(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の脱酸素装置の場合、循環配管の出口から被処理水中に放出された窒素ガスの気泡は、直ぐに液面に上昇して空中に放出される。このため、窒素ガスの気泡が被処理水に接液するのは、実質的には、被処理水が循環配管を通過する間だけである。このため、接液時間を延長しようとした場合、循環配管を延長する必要があるため、脱酸素装置が大型化してしまう。したがって、基板処理を行う基板処理装置に対して特許文の脱酸素装置を適用した場合、接液時間を延長使用とすると、基板処理装置が大型化するという問題があった。
【0007】
本発明は、基板処理装置の大型化を抑制しつつ、処理液における除去対象気体の溶存濃度を低下させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1態様は
、基板に処理液を供給して前記基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された前記基板に前記処理液を吐出する吐出ノズルと、内部に前記処理液を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に接続され、前記吐出ノズルに供給される前記処理液が通過する供給通路を形成する供給配管部と、前記貯留槽に接続されており、前記供給配管部を通過した前記処理液を前記貯留槽へ返送する返送通路を形成する返送配管部と、前記処理液中に溶存する除去対象気体とは異なる添加ガスを前記返送配管部の前記返送通路内へ供給するガス供給部と、を備え、前記ガス供給部は、前記返送配管部の前記返送通路内において、前記添加ガスを噴出する噴出口を形成しており、前記噴出口は、前記返送通路内において、前記貯留槽へ向かう方向とは反対側に向けて開口し、前記噴出口から吐出されるすべての添加ガスは、前記貯留槽へ向かう方向とは反対側に噴出される。
【0009】
第2態様は、第1態
様の基板処理装置であって、前記返送配管部が前記供給配管部に連結されていることによって、前記供給配管部および前記返送配管部が、前記貯留槽から出た前記処理液を前記貯留槽に戻す循環配管を形成する。
【0010】
第
3態様は、
基板に処理液を供給して前記基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された前記基板に前記処理液を吐出する吐出ノズルと、内部に前記処理液を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に接続され、前記吐出ノズルに供給される前記処理液が通過する供給通路を形成する供給配管部と、前記貯留槽に接続されており、前記供給配管部を通過した前記処理液を前記貯留槽へ返送する返送通路を形成する返送配管部と、前記処理液中に溶存する除去対象気体とは異なる添加ガスを前記返送配管部の前記返送通路内へ供給するガス供給部とを備え、前記貯留槽内において、前記返送配管部の放出口が、鉛直方向に交差する方向に向けて開口している。前記ガス供給部は、前記返送配管部の前記返送通路内において、前記添加ガスを噴出する噴出口を形成しており、前記噴出口は、前記返送通路内において、前記貯留槽へ向かう方向とは反対側に向けて開口している。
【0011】
第
4態様は、第1態様から第
3態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記貯留槽内において、前記供給配管部の吸引口が、前記返送配管部の放出口よりも低い位置に配置されている。
【0013】
第
5態様は、第1態様から第
4態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記貯留槽内において、前記供給配管部の吸引口と、前記返送配管部の放出口との間に配設され、上端が前記吸引口または前記放出口のうち少なくとも一方よりも高い位置に配設されている仕切部材、をさらに備える。
【0014】
第
6態様は、第1態様から第
5態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記返送配管部における、前記ガス供給部が接続された部分から前記貯留槽までの間に配設され、前記返送通路内の前記処理液を撹拌するインラインミキサ、をさらに備える。
【0015】
第
7態様は、第1態様から第
6態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記貯留槽の前記処理液中に前記添加ガスを供給する貯留槽用ガス供給部、をさらに備え、前記貯留槽用ガス供給部は、前記貯留槽に接続され、前記貯留槽に貯留された前記処理液中に前記添加ガスを噴出するガス噴出部を備える。
【0016】
第
8態様は、第1態様から第
7態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記除去対象気体は酸素であり、かつ、前記添加ガスが前記基板に対して不活性なガスである。
【0017】
第
9態様は、第1態様から第
8態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記処理液を送液するポンプ、前記処理液の温度を調整する温度調整機構、前記処理液を濾過するフィルタ、および、前記処理液の流量を計量する流量計のうち、少なくともいずれか1つが記供給配管部に介挿されている。
【0018】
第
10態様は、第1態様から第
9態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記返送配管部を通過する前記処理液の単位時間あたりの流量を制御する流量制御部をさらに備える。
【0019】
第
11態様は、第1態様から第
10態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記ガス供給部が供給する前記添加ガスの単位時間あたりの供給量を制御するガス供給量制御部をさらに備える。
【0020】
第12態様は、基板処理装置を用いて基板を処理する基板処理方法であって、(a)貯留槽に貯留された処理液を、前記基板に前記処理液を吐出する吐出ノズルに接続された供給配管部に吸引する工程と、(b)前記供給配管部を通過した後の前記処理液を、返送配管部を通じて前記貯留槽へ返送する工程と、(c)前記返送配管部を通過する前記処理液中に、前記処理液中に溶存する除去対象気体とは異なる添加ガスを供給する工程と、を含み、前記工程(c)は、前記返送配管部の返送通路内において、前記貯留槽へ向かう方向とは反対側に向けて開口する噴出口から前記添加ガスを噴出する工程を含み、前記噴出口から吐出されるすべての添加ガスは、前記貯留槽へ向かう方向とは反対側に噴出される。
第
13態様は、
第12態様の基板処理方法であって、(d)前記返送配管部が前記供給配管部に連結されており、前記貯留槽から出た前記処理液を前記貯留槽に戻すことにより、前記処理液を循環させる工程、をさらに含む。
【発明の効果】
【0021】
第1態様から第
11態様の基板処理装置によると、既存の返送配管部を通じて貯留槽に返送される処理液に対して、添加ガスを供給することによって、処理槽に貯留された処理液中の除去対象気体の溶存濃度を低下させることができる。また、返送配管部の長さを利用することによって、接液時間を延長できる。したがって、基板処理装置の大型化を抑制しつつ、除去対象気体の溶存濃度を効果的に低下させることができる。また、返送配管部に添加ガスを供給するため、添加ガスの気泡が供給配管部に混入することも低減できる。第1態様の基板処理装置によると、処理液の流れ方向とは反対側の方向に添加ガスを噴出させることができるため、添加ガスを処理液中に効率的に拡散できるとともに、接液時間を延長できる
。
【0022】
第
2態様の基板処理装置によると、循環する処理液中に添加ガスを供給できるため、処理液中における添加ガスとは異なる気体成分の溶存濃度を効率的に低下させることができる。
【0023】
第3態様の基板処理装置によると、
返送配管部の放出口の向きを鉛直方向下向きとは異なる方向となるため、添加ガスの気泡の移動方向を制御しやすくなる。これによって、供給配管部への気泡の混入を抑制することが容易となる。また、返送配管部の放出口の向きを鉛直方向上向きとは異なる方向とすることによって、気泡が浮力により直ちに上昇することを抑制できるため、気泡の接液時間を延長できる。また、処理液の流れ方向とは反対側の方向に添加ガスを噴出させることができるため、添加ガスを処理液中に効率的に拡散できるとともに、接液時間を延長できる。
【0024】
第
4態様の基板処理装置によると、返送配管部の放出口から処理槽内に流入する処理液中の添加ガスの気泡は、浮力によって上昇する。このため、供給配管部の吸引口を返送配管部の放出口よりも低い位置に配設することによって、処理槽内に流入する添加ガスの気泡が供給配管部に混入することを抑制できる。
【0026】
第
5態様の基板処理装置によると、仕切部材を設けることによって、返送配管部の放出口から処理槽内に流入する添加ガスを含む気泡が、供給配管部の吸引口に侵入することを抑制できる。
【0027】
第
6態様の基板処理装置によると、インラインミキサで処理液を撹拌することによって、除去対象気体の溶存濃度を効率的に低下させることができる。
【0028】
第
7態様の基板処理装置によると、貯留槽の処理液に直接添加ガスを供給することによって、除去対象気体の溶存濃度を効率よく低下させることができる。
【0029】
第
8態様の基板処理装置によると、処理液中に不活性ガスを供給することによって、処理液中に溶存する酸素の濃度を低下させることができる。
【0030】
第
9態様の基板処理装置によると、添加ガスの気泡が処理液中に存在する場合、循環ポンプの送液性能、温度調整機構の温度調整機能、フィルタの濾過性能、または、流量計による流量測定精度が低下するおそれがある。返送配管部に不活性ガスを供給することによって、気泡が供給配管部に進入することを抑制できるため、これらを供給配管部に設けることで良好に機能させることができる。
【0031】
第
10態様の基板処理装置によると、返送配管部における処理液の流量を低下させることによって、処理液に対する添加ガスの接液時間を延長できる。これによって、処理液中の除去対象気体の溶存濃度を効果的に低下させることができる。
【0032】
第
11態様の基板処理装置によると、添加ガスの単位時間あたりの供給量を増大させることによって、処理液中にて添加ガスの溶け込みを促進できる。したがって、処理液中の除去対象気体の溶存濃度を効果的に低下させることができる。
【0033】
第12態様および第13態様の基板処理方法によると、既存の返送配管部を通じて貯留槽に返送される処理液に対して、添加ガスを供給することによって、処理槽に貯留された処理液中の除去対象気体の溶存濃度を低下させることができる。また、返送配管部の長さを利用することによって、接液時間を延長できる。したがって、基板処理装置の大型化を抑制しつつ、除去対象気体の溶存濃度を効果的に低下させることができる。また、返送配管部に添加ガスを供給するため、添加ガスの気泡が供給配管部に混入することも低減できる。第
12態様の基板処理方法によると、処理液の流れ方向とは反対側の方向に添加ガスを噴出させることができるため、添加ガスを処理液中に効率的に拡散できるとともに、接液時間を延長できる
。
第13態様の基板処理方法によると、循環する処理液中に添加ガスを供給できるため、処理液中における添加ガスとは異なる気体成分の溶存濃度を効率的に低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0036】
<1. 第1実施形態>
<基板処理装置100>
図1は、第1実施形態の基板処理装置100を模式的に示す平面図である。基板処理装置100は、半導体ウェハなどの複数枚の基板Wを処理するシステムである。基板Wの表面形状は略円形である。基板処理装置100は、複数の基板処理部20を備えている。基板処理装置100は、基板処理部20各々において、基板Wを、一枚ずつ、連続して処理するとともに、複数の基板処理部20によって、複数の基板Wを並行して処理する。
【0037】
基板処理装置100は、並設された複数のセル(具体的には、インデクサセル110および処理セル120)と、当該複数のセル110,120が備える各動作機構などを制御する制御部130とを備える。以下の説明では、基板処理装置100において、鉛直方向上向きを+Z方向とし、インデクサセル110から処理セル120へ向かう方向を+Y方向とする右手系のXYZ座標系を付している。
【0038】
インデクサセル110は、装置外から受け取った未処理の基板Wを処理セル120に渡すとともに、処理セル120から受け取った処理済みの基板Wを装置外に搬出するためのセルである。インデクサセル110は、複数のキャリアCを載置するキャリアステージ111と、各キャリアCに対する基板Wの搬出入を行う基板搬送装置(移載ロボット)IRと、を備える。
【0039】
キャリアステージ111に対しては、複数の未処理の基板Wを収納したキャリアCが、装置外部から、OHT(Overhead Hoist Transfer)などによって搬入されて載置される。未処理の基板Wは、キャリアCから1枚ずつ取り出されて装置内で処理され、装置内での処理が終了した処理済みの基板Wは、再びキャリアCに収納される。処理済みの基板Wを収納したキャリアCは、OHTなどによって装置外部に搬出される。このように、キャリアステージ111は、未処理の基板Wおよび処理済みの基板Wを集積する基板集積部として機能する。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)であってもよいし、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや、収納された基板Wを外気に曝すOC(Open Cassette)であってもよい。
【0040】
移載ロボットIRは、基板Wを下方から支持することによって、基板Wを水平姿勢(基板Wの主面が水平な姿勢)で保持するハンドと、ハンドを移動するアームなどを備える。移載ロボットIRは、キャリアステージ111に載置されたキャリアCから未処理の基板Wを取り出して、当該取り出した基板Wを、基板受渡位置Pにおいて搬送ロボットCR(後述する)に渡す。また、移載ロボットIRは、基板受渡位置Pにおいて搬送ロボットCRから処理済みの基板Wを受け取って、当該受け取った基板Wを、キャリアステージ111上に載置されたキャリアCに収納する。
【0041】
<処理セル120>
処理セル120は、基板Wに処理を行うためのセルである。処理セル120は、複数の基板処理部20と、当該複数の基板処理部20に対する基板Wの搬出入を行う搬送ロボットCRとを備える。ここでは、3つの基板処理部20が鉛直方向に積層されて、1つの処理タワーを構成している。そして、複数(図示の例では、4つ)の処理タワー121a〜121dが、搬送ロボットCRを取り囲むようにクラスタ状(房状)に設置される。したがって、複数の基板処理部20は、搬送ロボットCRの周囲にそれぞれ配置される。処理タワー121a,121bは、インデクサセル110に近い側に配設され、処理タワー121c,121dは、インデクサセル110から遠い側に配設されている。
【0042】
搬送ロボットCRは、基板Wを片持ち支持しながら搬送するロボットである。搬送ロボットCRは、指定された基板処理部20から処理済みの基板Wを取り出して、当該取り出した基板Wを、基板受渡位置Pにおいて移載ロボットIRに渡す。また、搬送ロボットCRは、基板受渡位置Pにおいて移載ロボットIRから未処理の基板Wを受け取って、当該受け取った基板Wを、指定された基板処理部20に搬送する。搬送ロボットCRの各駆動機構の動作は、制御部130によって制御される。
【0043】
<制御部130>
制御部130は、移載ロボットIR、搬送ロボットCR、および、一群の基板処理部20各々の動作を制御する。制御部130のハードウエアとしての構成は、一般的なコンピュータと同様のものを採用できる。すなわち、制御部130は、例えば、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM12、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM13およびプログラムPGやデータなどを記憶しておく記憶部14をバスライン19に接続して構成されている。記憶部14には、基板Wの処理内容および処理手順を規定するレシピ、および各基板処理部20の構成に関する装置情報などが記憶されている。記憶部14には、キャリアCに収容された各基板Wについて、処理を行う各基板処理装置への搬送手順を既述した搬送スケジュールと各基板処理装置における処理手順を既述した処理スケジュールも記憶される。
【0044】
バスライン19には、表示部141および入力部142が電気的に接続されている。表示部141は、例えば液晶ディスプレイなどを用いて構成されており、処理結果やレシピ、および装置情報の内容などの種々の情報を表示する。入力部142は、例えばキーボードやマウスなどを用いて構成されており、コマンドやパラメータなどの入力を受け付ける。装置のオペレータは、表示部141に表示された内容を確認しつつ入力部142からコマンドやパラメータ、レシピ、および装置情報などの入力および変更を行うことができる。なお、表示部141と入力部142とを一体化してタッチパネルとして構成するようにしてもよい。
【0045】
制御部130において、プログラムPGに記述された手順に従って主制御部としてのCPU11が演算処理を行うことにより、基板処理装置100の各部を制御する各種の機能部が実現される。もっとも、制御部130において実現される一部あるいは全部の機能部は、専用の論理回路などでハードウエア的に実現されてもよい。
【0046】
図2は、第1実施形態の基板処理部20を模式的に示す図である。基板処理部20は、基板Wを回転させつつ、基板Wの表面に所定の処理液を供給することによって、基板Wの表面を処理する装置である。基板Wに供給される処理液は、例えば、酸、アルカリ、有機溶剤、またはそれらの混合物や希釈物などであり、具体的にはSC1、SC2、フッ酸(DHF)、塩酸、アンモニア、イソプロピルアルコールなどが例示される。また、処理液は、純水(DIW)などのリンス液であってもよい。ただし、処理液は、これらに限定されるものではない。
【0047】
基板処理部20は、基板保持部21、回転部22、吐出ノズル23、遮蔽板24、カップ部25およびハウジング26を備えている。
【0048】
基板保持部21は、基板Wを略水平姿勢(「水平姿勢」とは、基板Wが水平面に対して平行な状態をいう。)にて保持する保持台である。基板保持部21は、例えば、その表面の中央に開口部が形成されており、真空ポンプなどによって、その開口部から雰囲気を吸引することによって、基板Wを吸着保持する。
【0049】
回転部22は、基板保持部21を、その中心を通る鉛直方向の回転軸Q1周りに回転させる。回転部22は、回転軸部221および回転駆動部222を備える。回転軸部221は、基板保持部21の下部に連結されており、その軸線が回転軸Q1に一致するように配設されている。回転軸部221には、回転駆動部222が接続されている。回転駆動部222は、回転軸部221を回転軸Q1周りに回転駆動する。したがって、基板保持部21は、回転軸部221とともに回転軸Q1周りに回転する。
【0050】
遮蔽板24は、基板保持部21に保持された基板Wの上方を覆うために設けられている。遮蔽板24は、不図示の昇降駆動部に接続されており、鉛直方向に昇降駆動可能に配設されている。吐出ノズル23は、遮蔽板24の中央部に設けられており、基板保持部21に保持された基板Wの表面(上面)側中央部に処理液を吐出する。なお、吐出ノズル23が基板Wの中央に処理液を吐出することは必須ではない。例えば、吐出ノズル23を基板Wの周縁部付近に吐出するように配設してもよい。また、基板Wの裏面(下面)側に処理液を吐出するノズルを設けてもよい。
【0051】
カップ部25は、基板Wの処理中に、回転する基板Wから飛散する処理液を受け止めて、外部に排出するために設けられている。カップ部25は、不図示の昇降駆動部に接続されており、その昇降駆動部によって、昇降移動可能とされている。具体的には、カップ部25は、その上端が基板保持部21の上面よりも上側に上昇する。これによって、カップ部25によって、基板保持部21に保持された基板Wを囲繞できる。また、カップ部25は、その上端が基板保持部21の所面よりも下側に下降する。これによって、搬送ロボットCRが基板保持部21の上面に対して、基板Wを搬入または搬出可能となる。
【0052】
図3は、第1実施形態の処理液システム30を模式的に示す図である。
図3に示す処理液システム30は、2つの処理タワー121c,121dにて共用されるシステムであって、処理タワー121c,121d各々に備えられた複数(ここでは、6個)の基板処理部20に処理液を供給する。処理タワー121c,121d間には、回収ユニット38が配置される。処理タワー121c,121d各々の上部に、3つの基板処理部20が配設されている。
【0053】
本例では、2つの処理タワー121c,121dに対して1つの処理液システム30が共用され、2つの処理タワー121a,121bに対して、もう1つの不図示の処理液システム30が共用される。しかしながら、処理液システム30を共用する処理タワーの組み合わせは、処理タワー121a〜121dの中から任意に設定し得る。また、それぞれの処理タワー121a〜121dに対して、1つの処理液システムを用いてもよく、あるいは、4つの処理タワー121a〜121dに対して1つの処理液システムを共用してもよい。
【0054】
処理液システム30は、貯留槽31と、循環配管32と、循環ポンプ33とを備えている。貯留槽31は、内部に貯留する略直方体状の空間が形成されている。循環ポンプ33は、循環配管32の途中に設けられている。処理液システム30においては、処理液は、貯留槽31から循環配管32を経由して貯留槽31へ戻る、循環システムとして構成されている。
【0055】
より詳細には、循環配管32は、供給配管部320および返送配管部322を含む。供給配管部320は、一端が貯留槽31に接続され、吐出ノズル23に供給される処理液が通過する供給通路を形成している。返送配管部322は、一端が供給配管部320に接続されており、他端が貯留槽31に接続されている。返送配管部322は、供給配管部320を通過した後に貯留槽31へ戻る処理液の返送通路を形成している。
【0056】
循環ポンプ33は、供給配管部320に設けられている。また、供給配管部320における、循環ポンプ33の下流側には、順に、ヒータ34およびフィルタ35が設けられている。循環ポンプ33は、上流側から処理液を吸引し、その処理液を鉛直方向上側へ送出する。ヒータ34は、循環ポンプ33よりも鉛直方向上側に配設されており、処理液を加熱する。ヒータ34は、温度調整機構の一例である。フィルタ35は、処理液を濾過する装置であって、処理液中の微小な異物(パーティクル)を除去する。
【0057】
供給配管部320のフィルタ35の下流側には、バルブ36が介挿されている。バルブ36は、処理液の循環を停止させる際に利用される。供給配管部320は、バルブ36の下流側から、処理タワー121cに沿って鉛直方向上向きに延びる。そして、供給配管部320は、処理タワー121cの各基板処理部20に対応する各高さ位置において分岐部323を有している。分岐部323各々の先端は、バルブ37を介して基板処理部20各々の吐出ノズル23に接続している(
図3参照)。バルブ37は、吐出ノズル23からの処理液の吐出を制御するために設けられている。
【0058】
供給配管部320のバルブ36および最上流の分岐部323間には、流量計361が設けられている。流量計361は、供給配管部320の内部を通過する処理液の流量を計量するために設けられている。
【0059】
供給配管部320は、処理タワー121cから処理タワー121dへと向かう上側渡り部3201を有する。そして、供給配管部320は、処理タワー121dにおいて、3つの基板処理部20に沿って下側へ延びるとともに、各基板処理部20に対応する各高さ位置において分岐部323を有する。分岐部323各々の先端は、バルブ37を介して基板処理部20各々の吐出ノズル23に接続している。そして、供給配管部320は、最下流にある分岐部323において、返送配管部322と連結されている。
【0060】
返送配管部322は、最下流の分岐部323から下方に延び、処理タワー121dの下部から、回収ユニット38を経由して、処理タワー121cの下部へ延びる。この処理タワー121dから処理タワー121cへ延びる部分は、返送配管部322における下側渡り部3221である。この下側渡り部3221には、リリーフバルブ39が介挿されている。返送配管部322の下側渡り部3221の下流側は、処理タワー121cにおいて、貯留槽31に接続されている。
【0061】
処理液は、貯留槽31から供給配管部320の循環ポンプ33、ヒータ34、フィルタ35を経由して処理タワー121c内にて上方へ向かう。そして、上側渡り部3201を介して処理タワー121dへと移動し、その処理タワー121d内を下方へと向かって、返送配管部322に移動する。そして、返送配管部322の下側渡り部3221を経由して、貯留槽31へと戻る。循環配管32の供給配管部320に処理タワー121c,121dの基板処理部20各々が接続されることによって、ヒータ34で温度が調整された処理液が、基板処理部20各々に供給される。これによって、基板処理部20各々において、所要の温度の処理液を用いて、基板Wが処理される。
【0062】
上側渡り部3201と下側渡り部3221との間には、少なくとも作業者の身体の一部が進入な程度の空間が設けられている。作業者は、この空間を通じて、搬送ロボットCRや基板処理部20各々などのメンテナンス対象物にアクセスできる。すなわち、
図1に示すように、基板処理装置100の後方(インデクサセル110とは反対側)から、作業者は腕や上半身を上側渡り部3201と下側渡り部3221との間に挿入してメンテナンス作業を行う。
【0063】
一方、処理タワー121aと処理タワー121bとの間に存在する上側渡り部3201と下側渡り部3221との間にも、空間が設けられている。基板Wは、上側渡り部3201と下側渡り部3221との間において搬送される。このように、2つの処理液システム30において、上側渡り部3201と下側渡り部3221との間の空間は有効に利用される。
【0064】
上側渡り部3201と下側渡り部3221とは、処理タワー121c,121dの上部と下部に離れて存在する。このため、上側渡り部3201および下側渡り部3221の双方を処理タワー121c,121dの上部または下部に集中して設ける場合に比べて、循環配管32の全長を短くすることができる。したがって、上側渡り部3201および下側渡り部3221を離して配設する構造は、処理タワー121c,121dの高さ方向(鉛直方向)の幅が大きい場合に好適であり、処理タワー121c,121dにおいて複数の基板処理部20が上下に積層配列される場合に特に好適である。
【0065】
貯留槽31の下方には、ドレンタンク40が配設されている。ただし、ドレンタンク40を貯留槽31の真下に配設することは必須ではない。処理液が廃棄される際には、貯留槽31とドレンタンク40との間のバルブ41が開かれることにより、重力を利用して処理液が貯留槽31からドレンタンク40へと移送される。ドレンタンク40には、必要に応じて冷却装置が設けられ、高温の処理液が冷却される。処理液は冷却後にドレンタンク40から排出される。
【0066】
回収ユニット38には、回収タンク380が配設されている。回収タンク380は、回収配管381を介して基板処理部20各々に接続されている。使用後の処理液が再利用される場合には、重力を利用して回収配管381を介して基板処理部20各々から回収タンク380に処理液が回収される。回収タンク380は、貯留槽31よりも下方に位置する。回収タンク380と貯留槽31との間は、回収配管382によって接続されている。回収配管382には回収ポンプ383が介挿されており、回収ポンプ383によって、回収タンク380から処理液が貯留槽31へ送られる。
【0067】
処理液システム30では、循環配管32とドレンタンク40とを接続する複数の補助配管51〜53、および、循環配管32と回収タンク380とを接続する複数の補助配管54〜56が設けられる。
【0068】
具体的には、循環配管32の貯留槽31および循環ポンプ33間の配管部は、補助配管51によってドレンタンク40に接続されている。循環配管32におけるフィルタ35のヒータ34側の配管部は、補助配管52によってドレンタンク40に接続されており、フィルタ35のバルブ36側の配管部は、補助配管53によってドレンタンク40に接続されている。補助配管51〜53各々には、管内の開閉切替えまたは開度調整のためのバルブ511〜513が介挿されている。
【0069】
また、循環配管32のバルブ36および最上流の分岐部323間の配管部は、補助配管54を介して、回収タンク380に接続されている。循環配管32における最下流の分岐部323およびリリーフバルブ39間の配管部は、補助配管55を介して、回収タンク380に接続されている。循環配管32のリリーフバルブ39および貯留槽31の間の配管部は、補助配管56を介して、回収タンク380に接続されている。補助配管54〜56各々には、管内の開閉切替えまたは開度調整のためのバルブ514〜516が介挿されている。
【0070】
貯留槽31には、外気に繋がる補助配管57が接続され、補助配管57上には開放バルブ517が介挿されている。循環配管32のフィルタ35およびバルブ36間の配管部は、開放バルブ518が介挿された補助配管58によって、貯留槽31に接続されている。
【0071】
<ガス供給部60>
図4は、第1実施形態の処理液システム30の循環配管32を模式的に示す側面図である。
図5は、第1実施形態のガス供給部60を模式的に示す側面図である。
図4および
図5に示すように、処理液システム30には、ガス供給部60が設けられている。
【0072】
ガス供給部60は、処理液システム30を流れる処理液に、除去対象気体とは異なる添加ガスを混入する装置である。ガス供給部60は、処理液中に添加ガスを供給することによって、前記処理液中に溶存する除去対象気体の濃度(溶存濃度)を低下させる。以下の説明では、除去対象気体が酸素であるとする。また、添加ガスは、不活性ガスであることが好ましい。不活性ガスとは、処理対象の基板W(基板Wに形成された表面構造物を含む。)に対して、化学反応性が低い不活性のガスをいう。不活性ガスとして、少なくとも除去対象気体(ここでは、酸素)よりも化学反応性が低いものが選択される。
【0073】
ここでは、不活性ガスとして、窒素(N
2)ガスを採用するものとする。ただし、不活性ガスとして、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、クリプトン(Kr)ガス、キセノン(Xe)ガス、または、これらの混合ガスを採用し得る。
【0074】
ガス供給部60は、ガス供給源61、ガス噴出部62、および、インラインミキサ63を備える。
【0075】
ガス供給源61は、添加ガスである窒素ガスを供給する供給源である。ガス噴出部62は、バルブ611が介挿された配管を介して、ガス供給源61に接続されており、ガス供給源61から供給される窒素ガスを噴出する。ここでは、ガス噴出部62は、返送配管部322の返送通路内に挿通されたノズル部分を有する。このノズル部分の先端部は、返送配管部322の返送通路322P内において窒素ガスを噴出する噴出口620を形成している。噴出口620の開口面積は、返送配管部322の断面と同等もしくは断面よりも小さくなっている。ガス噴出部62が処理液中に窒素ガスを高圧で噴出することによって、処理液に窒素ガスを効率よく混合または拡散できる。
【0076】
図5に示すように、ガス噴出部62が返送配管部322を貯留槽31へ向けて通過する処理液中に窒素ガスを噴出すると、処理液中に窒素ガスの気泡B1が発生する。発生した気泡B1は、上流側から貯留槽31に向かう処理液に押されて、貯留槽31に送られる。
【0077】
ガス噴出部62は、ここでは、返送配管部322における、最下流の分岐部323および下側渡り部3221間の配管部に接続されている。ただし、返送配管部322において、ガス噴出部62が接続される部位は、この部位に限定されるものではない。ガス噴出部62は、返送配管部322(すなわち、循環配管32における最下流の分岐部323から貯留槽31までの配管部)の任意の位置に接続し得る。
【0078】
循環配管32における最下流の分岐部323よりも下流側に窒素ガスを供給することによって、窒素ガスの気泡B1が、分岐部323各々を介して基板処理部20側の吐出ノズル23に進入することを抑制できる。これによって、基板処理部20において、気泡B1が混入した処理液で基板Wが処理されることを抑制できる。
【0079】
また、処理液システム30においては、供給配管部320上に循環ポンプ33、ヒータ34、フィルタ35および流量計361が介挿されている。仮に、気泡B1が供給配管部320に進入した場合、処理液中の気泡B1よって、循環ポンプ33の送液性能、ヒータ34による処理液の加熱効率(温度調整機能)、フィルタ35の濾過性能、または、流量計361の計量精度が、それぞれ低下するおそれがある。そこで、返送配管部322に窒素ガスを供給することによって、気泡B1が供給配管部320に進入することを抑制できるため、これらを供給配管部320に設けることによって良好に機能させることができる。
【0080】
また、返送配管部322のうち、最下流の分岐部323から下側渡り部3221までの間の位置に窒素ガスを供給することによって、窒素ガスが循環する処理液に接する時間(接液時間)を延長できる。
【0081】
図5に示すように、ガス噴出部62の噴出口620は、返送配管部322の返送通路322P内において、貯留槽31へ向かう方向(方向D1)とは反対側に向けて開口している。このため、噴出口620は、処理液が貯留槽31へ向かう方向D1(ここでは、鉛直方向下向き)とは反対の方向D2(鉛直方向上向き)に窒素ガスを噴出させる。
【0082】
このように、噴出口620の向きを、貯留槽31へ向かう方向D1とは逆方向に窒素ガスを噴出することによって、処理液の流れに逆らって窒素ガスを混入させることができる。これによって、処理液に対する窒素ガスの接液時間を延長できる。また、逆向きに窒素ガスを噴出することによって、処理液中において窒素ガスを好適に拡散でき、これによって、処理液中に窒素ガスが溶け込み易くなる。したがって、処理液中の酸素の溶存濃度を効率よく低下させることができる。
【0083】
なお、噴出口620の向きは、方向D2に限定されるものではない。噴出口620の向きは、例えば、方向D1としてもよく、あるいは、方向D1,D2以外の方向としてもよい。
【0084】
インラインミキサ63は、その中を通る液体を攪拌して液体内の化学種の化学反応を促進させる。具体的な構成としては、例えば、特開2008−004819号公報に記載されたインラインミキサを利用できる。
【0085】
インラインミキサ63は、供給配管部320のガス噴出部62が接続される部分よりも下流側に設けられており、ここでは、供給配管部320の下側渡り部3221よりも下流側に配設されている。インラインミキサ63によって、窒素ガスが混入された処理液を攪拌できるため、処理液中における酸素の溶存濃度を効率的に低下させることができる。
【0086】
図4に示すように、貯留槽31の内側には、返送配管部322の端部が接続されている。返送配管部322の端部は、返送配管部322を通過した処理液を、貯留槽31の内部に放出する放出口3222を形成している。ここでは、放出口3222は、貯留槽31に貯留された処理液中に配置されている。ガス供給部60が処理液中に供給した窒素ガスのうち一部は、処理液中において気泡B1となり、返送配管部322を通過して、放出口3222から、貯留槽31内の処理液中に放出される。
【0087】
貯留槽31内の処理液中に放出された窒素ガスの気泡B1は、浮力によって、液面まで上昇移動する。そして、液面にて気泡B1が崩壊し、内部の窒素ガスが上方空間へ放出される。空間中に放出された窒素ガスは、補助配管57を通じて適宜外部に放出される。
【0088】
図4に示すように、貯留槽31の内側には、供給配管部320の端部が接続されている。供給配管部320の端部は、貯留槽31内の処理液を吸引する吸引口3202を形成している。吸引口3202は、貯留槽31の底面に配置されている。
【0089】
本例では、貯留槽31内において、供給配管部320の吸引口3202が、返送配管部322の放出口3222よりも低い位置に配置されている。より詳細には、吸引口3202の上端の高さ位置(H1)が、放出口3222の下端の高さ位置(H2)よりも低くなっている。放出口3222から放出される窒素ガスの気泡B1は、浮力によって上昇移動する。したがって、吸引口3202を放出口3222よりも低い位置にすることによって、吸引口3202に気泡B1が吸引されることを抑制でき、もって、気泡B1が供給配管部320に混入することを抑制できる。
【0090】
図4に示す例では、放出口3222は、鉛直方向に交差する方向に向けて開口しており、ここでは、水平方向(+X方向)に開口している。このため、窒素ガスの気泡B1は、水平方向に放出され、その後、水平方向および鉛直方向上向きの合成方向に移動する。
【0091】
仮に、放出口3222の向きを鉛直方向下向きとした場合、放出直後の気泡B1が、水平方向のどの方向に移動するかを制御することが困難となる。このため、放出口3222の向きを、鉛直方向下向きとは異なる方向とすることによって、気泡B1の移動方向のうち水平方向成分を制御できる。これによって、吸引口3202に気泡B1が混入することを抑制することが容易にとなる。
【0092】
また、放出口3222の向きを鉛直方向上向きとした場合、放出直後の気泡B1が浮力によって略真上に移動し、直ちに処理液の液面から脱離してしまう。すなわち、貯留槽31内の処理液中において、窒素ガスが気泡B1として存在する時間が、短くなり、接液時間が短縮される。このため、放出口3222の向きを鉛直方向上向きとは異なる方向とすることによって、気泡B1が浮力により直ちに上昇することを抑制できるため、気泡B1の接液時間を延長できる。
【0093】
図4に示す例では、平面視において、吸引口3202が、放出口3222よりも−X側に配置されている。そして、放出口3222の向きが、放出口3222から見た吸引口3202の方向(ここでは、−X方向)とは異なる方向(ここでは、反対方向である+X方向)となっている。このように、放出口3222の向きを設定することによって、気泡B1が吸引口3202に進入することを抑制できる。
【0094】
図3に示すポンプ制御部131およびバルブ制御部132は、制御部130のCPU11がプログラムPGに従って動作することによって実現される機能である。ポンプ制御部131は、循環ポンプ33の動作を制御することによって、循環配管32を流れる処理液の、単位時間あたりの流量を制御する。ポンプ制御部131は、返送配管部322の流量を制御する流量制御部の一例である。また、バルブ制御部132は、バルブ37を制御することによって、吐出ノズル23からの処理液の吐出を制御する。また、ガス供給部60のバルブ611を制御することによって、窒素ガスの単位時間あたりの供給量を調節する。バルブ制御部132は、ガス供給量制御部の一例である。
【0095】
処理液システム30において、処理液中の溶存酸素濃度を低下させる場合、循環配管32を循環する処理液の流速を低下させるとよい。例えば、バルブ制御部132がバルブ37各々を閉じることによって、処理液が循環配管32内を循環させ、その状態でポンプ制御部131が循環ポンプ33を制御することによって、処理液の循環配管32における単位時間あたりの流量を低下させるとよい。これによって、返送配管部322における処理液の流量も低下するため、処理液に対する窒素ガスの接液時間を延長できる。したがって、処理液中の溶存酸素濃度を効果的に低下させることができる。
【0096】
また、バルブ37各々が閉じている状態で、バルブ制御部132が、バルブ611の開度を調節して、窒素ガスの供給量(単位時間あたりの供給量)を、非待機時(バルブ37のいずれかが空いているとき)よりも大きくしてもよい。窒素ガスの供給量を増大させることによって、処理液中における窒素ガスの溶け込みを促進できる。したがって、処理液中の溶存酸素濃度を効果的に低下させることができる。
【0097】
<効果>
以上のように、本実施形態の基板処理装置100の場合、既存の返送配管部322を通じて貯留槽31に返送される処理液に対して、ガス供給部60が窒素ガスを供給する。これによって、貯留槽31に貯留された処理液中の溶存酸素濃度を低下させることができる。また、返送配管部322の長さを利用することによって、接液時間を延長できるため、基板処理装置100の大型化を抑制しつつ、除去対象気体の溶存濃度を効果的に低下させることができる。また、返送配管部322に添加ガスを供給するため、窒素ガスの気泡B1が供給配管部320に混入することも低減できる。
【0098】
<2. 第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、以降の説明において、既に説明した要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号またはアルファベット文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
【0099】
図6は、第2実施形態の貯留槽31を模式的に示す側面図である。第1実施形態では、供給配管部320の放出口3222が、貯留槽31の底面に設けられており、その向きが鉛直方向上向きとされている。しかしながら、
図6に示すように、放出口3222の向きは、鉛直方向下向きに設定されていてもよい。
【0100】
また、放出口3222への気泡B1の進入を抑制するため、放出口3222の高さ位置(H2)を、吸引口3202の下端の高さ位置(H1a)よりも高くするとよい。また、平面視において、放出口3222の向きを、放出口3222から見た放出口3222の方向とは異なる方向とするとよい。
【0101】
<3. 第3実施形態>
図7は、第3実施形態の貯留槽31を模式的に示す側面図である。また、
図8は、第3実施形態の貯留槽31を模式的に示す平面図である。
【0102】
図7に示すように、本実施形態の放出口3222の向きは、鉛直方向下向きとされている。このため、窒素ガスの気泡B1の移動方向を制御することが困難となっている。このため、第1実施形態のように吸引口3202を、放出口3222よりも低い位置にする場合に比べて、気泡B1が吸引口3202に進入する可能性が高いといえる。ただし、吸引口3202と放出口3222との間の距離を十分大きく取ることによって、気泡B1が吸引口3202に吸引される可能性を十分に小さくできる。
【0103】
本実施形態の貯留槽31には、吸引口3202と放出口3222との間に仕切部材324が配設されている。仕切部材324は、板状に形成された部材であって、
図8に示すように、平面視において、吸引口3202と放出口3222との間の位置に設けられている。仕切部材324は、吸引口3202と放出口3222とを結ぶ直線LN1に交差するように設けられるとよい。ここでは、吸引口3202および放出口3222がX軸に沿って配列されているため、直線LN1はX軸に沿って延びる直線となっている。
【0104】
仕切部材324は、貯留槽31の横幅(ここでは、Y軸方向の幅)よりも短くするとよい。これによって、吸引口3202側の処理液、および、放出口3222側の処理液が、仕切部材324の側方を通過できる。このため、貯留槽31に貯留された処理液を容易に攪拌できるため、処理液中の溶存酸素濃度を均一にすることができる。
【0105】
図7に示すように、仕切部材324の上端の高さ位置(H3)は、吸引口3202の高さ一位(H1a)よりも高くなっている。これにより、気泡B1が仕切部材324を越えて吸引口3202に進入することを抑制できる。また、ここでは、仕切部材324の上端の高さ位置(H3)は、放出口3222の高さ位置(H2)よりも低くなっているが、これよりも高くしてもよい。これによって、放出口3222から放出された気泡B1が、仕切部材324を越えて吸引口3202側へ移動することを効果的に抑制できる。
【0106】
仕切部材324の水平方向における配設位置は、吸引口3202と放出口3222との間の位置であれば特に限定されない。しかしながら、
図8に示すように、仕切部材324の上端が、平面視において、放出口3222よりも吸引口3202に近い位置に配設するとよい。これによって、吸引口3202への気泡B1の進入を効果的に抑制できる。
【0107】
<4. 第4実施形態>
図9は、第4実施形態の貯留槽31を模式的に示す側面図である。本実施形態の貯留槽31は、
図4に示す第2実施形態の貯留槽31と同様に、供給配管部320および返送配管部322が接続されている。さらに本実施形態の貯留槽31には、貯留槽用ガス供給部60aが接続されている。貯留槽用ガス供給部60aは、ガス供給源61aとガス噴出部62aとを備えており、ガス噴出部62aが、貯留槽31の処理液中にガス供給源61aからの窒素ガスを噴出する。なお、ガス供給源61aおよびガス供給源61を共通化してもよい。
【0108】
本実施形態では、貯留槽31に貯留された処理液には、窒素ガスの気泡B1とともに、ガス噴出部62aの噴出口620から噴出する窒素ガスの気泡B2も供給される。このため、処理液中の酸素の溶存濃度を効率よく低下することが可能となっている。
【0109】
ここで、吸引口3202への気泡B2の進入を抑制するため、ガス噴出部62の噴出口620aの高さ位置(H4)は、吸引口3202の高さ位置(H1a)よりも高くするとよい。また、平面視において、噴出口620aの向きを、吸引口3202とは異なる方向に設定するとよい。ただし、これらの構成は必須ではない。例えば、噴出口620aと吸引口3202の距離が十分離れている場合、あるいは、
図8に示すような仕切部材324を設ける場合には、噴出口620aを吸引口3202よりも高く配置してもよく、あるいは、噴出口620aの向きを任意に設定してよい。
【0110】
<5. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0111】
例えば、上記実施形態においては、放出口3222を吸引口3202よりも高い位置に配設している。しかしながら、放出口3222を吸引口3202よりも低い位置に配設してもよい。
【0112】
また、上記実施形態においては、循環配管32の供給配管部320を通過する処理液にガス供給部60が窒素ガスを供給している。しかしながら、回収配管381または回収配管382を通過する処理液中に、窒素ガスを供給してもよい。回収配管381,382を通過する処理液は、供給配管部320を通過した後の処理液であって、貯留槽31に返送される処理液に相当する。この処理液中に窒素ガスを供給することによって処理液の溶存酸素濃度を低下させることができる。
【0113】
上記実施形態では、基板処理装置の処理対象が半導体ウェハである場合について説明した。しかしながら、処理対象となる基板は、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、磁気・光ディスク用のガラスまたはセラミック基板、有機EL用ガラス基板、太陽電池用ガラス基板またはシリコン基板、その他フレキシブル基板およびプリント基板などの電子機器向けの各種被処理基板であってもよい。
【0114】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。