号を生成するステップd)(240)を含む。
【0068】
具体例では、ステップd)において、スイッチング信号は、変調信号がキャリア信号より大きい場合には、高状態で生成される。
【0069】
具体例によれば、方法は、スイッチング信号の少なくとも1つの持続時間を測定するステップe)(250)を有し、少なくとも1つの持続時間は、低状態にあるスイッチング信号の持続時間と高状態にあるスイッチング信号の持続時間とを含み、方法は、変調信号がキャリア信号より大きく、スイッチング信号の少なくとも1つの持続時間が閾値以下である場合に、低状態にあるスイッチング信号を生成するステップf)(260)を含む。
【0070】
具体例において、キャリア信号が生成される生成元の少なくとも1つの信号は、正の値及び負の値を異なる時間に有する信号を含む。
【0071】
具体例において、キャリア信号が生成される生成元の電力コンバータからの少なくとも1つの信号は、共振電圧を含む。
【0072】
具体例において、キャリア信号が生成される生成元の少なくとも1つの信号は、共振電流を含む。
【0073】
具体例において、キャリア信号が生成される生成元の少なくとも1つの信号は、共振電流の大きさで除算された共振電流が乗算された共振電圧を含む。
【0074】
ここで、共振電力コンバータを制御する制御回路、電源、及び共振電力コンバータを制御する方法が、
図4−5に関連して更に説明される。
【0075】
共振電力コンバータを制御する制御回路の動作アーキテクチャの説明を支援するために、その動作アーキテクチャは、既存のPWMアーキテクチャとの対比において、共振コンバータ用パルス幅変調(Pulse Width Modulation for Resonant converter:PWMR)と言及される。
【0076】
PWMRは簡易であり且つPWMと類似しているがキャリア信号がコンバータ変数から導出される特殊性を有する。従って、コンバータは変調周波数を決定し、従来のPWM構造でのように逆ではない。PWMPはPWMに非常に類似する仕方で構成され得る;しかしながら、PWMPではキャリア信号は外的には生成されない。むしろそれは実際のコンバータから測定される。測定された大きさは周期的な挙動を有するはずであるが、周波数に関して固定される必要はなく、負及び正の値を掃引しなければならない。従って、PWMRは共振コンバータに特に適切であり得る。PWMPに関し、変調器信号は従来のPWMでのように生成され得る。出力は、まさに従来のPWMでのように、キャリア信号及び変調器信号を比較することにより生成される。
【0077】
LCC共振コンバータ
以下は、LCC共振コンバータにおけるPWMRの特定の具体例に関連する。PWMRは、ターン・オンの瞬間にソフト・スイッチングを達成するために共振LCC共振コンバータにおけるPWMPコンバータで実現されることが可能である。本願においてソフト・スイッチングは電圧又は電流の流れが切り替え点でゼロに近付くことを指し、それにより損失はゼロ又はゼロに向かうようになる。キャリア信号は共振電圧波形から導出されることが可能であり、変調器信号は通常のPWMでのように出力電圧から導出されることが可能である。ターン・オンにおいてソフト・スイッチングを達成するために、インダクタ電流の2つの連続するゼロ交差によってサイクルが決定される必要があり、各サイクルはON(又は+1)状態で終了し且つOFF(又は−1)状態で開始する。インダクタ電流は反転するので、−1及び+1状態の間でスイッチするために、インバータ電圧が一定に維持されるべきである(ソフト・スイッチング)。キャリアは鋸状の波形のような波形を有し、共振電流の2つの連続するゼロ交差全ての間でその最小から最大まで掃引する。共振電流の符号が乗算された、共振キャパシタの電圧は、これらの条件を満たす。これはキャリア信号として使用され得る。キャリア信号の振幅は動作点に依存することに留意されたい。これは、キャリア・ダイナミック・レンジが変化するが、変調器信号の値もそうであることを意味する。変調器のレベルがキャリアより上又は下にあることが可能であり;この場合、コンバータはサイクルの間にスイッチしないであろう。
図4は電力コンバータを制御する制御回路に関連する個々の波形を示す。最も上のウィンドウは出力ON−OFF信号を示す。2番目のウィンドウはインバータ電圧及び共振電流(破線)を示し、3番目のウィンドウは共振電圧を示し;最も下のウィンドウはキャリア信号(破線)及び変調信号を示す。
【0078】
変調器信号は、何らかのPWMでのように、線形制御にさえ基づいて生成されることが可能である。線形コントローラは、通常、スイッチング周波数が一定であることを仮定して設計される;このケースでは一定ではなく、従って線形コントローラ設計を適用することが必要とされ得る。
【0079】
上記の例のLCC共振コンバータでは、+1及び−1という2つのレベルのみが使用された。このシーケンスは全てのサイクルで無効電力をもたらす結果となるが、共通モード電流を最小化する(優れたEMC挙動)。更に、(+1から−1への切り替えを要する)サイクル間の遷移は、共振電流が反転するので切り替えを要しない(ソフト・スイッチング)。非常に低い電力では、スイッチング周波数は非常に高くなり得る;最大スイッチング周波数を限定するとが便利であるかもしれない。これは、1つ以上のサイクルにわたって−1のレベルを延長することによって達成され得る。制御性は制約されるかもしれないが、このことは一般的に問題ではなく、なぜなら非常に低い電力では、リップルが既に非常に小さいからである。
【0080】
インバータはフル・ブリッジから成るので、0レベルもまた使用され得る(3レベル)。可能な実装は、PWMRにより与えられる時点で+1から0へ切り替わり、次いで共振電流の実際のゼロ交差の前に、0から−1へ切り替わることである。
【0081】
PWMRは、他の特徴を提供する他のパルス・シーケンスとともに使用されることが可能である。パルス・シーケンス+1,0はPWMRとともに使用されることも可能である。このシーケンスでは、共通モード電流は、0レベルがどのように実現されるかに依存して生成されることが可能であり、0から+1への遷移は、電流スパイクを回避するために、共振電流との非常に良い同期を必要とする。他方、このシーケンスは、低電力でのより低い周波数をもたらす結果となる。PWPRはキャリア及び変調器双方を生成するために内部の波形に依存するので、これらの他のパルス・シーケンスを有するPWMRは、優れた遷移挙動、及びコンバータ変数の優れた制御性を持ち続ける。
【0082】
PWMRは任意のスイッチト・モード共振コンバータで使用されることが可能である。これは、中−電力及び高−電力のアプリケーション、例えば医療撮像システム及び電力配分のための電源(スマート・グリッド、再生可能エネルギ)に特に有用である。
【0083】
共振電力コンバータを制御する制御回路及び方法の更なる詳細が、
図5に関連して説明される。
図5は共振電力コンバータを制御する制御回路例のうちの最も関連する要素を示す。電力スイッチM1,M2,M3及びM4が設けられ、共振タンクを電源に接続する。ここで示される電力スイッチはトランジスタの形式におけるものである。共振タンクは実際のトポロジに応じて整流器又は変換器が続く。
【0084】
引き続き
図5を参照し、電流が正であるケースを考える(即ち、上位ノードから共振タンクへ供給され、下位ノードによりスイッチへ戻る)。次に、このようなケースにおいて、スイッチM1及びM4をイネーブルにし、M2及びM3をディセーブルにすることにより、+1レベルが生成される。スイッチM2及びM3をイネーブルにし、M1及びM4をディセーブルにすることにより、−1レベルが生成される。レベル0は2つの異なる方法:M1及びM3をイネーブルにしてM2及びM4をディセーブルにすること;又はM2及びM4をイネーブルにしてM1及びM3をディセーブルにすることの何れかにより生成され得る。
【0085】
ソフト・スイッチングが上記で言及されており、以下のように説明されることが可能である。スイッチングが言及される場合、これは、
図5に示されるようなトランジスタを通じて流れる電流の変化を指す。+1状態では、トランジスタは、電源から共振タンクへ電力を流し(即ち、インバータ電圧及び共振電流は同じ符号を有する);−1状態では、トランジスタは、共振タンクから電源へ電力を流し(即ち、インバータ電圧及び共振電流は異なる符号を有する);0レベルでは、トランジスタは電源を共振タンクから切り離し、その結果、電源及び共振タンクは電力をやりとりしない。
【0086】
トランジスタが切り替わるときはいつでも、スイッチ自体において幾らかの電力が消費又は散逸され(スイッチング損失);これらの損失はトランジスタの2端子における電位差(スイッチングの前及び後)及びスイッチング中にトランジスタに流れる電流に関連付けられる(これは実際に両者の積に関連付けられる)。2つのうち一方の大きさが(ほぼ)ゼロである場合、散逸させられる電力も(ほぼ)ゼロである。そのような場合に「ソフト・スイッチング」と言及される。(電圧及び電流の双方がゼロでない場合の)他のケースでは、「ハード・スイッチング(hard switching)」と言及される。「ハード・スイッチング」におけるスイッチング損失は、「ソフト・スイッチング」におけるものより高く;従って「ソフト・スイッチング」状態における動作が有益である。
【0087】
キャリア及び変調器比較
ここで、キャリア及び変調器信号の比較についての更なる詳細が説明される。
図4に示されるように、各サイクルは、共振電流がゼロである場合に始まり、それが再びゼロに達すると終了する。全てのサイクルは+1状態で始まり、−1状態で終了し、シーケンス+1,0を含むことが可能である。これはキャリア信号の不連続性における最低プロットで取得される。(コンバータの実際の状態によらず)キャリアの周波数が外的に生成される従来のPWMとは異なり、目下のアプローチでは、キャリア周波数(即ち、開始及び終了のイベント)はコンバータにより決定され;この例では共振電流により決定され、共振電流の波形がキャリア信号を生成する基礎となる。周波数波コンバータにより設定されるので、出力を制御するために残された唯一の自由度はデューティ・サイクル(又はスイッチ−OFFイベント)である。各サイクルの中で、コントローラ(制御回路)はキャリア及び変調器信号を比較し、それらが交差する場合に、スイッチをトグルする。
【0088】
線形制御
上述したように、変調器信号は多くの様々な方法で生成されることが可能である。PWMベースのコントローラでは、変調器信号は出力信号及び参照信号を比較することにより、最終的には何らかのフィルタリング/補償とともにしばしば生成される;変調器信号の生成において他の信号も包含され得る(例えば、出力電圧及び内部電流)。具体例として、出力信号及び参照値の間の差分を単に評価することにより、非常に単純な変調器信号が生成され得る。
【0089】
他の実施例において、適切なシステムにおいて、上記の実施形態のうちの何れかに従う方法の方法ステップを実行するように構成されることによって特徴付けられるコンピュータ・プログラム及びコンピュータ・プログラム要素が提供される。
【0090】
従ってコンピュータ・プログラム要素は、実施形態の一部であってもよいコンピュータ・ユニットに格納されてもよい。このコンピュータ・ユニットは、上記の方法のステップを実行する又は実行することを含むように構成されることが可能である。更に、上記の装置及び/又はシステムのコンポーネントを動作させるように構成されてもよい。コンピューティング・ユニットは自動的に動作するように及び/又はユーザーの指示を実行するように構成されることが可能である。コンピュータ・プログラムは、データ・プロセッサのワーキング・メモリにロードされてもよい。従ってデータ・プロセッサは上記の何れかの実施形態に従って方法を実行するように装備されていてもよい。
【0091】
本発明のこの実施例は、もともと初めから本発明を利用しているコンピュータ・プログラム、及び既存のプログラムを本発明を利用するプログラムへ更新により変えるコンピュータ・プログラムの双方をカバーする。
【0092】
更に、コンピュータ・プログラム要素は上述した方法の実施例の手順を充足するのに必要な全てのステップを提供することが可能であってもよい。
【0093】
本発明の更なる実施例によれば、CD−ROM、USBスティック等のコンピュータ読み取り可能な媒体が提供され、コンピュータ読み取り可能な媒体は、そこに保存してもらうコンピュータ・プログラム要素を有し、コンピュータ・プログラム要素は上記のセクションで説明されている。
【0094】
コンピュータ・プログラムは、他のハードウェアとともに又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッド・ステート媒体などの適切な媒体に格納され及び/又は分散されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線の電気通信システム等による他の形式で分散されてもよい。
【0095】
しかしながら、コンピュータ・プログラムはまた、ワールド・ワイド・ウェブのようなネットワーク上で提供されてもよく、そのようなネットワークから、データ・プロセッサのワーキング・メモリへダウンロードされることが可能である。本発明の別の例示的な実施形態によれば、コンピュータ・プログラム要素をダウンロードに利用可能にする媒体が提供され、コンピュータ・プログラム要素は本発明の上述した実施形態のうちの何れかに従う方法を実行するように構成される。
【0096】
本発明の実施形態は様々な対象事項に関連して説明されることに留意を要する。特に、幾つかの実施形態は方法のタイプの請求項に関連して説明されるが、他の実施形態はデバイスのタイプの請求項に関連して説明される。しかしながら、当業者は上記及び下記の説明から、別段の言及がない限り、何れかのタイプの対象事項に帰属する特徴との任意の組み合わせに加えて、異なる対象事項に関する特徴同士の任意の組み合わせもまた本願とともに開示されているものと考えられることを、知るであろう。しかしながら、特徴の単なる重ね合わせを上回る相乗効果を奏する全ての特徴が結合され得る。
【0097】
本発明は図面及び上記の説明において詳細に図示及び記述されているが、そのような図示及び記述は例示又は具体例であって限定ではないように考えられる。本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、本開示、及び従属請求項を学ぶことにより、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され成し遂げられることが可能である。
【0098】
特許請求の範囲において、「有する(comprising)」という言葉は他の要素又はステップを排除しておらず、「ある(“a”or“an”)」という不定冠詞的な言葉は複数を排除していない。単独のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された複数のアイテムの機能を満足してもよい。複数の所定の事項が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なるその事実は、これらの事項の組み合わせが有利に利用され得ないことを示していない。特許請求の範囲における任意の参照符号は範囲を限定するように考えられるべきでない。