(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態としてデジタルカメラ(以下、「カメラ」と称す)にトランスミッタを接続して、外部フラッシュ装置の発光を制御する例について説明する。このカメラは、撮像部を有し、この撮像部によって被写体像を画像データに変換し、この変換された画像データに基づいて、被写体像を本体の背面に配置した表示部にライブビュー表示する。撮影者はライブビュー表示を観察することにより、構図やシャッタタイミングを決定する。レリーズ操作時には、画像データが記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像データは、再生モードを選択すると、表示部に再生表示することができる。
【0016】
また、このカメラは、フラッシュを内蔵するか否かに関する情報を記憶するメモリを有するトランスミッタをホットシューに装着可能である。カメラは、ホットシューを介して、トランスミッタから上述の情報を取得することができ、またトランスミッタに発光開始信号、発光量信号等の信号を出力可能である。トランスミッタは、複数の外部フラッシュ(「リモートフラッシュ」ともいう)と無線通信で接続可能であり、カメラからの発光開始信号等を外部フラッシュに無線通信で出力する。
【0017】
また、カメラは、トランスミッタからフラッシュを内蔵しているか否かについて情報を受信する。また受信した情報によってフラッシュを内蔵していないことを判別すると、フラッシュ発光量制御範囲に関する情報を除外して、トランスミッタと通信を行う。さらに、フラッシュ装置を内蔵していない場合には、プリ発光を1回のみ行う。またはプリ発光を2回以上行い、本発光時に発光量の相対値を指示する通信を行う。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係り、カメラ100、トランスミッタ200、スレーブフラッシュ200A、200Bの配置を示す図である。なお、
図1においては、スレーブフラッシュは2つ配置しているが、これに限らず、例えば、1つでもよく、また3以上でも構わない。
【0019】
カメラ100はホットシューを介してトランスミッタ200が装着可能であり、トランスミッタ200は後述するように、カメラ100と有線で接続されている。被写体300の周囲には、スレーブフラッシュ200Aおよびスレーブフラッシュ200Bが配置されている。このスレーブフラッシュ200A、200Bは、それぞれフラッシュ201A、201Bと、無線通信部203A、203Bを有している。
【0020】
トランスミッタ200は、カメラ100からのプリ発光信号および本発光信号を受信すると、無線通信によって、スレーブフラッシュ200A、200Bにプリ発光および本発光の指示を行う。このように、本実施形態に係るカメラ100は、外部に位置するスレーブフラッシュ200A、200Bを発光させることが可能である。すなわち、フラッシュ制御装置(ここでは、トランスミッタ200)は、フラッシュ装置(ここでは、スレーブフラッシュ200A、200B)とワイヤレス通信を行い、フラッシュ装置を制御することが可能である。
【0021】
次に、
図2を用いて、カメラ100とトランスミッタ200の主として電気的な構成について説明する。
【0022】
撮影レンズ111は、被写体の被写体像を形成するための光学レンズであり、レンズ制御部131によってフォーカスレンズやズームレンズが光軸方向に移動する。撮影レンズ111の光軸上には、絞り113、NDフィルタ115、シャッタ117が配置され、また撮影レンズ111の光軸上であって、かつ光学像の結像位置付近には撮像素子119が配置されている。
【0023】
絞り113は、絞り口径が可変であり、撮影光学系の光束(光量)を制御する。絞り制御部129は、絞り開口に相当する絞り値を制御する。絞り113は絞り制御部129からの制御信号に基づいて、撮影レンズ111を通過した被写体光束の光量を調節する。NDフィルタ115は、被写体光束の透過量を減少させる光学フィルタであり、ND制御部127からの制御信号に基づいて、撮影レンズ111の光軸の垂直方向に進退自在である。
【0024】
シャッタ117は、撮影時には、シャッタ制御部125からの制御信号に基づいて、シャッタ秒時で決まる時間の間、被写体光束を通過させる。また、ライブビュー表示時には、開放状態となっている。
【0025】
撮像素子119は、撮影レンズ111によって形成された被写体像を光電変換し、画像信号をカメラ制御部150に出力する。撮像制御部123は、撮像制御回路を有し、カメラ制御部150からの制御信号に基づいて、撮像素子119の電荷蓄積や読み出し等の制御を行う。なお、撮像素子119および撮像制御部123は、所謂電子シャッタの機能を実現でき、ライブビュー表示時は、電子シャッタによって露出を制御する。また、絞り113、NDフィルタ115、シャッタ117等によって露出制御を行うことができ、これらの一部は適宜省略してもよい。
【0026】
また、カメラ100内には、フラッシュ141とフラッシュ制御部143を有する内蔵フラッシュが設けられている。フラッシュ141はキセノン管等の発光部を有し、フラッシュ制御部143は、カメラ制御部150からの制御信号に従って、プリ発光および本発光の発光タイミングおよび発光量の制御を行う。
【0027】
カメラ制御部150は、CPU(Central Processing Unit)とその周辺回路およびメモリ等を有する。CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って、カメラ100内の各部を制御することによってカメラの全体を実行する。カメラ制御部150は、画像処理部151、AF制御部153、AE制御部155、フラッシュ発光量制御部161、トランスミッタ制御部163および通信制御部165を有する。これらの各部は、周辺回路の機能をCPUによってソフトウエア的に制御することにより実現される。
【0028】
画像処理部151は、撮像素子119から画像信号を入力し、増幅処理、AD変換処理、OB処理、ガンマ処理等、種々の画像処理を行い、画像データを出力する。AF制御部153は、撮像素子119の出力に基づく画像データを用いて、コントラスト信号を抽出し、このコントラスト信号がピークとなるように、レンズ制御部131を介して、撮影レンズ111中のフォーカスレンズの位置を制御する。
【0029】
AE制御部155は、撮像素子119の出力に基づく画像データを用いて、被写体輝度値を求め、この被写体輝度値に基づいて、適正露光となる絞り値、NDフィルタの有無、シャッタ速度、ISO感度等を算出し、この算出結果に基づいて、撮像制御部123、シャッタ制御部125、ND制御部127、絞り制御部129等を介して制御する。
【0030】
フラッシュ発光量制御部161は、AE制御部155からの被写体輝度情報や、撮影レンズ111のフォーカスレンズ位置情報等に基づいて、内部フラッシュや外部フラッシュの発光量を演算し、また通信制御部165、トランスミッタ200等を介して、外部フラッシュ装置200A、200Bにおける発光量の制御を行う。その他、スレーブフラッシュモード等、他の発光モードが設定されている場合には、そのモードに従った発光制御を行う。
【0031】
トランスミッタ制御部163は、フラッシュ発光量制御部161によって演算されたフラッシュ発光量、プリ発光タイミング、本発光タイミング等の信号の生成を行い、通信制御部165を介してトランスミッタ200への送信制御を行う(例えば、
図4参照)。また、トランスミッタ制御部163は、トランスミッタ200からの信号に基づいて、外部フラッシュ装置200A、200B、トランスミッタ200の種別を判別し(例えば、
図3のS9、S15参照)、この判別結果に応じた制御を行う(例えば、
図3のS17、S19、S21参照)。
【0032】
トランスミッタ制御部163は、ホットシューに接続されたフラッシュ制御装置と通信を行い、フラッシュ制御装置を制御する制御部として機能する。この制御部は、フラッシュ制御装置と通信して上記情報を判別し、判別結果に応じてフラッシュ制御装置の制御を切換える(例えば、
図3のS17、S19、S21参照)。また制御部は、ホットシューに接続されたフラッシュ制御装置と通信してフラッシュ制御装置を制御する際に、情報に基づいてフラッシュ装置を内蔵していないと判別した場合は、フラッシュ発光量制御範囲に関する第2の情報を除外して通信を行う(例えば、
図3のS11参照)。制御部は、情報に基づいてフラッシュ装置を内蔵していないと判別した場合であって、フラッシュのプリ発光による調光制御を行う際に、フラッシュ制御装置へプリ発光の回数を1回に制限する通信を行って制御する(例えば、
図4のS51参照)。
【0033】
また、制御部は、情報に基づいてフラッシュ装置を内蔵していないと判別した場合であって、フラッシュのプリ発光による調光制御を行う際に、フラッシュ制御装置へプリ発光の発光量を所定の発光光量に設定する通信を行って制御する(例えば、
図4のS43参照)。制御部は、情報に基づいて上記フラッシュ装置を内蔵していないと判別した場合であって、フラッシュのプリ発光による調光制御を行う際に、上記プリ発光の指示により上記フラッシュ装置によるプリ発光の検出結果に応じて本発光の発光光量を上記プリ発光の発光光量の相対値にて指示する通信を行う(例えば、
図4のS47、S53参照)。
【0034】
通信制御部165は、トランスミッタ制御部163からの制御信号に従って、トランスミッタ200に信号を送信し、またトランスミッタ200からの信号を受信する。
【0035】
記録部171は、カメラ100に装脱可能な記録媒体を含み、この記録媒体に画像データの記録を行う。また記録部171は記録された画像データを読出し、カメラ制御部150の画像処理部151に出力する。画像処理部151は再生用画像データに変換し、表示部173に再生画像を表示する。
【0036】
表示部173は、カメラ本体の背面等に配置された表示パネルや、電子ファインダ等を有する。表示部173は、前述の再生画像やライブビュー表示の他に、カメラ操作のためのメニュー画面等、種々の表示を行う。撮影者はメニュー画面においてフラッシュ撮影のためのモード等を設定することができる。
【0037】
操作部175は、パワースイッチ、レリーズ釦、十字釦、OK釦等、種々の操作部材を有し、これらの操作部材の操作状態を検出し、カメラ制御部150に出力する。また操作部175は、表示部173に対するタッチ操作等を検出するタッチパネルを有し、検出結果をカメラ制御部150に出力する。
【0038】
接続部180は、本実施形態においては、所謂ホットシューであり、トランスミッタ200が装着可能である。トランスミッタ200を装着すると、カメラ100内の通信制御部165と、トランスミッタ200内のカメラ通信制御部211の間で、複数の接点が接続し、有線通信が可能となる。
【0039】
トランスミッタ200内には、トランスミッタ側制御部210と、無線通信部220が設けられており、トランスミッタ側制御部210内には、カメラ通信制御部211、発光制御通信制御部213、フラッシュ通信制御部215、メモリ217が設けられている。トランスミッタ側制御部210は、CPUとその周辺回路を有し、メモリ217内に記憶されたプログラムに従ってトランスミッタ200内の制御を行う。カメラ通信制御部211、発光部通信制御部213、およびフラッシュ通信制御部215は、周辺回路の機能をCPUによってソフトウエア的に制御することにより実現される。
【0040】
カメラ通信制御部211は、前述したように、接続部180を介して、カメラ100内の通信制御部165と送受信の制御を行う。カメラ通信制御部211は、撮像装置と通信を行うための第1通信部として機能する。この第1通信部を介して撮像装置と通信を行う際に、記憶部に記憶された情報を送信する(
図3のS5、S7参照)。
【0041】
発光制御通信制御部213は、カメラ通信制御部211で受信したカメラ100からの発光開始信号に基づいて、スレーブフラッシュ200A、200Bの発光を開始させ、また発光量の制御を行う。また、カメラ100からの問い合わせのコマンド信号に対して応答信号を送信する。
【0042】
フラッシュ通信制御部215は、発光制御通信制御部213からの制御信号に応じて、無線通信部220の制御を行い、スレーブフラッシュ200A、200Bとの通信制御を行う。メモリ217は、前述のプログラムを記憶しており、また、トランスミッタ200がフラッシュを内蔵していない情報等、種々の情報も記憶している。メモリ217は、フラッシュを内蔵するか否かに関する情報を記憶する記憶部として機能する。
【0043】
無線通信部220は、スレーブフラッシュ200A、200Bの無線通信部203A、203Bと無線通信を行う。すなわち、カメラ100からのプリ発光開始信号、本発光開始信号、プリ発光量信号、本発光量信号等の信号を無線で伝達する。無線通信部220は、外部フラッシュ装置と通信を行うための第2通信部として機能する。
【0044】
次に、
図3に示すフローチャートを用いて、カメラ100とトランスミッタ200を接続した際の動作について説明する。このフローチャートは、カメラ制御部150内のCPUがメモリに記憶されたプログラムに従って実行する。なお、後述する
図4に示すフローチャートも、同様である。
【0045】
カメラ100に電源がオンとなると、または、カメラ100の電源がオンの状態でフラッシュコマンダ200や外部フラッシュ装置等のアクセサリが接続部(ホットシュー)180に接続された場合に、
図3に示す接続動作のフローが開始する。まず、通信確認コマンドの送信を行う(S1)。ここでは、トランスミッタ制御部163が、通信制御部165、接続部180を介して、トランスミッタ側制御部210に通信確認コマンドを送信する。
【0046】
通信確認コマンドを送信すると、次に、指定時間以内にアクセサリから応答があるか否かについて判定する(S3)。トランスミッタ側制御部210内のカメラ通信制御部211は、通信確認コマンドを受信すると、カメラ100に応答信号を送信する。そこで、このステップS3では、トランスミッタ200から応答信号が返信されてきたか否かに基づいて判定する。ステップS3における判定の結果、応答がない場合には、ステップS1に戻り、前述の動作を実行する。
【0047】
一方、ステップS3における判定の結果、応答があった場合には、次に、機器情報コマンドを送信する(S5)。カメラ100の接続部180には、トランスミッタ200以外にも外部フラッシュ装置等のアクセサリが装着可能である。そこで、カメラ100は、接続部180に装着しているアクセサリの種類を返信するように、機器情報コマンドを送信する。
【0048】
機器情報コマンドを送信すると、次に、指定時間以内にアクセサリから応答が有るか否かを判定する(S7)。装着されているアクセサリは、機器情報コマンドを受信すると、装着されているアクセサリの種類を示す情報を、カメラ100に返信する。装着されているアクセサリがトランスミッタ200の場合には、メモリ217に機器情報として、トランスミッタであることを示す情報が記憶されており、トランスミッタ200はこの情報をカメラ100に送信する。また、トランスミッタの場合には、自社リモートコントロール(RC)システム用トランスミッタであるかの情報を含む。このステップS7では、この情報が指定時間以内に返信されてきたか否かに基づいて判定する。この判定の結果、応答がない場合には、ステップS1に戻り、前述の動作を実行する。
【0049】
一方、ステップS7における判定の結果、応答があった場合には、次に、機器情報がトランスミッタであるか否かを判定する(S9)。ここでは、アクセサリから返信されてきた機器情報がトランスミッタであるか否かを判定する。
【0050】
ステップS9における判定の結果、トランスミッタでない場合には、光量情報取得コマンドを送信する(S11)。トランスミッタが装着されていないことから、カメラ100に装着されているアクセサリは、外部フラッシュ装置である。この外部フラッシュ装置を制御するために、外部フラッシュ装置の制御可能な発光量の範囲に関する光量情報を、カメラ100に送信するように、光量情報取得コマンドを送信する。
【0051】
光量情報取得コマンドを送信すると、指定時間以内にアクセサリから応答が有るか否かについて判定する(S13)。接続部180に接続されたアクセサリが外部フラッシュ装置の場合には、光量情報が送信されてくるので、指定時間の間、待つ。この判定の結果、指定時間以内に応答がない場合には、ステップS1に戻り、前述の動作を実行する。
【0052】
一方、ステップS13における判定の結果、光量情報を取得した場合には、接続動作を完了し、外部フラッシュとして認識して動作する(S17)。この場合には、外部フラッシュとして認識して発光動作を行う(
図4のS33〜S39参照)。
【0053】
ステップS9に戻り、このステップにおける判定の結果、アクセサリがトランスミッタの場合には、次に、自社システムのトランスミッタか否かについて判定する(S15)。カメラ100と連携して動作可能なトランスミッタ(自社システム)と、カメラ100と連携して動作ができないトランスミッタ(汎用システム)の場合がある。ここでは、アクセサリから返信されてきた機器情報に基づいて自社システムであるか否かを判定する。
【0054】
ステップS15における判定の結果、自社システムトランスミッタの場合には、接続動作を完了し、自社リモートコントロール(RC)システム用トランスミッタとして認識して動作する(S19)。この場合には、自社RCシステム用トランスミッタとして認識して発光動作を行う(
図4のS43〜S49参照)。
【0055】
ステップS15における判定の結果、自社システムトランスミッタでない場合には、接続動作を完了し、汎用リモートコントロール(RC)システム用トランスミッタとして認識して動作する(S21)。この場合には、汎用RCシステム用トランスミッタとして認識して発光動作を行う(
図4のS51〜S55参照)。
【0056】
次に、
図4に示すフローチャートを用いて、発光動作について説明する。この発光動作は、カメラ100においてフラッシュを使用して撮影する撮影モードに設定され、レリーズ釦が全押しされた場合に実行される。
【0057】
図4に示す発光動作のフローに入ると、まず、接続されているアクセサリが外部フラッシュ装置であるか否かについて判定する(S31)。ここでは、ステップS7においてアクセサリから受信した機器情報に基づいて、外部フラッシュ装置であるか否かについて判定する。
【0058】
ステップS31における判定の結果、装着されているアクセサリが外部フラッシュ装置の場合には、プリ発光量通信を行う(S33)。プリ発光は、本発光の前に所定発光量でフラッシュ装置の発光を行わせることをいう。プリ発光時に、被写体300からの反射光を測光することにより、本発光時に適正露光量となる発光量を演算することができる。このステップでは、フラッシュ発光量制御部161、トランスミッタ制御部163、および通信制御部165が、プリ発光を行う際の発光量を外部フラッシュ装置に送信する。
【0059】
プリ発光量通信を行うと、次に、プリ発光動作を行う(S35)。ここでは、トランスミッタ制御部163および通信制御部165が、プリ発光の指示(X信号)を外部フラッシュ装置に送信する。内蔵のフラッシュ141や複数の外部フラッシュ装置を使用する場合には、これのフラッシュが同時にプリ発光するように同期させる。
【0060】
プリ発光動作を行うと、次に、本発光量通信を行う(S37)。プリ発光時に、撮像素子119が受光し生成した画像データに基づいて、被写体300からの反射光量を求め、フラッシュ発光量制御部161は本発光時に適正露光となる本発光量を演算する。この本発光量は、絶対発光量で演算する。本発光量の演算結果に基づいて、外部フラッシュ装置に本発光量を送信する。
【0061】
本発光量を送信すると、次に、本発光動作を行う(S39)。ここでは本発光の指示(X信号)を外部フラッシュ装置に送信する。内蔵のフラッシュ141や複数の外部フラッシュ装置を使用する場合には、これのフラッシュが同時に本発光するように同期させる。また、この時の発光は、ステップS37で指示した発光量で発光させる。本発光動作を行うと、発光動作が完了する。
【0062】
ステップS31に戻り、このステップにおける判定の結果、外部フラッシュ装置でない場合には、自社リモートコントロール(RC)システム用トランスミッタであるか否かについて判定する(S41)。ここでは、ステップS15と同様に、ステップS7においてアクセサリから受信した機器情報に基づいて、自社RCシステム用トランスミッタであるか否かについて判定する。
【0063】
ステップS41における判定の結果、自社RCシステム用トランスミッタの場合には、プリ発光動作を指示する通信を行う(S43)。自社RCシステムの場合には、プリ発光時のスレーブフラッシュ200A等の制御を行うことができることから、次の発光動作がプリ発光動作であることを通知する動作指示や、プリ発光動作における回数や発光量等の指示を行う。自社RCシステムであることから、リモートフラッシュの制御可能な発光量の範囲等の情報を事前に分かるので、この範囲で最適な発光量や発光回数を決めることができる。そこで、このステップにおいて、プリ発光動作時の回数や発光量等の指示を行う。
【0064】
プリ発光動作の指示を行うと、次に、プリ発光動作を行う(S45)。ここでは、トランスミッタ制御部163および通信制御部165が、プリ発光の指示(X信号)をトランスミッタ100に送信する。プリ発光指示に応じて、スレーブフラッシュ200A等が同期してプリ発光する。内蔵のフラッシュ141も使用する場合には、これも同期してプリ発光させる。
【0065】
プリ発光動作を行うと、次に、本発光量通信を行う(S47)。プリ発光時に、撮像素子119が受光し生成した画像データに基づいて、被写体300からの反射光量を求め、フラッシュ発光量制御部161は本発光時に適正露光となる本発光量を演算する。但し、スレーブフラッシュ200A等のプリ発光量に基づく、本発光時の適正露光量を絶対発光量で、スレーブフラッシュ200A等へ指示することができない。例えば、複数のスレーブフラッシュ200A、200Bを制御する場合、個別の寄与度合が不明なので、個別に絶対発光量を指示することができないからである。従って、フラッシュ発光量制御部161は、プリ発光時に測光した露光量から適正露光量になるために必要な差分量を演算子、その差分量から適正露光量となるプリ発光に対する相対発光量を演算する。すなわち、プリ発光時の発光量よりも何EVだけ光量を増加または減少させればよいかを演算する。本発光量の演算結果に基づいて、外部フラッシュ装置に相対値で表される本発光量を送信する。
【0066】
本発光量の通信を行うと、次に、本発光動作を行う(S49)。ここでは本発光の指示(X信号)をトランスミッタ200に送信する。本発光指示に応じて、スレーブフラッシュ200A等が同期して本発光する。内蔵のフラッシュ141も使用する場合には、これも同期して本発光させる。このときの本発光は、ステップS47において送信した相対発光量で指示された本発光量で発光する。本発光動作を行うと、発光動作が完了する。
【0067】
ステップS41に戻り、この判定の結果、自社RCシステム用トランスミッタでない場合には、汎用RCシステム用トランスミッタである。この場合には、プリ発光動作を行う(S51)。汎用RCシステムであることから、トランスミッタ200によるスレーブフラッシュの制御が困難である。そこで、カメラ100からはプリ発光のタイミングを示すプリ発光動作(X信号)のみを指示する。
【0068】
プリ発光動作を行うと、次に、本発光量通信を行う(S53)。汎用RCシステムにおいても、カメラ100において被写体300からの反射光量に基づいて被写体輝度を求め、適正露光となる相対発光量を演算することができる。このステップS53では、この相対発光量をトランスミッタ200に送信する。
【0069】
本発光量の通信を行うと、次に、本発光動作を行う(S55)。ここでは本発光の指示(X信号)をトランスミッタ200に送信する。本発光指示に応じて、スレーブフラッシュ200A等が同期して本発光する。内蔵のフラッシュ141も使用する場合には、これも同期して本発光させる。このときの本発光は、ステップS53において送信した相対発光量で指示された本発光量で発光する。本発光動作を行うと、発光動作が完了する。
【0070】
なお、
図4に示すフローチャートにおいては、外部フラッシュが装着されている場合のプリ発光のための処理(S33、S35)と、自社RCシステム用トランスミッタが装着されている場合のプリ発光のための処理(S43、S45)は、プリ発光を1回行う場合について記載している。しかし、プリ発光の回数は1回に限られず、2回以上であっても構わない。汎用RCシステム用トランスミッタの場合には、プリ発光動作は1回のみとする(S51)。
【0071】
以上説明したように、本発明の一実施形態においては、接続部180(例えば、ホットシュー)に接続されたフラッシュ制御装置(例えば、トランスミッタ200)と通信を行い(S1)、フラッシュを内蔵するか否かに関する情報を取得し(S5)、取得した情報に基づいて、フラッシュ制御装置の制御を切換えるようにしている(S9)。このため、撮像装置に接続部を介して接続されるフラッシュ制御装置から、制御可能な光量範囲等の外部フラッシュ装置の情報を取得できない場合であっても、エラー状態となることがない。すなわち、フラッシュを内蔵していないフラッシュ制御装置の場合には、制御可能な光量範囲等の情報を得ることができず、この情報を取得することにより、フラッシュ制御装置の制御を切換えることにより、エラー状態となることを防止できる。
【0072】
また、本発明の一実施形態においては、フラッシュ制御装置(例えば、トランスミッタ200)は、フラッシュを内蔵するか否かに関する情報を記憶する記憶部(例えば、メモリ217)を有している。このフラッシュ制御装置は、接続部(ホットシュー)を介して撮像装置(例えば、カメラ100)と接続可能である。撮像装置は、ホットシューに接続されたフラッシュ制御装置と通信を行い(
図3のS1)、フラッシュ制御装置を制御する制御部(例えば、
図2のトランスミッタ制御部163)を有し、この制御部は、フラッシュ制御装置と通信して上記情報を判別し、判別結果に応じてフラッシュ制御装置の制御を切換えている(例えば、
図3のS9、
図4のS31)。このため、情報に基づいてフラッシュ制御装置の制御を切り換えることができ、エラー状態となることを防止できる。
【0073】
また、本発明の一実施形態においては、上記情報に基づいて外部フラッシュ装置はフラッシュ装置を内蔵していないと判別した場合には、フラッシュ光量範囲に関する第2の情報を除外して通信を行うようにしている(例えば、フラッシュ装置を内蔵している場合には光量情報を取得するのに対して(
図3のS11)、内蔵していない場合には、光量情報を取得するための通信を行っていない)。トランスミッタ200のように、フラッシュ装置を内蔵していない場合に、フラッシュ光量範囲に関する第2の情報を要求すると、この第2の情報を返信できないために、カメラ100側はエラー状態となって、トランスミッタ200と無線通信で接続されたスレーブフラッシュを発光させることができなくってしまう。この点、本実施形態においては、第2の情報を除外して通信を行っているので、エラー状態となることはない。
【0074】
また、本発明の一実施形態においては、上記情報に基づいて外部フラッシュ装置はフラッシュ装置を内蔵していないと判別した場合であって、フラッシュのプリ発光による調光制御を行う際に、フラッシュ制御装置へプリ発光の回数を1回に制限する通信を行って制御している(例えば、
図4のS51参照)。汎用RCシステム用トランスミッタの場合には、トランスミッタによって制御しているリモートフラッシュが不明であることから(例えば、制御可能な発光量の範囲が不明)、複数回、プリ発光を行っても十分な情報を得ることができない。そこで、プリ発光の回数を1回に制限し、無駄な発光を行わないようにしている。
【0075】
また、本発明の一実施形態においては、上記情報に基づいて外部フラッシュ装置はフラッシュ装置を内蔵していないと判別した場合であって、フラッシュのプリ発光による調光制御を行う際に、フラッシュ制御装置へプリ発光の発光量を所定の発光光量に設定する通信を行って制御する(例えば、
図4のS43参照)。プリ発光の際の発光量は、次第に増加させる等、毎回の発光量を異ならせている。自社RCシステム内でこのプリ発光の発光について予め決めておくことができ、これに従って発光量に設定することにより、より正確な本発光量を求めることができる。
【0076】
また、本発明の一実施形態においては、上記情報に基づいて外部フラッシュ装置はフラッシュ装置を内蔵していないと判別した場合であって、フラッシュのプリ発光による調光制御を行う際に、プリ発光の指示によりフラッシュ装置によるプリ発光の検出結果に応じて本発光の発光光量をプリ発光の発光光量の相対値にて指示する通信を行うようにしている(例えば、
図4のS47、S53参照)。プリ発光の検出結果に基づく絶対値での本発光量を指示できないが、プリ発光に対して、どのくらい本発光量を増やしたら、または減らしたら適正露光量となるかについては演算できる。この相対発光量を指示することにより、略適正露光を得ることが可能となる。
【0077】
また、本発明の一実施形態においては、フラッシュ制御装置(例えば、トランスミッタ100)に、フラッシュを内蔵するか否かに関する情報を記憶する記憶部(
図2のメモリ217)を設け、撮像装置(例えば、カメラ100)と通信を行う際に、記憶部に記憶されたフラッシュを内蔵するか否かに関する情報を送信している。すなわち、撮像装置100側で、接続部に装着されたフラッシュ制御装置にフラッシュを内蔵しているか否かが分かる。このため、フラッシュ装置の発光量制御範囲に関する情報を得ることができず、エラー状態となることを防止することができる。
【0078】
なお、本発明の一実施形態においては、トランスミッタ200とスレーブフラッシュ200A、200Bの間は、無線通信によって通信を行っていた。無線通信としては、所謂、電波の周波数帯域に限らず、例えば、赤外線通信用の帯域でもよく、近距離通信が行えるものであれば構わない。
【0079】
また、本発明の一実施形態においては、撮像制御部123、シャッタ制御部125、ND制御部127、絞り制御部129、レンズ制御部131を、カメラ制御部150とはとは別体の構成としたが、各部の全部または一部をソフトウエアで構成し、制御部150内のCPUによって実行するようにしても勿論かまわない。またDSP(Digital Signal Processor)等のプログラムコードで実行される回路で実現するようにしてもよく、ヴェリログ(Verilog)によって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またハードウエア回路によって実行するようにしても勿論かまわない。
【0080】
また、本発明の一実施形態においては、カメラ制御部150内の画像処理部151、AF制御部153、AE制御部155、フラッシュ発光量制御部161、トランスミッタ制御部163、およびトランスミッタ側制御部210内のカメラ通信制御部211、発光制御通信制御部213、フラッシュ通信制御部215は、CPUおよびその周辺回路によってソフトウエアで実現されている。しかし、これに限らず、ハードウエア回路によって実現するようにしても勿論かまわない。さらに、ヴェリログ(Verilog)によって記述されたプログラム言語に基づいて生成されたゲート回路等のハードウエア構成でもよく、またDSP(Digital Signal Processor)等のソフトを利用したハードウエア構成を利用してもよい。これらは適宜組み合わせてもよいことは勿論である。
【0081】
また、本実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもミラーレスカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型コンピュータ、ゲーム機器等に内蔵されるカメラでも構わない。いずれにしても、トランスミッタのようなフラッシュ制御装置を装着可能な機器であれば、本発明を適用することができる。
【0082】
また、本明細書において説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
【0083】
また、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等の順番を表現する言葉を用いて説明したとしても、特に説明していない箇所では、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0084】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。