(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のエアゾール容器用吐出具では、弾性板片を形成する一対の縦スリットの長さを長くすることにより、カバー部材を取り外す際に必要な弾性板片の操作力を小さくして、カバー部材の取外し作業を容易にすることができる。
【0007】
しかし、カバー部材を取り外す際に必要な弾性板片の操作力を小さく設定すると、エアゾール容器を片手で持って操作部を人差し指で押下げ操作する際に、容器を支える他の指が弾性板片に触れることで容易に弾性板片が押し込まれ、カバー部材が固定盤から不意に外れる虞があるという問題が生じることになる。
【0008】
また、上記従来のエアゾール容器用吐出具では、カバー部材の上部に操作部が一体に設けられた構成となっているので、内容物を吐出させるために操作部を押下げ操作すると、その反作用によってカバー部材にこれを上方に引っ張り上げる力が加わることになるが、それと同時に、カバー部材のノズルを挟んだ左右両側における下端縁部分が幅を狭めるように内側に変形するものがある。この場合、特に、エアゾール容器を片手で持って操作部を人差し指で押下げ操作する際に、カバー部材のノズルを挟んだ左右両側が他の指で支持されることになるので、カバー部材のノズルを挟んだ左右両側における下端縁部分は、より大きく変形することになる。よって、操作部を押下げ操作して内容物を吐出させる際には、カバー部材の左右両側に設けられた保持用爪部の係止孔への係合量(掛かり量)が減少し、カバー部材が固定盤から外れ易い状態となる。このような状況において、カバー部材を取り外す際に必要な弾性板片の操作力を小さく設定した場合には、上記した問題点がより顕著に生じることになる。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、カバー部材の取外し作業を容易にしつつカバー部材の固定盤からの不意の離脱を防止可能なエアゾール容器用吐出具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエアゾール容器用吐出具は、エアゾール容器のステムに着脱自在に取り付けられるノズルと、前記エアゾール容器のマウンティングカップに固定される固定盤と、前記ノズルを押し下げ操作可能な操作部を備え、前記固定盤に着脱自在に取り付けられて前記ノズルを覆うカバー部材と、を有するエアゾール容器用吐出具であって、前記カバー部材は、該カバー部材の側壁を下端から切り欠く一対の縦スリットによって形成された弾性板片と、前記弾性板片の下端側における外側面に設けられて前記固定盤に設けられた係止孔に係脱自在に係止される外側突起と、を備えた保持用爪部と、一対の前記縦スリットに沿った前記側壁の両縁部に設けられた一対の縦リブと、前記側壁の周方向に延びる横リブと、を備えたガード部と、を有
し、前記横リブが、前記弾性板片よりも上方に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のエアゾール容器用吐出具は、上記構成において、前記横リブが、それぞれの前記縦リブを連ねているのが好ましい。
【0013】
本発明のエアゾール容器用吐出具は、上記構成において、前記側壁の下端縁部に、それぞれ前記縦リブの下端に連なる一対のフランジ部が設けられているのが好ましい。
【0014】
本発明のエアゾール容器用吐出具は、上記構成において、前記側壁の前記ノズルを挟んだ左右両側に前記保持用爪部が設けられているのが好ましい。
【0015】
本発明のエアゾール容器用吐出具は、上記構成において、前記エアゾール容器が一対の前記ステムを有するものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カバー部材の取外し作業を容易にしつつカバー部材の固定盤からの不意の離脱を防止可能なエアゾール容器用吐出具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0019】
なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面においては、「正面側」とは、
図1においてノズルの吐出口が位置する側を意味し、「背面側」とは、その反対側を意味し、「左側」、「右側」とは、それぞれ正面側から見た場合(正面視)の左右方向を意味し、「上側」とは、
図1において、エアゾール容器に対してノズルが位置する側(
図1における上側)を意味し、「下側」とは、「上側」の反対側を意味する。
【0020】
図1〜
図5において、符号1は、本発明の一実施の形態であるエアゾール容器用吐出具(以下、単に「吐出具」と称す場合もある)を示し、符号2は、吐出具1が取り付けられるエアゾール容器(以下、単に「容器」と称す場合もある)を示す。吐出具1は、固定盤10、カバー部材20及びノズル30を有している。
【0021】
エアゾール容器2は、例えば金属製や合成樹脂製となる有底筒状の容器本体2aに、金属製となるマウンティングカップ2bを、その外縁を巻き締め等して固着したものであり、その内部には2種類の内容物が別個に収容されている。また容器2は、それぞれの内容物の収容空間につながる総計2本のステム2cを有している。
【0022】
マウンティングカップ2bの中央部には、その上面から一対のステム2cを上側に向けて突出させるとともに平面視にてトラック状となる上段突起部2dと、上段突起部2dの長辺と略同一長さの直径を有し、上段突起部2dに連結する平面視にて円形状となる中段突起部2eと、中段突起部2eよりも大径の円形状となって中段突起部2eに連結する下段突起部2fとが設けられている。また、中段突起部2eの根元には環状となる中段凹部2gが設けられ、下段突起部2fの根元には環状となる下段凹部2hが設けられている。なお、上段突起部2dの平面視での形状は、矩形状でも楕円状でもよい。
【0023】
図1に示すように、固定盤10は、中央部に2本のステム2cを露出させる開口11を有する天壁12を備えている。開口11は、上段突起部2dに対応する形状をなし平面視でトラック状となっており、天壁12の内縁には、上段突起部2dを取り囲むように垂下する内側環状壁13が一体に設けられている。また、内側環状壁13の下端における正面側及び背面側には、それぞれ薄肉舌片13aが一体に設けられている。薄肉舌片13aは、固定盤10をマウンティングカップ2bに装着する前は、内側環状壁13に沿って下向きに延在するものであるが、固定盤10をマウンティングカップ2bに装着することによって、
図1に示すように径方向外側に向かって折り曲げられるものである。
【0024】
天壁12の外縁には、天壁12から垂下する中間環状壁(垂直周壁)14が一体に設けられている。中間環状壁14は、ステム2cの軸方向と平行に上下方向に延在しており、マウンティングカップ2bの上段突起部2d及び中段突起部2eを取り囲んでいる。また、中間環状壁14は、容器2の右側及び左側において内側環状壁13に連続し、且つ、
図4に示すように、中段突起部2eに接するように形成されている。
【0025】
中間環状壁14の下端には、下段突起部2fの上面に接するとともに径方向外側に向けて延在する上部フランジ15が一体に設けられ、上部フランジ15の下面には、下段突起部2fと全周に亘って接する内部環状壁15aが一体に設けられている。
図1に示すように、内部環状壁15aの内面には、凸部15bが周方向に向けて間欠状に設けられている。凸部15bはマウンティングカップ2bの下段凹部2hに係合しており、これにより固定盤10は容器2のマウンティングカップ2bに固定されている。なお、凸部15bは、内部環状壁15aの全周に亘って延びる環状の形態としてもよい。
【0026】
上部フランジ15の外縁には、下方に向けて延在する外側環状壁16aと、外側環状壁16aの下端から径方向外側に延在する下部フランジ16bとからなる段部16が一体に設けられ、下部フランジ16bの外縁には、マウンティングカップ2bの外縁に向けて垂下する環状の外壁17が一体に設けられている。
図4に示すように、段部16には、上部フランジ15の一部、外側環状壁16a、及び下部フランジ16bの一部を切り欠く係止孔18が設けられている。なお、係止孔18は、固定盤10の左側にも同様にして設けられている。
【0027】
カバー部材20は、容器2のマウンティングカップ2bに固定された固定盤10に着脱自在に取り付けられ、ノズル30を覆っている。
【0028】
このカバー部材20は、ノズル30の上方で水平方向に延在する頂壁21を備えている。
図2に示すように、頂壁21には、その中央部から背面側に向かって頂壁21の一部を取り除く切欠き部21aが設けられており、切欠き部21aの内縁には、
図1に示すように、下方に向けて延在する内側周壁22が設けられている。また、切欠き部21aには、ノズル30を押下げ操作可能な操作部23が設けられている。操作部23は、薄肉のヒンジ24を介して内側周壁22の正面側に一体に連結され、当該ヒンジ24を中心として上下に揺動可能なレバー状に構成されている。操作部23の上面は下方に向けて湾曲しており、また、左右方向に向けて延在する滑り止め用のリブ23a(本実施形態では3つ)が設けられている。
【0029】
カバー部材20には、頂壁21の外縁から下方に向けて延在する側壁としての外側周壁25が設けられている。外側周壁25は、その下端縁部が円形となる略円筒形状を有し、その正面側には正面壁25aが設けられ、正面壁25aには、ノズル30を突出させる窓孔25bが設けられている。
【0030】
図5に示すように、側壁としての外側周壁25の右側には、外側周壁25を下端から欠く一対の縦スリット26が設けられている。これらの縦スリット26は、それぞれ所定の溝幅で外側周壁25の下端から上方に向けて容器2の軸方向(上下方向)に平行に真っ直ぐに延びており、周方向に所定の間隔を空けて配置されて互いの間に弾性板片27を形成している。
【0031】
弾性板片27は矩形の板状となっており、その上端において外側周壁25に一体に連結され、当該上端を支点として左右方向(カバー部材20の内外方向)に弾性変形することができるようになっている。また、
図4に示すように、弾性板片27の下端は外側周壁25の下端よりも下方に突出しており、その下端側における外側面には外側突起28が一体に設けられている。なお、本実施の形態においては、外側突起28を弾性板片27の下端よりも僅かに上方に設けるようにしているが、外側突起28を弾性板片27の下端に設けるようにしてもよい。さらに、外側突起28の上方側には所定の間隔(下部フランジ16bの板厚よりも僅かに大きい間隔)を空けてストッパ突起29が一体に設けられている。
【0032】
外側突起28は固定盤10に設けられた係止孔18に挿通され、下部フランジ16bの下側面に係合することにより、当該係止孔18に着脱自在に係止されている。
【0033】
上記の弾性板片27及び外側突起28により、カバー部材20の外側周壁25の右側には保持用爪部Tが構成されている。保持用爪部Tは、外側周壁25の左側にも同様に設けられており、固定盤10には左側の保持用爪部Tに対応した係止孔18が設けられている。すなわち、カバー部材20には、ノズル30を挟んだ左右両側に2つの保持用爪部Tが対向配置で設けられている。
【0034】
各保持用爪部Tの外側突起28が、対応する係止孔18に係止されることにより、カバー部材20は固定盤10に取り付けた状態に保持されている。一方、弾性板片27をカバー部材20の内側に向けて押し込むことにより、外側突起28と係止孔18との係合を解除させ、カバー部材20を固定盤10から取り外すことができる。
【0035】
図1に示すように、ノズル30は、薄肉状のヒンジ31を介して下部部材32と上部部材33とを一体連結したものであり、ヒンジ31に沿って折り曲げて下部部材32と上部部材33とを組み合わせることで、
図1、
図4に示す所定の形態をなすものである。このノズル30は容器2のステム2cに着脱自在に取り付けられており、使用後に洗浄等を行う際にステム2cから取り外すことができる。
【0036】
図1に示すように、下部部材32は、板状となる基部32aの下面に、ステム2cの外径に対応する内径となる円筒部32bを備えていて、円筒部32bの内側には、貫通孔32cを有する内部壁32dを備えている。なお、円筒部32b、貫通孔32c、及び内部壁32dからなる組みは、2つのステム2cを有する容器2に対応させて総計2組設けられている。基部32aの上面には環状部32eが設けられており、環状部32eは、正面側から背面側に向かう距離よりも左右間の距離が長くなっている。また、
図4に示すように環状部32eの中央部には、間隔を空けて一対の中間壁32fが設けられている。さらに、基部32aの上面正面側には、
図1に示すように爪状の下部係合部32gが設けられている。
【0037】
さらに、ノズル30の基部32aの下面には、固定盤10の中間環状壁14の外周面によって上下方向に案内される案内筒部32hが一体に設けられている。案内筒部32hは、ノズル30がステム2cとともに上下に作動する際に、中間環状壁14の外周面によって上下方向以外への移動が規制される。これにより、内容物の吐出時にノズル30が上下に作動すると、ノズル30の案内筒部32hが中間環状壁14の外周面によって上下方向に案内され、ノズル30の作動安定性が高められる。なお、案内筒部32hは、中間環状壁14の外周面に摺動自在に構成することも可能である。また、ノズル30に案内筒部32hを設けたことにより、ノズル30のステム2cへの装着が容易になる。すなわち、ノズル30の装着に際しては、案内筒部32hを中間環状壁14に被せるように配置することができ、ノズル30の水平方向の位置決めが容易になる。
【0038】
図4に示すように、案内筒部32hの下端には、その左右両側において係止脚部32iが連設されている。係止脚部32iには、弾性板片27の内側に配置されるとともに該弾性板片27に向う方向から下方へと曲がる屈曲部32jが形成されている。案内筒部32hにこのような係止脚部32iを設けたことにより、これらの係止脚部32iと固定盤10の係止孔18との位置関係に基づいて、固定盤10に対するノズル30の回転方向の取り付け角度を目視で確認することができる。したがって、係止脚部32iが設けられることにより、ノズル30をステム2cに装着する際のノズル30の位置決めが容易になる。また、これらの係止脚部32iには、固定盤10の係止孔18に挿入されて、該係止孔18の内側縁部に係止される内側突起32kが設けられている。したがって、これらの係止脚部32iを係止孔18に挿入し、内側突起32kによって固定盤10の上部フランジ15にアンダーカット係合させることで、ノズル30のステム2cからの脱落を防止することができる。
【0039】
図1に示すように、上部部材33は、ヒンジ31に沿って折り曲げることで、環状部32eを内側に収めるとともにこれに覆い被さる箱状部33aを備えている。箱状部33aの中央部には、箱状部33aの内側を2つに区画する仕切壁33bが設けられている。また、箱状部33aの上面側には、側面視で半円状となる半円リブ33cが設けられていて(本実施形態では、左右方向に間隔をあけて総計2つ)、箱状部33aの正面側には、その先端開口を内容物の外界への吐出口33dとする筒状部33eが設けられている。本実施形態では仕切壁33bを、箱状部33aと筒状部33eとの境界よりも吐出口33d側へ延長している。さらに、筒状部33eの下側には、下部係合部32gに対応する爪状となる上部係合部33fを設けている。
【0040】
そして、ノズル30は、上述したようにヒンジ31に沿って折り曲げることで、下部係合部32gと上部係合部33fとが係合して、2つ折り状態を維持している。また、環状部32eと箱状部33aとが嵌め合わさることで、基部32aと箱状部33aとの内側には内部空間が形成される一方、仕切壁33bは、対をなす中間壁32f間に挟まれて、この内部空間は、それぞれに貫通孔32cがつながる2つの空間に区画される。さらに、この2つの空間は、仕切壁33bを越えた吐出口33d側の筒状部33eの内側において合流している。すなわち、2つ折り状態となったノズル30の内側には、一対の円筒部32b側(ステム2c側)では2つに分かれ、吐出口33d側では合流して1つになる通路Rが形成され、この通路Rにより一対の円筒部32bの内側と吐出口33dとが連ねられている。
【0041】
図2〜
図5に示すように、カバー部材20の左右両側には、それぞれ保持用爪部Tが不意に操作されることを防止するために、ガード部40が設けられている。これら一対のガード部40は、それぞれ一対の縦リブ41と、これらの縦リブ41を連ねる1本の横リブ42とを有して構成されている。
【0042】
一方の縦リブ41は一方の縦スリット26に沿った外側周壁25の縁部に該外側周壁25と一体に設けられており、容器2の軸方向(上下方向)に平行に真っ直ぐに延びている。同様に、他方の縦リブ41は他方の縦スリット26に沿った外側周壁25の縁部に該外側周壁25と一体に設けられており、容器2の軸方向(上下方向)に平行に真っ直ぐに延びている。また、一対の縦リブ41は、それぞれ外側周壁25の外面から外方に向けて所定の高さで突出している。それぞれの縦リブ41は、その下端が外側周壁25の下端縁部にまで達するとともに、上端は、それぞれ縦スリット26の上端よりも僅かに上方の位置にまで達している。
【0043】
横リブ42は、カバー部材20の外側周壁25の周方向(縦スリット26に直交する方向)に平行に延びており、一端において一方の縦リブ41の上端に連なるとともに他端において他方の縦リブ41の上端に連なって弾性板片27の上端よりも僅かに上方に配置されている。また、横リブ42は、一対の縦リブ41と同一の高さで外側周壁25の外面から外方に向けて突出している。このように、ガード部40は、保持用爪部Tの弾性板片27の左右両側方及び上方側を囲う逆U字形状となっており、弾性板片27はガード部40の内側で外部に露出している。
【0044】
ガード部40は、容器2から内容物を吐出させる際、カバー部材20の外側周壁25の左右両側を支持ないし把持する指を掛ける(載せる)ことができる指掛け部として使用することができるとともに、当該指が弾性板片27に不意に触れることを阻止することができる形状ないし大きさに形成されている。また、ガード部40は、ガード部40と固定盤10の下部フランジ16bの上面とで囲まれた開口部分(弾性板片27を外部へ露出させる開口部分)の面積が、当該開口部分を通して指で弾性板片27をカバー部材20の内側に向けて押し込み操作することができる程度の大きさとなるような形状ないし大きさに形成されている。
【0045】
上記の通り、エアゾール容器用吐出具1では、カバー部材20に上記構成のガード部40を設けるようにしたので、容器2から内容物を吐出する際にカバー部材20を支持ないし把持する指は一対の縦リブ41に載せられ、また、当該指の腹部分は横リブ42に当たることで不意に弾性板片27に触れることが防止される。したがって、保持用爪部Tの固定盤10への係合が解除されてしまうことを防止することができ、これにより、容器2から内容物を吐出する際に、カバー部材20が固定盤10から不意に外れて内容物を吐出することができなくなることが防止される。
【0046】
特に、弾性板片27を形成する一対の縦スリット26の長さを長く設定して、カバー部材20を取り外すのに必要な弾性板片27の操作力を小さくした場合であっても、ガード部40により、カバー部材20を支持ないし把持する指が不意に弾性板片27に触れることを防止することによって、カバー部材20が固定盤10から不意に外れることを確実に防止しつつ、一対の縦スリット26の長さを長く設定してカバー部材20の取外し作業を容易にすることができる。
【0047】
さらに、上記構成のエアゾール容器用吐出具1では、カバー部材20の上部に操作部23が一体に設けられた構成であることから、内容物を吐出させるために操作部23を押下げ操作すると、その反作用によってカバー部材20にこれを上方に引っ張り上げる力が加わることになる。また、同時に、カバー部材20のノズル30を挟んだ左右両側における下端縁部分が幅を狭めるように内側に変形する(下端縁部を、円形から左右方向が短径となる楕円形に変形する)ことになる。さらに、容器2を片手で持って操作部23を人差し指で押下げ操作する場合には、カバー部材20のノズル30を挟んだ左右両側が他の指で支持ないし把持されることになるので、カバー部材20のノズル30を挟んだ左右両側における下端縁部分は、より大きく変形することになる。そして、これらの要因により、操作部23を押下げ操作して内容物を吐出させる際には、カバー部材20の左右両側に設けられた保持用爪部T(外側突起28)の係止孔18への係合量(掛かり量)が減少して、カバー部材20は固定盤10から外れ易くなる。しかし、本実施の形態のエアゾール容器用吐出具1では、上記の通り、ガード部40により、内容物の吐出時に、カバー部材20を支持ないし把持する指が不意に弾性板片27に触れることを防止することができるので、カバー部材20が固定盤10から不意に外れることを確実に防止することができる。
【0048】
図2〜
図5に示すように、カバー部材20の外側周壁25の下端縁部には、それぞれ縦リブ41の下端に連なる一対のフランジ部43が設けられている。これらのフランジ部43は、それぞれ縦リブ41の下端から縦スリット26とは反対側に向けて周方向に延びており、その外側周壁25の外面から外方に向けた突出高さは縦リブ41と同一である。
【0049】
このようなフランジ部43を設けたことにより、カバー部材20の左右両側を支持ないし把持する指を、さらにガード部40に掛け易くすることができる。
【0050】
なお、フランジ部43を設けない構成とすることもできる。
【0051】
上記のように構成されるエアゾール容器用吐出具1を容器2に取り付けるにあたっては、まず、固定盤10をマウンティングカップ2bに装着し、次いで、2つ折り状態に組み立てたノズル30を上方から、円筒部32bをステム2cに位置合わせしつつ取り付ける。次いで、カバー部材20を上方から、ノズル30の筒状部33eを窓孔25bより突出させつつ、保持用爪部Tを係止孔18に位置合わせした状態で挿入して、固定盤10に取り付ける。ここで、保持用爪部Tの外側突起28には傾斜面28aを設けているので、カバー部材20を固定盤10に対して押し込むと、外側突起28の傾斜面28aが下部フランジ16bの内周面に当接し、弾性板片27が径方向内側に誘導されて撓みながら係止孔18に挿入される。そして、外側突起28が下部フランジ16bの下面に係合することにより、カバー部材20は固定盤10に着脱自在に装着される。
【0052】
カバー部材20の取付けが完了した後においては、カバー部材20の下端及び弾性板片27のストッパ突起29の下面が固定盤10の下部フランジ16bの上面に当接し、カバー部材20は固定盤10に安定して保持され、使用時におけるぐらつき等が抑えられる。カバー部材20が固定盤10に装着されると、エアゾール容器2のステム2cに取り付けられたノズル30はカバー部材20により覆われる。
【0053】
このようにして各部材を取り付けたエアゾール容器2から内容物を吐出させるには、操作部23の上面に指を当てて下方に向けて押し下げればよい。これにより、操作部23がヒンジ24を起点として揺動し、操作部23の下面が半円リブ33cに押し当たり、ノズル30とともに2本のステム2cが押し下げられ、容器2内の2種類の内容物が、それぞれのステム2cから同時に噴出され、ノズル30の内側に形成された通路Rを通して吐出口33dから外部に吐出される。
【0054】
一方、使用後の洗浄等のためにノズル30を容器2から取り外す際には、ガード部40を通して保持用爪部Tの弾性板片27をカバー部材20の内側(径方向内側)に向けて押し込み、外側突起28の係止孔18との係合を解除する。このとき、縦スリット26が長く設定されることにより、弾性板片27を容易に弾性変形させることができるので、カバー部材20の固定盤10からの取り外し作業は容易である。カバー部材20が固定盤10から取り外されると、ノズル30は外部に露出するので、当該ノズル30の容器2からの着脱作業を容易に行うことができる。ノズル30の洗浄後は、前述した要領に従って、ノズル30及びカバー部材20を再装着すればよい。
【0055】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0056】
例えば前記実施の形態では、本願発明を、2本のステム2cを有する容器2に装着される吐出具1に適用した場合を示したが、例えばシングルタイプの容器や二連式タイプの容器に装着される吐出具に本願発明を適用してもよい。
【0057】
また、前記実施の形態では、カバー部材20の左右両側に、それぞれ保持用爪部Tとガード部40とを設けた構成としているが、少なくとも1つの保持用爪部Tとガード部40とがカバー部材20に設けられていれば、その位置や個数は種々変更可能である。
【0058】
さらに、前記実施の形態では、ガード部40の横リブ42を、外側周壁25の周方向に平行に延びる形状としているが、これに限らず、容器2から内容物を吐出させる際にカバー部材20の外側周壁25の左右両側を支持ないし把持する指を掛けることができるとともに弾性板片27の押込み操作を可能とする開口部分を確保することができる形状であれば、例えば外側周壁25の周方向に対して傾斜して延びる形状に形成し、あるいは一対の縦リブ41の間で上側ないし下側に湾曲しつつ周方向に延びる形状とするなど、その形状は種々変更可能である。
【0059】
さらに、前記実施の形態では、横リブ42を、一対の縦リブ41の上端に連ねるようにしているが、例えば、一対の縦リブ41とは連結させずに別体に設ける構成としてもよく、あるいは一対の縦リブ41の上下方向中間部分に連ねる構成とすることもできる。また、横リブ42の外側周壁25の外面からの突出高さを、一対の縦リブ41の当該突出高さと相違させた構成とすることもできる。