特許第6866105号(P6866105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6866105熱処理用熱力学システム、および、そのシステムを備え、液状製品および半液状製品を製造するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866105
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】熱処理用熱力学システム、および、そのシステムを備え、液状製品および半液状製品を製造するための装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20210419BHJP
   A23G 9/08 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   F25B1/00 331E
   F25B1/00 331Z
   F25B1/00 101E
   A23G9/08
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-205415(P2016-205415)
(22)【出願日】2016年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-110900(P2017-110900A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2019年9月3日
(31)【優先権主張番号】102015000063040
(32)【優先日】2015年10月19日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519231153
【氏名又は名称】アリ グループ エス.アール.エル−カルピジャーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア コッキ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ラッザリーニ
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−275451(JP,A)
【文献】 特開平04−218341(JP,A)
【文献】 特開2005−121246(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/105270(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 40/00
A23G 9/04 〜 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状様食品および/または半液状様食品を収容する容器(9)を冷却または加熱するための熱力学システム(1)であって、熱交換流体を採用する回路を備え、
−入口(3A)と出口(3B)とを備える圧縮器(3)と、
−前記圧縮器(3)の前記出口に配置される凝縮器(4)と、
−前記凝縮器(4)の下流側に配置されて前記熱交換流体を膨張させる少なくとも1つの膨張要素(6)と、
−前記容器(9)と関連付けることができ、かつ、前記少なくとも1つの膨張要素(6)の下流側に配置される蒸発器(5)と、
−送り出しダクト(7A)と戻しダクト(7B)とを有する液体吸入式の熱交換器(7)と、
を備え、
前記送り出しダクト(7A)は、第1の側(7A’)で、前記凝縮器(4)の出口に接続されて前記熱交換流体を受け入れ、他の側(7A’’)で、前記少なくとも1つの膨張要素(6)に接続されて前記熱交換流体を前記膨張要素(6)に放出することができ、
前記戻しダクト(7B)は、第1の側(7B’)で、前記圧縮器(3)の前記入口に接続され、
前記システム(1)は、
前記送り出しダクト(7A)の前記第2の側(7A’’)に接続されて前記熱交換流体を受け入れることができ、かつ、前記第1の側(7B’)の反対側にある前記戻しダクト(7B)の第2の側(7B’’)に接続されて前記熱交換流体を前記戻しダクト(7B)に放出することができる再循環ダクト(18)を備え、かつ、
前記再循環ダクト(18)に配置されて前記再循環ダクト(18)内を循環する前記熱交換流体を膨張させるさらなる膨張要素(19)を備え、
前記蒸発器(5)の出口(5B)が、前記さらなる膨張要素(19)の下流側において、前記再循環ダクト(18)に接続されることを特徴とする、熱力学システム。
【請求項2】
駆動制御ユニット(15)と、
前記再循環ダクト(18)に配置され、前記駆動制御ユニット(15)に接続されて前記再循環ダクト(18)内を循環する熱交換流体の流れを調整するように調節される弁(12)と、
を備える、請求項1に記載の熱力学システム(1)。
【請求項3】
駆動制御ユニット(15)と、
前記再循環ダクト(18)に配置され、前記駆動制御ユニット(15)に接続されて前記再循環ダクト(18)を開くまたは閉じるようにオンまたはオフにされる弁(12)と、
を備える、請求項1または2に記載の熱力学システム(1)。
【請求項4】
駆動制御ユニット(15)と、
前記少なくとも1つの膨張要素(6)および前記蒸発器(5)において熱交換流体の流れを調整するように、前記少なくとも1つの膨張要素(6)および前記蒸発器(5)により影響を受ける前記回路の一部において熱交換流体の流れを調整するために配置される弁(11)と、
を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の熱力学システム(1)。
【請求項5】
前記回路は、前記熱交換流体の一部を保存するように構成される保存槽(16)を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の熱力学システム(1)。
【請求項6】
前記蒸発器(5)の出口(5B)が、前記第1の側(7B’)の反対側の、前記戻しダクト(7B)の第2の側(7B’’)に接続されて、熱交換流体を前記戻しダクト(7B)に放出する、請求項1から5のいずれか1項に記載の熱力学システム(1)。
【請求項7】
前記回路は、前記容器(9)を冷却または加熱するための可逆性の冷却サイクルの実施を可能にする、請求項1からのいずれか1項に記載の熱力学システム(1)。
【請求項8】
液状食品および/または半液状食品を製造するための装置(100)であって、
−加工容器(9)と、前記容器(9)内部に回転可能に搭載される撹拌機(10)と、を備え、液状食品様の製品および/または半液状食品様の製品を製造するための加工ユニット(8)と、
−前記加工ユニット(8)と関連付けられる請求項1からのいずれか1項に記載の熱力学システム(1)と、
を組み合わせて備えることを特徴とし、
前記蒸発器(5)は、前記加工容器(9)と関連付けられて、前記加工容器(9)に収容された前記製品と熱交換する、装置。
【請求項9】
前記撹拌機(10)に動作可能に結合されて前記撹拌機(10)を回転駆動するブラシレスモータ(14)
を備える、請求項に記載の装置(100)。
【請求項10】
少なくとも前記加工ユニット(8)を洗浄するための装置(13)
を備える、請求項またはに記載の装置(100)。
【請求項11】
前記装置は、アイスクリームを製造するための装置であり、
前記加工ユニット(8)は、混合冷却ユニットである、
請求項から10のいずれか1項に記載の装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理用熱力学システム、および、そのシステムを備え、液状製品および半液状製品を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アイスクリーム、ケーキおよびペーストリー充填物などの液状製品および半液状製品を製造するための装置の部門において、所定のレシピを製造するために、(加熱および/または冷却により)製品を熱処理することは普通である。
【0003】
従来技術により、食品の品質を改良するために、容器において製品が熱処理される熱力学式の複数の熱システムが周知である。
【0004】
大半の冷却するための熱力学システムは、逆カルノーサイクル(「飽和蒸気圧縮」)に基づく。つまり、これらのシステムは、熱力学の回路によって容器を冷却させる。この回路は、熱交換流体で動作し、かつ、一対の熱交換器(蒸発器および凝縮器)と、圧縮器と層流要素とを備え、熱交換流体がそれらすべての内部を流れる。
【0005】
図2に、吸入ライン熱交換器を備え、逆カルノーサイクルに基づく周知の種類の熱処理システムを示す。
【0006】
全般的に、液体吸入熱交換器を有する冷凍サイクルは特に効率的である。
【0007】
さらに、液体吸入熱交換器を有する熱力学システムは、膨張要素の上流側で液体に(システムの騒音および急速な疲労を引き起こす)蒸気の気泡(または「フラッシュガス」)が形成されることを防止するために、凝縮器から流出する液冷媒の過冷却を可能にする。
【0008】
また、液体吸入熱交換器を有する熱力学システムは、圧縮器の上流側で、吸入ライン内部でのいかなる残留液体をも過熱(完全に蒸発させる)可能にする。そうしなければ、液体が圧縮器に侵入することがあれば、圧縮器の構成要素の急速な疲労につながる。
【0009】
液体吸入熱交換器を有する熱力学システムの長所は、上記から明白である。かくして、この種のシステムは、信頼性が高度であり動作中に低騒音でなければならない、液状または半液状製品を製造するための装置に特に適切である。
【0010】
非常に少量の原料を熱処理するように構成され、熱交換器を介して交換される熱量が特に少量である熱力学システム(たとえば、一人分提供用装置)を有する必要性が、ますます装置の製造者に感じられている。
【0011】
特に、アイスクリーム部門において、出願人により行われた実験研究により、交換される必要がある熱量が非常に少量である場合、現存する熱力学システムは、効率的におよび安定して動作できないことが示された。
【0012】
また、一人分提供用アイスクリーム製造機において、アイスクリーム生成時間が特に短い(数分程度)ことを強調しておく。
【0013】
アイスクリームの加工には、最終製品の品質が必然的により劣ることなく、所定の理論上の混合物冷却特性に応じて動作する特に安定性のある熱システムを必要とする。
【0014】
このような状況において、最適な品質のアイスクリームを製造するためには、加工される基本混合物の温度を非常に精密に制御することが不可欠である。
【0015】
それゆえに、熱の要求値が非常に少量でも、すなわち、基本混合物の容積が少量でも、動作に特に安定性があり、かつ、制御することが簡単である冷凍システムを有する必要性が、装置の製造者に特に強く感じられている。
【発明の概要】
【0016】
そのため、本発明の目的は、液状製品および/または半液状製品を製造するための装置であって、極めて少量でも、高温の液状製品および液状のアイスクリーム製品および/または半液状のアイスクリーム製品の双方の製造を可能にする装置を提供することにより、上記の必要性を満たすことにある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、液状製品および/または半液状製品を製造するための装置であって、高温の液状製品および液状のアイスクリーム製品および/または半液状のアイスクリーム製品の双方の製造を可能にし、かつ、特に簡単に使用できる装置を提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、液状製品および/または半液状製品を製造するための装置であって、高温の液状製品および液状のアイスクリーム製品および/または半液状のアイスクリーム製品の双方の製造を可能にし、かつ、特に簡単に洗浄および保守することができる装置を提供することにある。
【0019】
本発明によれば、システム、および、当該システムを備え、液状製品または半液状製品を製造するための装置であって、添付の1つまたは複数の請求項に記載の技術的特徴を備えるシステムおよび装置によって上記目的が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
上記目的に関連する本発明の技術的特徴は、添付の特許請求の範囲に明確に記載されており、その利点は、本発明の例示の実施形態を示す添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかである。また、例示の実施形態は、好ましいものであり本発明を限定するものではない。
【0021】
図1図3に示す、本発明の熱力学システムを備え、液状製品および/または半液状製品を製造するための装置を示す概略図である。
図2】周知の種類の液体吸入熱交換器を有する熱力学システムの概略図を示す。
図3】本発明の熱力学システムの第1実施形態を示す。
図4】本発明の熱力学システムの第2実施形態を示す。
図5図3に示す、本発明の熱力学システムを備え、液状製品および/または半液状製品を製造するための装置の異なる実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照すれば、符号100は、液状製品および/または半液状製品を製造するための装置を示し、符号1は、装置100と関連付けることができる熱力学システムを示し、双方とも本発明の対象を構成する。
【0023】
好ましくは、装置100は、ジェラート製造機、ソフトクリーム製造機または氷菓(「スラッシュ」)を製造するための装置である。
【0024】
本発明によれば、食品を収容する容器9を冷却および/または加熱するための熱力学システム1が画定される。
【0025】
好ましくは、容器9は、(水平方向のまたは鉛直方向の軸を有する)円筒形状になっている。
【0026】
好ましくは、容器9は、直径が50から100mmの間である。
【0027】
なおより好ましくは、容器9は、(軸方向の)長さが80から250mmの間である。
【0028】
好ましくは、容器9は、容積が157,000mmから1,962,500mmの間である。
【0029】
なお、好ましくは、装置100は、単一の一人分の製品を処理するように構成される。
【0030】
好ましくは、装置100は、ジェラート製造機である。
【0031】
好ましくは、容器9は、(単一の一人分の製品を形成する)50から300gの間の分量の混合物を収容するように構成される。
【0032】
熱力学システム1は、内部を流れる熱交換流体を有する回路を備え、
−入口3Aと出口3Bとを備える圧縮器3と、
−圧縮器3の出口に配置される凝縮器4と、
−凝縮器4の下流側に配置されて熱交換流体を膨張させる(好ましくはキャピラリー状の)少なくとも1つの膨張要素6と、
−容器9と関連付けられ、かつ、少なくとも1つの膨張要素6の下流側に配置される蒸発器5と、
−(「吸入ライン熱交換器」として周知の)液体吸入熱交換器7と、
を備える。
【0033】
液体吸入熱交換器7は、熱交換流体の送り出しダクト7Aと戻しダクト7Bとを有する。送り出しダクト7Aは、第1の側7A’で(すなわち、第1の端部において)、凝縮器4の出口に接続されて凝縮器4から熱交換流体を受け入れ、他の側7A’’で(すなわち、第2の端部において)、少なくとも1つの膨張要素6に接続されて過冷却された熱交換流体を膨張要素6に放出する。戻しダクト7Bは、第1の側7B’で(すなわち、第1の端部7B’において)、圧縮器3の入口3Aに接続される。
【0034】
また、本発明によれば、システム1は、(その第1の端部において)送り出しダクト7Aの第2の側7A’’(すなわち、第2の端部)に接続されて(過冷却された)熱交換流体を受け入れることができ、かつ、戻しダクト7Bの第2の側7B’’(第2の側7B’’は、第1の側7B’の反対側にある)に接続されて熱交換流体を(入口において)戻しダクト7Bに放出することができる再循環ダクト18を備える。
【0035】
また、システム1は、再循環ダクト18に配置されて再循環ダクト18内を循環する熱交換流体を膨張させる(好ましくはキャピラリー状の)さらなる膨張要素19を備える。
【0036】
なお、「液体吸入熱交換器」7という記載は、「吸入ライン熱交換器」として周知の種類の熱交換器を意味するために用いられる。
【0037】
熱交換器7は、送り出しダクト7Aおよび戻しダクト7Bの間の熱交換を可能にするように構成される。
【0038】
より詳しくは、送り出しダクト7Aは、(過冷却された)液体の状態で内部を流れる熱交換流体を有する一方で、戻しダクト7Bは、(過熱された)蒸気の状態で内部を流れる熱交換流体を有する。
【0039】
なお、液体吸入熱交換器7では、送り出しダクト7A内を循環する熱交換流体を過冷却し、かつ、戻しダクト7B内を循環する熱交換流体を過熱するように、熱が、送り出しダクト7A内を循環する熱交換流体から戻しダクト7B内を循環する熱交換流体に実質的に伝達される。
【0040】
かくして、液体吸入熱交換器7内部では、送り出しダクト7A内を循環する流体が、戻しダクト7B内を循環する熱交換流体に熱の状態で熱エネルギーを伝達する。
【0041】
別の態様によれば、システム1は、(電子式の)駆動制御ユニット15を備える。
【0042】
別の態様によれば、システム1は、再循環ダクト18に配置され、駆動制御ユニット15に接続されて再循環ダクト18内を循環する熱交換流体の流れを調整するように調節される弁12を備える。
【0043】
より厳密には、弁12は、オンまたはオフにされて、再循環ダクト18を(部分的にまたは完全に)開くまたは閉じることができるように、駆動制御ユニット15に接続される。
【0044】
好ましくは、弁12は、オンまたはオフにされて、再循環ダクト18を完全に開くまたは閉じることができるように、駆動制御ユニット15に接続される。
【0045】
別の態様によれば、システム1は、少なくとも1つの膨張要素6および蒸発器5により影響を受ける分岐において熱交換流体の流れを調整するように、少なくとも1つの膨張要素6および蒸発器5により影響を受ける回路の一部において熱交換流体の流れを調整するために配置される弁11を備える。
【0046】
別の態様によれば、回路は、(回路自体の内部に存在する)熱交換流体の一部を保存するように構成される保存槽16を備える。
【0047】
好ましくは、保存槽16は、凝縮器4および熱交換器7の間に配置される。
【0048】
別の態様(図4に示す実施形態)によれば、蒸発器5の出口5Bが、さらなる膨張要素19の下流側において、再循環回路18に接続される。
【0049】
この態様によれば、蒸発器5の出口5Bが、第1の側7B’の反対側の、戻しダクト7Bの第2の側7B’’に接続されて、熱交換流体を(入口において)戻しダクト7Bに放出する。
【0050】
図3に示す)別の態様によれば、蒸発器5の出口5Bが、圧縮器3の入口3Aに接続される。
【0051】
この態様によれば、戻しダクト7Bの第1の側7B’は、蒸発器5の出口5Bに接続される。
【0052】
別の態様によれば、回路は、容器9を冷却または加熱するための可逆性の冷却サイクルの実施を可能にする。
【0053】
好ましくは、熱交換流体は、R404−Aである(しかし、異なる種類の熱交換流体を用いる可能性を排除するものではない)。
【0054】
また、本発明によれば、液状食品および/または半液状食品を製造するための装置100であって、
−加工容器9と、容器9内部に搭載されて容器9内部の基本混合物を撹拌混合する撹拌機10と、を備え、液状および/または半液状製品(好ましくは低温の製品)を製造するための加工ユニット8と、
−加工ユニット8と関連付けられる上記熱処理システム1と、
を組み合わせて備えることを特徴とする装置が画定される。
【0055】
蒸発器5は、容器9と関連付けられて、熱の状態である熱エネルギーを製品すなわち加工容器9内部の基本混合物と交換する。
【0056】
好ましくは、ユニット8は、アイスクリーム製品を加工するためのユニットである。
【0057】
なおより好ましくは、ユニット8は、とりわけアイスクリーム様の製品(従来のジェラート、ソフトクリームなど)を加工するように設計される混合冷却ユニット8である。
【0058】
なおより好ましくは、ユニット8は、単一の一人分の製品の加工を可能にするように構成される。
【0059】
そのため、好ましくは、容器9は、500g未満の原料を収容するように構成される。
【0060】
なお、好ましくは、蒸発器5は、容器9の壁の内部または外部にコイル状に巻かれている。
【0061】
好ましくは、装置1は、撹拌機10に動作可能に結合されて撹拌機10を回転駆動するブラシレスモータ14を備える。
【0062】
別の態様によれば、装置は、加工ユニット8を洗浄するための(概略的に示す)装置13を備える。
【0063】
好ましくは、洗浄装置13は、洗浄水(または殺菌流体、洗剤流体など)用容器を備える。
【0064】
代替的には、洗浄装置13は、それを水道の本管に接続するための手段を備える。
【0065】
好ましくは、洗浄装置13は、(飽和)蒸気を生成するように構成される水加熱装置を備える。
【0066】
また、好ましくは、洗浄装置13は、水および/または蒸気を装置1に(特に加工ユニット8に、より詳しくは容器9に)搬送することが可能な(ポンプおよび/または弁を備える)回路を備える。
【0067】
装置100の洗浄は、
−(詳しくは、ポンプを洗浄するために)ポンプが動作中の状態で、湯で洗い流す第1のステップと、
−ポンプが停止された状態で洗い流す第2のステップと、
−蒸気で殺菌する第3のステップと、
を実質的に備える。
【0068】
これらのステップは、必要に応じて、上記の順番でまたは他の順番で反復することができる。
【0069】
洗浄装置13は、「定置洗浄」処置、すなわち、加工ユニット8および/または他の構成要素の洗浄の実行を、これらを解体することなく、可能にする。
【0070】
システムの動作に関して、以下について注意されたい。
【0071】
なお、装置100は、極めて短い時間に少量の製品(単一の一人分)を熱処理するように構成されるので、有利なことに、加工が始動した後、非常に迅速に製品を処理するための温度に到達するようにするシステム1を備える。
【0072】
弁11および弁12は、それぞれ、加工工程および/または加工状態に応じて閉じるまたは開くことができる。
【0073】
一実施形態においては、加工が始動する前に、弁11が閉じられ、弁12が開く。このように、熱力学システム1は、動作中の状態に維持されてもよく、かつ、熱交換流体は、再循環回路18を介してシステム内を循環する(戻し分岐7Bは熱装置の「低温源」を構成する)。
【0074】
基本混合物が容器9に入れられると、弁11は、流体が蒸発器5に流入することができるように、開かれる。
【0075】
なお、蒸発器5に流入する流体は、すぐに、製品を加工するのに適正な熱力学的状態になり、かつ、特に、製品を加工するために必要とされる最適な温度になる。
【0076】
そのため、加工の最も早い時点においてさえ、容器9内部の基本混合物は、最適な加工温度であることは明白である。
【0077】
これは、基本混合物は、加工の最も早い時点で必要とされる温度特性におかれることを意味し、優れた品質の最終製品が製造されることを可能にする。
【0078】
加工中、弁12は、(全体としてまたは部分的に)開いたまたは閉じた状態に維持されてもよい。
【0079】
弁12および/または弁11を開くまたは閉じることにより、本発明のシステム1は、熱交換器5に対して非常に精密におよび正確に入口温度の調整を可能にする。このように、(加工される基本混合物の温度に影響を及ぼす)蒸発器5内の熱交換流体の温度特性を制御することは、非常に迅速かつ簡単である。
【0080】
なお、弁12が開いた状態に維持される場合、送り出しダクト7Aから流出する流体の一部が層流弁12を通過して戻しダクト7Bに入る。
【0081】
上記のように、本発明の熱力学システム1は、少量の製品を処理するのに特に適切である。
【0082】
特に、有利なことに、熱力学システム1は、
−蒸発器5への一定の割合および連続的な供給と、
−膨張要素6の上流側での熱交換流体の過冷却の調整と、
−圧縮器3の上流側での熱交換流体の過熱の調整と、
を可能にする。
【0083】
なお、また、本発明のシステム1の性能は、効率の観点から特に高度である。
【0084】
そのため、熱力学システム1を備える装置100は、少量を加工するのに特に十分に適しており、特に、各分量は、(500g未満である)単一の一人分を構成する。
【0085】
なお、実際に、有利なことに、システムは、容器9に供給/容器9を冷却することが必要であるとき、蒸発器5に流入する熱交換流体が、性能を最大限に活用するための、および、中でも、サイクル時間を最小限にするための最適な熱力学的状態にあるように、熱交換器7内を循環する熱交換流体の温度調整を可能にする。
【0086】
有利なことに、
システム1は、たとえば、
a.混合冷却サイクル(持続時間40−80秒)、
b.洗浄サイクル(持続時間50秒)、
c.混合冷却サイクル(持続時間40−80秒)、
d.洗浄サイクル(持続時間50秒)、
などの非常に短い、交互の/頻繁なサイクルを実行しなければならない一人分提供用装置100に用いることができる。
【0087】
なお、ダクト18内を循環する流体は、蒸発器5に流入する熱交換流体の温度を特に精密におよび信頼性があるように調整可能にするシステム1の二次的な流体として機能する。
【0088】
なお、特に、図5に概略的に示す装置は、軸が鉛直方向のアイスクリーム製造機である。
図1
図2
図3
図4
図5