特許第6865876号(P6865876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6865876ブロックコポリマーとアクリル接着剤とのブレンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865876
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】ブロックコポリマーとアクリル接着剤とのブレンド
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/02 20060101AFI20210419BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20210419BHJP
   C09J 7/26 20180101ALI20210419BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20210419BHJP
【FI】
   C09J153/02
   C09J133/06
   C09J7/26
   C09J7/38
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-70676(P2020-70676)
(22)【出願日】2020年4月10日
(62)【分割の表示】特願2018-406(P2018-406)の分割
【原出願日】2007年11月6日
(65)【公開番号】特開2020-125480(P2020-125480A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2020年5月8日
(31)【優先権主張番号】60/868,975
(32)【優先日】2006年12月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウェイド,ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゾラー,パヌ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ガドボイス,グレゴリー ビー.
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−501956(JP,A)
【文献】 特表2000−502919(JP,A)
【文献】 特表2003−522275(JP,A)
【文献】 特表2003−522249(JP,A)
【文献】 特表平08−505897(JP,A)
【文献】 特表2007−515525(JP,A)
【文献】 特開平06−228522(JP,A)
【文献】 特開2005−248176(JP,A)
【文献】 国際公開第1996/025469(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2006−0041887(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
(a)式Q−Y:
[式中、
(x)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立に式R−Gを有し、
(i)Rは、第1重合共役ジエン、その水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせを含むゴム状ブロックを表し、
(ii)Gは、第1重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックを表し、
(y)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(z)Yは多官能性カップリング剤の残基である]
で表される多腕ブロックコポリマーである、第1ブロックコポリマーと、
(b)下記(i)と(ii):
(i)第1重合共役ジエン、その水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロック
(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロック
を含む、直鎖ブロックコポリマーである、第2ブロックコポリマーと
を含む、ブロックコポリマー接着剤組成物を、92〜99.9重量部、及び
(B)
i)70〜100重量部の、少なくとも1つの、4〜20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルと、
(ii)0〜30重量部の、共重合された強化モノマーと、
を含む、アクリル接着剤組成物を、0.1〜8重量部未満
み、
前記第1ブロックコポリマーが、少なくとも1つの高分子量ガラス状ブロック、及び少なくとも1つの低分子量ガラス状ブロックを有する、ポリモーダルで非対称な星型ブロックコポリマーであり、前記高分子量ガラス状ブロックの数平均分子量(Mn)と、前記低分子量ガラス状ブロックの数平均分子量(Mn)との比が少なくとも1.25であり、
前記ブロックコポリマー接着剤組成物が、
少なくとも60℃のTgを有し、少なくとも1つのゴム状ブロックに適合する第1高Tg粘着付与剤、又は
少なくとも60℃のTgを有し、少なくとも1つのガラス状ブロックに適合する第2高Tg粘着付与剤
を更に含み、
前記高Tg粘着付与剤と前記ブロックコポリマーとの総量の比が、0.8:1〜1.25:1の範囲であり、
前記強化モノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、N,N’ジメチルアクリルアミド、N,N’ジエチルアクリルアミド、ブチルカルバモイルエチルアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、感圧性接着剤組成物。
【請求項2】
多腕ブロックコポリマーと直鎖ブロックコポリマーとの重量比が、1.5:1〜9:1の範囲である、請求項1に記載の感圧性接着剤組成物。
【請求項3】
前記第2ブロックコポリマーが、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるトリブロックコポリマーである、請求項1又は2に記載の感圧性接着剤。
【請求項4】
第1主表面及び第2主表面を有する発泡体裏材と、第1主表面に接着している第1接着スキンと、を含むテープであって、第1接着スキンが請求項1〜のいずれか一項に記載の圧性接着剤を含む、テープ。
【請求項5】
0.035N/m未満の表面エネルギーをもった第1表面を有する第1基材と、
第2表面を有する第2基材と、
第1基材の第1表面と第2基材の第2表面との間の接着界面であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の感圧性接着剤を含む接着界面と、を含む、接着複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブロックコポリマー系接着剤に関する。具体的には、アクリル変性ブロックコポリマー感圧性接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤及びテープは、一般的に、2個の基材を共に貼り合わせ、接着複合体を形成するのに用いられる。広範な接着剤及びテープが利用可能であるが、基材及び最終用途要件の向上は新規接着剤の配合及びテープの構造に対する必要性を推進し続けている。性能特性に加えて、環境制御及び加工費もまた、製品の配合要件に影響を与える。例えば、幾つかの用途では、溶媒型接着剤よりむしろホットメルト接着剤を使用することが望ましい場合がある。
【0003】
幾つかの取り組みが、接着剤の配合に使用するための新規物質の特定及び開発を目的としているが、既存の原材料の適切な特性を特定し、選択し、組み合わせることにより、更に大きく進歩させ、有用な接着剤及びテープに到達することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
簡潔に言えば、1つの態様では、本開示は、92〜99.9部のブロックコポリマー接着剤組成物と、0.1〜10部未満のアクリル接着剤組成物とを含む感圧性接着剤組成物を提供する。ブロックコポリマー接着剤組成物は、(i)第1重合共役ジエン、その水素添加誘導体又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと、(ii)第1重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックと、を含む第1ブロックコポリマーを含む。アクリル接着剤組成物は、70〜100部の、4〜20個の炭素原子を含有する非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルの少なくとも1つと、0〜30部の共重合強化モノマーとを含む。
【0005】
ある実施形態では、第1ブロックコポリマーは、一般式Q−Y(式中、Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーである。各腕Qは、独立して式R−Gを有し、式中Rはゴム状ブロックを表し、Gはガラス状ブロックを表す。ある実施形態では、第1ブロックコポリマーは、多モードで非対称な星型ブロックコポリマーである。
【0006】
ある実施形態では、感圧性接着剤は、重合第2共役ジエン、その水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせを含む少なくとも1つのゴム状ブロックと、第2重合モノビニル芳香族モノマーを含む少なくとも1つのガラス状ブロックとを含む第2ブロックコポリマーを更に含む。ある実施形態では、第2ブロックコポリマーは直鎖ブロックコポリマーである。
【0007】
ある実施形態では、感圧性接着剤は、少なくとも60℃のTgを有する第1高Tg粘着付与剤であって、少なくとも1つのゴム状ブロックに適合する第1高Tg粘着付与剤を更に含む。ある実施形態では、ブロックコポリマー接着剤組成物は、少なくとも60℃のTgを有する第2高Tg粘着付与剤であって、少なくとも1つのガラス状ブロックに適合する第2高Tg粘着付与剤を更に含む。
【0008】
ある実施形態では、感圧性接着剤はホットメルト接着剤である。ある実施形態では、感圧性接着剤は溶媒型接着剤である。
【0009】
別の態様では、本開示は、第1主表面及び第2主表面を有する発泡体裏材と、第1主表面に接着している第1接着スキンであって、特許請求の範囲のいずれか一項に記載の第1感圧性接着剤を含む第1接着スキンとを含むテープを提供する。ある実施形態では、テープは、第2主表面に接着している第2接着スキンを更に含む。
【0010】
ある実施形態では、裏材は発泡体裏材である。ある実施形態では、発泡体は熱可塑性発泡体を含む。ある実施形態では、発泡体は熱硬化性発泡体を含む。
【0011】
更に別の態様では、本開示は、テープの製造方法を提供する。ある実施形態では、方法は、発泡体裏材を押出成形する工程と、第1感圧性接着剤を共押出成形して、発泡体裏材の第1主表面に接着している第1接着スキンを形成する工程とを含む。ある実施形態では、方法は、第2接着剤を押出成形して、発泡体裏材の第2主表面に接着している第2接着スキンを形成する工程を更に含む。
【0012】
ある実施形態では、方法は、発泡体裏材を提供する工程と、第1感圧性接着剤を含む第1接着剤組成物を、発泡体裏材の第1表面に適用する工程とを含む。ある実施形態では、第1接着剤組成物の適用は積層を含む。
【0013】
ある実施形態では、第1接着剤組成物の適用はコーティングを含み、任意に方法は第1接着剤組成物の架橋を更に含み、任意に第1接着剤組成物の架橋は放射線架橋を含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、第1表面を有する第1基材と、第2表面を有する第2基材と、第1基材の第1表面と第2基材の第2表面との間の接着界面であって、本開示による感圧性接着剤を含む接着界面と、を含む接着複合体を提供する。ある実施形態では、第1表面は、35ダイン/cm未満の表面エネルギーを有する。
【0015】
本開示の上記概要は、本発明の各実施形態を記載することを目的としない。また、本発明の1つ又はそれ以上の実施形態の詳細を以下の明細書に示す。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、明細書及び特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示のある実施形態によるテープの模式図である。
図2】本開示のある実施形態による接着複合体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1つの態様では、本開示は、ブロックコポリマー接着剤組成物とアクリル接着剤組成物の両方を含む感圧性接着剤組成物を提供する。ある実施形態では、感圧性接着剤は、1つ又はそれ以上の追加ブロックコポリマー、1種又はそれ以上の粘着付与剤、他の添加剤、及びこれらの組み合わせを更に含む。
【0018】
ある実施形態では、感圧性接着剤組成物は、少なくとも約90部、ある実施形態では少なくとも約92部、ある実施形態では少なくとも約96部の、ブロックコポリマー接着剤組成物を含む。ある実施形態では、感圧性接着剤組成物は、約99.9部以下、ある実施形態では約99部以下、又は更に約98部以下のブロックコポリマー接着剤組成物を含む。ある実施形態では、感圧性接着剤組成物は、92〜99.9部、ある実施形態では96〜99部のブロックコポリマー接着剤組成物を含む。
【0019】
第1ブロックコポリマーは、ゴム状ブロックR及び少なくとも1個のガラス状ブロックGを含む。ある実施形態では、第1ブロックコポリマーは、少なくとも3つのガラス状ブロックを含む。ある実施形態では、第1ブロックコポリマーは、3以上5以下のガラス状ブロックを含む。ある実施形態では、第1ブロックコポリマーは、4つのガラス状ブロックを含む。
【0020】
ある実施形態では、第1ブロックコポリマーは、一般式Q−Y(式中、Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、Yは多官能性カップリング剤の残基である)を有する多腕ブロックコポリマーである。各腕Qは、独立して式R−Gを有し、式中Gはガラス状ブロックを表し、Rはゴム状ブロックを表す。
【0021】
一般に、ゴム状ブロックは、室温未満のガラス転移温度(Tg)を示す。ある実施形態では、ゴム状ブロックのTgは約0℃未満、又は更に約−10℃未満である。ある実施形態では、ゴム状ブロックのTgは約−40℃未満、又は更に約−60℃未満である。
【0022】
一般に、ガラス状ブロックは、室温を超えるTgを示す。ある実施形態では、ガラス状ブロックのTgは、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、又は更に少なくとも約100℃である。
【0023】
ある実施形態では、ゴム状ブロックは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、共役ジエンは4〜12個の炭素原子を含む。代表的な共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン、及びジメチルブタジエンが挙げられる。重合共役ジエンは、個別に又は互いにコポリマーとして用いることができる。ある実施形態では、共役ジエンは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
ある実施形態では、少なくとも1個のガラス状ブロックが重合モノビニル芳香族モノマーを含む。ある実施形態では、トリブロックコポリマーのガラス状ブロックは両方、重合モノビニル芳香族モノマーを含む。ある実施形態では、モノビニル芳香族モノマーは8〜18個の炭素原子を含む。代表的なモノビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、ビニルピリジン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジ−n−ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、他のアルキル化スチレン、スチレン類似体、及びスチレン同族体が挙げられる。ある実施形態では、モノビニル芳香族モノマーは、スチレン、スチレン適合性モノマー又はモノマーブレンド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0025】
本明細書で使用するとき、「スチレン適合性モノマー又はモノマーブレンド」とは、優先的にポリスチレン又はブロックコポリマーのポリスチレン末端ブロックと結合する、重合又は共重合することができる、モノマー又はモノマーブレンドを指す。適合性は、単量体スチレンとの実際の共重合、ホットメルト又は溶媒処理中ポリスチレン相内の適合性モノマー若しくはブレンド、又は重合モノマー若しくはブレンドの溶解度、又は、処理後の静置時における、モノマー若しくはブレンドとスチレンが豊富な相のドメインとの結合に起因する可能性がある。
【0026】
本開示のある多腕ブロックコポリマーの一般式、Q−Yでは、nは腕の数を表し、少なくとも3の整数である、即ち、多腕ブロックコポリマーは星型ブロックコポリマーである。ある実施形態では、nは3〜10の範囲である。ある実施形態では、nは3〜5の範囲である。ある実施形態では、nは4である。ある実施形態では、nは6以上に相当する。
【0027】
ある実施形態では、第1ブロックコポリマーは多モードブロックコポリマーである。本明細書で使用するとき、「ポリモーダル」という用語は、コポリマーが少なくとも2つの異なる分子量を有するガラス状ブロックを含むことを意味する。このようなブロックコポリマーはまた、少なくとも1つの「高」分子量ガラス状ブロック、及び少なくとも1つの「低」分子量ガラス状ブロックを有することにより特徴付けることができ、ここで高及び低という用語は互いに相対的に用いられる。ある実施形態では、高分子量ガラス状ブロックの数平均分子量(Mn)と、低分子量ガラス状ブロックの数平均分子量(Mn)との比は、少なくとも約1.25である。
【0028】
ある実施形態では、(Mn)は約5,000〜約50,000の範囲である。ある実施形態では、(Mn)は少なくとも約8,000であり、またある実施形態では少なくとも約10,000である。ある実施形態では、(Mn)は約35,000以下である。ある実施形態では、(Mn)は約1,000〜約10,000の範囲である。ある実施形態では、(Mn)は少なくとも約2,000であり、またある実施形態では少なくとも約4,000である。ある実施形態では、(Mn)は約9,000未満であり、またある実施形態では約8,000未満である。
【0029】
ある実施形態では、第1ブロックコポリマーは非対称なブロックコポリマーである。本明細書で使用するとき、「非対称」という用語は、ブロックコポリマーの腕の全てが同一とは限らないことを意味する。一般に、多モードブロックコポリマーは、ガラス状ブロックの分子量が全て同じとは限らないので、多モードブロックコポリマーの全ての腕が同一とは限らないため、非対称なブロックコポリマー(即ち、多モードで非対称なブロックコポリマー)である。ある実施形態では、本開示のブロックコポリマーは、多モードで非対称なブロックコポリマーである。非対称な多モードブロックコポリマーを製造する方法は、例えば、米国特許第5,296,547号に記載されている。
【0030】
一般に、多官能性カップリング剤は、任意のポリアルケニルカップリング剤又は、リビングポリマーのカルバニオンと反応して架橋ポリマーを形成することができる官能基を有することが知られている他の物質であってよい。ポリアルケニルカップリング剤は、脂肪族、芳香族又は複素環式であってよい。代表的な脂肪族ポリアルケニルカップリング剤としては、ポリビニル及びポリアルキルアセチレン、ジアセチレン、リン酸塩、亜リン酸塩、及びジメタクリレート(例えば、エチレンジメタクリレート)が挙げられる。代表的な芳香族ポリアルケニルカップリング剤としては、ポリビニルベンゼン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルナフタレン、及びジビニルジュレンが挙げられる。代表的なポリビニル基としては、ジビニル、トリビニル及びテトラビニル基が挙げられる。ある実施形態では、ジビニルベンゼン(DVB)を用いることもでき、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン、及びこれらのブレンドを挙げることができる。代表的な複素環式ポリアルケニルカップリング剤としては、ジビニルピリジン、及びジビニルチオフェンが挙げられる。他の代表的な多官能性カップリング剤としては、ハロゲン化ケイ素、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリケトン、ポリ無水物(polyanhydride)、及びジカルボン酸エステルが挙げられる。
【0031】
ある実施形態では、本開示の感圧性接着剤組成物は、少なくとも約0.1部、ある実施形態では少なくとも約0.5部、少なくとも約1部、又は更に少なくとも約2部のアクリル接着剤組成物を含む。ある実施形態では、本開示の感圧性接着剤組成物は、約10部以下、ある実施形態では約8部以下、約5部以下、又は更に約4部以下のアクリル接着剤組成物を含む。
【0032】
ある実施形態では、非三級アルキルアルコールは4〜20個の炭素原子を含有する。代表的なアクリル酸エステルとしては、アクリル酸イソオクチル、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、アクリル酸イソボルニル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。代表的なメタクリル酸エステルとしては、これらのアクリル酸エステルのメタクリレート類似体が挙げられる。
【0033】
ある実施形態では、アクリル接着剤組成物は、非三級アルキルアルコールのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの少なくとも1つの反応生成物と、任意に、少なくとも1つの共重合強化モノマーを含む。ある実施形態では、アクリル接着剤組成物は、少なくとも約70部、ある実施形態では少なくとも約80部、少なくとも約90部、少なくとも約95部、又は更に約100部の、少なくとも1つの非三級アルキルアルコールのアクリル酸又はメタクリル酸エステルを含む。ある実施形態では、アクリル接着剤組成物は、約30部以下、ある実施形態では約20部以下、約10部以下、約5部以下、及び更に1部以下の、少なくとも1つの共重合強化モノマーを含む。ある実施形態では、アクリル接着剤組成物は、共重合強化モノマーを含まない。
【0034】
ある実施形態では、共重合強化モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、N,N’ジメチルアクリルアミド、N,N’ジエチルアクリルアミド、ブチルカルバモイルエチルアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0035】
ある実施形態では、ブロックコポリマー接着剤組成物は、第2ブロックコポリマーを含む。ある実施形態では、第2ブロックコポリマーは直鎖ブロックコポリマーであってよい。直鎖ブロックコポリマーは、式
R−(G)
(式中、Rはゴム状ブロックを表し、Gはガラス状ブロックを表し、ガラス状ブロックの数であるmは1又は2である)により記述することができる。ある実施形態では、mは1であり、直鎖ブロックコポリマーは1個のゴム状ブロックと1個のガラス状ブロックを含むジブロックコポリマーである。ある実施形態では、mは2であり、直鎖ブロックコポリマーは、2個のガラス状末端ブロックと1個のゴム状中央ブロックを含む、即ち、直鎖ブロックコポリマーはトリブロックコポリマーである。
【0036】
ある実施形態では、第2ブロックコポリマーのゴム状ブロックは、重合共役ジエン、その水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、共役ジエンは4〜12個の炭素原子を含む。第2ブロックコポリマーで有用な代表的な共役ジエンとしては、上記の代表的な共役ジエンのいずれかが挙げられる。
【0037】
ある実施形態では、少なくとも1つのガラス状ブロック、ある実施形態では、第2ブロックコポリマーの各ガラス状ブロックが、重合モノビニル芳香族モノマーを含む。ある実施形態では、モノビニル芳香族モノマーは8〜18個の炭素原子を含む。第2ブロックコポリマーで有用な代表的な重合モノビニル芳香族モノマーとしては、上記代表的な重合モノビニル芳香族モノマーのいずれかが挙げられる。
【0038】
ある実施形態では、本開示のブロックコポリマー接着剤組成物は、少なくとも60摂氏温度(℃)のガラス転移温度(Tg)を有する第1高Tg粘着付与剤を含む。本明細書で使用するとき、「高ガラス転移温度粘着付与剤」及び「高Tg粘着付与剤」という用語は、少なくとも60℃のガラス転移温度を有する粘着付与剤を指す。ある実施形態では、第1高Tg粘着付与剤のTgは、少なくとも65℃、又は更に少なくとも70℃である。ある実施形態では、第1高Tg粘着付与剤は、少なくとも約115℃の軟化点を有し、またある実施形態では、少なくとも約120℃の軟化点を有する。
【0039】
第1高Tg粘着付与剤は、主に第1ブロックコポリマーのゴム状ブロックに適合する。ある実施形態では、第1高Tg粘着付与剤はまた、第2ブロックコポリマーのゴム状ブロックにも適合する。ある実施形態では、第1高Tg粘着付与剤は、主に、第1、任意に第2ブロックコポリマーのゴム状ブロックに適合する。
【0040】
本明細書で使用するとき、粘着付与剤は、ブロックと混和性である場合、ブロックに「適合する」。一般に、ブロックと粘着付与剤との混和性は、そのブロックのTgに対する粘着付与剤の効果を測定することにより決定できる。粘着付与剤がブロックと混和性である場合、粘着付与剤はそのブロックのTgを変化させる(例えば、上昇させる)。
【0041】
粘着付与剤は、少なくともそのブロックと混和性である場合、ブロックと「主に適合」するが、他のブロックとも混和性である場合がある。例えば、主にゴム状ブロックに適合する粘着付与剤は、ゴム状ブロックと混和性であるが、ガラス状ブロックとも混和性である場合がある。
【0042】
一般に、比較的低い溶解パラメータを有する樹脂は、ゴム状ブロックと結合する傾向があるが、そのガラス状ブロックへの溶解度は、これらの樹脂の分子量又は軟化点が低下するとき、上昇する傾向がある。主にゴム状ブロックに適合する代表的な粘着付与剤としては、重合テルペン、ヘテロ官能性テルペン、クマロン−インデン樹脂、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、水素添加ロジン酸、C5脂肪族樹脂、C9水素添加芳香族樹脂、C5/C9脂肪族/芳香族樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、C5/C9及びジシクロペンタジエン前躯体由来の水素添加炭化水素樹脂、水素添加スチレンモノマー樹脂、及びこれらのブレンドが挙げられる。
【0043】
ある実施形態では、ブロックコポリマー接着剤組成物は、主に第1ブロックコポリマーのガラス状ブロック(単数又は複数)、任意に、第2ブロックコポリマーのガラス状ブロック(単数又は複数)に適合する第2高Tg粘着付与剤を含む。一般に、ガラス状ブロックに主に適合する粘着付与剤は、ガラス状ブロックと混和性であり、またゴム状ブロックと混和性である場合もある。
【0044】
一般に、比較的高い溶解パラメータを有する樹脂は、ガラス状ブロックと結合する傾向があるが、これらの樹脂の分子量又は軟化点が低下するとき、ゴム状ブロックへの溶解性が上昇する傾向がある。主にガラス状ブロックに適合する代表的な粘着付与剤としては、クマロン−インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、C9芳香族、α−メチルスチレン、C9/C5芳香族修飾脂肪族炭化水素、及びこれらのブレンドが挙げられる。
【0045】
ある実施形態では、本開示の感圧性接着剤は、低Tg粘着付与剤、可塑剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の成分を更に含む。本明細書で使用するとき、「低ガラス転移温度粘着付与剤」という用語は、60℃未満のガラス転移温度を有する粘着付与剤を指す。代表的な低Tg粘着付与剤としては、ポリブテンが挙げられる。
【0046】
一般に、可塑剤は、直鎖ブロックコポリマーの1個若しくはそれ以上のブロック及び/又は多腕ブロックコポリマーの1個若しくはそれ以上のブロックに適合する。一般に、ブロックに適合する可塑剤は、そのブロックと混和性であり、かつ、そのブロックのTgを低下させる。代表的な可塑剤としては、ナフテン油、液体ポリブテン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、及び液体イソプレンポリマーが挙げられる。
【0047】
ある実施形態では、多腕ブロックコポリマーと、直鎖ブロックコポリマーとの比は、1.5:1〜9:1の範囲である。ある実施形態では、多腕ブロックコポリマーと、直鎖ブロックコポリマーとの比は、少なくとも1.85:1、又は少なくとも3:1でさえある。ある実施形態では、多腕ブロックコポリマーと、直鎖ブロックコポリマーとの比は、5.7:1以下、又は更に4:1以下である。
【0048】
ある実施形態では、高ガラス転移温度粘着付与剤と、ブロックコポリマーとの総量の比は、0.8:1〜1.25:1の範囲である。ある実施形態では、高Tg粘着付与剤と、ブロックコポリマーとの総量の比は、少なくとも0.85:1、又は更に少なくとも0.9:1である。ある実施形態では、高Tg粘着付与剤と、ブロックコポリマーとの総量の比は、1.15:1以下、又は更に1.1:1以下である。
【0049】
ある実施形態では、ゴム状ブロック適合性高Tg粘着付与剤と、ガラス状ブロック適合性高Tg粘着付与剤との比は、1:1〜9:1の範囲である。ある実施形態では、ゴム状ブロック適合性高Tg粘着付与剤と、ガラス状ブロック適合性高Tg粘着付与剤との比は、少なくとも1.25:1、又は更に少なくとも1.5:1である。ある実施形態では、ゴム状ブロック適合性高Tg粘着付与剤と、ガラス状ブロック適合性高Tg粘着付与剤との比は、4:1以下、又は更に3:1以下である。
【0050】
ある実施形態では、ブロックコポリマー及び高Tg粘着付与剤の組み合わせと、アクリレート成分との比は、少なくとも8.3:1である。ある実施形態では、ブロックコポリマー及び高Tg粘着付与剤の組み合わせと、アクリレート成分との比は、少なくとも12.5:1、少なくとも22:1、少なくとも90:1、又は更に少なくとも180:1である。ある実施形態では、感圧性接着剤は、10重量%以下、ある実施形態では8重量%以下、4重量%以下、1重量%以下、又は更に0.5重量%以下のアクリレート成分を含む。
【0051】
ある実施形態では、ブロックコポリマー、高Tg粘着付与剤、及びアクリレート成分の組み合わせと、液体可塑剤との比が、32:1〜10:1の範囲である。ある実施形態では、ブロックコポリマー、高Tg粘着付与剤及びアクリレート成分の組み合わせと、アクリレート成分との比が、25:1以下、又は更に20:1以下である。ある実施形態では、ブロックコポリマー、高Tg粘着付与剤、及びアクリレート成分の組み合わせと、アクリレート成分との比が、少なくとも12.5:1である。
【0052】
ある実施形態では、本開示の感圧性接着剤はホットメルト接着剤である。本明細書で使用するとき、ホットメルト接着剤は、通常の室温を著しく上回る加工温度で基材又は薄層のキャリア上にコーティングすることができるが、室温で有用な感圧性接着特性を保持するような、融解粘度プロファイルを有するポリマー又は混合されたポリマー材料である。
【0053】
本発明の感圧性接着剤組成物は、当該技術分野において既知の方法を用いて製造することができる。例えば、それらは、ブロックコポリマー、好適な粘着付与剤、任意の可塑剤(単数又は複数)、及び任意の他の添加剤を好適な溶媒に溶解させ、従来の手段(例えば、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ロッドコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング、エアナイフコーティング)を用いて基材(例えば、剥離ライナ、テープ裏材、芯又はパネル)上にコーティングすることにより、製造できる。ある実施形態では、感圧性接着剤は、実質的に溶媒を含まないプロセス(即ち、接着剤が約20重量%以下、ある実施形態では約10重量%以下、ある実施形態では約5重量%以下、ある実施形態では1重量%以下の溶媒しか含有しない、又は微量の溶媒さえ含まない(即ち、本質的に溶媒を含まない))で調製される。このような実質的に溶媒を含まないプロセスは既知であり、例えばカレンダ加工(calendaring)又はロール練りによる配合、及び押出成形(例えば、単軸、2軸、ディスクスクリュー、往復単軸、ピンバレル単軸等)が挙げられる。ブラベンダー(BRABENDER)又はバンバリー(BANBURY)密閉式ミキサーのような市販の設備もまた、接着剤組成物をバッチ混合するために利用可能である。配合後、接着剤をコーティングし、ダイを通して接着層のような所望の形態にすることができる、又は後で成形するために集めてもよい。
【0054】
別の態様では、本開示は、裏材と、裏材の少なくとも1つの主表面に接着した感圧性接着剤とを含むテープを提供する。ある実施形態では、テープは芯と、芯の両方の主表面に接着しているスキン接着剤とを含み、少なくとも1個のスキン接着剤は感圧性接着剤である。ある実施形態では、両方のスキン接着剤が感圧性接着剤である。ある実施形態では、両方のスキン接着剤が同じ接着剤である。ある実施形態では、スキン接着剤は異なる接着剤である。
【0055】
本明細書で使用するとき、「芯」という用語は、両面テープ構造、即ち、裏材又は芯の両方の主表面上に接着層を有するテープ構造を指すとき、「裏材」という用語と互換的に用いることができる。
【0056】
本開示のテープの少なくとも1つのスキン接着剤は、本明細書に記載したような、ブロックコポリマー接着剤組成物とアクリル接着剤組成物とのブレンドを含む感圧性接着剤である。ある実施形態では、第2スキン接着剤は、加熱活性化接着剤であってよい。ある実施形態では、両方のスキン接着剤が、本明細書に記載したような、ブロックコポリマー接着剤組成物とアクリル接着剤組成物とのブレンドを含む感圧性接着剤である。
【0057】
ある実施形態では、1種又はそれ以上のスキン接着剤を、裏材又は芯の主表面に直接接着することができる。ある実施形態では、1種又はそれ以上のスキン接着剤を、裏材又は芯の主表面に間接的に接着することができる。ある実施形態では、例えば下塗層を、スキン接着剤と主表面との間に挿入することができる。有用な下塗剤は、一般に既知であり、例えば、米国特許第5,677,376号(グローブズ(Groves))及び同第5,605,964号(グローブズ)に記載されている下塗剤が挙げられる。
【0058】
任意の既知の裏材又は芯を用いることができる。代表的な裏材としては、紙及び高分子フィルム(例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル及びポリプロピレン)、金属ホイル、並びに、織布及び不織布ウェブが挙げられる。ある実施形態では、発泡体、例えば連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体を含む裏材又は芯を用いることができる。ある実施形態では、発泡体は熱可塑性フォームを含んでよい。ある実施形態では、発泡体は熱硬化性発泡体を含んでよい。代表的な発泡体としては、アクリル発泡体、ポリエチレン発泡体、及びポリウレタン発泡体が挙げられる。代表的な発泡体はまた、例えばポリマー発泡体ハンドブック(Handbook of Polymer Foams)、デイビッド・イーブス(David Eaves)編、ショーベリー(Shawbury)(シュロプシャー、シュルーズベリー(Shropshire, Shrewsbury)、英国)出版、ラプラ・テクノロジー(Rapra Technology)、2004年にも記載されている。
【0059】
図1を参照すると、本開示のある実施形態による代表的なテープ10は、裏材(又は芯)30及び2つの接着層を含む。第1接着層20は、裏材30の第1主表面31に接着し、一方第2接着層40は裏材30の第2主表面32に接着している。図1に示すように、第1接着層20及び第2接着層40は両方、裏材30の主表面に直接接着している。ある実施形態では、一方又は両方の接着層を、裏材30に間接的に接着することができる。例えば、ある実施形態では、1層又はそれ以上の追加層(例えば、下塗、接着促進層、フィルム、ウェブ、スクリム等)を、裏材と接着層との間に挿入することができる。
【0060】
別の態様では、本開示は接着複合体を提供する。本明細書で使用するとき、接着複合体は、第1主表面を有する第1基材と、第1主表面を有する第2基材とを含み、第1基材の第1主表面は接着界面を介して第2基材の第1主表面に接着している。本開示の接着複合体では、接着界面は、芯の第1主表面に接着している第1スキン接着剤と、芯の第2主表面に接着している第2スキン接着剤とを有する芯を含む。本開示の接着界面の少なくとも1つのスキン接着剤は、本明細書に記載するような、ブロックコポリマー接着剤組成物とアクリル接着剤組成物とのブレンドを含む。ある実施形態では、両方のスキン接着剤が、本明細書に記載したような、ブロックコポリマー接着剤組成物とアクリル接着剤組成物とのブレンドを含む感圧性接着剤である。
【0061】
ある実施形態では、第1基材は、金属、ガラス、セラミック又はポリマー材料、及びこれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、第1基材は、下塗りされた表面、塗面、又はポリマー表面を備える。ある実施形態では、塗面は、自動車塗料又はクリアコートを含んでよい。
【0062】
ある実施形態では、第1基材の第1主表面は、低表面エネルギー表面である。本明細書で使用するとき、低表面エネルギー表面とは、測定された表面エネルギーが約35ダイン/cmを下回る表面を意味する。表面の表面エネルギーは、ASTM規格D2578に従って試験することができる。好適な試験キットとしては、例えば、ダイバーシファイド・エンタープライズ(Diversified Enterprises)(ニューハンプシャー州クレアモント(Claremont))から入手可能な、ACCU−DYNE表面湿潤性キット(ACCU-DYNE surface wetability kit)が挙げられる。
【0063】
ある実施形態では、第2基材は、金属、ガラス、セラミック、又はポリマー材料、及びこれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、第2基材は、下塗りされた表面、塗面、又はポリマー表面を備える。ある実施形態では、塗面は、自動車塗料又はクリアコートを含んでよい。ある実施形態では、第2基材の第1主表面は、低表面エネルギー表面である。
【0064】
ある実施形態では、接着界面の芯は、発泡体、例えば連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体を含む。ある実施形態では、発泡体は熱可塑性発泡体を含む。ある実施形態では、発泡体は熱硬化性発泡体を含む。ある実施形態では、発泡体はアクリル発泡体を含む。ある実施形態では、発泡体は可撓性発泡体である。一般に、可撓性発泡体は、シート形であるとき、破砕することなくそれ自体の上に折れ曲がることができる発泡体である。代表的な発泡体は、例えば、ポリマー発泡体ハンドブック(Handbook of Polymer Foams)、デイビッド・イーブス(David Eaves)編、シュルーズベリー(Shrewsbury)(シュロプシャー、シュルーズベリー(Shropshire, Shrewsbury)、英国)出版、ラプラ・テクノロジー(Rapra Technology)、2004年に記載されている。
【0065】
図2を参照すると、本開示のある実施形態による代表的な接着複合体50は、接着界面110を介して第2基材70に接着している第1基材60を含む。接着界面110は、裏材(又は芯)130及び2層の接着層を含む。第1接着層120は裏材130の第1主表面に接着し、一方第2接着層140は裏材130の第2主表面に接着している。図2に示すように、第1接着層120及び第2接着層140は両方、裏材130の主表面に直接接着している。ある実施形態では、接着層の一方又は両方が、裏材130に間接的に接着していてもよい。
【0066】
図2に示すように、ある実施形態では、第1接着層120は第1基材60の主表面61に直接接着している。同様に、ある実施形態では、第2接着層140は、第2基材70の主表面71に直接接着している。ある実施形態では、接着層の一方又は両方が、基材の主表面に間接的に接着していてもよい。例えば、ある実施形態では、1層又はそれ以上の追加層(例えば、下塗層、接着促進層、フィルム、ウェブ、スクリム等)を、接着層と基材との間に挿入することができる。
【0067】
別の態様では、本開示は、裏材又は芯を含むテープの製造方法であって、裏材又は芯が上記のような発泡体を含む方法を提供する。テープは少なくとも1つのスキン接着剤を含み、該少なくとも1つのスキン接着剤は、本明細書で記載するような、ブロックコポリマー接着剤組成物とアクリル接着剤組成物とのブレンドを含む感圧性接着剤である。
【0068】
ある実施形態では、方法は発泡体を押出成形する工程を含む。ある実施形態では、方法は、少なくとも1つのスキン接着剤を押出成形する工程を更に含む。ある実施形態では、発泡体及び少なくとも1つのスキン接着剤は共押出成形される。ポリマー発泡体の押出成形方法及びポリマー発泡体とスキン接着剤との共押出成形方法は、例えば、米国特許第6,103,152号(ゲールセン(Gehlsen)ら)及び同第6,630,531号(カンドプル(Khandpur)ら)に記載されており、これらは両方本出願人に譲渡されており、全文を参照することにより本明細書に組み込むこととする。
【0069】
ある実施形態では、発泡体芯テープの製造方法は、発泡体芯を押出成形する工程と、本明細書で記載するような第1感圧性接着剤を共押出成形して発泡体芯の第1主表面に接着している第1接着スキンを形成する工程とを含む。ある実施形態では、方法は、第2接着剤を押出成形して、発泡体芯の第2主表面に接着している第2接着スキンを形成する工程を更に含む。
【0070】
ある実施形態では、発泡体芯テープの製造方法は、押出成形又は任意の他の既知の手段により製造することができる発泡体芯を提供する工程と、本明細書で記載するような第1感圧性接着剤を含む第1接着剤組成物を発泡体芯の第1表面に適用する工程とを含む。第1接着剤組成物は、例えば、積層又はコーティング(例えば、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ロッドコーティング、カーテンコーティング、スプレーコーティング又はエアナイフコーティング)により適用することができる。
【0071】
ある実施形態では、第2接着剤は、独立して押出成形する、又は、発泡体及び/若しくは第1接着剤と共押出成形することができる。ある実施形態では、第2接着剤は、例えば積層又はコーティングにより、発泡体芯に適用することができる。
【0072】
ある実施形態では、第1及び/又は第2接着剤を硬化してもよい。例えば熱硬化及び放射線硬化等の、任意の既知の硬化プロセスを用いることができる。ある実施形態では、接着剤の一方又は両方を、例えば電子ビーム照射又は紫外線等の化学線への曝露を介して架橋してもよい。
【実施例】
【0073】
以下の特定の、しかし非限定的な実施例が本発明を説明するために役立つ。これらの実施例では、特に指示のない限り、すべての百分率は重量部である。
【0074】
【表1】
【0075】
アクリルポリマーの調製
45部のIOA、45部のBA、10部のAA、0.15部のイルガキュア651、及び0.06部のIOTGを混合することにより、アクリルポリマー(AP−1)を調製した。包装フィルム(CTフィルム(テキサス州ダラス(Dallas)からVA−24フィルムとして販売されている厚さ0.0635mmのエチレンビニルアセテートコポリマーフィルム)から目立たない(Discreet)フィルム包装を形成した。AP−1組成物を、約10センチメートル(cm)×5cm×厚さ0.5cmと測定されたフィルム包装内に密封した。約21℃と約32℃の間に維持された水浴中に浸漬している間、包装を、約3.5ミリワット/平方センチメートル(mW/sq cm)の強度及びNIST単位で測定したとき約1680ミリジュール/平方センチメートル(mJ/sq cm)の総エネルギーを有する紫外線(UV)に曝露した。包装の形成及び硬化方法は、米国特許第5,804,610号の実施例1に記載されており、その全文を参照することにより組み込むこととする。
【0076】
85部の2−EHA、15部のAA、0.15部のイルガキュア651、及び0.8部のIOTGを用いたことを除き、AP−1の手順に従ってアクリルポリマー2(AP−2)を調製した。同様に、95部の2−EHA、5部のAA、0.15部のイルガキュア651、及び0.03部のIOTGを用いたことを除き、アクリルポリマー1の手順に従ってアクリルポリマー3(AP−3)を調製した。AP−2及びAP−3を、AP−1の手順に従って、包装内に入れ、紫外線エネルギーに曝露した。
【0077】
第1スキン接着剤
第2表に示す組成物による感圧性接着剤を、60mmの共回転2軸押出成形機(バーストルフ(Berstorff)から入手可能)(第1接着剤押出成形機)を用いて配合した。多モードで非対称な星型ブロックコポリマー(「PASBC」)を、全文を参照することにより本明細書に組み込む、米国特許第5,393,373号に従って調製した。ポリマーは、ポリスチレン標準を用いて較正したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)により測定した、数平均分子量約6.6E−21g(4,000ダルトン)及び約3.6E−20g(21,500ダルトン)の2つの末端ブロックと、2.1E−19g(127,000ダルトン)〜2.4E−19g(147,000ダルトン)の腕と、約1.8E−18g(1,100,000ダルトン)の星を有していた。ポリスチレン含量は、9.5〜11.5重量%であった。高分子量である腕のモルパーセントは、約30%と推定された。
【0078】
多モードで非対称なブロックコポリマーと直鎖スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)コポリマー(クラトン1161−D)を、第1接着剤押出成形機の第1領域に乾式注入した。ロールフィーダ押出成形機(バーストルフ(Berstorff)から入手可能)を用いて、アクリルポリマーAP−1及びAP−2のいずれかを加熱し、第1接着剤押出成形機の第3領域に注入した。酸化防止剤(イルガノックス1010)、紫外線吸収剤(チヌビン328)、着色EVA(4900CMB)を乾式注入し、(レガライトR1125)、(クマー130)及び(ナイプラスト222B)を、第1接着剤押出成形機の様々な領域に融解注入した。
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
比較例の第1スキン接着剤CE−1〜3
第3表に示す組成に従った感圧性接着剤を、以下を除いて、第1スキン接着剤Adh−1について記載したように、第1接着剤押出成形機内で配合した。これらの比較例の接着剤は、アクリルポリマーを含有せず、したがって非アクリルポリマーを押出成形機の第2領域に注入した。
【0082】
【表4】
【0083】
第2スキン接着剤
12.70%の多モードで非対称な星型ブロックコポリマー(PASBC)、53.10(重量)%のAP−1、23.30%の粘着付与樹脂(エスコレス1310LC)、3.80%の粘着付与樹脂(スーパースターW115)、6.20%の可塑剤(サンチサイザー141)、0.26%の酸化防止剤(イルガノックス1010)、及び0.25%の紫外線吸収剤(チヌビン328)という組成であることを除き、第1スキン接着剤で記載したのと同じ方式で、感圧性接着剤を60mmの共回転2軸押出機(バーストルフ(Berstorff)から入手可能)(「第2接着剤押出成形機」)内で配合した。
【0084】
両面発泡体テープ試料
第4表に示す組成を有する発泡体芯(FC1〜FC5)を、以下の手順に従って配合した。黒色に着色されたEVA(4900 CMB)を、90mmの共回転2軸押出成形機(「芯押出成形機」)(バーストルフ(Berstorff)(ドイツ、ハノーバー(Hannover))から入手可能)の第1領域に乾式注入した。ロールフィーダ押出成形機(バーストルフから入手可能)を用いて、アクリルポリマーAP−2及びAP−3の両方を加熱し、芯押出成形機の第2領域に注入した。デュアライト(DUALITE)U010−185D発泡性微小球(ヘンケル社(Henkel Corporation)(ペンシルバニア州ガルフミルズ(Gulph Mills)から入手可能な、アクリロニトリル及びメタクリルニトリルを含有するシェル組成物、並びに、イソペンタンの芯を有する発泡性微小球)を芯押出成形機の第9領域に注入した。
【0085】
【表5】
【0086】
3層の共押出テープ試料を、第1スキン接着層、中間層としての発泡体芯層、及び第2スキン接着層を共押出成形することにより調製した。実施例1〜11は、本開示のある実施形態による代表的な接着剤(Adh−1〜Adh−11)を用いる。参照例1〜3は、比較例の接着剤CE−1〜CE−3を使用する。テープ構造を第5表に記載する。
【0087】
第2スキン接着剤を、上記のように第2接着剤押出成形機内で配合し、クローレン社(Cloeren Inc.)(テキサス州オレンジ(Orange))から入手した3層のマルチマニフォールドフィルムダイの外層を通した。発泡体芯層を、上記のように芯押出成形機内で配合し、3層ダイの中心層に注入した。第1スキン接着剤を、上記のように第1接着剤押出成形機内で配合し、第2スキン接着剤と反対の、3層ダイの外層に注入した。
【0088】
ダイから出るとき、共押出された層は、シリコーンで剥離コーティングされたキャスティングロール上に注型した。このロールを、約12℃の温度の水で冷却した。冷却した押出品を、キャスティングロールから、厚さ0.117mmの両面をシリコーンでコーティングされたポリエチレン剥離ライナに転写し、キャスティングロールと同じ速度で、ウェブ輸送ラインの末端へ移動させた。第1スキン接着剤は、移動後ライナと接触していたが、一方第2スキン接着剤は外気にさらされていた。ライナは、ライナを混同することなく巻き付けた後、テープを巻き出すのを可能にする、特異な剥離特性を有していた。剥離ライナは当技術分野において周知であり、任意の既知の剥離ライナを使用することができる。典型的には、剥離ライナは、剥離剤でコーティングされたフィルム又は紙基材を含む。市販の剥離ライナとしては、シリコーンコーティングされた紙、及び、ポリエステルフィルムのようなシリコーンコーティングされたフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。好適な剥離ライナはまた、3Mイノベイティブ・プロパティズ社(3M Innovative Properties Company)に譲渡されている、米国特許第6,835,422号、同第6,805,933号、同第6,780,484号、及び同第6,204,350号にも開示されている。
【0089】
発泡体芯及び両方の接着スキンを、ライナ上に支持されている間、電子ビーム硬化を用いてウェブ上で架橋した。テープの反対面上で行う次の2つの照射工程を使用した。第1スキン接着剤はポリエチレンライナを通して照射され、一方第2スキン接着剤は外気にさらした状態で照射された。電子ビームユニットは、第5表で提供する加速電圧及び線量条件に従って操作した、ブロードバンド・カーテン型電子ビーム処理装置(BROADBAND curtain-type electron beam processor)(PCTエンジニアード・システムズ社(PCT Engineered Systems, LLC.)(アイオワ州ダベンポート(Davenport))であった。
【0090】
【表6】
【0091】
フォードモーター社(Ford Motor Co.)の仕様書WSB−M3G138−Bに記載の方法、「分離及び連続引き剥がし接着力(Breakaway and Continuous Peel Adhesion)(BACP)」に従って、硬化した接着テープの、低表面エネルギーの自動車塗料への接着を試験した。引張試験は、分離負荷値、平均連続引き剥がし値及び総エネルギーを算出するようプログラムされたテストワークス4ソフトウェア(TestWorks 4 software)を備えるMTSモデル1122引張試験機(MTSシステムズ社(MTS Systems Corp.)(ミネソタ州イーデンプレーリー(Eden Prairie))を用いて実施した。
【0092】
試験用表面は、ベース電着、着色されたベースコート、及び低表面エネルギーのカルバメート架橋無着色アクリル系クリアコートを含む自動車塗料系で塗装された鋼製パネルであった。実験用テープを、試験用クリアコートに貼着した。試験表面1の表面エネルギー(Accu−ダイン溶液)は33ダイン/cm、試験表面2の表面エネルギーは32ダイン/cmであると測定された。
【0093】
試験用テープを試験用表面に貼った後、試験前に試料を調湿した。まず、試料を3日間室温で調湿した。次に、試料を38℃、相対湿度100%で6日間調湿した。各テープにつき4つの試料を試験し、平均結果を第6表に報告する。試料の各セットで観察された破損モード(単数又は複数)も第6表に報告する。
【0094】
【表7】
【0095】
【表8】
【0096】
本発明の様々な改良及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなる。
図1
図2