(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866029
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】感震器
(51)【国際特許分類】
G01H 1/00 20060101AFI20210419BHJP
H01H 73/02 20060101ALN20210419BHJP
H02B 1/40 20060101ALN20210419BHJP
【FI】
G01H1/00 E
!H01H73/02 Z
!H02B1/40 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-57208(P2017-57208)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-159636(P2018-159636A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2020年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金筒 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】石田 聡
(72)【発明者】
【氏名】阿久根 善之
【審査官】
山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−133575(JP,A)
【文献】
特開2010−091291(JP,A)
【文献】
特開平04−319628(JP,A)
【文献】
特開2006−010520(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0180336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00 − 17/00
G01V 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震の揺れを検出する感震センサと、
感震センサの検出情報から震度を判定する制御部と、
制御部から外部の配電機器に遮断信号を送信、または外部に出力させる出力部と、
感震センサの故障検出と出力部の動作確認と配電機器の接点の動作確認を行う操作が可能なテスト部と、
を備えた感震器であって、
所定間隔で感震センサに擬似信号を送信し、感震センサの故障状態について所定間隔で自動的に診断を行う自己診断機能部を備えたことを特徴とする感震器。
【請求項2】
出力部として、外部に通知する表示部を備え、
感震器のテスト部を操作することにより、表示部の動作確認を実施可能とした請求項1に記載の感震器。
【請求項3】
自己診断機能部の動作情報又はテスト部の操作による動作情報を記憶する記憶部を有する請求項1又は2に記載の感震器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感震器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、一定震度以上の地震が発生したときに配電機器に信号を送信する感震器が知られている。この感震器からの信号によって、配電機器から負荷への通電を遮断し、火災や感電の危険性を防止することが、感震器を設ける主な目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−177660号公報
【0004】
ところで、感震器は、その内部に地震を検出する感震センサを備えている。この感震センサ自体が壊れている場合、感震器は作動しない。そのため、感震センサ自体の動作をテストする仕組みが必要であるが、人手の操作による動作確認のみでは確認忘れが生じる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の課題は、感震センサの故障を検出可能な感震器とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、地震の揺れを検出する感震センサと、感震センサの検出情報から震度を判定する制御部と、制御部から外部に遮断信号を送信、または外部に出力させる出力部と、感震センサの故障状態を所定間隔で自動的に診断を行う自己診断機能部と、感震センサの故障検出と出力部の動作確認を行う操作が可能なテスト部と、を備えた感震器とする。
【0007】
また、出力部として、外部に通知する表示部を備え、感震器のテスト部を操作することにより、表示部の動作確認を実施可能とすることが好ましい。
【0008】
また、自動自己診断部の動作情報又はテスト部の操作による動作情報を記憶する記憶部を有する構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、所定間隔で自動的に診断を行うことで、感震センサの故障を検出し、手動による操作で感震センサの故障と出力部の動作も検出可能な感震器とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】配電機器と感震器との信号のやり取りを概念的に示した図である。
【
図3】感震器が接続されたブレーカの正面図である。
【
図4】感震器が接続されたブレーカを備えた分電盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に発明を実施するための形態を示すが、先ず、感震器1の概略について説明する。感震器1は、接点の開閉により負荷への通電を遮断するブレーカや切替開閉器等の配電機器2に接続して用いられる。感震器1は地震の揺れ(S波)を検出する感震センサ11が備えられており、この検出情報を制御部12に送信することができる。この制御部12は、検出情報から震度を判定する。例えば、震度が第1所定値である震度5であると判定した場合には、3分経過後に配電機器2の引外し装置21に遮断信号を出力する。また、震度が第2所定値である震度6以上であると判定された場合には、制御部12は、後述する出力部14から直ちに引外し装置21に遮断信号を出力する。引外し装置21に遮断信号が入力されると、擬似漏電を発生させて接点を開放して配電機器2の通電を遮断する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の感震器1は、地震の揺れを検出する感震センサ11と、感震センサ11の検出情報から外部に遮断信号を送信、詳しくは外部の配電機器2の引外し装置21に遮断信号を送信、または外部に出力、詳しくは、後述する表示部14aや通信部14bにより外部装置に情報を出力させる出力部14と、出力部14に出力させる制御部12と、感震センサ11の故障状態を所定間隔で自動的に診断を行う自己診断機能部13と、感震センサ11の故障検出と感震器1の動作確認を行う手動操作が可能なテスト部としてテストボタン15を備えている。このため、感震センサ11の故障を検出可能な感震器1とすることが可能となる。自己診断機能部13により、自動で感震センサ11の異常を常に検出可能となる。また、テストボタン15の手動操作により感震センサ11とともに感震器1自体の動作、すなわち、出力部14の動作を確認することができるため、故障検出の確実性を高めることが可能となる。ここでは、テスト部として感震器1に形成したテストボタン15として説明するが、離れた位置に形成してリモートコントロールを行うことが可能なテスト装置を形成して手動操作を行うものであっても良い。
【0013】
図3に示す例では、ブレーカからなる配電機器2に対して感震器1が接続されている。ブレーカは、電源側端子42と負荷側端子43を備えており、ハンドル2aの操作で接点の開閉を行い、接点の開放により負荷への通電を遮断することができる。なお、
図4に示すように、本実施形態では、分電盤3に組み込まれた主幹ブレーカ41対して感震器1が接続されており、制御部12により出力された遮断信号により、主幹ブレーカ41より下流側の機器への通電が遮断される。
【0014】
本実施形態の制御部12は、遮断信号を配電機器2に出力するとともに、感震器1自体で外部に通知するLEDやブザーなどの表示部14aや、外部装置に情報通信する通信部14bなどの出力部14から情報を発信させる。また、感震器1にはリセットボタン16を備えている。震度が第1所定値の場合には、遮断信号を出力する時間に安全を確認することが出来れば、このリセットボタン16を押して制御部12または後述する記憶部18で保持させている情報をリセットすればよい。なお、外部装置としては分電盤3の電流や電力を計測・演算を行う計測装置や、サーバ等であり、外部装置に情報を出力することにより離れた位置でも地震の揺れを検出したことを把握できる。
【0015】
本実施形態の制御部12には、自己診断機能部13を備えている。この自己診断機能部13は、所定時間ごとに感震センサ11に擬似信号を送信し、感震センサ11が自己診断機能部13から送信した擬似信号を検出しているかを判定する。この検出ができていたと確認できた場合に、制御部12は感震センサ11が正常な状態にあると判定する。また、この検出ができていたと確認できなかった場合、制御部12は感震センサ11が異常な状態にあると判定し、出力部14等に出力する。このようにすれば、自己診断機能部13が感震センサ11の異常を常に監視することができる為、感震器1の信頼性を高めることができる。なお、異常と判定した場合は、出力部14よりブザーを鳴らして通知させることができる。
【0016】
本実施形態の感震器1は、テストボタン15を備えている。このテストボタン15を人為的に操作することにより、自己診断機能部13と同様に、制御部12から感震センサ11の故障検出をすることができる。また、制御部12からの遮断信号を引外し装置21に送信したり、表示部14aへの出力や通信部14bからの出力を行う出力部14の動作確認も行うことができる。この際、遮断信号を受けた配電機器2の引外し装置21が接点の開放を行う動作確認も同時に行うことができる。制御部12から出力部14を介して遮断信号を出力するとき、表示部14aに遮断信号を送信したことを表示するようにしておけば、配電機器2の接点を開放しない場合には、配電機器2の故障を検出することもできる。なお、本実施形態においては、出力部14の動作確認方法として、テストボタン15を切り替え操作すると、表示部14aや通信部14bの動作状態を確認するように構成されている。例えば、テストボタン15を感震センサ11の動作確認方法と異なる操作(テストボタン15の長押し操作等)を行うことで切り替え操作できる。このように、感震器1のテスト部としてテストボタン15を操作することにより、出力部14の動作確認を実施可能とすれば、自己診断機能部13で感震センサ11の状態を常に確認できるとともに、テストボタン15で感震器1の出力部14自体の動作を確認できるため、故障検出を確実に行うことが可能となる。
【0017】
本実施形態の感震器1は、自己診断機能部13が自動で確認を行う時間を設定する設定部17を備える。また、内部に記憶部18を備えている。このため、記憶部18に収納しておいた診断情報を定期的に確認することが可能となる。また、自己診断機能部13の動作情報や、テストボタン15の動作情報を記憶しておき、記憶した情報を出力部14により外部に出力することが可能である。また、記憶した情報より、所定期間テストボタン15での故障検出を行っていないことを外部に出力したりすることも可能である。
【0018】
以上、一つの実施形態を中心に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、実施形態では、表示部としてLEDとブザーの双方を備えたものとしているが、どちらか一方のみを備える構成としたりすることも可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 感震器
11 感震センサ
12 制御部
13 自己診断機能部
14 出力部
15 テストボタン
18 記憶部