(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁本体内に弁体を軸方向へ摺動自在に嵌挿し、弁本体の側部に通電により弁体を作動する電磁石を備え、弁体の作動で流体が流通する複数の流路間を切換連通する電磁切換弁において、電磁石は弁本体に隣接する第1電磁石部の軸方向外方へ第2電磁石部を連設して構成し、第1電磁石部は通電により発生する吸引力で第1可動鉄心を吸引する第1固定鉄心を弁本体の側面に固定し、第1可動鉄心を第1固定鉄心と対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材へ嵌装し、第1可動鉄心と弁体との間を第1固定鉄心を貫通する第1ピン部材を介して係合し、第2電磁石部は通電により発生する吸引力で第2可動鉄心を吸引する第2固定鉄心を第1可動鉄心の軸方向外方で筒状部材に固定し、第2可動鉄心を第2固定鉄心と対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材へ嵌装し、第2可動鉄心と第1可動鉄心との間を第2固定鉄心を貫通する第2ピン部材を介して係合し、第1電磁石部と第2電磁石部とは大きな吸引力で弁体により複数の流路間を切換連通する切換状態と、切換状態より小さな吸引力で切換状態を保持する保持状態とを有し、第1電磁石部と第2電磁石部とは、第1可動鉄心を第1固定鉄心に吸引するストローク量と第2可動鉄心を第2固定鉄心に吸引するストローク量とを略同一にしたことを特徴とする電磁切換弁。
前記第1電磁石部と前記第2電磁石部とは、前記切換状態では両方の電磁石部を通電すると共に、前記保持状態ではいずれか一つの電磁石部を通電したことを特徴とする請求項1に記載の電磁切換弁。
前記第1電磁石部と前記第2電磁石部とは、前記切換状態では大きな吸引力のいずれか一方の電磁石部を通電すると共に、前記保持状態では前記切換状態で通電したいずれか一方の電磁石部を非通電として前記切換状態より小さな吸引力のいずれか他方の電磁石部を通電したことを特徴とする請求項1に記載の電磁切換弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示された電磁切換弁では、流量を増大させるために、弁体のストロークを長くして弁体と流路との間の開口量を大きくすると、弁体に流路との間の開口を閉じる方向へ作用する流体力が大きくなり、この流体力に打勝つ大きな吸引力を発生する電磁石が必要となり、消費電力が増加してしまう。
【0005】
本発明の課題は、消費電力の増加を抑制して流量を増大し得る電磁切換弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
弁本体内に弁体を軸方向へ摺動自在に嵌挿し、弁本体の側部に通電により弁体を作動する電磁石を備え、弁体の作動で流体が流通する複数の流路間を切換連通する電磁切換弁において、電磁石は弁本体に隣接する第1電磁石部の軸方向外方へ第2電磁石部を連設して構成し、第1電磁石部は通電により発生する吸引力で第1可動鉄心を吸引する第1固定鉄心を弁本体の側面に固定し、第1可動鉄心を第1固定鉄心と対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材へ嵌装し、第1可動鉄心と弁体との間を第1固定鉄心を貫通する第1ピン部材を介して係合し、第2電磁石部は通電により発生する吸引力で第2可動鉄心を吸引する第2固定鉄心を第1可動鉄心の軸方向外方で筒状部材に固定し、第2可動鉄心を第2固定鉄心と対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材へ嵌装し、第2可動鉄心と第1可動鉄心との間を第2固定鉄心を貫通する第2ピン部材を介して係合し、第1電磁石部と第2電磁石部とは大きな吸引力で弁体により複数の流路間を切換連通する切換状態と、切換状態より小さな吸引力で切換状態を保持する保持状態とを有し
、第1電磁石部と第2電磁石部とは、第1可動鉄心を第1固定鉄心に吸引するストローク量と第2可動鉄心を第2固定鉄心に吸引するストローク量とを略同一にしたことを特徴とする電磁切換弁がそれである。
【0007】
この場合、前記第1電磁石部と前記第2電磁石部とは、前記切換状態では両方の電磁石部を通電すると共に、前記保持状態ではいずれか一つの電磁石部を通電してもよい。また、前記第1電磁石部と前記第2電磁石部とは、前記切換状態ではいずれか一方の電磁石部を通電すると共に、前記保持状態では前記切換状態で通電したいずれか一方の電磁石部を非通電としていずれか他方の電磁石部を通電してもよい
。また、前記保持状態で前記第1電磁石部を通電してもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、電磁石は弁本体に隣接する第1電磁石部の軸方向外方へ第2電磁石部を連設して構成し、第1電磁石部は通電により発生する吸引力で第1可動鉄心を吸引する第1固定鉄心を弁本体の側面に固定し、第1可動鉄心を第1固定鉄心と対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材へ嵌装し、第1可動鉄心と弁体との間を第1固定鉄心を貫通する第1ピン部材を介して係合し、第2電磁石部は通電により発生する吸引力で第2可動鉄心を吸引する第2固定鉄心を第1可動鉄心の軸方向外方で筒状部材に固定し、第2可動鉄心を第2固定鉄心と対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材へ嵌装し、第2可動鉄心と第1可動鉄心との間を第2固定鉄心を貫通する第2ピン部材を介して係合し、第1電磁石部と第2電磁石部とは大きな吸引力で弁体により複数の流路間を切換連通する切換状態と、切換状態より小さな吸引力で切換状態を保持する保持状態とを有した。このため、保持状態では、切換状態より小さな吸引力で通電しているから、消費電力の増加を抑制することができる。そして、切換状態では、大きな吸引力で通電しているから、大きな流体力に打勝って弁体と流路との間の開口量を大きくでき、流量を増大することができる。
また、第1電磁石部と第2電磁石部とは、第1可動鉄心を第1固定鉄心に吸引するストローク量と第2可動鉄心を第2固定鉄心に吸引するストローク量とを略同一にした。このため、ストロークの全域にわたり大きな吸引力を得ることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、第1電磁石部と第2電磁石部とは、切換状態では両方の電磁石部を通電すると共に、保持状態ではいずれか一つの電磁石部を通電した。このため、保持状態では、いずれか一つの電磁石部を通電しているから、消費電力の増加を抑制することができる。そして、切換状態では、両方の電磁石部を通電しているから、大きな吸引力を得ることができ、大きな流体力に打勝って弁体と流路との間の開口量を大きくでき、流量を増大することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、第1電磁石部と第2電磁石部とは、切換状態では大きな吸引力のいずれか一方の電磁石部を通電すると共に、保持状態では切換状態で通電したいずれか一方の電磁石部を非通電として切換状態より小さな吸引力のいずれか他方の電磁石部を通電した。このため、保持状態では、切換状態より小さな吸引力の電磁石部を通電しているから、消費電力の増加を抑制することができる。そして、切換状態では、大きな吸引力の電磁石部を通電しているから、大きな流体力に打勝って弁体と流路との間の開口量を大きくでき、流量を増大することができる。
【0012】
また、
請求項4に記載の発明は、保持状態で第1電磁石部を通電した。このため、第2電磁石部は保持状態で非通電となるから、第2可動鉄心が第2ピン部材を介する第1可動鉄心との係合を解除しても問題がなく、用途に応じて適宜ストローク量を短くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1および
図2において、1は弁本体で、略直方体形状を成し、スプール状の弁体2を軸方向へ摺動自在に嵌挿する嵌挿孔3を内部に貫通形成し、弁本体1の両側面に開口する嵌挿孔3の両端部にはそれぞれ雌ねじ部を螺刻している。嵌挿孔3の軸方向の略中央部には圧力流体を供給する供給流路Pを開口し、また、供給流路Pの接続個所の軸方向両側へ間隙を有して流体アクチュエータ(図示せず)に接続する2個の負荷流路A、Bをそれぞれ開口し、さらに両負荷流路A、Bの軸方向外側へ間隙を有して低圧側に接続する排出流路R1、R2をそれぞれ開口している。弁体2はランド部2A、2Bを備え、嵌挿孔3の両端部に収装したばね4A、4Bで中立位置に保持し、中立位置では供給流路Pを遮断すると共に負荷流路Aを排出流路R1に負荷流路Bを排出流路R2にそれぞれ連通する。また、弁体2は、ばね4Aのばね力に抗する
図1の上半分に示す一方の切換位置では、供給流路Pを負荷流路Aに切換連通すると共に負荷流路Bを排出流路R2に切換連通する。また、弁体2は、ばね4Bのばね力に抗する
図1の下半分に示す他方の切換位置では、供給流路Pを負荷流路Bに切換連通すると共に負荷流路Aを排出流路R1に切換連通する。
【0015】
5A、5Bは弁本体1の両側部に備えた電磁石で、第1電磁石部6A、6Bと第2電磁石部7A、7Bとから構成している。
以下、電磁石5A、5Bは同一構成であるため、電磁石5Aで代表して説明し、電磁石5Bは符号を付して説明を省略する。
電磁石5Aは第1電磁石部6Aを弁本体1に隣接し、第1電磁石部6Aの軸方向外方へ第2電磁石部7Aを連設している。第1電磁石部6Aは第1固定鉄心8Aを嵌挿孔3の雌ねじ部に螺合して弁本体1の側面に固定し、通電により発生する吸引力で第1固定鉄心8Aに吸引する第1可動鉄心9Aを第1固定鉄心8Aと対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材10Aへ嵌装している。筒状部材10Aは第1固定鉄心8Aに溶接で固着している。11Aは第1ピン部材で、第1固定鉄心8Aを貫通して弁体2と第1可動鉄心9Aとを係合し、第1固定鉄心8Aに吸引される第1可動鉄心9Aで弁体2を押圧する。また、第1電磁石部6Aはコイルボビン12A、円筒状のヨーク13A、円板状のヨーク14Aを有している。コイルボビン12Aは、第1固定鉄心8Aと第1可動鉄心9Aの径方向外方で筒状部材10Aに外嵌し、軸方向両端の鍔部の間にコイル15Aを巻回している。コイルボビン12Aは、弁本体1側の鍔部を径方向外方へ延在し、この延在部には3個の接続ピン16A、17A、18A(接続ピン17A、18Aは
図2に示す)を弁本体1側に向けて軸方向へ突出している。2個の接続ピン16A、17Aはコイル15Aに電気接続し、接続ピン17Aは共通のマイナスコモン端子としている。ヨーク13Aはコイルボビン12Aの外周を覆い、弁本体1側の一部を切欠いてコイルボビン12Aの延在部を径方向外方へ延在可能としている。ヨーク14Aはコイルボビン12A、ヨーク13Aの軸方向外方に隣接して筒状部材10Aに外嵌している。
【0016】
第2電磁石部7Aは第1電磁石部6Aと略同一構成で、第2固定鉄心19Aを第1可動鉄心9Aの軸方向外方で筒状部材10Aに固着し、通電により発生する吸引力で第2固定鉄心19Aに吸引する第2可動鉄心20Aを第2固定鉄心19Aと対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材10Aへ嵌装している。21Aは第2ピン部材で、第2固定鉄心19Aを貫通して第1可動鉄心9Aと第2可動鉄心20Aとを係合し、第2固定鉄心19Aに吸引される第2可動鉄心20Aで第1可動鉄心9A、第1ピン部材11Aを介して弁体2を押圧する。そして、第2可動鉄心20Aを第2固定鉄心19Aに吸引するストローク量は、第1可動鉄心9Aを第1固定鉄心8Aに吸引するストローク量と略同一に設けている。
【0017】
第2電磁石部7Aはコイルボビン22A、円筒状のヨーク23A、円板状のヨーク24Aを有している。コイルボビン22Aは、第2固定鉄心19Aと第2可動鉄心20Aの径方向外方で筒状部材10Aに外嵌し、軸方向両端の鍔部の間にコイル25Aを巻回している。コイルボビン22Aは、弁本体1側の鍔部を径方向外方へ延在し、この延在部にはコイル25Aに電気接続する2個の接続ピン26A、27A(接続ピン27Aは
図2に示す)を外方に向けて軸方向へ突出している。接続ピン26Aは、第1電磁石部6Aのコイル15Aに電気接続していない接続ピン18Aにリード線28Aで電気接続する。接続ピン27Aは、共通のマイナスコモンとして第1電磁石部6Aのコイル15Aに電気接続した接続ピン17Aにリード線29A(
図2に示す)で電気接続する。ヨーク23Aはコイルボビン22Aの外周を覆い、弁本体1側の一部を切欠いてコイルボビン22Aの延在部を径方向外方へ延在可能としている。ヨーク24Aはコイルボビン22A、ヨーク23Aの軸方向外方に隣接して筒状部材10Aに外嵌している。
【0018】
筒状部材10Aは、軸方向外方の端部に蓋部材30Aを固着して開口を閉塞している。蓋部材30Aには外部から手動で押圧する押圧ピン部材31Aを設けている。押圧ピン部材31Aは第2可動鉄心20A、第2ピン部材21A、第1可動鉄心9A、第1ピン部材11Aを介して弁体2を押圧可能に設けている。第1電磁石部6Aと第2電磁石部7Aはコイルボビン12A、22A、円筒状のヨーク13A、23A、円板状のヨーク14A、24A、コイル15A、25A、接続ピン16A、17A、18A、26A、27A、リード線28A、29Aを樹脂モールドで一体成形しコイルブロック32Aを形成している。コイルブロック32Aは筒状部材10Aに外嵌し、蓋部材30Aに螺合したナット33Aで弁本体1との間に挟持されている。
【0019】
34は端子箱で、弁本体1上に載置固定し、弁本体1の両側部に備えた電磁石5A、5Bを図示しない外部電源に電気接続する。端子箱34は一側部に電磁石5Aの接続ピン16A、17A、18Aを挿入する挿入部35Aを有すると共に、一側部と対向する他側部に電磁石5Bの接続ピン16B、17B、18Bを挿入する挿入部35Bを有する。端子箱34は挿入部35Aと内部配線36A、37A、38Aで電気接続するコネクタ39Aを挿入部35Aの上方で一側部に備える。また、端子箱34は挿入部35Bと内部配線36B、37B、38Bで電気接続するコネクタ39Bを挿入部35Bの上方で他側部に備える。コネクタ39A、39Bは図示しない外部電源からの電気配線を着脱自在に装着する。
【0020】
図3に、吸引力K、K1、流体力F、ばね力S、S1、消費電力W、W1と第1電磁石部6A、第2電磁石部7Aの通電、非通電の関係を示す。
第1電磁石部6A、第2電磁石部7Aを同時に通電すると吸引力Kが発生する。吸引力Kは流体力Fとばね4Bのばね力Sとを加算した力より大きく、弁体2を
図1の下半分に示す他方の切換位置に向けて押圧し切換状態となる。切換状態では、消費電力Wが生じる。
【0021】
そして、両電磁石部6A、7Aの両可動鉄心9A、20Aが両固定鉄心8A、19Aに当接する
図3の吸着点Eで、第2電磁石部7Aを非通電にして第1電磁石部6Aを通電し続けると、切換状態を保持する保持状態となる。保持状態では、吸引力K1は、第1電磁石部6Aのみによるもので切換状態の約半分と小さくなり、略一定となる。ばね4Bのばね力S1は最大値となり略一定となる。吸引力K1はばね力S1より大きく保持状態を継続する。流体力Fは弁体2が流路間の切換を完了しているので発生せずゼロになる。保持状態では、第2電磁石部7Aを非通電にするため、消費電力W1は切換状態の約半分になる。
【0022】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図1における弁体2の上半分は、弁体2が一方の切換位置に切換った切換状態を保持する保持状態を示し、電磁石5Bは第1電磁石部6Bを通電し、第2電磁石部7Bを非通電にし、電磁石5Aは第1電磁石部6A、第2電磁石部7Aをともに非通電にし、弁体2は供給流路Pを負荷流路Aに切換連通すると共に負荷流路Bを排出流路R2に切換連通している。
【0023】
この保持状態で、電磁石5Bの第1電磁石部6Bを非通電にすると、弁体2はばね4Aのばね力で
図1の右方向に付勢されて中立位置となり、供給流路Pを遮断すると共に負荷流路Aを排出流路R1に負荷流路Bを排出流路R2にそれぞれ連通する。
【0024】
この中立位置の状態で、電磁石5Aの第1電磁石部6A、第2電磁石部7Aをともに通電すると、弁体2は両電磁石部6A、7Aの両可動鉄心9A、20Aが両固定鉄心8A、19Aに吸引される吸引力で、弁体2に作用する流体力およびばね4Bのばね力に抗して
図1の右方向に押圧され、
図1の下半分に示す他方の切換位置に切換って切換状態となり、供給流路Pを負荷流路Bに切換連通すると共に負荷流路Aを排出流路R1に切換連通する。
【0025】
この切換状態で、電磁石5Aの第2電磁石部7Aを非通電にして第1電磁石部6Aの通電を維持すると、弁体2は第1可動鉄心9Aが第1固定鉄心8Aに吸引される吸引力で、ばね4Bのばね力に抗して切換状態を保持する保持状態となり、
図1の下半分に示す他方の切換位置を保持する。
【0026】
この保持状態で、電磁石5Aの第1電磁石6Aを非通電にすると、弁体2はばね4Bのばね力で
図1の左方向に付勢されて中立位置になる。
【0027】
かかる作動で、電磁石5A、5Bは弁本体1に隣接する第1電磁石部6A、6Bの軸方向外方へ第2電磁石部7A、7Bを連設して構成し、第1電磁石部6A、6Bは通電により発生する吸引力で第1可動鉄心9A、9Bを吸引する第1固定鉄心8A、8Bを弁本体1の側面に固定し、第1可動鉄心9A、9Bを第1固定鉄心8A、8Bと対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材10A、10Bへ嵌装し、第1可動鉄心9A、9Bと弁体2との間を第1固定鉄心8A、8Bを貫通する第1ピン部材11A、11Bを介して係合し、第2電磁石部7A、7Bは通電により発生する吸引力で第2可動鉄心20A、20Bを吸引する第2固定鉄心19、19Bを第1可動鉄心9A、9Bの軸方向外方で筒状部材10A、10Bに固定し、第2可動鉄心20A、20Bを第2固定鉄心19A、19Bと対向して軸方向へ摺動自在に筒状部材10A、10Bへ嵌装し、第2可動鉄心20A、20Bと第1可動鉄心9A、9Bとの間を第2固定鉄心19A、19Bを貫通する第2ピン部材21A、21Bを介して係合し、第1電磁石部6A、6Bと第2電磁石部7A、7Bとは大きな吸引力Kで弁体2により複数の流路P、A、B、R1、R2間を切換連通する切換状態と、切換状態より小さな吸引力K1で切換状態を保持する保持状態とを有した。このため、保持状態では、切換状態より小さな吸引力K1で通電しているから、消費電力W1の増加を抑制することができる。そして、切換状態では、大きな吸引力Kで通電しているから、大きな流体力Fに打勝って弁体2と流路P、A、B、R1、R2との間の開口量を大きくでき、流量を増大することができる。
【0028】
また、第1電磁石部6A、6Bと第2電磁石部7A、7Bとは、切換状態では両方の電磁石部6A、6Bおよび7A、7Bを通電すると共に、保持状態では第1電磁石部6A、6Bを通電した。このため、保持状態では、いずれか一つの電磁石部として第1電磁石部6A、6Bを通電しているから、消費電力W1の増加を抑制することができる。そして、切換状態では、両方の電磁石部6A、6Bおよび7A、7Bを通電しているから、大きな吸引力Kを得ることができ、大きな流体力Fに打勝って弁体2と流路P、A、B、R1、R2との間の開口量を大きくでき、流量を増大することができる。
【0029】
また、第1電磁石部6A、6Bと第2電磁石部7A、7Bとは、第1可動鉄心9A、9Bを第1固定鉄心8A、8Bに吸引するストローク量と、第2可動鉄心20A、20Bを第2固定鉄心19A、19Bに吸引するストローク量とを略同一にした。このため、ストロークの全域にわたり大きな吸引力を得ることができる。
【0030】
また、保持状態で第1電磁石部6A、6Bを通電した。このため、第2電磁石部7A、7Bは保持状態で非通電となるから、第2可動鉄心20A、20Bが第2ピン部材21A、21Bを介する第1可動鉄心9A、9Bとの係合を解除しても問題がなく、用途に応じて適宜ストローク量を短くすることができる。
【0031】
また、第1電磁石部6A、6Bと第2電磁石部7A、7Bとは、略同一構成とした。このため、略同一構成の電磁石部を2個用意すればよく、異なる構成の電磁石部を格別に用意するものに比し、管理が煩雑になることを軽減できる。
【0032】
図4は本発明の他実施形態を示す。
第1電磁石部6A、6Bと第2電磁石部7A、7Bとは異なる構成とし、第1電磁石部の吸引力K1は第2電磁石部7A、7Bの吸引力Kの約半分を得る仕様にし、これに伴い第1電磁石部6A、6Bの消費電力W1は第2電磁石部7A、7Bの消費電力Wの約半分となる。ばね4Bは一実施形態と同様で、切換状態ではばね力Sとなり、保持状態でばね力S1となり最大値で略一定となる。
切換状態では、第2電磁石部7A、7Bを通電して第1電磁石部6A、6Bを非通電にする。第2電磁石部7A、7Bの大きな吸引力Kは流体力Fとばね4Bのばね力Sとを加算した力より大きく、複数の流路P、A、B、R1、R2間を切換連通する。
保持状態では、第2電磁石部7A、7Bを非通電にして第1電磁石部6A、6Bを通電する。第1電磁石部6A、6Bの吸引力K1は切換状態の約半分で、この小さな吸引力K1で保持状態を継続する。
【0033】
作動は、切換状態では、第2電磁石部7A、7Bを通電して複数の流路P、A、B、R1、R2間を切換連通し、保持状態では第1電磁石部6A、6Bを通電して切換状態を保持する。
かかる作動で、一実施形態と略同様に、保持状態では、切換状態より小さな吸引力K1で通電しているから、消費電力W1の増加を抑制することができる。そして、切換状態では、大きな吸引力Kで通電しているから、大きな流体力Fに打勝って弁体2と流路P、A、B、R1、R2との間の開口量を大きくでき、流量を増大することができる。
【0034】
また、第1電磁石部6A、6Bと第2電磁石部7A、7Bとは、切換状態では大きな吸引力Kの第2電磁石部7A、7Bを通電すると共に、保持状態では切換状態より小さな吸引力K1の第1電磁石部6A、6Bを通電した。このため、保持状態では、切換状態より小さな吸引力K1の第1電磁石部6A、6Bを通電しているから、消費電力W1の増加を抑制することができる。そして、切換状態では、大きな吸引力Kの第2電磁石部7A、7Bを通電しているから、大きな流体力Fに打勝って弁体2と流路P、A、B、R1、R2との間の開口量を大きくでき、流量を増大することができる。
【0035】
また、一実施形態と略同様に、保持状態で第1電磁石部6A、6Bを通電したため、第2電磁石部7A、7Bは非通電となり、第2可動鉄心20A、20Bが第2ピン部材21A、21Bを介する第1可動鉄心9A、9Bとの係合を解除しても問題がなく、用途に応じて適宜ストローク量を短くすることができる。
【0036】
なお、前述の各実施形態では、弁本体1の両側部に電磁石5A、5Bを備えた3位置の電磁切換弁としたが、いずれか一側部に電磁石5Aもしくは5Bを備えた2位置の電磁切換弁としてもよい。また、第1電磁石部6A、6Bと第2電磁石部7A、7Bは接続ピン17A、17Bを共通のマイナスコモンとしたが、共通のプラスコモンとしてもよい。また、電磁石5Aのマイナスコモンと電磁石5Bのマイナスコモンとを共通にして一つのマイナスコモンとしてもよい。また、電磁石5A、5Bを図示しない外部電源に電気接続する端子箱34を弁本体1上に載置固定したが、各電磁石5A、5B上にそれぞれDIN端子箱を備えたり、各電磁石5A、5Bからリード線で外部電源に電気接続してもよいことは勿論である。