【実施例】
【0019】
(実施例1)
本発明の実施例である電池ケース用厚み測定装置1について、以下に説明する。
本例の電池ケース用厚み測定装置1は、
図1、
図2に示すように、電池ケース100の外側面105aに設けられた開裂溝102における溝底103の厚みTを測定するためのものである。
そして、
図1に示すように、電池ケース用厚み測定装置1は、支持台10、照射部20、検出部30及び算出部40を有する。
支持台10は、電池ケース100を支持する。
図2に示すように、照射部20は、支持台10に連結固定されているとともに、溝底103のケース外側面103bに向けてレーザ光L1を照射する。
検出部30は、照射部20から照射されたレーザ光L1を溝底103が反射してなる反射光L2を検出する。
算出部40(
図1参照)は、検出部30の検出結果に基づいて、溝底103の厚みT(
図2参照)を算出する。
そして、支持台10は、溝底103のケース内側面103aに当接可能なように支持台10から突出した接触子11を備えている。
【0020】
以下、本例の電池ケース用厚み測定装置1について、詳述する。
図1に示すように、本例の電池ケース用厚み測定装置1は、板状のベース2と、該ベース2に立設されたネック3と、ネック3の先端に設けられたヘッド4とを有する。ヘッド4の先端には、照射部20を構成するレーザ変位センサ5が設けられている。そして、支持台10は、板状のベース2からレーザ変位センサ5に向けて突出している。すなわち、支持台10と照射部20とは、ベース2、ネック3及びヘッド4を介して互いに連結固定され、一体的に設けられている。本例では、支持台10は棒状であって、ベース2に下方から上方に延びるように設けられ、支持台10の長手方向がネック3と平行(鉛直方向)になっている。なお、支持台10は、
図1に示すように、測定対象の電池ケース100の深さ(底面部105から開口部104までの距離)よりも長い。
【0021】
図1に示すように、支持台10の先端10aには、接触子11が設けられている。
図2に示すように、接触子11は、溝底103のケース内側面103aに接触可能なように、支持台10の先端10aから突出している。そして、接触子11は、照射部20を構成するレーザ変位センサ5に向けて凸状に湾曲している。本例では、凸状形状として半球面状を採用しているとともに、その先端の曲率半径は、5mmに設定してある。なお、曲率半径は、接触子11の頂点(先端)を含む縦断面(鉛直方向の断面)を観察することによって知ることができる。また、本例では、接触子11は、ステンレス鋼からなっている。
【0022】
レーザ変位センサ5は、
図1、
図2に示すように、接触子11に向けてレーザ光L1を照射する照射部20と、レーザ光L1を対象物が反射してなる反射光L2を検出する検出部30とを有する。本例では、レーザ変位センサ5として、CCDレーザ変位計(キーエンス社製、型番LK−G30)を使用した。そして、電池ケース100を設置しない状態でレーザ光L1を照射したときに、接触子11におけるレーザ光L1が照射される位置が、溝底103の厚みT(
図2参照)を0とする基準位置となるように設定されている。
【0023】
レーザ変位センサ5は、
図1に示すように、制御盤6に接続されている。制御盤6には、照射部20の出力を調整するセンサアンプ41と、検出部30の検出結果に基づいて溝底103の厚みT(
図2参照)を算出する算出部40とが内蔵されている。さらに、制御盤6には、算出部40の算出結果を表示する表示部42が備えられているとともに、操作用のフットスイッチ7が接続されている。フットスイッチ7を押下することにより、溝底103の厚みTの測定が開始されるようになっている。本例では、算出部40及びセンサアンプ41の両機能を有するものとして、多機能コントローラ(キーエンス社製、型番LK−G3000)を使用した。
【0024】
本例の電池ケース用厚み測定装置1の使用方法は、以下の通りである。
まず、
図1、
図2に示すように、電池ケース100の底面部105を上方に向けると共に開口部104を下方に向けて、電池ケース100を支持台10に開口部104から被せる。そして、溝底103のケース内側面103aを接触子11に当接させて、底面部105を略水平面状に配置した状態で位置合わせをする。その後、フットスイッチ7を押下して、溝底103の厚みTの測定を開始する。なお、位置合わせは、目視により、可視光であるレーザ光L1の照射点が開裂溝102に重なるようにして行うことができる。
【0025】
本例において使用した電池ケース100は、
図3に示すように、いわゆる深絞り型であって、平面視矩形の底面部105と、底面部105の4辺にそれぞれ立設された4つの側面部106とを有し、底面部105と反対側は開口部104となっている。開口部104は、図示しない蓋により閉塞されるように構成されている。底面部105には、安全弁101を構成する開裂溝102が形成されている。
図2に示すように、開裂溝102の深さは、底面部105の板厚よりも小さくなっている。これにより、開裂溝102は所定の厚みTの溝底103を有する。開裂溝102は、エンドミル等により切削加工によって形成されている。本例では、開裂溝102の幅は1.0mmに設定されており、開裂溝102の深さは、1.5mm〜2.0mmの範囲内の所定の値に設定されている。
【0026】
本例の電池ケース用厚み測定装置1の作用効果について詳述する。
本例の電池ケース用厚み測定装置1においては、支持台10に備えられた接触子11が開裂溝102における溝底103のケース内側面103aに接触可能なように支持台10から突出しているため、接触子11における溝底103のケース内側面103aと接触する位置を厚みTが0である基準位置とすることができる。そして、接触子11が設けられた支持台10と照射部20とが連結固定されていることにより、接触子11と照射部20との位置関係が固定されている。これらにより、照射部20から溝底103のケース外側面103bにレーザ光L1を照射することによって、溝底103の厚みTを高い精度で直接測定することができる。その結果、開裂溝102が設けられた底面部105の厚みにバラツキがあっても、溝底103の厚みTを直接管理することができる。
【0027】
また、支持台10が下方から上方に向けて延びた棒状であって、その上端に接触子11が配設されている。そのため、作業者が電池ケース100をセットする際、その開口部104から支持台10に被せて、底面部105を略水平面状に配置した状態で溝底103のケース内側面103aを接触子11に接触させることができる。そのため、作業者は、底面部105を略水平面状に保った状態で相対的に移動させることができ、位置合わせ作業が非常に容易となる。
【0028】
さらに、本例では、接触子11は照射部20に向けて凸状に湾曲している。これにより、溝底103の厚みTを測定する際に溝底103のケース内側面103aを接触子11に接触させたときの互いの接触面積が小さくなる。そのため、溝底103の厚みの測定時に溝底103のケース内側面103aと接触子11との間に隙間ができることを抑制できる。これにより、溝底103の厚みTが実際よりも厚く測定されることを防止できる。
【0029】
さらに、本例では、接触子11の先端の曲率半径は、5mmとなっている。これにより、接触子11を溝底103のケース内側面103aに当接させた際に、当該ケース内側面103aを不用意に凹ませることが防止されて測定精度が確保されているとともに、ケース内側面103aと点接触しやすくなっている。
【0030】
また、本例では、支持台10が棒状に形成されている。これにより、深絞り型の電池ケース100においても、支持台10に設けられた接触子11を溝底103のケース内側面103aに当接させやすくなるため、測定の作業性が向上する。さらに、接触子11と溝底103のケース内側面103aとの位置合わせも比較的容易にできるため、溝底厚み測定作業の作業性が向上する。
【0031】
以上のように、本例によれば、電池ケース100における安全弁101の溝底103の厚みTを高い精度で直接測定できる電池ケース用厚み測定装置1を提供することができる。
【0032】
上記実施例1では、
図1に示すように、支持台10が下方から上方へ延びた棒状形状を呈し、その上端に接触子11が設けられているが、これに替えて、
図4に示す変形例では、支持台10がネック3からヘッド4に平行な略水平方向に延びた棒状形状を呈し、その先端上面に接触子11が設けられている。そして、接触子11がレーザ変位センサ5に向けて凸状に湾曲している。なお、接触子11の形状は実施例1の場合と同様である。また、本変形例において、実施例1と同等の部材には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
本変形例の電池ケース用厚み測定装置1は、
図4、
図5に示すように、側面部106に開裂溝
102が設けられた電池ケース100に使用することに適している。本変形例の電池ケース用厚み測定装置1では、電池ケース100を、開裂溝
102を備える側面部106を上方に向けて、支持台10に開口部104から被せる。そして、溝底103のケース内側面103aを接触子11に当接させて、開裂溝
102を備える側面部106を略水平面状に配置した状態で位置合わせをする。その後、実施例1の場合と同様に、電池ケース100における溝底103の厚みT(
図2参照)を算出する。
これにより、本変形例の電池ケース用厚み測定装置1においても、実施例1の場合と同様の作用効果を奏する。
【0034】
なお、実施例1及び変形例では、電池ケース用厚み測定装置1の測定対象として深絞り型の電池ケース100を採用したが、測定対象の電池ケースは深絞り型に限定されず、種々の形状の電池ケースを採用することができる。