【文献】
LI Mengyuan et al.,Controlling the microstructure of poly(vinylidene−fluoride)(PVDF) thin films for microelectronics,Journal of Materials Chemistry C,英国,Royal Society of Chemistry,2013年 9月23日,Volume 1 (Number 46),pp.7695−7703,[online],[検索日 2014.12.15],インターネット,URL,<URL:http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2013/TC/c3tc31774a>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語の意味
本明細書中、「タッチ位置」の「検出」は、タッチ位置の決定を意味し、一方、「タッチ圧」の「検出」は、押圧の有無、速度、大きさ(強弱)、又はこれらの変化、或いはこれらの組み合わせの決定を意味する。
本明細書中、「平均値」は算術平均値であり、「変動係数」は算術平均値に基づいて計算される。
本明細書中、用語「タッチ」は、触れること、触れられること、押すこと、押されること、及び接触すること、を包含する。
【0013】
本明細書中、「全光透過率」は、ASTM D1003に基づき、ヘイズガードII(製品名)(東洋精機製作所)又はその同等品を使用した光透過性試験によって得られる。
【0014】
本明細書中、「全ヘイズ値」(total haze)は、ASTM D1003に準拠し、ヘイズガードII(製品名)(東洋精機製作所)又はその同等品を使用したヘイズ(HAZE、濁度)試験によって得られる。
【0015】
本明細書中、「内部ヘイズ値」(inner haze)は、前記全ヘイズ値の測定方法において、ガラス製セルの中に水を入れて、その中にフィルムを挿入し、ヘイズ値を測定することにより、得られる。
【0016】
本明細書中、「外部ヘイズ値」(Outer haze)は、フィルムの全ヘイズ値から内部へイズ値を差し引くことで算出される。
【0017】
透明圧電パネル
本発明の透明圧電パネルは、
第1の透明電極と、
透明圧電フィルムと、
第2の透明電極と、
をこの順で有し、
平面方向の全体に渡って1cm四方毎に10箇所において全光透過率及び全ヘイズ値を測定したときの、全光透過率の平均値が85%以上、及びその変動係数が30%以下であり、かつ全ヘイズ値の平均値が5%以下、及びその変動係数が30%以下である。
【0018】
本発明の透明圧電パネルの全光透過率の平均値は、85%以上である必要があり、好ましくは88%以上、より好ましくは90%以上である。
本発明の透明圧電パネルの全光透過率の変動係数は、30%以下である必要があり、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
【0019】
本発明の透明圧電パネルの全ヘイズ値の平均値は、5%以下である必要があり、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下である。
本発明の透明圧電パネルの全ヘイズ値の変動係数は、30%以下である必要があり、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
【0020】
前記第1の透明電極は、例えば、ITO(酸化インジウム・スズ)電極又は酸化スズ電極であることができる。
【0021】
前記第1の透明電極の厚さは、好ましくは、0.01〜0.3μmの範囲内である。
【0022】
前記第2の透明電極は、例えば、例えば、ITO(酸化インジウム・スズ)電極又は酸化スズ電極、又は銀ナノワイヤー、或いはガラス電極であることができる。
【0023】
前記第2の透明電極の厚さは、好ましくは、0.01〜0.3μmの範囲内である。
【0024】
前記透明圧電フィルムは、例えば、奇数鎖ナイロン圧電フィルム、又はフッ化ビニリデン系圧電フィルム(例、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体圧電フィルム、フッ化ビニリデン/トリフロオロエチレン共重合体圧電フィルム、又はポリフッ化ビニリデン圧電フィルム)等の透明有機圧電フィルムであることができる。
当該「透明有機圧電フィルム」は、有機物である重合体から形成されるフィルム(重合体フィルム)である。当該「有機圧電フィルム」は、当該重合体以外の成分を含有してもよい。当該「透明有機圧電フィルム」は、当該重合体を含むフィルム及び当該重合体からなるフィルムを包含する。
当該「透明有機圧電フィルム」における当該重合体の含有量は、好ましくは、80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%である。当該含有量の上限は特に制限されず、例えば、100質量%であってもよいし、99質量%であってもよい。
当該重合体は、好ましくは、フッ化ビニリデン系重合体である。
前記透明圧電フィルムは、好ましくはフッ化ビニリデン系圧電フィルムであり、より好ましくは、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体圧電フィルムである。
フッ化ビニリデン系重合体圧電フィルム等の前記透明圧電フィルムは、樹脂フィルムに通常用いられる添加剤を含有してもよい。
【0025】
当該「フッ化ビニリデン系重合体圧電フィルム」は、フッ化ビニリデン系重合体から構成されるフィルムであり、フッ化ビニリデン系重合体を含有する。
【0026】
当該「フッ化ビニリデン系重合体」の例としては、
(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体;及び
(2)ポリフッ化ビニリデン
が挙げられる
【0027】
当該「(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体」における「これと共重合可能なモノマー」の例としては、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、及びフッ化ビニルが挙げられる。
当該「これと共重合可能な1種以上のモノマー」又はそのうちの1種は、好ましくはテトラフルオロエチレンである。
当該「フッ化ビニリデン系重合体」の好ましい例としては、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体が挙げられる。
当該「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」は、本発明に関する性質が著しく損なわれない限りにおいて、フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン以外のモノマーに由来する繰り返し単位を含有してもよい。
前記「(1)フッ化ビニリデンと、これと共重合可能な1種以上のモノマーと、の共重合体」は、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位を50モル%以上(好ましくは60モル%以上)含有する。
前記「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」における(テトラフルオロエチレンに由来する繰り返し単位)/(フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位)のモル比は、好ましくは5/95〜36/64の範囲内、より好ましくは15/85〜25/75の範囲内、更に好ましくは18/82〜22/78の範囲内である。
【0028】
前記「フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体」は、本発明に関する性質が著しく損なわれない限りにおいて、フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン以外のモノマーに由来する繰り返し単位を含有してもよい。通常、このような繰り返し単位の含有率は、10モル%以下である。このようなモノマーは、フッ化ビニリデンモノマー、テトラフルオロエチレンモノマーと共重合可能なものである限り限定されないが、その例としては、
(1)フルオロモノマー(例、ビニルフルオリド(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、1−クロロ−1−フルオロ−エチレン(1,1−CFE)、1−クロロ−2−フルオロ−エチレン(1,2−CFE)、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン(CDFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロビニルモノマー、1,1,2−トリフルオロブテン−4−ブロモ−1−ブテン、1,1,2−トリフルオロブテン−4−シラン−1−ブテン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、ペルフルオロアクリラート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリラート、2−(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリラート);並びに
(2)炭化水素系モノマー(例、エチレン、プロピレン、無水マレイン酸、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸系モノマー、メタクリル酸系モノマー、酢酸ビニル)が挙げられる。
【0029】
前記透明圧電フィルムの全光透過率の平均値は、85%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、更に好ましくは95%以上である。当該全光線透過率の上限は限定されないが、通常99%以下である。
前記透明圧電フィルムの全光透過率の変動係数は、30%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.5%以下である。
【0030】
前記透明圧電フィルムの全ヘイズ値の平均値は、5%以下、好ましくは3.0%以下、より好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.5%以下、より更に好ましくは1.0%以下である。当該全ヘイズ値は低いほど好ましく、その下限は限定されないが、通常0.1%以上である。
前記透明圧電フィルムの全ヘイズ値の変動係数は、30%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5.0%以下である。
【0031】
前記透明圧電フィルムの外部ヘイズ値の平均値は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.2%以下、更に好ましくは1.0%以下である。
前記透明圧電フィルムの外部ヘイズ値の変動係数は、好ましくは30%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5.0%以下である。
【0032】
前記透明圧電フィルムの内部ヘイズ値の平均値は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.9%以下、更に好ましくは0.8%以下である。
前記透明圧電フィルムの内部ヘイズ値の変動係数は、好ましくは30%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下、特に好ましくは5.0%以下である。
【0033】
前記透明圧電フィルムの厚さは、通常3〜100μmの範囲内、好ましくは6〜50μmの範囲内、より好ましくは9〜40μmの範囲内、更に好ましくは10〜30μmの範囲内である。
【0034】
前記透明圧電フィルムは、例えば、
非分極の重合体フィルム(例、非分極のフッ化ビニリデン系重合体フィルム)を分極処理する工程A;及びその後の
分極化重合体フィルム(例、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルム)を熱処理する工程B
を含む、透明圧電フィルムの製造方法によって製造できる。
【0035】
工程A(分極処理工程)
工程Aでは、非分極の重合体フィルムを分極処理する。
【0036】
工程Aで用いられる「非分極の重合体フィルム」は、例えば、キャスティング法、熱プレス法、又は溶融押出法等の公知の方法で製造できる。工程Aで用いられる「非分極の重合体フィルム」は、好ましくは、キャスティング法で製造されたフィルムである。当該非分極の重合体フィルムを構成する重合体は、当業者が理解するように、前記「透明圧電フィルム」について記載した重合体である。
【0037】
キャスティング法による「非分極の重合体フィルム」の製造方法は、例えば、
(1)溶媒中に、重合体(例、フッ化ビニリデン系重合体)、並びに所望による成分を溶解又は分散させて液状組成物を調製する工程;
(2)前記液状組成物を基材上に流延(塗布)する工程;及び
(3)前記溶媒を気化させて、フィルムを形成させる工程
を含む製造方法である。
【0038】
液状組成物の調製における溶解温度は特に限定されないが、溶解温度を高くすると溶解を促進できるので好ましい。しかし、溶解温度が高すぎると、得られるフィルムが着色してしまう傾向があるので、溶解温度は、室温以上80℃以下であることが好ましい。
また、かかる着色を防止する意味から、前記溶媒の好ましい例としては、ケトン系溶媒(例、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル)、エーテル系溶媒(例、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン)、及びアミド系溶媒(例、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド)が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられ得る。前記溶媒として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の溶解に汎用される溶媒であるアミド系溶媒を用いてもよいが、溶媒中のアミド系溶媒の含有率は50%以下であることが望ましい。
【0039】
前記液状組成物の基材上への流延(塗布)は、ナイフコーティング方式、キャストコーティング方式、ロールコーティング方式、グラビアコーティング方式、ブレードコーティング方式、ロッドコーティング方式、エアドクタコーティング方式、またはスロットダイ方式等の慣用の方法に基づき行えばよい。なかでも、操作性が容易な点、得られるフィルム厚さのバラツキが少ない点、生産性に優れる点から、グラビアコーティング方式、又はスロットダイ方式が好ましい。当該基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。
【0040】
前記溶媒の気化は、加熱等の慣用の乾燥方法によって実施できる。
前記溶媒の気化における乾燥温度は溶媒の種類等に応じて適宜決定され得るが、通常、20℃〜200℃の範囲内であり、好ましくは40℃〜170℃の範囲内である。
当該乾燥温度は一定温度であってもよいが、変化させてもよい。乾燥温度を低温(例、40〜100℃)から高温(例、120〜200℃)へと変化させることにより、得られるフィルムのヘイズ値を下げることができる。これは、例えば、乾燥ゾーンを数ゾーンに分割し、フィルム(又はフィルム形成前の流延された溶液)が低温のゾーンへ入って高温のゾーンに移動することによって実現できる。
具体的には、例えば、乾燥ゾーンを50℃、80℃、120℃、及び150℃の4ゾーンに分割し、フィルムを50℃のゾーンから150℃のゾーンへ連続的に移動させればよい。
前記溶媒の気化における乾燥時間は、通常1〜600秒間の範囲内、好ましくは10〜200秒間の範囲内である。
【0041】
工程Aに用いられる「非分極の重合体フィルム(例、非分極のフッ化ビニリデン系重合体フィルム)」(以下、単に「非分極フィルム」と称する場合がある)は、好ましくは、延伸されていないものである。また、好ましくは、当該製造方法においても、当該非分極フィルムを、延伸しない。すなわち、前記透明圧電フィルムは、好ましくは、無延伸の圧電フィルムである。
このようにして得られる透明圧電フィルムは、その厚さの均一性が高い。具体的に好ましくは、前記透明圧電フィルムは、フィルム全体に渡って1cm四方毎に10箇所において測定した厚さの変動係数が、平均膜厚の20%以下である。
【0042】
工程Aで用いられる非分極フィルムは、製膜後、熱処理されたものであってもよい。
【0043】
工程Aで用いられる非分極フィルムの厚さの決定は、得ようとする圧電フィルムに応じて行えばよい。
【0044】
工程Aの分極処理は、コロナ放電処理等の慣用の方法によって行うことができる。
【0045】
工程Aの分極処理は、好ましくはコロナ放電によって行われる。
コロナ放電には、負コロナ及び正コロナのいずれを用いてもよいが、非分極樹脂フィルムの分極しやすさの観点から負コロナを用いることが望ましい。
【0046】
コロナ放電処理は、特に限定されないが、例えば;特開2011−181748号公報(前記特許文献1)に記載のように非分極フィルムに対して線状電極を用いて印加を実施すること;又は非分極フィルムに対して針状電極を用いて印加を実施すること;により行うことができる。
コロナ放電処理の条件は、本発明が属する技術分野の常識に基づいて、適宜設定すればよい。コロナ放電処理の条件が弱すぎると、得られる圧電フィルムの圧電性が不充分になる虞があり、一方、コロナ放電処理の条件が強すぎると、得られる圧電フィルムが点状欠陥を有する虞がある。
例えば、線状電極を用いてロール・トゥ・ロールで連続印加を実施する場合は、線状電極と非分極フィルムの間の距離、フィルム膜厚等によって異なるが、例えば、−15〜−25kVの直流電界である。処理速度は、例えば、10〜500cm/分である。
【0047】
別法として、分極処理は、コロナ放電の他に、例えば非分極フィルムの両面から平板電極で挟み込んで印加することにより実施してもよい。具体的には、例えば、非分極フィルムの両面から平板電極で挟み込んで印加を実施する場合、0〜400MV/m(好ましくは50〜400MV/m)の直流電界、及び0.1秒〜60分間の印加時間の条件を採用できる。
【0048】
工程B(熱処理工程)
工程Bは、前記工程Aの後に実施される。工程Bでは、工程Aの分極処理で得られた分極化重合体フィルム(例、分極化フッ化ビニリデン系重合体フィルム)(以下、単に分極化フィルムと称する場合がある。)を熱処理する。
工程Bの熱処理は、前記分極化フィルム又は工程Aにおいて分極を完了した部分に対して行うことができる。すなわち、工程Aの分極処理を実施しながら、当該分極処理を終えた部分に対して工程Bの熱処理を実施してもよい。
熱処理の方法は、特に限定されないが、例えば、分極化フィルムを2枚の金属板で挟み、当該金属板を加熱すること;分極化フィルムのロールを恒温槽中で加熱すること;又はロール・ツー・ロール方式での分極化フィルムの生産において、金属ローラーを加熱し、分極化フィルムを、当該加熱した金属ローラーに接触させること;又は分極化フィルムを加熱した炉の中にロール・ツー・ロールで通していくことにより行うことができる。この際、分極化フィルムは単体で熱処理してもよいし、或いは別種のフィルム又は金属箔上に重ねて積層フィルムを作成し、これを熱処理してもよい。とりわけ、高温で熱処理する場合には後者の方法のほうが、分極化フィルムにしわが入りにくいので好ましい。
前記熱処理の温度は、熱処理される分極化フィルムの種類によって異なる場合があり、好ましくは(熱処理される分極化フィルムの融点−100)℃〜(熱処理される分極化フィルムの融点+40)℃の範囲内である。
前記熱処理の温度は、具体的には、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上である。
また、前記熱処理の温度は、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは140℃以下である。
前記熱処理の時間は、通常、10秒間以上、好ましくは0.5分間以上、より好ましくは1分間以上、更に好ましくは2分間以上である。
また、前記熱処理の時間の上限は限定されないが、通常、前記熱処理の時間は60分間以下である。
前記熱処理の条件は、好ましくは90℃以上で1分間以上である。
本明細書中、フィルムの融点とは、示差走査熱量測定(DSC)装置を用い、10℃/分の速度で昇温したときに得られる融解熱曲線における極大値である。
【0049】
熱処理後、非分極重合体フィルムを所定温度まで冷却する。当該温度は、好ましくは、0℃〜60℃の範囲内であり、室温であることができる。冷却速度は、徐冷であっても急冷であってもよく、急冷であることが生産性の面から好ましい。急冷は、例えば送風等の手段によって実施できる。
【0050】
また、前記透明圧電フィルムは、公知の方法、又はこれに準じて製造されたもの、或いは商業的に入手されたものであってもよい。
【0051】
本発明の透明圧電パネルの構造は、第1の透明電極と、透明圧電フィルムと、第2の透明電極と、をこの順で有する限り、限定されず、他の部材を有していてもよい。
当該他の部材としては、例えば、後記の本発明の実施形態2で説明する粘着剤層、及び基材フィルム等が挙げられる。
このような、他の部材は、本発明の透明圧電パネルの前記全光透過率の平均値が85%以上、及びその変動係数が30%以下であり、かつ全ヘイズ値の平均値が5以下であり、及その変動係数が30%以下となることを指標として選択して用いればよい。
このような粘着剤層としては、例えば、アクリル系粘着剤から形成される、後記の本発明の実施形態2で説明する厚さが0.01〜20μmの範囲内である粘着剤層が挙げられる。
また、このような基材フィルムとしては、厚さ10〜100μmの範囲内のPETフィルムが挙げられる。
本発明の透明圧電パネルの厚さは、通常1〜1000μmの範囲内、好ましくは1〜100μmの範囲内、より好ましくは1〜50μmの範囲内である。
【0052】
本発明の透明圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))を指等で押圧すると、本発明の透明圧電パネルが有する前記透明圧電フィルムのひずみの時間的変化に応じた電気信号を得ることができるので、本発明の透明圧電パネルを用いれば、押圧の有無、速度、大きさ(強弱)、又はこれらの変化、或いはこれらの組み合わせを決定できる。ここで、押圧の大きさ(すなわち、静圧)は、前記電気信号の積分値を用いて決定できる。
【0053】
本発明の透明圧電パネルにおいて、前記透明圧電フィルムは、1又は2枚以上(好ましくは2枚)を用いることができる。
前記透明圧電フィルムを2枚以上(好ましくは2枚)用いる場合、当該2枚以上の前記透明圧電フィルムは、粘着シートによって互いに貼り合わせられていてもよい。当該粘着シートは、前記透明圧電フィルムを互いに貼り合わせられるものであれば特に限定されず、1又は2以上の層からなることができる。すなわち、当該粘着シートが1層からなる場合、当該粘着シートは粘着剤層からなり、及び当該粘着シートが2以上の層からなる場合、その両外層が粘着剤層である。当該粘着シートが3以上の層からなる場合、当該粘着シートは内層として基材層を有していてもよい。
前記粘着剤層は、好ましくは、例えば、粘着剤としてアクリル系粘着剤を含有する層であることができる。
前記基材層は、透明なフィルムであればよく、好ましくは、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリパラフェニレンスルフィド、又はポリアミドイミドのフィルムであることができる。
【0054】
例えば、本発明の透明圧電パネル(例、タッチパネル(好ましくは、タッチ圧を検出できるタッチパネル))は、好ましくは、
第1の透明電極と、
第1の透明圧電フィルムと、
粘着シートと、
第2の透明圧電フィルムと、
第2の透明電極と、
をこの順で有する。
第1の透明電極は第1の透明圧電フィルムの外面上に配置され、及び
第2の透明電極は第2の透明圧電フィルムの外面上に配置されている。
【0055】
当該透明圧電フィルムは焦電性を有し得るが、本発明の当該態様の透明圧電パネルにおいて、第1の透明圧電フィルム、及び第2の透明圧電フィルムを、温度上昇によって同じ極性の電荷(例えば、正電荷と正電荷)が生じる面がそれぞれ外側になるように配置し、及び当該2つの面の間の電位差を第1の透明電極と第2の透明電極とで電気信号として得る場合、焦電性による電気信号が低減されて、圧電性による電気信号を選択的に得ることが可能である。
【0056】
本発明の透明圧電パネルにおいて焦電性による電気信号(すなわち、焦電信号)を低減するためには(言い換えれば、焦電性をキャンセルするためには)、第1の透明圧電フィルム、及び第2の透明圧電フィルムは、同等レベルの圧電定数d33を有することが好ましい。更に、当該両方の透明圧電フィルムが有する同等レベルの圧電定数d33は、より低いほうが、より高度に焦電性による電気信号を低減できるので、好ましい。具体的には、当該両方の透明圧電フィルムが有する圧電定数d33は、ともに、好ましくは25pC/N以下、より好ましくは20pC/N以下、更に好ましくは8pC/N以下である。
また、焦電性をキャンセルしながら、十分に圧電性による電気信号(すなわち、圧電信号)を得るためには(言い換えれば、圧電性をキャンセルしないためには)、第1の透明圧電フィルム、及び第2の透明圧電フィルムの膜厚に差をつけることが好ましい。具体的には第1の透明圧電フィルム、及び第2の透明圧電フィルムの膜厚の比を好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上にすることで、圧電信号を高くできる。
【0057】
本発明の透明圧電パネルにおいてタッチ圧の検出は検出回路を通した電圧値又は電流値の読み取りによって行われ、これは検出電気回路が電圧モードかチャージモードかによって異なる。当該検出においては、
(1)フィルムから発生した電圧又はチャージをそのまま読み取ること、或いは
(2)検出回路でチャージ又は電圧を増幅して読み取ること、
のいずれかを採用できる。
当該検出においてノイズが問題になる場合は、
(1)ノイズの原因となる電磁波をシールドしノイズを除去すること、及び/又は
(2)一般的にノイズは信号より小さいので、一定値以下のチャージ又は電圧をカットオフすること、
等の手法を採用できる。
本発明の透明圧電パネルの場合、ノイズ源に焦電信号が加わる場合があるが、そのカット方法として前記(2)のカットオフの設定を行うことができる。更に積極的に焦電信号をキャンセルするためには、
(1)第1の透明圧電フィルム、及び第2の透明圧電フィルムとして、ポーリングの向きが互いに逆の2枚のフィルムを対向させたバイモルフ構造を採用すること、
(2)第1の透明圧電フィルム、及び第2の透明圧電フィルムとして、圧電定数d33が低いフィルムを用いることにより、焦電信号を小さくすること、及び/又は
(3)第1の透明圧電フィルム、及び第2の透明圧電フィルムの焦電信号と同等の焦電信号を出す焦電素子を組み込んで焦電信号をキャンセルすること
等の手法を採用できる。
前記検出においては、微分信号を読み取ってもよいし、積分信号を読み取ってもよい。本発明の透明圧電パネルでは、圧電信号、及び焦電信号は、圧力、又は熱に対する微分信号として発生するが、正確に圧力に対する階調をとるためには積分信号として読み取ることが好ましい。積分信号として読み取る場合、積分の時間は任意に設定できるが、1μs〜10min、好ましくは1ms〜1minの間に設定することが望ましい。
【0058】
以下に、本発明の透明圧電パネルの実施形態について、図面を参照して説明する。各図面において共通する部材には同じ符号を付す場合がある。
【0059】
図1Aに、本発明の一実施形態(実施形態1)に係る透明圧電パネルの平面図を示す。
図1B、本発明の一実施形態(実施形態1)に係る透明圧電パネルの断面図を示す。
図1Bは、
図1Aにおける透明電極EC1に沿った断面図である。
【0060】
透明圧電パネル10Aは、
X方向に配列されるm本の第1の透明電極ES1〜ESmと、
透明圧電フィルム11と、
Y方向に配列されるn本の第2の透明電極EC1〜ECnと、
をこの順で有する。
第1の透明電極ES1〜ESmは、透明圧電フィルム11の一方の主面上に配置されている。
第2の透明電極EC1〜ECnは、透明圧電フィルム11の他方の主面上に配置されている。
なお、
図1Bにおいては、第1の透明電極ES1〜ESmは、保護層12で覆われ、及び第2の透明電極ES1〜ECnは、保護層13で覆われているが、本発明においてこれらの保護層は、必ずしも必要では無い。
【0061】
当該態様の透明圧電パネルは、例えば、
第1の透明電極及び第2の透明電極を透明圧電フィルム上にそれぞれスパッタリングにより形成する工程、
第1の透明電極及び第2の透明電極をエッチングによりパターニングする工程、
を有する製造方法により製造できる。
【0062】
図2Aに、本発明の別の一実施形態(実施形態2)に係る透明圧電パネルの平面図を示す。
図2B、本発明の別の一実施形態(実施形態2)に係る透明圧電パネルの断面図を示す。
図2Bは、
図2Aにおける透明電極EC1に沿った断面図である。
【0063】
透明圧電パネル10Bは、
第1の基材フィルム16と、
X方向に配列されるm本の第1の透明電極ES1〜ESmと、
第1の粘着剤層14と、
透明圧電フィルム11と、
第2の粘着剤層15と
Y方向に配列されるn本の第2の透明電極EC1〜ECnと、
第2の基材フィルム17と、
をこの順で有する。
【0064】
第1の粘着剤層14は、透明圧電フィルム11の一方の主面上に配置され、
第1の透明電極ES1〜ESmは、第1の粘着剤層14の上に配置され、
第1の基材フィルム16は、第1の透明電極ES1〜ESmの上に配置されている。
【0065】
第2の粘着剤層15は、透明圧電フィルム11の他方の主面上に配置され、
第2の透明電極EC1〜ECnは、第2の粘着剤層15の上に配置され、
第2の基材フィルム17は、第2の透明電極EC1〜ECnの上に配置されている。
当該粘着剤層14及び15の厚さは、透明圧電フィルム11の表面から、第1の基材フィルム16又は第2の基材フィルム17までの距離として、通常、0.01〜20μmの範囲内である。
第1の基材フィルム16及び第2の基材フィルム17の厚さは、通常、10〜100μmの範囲内である。
【0066】
なお、
図1Aにおいては、第1の透明電極ES1〜ESmは、保護層12で覆われ、及び第2の透明電極ES1〜ECnは、保護層13で覆われているが、本発明においてこれらの保護層は、必ずしも必要では無い。
【0067】
当該態様の透明圧電パネルは、例えば、
2枚の透明電極付き基材フィルム(例、ITO電極付きPETフィルム)を用意する工程、
2枚の透明電極付き基材フィルムの透明電極をそれぞれエッチングによりパターニングする工程、及び
透明電極がエッチングされた2枚の透明電極付き基材フィルムを、それぞれ透明圧電フィルムの主面に粘着剤を用いて貼り付ける工程
を有する製造方法により製造できる。
【0068】
これらの、粘着剤層、透明電極、及び基材フィルムの材料としては、それぞれ透明圧電パネルに用いられる公知の材料を用いることができる。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤を用いることができる。
前記透明電極は、例えば、前記で例示したものであることができる。
前記基材フィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(PETフィルム)、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム(PENフィルム)、ポリカーボネート樹脂フィルム(PCフィルム)、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(PESフィルム)、及び環状オレフィン重合体樹脂フィルム(COPフィルム)が挙げられる。なかでも好ましくは、PETフィルム、又はPENフィルムである。
【0069】
本発明の透明圧電パネルにおいてタッチ圧の検出は検出回路を通した電圧或いは電流値によって行われ、これらは検出電気回路が電圧モードかチャージモードかにより異なるが、本発明の透明圧電パネルは、同一タッチ圧が掛かった時の、それぞれの値のパネル面内での変動係数が、好ましくは0〜30%の範囲内である。
【0070】
本発明の透明圧電パネルの平面サイズは、特に限定されないが、好ましくは、3〜40インチの範囲内である。
【0071】
本発明の透明圧電パネルは、タッチ圧の検出に加えてタッチ位置の検出が可能である。従って、タッチ位置検出用タッチパネルと組み合わせなくても、タッチ圧及びタッチ位置の検出が可能である。
本発明の透明圧電パネルは、タッチパネルであることができる。
本発明の透明圧電パネルは、例えば、抵抗膜方式、又は静電容量方式等の透明圧電パネルであることができる。
【0072】
本発明の透明圧電パネルは、例えば、タッチ入力装置、又はタッチセンサー装置に用いることができる。
【0073】
タッチ入力装置
本発明のタッチ入力装置は、
本発明の透明圧電パネルと、
圧力検出部と、
位置検出部と、
を有する。
当該入力装置は、タッチ位置、タッチ圧、又はその両方に基づく入力(例、筆圧等の押圧の大きさ(強弱)に基づく入力)が可能である。
【0074】
図3に、本発明の一実施形態に係るタッチ入力装置の構成を示すブロック図を示す。
タッチ入力装置2は、透明圧電パネル1と、透明圧電パネル1の出力信号を処理する信号処理部3とを有している。透明圧電パネル1は、本発明の透明圧電パネルである。
透明圧電パネル1に対してタッチ操作が行われた場合、透明圧電フィルム11のタッチ位置に対応する部分に起電力が発生し、電圧信号が第1の透明電極ES1〜ESmのいずれか、及び、第2の透明電極EC1〜ECnのいずれかを介して信号処理部3に入力される。
図3に示す位置検出部4は、電圧信号を入力した電極に基づいて、透明圧電パネル1におけるタッチ位置を検出することができる。位置検出部4によるタッチ位置の検出は、抵抗膜方式、又は静電容量方式等の従来の透明圧電パネルと同様に行うことができる。
また、圧力検出部5は、圧電体11が押圧された際に発生する電圧信号に基づいて、タッチ圧を検出する。
当該入力装置は、電子機器に用いることができる。
【0075】
タッチセンサー装置
本発明のタッチセンサー装置は、
本発明の透明圧電パネルと、
圧力検出部と、
位置検出部と、
を有する。
前記では、本発明のタッチ入力装置について説明したが、当該説明は、タッチセンサー装置にも同様に適用できる。
【0076】
電子機器
本発明の電子機器は、
本発明のタッチ入力装置又はタッチセンサー装置
を有する。
当該タッチ入力装置又はタッチセンサー装置を有する電子機器は、タッチ位置、タッチ圧又はその両方に基づく操作及び/又は動作(例、ペイントソフトにおいて、筆圧に応じてスクリーンに表示される線の太さを変える等の操作)が可能である。
当該タッチ入力装置を有する電子機器の例としては、スマートフォン、タブレットPC、デジタイザ、タッチパッド、カーナビゲーションシステム、及びFA(ファクトリー・オートメーション)機器等のタッチパネルディスプレイ(タッチパネルモニター)等が挙げられる。
当該タッチセンサー装置を有する電子機器の例としては、衝突センサー、ロボット掃除機が挙げられる。
当該電子機器は、本発明のタッチ入力装置、又は本発明のタッチセンサー装置を備えることができ、或いは本発明のタッチ入力装置、又は本発明のタッチセンサー装置からなることもできる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0078】
厚さ30μmのフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体圧電フィルムを調製し、その両面に1枚ずつ、ITO付きPETフィルム(ITO/PET)(ITO層の厚さ:0.05μm、PETフィルムの厚さ:38μm)を、そのマトリックス透明電極を圧電フィルム側に向けて、粘着剤で貼り付け(粘着剤層の厚さ:10μm)、透明圧電パネルを作成した。その上から指で押圧し、マルチプレクサを用いることにより、タッチ位置(XY位置)を検出できたと同時に電気信号の大きさから、タッチ圧(押圧)を検出できた。
また、定量的な検出出力と光学性能(全光透過率と全ヘイズ)のパネル面内の位置による変動を評価するために、パネル上の位置を縦横10mm幅で10分割ずつ(縦A〜J、横1〜10)、計100分割して無作為に位置を選び、タッチ圧に対する検出出力を光学性能とともに測定した(表1)。タッチ圧は条件を揃えるために、一定荷重の重石を一定高さ(20mm)から自由落下させた荷重値で示した。
【0079】
【表1】