特許第6865923号(P6865923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6865923
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20210419BHJP
   E03D 1/26 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   E03D5/10
   E03D1/26
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-171070(P2016-171070)
(22)【出願日】2016年9月1日
(65)【公開番号】特開2017-48675(P2017-48675A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2019年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-173704(P2015-173704)
(32)【優先日】2015年9月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋式
(72)【発明者】
【氏名】柴田 信次
(72)【発明者】
【氏名】三島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 憲和
(72)【発明者】
【氏名】富永 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】小田 勝之助
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀世
(72)【発明者】
【氏名】井上 正明
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−025288(JP,A)
【文献】 特開2012−136915(JP,A)
【文献】 特開2010−189935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を横引管へ排出する水洗大便器であって、
ボウル形状の汚物受け面を有するボウル部と、このボウル部の下方に接続され汚物を排出する排水路と、前記ボウル部に洗浄水を吐水する吐水部と、使用者による洗浄動作に基づいて前記吐水部からの吐水を制御する制御部と、洗浄水を貯水するタンク部と、前記タンク部に洗浄水源から供給される洗浄水を吐水又は止水する給水弁と、前記給水弁を制御する制御部と、前記タンク部から前記吐水部へ洗浄水を排水又は止水する排水弁と、前記タンク部内の水位が止水水位より上昇した場合に前記排水弁を開閉せずにボウル部へ洗浄水を排水するオーバーフロー手段と、を備え、
前記制御は、便器洗浄後に所定時間が経過した際、前記給水弁により前記タンク部内へ洗浄水を供給し、前記オーバーフロー手段により前記ボウル部に洗浄水を吐水する水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗大便器に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗式大便器の使用回数又は使用時間の間隔をカウントし、所定のカウント値に達すると水洗式便器に便器洗浄水とは別に搬送用の水を供給する汚物搬送システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4094797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した汚物搬送システムにおいては、例えば、横引配管内に汚物が停滞した状態にて時間が経過することで、汚物とともに横引配管内に停滞していた洗浄水が無くなることが考えられる。汚物とともに横引配管内に停滞していた洗浄水が無くなった場合、その後、新たに汚物が横引配管内に流れ込むと、停滞していた汚物に新たに流れ込んだ汚物が乗り上げ、横引配管内が閉塞してしまう懸念があった。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、横引配管内にて停滞していた汚物に新たに流れ込んだ汚物が乗り上げてしまうことを抑制することが可能な水洗大便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を横引管へ排出する水洗大便器であって、ボウル形状の汚物受け面を有するボウル部と、このボウル部の下方に接続され汚物を排出する排水路と、前記ボウル部に洗浄水を吐水する吐水部と、使用者による洗浄動作に基づいて前記吐水部からの吐水を制御する制御部と、洗浄水を貯水するタンク部と、前記タンク部に洗浄水源から供給される洗浄水を吐水又は止水する給水弁と、前記給水弁を制御する制御部と、前記タンク部から前記吐水部へ洗浄水を排水又は止水する排水弁と、前記タンク部内の水位が止水水位より上昇した場合に前記排水弁を開閉せずにボウル部へ洗浄水を排水するオーバーフロー手段と、を備え、前記制御は、便器洗浄後に所定時間が経過した際、前記給水弁により前記タンク部内へ洗浄水を供給し、前記オーバーフロー手段により前記ボウル部に洗浄水を吐水する水洗大便器である。
【0007】
このように構成された本発明においては、制御部は、便器洗浄後に所定時間が経過した際、給水弁によりタンク部内へ洗浄水を供給し、オーバーフロー手段によりボウル部に洗浄水を吐水する。そのため、水洗大便器の使用時間間隔が開いて、横引配管内に汚物が停滞した状態にて時間が経過し、汚物とともに横引配管内に停滞していた洗浄水が少なくなってしまっても、オーバーフロー手段により、ボウル部を経て横引配管内に洗浄水が供給され、横引配管内に停滞する洗浄水を補充することができる。従って、停滞していた汚物に新たに流れ込んだ汚物が乗り上げ、横引配管内が閉塞してしまうことを抑制することができる。
【0008】
また、本発明は、洗浄水源から供給される洗浄水により便器を洗浄して汚物を排出する水洗大便器であって、ボウル形状の汚物受け面を有するボウル部と、このボウル部の下方に接続され汚物を排出する排水路と、前記ボウル部に洗浄水を吐水する吐水部と、使用者の局部を洗浄するノズル及び前記ノズルを制御する制御部を有する衛生洗浄装置と、を備え、前記制御部は、便器洗浄後に所定時間が経過した際、前記ノズルにより前記ボウル部に洗浄水を吐水する水洗大便器である。
【0009】
このように構成された本発明においては、制御部は、便器洗浄後に所定時間が経過した際、衛生洗浄装置のノズルによりボウル部に洗浄水を吐水する。そのため、水洗大便器の使用時間間隔が開いて、横引配管内に汚物が停滞した状態にて時間が経過し、汚物とともに横引配管内に停滞していた洗浄水が少なくなってしまっても、ノズルにより、ボウル部を経て横引配管内に洗浄水が供給され、横引配管内に停滞する洗浄水を補充することができる。従って、停滞していた汚物に新たに流れ込んだ汚物が乗り上げ、横引配管内が閉塞してしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水洗大便器によれば、横引配管内にて停滞していた汚物に新たに流れ込んだ汚物が乗り上げてしまうことを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態による水洗大便器を示す部分側面断面図。
図2】本発明の第一実施形態における水洗大便器の制御的な構成を示すブロック図。
図3】本発明の第一実施形態における水洗大便器の動作を示すフローチャート。
図4】本発明の第一実施形態の変形例による水洗大便器を示す部分側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の第一実施形態による水洗大便器について説明する。
まず、図1により本発明の第一実施形態による水洗大便器の構成について説明する。図1は本発明の第一実施形態による水洗大便器を示す部分側面断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る水洗大便器1は、サイホン作用により汚物を押し流す、いわゆる、サイホン式の水洗大便器であり、この水洗大便器1は、床面Fに載置される陶器製の便器本体2(便器)を備え、この便器本体2の上部の前方側にはボウル部4が形成され、便器本体2の中央後方側の下方にはボウル部4と連通する排水トラップ管路8(排水路)が、それぞれ形成されている。
【0013】
本実施形態における水洗大便器1は、洗浄水源Sから電磁弁である給水弁5を介して供給された洗浄水を貯水する貯水タンク10(タンク部)を備える。貯水タンク10内には電磁弁である排水弁15が設けられ、使用者の操作レバー11の操作により、排水弁15が開いて便器本体2の吐水部20に洗浄水が供給されるようになっている。
また、貯水タンク10は、その内部の水位が止水水位より上昇した場合に排水弁15を開閉せずにボウル部4へ洗浄水を排水するオーバーフロー手段7を有する。
なお、本実施形態においては、操作レバー11への操作により吐水部20に洗浄水が供給されるが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、リモコンのスイッチへの操作や、人体検知センサによる使用者の検知等の他の使用者の洗浄動作により吐水部へ洗浄水が供給されてもよい。
【0014】
また、水洗大便器1は、使用者による洗浄動作に基づいて吐水部20からの吐水を制御する制御部6を備える。制御部6についての詳細は後述する。
【0015】
ボウル部4は、ボウル形状に形成された汚物受け面14と、ボウル部4の全周の上方外側に形成されて便器の上部縁を形成するリム部16とを備えている。また、ボウル部4の下方には、溜水部18が形成されている。この溜水部18には洗浄水が毎回の洗浄後に所定量まで貯溜されて溜水面Wが形成されている。この溜水部18の下方には、上述した排水トラップ管路8の入口8aが開口し、排水トラップ管路8の下降路8bの下端は排水ソケット9を介して床下の横引配管12に接続されている。
【0016】
貯水タンク10から供給される洗浄水は、排水弁15を経て、吐水口20からリム部16と汚物受け面14との間の面上且つリム部16の内周壁面上に便器前方方向に吐水されて旋回流が形成され、この旋回流がリム部16の内周壁面から汚物受け面14上を溜水部18の方向に旋回しながら流下する下降流が形成されるようになっている。
【0017】
次に、図2を参照して本発明の第一実施形態における水洗大便器の制御部の機能的な構成について説明する。図2は本発明の第一実施形態における水洗大便器の制御的な構成を示すブロック図である。
制御部6は、時刻を計時する計時手段62と、メモリ64(記憶手段)とを有し、操作レバー11や貯水タンク10内に設けられた水位センサ(図示せず)から出力される信号を受け取って所定の情報処理を行い、その情報処理の結果実行する制御に応じた制御信号を給水弁11、排水弁15に出力する。その結果、制御部6は、洗浄動作検知手段、時刻比較手段、洗浄工程実施手段、洗浄水量判断手段として機能する。このように構成された制御部6は、水洗大便器1の使用状況の特性や使用者の特性に合わせて様々な制御を行うことが可能になる。
【0018】
制御部6は、使用者による操作レバー11への操作を検知する洗浄動作検知手段と、洗浄動作検知手段が操作レバー11への操作を検知した時刻と所定時間帯とを比較する時刻比較手段と、洗浄動作検知手段が操作レバー11への操作を検知した時刻に基づき、メモリ64に記憶された前回の操作レバー11への操作を検知した時刻からの経過時間と所定間隔とを比較する間隔比較手段と、を有する。
さらに、制御部6は、吐水部20から洗浄水を吐水させて、汚物受け面14を洗浄し汚物を排水トラップ管路8に向けて流すための第一洗浄、及び、この第一洗浄に続き、汚物に後続して洗浄水を排水トラップ管路8に向けて流す第二洗浄を実施する洗浄工程実施手段を有する。
また、制御部6は、時刻比較手段の比較結果に基づいて、洗浄動作検知手段が操作レバー11への操作を検知した時刻が所定時間帯内である場合、第二洗浄の洗浄水量を上昇させる時間帯洗浄水量判断手段と、間隔比較手段の比較結果に基づいて、前回の操作レバー11への操作を検知した時刻からの経過時間が所定間隔を越えていた場合、第一洗浄の洗浄水量を上昇させる経過時間洗浄水量判断手段と、を有する。
【0019】
次に、図3を参照して本発明の第一実施形態における水洗大便器の動作について説明する。図3は本発明の第一実施形態における水洗大便器の動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、使用者が操作レバー11を使用者が操作することで、便器洗浄操作が行われる(ステップS302)。便器洗浄操作が行われると、制御部6は、この時刻を時刻Aとしてメモリ64に記憶する(ステップS304)。
【0020】
次に、制御部6は、排水弁15を駆動させ、吐水部20から洗浄水を吐水させることで洗浄工程実施手段により通常洗浄である便器洗浄aを実施する(ステップS306)。この際、吐水部20から洗浄水を吐水させて、汚物受け面14を洗浄し汚物を排水トラップ管路8に向けて流すための第一洗浄の洗浄水量は2.4L(リットル)であり、第一洗浄に続き、汚物に後続して洗浄水を排水トラップ管路8に向けて流す第二洗浄の洗浄水量も同様に2.4Lである。
【0021】
次に、制御部6は、メモリ64に記憶している時刻Aから所定時間Eが経過しているか否かを判断する(ステップS308)。時刻Aから所定時間Eが経過している場合(ステップS308:YES)、排水弁15を閉止した状態で給水弁5を開放し、貯水タンク10内へ洗浄水を供給する。その結果、貯水タンク10内の水位が止水水位よりも上昇し、オーバーフロー手段7により、排水弁15を開閉することなく、ボウル部4へ洗浄水を供給する。これにより、溜水部18に洗浄水が供給され、排水トラップ管路8から横引配管12へと洗浄水が供給される。
これにより、横引配管12において停滞する汚物の上流側の洗浄水を補充することができる。
なお、本実施形態においては、オーバーフロー手段7によりボウル部4へ洗浄水を供給したが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、他の手段により供給されてもよい。例えば、図4に示すように、制御部220により制御され使用者の局部を洗浄するノズル210を有した衛生洗浄装置200を便器本体2に設け、オーバーフロー手段7に代えて、ノズル210からボウル部4へ洗浄水を吐水してもよい。この際、制御部220は第一実施形態における制御部6と同様の機能を備え、さらに、ノズル210の進退及びノズル210からの洗浄水の吐止水を制御するものである。また、オーバーフロー手段7及びノズル210の両方からボウル部4へ洗浄水を吐水してもよい。ここで、図4は本発明の第一実施形態の変形例による水洗大便器を示す部分側面断面図である。
【0022】
また、時刻Aから所定時間Eが経過していない場合に(ステップS308:NO)、使用者が操作レバー11を使用者が操作することで、便器洗浄操作が行われる(ステップS312)と、制御部6は、この時刻を時刻Bとしてメモリ64に記憶する(ステップS313)。
【0023】
次に、制御部6は、時刻比較手段により、時刻Bが所定時間帯C内であるか否かを判断する(ステップS314)。この所定時間帯Cは午前中であり、例えば午前8時〜12時である。時刻Bが所定時間帯C内である場合(ステップS314:YES)、制御部6は、洗浄工程実施手段により便器洗浄bを実施する(ステップS316)。この際、制御部6は、時間帯洗浄水量判断手段により、通常洗浄よりも第二洗浄の洗浄水量を上昇させる。その結果、吐水部20から洗浄水を吐水させて、汚物受け面14を洗浄し汚物をサイホン作用により排水トラップ管路8に向けて流すための第一洗浄の洗浄水量は2.4Lであり、第一洗浄に続き、汚物に後続して洗浄水を排水トラップ管路8に向けて流す第二洗浄の洗浄水量は3.6Lである。
これにより、横引配管12内において汚物をより搬送しやすくすることができる。
なお、本発明においては、所定時間帯Cは、水洗大便器1の使用頻度等の使用状況から制御部6により変更されるものとしてもよい。
【0024】
次に、時刻Bが所定時間帯C内でない場合(ステップS314:NO)、制御部6は、時刻比較手段により、時刻Bが所定時間帯D内であるか否かを判断する(ステップS318)。この所定時間帯Dは夜間であり、例えば午後11時〜午前1時である。時刻Bが所定時間帯D内である場合(ステップS318:YES)、制御部6は、洗浄工程実施手段により便器洗浄cを実施する(ステップS320)。この際、制御部6は、通常洗浄よりも第一洗浄及び第二洗浄の洗浄水量を上昇させる。その結果、吐水部20から洗浄水を吐水させて、汚物受け面14を洗浄し汚物を排水トラップ管路8に向けて流すための第一洗浄の洗浄水量は4.8Lであり、第一洗浄に続き、汚物に後続して洗浄水を排水トラップ管路8に向けて流す第二洗浄の洗浄水量も同様に4.8Lである。
これにより、横枝配管12内において汚物が停滞することを抑制することができる。
なお、本発明においては、所定時間帯Dは、水洗大便器1の使用頻度等の使用状況から制御部6により変更されるものとしてもよい。
【0025】
時刻Bが所定時間帯D内でない場合(ステップS318:NO)、制御部6は、間隔比較手段により、時刻Aから時刻Bの経過時間である経過時間Xが、第一所定間隔Eを越えているか否かを判断する(ステップS322)。この第一所定間隔Eは、横引配管12において停滞する汚物の上流側の洗浄水が無くならない時間間隔であり、例えば1時間である。
【0026】
次に、経過時間Xが、第一所定間隔Eを越えている場合(ステップS322:YES)、制御部6は、経過時間Xが第二所定間隔Fを越えているか否かを判断する(ステップS323)。この第二所定間隔Fは、横引配管12において停滞する汚物が横引配管12の内壁に密着する時間であり、例えば6時間である。
【0027】
経過時間Xが第二所定間隔Fを越えている場合(ステップS323:YES)、制御部6は、洗浄工程実施手段により便器洗浄cを実施する(ステップS324)。この際、制御部6は、第一洗浄及び第二洗浄の洗浄水量を上昇させる。その結果、吐水部20から洗浄水を吐水させて、汚物受け面14を洗浄し汚物を排水トラップ管路8に向けて流すための第一洗浄の洗浄水量は4.8Lであり、第一洗浄に続き、汚物に後続して洗浄水を排水トラップ管路8に向けて流す第二洗浄の洗浄水量も同様に4.8Lである。
【0028】
これにより、横枝配管12内において汚物が停滞することを抑制することができる。
経過時間Xが第二所定間隔Fを越えていない場合(ステップS323:NO)、制御部6は、洗浄工程実施手段により便器洗浄dを実施する(ステップS326)。この際、制御部6は、経過時間洗浄水量判断手段により、通常洗浄よりも第一洗浄の洗浄水量を上昇させる。その結果、吐水部20から洗浄水を吐水させて、汚物受け面14を洗浄し汚物を排水トラップ管路8に向けて流すための第一洗浄の洗浄水量は3.6Lであり、第一洗浄に続き、汚物に後続して洗浄水を排水トラップ管路8に向けて流す第二洗浄の洗浄水量は2.4Lである。
これにより、横引配管12内にて停滞していた汚物に対して今回排出した汚物が乗り上げて横引配管12が閉塞してしまうことを抑制することができる。
【0029】
次に、経過時間Xが、第一所定間隔Eを越えていない場合(ステップS322:NO)、制御部6は、洗浄工程実施手段により便器洗浄aを実施する(ステップS328)。この際、吐水部20から洗浄水を吐水させて、汚物受け面14を洗浄し汚物を排水トラップ管路8に向けて流すための第一洗浄の洗浄水量は2.4Lであり、第一洗浄に続き、汚物に後続して洗浄水を排水トラップ管路8に向けて流す第二洗浄の洗浄水量も同様に2.4Lである。
【0030】
上述した本発明の第一実施形態による水洗大便器1によれば、制御部6は、便器洗浄後に所定時間が経過した際、給水弁5により貯水タンク10内へ洗浄水を供給し、オーバーフロー手段7によりボウル部4に洗浄水を吐水する。そのため、水洗大便器1の使用時間間隔が開いて、横引配管12内に汚物が停滞した状態にて時間が経過し、汚物とともに横引配管12内に停滞していた洗浄水が少なくなってしまっても、オーバーフロー手段7により、ボウル部4を経て横引配管12内に洗浄水が供給され、横引配管12内に停滞する洗浄水を補充することができる。従って、停滞していた汚物に新たに流れ込んだ汚物が乗り上げ、横引配管12内が閉塞してしまうことを抑制することができる。また、通常、タンク部からボウル部へと洗浄水を供給する水洗大便器はオーバーフロー手段を備えているものであり、便器洗浄後に所定時間が経過した際にボウル部に洗浄水を吐水するために、別途、ボウル部に洗浄水を吐水する手段を必要とせず、容易に便器洗浄後に所定時間が経過した際にボウル部に洗浄水を吐水することができる。さらに、例えば、便器洗浄後に所定時間が経過した際にタンク部の排水弁を介して洗浄水をボウル部へ供給する場合に比べ、比較的少量の洗浄水がボウル部へ吐水されるため、操作レバーを操作していない状態でボウル部へ洗浄水が吐水される違和感を使用者へ与えにくい。
【0031】
また、図4に示す上述した本発明の第一実施形態の変形例についても同様であり、水洗大便器100の使用時間間隔が開いて、横引配管12内に汚物が停滞した状態にて時間が経過し、汚物とともに横引配管12内に停滞していた洗浄水が少なくなってしまっても、ノズル210により、ボウル部4を経て横引配管12内に洗浄水が供給され、横引配管12内に停滞する洗浄水を補充することができる。従って、停滞していた汚物に新たに流れ込んだ汚物が乗り上げ、横引配管12内が閉塞してしまうことを抑制することができる。
【0032】
なお、上述した本発明の第一実施形態による水洗大便器1においては、貯水タンク10内には電磁弁である排水弁15が設けられているが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、使用者の操作レバーの操作により操作レバーに接続された鎖部材が動作し、鎖部材により開閉する排水弁を設けてもよい。従って、本発明は排水弁が制御部により制御されるか否かに係らず、オーバーフロー手段を介して、便器洗浄後に所定時間が経過した際にボウル部に洗浄水を吐水することができる。また、衛生洗浄装置を備える水洗大便器において、便器洗浄後に所定時間が経過した際にボウル部に洗浄水を吐水するために、別途、ボウル部に洗浄水を吐水する手段を必要とせず、容易に便器洗浄後に所定時間が経過した際にボウル部に洗浄水を吐水することができる。
【0033】
また、上述した本発明の第一実施形態による水洗大便器1おいては、貯水タンク10内には電磁弁である排水弁15が設けられ、使用者の操作レバー11の操作により、排水弁15が開いて便器本体2の吐水部20に洗浄水が供給されるようになっており、吐水部20からリム部16と汚物受け面14との間の面上且つリム部16の内周壁面上に便器前方方向に吐水されて旋回流が形成されている。本発明はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、タンク部と、便器本体の汚物受け面の下方からボウル部底部及び排水トラップ管路へ向けて洗浄水を吐水するゼット吐水部と、タンク部の下流に設けられ洗浄水を加圧してゼット吐水部に供給する加圧ポンプを備えてもよい。その際、タンク部内の水位が止水水位よりも上昇し、タンク部内のオーバーフロー手段により、加圧ポンプを動作させることなく、ゼット吐水部へ洗浄水を供給する。これにより、溜水部に洗浄水が供給され、排水トラップ管路から横引配管へと洗浄水が供給されるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 水洗大便器
2 便器本体(便器)
4 ボウル部
5 給水弁
6 制御部
7 オーバーフロー手段
8 排水トラップ管路(排水路)
8a 入口
8b 下降路
9 排水ソケット
10 貯水タンク(タンク部)
11 操作レバー
12 横引配管
14 汚物受け面
15 排水弁
16 リム部
20 吐水部
62 計時手段
64 メモリ
100 水洗大便器
200 衛生洗浄装置
210 ノズル
220 制御部
F 床面
S 洗浄水源
図1
図2
図3
図4