(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F3/42-3/43,E02F9/00-9/18,E02F9/20-9/22,E02F9/24-9/28,G01L1/00-1/26,G01G19/00-19/64
前記制御装置は、掘削・積み込みの1サイクル毎に前記アタッチメントが持ち上げている物の重量を導き出し、サイクル毎の重量を累算することで1台のダンプトラックに積み込まれた土砂の総積載重量を導き出す、
請求項1又は2に記載のショベル。
前記歪みセンサは前記ブーム及び前記アームの少なくとも何れかにおける、油圧シリンダが取り付けられている側の表面の短手方向の中央部分に取り付けられる歪みゲージを含む、
請求項1乃至3の何れかに記載のショベル。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、
図1を参照し、本発明の実施例に係る建設機械としてのショベル(掘削機)50について説明する。なお、
図1は、本実施例に係るショベルの側面図である。ショベル50の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられる。
【0010】
アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成する作業要素としてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
【0011】
ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3を集合的に「姿勢センサ」と称する。
【0012】
ブーム角度センサS1は、ブーム4の回動角度を検出する。ブーム角度センサS1は、例えば、水平面に対するブーム4の傾斜を検出することで上部旋回体3に対するブーム4の回動角度を検出する加速度センサである。
【0013】
アーム角度センサS2は、アーム5の回動角度を検出する。アーム角度センサS2は、例えば、水平面に対するアーム5の傾斜を検出することでブーム4に対するアーム5の回動角度を検出する加速度センサである。
【0014】
バケット角度センサS3は、バケット6の回動角度を検出する。バケット角度センサS3は、例えば、水平面に対するバケット6の傾斜を検出することでアーム5に対するバケット6の回動角度を検出する加速度センサである。ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ等であってもよい。
【0015】
歪みセンサS4は、アタッチメントの歪みを検出する。本実施例では、歪みセンサS4はブーム4の表面に取り付けられてブーム4の伸張又は圧縮による歪みを検出する1軸歪みゲージである。但し、歪みセンサS4は、3軸歪みゲージであってもよく、アタッチメントの複数箇所に取り付けられる複数の1軸歪みゲージであってもよく、複数の3軸歪みゲージであってもよく、1又は複数の1軸歪みゲージと1又は複数の3軸歪みゲージの組み合わせであってもよい。
【0016】
上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、エンジン11等の動力源及び車体傾斜センサS5が搭載される。キャビン10内には、コントローラ30、入力装置D1、音声出力装置D2、表示装置D3、記憶装置D4、及びエンジンコントローラD6が設けられ、キャビン10の外には通信装置D5が設けられている。
【0017】
車体傾斜センサS5は、ショベル50の車体の傾斜角度を検出する。本実施例では、車体傾斜センサS5は、水平面に対する車体の傾斜角度を検出する加速度センサである。車体の傾斜角度は、例えば、ブーム4の上下左右の面に取り付けられた歪みゲージの出力から導き出されてもよい。この場合、車体傾斜センサS5は省略されてもよい。
【0018】
コントローラ30は、ショベル50の駆動制御を行う主制御部として機能する制御装置である。コントローラ30は、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置で構成されている。コントローラ30の各種機能は、CPUが内部メモリに格納されているプログラムを実行することで実現される。
【0019】
入力装置D1は、ショベル50の操作者がコントローラ30に各種情報を入力するための装置である。入力装置D1は、例えば、表示装置D3の表面に設けられるメンブレンスイッチを含む。また、入力装置D1は、タッチパネル等であってもよい。
【0020】
音声出力装置D2は、コントローラ30からの指令に応じて各種音声情報を出力する。音声出力装置D2は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカである。また、音声出力装置D2は、ブザー等の警報器であってもよい。
【0021】
表示装置D3は、コントローラ30からの指令に応じて各種情報を含む画面を表示する。表示装置D3は、例えば、コントローラ30に接続される車載液晶ディスプレイである。
【0022】
記憶装置D4は、各種情報を記憶するための装置である。記憶装置D4は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。本実施例では、記憶装置D4は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、歪みセンサS4、車体傾斜センサS5等の検出値、コントローラ30の出力値等を記憶する。
【0023】
通信装置D5は、コントローラ30とショベル50の外部にある装置との無線通信を制御する装置である。
【0024】
エンジンコントローラD6はエンジン11を制御する装置である。本実施例では、エンジンコントローラD6は燃料噴射量等を制御してエンジン11を所定のエンジン回転数で維持するアイソクロナス制御を実行する。
【0025】
図2は、ショベル50に搭載される駆動系の構成例を示す図であり、機械駆動系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気制御系をそれぞれ二重線、実線、破線、及び点線で示す。
【0026】
ショベル50の駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14L、14R、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、圧力センサ29、及びコントローラ30を含む。
【0027】
エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。また、エンジン11の出力軸は、メインポンプ14L、14R及びパイロットポンプ15の入力軸に接続される。
【0028】
メインポンプ14L、14Rは、高圧油圧ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給するための装置であり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0029】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して操作装置26を含む各種油圧制御機器に作動油を供給するための装置であり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0030】
コントロールバルブ17は、ショベル50における油圧系を制御する油圧制御装置である。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れを制御する流量制御弁171〜176を含む。そして、コントロールバルブ17は、流量制御弁171〜176を通じ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1A、右側走行用油圧モータ1B、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの1又は複数のものに対しメインポンプ14L、14Rが吐出する作動油を選択的に供給する。なお、以下では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左側走行用油圧モータ1A、右側走行用油圧モータ1B、及び旋回用油圧モータ2Aを集合的に「油圧アクチュエータ」と称する。
【0031】
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施例では、操作装置26は、パイロットライン25を介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。なお、パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量に応じた圧力である。
【0032】
圧力センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するための操作内容検出部の一例である。本実施例では、圧力センサ29は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。なお、操作装置26の操作内容は、ポテンショメータ等、圧力センサ以外の他のセンサの出力を用いて導き出されてもよい。
【0033】
センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブ17内に配置された流量制御弁171、173、及び175を通る高圧油圧ラインであり、センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブ17内に配置された流量制御弁172、174、及び176を通る高圧油圧ラインである。
【0034】
流量制御弁171は、メインポンプ14L、左側走行用油圧モータ1A、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。また、流量制御弁172は、メインポンプ14R、右側走行用油圧モータ1B、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。また、流量制御弁173は、メインポンプ14L、旋回用油圧モータ2A、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。
【0035】
流量制御弁174は、メインポンプ14R、バケットシリンダ9、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。また、流量制御弁175は、メインポンプ14L、アームシリンダ8、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。また、流量制御弁176は、メインポンプ14R、ブームシリンダ7、及び作動油タンクの間の作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。
【0036】
次に、
図3を参照しながらショベル50の動作の一例である掘削・積み込み動作について説明する。まず、
図3(A)に示すように、操作者は、アーム5及びバケット6が開いた状態でバケット6の先端が掘削対象から所望の高さとなるように上部旋回体3を旋回させ且つバケット6を下降させる。上部旋回体3を旋回させる際、及び、ブーム4を下降させる際、操作者は目視でバケット6の位置を確認する。上部旋回体3の旋回、及び、ブーム4の下降は同時に行われることが一般的である。以上の動作をブーム下げ旋回動作と称し、この動作区間をブーム下げ旋回動作区間と称する。
【0037】
操作者は、バケット6の先端が所望の高さに到達したと判断した場合、
図3(B)に示すように、アーム5が地面に対して略垂直になるまでアーム5を閉じる。これにより、所定の深さの土が掘削され、アーム5が地表面に対して略垂直になるまで、バケット6でかき寄せられる。次に、操作者は、
図3(C)に示すように、アーム5及びバケット6を更に閉じ、
図3(D)に示すように、バケット6がアーム5に対して略垂直になるまでバケット6を閉じる。すなわち、バケット6の上縁が略水平となるまでバケット6を閉じ、かき集めた土をバケット6内に収容する。以上の動作を掘削動作と称し、この動作区間を掘削動作区間と称する。
【0038】
次に、操作者は、バケット6がアーム5に対して略垂直になるまで閉じたと判断した場合、
図3(E)に示すように、バケット6を閉じたままバケット6の底部が地面から所望の高さとなるまでブーム4を上げる。この動作をブーム上げ動作と称し、この動作区間をブーム上げ動作区間と称する。この動作に続いて、或いは同時に、操作者は、上部旋回体3を旋回させ、矢印AR1で示すようにバケット6を排土位置まで旋回移動する。ブーム上げ動作を含むこの動作をブーム上げ旋回動作と称し、この動作区間をブーム上げ旋回動作区間と称する。
【0039】
バケット6の底部が所望の高さとなるまでブーム4を上げるのは、例えば、ダンプトラックの荷台に排土する際にはバケット6を荷台の高さより高く持ち上げないとバケット6が荷台にぶつかってしまうためである。
【0040】
次に、操作者は、ブーム上げ旋回動作が完了したと判断した場合、
図3(F)に示すようにアーム5及びバケット6を開いて、バケット6内の土を排出する。この動作をダンプ動作と称し、この動作区間をダンプ動作区間と称する。ダンプ動作では、バケット6のみを開いて排土してもよい。
【0041】
次に、操作者は、ダンプ動作が完了したと判断した場合、
図3(G)に示すように、矢印AR2で示すように上部旋回体3を旋回させ、バケット6を掘削位置の真上に移動させる。このとき、旋回と同時にブーム4を下げてバケット6を掘削対象から所望の高さのところまで下降させる。この動作は
図3(A)にて説明したブーム下げ旋回動作の一部である。操作者は、
図3(A)に示すようにバケット6を所望の高さまで下降させ、再び掘削動作以降の動作を行うようにする。
【0042】
操作者は、上述の「ブーム下げ旋回動作」、「掘削動作」、「ブーム上げ旋回動作」、及び「ダンプ動作」を1サイクルとしてこのサイクルを繰り返し行いながら掘削・積み込みを進めていく。
【0043】
次に
図4を参照し、コントローラ30に設けられている各種機能について説明する。
図4は、コントローラ30の構成例を示す図である。
【0044】
コントローラ30は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3、歪みセンサS4、車体傾斜センサS5、入力装置D1、圧力センサ29等から情報を受信する。
【0045】
コントローラ30は、受信した情報と記憶装置D4に記憶された情報とに基づいて各種演算を実行し、その演算結果に応じて制御信号を音声出力装置D2、表示装置D3、エンジンコントローラD6等に出力する。また、コントローラ30は、通信装置D5を介して受信した情報、演算結果等を外部に無線送信してもよい。
【0046】
姿勢導出部301は、アタッチメントの姿勢を検出する機能要素である。本実施例では、姿勢導出部301は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3で構成される姿勢センサの出力に基づいて掘削アタッチメントの姿勢を導き出す。
【0047】
重量導出部302は、アタッチメントが持ち上げている物の重量(以下、「持ち上げ重量」とする。)を導き出す機能要素である。本実施例では、重量導出部302は、所定の導出条件が満たされた場合に、姿勢センサが検出した掘削アタッチメントの姿勢と歪みセンサS4が検出した掘削アタッチメントの歪みとに基づいて持ち上げ重量を導き出す。
【0048】
例えば、重量導出部302は、掘削アタッチメントの歪み、掘削アタッチメントの姿勢、掘削アタッチメントの形状、歪みゲージの貼り付け位置等を入力キーとして対応テーブルを参照することで持ち上げ重量を導き出す。対応テーブルは、掘削アタッチメントの姿勢と、掘削アタッチメントの歪みと、持ち上げ重量との対応関係を記憶する参照用テーブルであり、記憶装置D4に予め記憶されている。対応関係はFEM解析等に基づいて予め決定されている。例えば、重量導出部302は、現在の掘削アタッチメントの姿勢と歪みの組み合わせに最も近い組み合わせを対応テーブルの中から選択し、その選択した組み合わせに関連付けて記憶されている持ち上げ重量の値を現在の持ち上げ重量として導き出す。掘削アタッチメントの歪みは、掘削アタッチメントにおける1又は複数の部位における歪みを意味する。
【0049】
或いは、重量導出部302は、掘削アタッチメントの歪みと掘削アタッチメントの姿勢とを予め記憶された計算式に代入することで持ち上げ重量を導き出してもよい。計算式は記憶装置D4に予め記憶されている。
【0050】
「所定の導出条件」は、重量導出部302が重量を導き出すタイミングを決めるための条件であり、例えば、「バケット6が浮いたこと」(第1の導出条件)及び「ダンプ動作が完了したこと」(第2の導出条件)を含む。「バケット6が浮いたこと」すなわちバケット6が地面から離れたことを第1の導出条件とするのは、バケット6が浮いたときにはバケット6内に土砂等の物が収まっていると推定できるためである。「ダンプ動作が完了したこと」を第2の導出条件とするのは、ダンプ動作が完了したときにはバケット6内が空になっている、或いは、落とせる土砂を落としきったと推定できるためである。
【0051】
コントローラ30は、例えば、掘削動作後に旋回操作が行われたと判定した場合に第1の導出条件が満たされたと判定する。旋回操作が行われるときにはバケット6が空中に浮いていると推定できるためである。「掘削動作後」は
図3(D)の動作後にあたり、コントローラ30は、掘削アタッチメントの姿勢と、ブーム4の上下面に取り付けた歪みゲージが検出した掘削アタッチメントの歪みから、掘削動作後の状態にあるか否かを判定できる。具体的には、コントローラ30は、掘削動作後に圧力センサ29の出力に基づいて旋回操作レバーが操作されたと判定した場合に第1の導出条件が満たされたと判定する。コントローラ30は、ブーム4の両側面のそれぞれに取り付けられた2つの歪みゲージの出力に基づいて旋回操作が行われたか否かを判定してもよい。
【0052】
或いは、コントローラ30は、ブーム4が所定の高さ以上に上昇したと判定した場合に第1の導出条件が満たされたと判定してもよい。ブーム4が所定の高さ以上に上昇したときにはバケット6が空中に浮いていると推定できるためである。具体的には、コントローラ30は、ブーム角度センサS1の出力に基づいてブーム4が所定の高さ以上に上昇したと判定した場合に第1の導出条件が満たされたと判定する。
【0053】
或いは、コントローラ30は、バケット6が所定角度まで閉じられたと判定した場合に第1の導出条件が満たされたと判定してもよい。バケット6が所定角度まで閉じられたときにはバケット6が空中に浮いていると推定できるためである。具体的には、コントローラ30は、バケット角度センサS3の出力に基づいてバケット6が所定角度まで閉じられたと判定した場合に第1の導出条件が満たされたと判定する。
【0054】
また、コントローラ30は、例えば、ダンプ動作中に旋回操作が行われたと判定した場合に第2の導出条件が満たされたと判定する。旋回操作が行われるときにはダンプ動作が完了したと推定できるためである。具体的には、コントローラ30は、ダンプ動作中に圧力センサ29の出力に基づいて旋回操作レバーが操作されたと判定した場合に第2の導出条件が満たされたと判定する。
【0055】
或いは、コントローラ30は、第1の導出条件が満たされた後に、バケット6が所定角度まで開かれたと判定した場合に第2の導出条件が満たされたと判定してもよい。バケット6が所定角度まで開かれたときにはダンプ動作が完了したと推定できるためである。具体的には、コントローラ30は、バケット角度センサS3の出力に基づいてバケット6が所定角度まで開かれたと判定した場合に第2の導出条件が満たされたと判定する。
【0056】
重量導出部302は、持ち上げ重量を導き出した場合、その導出結果に応じて音声出力装置D2、表示装置D3、通信装置D5、及びエンジンコントローラD6の少なくとも1つに制御指令を出力してもよい。例えば、重量導出部302は、持ち上げ重量に関する情報を表示装置D3に表示してもよく、音声出力装置D2を通じて音声出力してもよい。また、重量導出部302は、通信装置D5を介して持ち上げ重量に関する情報を外部に無線送信してもよい。また、持ち上げ重量が所定値以上の場合に、エンジンコントローラD6を介してエンジン11の出力を増大させてもよい。
【0057】
姿勢導出部301及び重量導出部302はショベルの外部にある外部制御装置によって実現されてもよい。外部制御装置は、コントローラ30と同様、CPU及び内部メモリを含む演算処理装置である。この場合、コントローラ30は、取得した情報を通信装置D5を通じて外部制御装置に無線送信する。
【0058】
次に
図5を参照し、コントローラ30が持ち上げ重量を導き出す処理(以下、「重量導出処理」とする。)について説明する。
図5は重量導出処理の流れを示すフローチャートである。コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこの重量導出処理を実行する。
【0059】
最初に、コントローラ30の重量導出部302はバケット6が浮いたか否かを判定する(ステップST1)。本実施例では、重量導出部302は、掘削動作後に旋回操作が行われた場合にバケット6が浮いたと判定する。重量導出部302は、油圧シリンダにおける作動油の圧力に基づいてバケット6が浮いたか否かを判定してもよい。また、重量導出部302は、ブーム操作レバーが上げ方向に操作されてから所定時間(例えば2秒間)が経過した後で旋回操作レバーが操作される前にバケット6が浮いたか否かを判定してもよい。旋回が始まると旋回慣性力による歪みがノイズとして作用するためである。
【0060】
バケット6が浮いていないと判定した場合(ステップST1のNO)、重量導出部302は、バケット6が浮いたと判定するまでバケット6が浮いたか否かの判定を繰り返す。
【0061】
バケット6が浮いたと判定した場合(ステップST1のYES)、重量導出部302は、掘削アタッチメントの姿勢及びブーム4の歪みを取得する(ステップST2)。本実施例では、重量導出部302は、姿勢センサの出力に基づいて姿勢導出部301が導き出した掘削アタッチメントの姿勢を取得する。また、歪みセンサS4の出力に基づいてブーム4の歪みを取得する。
【0062】
その後、重量導出部302は持ち上げ重量を導き出す(ステップST3)。本実施例では、掘削アタッチメントの姿勢とブーム4の歪みとを入力キーとして記憶装置D4に記憶されている対応テーブルを参照することでバケット6内に取り込まれた土砂等の重量を持ち上げ重量として導き出す。
【0063】
この構成により、コントローラ30は、例えば、ダンプトラックに積み込まれた土砂等の積み込み重量(=持ち上げ重量)を掘削・積み込みの1サイクル毎に導き出すことができる。また、サイクル毎の積み込み重量をダンプトラック毎に累算することで1台のダンプトラックに積み込まれた土砂の総積載重量を作業量として導き出すことができる。また、コントローラ30は所定時間に亘ってサイクル毎の持ち上げ重量を累算することで所定時間当たりの掘削重量を作業量として導き出すことができる。そのため、コントローラ30は掘削アタッチメントによる作業量をより高精度に導き出すことができる。
【0064】
本実施例では、コントローラ30は、バケット6が浮いたと判定した時点の掘削アタッチメントの姿勢と歪みセンサS4の出力とに基づいて持ち上げ重量を導き出す。しかしながら、コントローラ30は、1サイクル中においてバケット6が浮いたと判定した後の複数の時点における掘削アタッチメントの姿勢と歪みセンサS4の出力とに基づいて持ち上げ重量を導き出してもよい。この場合、コントローラ30は、バケット6が浮いたと判定した後の複数の時点において導き出された複数の持ち上げ重量の統計値(平均値、最大値、最小値、中間値等)を最終的な持ち上げ重量として出力してもよい。
【0065】
また、コントローラ30は、バケット6が浮いたか否かにかかわらず、掘削アタッチメントの姿勢とブーム4の歪みとを継続的に取得しながら持ち上げ重量を継続的に導き出してもよい。この場合も、コントローラ30は、バケット6が浮いたと判定した時点の持ち上げ重量、又は、バケット6が浮いたと判定した後の複数の時点における持ち上げ重量の統計値を最終的な持ち上げ重量として出力してもよい。
【0066】
また、コントローラ30は、掘削アタッチメントの姿勢の変化に基づき、掘削作業、法面形成作業、床掘り作業といった作業内容を判別してもよい。この場合、コントローラ30は、識別した作業内容とその後に導き出した作業量とを関連付け、作業内容毎に作業量を導き出してもよい。
【0067】
次に
図6及び
図7を参照し、ブーム4における歪みセンサS4の取り付け位置について説明する。
図6及び
図7は何れもブーム4の斜視図であり、ブーム4に取り付けられた歪みセンサの配置を示す。
【0068】
図6に示す実施例では、歪みセンサS4としての歪みゲージS40は、ブーム4の長手方向(掘削アタッチメントの前後方向)におけるブーム4の歪みを検出するように、ブームシリンダボス4aとブームフート4bとの間でブーム4の背側(+Z側)の表面に取り付けられている。具体的には、歪みゲージS40は、ブーム4の背側の表面の中央部分に取り付けられている。すなわちブーム4の縦中心面(一点鎖線で示す線分を含みブーム4を縦断する面)を横切るように配置されている。但し、歪みゲージS40は、ブーム4の腹側(−Z側)の表面に取り付けられていてもよく、ブームシリンダボス4aとブームトップ4cとの間でブーム4の背側又は腹側の表面に取り付けられていてもよい。また、中央部分以外の部分に取り付けられてもよい。歪みセンサS4は、背面又は腹面に貼り付けられる場合であっても、ブーム4の長手方向における引張圧縮応力を算出できるように貼り付けられる。
【0069】
この配置により、歪みセンサS4は、例えば、掘削アタッチメントで土砂等を持ち上げるときのブーム4の背側及び腹側の金属板の伸縮による歪みを検出できる。また、掘削アタッチメント(ブーム4)に作用する持ち上げ荷重に起因する引張圧縮応力による歪みを検出できる。また、歪みセンサS4は、ブーム4の表面ではなく、背側又は腹側の内部に貼り付けられていてもよい。この構成は、ショベルのような掘削作業を行う機械であっても、歪みセンサS4の損傷を防止できる。
【0070】
図7に示す実施例では、歪みセンサS4は8個の歪みゲージS41〜S48で構成されている。
図7の破線は隠れ線を表す。歪みゲージS41及び歪みゲージS42は3軸歪みゲージである。歪みゲージS43〜S48は1軸歪みゲージである。歪みゲージS41〜S44は、ブームシリンダボス4aとブームフート4bとの間でブーム4の背側(+Z側)、腹側(−Z側)、左側(−Y側)、右側(+Y側)の表面に取り付けられている。歪みゲージS45〜S48は、ブームシリンダボス4aとブームトップ4cとの間でブーム4の背側(+Z側)、腹側(−Z側)、左側(−Y側)、右側(+Y側)の表面に取り付けられている。歪みゲージS41、S42、S45、S46はブーム4の縦中心面を横切るように配置されている。歪みゲージS43、S44、S47、S48は、ブーム4の左側又は右側の表面の中央部分に、ブーム4の長手方向における引張圧縮応力を算出できるように、貼り付けられている。すなわちブーム4の横中心面(二点鎖線で示す線分を含みブーム4を横断する面)を横切るように配置されている。また、歪みゲージS41〜S44は一点鎖線で示す仮想平面としての後方基準断面R1を横切るように配置され、歪みゲージS45〜S48は一点鎖線で示す仮想平面としての前方基準断面R2上を横切るように配置されている。後方基準断面R1及び前方基準断面R2は
図6の一点鎖線で表される線分及び
図7の二点鎖線で表される線分のそれぞれに垂直である。
【0071】
また、
図7の実施例では、8個の歪みゲージの全てがブーム4の表面に取り付けられているが、歪みゲージは8個未満でも9個以上であってもよく、ブーム4の表面以外の位置に取り付けられてもよい。例えば、全ての歪みゲージがアーム5の表面に取り付けられてもよい。また、ブーム4の表面及びアーム5の表面に分散して取り付けられてもよい。また、歪みゲージは、ブーム4、アーム5等の作業要素の表面ではなく、作業要素の内部に貼り付けられていてもよい。
【0072】
図7の実施例は、8個の歪みゲージS41〜S48を用いるため、1個の歪みゲージを用いる
図6の実施例よりも掘削アタッチメントの歪み状態を高精度に検出できる。そのため、掘削アタッチメントが動作中であっても掘削アタッチメントの歪み状態を高精度に検出できる。
【0073】
次に
図8を参照し、重量導出処理の別の一例について説明する。
図8は重量導出処理の別の流れを示すフローチャートである。コントローラ30は、所定の制御周期で繰り返しこの重量導出処理を実行する。
【0074】
最初に、コントローラ30の重量導出部302はバケット6が浮いたか否かを判定する(ステップST1)。本実施例では、重量導出部302は、掘削動作後に旋回操作が行われた場合にバケット6が浮いたと判定する。
【0075】
バケット6が浮いていないと判定した場合(ステップST1のNO)、重量導出部302は、バケット6が浮いたと判定するまでバケット6が浮いたか否かの判定を繰り返す。
【0076】
バケット6が浮いたと判定した場合(ステップST1のYES)、重量導出部302は、掘削アタッチメントの姿勢及びブーム4の歪みを取得する(ステップST2)。本実施例では、重量導出部302は、姿勢センサの出力に基づいて姿勢導出部301が導き出した掘削アタッチメントの姿勢を取得する。また、歪みセンサS4の出力に基づいてブーム4の歪みを取得する。
【0077】
その後、重量導出部302は持ち上げ重量(ダンプ前重量)を導き出す(ステップST3)。本実施例では、掘削アタッチメントの姿勢とブーム4の歪みとを入力キーとして記憶装置D4に記憶されている対応テーブルを参照することでバケット6内に取り込まれた土砂等の重量を持ち上げ重量(ダンプ前重量)として導き出す。
【0078】
その後、重量導出部302はダンプ動作が完了したか否かを判定する(ステップST4)。本実施例では、重量導出部302は、ダンプ動作中に旋回操作が行われた場合にダンプ動作が完了したと判定する。重量導出部302は、油圧シリンダにおける作動油の圧力、姿勢センサの出力等に基づいてダンプ動作が完了したか否かを判定してもよい。また、重量導出部302は、ショベルに搭載されたカメラが撮像した画像に基づいて掘削アタッチメントがダンプトラックの方向を向いていると判定した場合にダンプ動作の開始を検出してもよい。また、その画像に基づいてバケット6がダンプトラックの真上に位置していると判定した場合にダンプ動作の開始を検出してもよい。その上で、圧力センサ29の出力に基づいてバケット操作レバーが開き方向に操作されたと判定した場合、或いは、バケット角度センサの出力に基づいてバケット6が開かれたと判定した場合にダンプ動作が完了したと判定してもよい。
【0079】
ダンプ動作が完了していないと判定した場合(ステップST4のNO)、重量導出部302は、ダンプ動作が完了したと判定するまでダンプ動作が完了したか否かの判定を繰り返す。
【0080】
ダンプ動作が完了したと判定した場合(ステップST4のYES)、重量導出部302は、掘削アタッチメントの姿勢及びブーム4の歪みを取得する(ステップST5)。本実施例では、重量導出部302は、姿勢センサの出力に基づいて姿勢導出部301が導き出した掘削アタッチメントの姿勢を取得する。また、歪みセンサS4の出力に基づいてブーム4の歪みを取得する。
【0081】
その後、重量導出部302は持ち上げ重量(ダンプ後重量)を導き出す(ステップST6)。本実施例では、掘削アタッチメントの姿勢とブーム4の歪みとを入力キーとして記憶装置D4に記憶されている対応テーブルを参照することでダンプ動作後にバケット6内に残っている土砂等の重量を持ち上げ重量(ダンプ後重量)として導き出す。
【0082】
その後、重量導出部302はダンプ前重量とダンプ後重量との差を算出する(ステップST7)。そして、重量導出部302はその差をダンプトラックに積み込まれた土砂等の積み込み重量とする。
【0083】
この構成により、コントローラ30は、例えば、ダンプトラックに積み込まれた土砂等の積み込み重量を掘削・積み込みの1サイクル毎に導き出すことができる。また、サイクル毎の積み込み重量を累算することでダンプトラックに積み込まれた土砂の総重量を導き出すことができる。また、ダンプ前重量とダンプ後重量との差を積み込み重量とするため、例えばダンプ動作の完了時にバケット6の内側に張り付いている土砂等の重量が積み込み重量に含まれてしまうのを防止できる。
【0084】
次に
図9を参照し、掘削アタッチメントに作用するねじり荷重について説明する。
図9は、鉛直軸に対して角度θだけ傾斜したショベル50の掘削アタッチメントの正面図である。鉛直下方を向く矢印G1は、バケット6及びバケット6内に取り込まれた土砂等の重心に作用する重力を示す。バケット6の幅方向を向く矢印G1aはその重力の幅方向における成分である横力を示す。
【0085】
この横力の存在により、ショベル50の車体が傾斜している場合、アーム5はアーム5とブーム4との連結部を中心として回転しようとし、ブーム4に作用するねじり荷重T1を発生させてしまう。
【0086】
図9に示す実施例では、歪みセンサS4としての歪みゲージS40は、3軸歪みゲージであり、ブーム4の内部に貼り付けられている。3軸歪みゲージを用いることで、コントローラ30は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の全ての方向における歪みを検出できる。そのため、コントローラ30は、1箇所に貼られたセンサで、各方向に生じる掘削荷重に基づく曲げ応力を算出できるだけでなく、偏心掘削時に生じるねじり荷重に基づくせん断応力も算出できる。また、3軸歪みゲージを用いずに、
図7に示したようにブーム4上で各方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)に対して歪みゲージが貼り付けられていてもよい。
【0087】
ねじり荷重T1は、歪みゲージS40の出力によって形成される特定のパターンをもたらす。コントローラ30は、この特定のパターンを検知することによってねじり荷重T1が発生していることを検知できる。これにより、部品寿命を精度良く算出できる。
【0088】
また、3軸歪みゲージをアーム5の表面に取り付けてもよい。この場合、コントローラ30は、アーム5に作用するねじり荷重によるせん断応力を算出できるので、アーム5の寿命を精度良く算出できる。
【0089】
次に
図10を参照し、ショベル50が接続される通信ネットワーク100について説明する。
図10は、ショベル50が接続される通信ネットワーク100を示す概略図である。通信ネットワーク100は、主に、ショベル50、基地局21、サーバ22、及び通信端末23で構成される。通信端末23は、携帯通信端末23a、固定通信端末23b等を含む。基地局21、サーバ22、及び通信端末23は、それぞれ、インターネットプロトコル等の通信プロトコルを用いて互いに接続され得る。なお、ショベル50、基地局21、サーバ22、及び通信端末23のそれぞれは1つであってもよく複数であってもよい。また、携帯通信端末23aは、ノートパソコン、携帯電話、スマートフォン等を含む。
【0090】
基地局21は、ショベル50が無線送信する情報を受信する固定施設であり、例えば、衛星通信、携帯電話通信、狭域無線通信等を通じてショベル50との間で情報を送受信する。
【0091】
サーバ22は、ショベル50が無線送信する情報を保存し且つ管理する装置であり、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等を備えたコンピュータである。具体的には、サーバ22は、通信ネットワーク100を通じて、基地局21が受信した情報を取得・保存し、操作者(管理者)が必要に応じてその保存した情報を参照できるように管理する。
【0092】
また、サーバ22は、通信ネットワーク100を通じてショベル50の各種設定を行う。具体的には、サーバ22は、ショベル50の各種設定に関する値をショベル50に対して無線送信し、ショベル50のコントローラ30に記憶される各種設定に関する値を変更する。
【0093】
また、サーバ22は、通信ネットワーク100を通じて通信端末23に各種情報を送信する。具体的には、サーバ22は、所定の条件が満たされた場合に、或いは、通信端末23からの要求に応じて、ショベル50に関する情報を通信端末23に対して送信し、ショベル50に関する情報を通信端末23の操作者に伝えるようにする。
【0094】
通信端末23は、サーバ22に保存された情報を参照可能な装置であり、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース、入力装置、ディスプレイ、スピーカ等を備えたコンピュータである。具体的には、通信端末23は、通信ネットワーク100を通じてサーバ22に接続され、ショベル50に関する情報を操作者(管理者)が閲覧できるようにする。或いは、通信端末23は、サーバ22が送信する、ショベル50に関する情報を受信し、受信した情報を操作者(管理者)が閲覧できるようにする。
【0095】
本実施例では、サーバ22は、ショベル50が無線送信したショベル50の作業量に関する情報を管理する。そのため、操作者(管理者)は、通信端末23を通じてショベル50の作業量に関する情報を任意のタイミングで受信して閲覧することができる。
【0096】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。