【文献】
Innisfree, South Korea,Day Cream SPF 30 PA++,Mintel GNPD,2014年 1月,ID#:2311736,URL,https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/
【文献】
Dax Cosmetics, Poland,Waterproof Sun Protection Cream SPF 50+,Mintel GNPD,2015年 7月,ID#:3303943,URL,https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/
【文献】
Laboratoires Nigy, France,Very High Protection Face Cream SPF 50+,Mintel GNPD,2010年 4月,ID#:1339173,URL,https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無機UV遮蔽剤が、金属酸化物及びそれらの混合物から成る群より選択され、有機UV遮蔽剤が、アントラニル化合物、ジベンゾイルメタン化合物、ケイ皮化合物、サリチル化合物、カンファー化合物、ベンゾフェノン化合物、β,β-ジフェニルアクリラート化合物、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンザルマロナート化合物、ベンズイミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、ビス-ベンゾアゾリル化合物、p-アミノ安息香酸(PABA)化合物、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、ベンゾオキサゾール化合物、遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン、α-アルキルスチレン由来二量体、4,4-ジアリールブタジエン化合物、並びにそれらの混合物から成る群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0024】
鋭意検討の結果、塗布中のみずみずしいさわやかな感触及び塗布後のべたつきのない感触をもたらすとともに、塗布時の均質な皮膜及び優れたUV遮蔽効果のような良好な化粧効果をもたらすことができる、イヌリン又は修飾イヌリンを含むO/W型エマルジョン形態の組成物を提供することができることが見出された。
【0025】
したがって、本発明による組成物はO/W型エマルジョン形態であり、
(a)少なくとも1種のUV遮蔽剤と、
(b)少なくとも1種のイヌリン又は疎水鎖で修飾されたイヌリンと、
(c)少なくとも1種の糖エーテル界面活性剤と、
(d)少なくとも1種の親水性アクリルポリマーと、
(e)水と
を含む。
【0026】
「O/Wエマルジョン」又は「水中油型エマルジョン」という用語は、連続的水性相と、該水性相へ液滴形態で分散された脂肪相とを含む、任意の巨視的に均質な組成物を意味する。
【0027】
本発明による組成物は、塗布時のみずみずしいさわやかな感触のような使用中の良好な感触、及び塗布後のべたつきのない感触をもたらすとともに、均質な皮膜をもたらすことができ、かつ強化されたUV遮蔽効果のような良好な化粧効果を示すことができる。
【0028】
以下、本発明による各組成物を詳細に記述する。
【0029】
[UV遮蔽剤]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)UV遮蔽剤を含む。2種以上の(a)UV遮蔽剤を使用する場合は、それらは同じであってもよく又は異なっていてもよい。
【0030】
UV遮蔽剤の種類は限定されない。UV遮蔽剤は、無機UV遮蔽剤、有機UV遮蔽剤、及びそれらの混合物より選択することができる。
【0031】
組成物中の(a)UV遮蔽剤の量は、組成物の総質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%であってよい。
【0032】
(無機UV遮蔽剤)
本発明による組成物は、少なくとも1種の無機UV遮蔽剤を含んでよい。2種以上の無機UV遮蔽剤を使用する場合は、それらは同じであってもよく又は異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0033】
本発明で使用される無機UV遮蔽剤は、UV-Aの及び/又はUV-Bの領域において活性があってよい。無機UV遮蔽剤は親水性及び/又は親油性であってよい。無機UV遮蔽剤は、好ましくは、通常化粧品で使用される水及びエタノールのような溶媒に不溶性である。
【0034】
無機UV遮蔽剤は、その平均(一次)粒子径が1nm〜50μm、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜200nmの範囲であるような微粒子の形態であることが好ましい。本明細書における平均(一次)粒径又は平均(一次)粒子径とは算術平均径のことである。
【0035】
無機UV遮蔽剤は、被覆されていることも、されていないこともある金属酸化物及びそれらの混合物から成る群より選択することができる。
【0036】
無機UV遮蔽剤は、好ましくは、例えば、酸化チタン(ルチル及び/又はアナターゼの非晶質形態又は結晶質形態)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウムのような、金属酸化物から形成される顔料(一次粒子の平均径:通常5〜50nm、好ましくは10〜50nm)より選択され、これらは全てそれ自体が周知のUV光防御剤である。無機UV遮蔽剤は、好ましくは、酸化チタン、酸化亜鉛、より好ましくは酸化チタンより選択される。
【0037】
無機UV遮蔽剤は被覆されていてもよく又はされていなくてもよい。無機UV遮蔽剤は少なくとも1種の被膜を有していてよい。被膜は、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、シリコーン、シラン、脂肪酸又はその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、鉄塩、若しくはアルミニウム塩のような)、脂肪アルコール、レシチン、アミノ酸、多糖、タンパク質、アルカノールアミン、蜜蝋のようなワックス、(メタ)アクリルポリマー、有機UV遮蔽剤、及び(ペル)フルオロ化合物から成る群より選択される少なくとも1種の化合物を含んでよい。
【0038】
被膜は、少なくとも1種の有機UV遮蔽剤を含むことが好ましい。被膜中の有機UV遮蔽剤としては、好ましくは、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)及び「TINOSORB M」としてBASF社より販売されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチル-ブチル)フェノール](メチレンビス-ベンゾトリアゾールイルテトラメチルブチルフェノール)のようなジベンゾイルメタン誘導体でよい。
【0039】
既知の方法において、被膜中のシリコーンは、直鎖状又は環状及び分岐鎖状又は架橋の構造を含み、適切な官能性シランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに連結(シロキサン結合)している繰り返しの主要単位から実質的に構成され、任意で該ケイ素原子へ炭素原子を介して直接連結している炭化水素基が置換されている、可変分子量の、有機ケイ素ポリマー又は有機ケイ素オリゴマーであってよい。
【0040】
また、「シリコーン」という用語は、その調製、特にアルキルシランの調製に必要とされるシランを含む。
【0041】
被膜に使用されるシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンから成る群より選択することができる。更により好ましくは、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンから成る群より選択される。
【0042】
もちろん、金属酸化物から作成される無機UV遮蔽剤は、シリコーンで処理する前に、他の表面処理剤、具体的には、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、又はそれらの混合物で処理されてよい。
【0043】
被覆無機UV遮蔽剤は、無機UV遮蔽剤に、上述の任意の化合物、並びにポリエチレン、金属アルコキシド(チタンアルコキシド又はアルミニウムアルコキシド)、金属酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及び、例えばCosmetics & Toiletries、105号、1990年2月、53〜64頁に示されるものとともに、化学的性質、電気的性質、機械科学的性質、及び/又は機械的性質の1種又は複数の表面処理を行うことによって調製されてよい。
【0044】
被覆無機UV遮蔽剤は、
池田物産株式会社製の製品「Sunveil」、及びSunjin Chemical社製の「Sunsil TIN 50」のようなシリカを用いて被覆された、
シリカ及び池田物産株式会社製の製品「Sunveil F」のような酸化鉄を用いて被覆された、
シリカ及びテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」、Tioxide社製の「Tioveil」、及びRhodia社製の「Mirasun TiW 60」のようなアルミナを用いて被覆された、
石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55 (B)」及び「Tipaque TTO-55 (A)」並びにKemira社製の「UVT 14/4」のようなアルミナを用いて被覆された、
アルミナ及びテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z又はMT-01」、Uniquema社製の製品「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」、並びにMerck社製の製品「Eusolex T-AVO」のようなステアリン酸アルミニウムを用いて被覆された、
アルミナ及びテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 S」のようなラウリン酸アルミニウムを用いて被覆された、
酸化鉄及びテイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」のようなステアリン酸鉄を用いて被覆された、
酸化亜鉛及びテイカ株式会社製の製品「BR351」のようなステアリン酸亜鉛を用いて被覆された、
シリカ及びアルミナを用いて被覆され、テイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」、及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」のようなシリコーンで処理された、
シリカ、アルミナ、及びステアリン酸アルミニウムを用いて被覆され、チタン工業株式会社製の製品「STT-30-DS」のようなシリコーンで処理された、
シリカを用いて被覆され、Kemira社製の製品「UV-Titan X 195」のようなシリコーンで処理された、
アルミナを用いて被覆され、石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55 (S)」又はKemira社製の「UV Titan M 262」のようなシリコーンで処理された、
チタン工業株式会社製の製品「STT-65-S」のようなトリエタノールアミンを用いて被覆された、
石原産業株式会社製の製品「Tipaque TTO-55 (C)」のようなステアリン酸を用いて被覆された、或いは
テイカ株式会社製の製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」のようなヘキサメタリン酸ナトリウムを用いて被覆された、
酸化チタンでもよい。
【0045】
シリコーンで処理された別の酸化チタン顔料としては、好ましくは、商標「T 805」でDegussa Silices社より販売されているような、それぞれの平均粒径が25〜40nmであり、オクチルトリメチルシランで処理されているTiO
2、商標「70250 Cardre UF TiO
2Si
3」でCardre社より販売されているような、それぞれの平均粒径が21nmであり、ポリジメチルシロキサンで処理されているTiO
2、及び商標「Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic」でColor Techniques社より販売されているような、それぞれの平均粒径が25nmであり、ポリジメチルヒドロシロキサンで処理されているアナターゼ/ルチルTiO
2がある。
【0046】
好ましくは、下記の被覆TiO
2を被覆無機UV遮蔽剤として使用することができる。
テイカ株式会社製の製品「MT-100 TV」のような、平均一次粒子径が15nmの、テアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO
2、
三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S4」のような、平均一次粒子径が15nmの、ジメチコーン(及び)ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO
2、
テイカ株式会社製の製品「MT-100 WP」のような、平均一次粒子径が15nmの、シリカ(及び)TiO
2、
テイカ株式会社製の製品「MT-Y02」及び「MT-Y-110 M3S」のような、平均一次粒子径が10nmの、ジメチコーン(及び)シリカ(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO
2、
三好化成株式会社製の製品「SA-TTO-S3」のような、平均一次粒子径が15nmの、ジメチコーン(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO
2、
Sachtleben社製の製品「UV TITAN M170」のような、平均一次粒子径が15nmの、ジメチコーン(及び)アルミナ(及び)TiO
2、並びに
テイカ株式会社製の製品「MT-100 AQ」のような、平均一次粒子径が15nmの、シリカ(及び)水酸化アルミニウム(及び)アルギン酸(及び)TiO
2。
【0047】
UV遮蔽能に関しては、少なくとも1種の有機UV遮蔽剤で被覆されたTiO
2がより好ましい。例えば、テイカ株式会社製の製品「HXMT-100ZA」のような、平均一次粒子径が15nmの、アボベンゾン(及び)ステアリン酸(及び)水酸化アルミニウム(及び)TiO
2を使用することができる。
【0048】
非被覆酸化チタン顔料は、例えば、テイカ株式会社より商標「Microtitanium Dioxide MT500B」又は「Microtitanium Dioxide MT600B」で、Degussa社より商標「P 25」で、Wacker社より商標「Oxyde de titane transparent PW」で、三好化成株式会社より商標「UFTR」で、Tomen社より商標「ITS」で、及びTioxide社より商標「Tioveil」で販売されている。
【0049】
非被覆酸化亜鉛顔料としては、例えば、
商標「Z-cote」でSunsmart社より販売されているものと、
商標「Nanox」でElementis社より販売されているものと、
商標「Nanogard WCD 2025」でNanophase Technologies社により販売されているものと、
がある。
【0050】
被覆酸化亜鉛としては、例えば、
商標「Oxide Zinc CS-5」でToshiba社より販売されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンで被覆されたZnO)と、
商標「Nanogard Zinc Oxide FN」でNanophase Technologies社より販売されているもの(Finsolv TN、C
12〜C
15安息香酸アルキル中に40%分散体として)と、
商標「Daitopersion Zn-30」及び「Daitopersion Zn-50」で大東化成工業株式会社より販売されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンで被覆されたナノ酸化亜鉛を30%又は50%含有する、オキシエチル化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン中の分散体)と、
商標「NFD Utrafine ZnO」でDaikin社より販売されているもの(シクロペンタシロキサン中の分散体として、ペルフルオロアルキルホスフェート及びペルフルオロアルキルエチルをベースとする共重合体で被覆されたZnO)と、
商標「SPD-Z1」で信越化学工業株式会社より販売されているもの(シクロジメチルシロキサン中に分散され、シリコーングラフトアクリルポリマーで被覆されたZnO)と、
商標「Escalol Z100」でISP社より販売されているもの(エチルヘキシルメトキシシンナマート/PVP-ヘキサデセン共重合体/メチコーン混合物中に分散された、アルミナ処理のZnO)と、
商標「Fuji ZnO-SMS-10」で富士色素株式会社より販売されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO)と、
商標「Nanox Gel TN」でElementis社より販売されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合物を含むC
12〜C
15安息香酸アルキル中に55%で分散されたZnO)と、
がある。
【0051】
非被覆酸化セリウム顔料は、例えば、商標「Colloidal Cerium Oxide」でRhone-Poulenc社より販売されている。
【0052】
非被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社より商標「Nanogard WCD 2002(FE 45B)」、「Nanogard Iron FE 45 BL AQ」、「Nanogard FE 45R AQ」、及び「Nanogard WCD 2006(FE 45R)」で、又はMitsubishi社より商標「TY-220」で販売されている。
【0053】
被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社より商標「Nanogard WCD 2008(FE 45 BFN)」、「Nanogard WCD 2009(FE 45B 556)」、「Nanogard FE45 BL 345」、及び「Nanogard FE 45 BL」で、又はBASF社より商標「Oxyde de fer transparent」で販売されている。
【0054】
金属酸化物の混合物、具体的には、池田物産株式会社より商標「Sunveil A」で販売されているシリカで被覆された二酸化チタン及びシリカで被覆された二酸化セリウムの等質量混合物を含む二酸化チタン及び二酸化セリウム、並びに、製品「M 261」でKemira社より販売されているような、アルミナ、シリカ、及びシリコーンで被覆された、又は、「製品M 211」でKemira社より販売されているような、アルミナ、シリカ及びグリセロールで被覆された二酸化チタン及び二酸化亜鉛の混合物も挙げられる。
【0055】
無機UV遮蔽剤のUV遮蔽効果を高めることができるので、被覆無機UV遮蔽剤が好ましい。更に被膜は、UV遮蔽剤が本発明による組成物中に均一に又は均質に分散する助けとなることができる。
【0056】
(有機UV遮蔽剤)
本発明による組成物は少なくとも1種の有機UV遮蔽剤を含んでよい。2種以上の有機UV遮蔽剤を使用する場合は、それらは同じであってもよく又は異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0057】
本発明に使用される有機UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性があってよい。有機UV遮蔽剤は、親水性及び/又は親油性であってよい。
【0058】
有機UV遮蔽剤は固体又は液体であってよい。「固体」及び「液体」という用語は、25℃、1atmでの固体及び液体をそれぞれ意味する。
【0059】
有機UV遮蔽剤は、アントラニル化合物、ジベンゾイルメタン化合物、ケイ皮化合物、サリチル化合物、カンファー化合物、ベンゾフェノン化合物、β,β-ジフェニルアクリラート化合物、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンザルマロナート化合物、ベンズイミダゾール化合物、イミダゾリン化合物、ビス-ベンゾアゾリル化合物、p-アミノ安息香酸(PABA)化合物、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、ベンゾオキサゾール化合物、遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン、α-アルキルスチレン由来二量体、4,4-ジアリールブタジエン化合物、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、バイオフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基を有するペプチド、並びにそれらの混合物から成る群より選択することができる。
【0060】
有機UV遮蔽剤の例としては、INCI名で下記に示すもの、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0061】
- アントラニル化合物:商標「Neo Heliopan MA」でHaarmann and Reimer社より販売されているアントラニル酸メチル。
- ジベンゾイルメタン化合物:具体的には商標「Parsol 1789」でHoffmann-La Roche社より販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びイソプロピルジベンゾイルメタン。
- ケイ皮化合物:商標「Parsol MCX」でHoffmann-La Roche社より販売されているエチルヘキシルメトキシシンナマート、イソプロピルメトキシシンナマート、イソプロポキシメトキシシンナマート、商標「Neo Heliopan E 1000」でHaarmann and Reimer社より販売されているイソアミルメトキシシンナマート、シノキサート(2-エトキシエチル-4-メトキシシンナマート、DEAメトキシシンナマート、ジイソプロピルメチルシンナマート、及びグリセリルエチルヘキサノアートジメトキシシンナマート。
- サリチル化合物:商標「Eusolex HMS」でRona/EM Industries社より販売されているホモサラート(サリチル酸ホモメンチル)、商標「Neo Heliopan OS」でHaarmann and Reimer社より販売されているサリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸グリコール、サリチル酸ブチルオクチル、サリチル酸フェニル、商標「Dipsal」でScher社より販売されているサリチル酸ジプロピレングリコール、及び商標「Neo Heliopan TS」でHaarmann and Reimer社より販売されているサリチル酸TEA。
- カンファー化合物、具体的には、ベンジリデンカンファー誘導体:商標「Mexoryl SD」でChimex社によって製造されている3-ベンジリデンカンファー、商標「Eusolex 6300」でMerck社より販売されている4-メチルベンジリデンカンファー、商標「Mexoryl SL」でChimex社によって製造されているベンジリデンカンファースルホン酸、「Mexoryl SO」でChimex社によって製造されているカンファーメトベンザルコニウムメトスルファート、商標「Mexoryl SX」でChimex社によって製造されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸、及び商標「Mexoryl SW」でChimex社によって製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
- ベンゾフェノン化合物:商標「Uvinul 400」でBASF社より販売されているベンゾフェノン-1(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン)、商標「Uvinul D50」でBASF社より販売されているベンゾフェノン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン)、商標「Uvinul M40」でBASF社より販売されているベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)又はオキシベンゾン、商標「Uvinul MS40」でBASF社より販売されているベンゾフェノン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸)、ベンゾフェノン-5(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホンナトリウム)、商標「Helisorb11」でNorquay社より販売されているベンゾフェノン-6(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン)、商標「Spectra-Sorb UV-24」でAmerican Cyanamidより販売されているベンゾフェノン-8、商標「Uvinul DS-49」でBASF社より販売されているベンゾフェノン-9(ジナトリウムジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホナート)、及びベンゾフェノン-12、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート(Uvinul A+、BASF社製)。
- β,β-ジフェニルアクリラート化合物:具体的には商標「Uvinul N539」でBASF社より販売されているオクトクリレン、及び具体的には商標「Uvinul N35」でBASF社より販売されているエトクリレン。
- トリアジン化合物:商標「UvasorbHEB」でSigma3V社より販売されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、《商標TINOSORB S》でBASF社より販売されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及び商標《UVINUL T150》でBASF社より販売されているエチルヘキシルトリアゾン。
- ベンゾトリアゾール化合物、具体的には、フェニルベンゾトリアゾール誘導体:直鎖状及び分岐鎖状の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノ、及びUSP 5240975に記載のもの。
- ベンザルマロナート化合物:ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロナート、及び商標「Parsol SLX」でHoffmann LaRoche社より販売されているポリシリコーン15のようなベンザルマロナート官能基を含むポリオルガノシロキサン。
- ベンズイミダゾール化合物、具体的には、フェニルベンズイミダゾール誘導体:具体的には、商標「Eusolex 232」でMerck社より販売されているフェニルベンズイミダゾールスルホン酸、及び商標「Neo Heliopan AP」でHaarmann and Reimer社より販売されているフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホンジナトリウム。
- イミダゾリン化合物:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート。
- ビス-ベンゾアゾリル化合物: EP-669,323及び米国特許第2,463,264号明細書に記載の誘導体。
- パラアミノ安息香酸化合物:PABA(p-アミノ安息香酸)、PABAエチル、PABAエチルジヒドロキシプロピル、PABAペンチルジメチル、具体的には、商標「Escalol 507」でISP社より販売されているPABAエチルヘキシルジメチル、PABAグリセリル、及び商標「Uvinul P25」でBASFより販売されているPEG-25PABA。
- メチレンビス-(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物:例えば、固体形態で、商標「Mixxim BB/200」でFairmount Chemical社より販売されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール]、水性分散体中において微粉化形態で、商標「Tinosorb M」でBASF社より、又は商標「Mixxim BB/100」でFairmount Chemical社より販売されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、及び米国特許第5,237,071号明細書、米国特許第5,166,355号明細書、GB-2,303,549、DE-197,26,184、及びEP-893,119に記載の誘導体、並びに
商標「Silatrizole」でRhodia Chimie社より又は「Mexoryl XL」でL'Oreal社より販売されている下記に表すドロメトリゾールトリシロキサン。
【0063】
- ベンゾオキサゾール化合物:商標Uvasorb K2AでSigma 3V社より販売されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
- 遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン:WO 93/04665に記載のシリコーン。
- α-アルキルスチレン由来二量体:DE-19855649に記載の二量体。
- 4,4-ジアリールブタジエン化合物:1,1-ジカルボキシ(2,2'ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0064】
有機UV遮蔽剤は、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルメトキシシンナマート、ホモサラート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホンジナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4-ビス-(n-ブチル4'-アミノベンザルマロナート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]-ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジ-フェニル)-トリアジン、2,4,6-トリス-(ter-フェニル)-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾールイルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン15、ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロナート、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、カンファーベンジルコニウムメトスルファート、及びそれらの混合物から成る群より選択されることが好ましい。
【0065】
[イヌリン又は修飾イヌリン]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(b)イヌリン又は疎水鎖で修飾されたイヌリンを含む。2種以上の(b)イヌリン又は疎水鎖で修飾されたイヌリンを使用する場合は、それらは同じであってもよく又は異なっていてもよい。
【0066】
イヌリンはフルクタンファミリーに属する。
【0067】
フルクタン又はフルクトサンは、フルクトース以外の1つ又は複数の糖残基と任意で組み合わせた無水フルクトース単位の配列を含むオリゴ糖又は多糖である。フルクタンは直鎖状又は分岐鎖状であってよい。フルクタンは、植物源若しくは微生物源から直接得られる生成物であってよく、又は代わりに、分割、合成若しくは加水分解、具体的には酵素によって修飾された(延長又は短縮)された鎖長を有する生成物であってよい。フルクタンは、通常2〜約1000、好ましくは2〜約60の重合度を有する。
【0068】
フルクタンは3つのグループに分けられる。第1のグループは、フルクトース単位の大部分がP -2-1結合を介して結合している生成物に相当する。これらは実質的にはイヌリンのような直鎖状フルクタンである。
【0069】
第2のグループも、直鎖状フルクトースに相当するが、フルクトース単位は実質的にP -2-6結合を介して結合している。これらの生成物としてはレバンがある。
【0070】
第3のグループは、混合フルクタン、言い換えるとβ-2-6及びβ-2-1配列を有するものに相当する。これらは実質的にはグラミナンのような分岐鎖状フルクタンである。
【0071】
したがって、イヌリンは多糖の1種であり、フルクトースのポリマーである。イヌリンは、例えば、エンダイブ、ダリア、又はキクイモより得ることができる。本発明による組成物で使用されるイヌリンは、好ましくは、例えばエンダイブより得られる。
【0072】
本発明による組成物に使用されるイヌリンは疎水性に修飾されてよい。具体的には、それはフルクタンの親水性骨格上に疎水鎖をグラフトすることによって得られる。
【0073】
フルクタンの主鎖上にグラフトすることができる疎水鎖は、具体的には、アルキル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルキレン基、二価の脂環式基、又はオルガノポリシロキサン鎖のような1〜50個の炭素原子、好ましくは8〜22個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状で、飽和又は不飽和の、炭化水素鎖であってもよい。これらの炭化水素鎖又はオルガノポリシロキサン鎖は、具体的には、メチレンジシクロヘキシル及びイソホロン、又はフェニレンのような二価の芳香族基等の、具体的には1つ又は複数のエステル、アミド、ウレタン、カルバマート、チオカルバマート、尿素、チオ尿素及び/又はスルホンアミド官能基を含んでよい。
【0074】
本発明による「疎水性修飾イヌリン」は、具体的には、疎水鎖で修飾されたイヌリン、特に疎水鎖を該イヌリンの親水性骨格にグラフトすることによって修飾されたイヌリンである。
【0075】
具体的には、疎水性修飾イヌリンは2〜約1000、好ましくは2〜約60の重合度、及び1個のフルクトース単位に対して2未満の置換度を示す。
【0076】
好ましい一実施形態によれば、疎水鎖は、式R-NH-CO-[式中、Rは1〜22個の炭素原子、好ましくは8〜16個の炭素原子を有するアルキル基である。]の少なくとも1つのアルキルカルバマート基を有する。
【0077】
より好ましい一実施形態によれば、疎水鎖としてはラウリルカルバマート基がある。
【0078】
具体的には、本発明による組成物に使用することができる疎水性修飾イヌリンの例示的かつ非限定的な例としては、例えば、Lifidrem INSTの名称でEngelhard社より、及びRheopearl INSでCiba社より販売されているステアロイルイヌリン、パルミトイルイヌリン、例えば、Lifidrem INUK及びLifidrem INUMの名称でEngelhard社より販売されているウンデシレノイルイヌリン、並びに、例えば、Inutec SP1の名称でBeneo社より、及びInutec SL1でCreachem社より販売されているイヌリンラウリルカルバマートが含まれる。
【0079】
具体的には、ラウリルイソシアネートの、イヌリン、特にエンダイブより得られるイヌリンとの反応より生じる、グラフト化イヌリンラウリルカルバマートが使用される。これらの化合物の例としては、具体的には、Inutec SP1の名称でBeneo社より、及びInutec SL1でCreachem社より販売されている製品が含まれる。
【0080】
(b)イヌリン又は疎水鎖で修飾されたイヌリンの量は、組成物の総質量に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.15〜3質量%であってよい。
【0081】
[糖エーテル界面活性剤]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(c)糖エーテル界面活性剤を含む。2種以上の(c)糖エーテル界面活性剤を使用する場合は、それらは同じであってもよく又は異なっていてもよい。
【0082】
(c)糖エーテル界面活性剤は、少なくとも1つの糖部分及び少なくとも1つのエーテル結合を有する界面活性剤である。(c)糖エーテル界面活性剤は、グルコシド型界面活性剤より選択されることが好ましい。
【0083】
グルコシド型界面活性剤は、好ましくは、アルキルグルコシド及びアルキルポリグルコシドから成る群より選択されてよい。
【0084】
グルコシド型界面活性剤は下記の一般式:
R
1O-(R
2O)
t(G)
v
[式中、
R
1は水素原子、又は直鎖状若しくは分岐鎖状の、1〜30個、好ましくは6〜28個、より好ましくは8〜26個の炭素原子を含むアルキル基又は7〜30個、好ましくは7〜28個、より好ましくは7〜26個の炭素原子を含むアラルキル基を表し、ただし、少なくとも1つのR
1は1〜30個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、
R
2は2〜4個の炭素原子を含むアルキレン基を表し、
Gは5個又は6個の炭素原子を含む還元糖を表し、
tは0〜10の範囲の値を示し、
vは1〜15の範囲の値を示す。]
によって表すことができる。
【0085】
上記の式においてGで表される5個又は6個の炭素原子を含む還元糖は、グルコース、フルクトース及びガラクトースから成る群より選択されてよい。
【0086】
グルコシド型界面活性剤は、好ましくは、カプリリル/カプリルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、セテアリルグルコシド、アラキジルグルコシド、イソステアリルグルコシド、オレイルグルコシド、C12〜20アルキルグルコシド、及びそれらの混合物から成る群より選択されてよい。
【0087】
例として挙げられるグルコシド型界面活性剤としては、例えばMydol 10の名称で花王ケミカル株式会社より販売されている製品、Plantaren 2000 UP及びPlantacare 2000 UPの名称でBASF社より販売されている製品、及びOramix NS10の名称でSEPPIC社より販売されている製品であるデシルグルコシド[アルキル-C
9/C
11-ポリグルコシド(1.4)]と、例えばOramix CG110の名称でSEPPIC社より、又はLutensol GD70の名称でBASF社より販売されている製品であるカプリリル/カプリルグルコシドと、例えばPlantaren 1200 N及びPlantacare 120の名称でHenkel社より販売されている製品であるラウリルグルコシドと、例えばPlantacare 818/UPの名称でHenkel社より販売されている製品であるココグルコシドと、例えばMONTANOV68の名称でSeppic社より、TEGO-CARE CG90の名称でGoldschmidt社より、及びEMULGADE KE3302の名称でHenkel社より販売されているセトステアリルアルコールと混合可能なセトステアリルグルコシドと、例えばアラキジルアルコール及びベヘニルアルコールの混合物の形態のアラキジルグルコシド並びにMONTANOV 202の名称でSeppic社より販売されているアラキジルグルコシドと、例えばセチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物(35/65)の形態で、MONTANOV 82の名称でSeppic社より販売されているココイルエチルグルコシドと、例えばC14〜22アルコールとの混合物の形態で、MONTANOV Lの名称でSeppic社より販売されているC12〜20アルキルグルコシドと、それらの混合物とが含まれる。
【0088】
(c)糖エーテル界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%であってよい。
【0089】
[親水性アクリルポリマー]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(d)親水性アクリルポリマーを含む。2種以上の(d)親水性アクリルポリマーを使用する場合は、それらは同じであってもよく又は異なっていてもよい。
【0090】
(d)親水性アクリルポリマーは増粘剤として作用することができる。
【0091】
本発明によれば、「親水性アクリルポリマー」という用語は、非疎水性の及び非両親媒性のアクリルポリマーを意味する。
【0092】
本発明による該親水性アクリルポリマーは、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)のアクリルポリマー又はアクリル酸ポリマーのいずれかである。
【0093】
なかでも、親水性アクリルポリマーとしては、下記のポリマーが挙げられる。
【0094】
1)スルホン基を有する少なくとも1つのモノマーを含むアクリルポリマー
第一の実施形態よれば、本発明に従って使用される親水性アクリルポリマーは、スルホン基を有する少なくとも1つのモノマーを含む。
【0095】
本発明に従って使用されるポリマーは、スルホン基を有する少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーより得ることができるホモポリマーであり、遊離形態又は部分的若しくは完全に中和された形態であってよい。
【0096】
優先的には、本発明に従うポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニア水)又はモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、例えばアルギニン及びリジンのような塩基性アミノ酸、並びにこれらの化合物の混合物のような有機塩基を用いて部分的に又は完全に中和されている。それらは通常は中和されている。
【0097】
本発明において、「中和された」という用語は、完全に又はほぼ完全に中和された、すなわち、少なくとも90%が中和されたポリマーを意味する。
【0098】
本発明の組成物で使用されるポリマーは、通常、1000〜20 000 000g/molの範囲、好ましくは20 000〜5 000 000g/molの範囲、更により優先的には100 000〜1 500 000g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0099】
本発明によるこれらのポリマーは、架橋されていてもよく又はされていなくてもよい。
【0100】
本発明の組成物で使用されるポリマーのスルホン基を有するモノマーは、特に、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド(C
1〜C
22)アルキルスルホン酸、ウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸のようなN-(C
1〜C
22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C
1〜C
22)アルキルスルホン酸、及びまたそれらの部分的に又は完全に中和された形態、並びにそれらの混合物より選ばれる。
【0101】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、スルホン基を有するモノマーは、(メタ)アクリルアミド(C
1〜C
22)アルキルスルホン酸、例えばアクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸、及び2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸と、またそれらの部分的に又は完全に中和された形態と、それらの混合物とより選ばれる。
【0102】
より具体的には、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)及びその部分的に又は完全に中和された形態も使用される。
【0103】
ポリマーを架橋する時、架橋剤は、ラジカル重合によって得られるポリマーの架橋に通常使用されるポリオレフィン性不飽和化合物より選んでよい。
【0104】
例として挙げられる架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート若しくはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌラート、ジアリルマレアート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリラート、糖類のアルコールのアリルエーテル、又は他の多官能性アルコールのアリルエーテル若しくはビニールエーテル、並びに、リン酸誘導体及び/又はビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、或いはそれらの化合物の混合物が含まれる。
【0105】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリラート及びトリメチロールプロパンアクリラート(TMPTA)より選ばれる。架橋度は、通常、ポリマーに対して0.01〜10mol%、より好ましくは0.2〜2mol%の範囲である。
【0106】
スルホン基を有するモノマーのホモポリマーは、1種又は複数の架橋剤で架橋してよい。
【0107】
これらのホモポリマーは通常は架橋及び中和され、下記の工程を含む調製法に従って得ることができる。
(a)遊離形態の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のようなモノマーを、tert-ブタノール溶液又は水及びtert-ブタノール溶液へ分散又は溶解する。
(b)(a)で得られたモノマー溶液又は分散体を、ポリマーのスルホン酸官能基の中和度が90〜100%の範囲で得られることを可能にする量で、1種又は複数の無機塩基若しくは有機塩基、好ましくはアンモニア水NH
3を用いて中和する。
(c)架橋モノマーを(b)で得られた溶液又は分散体へ添加する。
(d)標準的なラジカル重合を、ラジカル開始剤の存在下、10〜150℃の温度範囲で実施し、ポリマーをtert-ブタノール系溶液又はtert-ブタノール系分散体中で沈殿させる。
【0108】
好ましいAMPSホモポリマーは、通常、ランダムに分散された、
a)90〜99.9質量%の下記の一般式(II)の単位と、
【0110】
[式中、X
+は、陽子、アルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン、又はアンモニウムイオンを示し、陽イオンX
+の10mol%以下が陽子H
+の可能性がある。]
b)少なくとも2つのオレフィン性二重結合を含む少なくとも1つのモノマー由来の0.01〜10質量%の架橋単位と、
を含むことを特徴とし、その質量比はポリマーの総質量に対して定義される。
【0111】
より特に好ましい本発明によるホモポリマーは、98〜99.5質量%の式(II)の単位及び0.2〜2質量%の架橋単位を含む。
【0112】
こうした種類のポリマーとしては、特にClariant社より商標Hostacerin AMPS(CTFA名:ポリアクリルジメチルタウルアミドアンモニウム)で販売されている又はSimulgel 800(CTFA名:ポリアクロイルジメチルタウリンアンモニウム)でSeppic社より販売されている、架橋及び中和された2-アクリルアミド-2メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーが挙げられる。
【0113】
スルホン基を有する少なくとも1つのモノマーを含む他のアクリルポリマーとしては、特に、アクリロイルジメチルタウラートポリマー、好ましくはアクリロイルジメチルタウラート共重合体が挙げられる。アクリロイルジメチルタウラートポリマーは、モノマーとしてアクリロイルジメチルタウラートを含むポリマーであり、アクリロイルジメチルタウラート共重合体は、モノマーとしてアクリロイルジメチルタウラート及び1種又は複数の他のモノマーを含む共重合体である。アクリロイルジメチルタウラート共重合体としては、Aristoflex AVCの名称でClariant社より販売されている、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP共重合体のようなアクリロイルジメチルタウラートとビニルピロリドン(VP)との共重合体が挙げられる。
【0114】
2)アクリルアミド/AMPS共重合体
他の実施形態によれば、親水性アクリルポリマーは、(i)アクリルアミド(モノマー1)と、(ii)2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(モノマー2、本明細書において以降は便宜上AMPSと称する)と、(iii)少なくとも1種のポリオレフィン系不飽和化合物(モノマー3)との間の反応由来の単位から形成される架橋陰イオン性共重合体であり、本明細書では架橋剤で構成されている。
【0115】
本発明の範囲で使用される架橋陰イオン性共重合体は、それ自体が既知の生成物であり、その製法は特許出願EP-A-0 503 853で特に記載され、これによりその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0116】
このように、上記の共重合体は、エマルジョン重合技術に従って、それらの構成に含まれる3つの異なるコモノマーより従来通りに得ることができる。
【0117】
本発明に従う共重合体調製用架橋剤として使用されるポリオレフィン系不飽和モノマーは、好ましくは、メチレンビスアクリルアミド、アリルスクロース及びペンタエリスリトールによって形成される群より選ばれる。より優先的には、メチレンビスアクリルアミドが使用される。
【0118】
該ポリオレフィン系不飽和化合物は、好ましくは、モノマー単位1mol当たり0.06から1mmolの間の濃度で共重合体に総じて存在する。
【0119】
アクリルアミドとAMPSとの間のmol%で表される比は、優先的には85/15から15/85の間、有利には70/30から30/70の間、より優先的には65/35から35/65の間、より具体的には60/40から40/60の間である。更に、AMPSは、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はトリエタノールアミンのような低分子量アミン、或いはそれらの混合物を用いて、通常は少なくとも部分的に塩の形態に中和されている。
【0120】
本発明の実施の範囲で特に好ましい架橋共重合体は、上述の特許出願EP-A-0 503 853の実施例1で調製されるものに相当し、油中水型逆エマルジョン形態である。より正確には、この共重合体は60mol%のアクリルアミド及び40mol%のAMPSナトリウム塩から形成され、それは総モノマー混合物1molに対して0.22mmolの比で、メチレンビスアクリルアミドを用いて架橋されている。最終的な油中水型逆エマルジョンは、好ましくは、約40質量%の上述の架橋共重合体及び約4質量%のエトキシル化脂肪アルコールを含み、HLBは約12.5である。
【0121】
本発明に従ってより具体的に使用される架橋共重合体としては、Sepigel 305(CTFA名:ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス7)又はSimulgel 600(CTFA名:アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名称でSEPPIC社より販売されている製品、又はSimulgel EG(CTFA名:アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)がある。
【0122】
3)他の親水性アクリルポリマー
本発明に従って使用することができる他の親水性アクリルポリマーとしてはまた、
例えば、Carbopol 934、940、954、981及び980の名称でNoveon社より販売されている製品、3V社製のSynthalen L(登録商標)のようなアクリル酸又はメタクリル酸、或いはそれらの塩及びそれらのエステルと、Darvan No. 7(登録商標)の名称でVanderbilt社より販売され、Versicol F又はVersicol Kの名称でAllied Colloid社より販売され、Ultrahold 8の名称でCiba Geigy社より販売されているポリメタクリル酸ナトリウムと、並びにSynthalen K型のポリアクリル酸とのホモポリマー又は共重合体と、
例えば、Lubrajel(登録商標)MS、Lubrajel(登録商標)CG、Lubrajel(登録商標)DV、Lubrajel(登録商標)NP、Lubrajel(登録商標)OIL、Lubrajel(登録商標)Oil BG、Lubrajel(登録商標)PF、Lubrajel(登録商標)TW、及びLubrajel(登録商標)WAの名称でGuardian Laboratories(登録商標)社より販売されている製品のような、Lubrajel MSを使用するのが好ましい、グリセリルアクリラートポリマー等のポリアクリラート及びポリメタクリラートのポリマーで、具体的には、アクリル酸グリセリル及びアクリル酸の共重合体と、
Pemulen型のポリアクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体と、
Hydragen FN(登録商標)の名称でCognis社より販売されている製品のような、アクリル酸塩/ビニルアルコールの共重合体と、
それらの混合物と、
が挙げられる。
【0123】
好ましくは、(d)親水性アクリルポリマーがアクリロイルジメチルタウラートポリマーであってもよく、より好ましくは、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP共重合体、及びそれらの組合せから成る群より選択されてよい。
【0124】
(d)親水性アクリルポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%であってよい。
【0125】
[脂肪アルコール]
本発明による組成物は少なくとも1種の(f)脂肪アルコールを含んでいてよい。2種以上の(d)脂肪アルコールを使用する場合は、それらは同じであってもよく又は異なっていてもよい。
【0126】
本明細書の「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むものを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは8個以上の炭素原子が脂肪アルコールの範囲に含まれる。脂肪アルコールは、飽和又は不飽和であってよい。脂肪アルコールは直鎖状又は分岐状であってよい。
【0127】
脂肪アルコールはR-OH構造を有することができ、式中、Rは、8〜40個の炭素原子、例えば、8〜30個の炭素原子を含む、飽和及び不飽和で、直鎖状及び分岐鎖状の基から選ばれる。少なくとも一つの実施形態において、Rは、C
12〜C
24アルキル及びC
12〜C
24アルケニル基より選ばれる。Rは少なくとも1つの水酸基で置換されてもよいか、又は置換されなくてもよい。
【0128】
非限定的な例として挙げられる脂肪アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトオレイルアルコール、アラキドニルアルコール、アラキジルアルコール、エルシルアルコール、セテアリルアルコール、C14〜22アルコール、及びそれらの混合物が含まれる。
【0129】
適切な脂肪アルコールの例としては、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、アラキジルアルコール、C14〜C22アルコール、及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0130】
脂肪アルコールは、オキシアルキレン化又はグリセロール化されていてもよいか又はされていなくてもよい。好ましくは、脂肪アルコールは、オキシアルキレン化又はグリセロール化されていない。
【0131】
本明細書において使用される、「オキシアルキレン化脂肪アルコール」という用語は、下記の構造を有する純粋な任意の脂肪アルコールを意味すると理解される。
【0133】
[式中、
Rは、8〜40個の炭素原子、例えば、8〜30個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和で、直鎖状又は分岐鎖状の基より選ばれ、
Zは、式(i)のオキシエチレン基、及び/又は式(ii)
1及び(ii)
2のオキシプロピレン基より選ばれるオキシプロピレン基であり、
【0135】
mは、エチレンオキシド基及び/又はプロピレンオキシド基の数であり、1〜250、例えば2〜100の範囲でよい。]
【0136】
本明細書で使用される、「グリセロール化脂肪アルコール」という用語は、下記の構造を有する任意の純粋な脂肪アルコールを意味すると理解される。
【0138】
[式中、
Rは、8〜40個の炭素原子、例えば、8〜30個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和で、直鎖状又は分岐鎖状の基より選ばれ、
Zは、式(iii)のグリセロール基であり、
【0140】
nは、グリセロール基の数であり、1〜30、例えば1〜10の範囲でよい。]
【0141】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、本開示に従って使用されるオキシアルキレン化脂肪アルコールは、10個〜20個の炭素原子及び2〜40個ののエチレンオキシド基を含む、飽和又は不飽和で、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪アルコールより選ばれてよい。
【0142】
オキシアルキレン化脂肪アルコールの非限定的な例としては、下記の市販の製品が含まれる。
MERGITAL LM2(Cognis社)[ラウリルアルコール2 EO]、
IFRALAN L12(Ifrachem社)及びREWOPAL 12(Goldschmidt社)[ラウリルアルコール12 EO]、
EMPILAN KA 2.5/90 FL(Albright & Wilson社)及びMERGITAL BL309(Cognis社)[デシルアルコール3 EO]、
EMPILAN KA5/90FL(Albright & Wilson社)及びMERGITAL BL589(Cognis社)[デシルアルコール5 EO]、
BRIJ 58(Uniquema社)及びSIMULSOL 58 (Seppic社)[セチルアルコール20 EO]、
EMULGIN 05(Cognis社)[オレイル/セチルアルコール5 EO]、
MERGITAL OC30(Cognis)社[オレイル/セチルアルコール30 EO]、
BRIJ 72(Uniquema社)[ステアリルアルコール2 EO]、
BRIJ 76(Uniquema社)[ステアリルアルコール10 EO]、
BRIJ 78P(Uniquema社)[ステアリルアルコール20 EO]、
BRIJ 700(Uniquema社)[ステアリルアルコール100 EO]、
EMULGIN B1(Cognis社)[ステアリルアルコール12 EO]、
EMULGIN L(Cognis社)[セチルアルコール9 EO及び2 PO]、並びに
WITCONOL APM(Goldschmidt社)[ミリスチルアルコール3 PO]。
【0143】
グリセロール化脂肪アルコールの例としては、4molのグリセロールを含むラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、4molのグリセロールを含むオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含むオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含むセチルアルコール、6molのグリセロールを含むセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含むオレイル/セチルアルコール、及び6molのグリセロールを含むオクタデカノールが含まれるが、それらに制限されない。
【0144】
組成物中の(f)脂肪アルコールの量は、組成物の総質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%であってよい。
【0145】
[油]
本発明による組成物は少なくとも1種の油を含んでよい。2種類以上の油を使用する場合は、それらは同じであってもよく又は異なっていてもよい。
【0146】
本明細書において、「油」は、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下で液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、一般的に化粧品に使用されるこうした化合物又は物質は、単独で又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は揮発性であってもよく、又は非揮発性であってよい。
【0147】
油は、炭化水素油又はシリコーン油等のような非極性油、植物油又は動物油及びエステル油又はエーテル油のような極性油、或いはそれらの混合物であってよい。
【0148】
油は、植物起源又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、及び炭化水素油から成る群より選択されてよい。
【0149】
植物油の例としては、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0150】
動物油の例としては、例えば、スクアレン及びスクアランが挙げられる。
【0151】
合成油の例としては、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカンのようなアルカン油、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドが挙げられる。
【0152】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和で、直鎖状又は分岐鎖状のC
1〜C
26脂肪族モノ酸又は多価酸の、及び飽和又は不飽和で、直鎖状又は分岐鎖状のC
1〜C
26脂肪族モノアルコール又は多価アルコールの液体エステルであり、エステルの総炭素原子数は10以上である。
【0153】
多価アルコールのエステルについては、好ましくは、本発明のエステルの由来となるアルコール及び酸のうちの少なくとも1つが分岐している。
【0154】
なかでも、モノ酸及びモノアルコールのモノエステルとしては、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチルのようなミリスチン酸アルキル、ステアリン酸イソセチル、2-エチルヘキシルイソノナノアート、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルが挙げられる。
【0155】
また、C
4〜C
22ジカルボン又はトリカルボン酸とC
1〜C
22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖C
4〜C
26ジヒドロキシアルコール、トリヒドロキシアルコール、テトラヒドロキシアルコール、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルを使用してもよい。
【0156】
特に、セバシン酸ジエチル、イソプロピルラウロイルサルコシナート、セバシン酸ジイソプロピル、ビス(2-エチルヘキシル)セバカート、アジピン酸ジイソプロピル、ジ-n-プロピルアジパート、アジピン酸ジオクチル、ビス(2-エチルヘキシル)アジパート、アジピン酸ジイソステアリル、ビス(2-エチルヘキシル)マレアート、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート、ジエチレングリコールジイソノナノアートを挙げることができる。
【0157】
エステル油としては、C
6〜C
30、好ましくはC
12〜C
22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、数個のアルコール官能基を含み、アルデヒド官能基又はケトン官能基を含むか又は含まず、少なくとも4個の炭素原子を含み、酸素を有する炭化水素系化合物を意味することを想起させる。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖でよい。
【0158】
例として挙げられる適切な糖としては、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特に、例えば、メチルグルコース等のメチル誘導体のようなアルキル誘導体が含まれる。
【0159】
脂肪酸の糖エステルは特に、前述の糖と、直鎖状又は分岐鎖状で、飽和又は不飽和のC
6〜C
30脂肪酸、好ましくはC
12〜C
22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群より選んでよい。それらが不飽和である場合は、それらの化合物は1〜3個の共役の又は非共役の炭素-炭素二重結合を有してよい。
【0160】
この変形によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにそれらの混合物より選択されてもよい。
【0161】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、ココ酸(cocoates)、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、カプリン酸及びアラキドン酸のエステル、又は、特にオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合物のようなそれらの混合物のエステル、並びにペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノアートであってもよい。
【0162】
より具体的には、モノエステル及びジエステル、特に、スクロース、グルコース、又はメチルグルコースと、モノオレイン酸若しくはジオレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレオパルミチン酸、リノール酸、リノレン酸及びオレオステアリン酸とのモノエステル及びジエステルが使用される。
【0163】
例として、Glucate(登録商標)DOの名称でAmerchol社より販売されている製品、メチルグルコースジオレアートが挙げられる。
【0164】
好ましいエステル油の例としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、2-エチルヘキシルヘキサノアート、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキシル2-エチルヘキサノアート、2-エチルヘキシルオクタノアート、2-エチルヘキシルカプリラート/カプラート、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、イソプロピルラウロイルサルコシナート、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、グリセリルトリ(2-エチルヘキサノアート)、ペンタエリスリチルテトラ(2-エチルヘキサノアート)、2-エチルヘキシルスクシナート、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0165】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、グリセリルトリ(カプラート/カプリラート)及びグリセリルトリ(カプラート/カプリラート/リノレナート)が挙げられる。
【0166】
シリコーン油の例としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のような直鎖状オルガノポリシロキサンと、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等のような環状オルガノポリシロキサンと、それらの混合物とが挙げられる。
【0167】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、特に少なくとも1個のアリール基を含む液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び液体ポリオルガノシロキサンより選ばれる。
【0168】
これらのシリコーン油はまた、有機修飾されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機修飾シリコーンは、上述のシリコーン油であり、炭化水素系基を介して連結した1個又は複数の有機官能性基をその構造に含む。
【0169】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll's Chemistry and Technology of Silicones、1968年、Academic Press社においてより詳細に定義される。それらは揮発性又は非揮発性であってよい。
【0170】
それらが揮発性である時、シリコーンは、より具体的には60℃から260℃の間の沸点を有するもの、更により具体的には、(i)及び(ii)より選ばれる。
(i)3〜7個、好ましくは4〜5個のケイ素原子を含む環式ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、具体的には、Volatile Silicone(登録商標)7207の名称でUnion Carbide社より又はSilbione(登録商標)70045 V2の名称でRhodia社より販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Volatile Silicone(登録商標)7158の名称でUnion Carbide社より、Silbione(登録商標)70045 V5の名称でRhodia社より販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びSilsoft 1217の名称でMomentive Performance Materials社より販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物である。また、式:
【0176】
である)の例えばUnion Carbide社より販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109等のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンのような種類の環式共重合体も挙げられる。また、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物のような環状ポリジアルキルシロキサンの有機ケイ素化合物との混合物が挙げられる。
(ii)2〜9個のケイ素原子を含み、25℃で5×10
-6m
2/秒以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例として、具体的には、SH 200の名称で東レシリコーン社より販売されているデカメチルテトラシロキサンがある。この分類に属するシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、91号、1976年1月、27〜32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表された論文にも記載されている。シリコーンの粘度は25℃でASTM規格445Appendix Cに従って測定する。
【0177】
また、非揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用してもよい。これらの非揮発性シリコーンは、より具体的には、ポリジアルキルシロキサンより選ばれ、なかでもトリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサンを主に挙げてもよい。
【0178】
なかでもこれらのポリジアルキルシロキサンとしては、下記の市販製品が挙げられるが、これに限定さない。
- 47及び70 047系のSilbione(登録商標)油又は例えば油70 047 V 500 000のようなRhodia社より販売されているMirasil(登録商標)油、
- Rhodia社より販売されているMirasil(登録商標)系の油、
- 60 000mm
2/秒の粘度を有するDC200のようなDow Corning社製の200系の油、及び
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSF系(SF 96、SF 18)の特定の油。
【0179】
また、ジメチコノール(CTFA)の名称で知られ、Rhodia社製の48系の油のような、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサンを挙げてもよい。
【0180】
なかでもアリール基を含むシリコーンとしては、ポリジアリールシロキサン、特にフェニルシリコーン油のようなポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンが挙げられる。
【0181】
フェニルシリコーン油は、下記の式のフェニルシリコーンより選んでよい。
【0183】
[式中、
R
1〜R
10は互いに独立に、飽和又は不飽和で、直鎖状、環状又は分岐鎖状のC
1〜C
30炭化水素系基、好ましくはC
1〜C
12炭化水素系基、より好ましくはC
1〜C
6炭化水素系基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基であり、
m、n、p及びqは互いに独立に、端点を含む0〜900、好ましくは端点を含む0〜500、より好ましくは端点を含む0〜100の整数であり、
ただし、n+m+qの合計は0以外である。]
【0184】
例として挙げられるものには、下記の名称で販売されている製品が含まれる。
- Rhodia社製の70 641系のSilbione(登録商標)油、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763系の油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- 製品PK20のようなBayer社製のPK系のシリコーン、
- SF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265のようなGeneral Electric社製のSF系の特定の油。
【0185】
フェニルシリコーン油としては、フェニルトリメチコン(上記の式中、R
1〜R
10はメチルであり、p、q、及びn=0、m=1である)が好ましい。
【0186】
有機修飾液体シリコーンは、特に、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含んでよい。したがって、信越株式会社より提供されるシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77が挙げられる。
【0187】
炭化水素油は、下記より選んでよい。
- 直鎖状又は分岐鎖状の、任意で環状の、C
6〜C
16低級アルカン。例として挙げられるものには、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカン、が含まれる。
- 流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン、並びにParleam(登録商標)及びスクアランのような水添ポリイソブテン等の、16個を超える炭素原子を含む直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素。
【0188】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペテロラタム、ナフタレン等のような直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素と、水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテン共重合体と、それらの混合物とが挙げられる。
【0189】
油は、好ましくは、セバシン酸ジイソプロピルのようなエステル油より選ばれる。
【0190】
本発明による組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲でよい。
【0191】
油性UV遮蔽剤が存在するため、また少なくとも1種の油を含む可能性があるため、本発明による組成物は少なくとも1種の脂肪相も含む。
【0192】
本発明による組成物はO/Wエマルジョン形態であるため、本発明による組成物中の脂肪相はO/W型エマルジョンの内相として分散することができる。
【0193】
本発明による組成物中の脂肪相の量は、組成物の総質量に対して、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更により好ましくは25質量%以下である。
【0194】
その一方で、本発明による組成物中の脂肪相の量は、組成物の総質量に対して1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってよい。
【0195】
したがって、例えば、脂肪相の量は、組成物の総質量に対して1〜40質量%、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%、更により好ましくは15〜25質量%であってよい。
【0196】
[他の成分]
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の添加成分も含んでもよい。
【0197】
添加成分の量は、本発明による組成物の総質量に対して0.1〜30質量%であってよいが、これに限定されない。添加成分は、陰イオン性、陽イオン性、非イオン性又は両性のポリマーと、陰イオン性、陽イオン性又は両性の界面活性剤と、ペプチド及びその誘導体と、タンパク加水分解物と、膨潤剤及び浸透剤と、脱毛に有効な薬剤と、ふけ防止剤と、成分(a)を除いた天然又は合成の油用増粘剤と、懸濁剤と、金属イオン封鎖剤と、乳白剤と、染料と、日焼け止め剤と、ビタミン又はプロビタミンと、香料と、保存剤と、安定剤と、それらの混合物とから成る群より選択されてよい。
【0198】
本発明の組成物の賦形剤は、好ましくは水から成る水性媒体であって、有利には、1種又は数種の化粧品として許容される有機溶媒を含んでよく、有機溶媒としては、具体的には、ブチレングリコール、エチレングリコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコールのようなアルコール類、或いはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びエチレングリコールモノブチルエーテルと、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなプロピレングリコール又はそのエーテルと、ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はジエチレングリコールモノブチルエーテルのようなジエチレングリコールアルキルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル又はブチレングリコールモノブチルエーテルのようなブチレングリコールアルキルエーテル、及びジプロピレングリコールモノエチルエーテル又はジプロピレングリコールモノブチルエーテルのようなジプロピレングリコールアルキルエーテルと、グリセロールとのようなポリオール類又はポリオールエーテル類が含まれる。
【0199】
組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して40〜95質量%、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜90質量%であってよい。
【0200】
また、有機溶媒は、組成物の総質量に対して0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%の濃度で存在してよい。
【0201】
[化粧品用途]
本発明による組成物は、好ましくは化粧用組成物として使用してよい。具体的には、本発明による組成物は、皮膚、頭皮、及び/又は口唇、好ましくは皮膚のようなケラチン物質へ塗布することを目的としてよい。したがって、本発明による組成物は、皮膚の化粧方法に使用することができる。本発明による組成物は、紫外線光を吸収すること、及び/又はケラチン物質、特にヒトケラチン物質を紫外線照射より保護することを目的とする組成物を更に構成することができる。紫外線照射からケラチン物質を保護すると、抗老化、抗しわ、及び保湿がもたらされることは当該技術分野において周知である。そのため、本発明の組成物は更に、抗老化、抗しわ及び/又は保湿を目的とする組成物を構成することができる。
【0202】
本発明による、皮膚のようなケラチン物質に使用する化粧方法又は化粧品用途は、少なくとも、ケラチン物質へ本発明による組成物を塗布する工程を含む。本発明はまた、ケラチン物質へ本発明による組成物を塗布する工程を含む、ケラチン物質を紫外線照射より保護する方法、及び本発明による組成物を塗布し、ケラチン物質を紫外線光へさらす工程を含む、紫外線光を吸収する方法に関することもできる。こうした方法は、非治療方法として定義することができる。
【実施例】
【0203】
本発明は、例としてより詳細な態様で記述される。しかしながら、これらの例は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。下記の実施例は、本発明の分野における非限定的な例として示される。
【0204】
(実施例1〜3及び比較例1〜4)
表1に示す下記の実施例1〜3及び比較例1〜4の組成物を、表1に示す成分を混合することにより調製した。表1に示す成分量の数値は全て、活性原料として「質量%」に基づいている。
【0205】
【表1A】
【0206】
【表1B】
【0207】
[評価]
実施例1〜3及び比較例1〜4による組成物は下記の通りに評価した。
【0208】
(皮膜均質性)
実施例1〜3及び比較例1〜4による各組成物を、塗布器によってポリプロピレンシート上に塗布し、シート上に皮膜を有するサンプルを調製した。皮膜の厚さは10μmだった。実施例1〜3及び比較例1〜4による各組成物に対して3個のサンプルを調製した。
【0209】
次いで、各サンプルをUVランプ(UV black ray B-100AP、波長365nm)に曝露した。良好な皮膜均質性を有するサンプルは、均質な黒色を示した。一方、不良な皮膜均質性を有するサンプルは、非均質な黒色を示し、どちらかといえば半透明の青色を示した。
【0210】
紫外線に曝露したサンプルの写真を撮り、1〜5で採点した(1は皮膜均質性が低く、5は皮膜均質性が高い)。実施例1〜3及び比較例1〜4による組成物の平均スコアを計算した。結果を表1に示す。
【0211】
(in vitroでのSPF)
日光阻止因子(SPF:sun protection factor)を、B.L. Diffey、J. Soc. Cosmet. Chem. 40、1989年、127-133頁に記載の「in vitro」方法に従って測定した。測定は、Labsphere社製のUV-2000分光光度計を使用して行った。実施例1〜3及び比較例1〜4による各組成物を、1mg/cm
2の量でPMMA(ポリメチルメタクリレート)板上へ塗布した。in vitroでのSPF値をUV2000によって計算した。結果を表1に示す。
【0212】
(官能評価)
実施例1〜3及び比較例1〜4による組成物を皮膚へ塗布する間のみずみずしいさわやかな感覚を、各組成物を前腕へ2mg/cm
2の量で塗布することによって評価し、次いで、下記の基準に従って、指と前腕表面との間で感じる摩擦力を判定し、粘性を評価した。
【0213】
みずみずしいさわやかな感触:
良好:みずみずしいさわやかな感触
不良:みずみずしいさわやかな感触がない
【0214】
粘性:
良好:粘性が低い
不良:粘性がある
【0215】
結果を表1に示す。
【0216】
糖エーテル界面活性剤及び親水性アクリルポリマーの組合せが、塗布時の均質な皮膜、及び優れたUV遮蔽効果をもたらすとともに塗布中のみずみずしいさわやかな感触及び塗布後のべたつきのない感触をもたらすことに寄与できることが、表1から明白である。
【0217】
脂肪アルコールを添加すると、更にUV遮蔽効果を高めることができるということも表1から明白である。
【0218】
(実施例4)
下記の組成物を、表2に示す成分を混合することによって調製した。表2に示す成分量の数値は全て、活性原料として「質量%」に基づいている。
【0219】
【表2】