(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板を載置するための基板載置部を備え、該基板載置部に固定されたプリント配線板上にプローブを接触させることにより該プリント配線板に形成された回路の検査を行うプリント配線板検査装置におけるプローブユニットであって、
第1の固定節、該第1の固定節に連結された第1のリンク、該第1のリンクと第1の可動節を介して連結された第2のリンク、該第2のリンクと第2の可動節を介して連結された第3のリンク、及び該第3のリンクが連結された第2の固定節を有するリンケージ部と、
前記第1の可動節に連結された、前記プローブを支持するプローブ支持部と、
前記第1の固定節と連結シャフトにより連結されたボイスコイルモータであって、磁石及びコイルを含み、該コイルに電流が流されたときの該コイルの移動により該連結シャフトを回転させるように該連結シャフトに連結されたボイスコイルモータと、を備え、
前記ボイスコイルモータにより前記連結シャフトを回転させることにより、該回転に応じて前記第1の固定節及び前記第1のリンクを介して前記第1の可動節を移動させて前記プローブ支持部を移動させ、前記プローブを該プリント配線板に対して垂直方向に移動させる、プローブユニット。
前記プローブユニットは、前記ボイスコイルモータが取り付けられたベース部を備え、 前記磁石は前記ベース部に固定され、前記コイルは前記磁石による磁束が通過するように前記連結シャフトに連結されたホルダにより保持され、
前記ボイスコイルモータは、前記コイルに電流が流されたときの前記コイルの移動に応じて前記ホルダを前記連結シャフトを中心とした円周方向へ移動させることにより前記連結シャフトを回転させる、請求項1に記載のプローブユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の高集積化されたプリント配線板は、検査点数が増加するのに伴って検査時間の増加が顕著になってきている。プローブのZ方向への移動は1回の測定に対して1往復することが必要であり、検査点数が増加するのに伴って当該Z方向への移動時間が増えるため、検査時間を低減させるために、プローブを高速に移動させる必要があった。
【0007】
また、特開平11−145582号に示すプリント基板検査装置のプローブユニットも、検査時間短縮の観点から小型化(軽量化)することが望まれていた。しかしながら、例えば移動手段としてリニアモータを用いる場合、プローブ移動量に相当するスペースをリニアモータも必要とするため、小型化が難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、プローブユニットを小型化させつつ、プローブを高速に移動させることが可能なプローブユニットを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様としてのプローブユニットは、基板を載置するための基板載置部を備え、該基板載置部に固定されたプリント配線板上にプローブを接触させることにより該プリント配線板に形成された回路の検査を行うプリント配線板検査装置におけるプローブユニットであって、第1の固定節、該第1の固定節に連結された第1のリンク、該第1のリンクと第1の可動節を介して連結された第2のリンク、該第2のリンクと第2の可動節を介して連結された第3のリンク、及び該第3のリンクが連結された第2の固定節を有するリンケージ部と、上記第1の可動節に連結された、上記プローブを支持するプローブ支持部と、上記第1の固定節と連結シャフトにより連結されたボイスコイルモータであって、磁石及びコイルを含み、該コイルが電流を流されたときの該コイルの移動により該連結シャフトを回転させるように該連結シャフトに連結されたボイスコイルモータと、を備え、上記ボイスコイルモータにより上記連結シャフトを回転させることにより、該回転に応じて上記第1の固定節及び上記第1のリンクを介して上記第1の可動節を移動させて上記プローブ支持部を移動させ、上記プローブを該プリント配線板に対して垂直方向に移動させる、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明において好ましくは、上記プローブユニットは、上記ボイスコイルモータが取り付けられたベース部を備え、上記磁石は上記ベース部に固定され、上記コイルは上記磁石による磁束が通過するように上記連結シャフトに連結されたホルダにより保持され、上記ボイスコイルモータは、上記コイルに電流が流されたときの上記コイルの移動に応じて上記ホルダを上記連結シャフトを中心とした円周方向へ移動させることにより上記連結シャフトを回転させる。
【0011】
また、本発明において好ましくは、上記第1のリンク、上記第2のリンク、及び上記第3のリンクの少なくとも1つは、複数のリンクで構成される。
【0012】
また、本発明において好ましくは、上記第1の固定節が上記リンケージ部の重心位置となるように上記第1の固定節に連結されたカウンターウェイトを更に備える。
【0013】
また、本発明において好ましくは、上記ホルダの位置を検出する位置検出部を更に備え、該検出された位置に基づいて上記プローブの位置を決定する。
【0014】
また、本発明において好ましくは、上記磁石及び上記コイルを冷却する冷却機構を更に備える。
【0015】
また、本発明において好ましくは、上記ベース部を支持する粗動部であって、上記プローブを上記ボイスコイルモータにより移動可能な距離よりも大きな距離移動させることが可能な粗動部を更に備える。
【0016】
また、上記の目的を達成するために、本発明の一態様としてのプリント配線板検査装置は、上記プローブユニットを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プローブユニットを小型化させつつ、プローブを高速に移動させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。各図において同一の符号は、特に言及が無い限り同一又は相当部分を示すものとし、説明の便宜上、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。また、説明の便宜上、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成についての重複説明を省略する場合がある。なお、以下の実施形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」といった方向は、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置や部品などの配置や向きなどを限定するものではない。また、本明細書中において、「連結」とは、何らの部材も介在せずに直接連結された場合と、何らかの部材を介在して間接的に連結された場合との双方を含む概念である。これについては、「固定」や「取り付け」についても同様である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による可動プローブ方式のプリント配線板の検査装置1の正面図を示す。検査装置1は、被検査基板であるプリント配線板を載置するための基板載置部2と、基板載置部2の周囲にプリント配線板を把持して固定するためのクランプ10a、10bとを備え、プリント配線板は基板載置部2の面(基板載置面)上に固定して配置される。
【0021】
検査装置1は、プローブ4と、プローブ4を支持するプローブユニット6と、画像を取得する撮像部8と、電圧等を測定する測定部(図示せず)と、各部の動作を制御する制御部(図示せず)とを備える。
【0022】
制御部は、CPU等の処理部と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等の記憶部と、により構成され、一般的なコンピュータにプログラムを読み込ませることにより、各種動作を行う。例えば制御部は、後述するモータの駆動制御を行う。このようにして、検査装置1は、プローブユニット6を基板載置面(プリント配線板)と平行方向(XY方向)及び垂直方向(Z方向)に移動させる。また例えば制御部は、測定部によって測定された抵抗値などが不良であるかどうかを判定する処理や撮像部8により取得された画像から基板の位置を認識する処理を行う。撮像部8は、CCD又はCMOS等の撮像素子により構成され、例えば、プリント配線板上に設けられた位置合わせ特徴点(例えばフィディシャルマーク)を含む光学像を生成し、その光学像を電気信号に変換することで画像を取得する。なお
図1には、説明を簡単にするため、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向の座標軸を示している。
【0023】
プローブユニット6をXY方向に移動させるために、検査装置1は、X軸方向に延びるX軸移動機構と、X軸移動機構に支持されてY軸方向に延びる2つのY軸移動機構と、を備える。
【0024】
X軸移動機構は、基板載置部2を挟んで互いに平行にX軸方向に延びる一対のX軸直動ガイド12a、12bと、X軸直動ガイド12a、12bのいずれか一方と基板載置部2との間でX軸方向に延びる一対のX軸ボールネジ付シャフト14a、14bとを備える。X軸直動ガイド12aには、X軸移動ブロック16a、16bが取り付けられ、X軸直動ガイド12bには、X軸移動ブロック16c、16dが取り付けられる。またそれぞれのX軸ボールネジ付シャフト14a、14bには、X軸移動ブロック(図示せず)が取り付けられる。1つの例では、
図1に示すように、基板載置部2の下側(−Y方向側)に一対のX軸ボールネジ付シャフト14a、14b及び1つの下側X軸直動ガイド12aが配置され、上側(+Y方向側)に1つの上側X軸直動ガイド12bが配置される。
【0025】
X軸ボールネジ付シャフト14a、14bの一端部には、それぞれX軸モータ18a、18bが設置される。X軸ボールネジ付シャフト14aとX軸モータ18aの回転軸は、カップリングを介して連結される。制御部によりX軸モータ18aを駆動すると、その回転運動はX軸ボールネジ付シャフト14aによって直線運動に変換され、ナットを組み込んだX軸移動ブロック(図示せず)をX軸に沿って移動させる。上記構成については、X軸ボールネジ付シャフト14bとX軸モータ18bについても同様である。1つの例では、
図1に示すように、下側(−Y方向側)ボールネジ付シャフト14aの左端部(−X方向側)にX軸モータ18aが設置され、上側(+Y方向側)X軸ボールネジ付シャフト14bの右端部(+X方向側)にX軸モータ18bが設置される。
【0026】
一方のY軸移動機構は、基板載置部2の下側(−Y方向側)に配置された下側載置プレート20a上及び基板載置部2の上側(+Y方向側)に配置された上側載置プレート20c上に配置される。下側載置プレート20aは、下側X軸直動ガイド12a上を移動するX軸移動ブロック16a及びボールネジ付シャフト14a上を移動するX軸移動ブロック(図示せず)に取り付けられる。上側載置プレート20cは、上側X軸直動ガイド12b上を移動するX軸移動ブロック16cに取り付けられる。
【0027】
同様にして、他方のY軸移動機構は、基板載置部2の下側(−Y方向側)に配置された下側載置プレート20b上及び基板載置部2の上側(+Y方向側)に配置された上側載置プレート20d上に配置される。下側載置プレート20bは、下側X軸直動ガイド12a上を移動するX軸移動ブロック16b及びボールネジ付シャフト14b上を移動するX軸移動ブロック(図示せず)に取り付けられる。上側載置プレート20dは、上側X軸直動ガイド12b上を移動するX軸移動ブロック16dに取り付けられる。
【0028】
このようにして、2つのY軸移動機構は、X軸移動機構上をそれぞれX軸方向に平行移動できるように構成される。
【0029】
X軸モータ18aが駆動されることによりX軸ボールネジ付シャフト14aに取り付けられた移動ブロック(図示せず)が移動すると、該移動ブロックに取り付けられた下側載置プレート20aも移動する。このとき、Y軸移動機構は、X軸移動ブロック16aとともに、かつX軸移動ブロック16cとともに移動する。上記構成については、X軸モータ18b、X軸ボールネジ付シャフト14b、下側載置プレート20b、及び上側載置プレート20dについても同様である。
【0030】
Y軸移動機構は、Y軸方向に延びるY軸ボールネジ付シャフト22a、22bを備える。Y軸ボールネジ付シャフト22a、22bには、Y軸移動ブロック24a、24bがそれぞれ取り付けられる。Y軸ボールネジ付シャフト22a、22bの一端部には、それぞれY軸モータ26a、26bが設置される。Y軸ボールネジ付シャフト22aとY軸モータ26aの回転軸は、カップリングを介して連結される。制御部によりY軸モータ26aを駆動すると、その回転運動はY軸ボールネジ付シャフト22aによって直線運動に変換され、ナットを組み込んだY軸移動ブロック24aを移動させる。上記構成については、Y軸ボールネジ付シャフト22bとY軸モータ26bについても同様である。1つの例では、
図1に示すように、Y軸ボールネジ付シャフト22a、22bの下端部(−Y方向側)にY軸モータ26a、26bがそれぞれ設置される。
【0031】
プローブユニット6は、Y軸移動ブロック24a又は24bに連結される。したがって、プローブユニット6は、Y軸移動ブロック24a(又は24b)の移動に応じて移動するとともに、X軸移動ブロック16a、16c(又は16b、16d)の移動に応じて移動する。ただし、プローブユニット6は、Y軸移動ブロック24a(又は24b)へ取り付けるにあたって必要な何らかの機構を介して、Y軸移動ブロック24a(又は24b)へ取り付けてもよい。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態によるプローブユニット6の斜視図である。プローブユニット6は、プローブ4を比較的大きな距離移動させるための粗動手段を有する粗動部6aと、プローブ4を比較的小さな距離移動させるための微動手段を有する微動部6bと、を備える。プローブユニット6は、プローブ4本体を支持するプローブ支持部40を更に備える。プローブ支持部40は、微動部6bに取り付けられる。
【0033】
粗動手段及び微動手段は、モータなどのアクチュエータにより実現され、動作は制御部により制御される。プローブユニット6は、粗動手段及び微動手段によりプローブ4本体をZ方向に移動させることができるように、Y軸移動ブロック24a又は24bに取り付けられる。検査装置1は、粗動手段でプローブ4本体をプリント配線板の近くに移動させた後、微動手段でプローブ4本体を移動させることにより、基板載置部2の面上にあるプリント配線板に接触させる。ただしプローブユニット6は、微動部6bを備え、粗動部6aを備えないように構成することもできる。この場合、検査装置1は、基板装置台(基板載置面)を昇降可能な機構を備える。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態による粗動部6aの斜視図である。粗動部6aは、Z軸モータ(回転モータ)30、カップリング32、ボールネジ付シャフト34、移動ブロック36、及び載置プレート38を備える。
【0035】
ボールネジ付シャフト34は、Z軸方向に延びるZ軸ボールネジ付シャフトであり、その一端部には、Z軸モータ30が設置される。ボールネジ付シャフト34とZ軸モータ30の回転軸は、カップリング32を介して連結される。制御部によりZ軸モータ30を駆動すると、その回転運動はボールネジによって直線運動に変換され、ナットを組み込んだ移動ブロック36を移動させる。載置プレート38は、移動ブロック36に固定され、該移動ブロック36の移動とともに移動する。
【0036】
このように、粗動手段は、Z軸モータ30、カップリング32、及びボールネジ付シャフト34を含んで構成される。
【0037】
微動部6bは、
図2に示すとおり、載置プレート38上に取り付けられる。
図4は、本発明の実施形態による微動部6bの斜視図であり、
図5は、本発明の実施形態による微動部6bの側面図である。
【0038】
微動部6bは、粗動部6aの載置プレート38上に取り付けられた、ベースプレートを含むベース部50と、ベース部50に取り付けられたアクチュエータ部と、連結部を介してアクチュエータ部に連結されたリンケージ部と、リンケージ部を支持するリンケージ支持部60と、を備える。プローブ支持部40は、リンケージ部に取り付けられる。連結部は、連結シャフト70を含んで構成され、好ましくは、連結シャフト70の中心が回転軸(ピボット)となるように構成される。アクチュエータ部は、連結シャフト70を回転させるように構成される。リンケージ支持部60は、ベース部50に固定される。
【0039】
アクチュエータ部は、コイル52と、磁石54と、コイルを保持するホルダ56と、を含んで構成される。本実施形態では、アクチュエータ部は、ボイスコイルモータを用いて実現される。ボイスコイルモータは、一般的にハードディスクに使用されるものであり、磁気ヘッドを高速かつ正確に位置決めすることを可能にするものである。
図6は、微動部6bの一部を示す斜視図であり、
図7は、
図6から更に1つの磁石54を取り除いた様子を示す斜視図である。
図8は、本発明の実施形態におけるアクチュエータ部の主要部分を示す図である。
【0040】
リンケージ部に連結された連結シャフト70は、
図7及び
図8に示すように、シャフトの径が拡張した拡張部72を有する。ホルダ56は、拡張部72に連結されて延びる2つのアームより構成されるものであり、2つのアームにより両側からコイル52を保持する。ホルダ56が連結シャフト70を中心とした円周方向に移動すると、連結シャフト70は回転する。1つの例では、ホルダ56は、拡張部72と一体的に成形される。なお連結シャフト70が拡張部72を有さない場合、ホルダ56は連結シャフト70に直接連結されてもよい。
【0041】
磁石54は、一対の永久磁石から構成され、ベース部50に固定される。一対の磁石54は、着磁されているN極及びS極の両方が各磁石54の対向面となるように構成及び配置され、かつ各磁石54の対向する磁極が異なる磁極となるように配置される。したがって、一対の磁石54の間に形成される磁束は、各磁石54の対向面の位置に応じて異なる方向の磁束を含む。ただし磁石54は、コイル52に対して同様の磁束を与える機能を有するものであれば、上記構成に限定されず、例えば1つの磁石とヨークにより構成してもよい。
【0042】
コイル52は、磁石54による磁束が通過するように、一対の磁石54の間に配置され、前述のとおり、ホルダ56により保持される。制御部がコイル52に電流を流すことにより、電流の向きに応じて、ホルダ56の2つのアームのうちのいずれかのアームの方向へコイル52は移動する。コイル52の移動方向先のアームは、コイル52の移動に応じて連結シャフト70を中心とした円周方向に移動し、結果として連結シャフト70は回転する。
【0043】
上記のとおり、アクチュエータ部(ボイスコイルモータ)は、ローレンツ力によりコイル52を移動させることにより連結シャフト70を回転運動させるように構成される。
【0044】
なお、ホルダ56は、コイル52を保持する機能を有し、コイル52の移動に応じて移動するものであって、ホルダ56の移動により連結シャフト70を回転させるように構成されるものであれば、上記の例示に限定されない。
【0045】
リンケージ部は、第1の固定節80と、第1の固定節に連結された第1のリンク82と、第1のリンク82と連結された第2のリンク86と、第2のリンク86と連結された第3のリンク90と、第3のリンク90が連結された第2の固定節92と、を有する。第1の固定節80は連結シャフト70に連結されてアクチュエータ部と連結し、第2の固定節92は連結シャフト94に連結されてリンケージ支持部60と連結する。第1のリンク82と第2のリンク86は、第1の可動節84を介して連結され、第2のリンク86と第3のリンク90は、第2の可動節88を介して連結される。プローブ支持部40は、第1の可動節84に連結される。
【0046】
第1の固定節80は、第1の固定節80の位置は固定され、連結された第1のリンク82を一端側(第1の可動節84)のみ移動させることができるように回転可能に構成される。第2の固定節92は、第2の固定節92の位置は固定され、連結された第3のリンク90を一端側(第2の可動節88)のみ移動させることができるように回転可能に構成される。一方、第1の可動節84及び第2の可動節88は、第1のリンク82、第2のリンク86、及び第3のリンク90の動作に応じて移動可能に構成される。
【0047】
具体的には、第1の可動節84は、第1の固定節80が連結する連結シャフト70の回転に応じて、連結シャフト70を中心とした円周上を移動するように構成される。第2の可動節は、第1の可動節84の移動に応じて、連結シャフト94を中心とした円周上を移動するように構成される。好ましくは、第3のリンク90の長さは、第1のリンク82及び第2のリンク86の長さよりも短い。1つの例では、第1のリンク82及び第2のリンク86の長さは同じであり、第3のリンク90の長さは、第1のリンク82の長さの0.4倍であり、第1の固定節80と第2の固定節92の間の長さは、第3のリンク90の長さの2倍である。また、プローブ4の先端は、プローブ4の先端と第2の可動節88の中点が第1の可動節84となるように設けられている。この場合、リンケージ部はホーキンスリンクの一部を構成するとみなすことができ、リンケージ部の動作により、プローブ支持部40を略直線上に移動させることが可能となる。このように、微動手段は、アクチュエータ部及びリンケージ部を含んで構成される。
【0048】
次に、
図9を参照して、本実施形態における微動部6bの動作により、特にリンケージ部の動作により、プローブ4が動く様子を説明する。
図9の上図のプローブ4は、原点位置にある。
図9の下図のプローブ4は、
図9の上図から連結シャフト70が時計回りに回転したことに応じて、Z方向に、基板載置部2の面上にあるプリント配線板に対して近づく方向に移動した位置にある。
図9の例示においては、第1のリンク82及び第2のリンク86の長さは25mmであり、第1の可動節84の中心とプローブ4の先端の長さも25mmである。また第3のリンクの長さは10mmであり、連結シャフト70の中心とコイル52の中心の長さは17.09mmである。そして
図9の例示においては、下図は上図と比較してコイル52が時計回りに1.79mm移動することにより連結シャフト70が時計回りに6度回転した状態にある。これにより下図のプローブ4は上図のプローブ4と比較して、Z方向に、基板載置部2の面上にあるプリント配線板に対して近づく方向に3.124mm移動した位置にある。このとき、プローブ4は、X方向(基板載置面と平行方向)には0.009mmのみ移動した位置にある。したがって、このような構成とすることにより、プローブ4のXY方向への位置ずれを最小化しつつ、コイル52の移動量の約1.75倍、プローブ4をZ方向に移動させることが可能となる。
【0049】
図10は、リンケージ部を介さずに連結シャフト70にプローブ4が取り付けられた場合のプローブ4が動く様子を説明する。
図10の上図のプローブ4は、原点位置にある。
図10の下図のプローブ4は、
図10の上図から連結シャフト70が時計回りに回転したことに応じて、Z方向に、基板載置部2の面上にあるプリント配線板に対して近づく方向に移動した位置にある。
図10の例示においては、連結シャフト70の中心とコイル52の中心の長さは、
図9の例示と同様に17.09mmであるが、連結シャフト70の中心とプローブ4の先端の長さは、
図9の例示と異なり、32mmである。そして
図10の例示においては、下図は上図と比較してコイル52が時計回りに1.79mm移動することにより連結シャフト70が時計回りに6度回転した状態にある。これにより下図のプローブ4は上図のプローブ4と比較して、Z方向に、基板載置部2の面上にあるプリント配線板に対して近づく方向に3.07mm移動した状態にある。しかしながら同時に、プローブ4は、X方向(基板載置面と平行方向)に1.811mm移動する。このように、本実施形態におけるリンケージ部を介さない場合は、XY方向への位置ずれが問題となることが分かる。
【0050】
上記のように、本実施形態では、検査装置1は、制御部によりコイル52に電流を流すことにより連結シャフト70を回転させて、該回転に応じて連結シャフト70を中心に第1のリンク82を動作(回転)させる。該第1のリンク82の回転により、第1の可動節84を、連結シャフト70を中心とした円周方向に移動させる。該第1の可動節84の移動により、第1の可動節84に連結されたプローブ支持部40を、基板載置部2の面上にあるプリント配線板に対して垂直方向(Z方向)に移動させる。このとき、好ましくは、リンケージ部及びプローブ支持部40はホーキンスリンクを構成し、プローブ支持部40により支持される(好ましくはプローブ支持部40の先端に取り付けられる)プローブ4を実質的にZ軸方向に平行に移動させる。これにより、プローブ4を、XY方向への位置ずれを最小化しつつ、コイル52の移動量よりも大きな距離移動させることが可能となる。そのため、同一サイズのモータと比較した場合、より移動量を増やす(ストロークを稼ぐ)ことが可能となり、結果として、小型化・軽量化を図ることが可能となる。
【0051】
また本実施形態では、アクチュエータ部は、ローレンツ力によりコイル52を移動させることにより連結シャフト70を回転運動させるように構成され、ボイスコイルモータを用いて実現される。これにより、コイル52を高速移動させることが可能となり、連結シャフト70、第1の固定節80、第1のリンク82、及び第1の可動節84を介して、プローブ4を高速に移動させることが可能となる。したがって、Z方向への移動時間を低減させることが可能となり、検査時間全体を低減させることが可能となる。
【0052】
図11は、微動部6bの一部を示す斜視図であり、連結シャフト70と第1のリンク82が連結する様子を示す図である。本実施形態では、
図4及び
図11に示すとおり、第1のリンク82は、第1のリンク82及び第1のリンク82’から構成され、第2のリンク86は、第1のリンク82、82’に挟みこまれた位置関係で第1の可動節84にて連結される。第3のリンク90も、第1のリンクと同様に構成される。このように複数のリンクにより1つのリンクを構成することにより、リンケージの剛性を高めることが可能となり、高速移動、高精度位置決めが可能となる。他の例では、第2のリンク86が(第1のリンク82及び第1のリンク82’のように)2つのリンクから構成され、第1のリンク82と第3のリンク90は、1又は2つのリンクから構成される。
【0053】
また本実施形態では、微動部6bは、
図5に示すとおり、リンケージ部の重心位置を調整するためのカウンターウェイト58を更に備える。カウンターウェイト58は、第1の固定節80に連結され、ベース部50に固定される。カウンターウェイト58は、リンケージ部の重心を調整するために取り付けられる。好ましくは、カウンターウェイト58を取り付けることにより、リンケージ部の重心位置は、連結シャフト70(第1の固定節80)の軸の位置となる。これにより、リンケージ部の動作、その結果としてのプローブ4の移動に必要な力を低減させることが可能となる。したがって、アクチュエータ部(ボイスコイルモータ)をより小型化させたり、発熱を抑えたりすることが可能となる。
【0054】
また本実施形態では、微動部6bは、ベース部50に連結された位置検出部64及びホルダ56に連結された被位置検出部66を更に備える。1つの例では、位置検出部64はリニアエンコーダであり、被位置検出部66はリニアスケールである。リニアエンコーダは、
図11に示すとおりホルダ56に取り付けられたリニアスケールの目盛りを検出することでホルダ56の位置を検出し、制御部によりプローブ4の位置を決定する。これにより、検査装置1は、より精度良くプローブ4の位置制御を行うことが可能となる。また更に本実施形態では、微動部6bは、ベース部50に連結された原点位置検出部62を更に備える。1つの例では、原点位置検出部62は、コの字状の部分が、被位置検出部66が取り付けられていない側のホルダ56のアームにより遮られているかどうかを検出し、制御部によりホルダ56及びプローブ4が原点位置にあるかどうかを決定する。
【0055】
他の実施形態では、プローブユニット6は、冷却機構(図示せず)を更に備える。1つの例では、冷却機構は、圧縮空気を供給することで冷風を吐出する冷空気発生装置を含み、冷風をコイル52の近くで吐出するように構成される。1つの例では、粗動部6a又は微動部6b上に冷空気発生装置を取り付け、ホースの一端を冷空気発生装置の吐出口に接続し、ホースの他端をコイル52の近くに配置することにより、冷風をコイル52の近くで吐出するように構成される。これにより、コイル52(ボイスコイルモータ)の発熱を抑えることが可能となる。
【0056】
以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例えば上記実施例において、検査装置1は2つのプローブユニット6を備える場合を説明するが、検査装置1は4つのプローブユニット6又は8つのプローブユニット6を備えてもよい。各実施例は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて本発明の任意の実施形態に適用することができる。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。