(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865894
(24)【登録日】2021年4月8日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】電磁誘導式無線給電システム及びその負荷急変保護回路
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20210419BHJP
A47J 27/08 20060101ALI20210419BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20210419BHJP
【FI】
H05B6/12 331
H05B6/12 332
H05B6/12 324
H05B6/12 308
A47J27/08 Z
H02J50/10
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-522981(P2020-522981)
(86)(22)【出願日】2017年11月15日
(65)【公表番号】特表2021-500718(P2021-500718A)
(43)【公表日】2021年1月7日
(86)【国際出願番号】CN2017111148
(87)【国際公開番号】WO2019080198
(87)【国際公開日】20190502
【審査請求日】2020年4月23日
(31)【優先権主張番号】201721384652.5
(32)【優先日】2017年10月24日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515117198
【氏名又は名称】佛山市▲順▼▲徳▼区美的▲電▼▲熱▼▲電▼器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOSHAN SHUNDE MIDEA ELECTRICAL HEATING APPLIANCES MANUFACTURING CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 帆
(72)【発明者】
【氏名】王 云峰
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼ 露添
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 文▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 庶▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】雷 俊
(72)【発明者】
【氏名】江 ▲徳▼勇
【審査官】
石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2016/0181815(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0133884(US,A1)
【文献】
国際公開第2015/115285(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0333142(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10−50/12
H05B 6/02− 6/44
A47J 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路であって、
前記電磁誘導式無線給電システムは、無線給電側(100)及び無線受信側(200)を備え、前記無線受信側(200)は、共振受信ユニット(210)、前記共振受信ユニット(210)に接続された整流電圧調整ユニット(220)を備え、前記整流電圧調整ユニット(220)は、前記共振受信ユニット(210)が受け取る電気エネルギーを処理することにより、安定化電源VCCを出力し、
前記負荷急変保護回路(230)は、
前記安定化電源VCC及び負荷(10)のそれぞれに接続され、前記負荷(10)が突然にオフになり前記安定化電源VCCの電圧が第1所定電圧よりも高くなる場合に前記負荷(10)をオンにする過電圧保護ユニット(231)と、
前記安定化電源VCC及び前記負荷(10)のそれぞれに接続され、前記負荷(10)が突然にオンになり前記安定化電源VCCの電圧が第2所定電圧より低くなる場合に前記負荷(10)をオフにする不足電圧保護ユニット(232)と、を備える、
ことを特徴とする電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路。
【請求項2】
前記過電圧保護ユニット(231)は、
陰極が前記安定化電源VCC及び前記負荷(10)のそれぞれの正極側に接続される第1定電圧放電管ZD1と、
一端が前記第1定電圧放電管ZD1の陽極に接続される第1抵抗R3と、
ベースBが前記第1抵抗R3の他端に接続され、エミッタEが接地し、コレクターCが前記負荷(10)の負極側に接続される第1トランジスタQ1と、を備え、
前記不足電圧保護ユニット(232)は、
陰極が前記安定化電源VCC及び前記負荷(10)のそれぞれの正極側に接続される第2定電圧放電管ZD4と、
一端が前記第2定電圧放電管ZD4の陽極に接続される第2抵抗R19と、
ベースBが前記第2抵抗R19の他端に接続され、エミッタEが接地する第2トランジスタQ2と、
エミッタEが前記第2トランジスタQ2のコレクターCに接続され、コレクターCが前記負荷(10)の負極側に接続され、ベースBが第3抵抗R4を介して前記無線受信側(200)の主制御チップ(20)に接続され、前記無線受信側(200)の主制御チップ(20)の制御により導通又は遮断する第3トランジスタQ3と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路。
【請求項3】
前記共振受信ユニット(210)は、
前記無線給電側(100)の無線送信コイルL2に適合して設けられ、前記無線送信コイルL2に電磁結合されて前記無線給電側(100)と前記無線受信側(200)との間で電気エネルギーを伝送することを可能にする無線受信コイルL1と、
第1共振コンデンサC3の一端が無線受信コイルL1の一端に接続され、第1共振コンデンサC3の他端が第2共振コンデンサC5の一端に接続され且つ第1ノードJ1を有し、第2共振コンデンサC5の他端が無線受信コイルL1の他端に接続され且つ第2ノードJ2を有する第1共振コンデンサC3及び第2共振コンデンサC5と、を備え、
前記整流電圧調整ユニット(220)は、整流ブリッジ(221)及び定電圧回路(222)を備え、前記整流ブリッジ(221)の第1入力端が前記第1ノードJ1に接続され、前記整流ブリッジ(221)の第2入力端が前記第2ノードJ2に接続され、前記整流ブリッジ(221)の第1出力端が前記定電圧回路(222)に接続され、前記整流ブリッジ(221)の第2出力端が接地し、
前記定電圧回路(222)は、
正極側が前記整流ブリッジ(221)の第1出力端に接続され、負極側が接地する第1電解コンデンサEClと、
一端が前記第1電解コンデンサEC1の正極側に接続され且つ第3ノードJ3を有し、前記定電圧回路(222)が前記第3ノードJ3を介して前記安定化電源VCCを出力する第4抵抗R1と、
一端が前記第4抵抗R1の他端に接続され、他端が接地する第5抵抗R2と、
前記第5抵抗R2に並列接続される第1コンデンサC6と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路。
【請求項4】
前記無線受信側(200)は、通信復調回路(240)及び通信変調回路(250)を備え、前記通信復調回路(240)は、主制御チップ(20)と前記無線受信コイルL1の他端との間に接続され、前記通信変調回路(250)は、前記主制御チップ(20)と前記無線受信コイルL1の一端との間に接続され、前記主制御チップ(20)は、前記無線受信コイルL1及び前記通信復調回路(240)を介して前記無線給電側(100)から送信される通信情報を受信し、前記通信変調回路(250)及び前記無線受信コイルL1を介して前記無線給電側(100)に通信情報を送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載の電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路を備える電磁誘導式無線給電システムを、備える別体式調理器具であって、
前記無線給電側は、別体式調理器具の釜体の内部に設けられ、前記無線受信側は、別体式調理器具の釜蓋の内部に設けられる、
ことを特徴とする別体式調理器具。
【請求項6】
別体式炊飯器又は別体式電気圧力鍋である、
ことを特徴とする請求項5に記載の別体式調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電製品の技術分野に関し、特に電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路、電磁誘導式無線給電システム、及び該電磁誘導式無線給電システムを備える別体式調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
無線給電技術は、無線接続の優位性を生かして、ワイヤ接続による構造のデザインの制限を解消し、応用の将来性が期待できる。たとえば、無線給電技術を別体式加熱プラットフォームに適用すると、載置部分に対する無線給電が実現できる。
【0003】
さらに、無線給電のパワー調整フィードバックは、無線給電通信に基づいており、通信周期が長いため、パワーフィードバックが遅くなるので、負荷が変化すると、パワー放射端子が出力電圧を設定値に調整するのに長い時間がかかり、その結果、出力電圧が明らかに変動し、深刻な場合は、システムの故障を引き起こし、たとえば、負荷が突然に増加すると、出力電圧を低下させ、無線受信側の電源が切れて、システムの作動が停止する可能性があり、一方、負荷が突然に低減すると、出力電圧が突然に上昇し、電圧が急激に上昇し、深刻な場合は、過電圧を引き起こしてチップを焼損する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記技術の技術的課題の1つを少なくともある程度で解決することを目的とする。
【0005】
したがって、本発明の1つの目的は、負荷急変による回路におけるデバイスの破損、システムの作動停止などの問題を解決できる電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路を提供することである。
【0006】
本発明の第2目的は、電磁誘導式無線給電システムを提供することである。
【0007】
本発明の第3目的は、別体式調理器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成させるために、本発明の第1態様は、電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路を提供し、前記電磁誘導式無線給電システムは、無線給電側及び無線受信側を備え、前記無線受信側は、共振受信ユニットと、前記共振受信ユニットに接続された整流電圧調整ユニットとを備え、前記整流電圧調整ユニットは、前記共振受信ユニットが受け取る電気エネルギーを処理することにより、安定化電源を出力し、前記負荷急変保護回路は、前記安定化電源及び負荷のそれぞれに接続され、前記負荷が突然にオフになり前記安定化電源の電圧が第1所定電圧よりも高くなる場合に前記負荷をオンにする過電圧保護ユニットと、前記安定化電源及び前記負荷のそれぞれに接続され、前記負荷が突然にオンになり前記安定化電源の電圧が第2所定電圧より低くなる場合に前記負荷をオフにする不足電圧保護ユニットと、を備える。
【0009】
本発明に係る電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路において、負荷が突然にオフになり安定化電源の電圧が第1所定電圧より高くなる場合、過電圧保護ユニットにより負荷をオンにし、且つ、負荷が突然にオンになり安定化電源の電圧が第2所定電圧より低くなる場合、不足電圧保護ユニットにより負荷をオフにする。それによって、負荷急変による回路におけるデバイスの破壊、システムの作動停止などの問題を効果的に解決できる。
【0010】
また、本発明に係る上記電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路は、下記付加的な技術的特徴を有してもよい。
【0011】
具体的には、前記過電圧保護ユニットは、陰極が前記安定化電源及び前記負荷のそれぞれの正極側に接続される第1定電圧放電管と、一端が前記第1定電圧放電管の陽極に接続される第1抵抗と、ベースが前記第1抵抗の他端に接続され、エミッタが接地し、コレクターが前記負荷の負極側に接続される第1トランジスタと、を備える。
【0012】
具体的には、前記不足電圧保護ユニットは、陰極が前記安定化電源及び前記負荷のそれぞれの正極側に接続される第2定電圧放電管と、一端が前記第2定電圧放電管の陽極に接続される第2抵抗と、ベースが前記第2抵抗の他端に接続され、エミッタが接地する第2トランジスタと、エミッタが前記第2トランジスタのコレクターに接続され、コレクターが前記負荷の負極側に接続され、ベースが第3抵抗を介して前記無線受信側の主制御チップに接続され、前記無線受信側の主制御チップの制御により導通又は遮断する第3トランジスタと、を備える。
【0013】
具体的には、前記共振受信ユニットは、前記無線給電側の無線送信コイルに適合して設けられ、前記無線送信コイルに電磁結合されて前記無線給電側と前記無線受信側との間で電気エネルギーを伝送することを可能にする無線受信コイルと、第1共振コンデンサの一端が前記無線受信コイルの一端に接続され、第1共振コンデンサの他端が第2共振コンデンサの一端に接続され且つ第1ノードを有し、前記第2共振コンデンサの他端が前記無線受信コイルの他端に接続され且つ第2ノードを有する第1共振コンデンサ及び第2共振コンデンサと、を備える。
【0014】
具体的には、前記整流電圧調整ユニットは、整流ブリッジ及び定電圧回路を備え、前記整流ブリッジの第1入力端が前記第1ノードに接続され、前記整流ブリッジの第2入力端が前記第2ノードに接続され、前記整流ブリッジの第1出力端が前記定電圧回路に接続され、前記整流ブリッジの第2出力端が接地する。
【0015】
さらに、前記定電圧回路は、正極側が前記整流ブリッジの第1出力端に接続され、負極側が接地する第1電解コンデンサと、一端が前記第1電解コンデンサの正極側に接続され且つ第3ノードを有し、前記定電圧回路が前記第3ノードを介して前記安定化電源を出力する第4抵抗と、一端が前記第4抵抗の他端に接続され、他端が接地する第5抵抗と、前記第5抵抗に並列接続される第1コンデンサと、を備える。
【0016】
さらに、前記無線受信側は、通信復調回路及び通信変調回路を備え、前記通信復調回路は、前記主制御チップと前記無線受信コイルの他端との間に接続され、前記通信変調回路は、前記主制御チップと前記無線受信コイルの一端との間に接続され、前記主制御チップは、前記無線受信コイル及び前記通信復調回路を介して前記無線給電側から送信される通信情報を受信し、前記通信変調回路及び前記無線受信コイルを介して前記無線給電側に通信情報を送信する。
【0017】
上記目的を達成させるために、本発明の第2態様による電磁誘導式無線給電システムは、本発明の第1態様に係る電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路を備える。
【0018】
本発明の電磁誘導式無線給電システムは、上記電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路によって、負荷急変による回路におけるデバイスの破壊、システムの作動停止などの問題を効果的に解決できる。
【0019】
上記目的を達成させるために、本発明の第3態様による別体式調理器具は、本発明の第2態様に係る電磁誘導式無線給電システムを備える。
【0020】
具体的には、前記無線給電側は、別体式調理器具の釜体の内部に設けられ、前記無線受信側は、別体式調理器具の釜蓋の内部に設けられる。
【0021】
さらに、前記別体式調理器具は、別体式炊飯器又は別体式電気圧力鍋である。
【0022】
本発明の別体式調理器具は、上記電磁誘導式無線給電システムによって、負荷急変による回路におけるデバイスの破壊、システムの作動停止などの問題を効果的に解決できる。
【0023】
本発明の付加的な態様の利点は、以下の説明に示され、以下の説明から明らかになり、又は本発明の実施により理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例に係る電磁誘導式無線給電システムの模式図である。
【
図2】本発明の実施例に係る負荷急変保護回路を備える電磁誘導式無線給電システムの模式図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る電磁誘導式無線給電システムの無線受信側の回路模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、前記実施例の例は、図面に示されており、図面を通じて同一又は類似した符号が、同一又は類似した素子又は同一又は類似した機能を有する素子を表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は、例示的であり、本発明を解釈するために過ぎず、本発明を制限するものとして理解できない。
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例に係る電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路、電磁誘導式無線給電システム、及び該電磁誘導式無線給電システムを備える別体式調理器具を説明する。
【0027】
本発明の実施例では、別体式調理器具は、本発明の電磁誘導式無線給電システムを内蔵することができ、別体式調理器具は、別体式炊飯器又は別体式電気圧力鍋であってもよい。
【0028】
図1に示されるように、本発明の実施例に係る電磁誘導式無線給電システムは、無線給電側100及び無線受信側200を備え、無線受信側200は、共振受信ユニット210、共振受信ユニット210に接続された整流電圧調整ユニット220及び整流電圧調整ユニット220に接続された負荷急変保護回路230を備え得る。整流電圧調整ユニット220は、共振受信ユニット210が受け取る電気エネルギーを処理することにより、安定化電源を出力することができる。
【0029】
本発明の一実施例では、
図1に示されるように、無線受信側200は、通信復調回路240及び通信変調回路250を備えることができ、通信復調回路240は主制御チップ20と無線受信コイルL1の他端との間に接続され、通信変調回路250は主制御チップ20と無線受信コイルL1の一端との間に接続され、主制御チップ20は無線受信コイルL1及び通信復調回路240を介して無線給電側100から送信される通信情報を受信し、通信変調回路250及び無線受信コイルL1を介して無線給電側100に通信情報を送信する。
【0030】
本発明の実施例では、無線給電側100は、共振発信ユニット110、コイル駆動回路120、主制御チップ30及び通信復調回路130を備えることができ、共振発信ユニット110はコイル駆動回路120に接続され、コイル駆動回路120は主制御チップ30に接続され、通信復調回路130は主制御チップ30及びコイル駆動回路120のそれぞれに接続される。
【0031】
一例として、別体式調理器具の釜体には、本発明の電磁誘導式無線給電システムの無線給電側100が設けられ、釜蓋には、本発明の電磁誘導式無線給電システムの無線受信側200が設けられると想定する。
【0032】
使用者が調理器具的釜体の電源を入れると、釜体の無線給電側100の主制御チップ30は、コイル駆動回路120が作動し始めて、釜体に設けられた共振発信ユニット110が交番電磁界を発生させるように駆動するように制御する。釜蓋に設けられた共振受信ユニット210は、該交番電磁界を検知すると、該交番電磁界に応じて誘導電圧信号を生成し、次に、釜蓋における整流電圧調整ユニット220は、該誘導電圧信号を処理して安定電源を出力し、釜蓋に設けられた負荷10(圧力検出センサ、温度検出センサ、湿度検出センサ等)に給電する。
【0033】
釜体が電磁誘導によって釜蓋に無線給電する過程において、釜蓋における無線受信側200の主制御チップ20は、検出した無線受信側200の電圧値(たとえば、該電圧値は上記安定電源の電圧値である)を通信変調回路250及び無線受信コイルL1で無線給電側100に送信する。次に、無線給電側100の主制御チップ30は、無線送信コイルL2及び通信復調回路130を介して無線受信側200から送信された電圧値を受信し、送信パワーを調整することで無線受信側200の電圧を調整し、それによって、無線給電の安定性を確保できる。
【0034】
なお、上記実施例で説明された無線給電期間の通信間隔が長く、一般的には20msより長いため、パワー調整に時間がかかり、負荷10が変化する場合、出力電圧(即ち、整流電圧調整ユニット220から出力される安定電源の電圧)が波動しやすく、該電圧を制限しないと、電圧が高い場合、電圧によりデバイスが破壊され、電圧が低い場合、受信システム(即ち、無線受信側200)が復位して作動しないことがある。
【0035】
さらに、
図2は、本発明の実施例に係る負荷急変保護回路を備える電磁誘導式無線給電システムの模式図である。
【0036】
図2に示されるように、本発明の実施例の電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路230は、過電圧保護ユニット231及び不足電圧保護ユニット232を備え得る。
【0037】
過電圧保護ユニット231は、安定化電源及び負荷10のそれぞれに接続され、負荷10が突然にオフになり安定化電源の電圧が第1所定電圧よりも高くなる場合に負荷10をオンにする。不足電圧保護ユニット232は、安定化電源及び負荷10のそれぞれに接続され、負荷10が突然にオンになり安定化電源の電圧が第2所定電圧よりも低くなる場合に負荷10をオフにする。第1所定電圧及び第2所定電圧は、いずれも実際の状況に応じてキャリブレーションすることができる。
【0038】
たとえば、負荷10が突然に切られると、無線給電側100により供給されるパワーが一瞬に過剰となるため、整流電圧調整ユニット220から出力される安定化電源の電圧が一瞬に上昇し、該安定化電源の電圧が第1所定電圧よりも高ければ、主制御チップ20は、過電圧保護ユニット231が負荷10をオンにするように制御することにより、安定化電源の電圧を第1所定電圧以下に維持し、それによって、負荷急変による回路におけるデバイスの破壊を防止できる。
【0039】
負荷10が突然にオンになったとき、無線給電側100が十分なパワーを供給しないので、整流電圧調整ユニット220から出力される安定化電源の電圧が下がり、該安定化電源の電圧が第2所定電圧より低くなれば、主制御チップ20は、不足電圧保護ユニット232が負荷10をオフにするように制御することにより、該安定化電源の電圧を第2所定電圧以上に維持し、それによって、負荷急変による無線受信側200の作動停止の問題を回避する。
【0040】
以下、図面を参照しながら、過電圧保護ユニット231及び不足電圧保護ユニット232の具体的な回路構造を詳細に説明する。
【0041】
本発明の一実施例では、
図3に示されるように、過電圧保護ユニット231は、第1定電圧放電管ZD1、第1抵抗R3及び第1トランジスタQ1を備えることができ、第1定電圧放電管ZD1の陰極は、安定化電源VCC及び負荷10のそれぞれの正極側に接続され、第1抵抗R3の一端は、第1定電圧放電管ZD1の陽極に接続され、第1トランジスタQ1のベースBは、第1抵抗R3の他端に接続され、第1トランジスタQ1のエミッタEは接地し、第1トランジスタQ1のコレクターCは負荷10の負極側に接続される。
【0042】
本発明の別の実施例では、
図3に示されるように、不足電圧保護ユニット232は、第2定電圧放電管ZD4、第2抵抗R19、第2トランジスタQ2及び第3トランジスタQ3を備えることができ、第2定電圧放電管ZD4の陰極は、安定化電源VCC及び負荷10のそれぞれの正極側に接続され、第2抵抗R19の一端は、第2定電圧放電管ZD4の陽極に接続され、第2トランジスタQ2のベースBは、第2抵抗R19の他端に接続され、第2トランジスタQ2のエミッタEは接地し、第3トランジスタQ3のエミッタEは、第2トランジスタQ2のコレクターCに接続され、第3トランジスタQ3のコレクターCは、負荷10の負極側に接続され、第3トランジスタQ3のベースBは、第3抵抗R4を介して無線受信側200の主制御チップ20に接続され、第3トランジスタQ3は、無線受信側200の主制御チップ20の制御により導通又は遮断する。
【0043】
具体的には、
図3に示されるように、負荷10は、第3トランジスタQ3によって制御され、負荷10が突然に切られると、無線給電側100から供給されるパワーが一瞬に過剰となり、整流電圧調整ユニット220から出力される安定化電源VCCの電圧が一瞬に上昇し、このとき、安定化電源VCCの電圧が第1定電圧放電管ZD1の定格電圧(即ち、第1所定電圧)を超えれば、主制御チップ20は、第1トランジスタQ1が導通するように制御し、負荷10を再びオンにすることによって、安定化電源VCCの電圧を低下させ、安定化電源VCCの電圧を制限するという目的を達成させ、即ち、安定化電源VCCの電圧を第1定電圧放電管ZD1の定格電圧以下にする。
【0044】
負荷10が突然にオンになったとき、無線給電側100が十分なパワーを供給しないため、整流電圧調整ユニット220から出力される安定化電源VCCの電圧が下がり、このとき、安定化電源VCCの電圧が第2定電圧放電管ZD4の定格電圧(即ち、第2所定電圧)よりも低ければ、主制御チップ20は、第2トランジスタQ2がオフになり、負荷10をオフにするように制御することによって、安定化電源VCCの電圧を制限するという目的を達成させ、即ち、安定化電源VCCの電圧を第2定電圧放電管ZD4の定格電圧以上にする。
【0045】
前記のとおり、該実施例で説明された安定化電源VCCは、整流電圧調整ユニット220で共振受信ユニット210が受け取る電気エネルギーを処理することによって得られ得る。
【0046】
以下、図面を参照しながら、共振受信ユニット210及び整流電圧調整ユニット220の具体的な回路構造を詳細に説明する。
【0047】
本発明の一実施例では、
図2及び3に示されるように、共振受信ユニット210は、無線受信コイルL1、第1共振コンデンサC3及び第2共振コンデンサC5を備えることができ、無線受信コイルL1は、無線給電側100の無線送信コイルL2に適合して設けられ、無線受信コイルL1は、無線給電側100と無線受信側200との間で電気エネルギーを伝送するように、無線送信コイルL2に電磁結合される。第1共振コンデンサC3の一端は、無線受信コイルL1の一端に接続され、第1共振コンデンサC3の他端は第2共振コンデンサC5の一端に接続され且つ第1ノードJ1を有し、第2共振コンデンサC5の他端は無線受信コイルL1の他端に接続され且つ第2ノードJ2を有する。
【0048】
本発明の別の実施例では、
図3に示されるように、整流電圧調整ユニット220は、整流ブリッジ221及び定電圧回路222を備えることができ、整流ブリッジ221の第1入力端は第1ノードJ1に接続され、整流ブリッジ221の第2入力端は第2ノードJ2に接続され、整流ブリッジ221の第1出力端は定電圧回路222に接続され、整流ブリッジ221の第2出力端は接地する。
【0049】
さらに、
図3に示されるように、整流ブリッジ221は、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第3ダイオードD3及び第4ダイオードD4を備えることができ、第1ダイオードD1の陰極は第3ノードJ3に接続され、第1ダイオードD1の陽極は第3ダイオードD3の陰極及び第1ノードJ1のそれぞれに接続され、第3ダイオードD3の陽極は接地し、第2ダイオードD2の陰極は第3ノードJ3に接続され、第2ダイオードD2の陽極は第4ダイオードD4の陰極及び第2ノードJ2のそれぞれに接続され、第4ダイオードD4の陽極は接地する。
【0050】
定電圧回路222は、第1電解コンデンサEC1、第4抵抗R1、第5抵抗R2及び第1コンデンサC6を備えることができ、第1電解コンデンサEC1の正極側は整流ブリッジ221の第1出力端に接続され、第1電解コンデンサEC1の負極側は接地し、第4抵抗R1の一端は第1電解コンデンサEC1の正極側に接続され且つ第3ノードJ3を有し、定電圧回路222は、第3ノードJ3を介して安定化電源を出力し、第5抵抗R2の一端は第4抵抗R1の他端に接続され、第5抵抗R2の他端は接地し、第1コンデンサC6は第5抵抗R2に並列接続される。
【0051】
具体的には、
図3に示されるように、共振受信ユニット210は、無線受信コイルL1で共振発信ユニット110が生じた交番電磁界を誘導するとともに、第1共振コンデンサC3及び第2共振コンデンサC5で無線受信コイルL1により誘導された交番電磁界を誘導電圧信号に変換する。次に、該誘導電圧信号は、整流ブリッジ221により整流されると誘導電流を生成し、次に、定電圧回路222は、上記の回路構造で該誘導電流を処理して、安定電源VCCを出力する。これに加えて、整流ブリッジ221及び定電圧回路222による処理過程は、従来技術によって実現することができ、ここで詳しく説明しない。
【0052】
前記のとおり、本発明の実施例に係る電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路では、負荷が突然にオフになり安定化電源の電圧が第1所定電圧よりも高くなる場合、過電圧保護ユニットにより負荷をオンにし、負荷が突然にオンになり安定化電源の電圧が第2所定電圧よりも低くなる場合、不足電圧保護ユニットにより負荷をオフにする。それによって、負荷急変による回路におけるデバイスの破壊、システムの作動停止などの問題を効果的に解決できる。
【0053】
また、本発明の実施例は、たとえば
図2に示されるように、上記の負荷急変保護回路を備える電磁誘導式無線給電システムをさらに提供し、ここで詳しく説明しない。
【0054】
本発明の実施例に係る電磁誘導式無線給電システム、上記電磁誘導式無線給電システムの負荷急変保護回路によって、負荷急変による回路におけるデバイスの破壊、システムの作動停止などの問題を効果的に解決できる。
【0055】
さらに、本発明の実施例は、上記電磁誘導式無線給電システムを備える別体式調理器具をさらに提供する。たとえば、別体式調理器具は、別体式炊飯器又は別体式電気圧力鍋などであってもよい。
【0056】
本発明の実施例に係る別体式調理器具は、上記電磁誘導式無線給電システムによって、負荷急変による回路におけるデバイスの破壊、システムの作動停止などの問題を効果的に解決できる。
【0057】
なお、本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「円周方向」などの用語により示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便宜及び説明の簡素化のために過ぎず、示される装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定方位で構造又は操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、したがって、本発明に対する制限として理解できない。
【0058】
さらに、用語「第1」、「第2」は、説明するために過ぎず、相対重要性を指示又は示唆するか、又は示される技術的特徴の数を暗黙的に示すものとして理解できない。それによって、「第1」、「第2」により限定される特徴は、1つ又は複数の該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、「複数」は、特に明確に限定されない限り、2つ以上を意味する。
【0059】
本発明では、明確な規定や限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は、広義で理解すべきであり、たとえば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、又は一体にしてもよいし、機械的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよいし、直接接続されてもよく、媒体物を介して間接的に接続されてもよく、2つの素子の内部が連通してもよく、又は2つの素子が相互作用関係を有してもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解できる。
【0060】
本発明では、明確な規定や限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあるとは、第1、第2特徴が直接接触するか、又は第1、第2特徴が媒体物を介して間接的に接触する。さらに、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるとは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜上方にあるか、又は第1特徴の水平面からの高さが第2特徴のそれよりも高いことを意味する。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるとは、第1特徴が第2特徴の真下又は斜下方にあるか、又は第1特徴の水平面からの高さが第2特徴のそれよりも低いことを意味する。
【0061】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」などの記載は、該実施例又は例を参照しながら説明する具体的な特徴、構造、材料又特性が、本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語の例示的な表現は、同一の実施例又は例を指すとは限らない。さらに、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で組み合わせることができる。さらに、互いに矛盾しない限り、当業者であれば、本明細書に記載されている各種実施例又は例及び各種実施例又は例の特徴を組み合わせることができる。
【0062】
以上、本発明の実施例を示して説明したものの、上記実施例は例示的なものに過ぎず、本発明を制限するものとして理解してはならず、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱せずに上記実施例に対して変化、修正、置換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
10 負荷
20 主制御チップ
30 主制御チップ
100 無線給電側
110 共振発信ユニット
120 コイル駆動回路
130 通信復調回路
200 無線受信側
220 整流電圧調整ユニット
221 整流ブリッジ
222 定電圧回路
231 過電圧保護ユニット
232 不足電圧保護ユニット