特許第6866189号(P6866189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866189
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】レール
(51)【国際特許分類】
   E01B 5/14 20060101AFI20210419BHJP
   B61K 3/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   E01B5/14
   B61K3/00
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-41226(P2017-41226)
(22)【出願日】2017年3月6日
(65)【公開番号】特開2018-145672(P2018-145672A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公益社団法人土木学会平成28年度全国大会第71回年次学術講演会(平成28年9月7日開催)にて、出願人が公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000182993
【氏名又は名称】日鉄レールウェイテクノス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504158881
【氏名又は名称】東京地下鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(72)【発明者】
【氏名】下川 嘉之
(72)【発明者】
【氏名】久保 奈帆美
(72)【発明者】
【氏名】谷本 益久
(72)【発明者】
【氏名】大澤 純一郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 陽介
(72)【発明者】
【氏名】小林 実
【審査官】 田島 拳士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−127858(JP,A)
【文献】 実開昭63−185803(JP,U)
【文献】 特開2005−076412(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0300810(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 5/00−5/18
E01B 31/12−31/17
B61K 3/00−3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道幅方向の外側から内側に向かって拡径する車輪踏面を有する鉄道車両を走行させるためのレールであって、
前記車輪踏面が接触する頭頂面と、前記軌道幅方向において前記頭頂面の両側に配置される側面とを含む頭部、を有するレール本体と、
前記頭部の両側面のうち一方の側面に取り付けられる潤滑装置と、
を備え、
前記頭頂面は、
前記鉄道車両の走行方向において、前記レール本体に前記潤滑装置が設けられた範囲内にある第1位置と、
前記走行方向において、前記レール本体に前記潤滑装置が設けられた範囲内にあり、前記第1位置と異なる位置である第2位置と、
を有し、
横軸に前記軌道幅方向の位置をとり、縦軸に勾配をとる座標系における勾配曲線で前記頭頂面及び前記車輪踏面の各々の勾配の変化を表したとき、前記第1位置における前記頭頂面の勾配曲線と前記車輪踏面の勾配曲線との交点は、前記第2位置における前記頭頂面の勾配曲線と前記車輪踏面の勾配曲線との交点と異なる、レール。
【請求項2】
軌道幅方向の外側から内側に向かって拡径する車輪踏面を有する鉄道車両を走行させるためのレールであって、
前記車輪踏面が接触する頭頂面と、前記軌道幅方向において前記頭頂面の両側に配置される側面とを含む頭部、を有するレール本体と、
前記頭部の両側面のうち一方の側面に取り付けられ、前記鉄道車両の走行方向に並ぶ複数の潤滑装置と、
を備え、
前記頭頂面は、
前記走行方向において、前記レール本体に前記複数の潤滑装置のうち一の潤滑装置が設けられた範囲内にある第1位置と、
前記走行方向において、前記レール本体に前記複数の潤滑装置のうち他の潤滑装置が設けられた範囲内にある第2位置と、
を有し、
横軸に前記軌道幅方向の位置をとり、縦軸に勾配をとる座標系における勾配曲線で前記頭頂面及び前記車輪踏面の各々の勾配の変化を表したとき、前記第1位置における前記頭頂面の勾配曲線と前記車輪踏面の勾配曲線との交点は、前記第2位置における前記頭頂面の勾配曲線と前記車輪踏面の勾配曲線との交点と異なる、レール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レールに関し、より詳しくは、軌道幅方向の外側から内側に向かって拡径する車輪踏面を有する鉄道車両を走行させるためのレールに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路の曲線では、例えば、鉄道車両の走行安全性の向上や、レールにおける波状摩耗の発生防止、あるいはキシリ音の発生防止等のため、潤滑剤によってレールの潤滑を行うことが多い。曲線の入口付近のレールの一方側面には、潤滑装置が設置されている。潤滑剤は、当該潤滑装置から吐出され、鉄道車両の車輪に付着する。鉄道車両は、潤滑剤が車輪に付着した状態で曲線を走行する。これにより、曲線において、レールの頭頂面に潤滑剤が塗布される。
【0003】
特許文献1には、潤滑剤が塗布されるレールの削正方法が提案されている。特許文献1では、レールの横断面において、頭頂面のうち軸心から両側に少なくとも20mmの範囲を、600mmよりも大きく1000mm以下の半径を有する凸円弧状に削正する。これにより、潤滑剤がレールの側方に流れ落ちる量が少なくなるため、鉄道車両の走行方向における潤滑剤の延びが向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3803336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、鉄道車両の車輪は、曲線の入口付近で潤滑装置からの潤滑剤を受け取り、曲線中において潤滑剤をレールに塗布する。潤滑装置からの潤滑剤は、車輪のうち主にレールと接触している部分に付着する。このため、潤滑装置の位置における車輪とレールとの接触位置及び範囲が、曲線における車輪とレールとの接触位置及び範囲と一致している場合、曲線においてレールが良好に潤滑される。
【0006】
しかしながら、曲線における車輪とレールとの接触位置が、潤滑装置の位置における車輪とレールとの接触位置からずれた場合、曲線においてレールを適切に潤滑することはできない。また、車輪とレールとの接触面積が大きい場合も、曲線においてレールを適切に潤滑することが困難になる。
【0007】
本開示は、潤滑装置による潤滑の効果を向上させることができるレールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、鉄道車両を走行させるためのレールに関する。鉄道車両は、軌道幅方向の外側から内側に向かって拡径する車輪踏面を有する。レールは、レール本体と、潤滑装置とを備える。レール本体は、頭部を有する。頭部は、頭頂面と、側面とを含む。頭頂面には、車輪踏面が接触する。側面は、軌道幅方向において頭頂面の両側に配置される。潤滑装置は、頭部の両側面のうち一方の側面に取り付けられる。頭頂面は、第1位置と、第2位置とを有する。第1位置は、鉄道車両の走行方向において、潤滑装置の範囲内にある。第2位置は、走行方向において、潤滑装置の範囲内にある。第2位置は、第1位置と異なる位置である。横軸に軌道幅方向の位置をとり、縦軸に勾配をとる座標系における勾配曲線で頭頂面及び車輪踏面の各々の勾配の変化を表したとき、第1位置における頭頂面の勾配曲線と車輪踏面の勾配曲線との交点は、第2位置における頭頂面の勾配曲線と車輪踏面の勾配曲線との交点と異なる。
【0009】
本開示は、鉄道車両を走行させるためのレールに関する。鉄道車両は、軌道幅方向の外側から内側に向かって拡径する車輪踏面を有する。レールは、レール本体と、複数の潤滑装置とを備える。レール本体は、頭部を有する。頭部は、頭頂面と、側面とを含む。頭頂面には、車輪踏面が接触する。側面は、軌道幅方向において頭頂面の両側に配置される。複数の潤滑装置は、頭部の両側面のうち一方の側面に取り付けられる。複数の潤滑装置は、鉄道車両の走行方向に並ぶ。頭頂面は、第1位置と、第2位置とを有する。第1位置は、走行方向において、複数の潤滑装置のうち一の潤滑装置の範囲内にある。第2位置は、走行方向において、複数の潤滑装置のうち他の潤滑装置の範囲内にある。横軸に軌道幅方向の位置をとり、縦軸に勾配をとる座標系における勾配曲線で頭頂面及び車輪踏面の各々の勾配の変化を表したとき、第1位置における頭頂面の勾配曲線と車輪踏面の勾配曲線との交点は、第2位置における頭頂面の勾配曲線と車輪踏面の勾配曲線との交点と異なる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、潤滑装置による潤滑の効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係るレールの概略構造を示す平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るレールの内軌側の部分の概略構造を示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るレールを模式的に示す平面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るレールの内軌側の頭頂面及び車輪踏面の各々について、鉄道車両の走行方向の第1位置における鉛直断面形状及び勾配曲線を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係るレールの内軌側の頭頂面及び車輪踏面の各々について、鉄道車両の走行方向の第2位置における鉛直断面形状及び勾配曲線を示す図である。
図6図6は、第2実施形態に係るレールを模式的に示す平面図である。
図7図7は、第2実施形態に係るレールの内軌側の頭頂面及び車輪踏面の各々について、鉄道車両の走行方向の第1位置における鉛直断面形状及び勾配曲線を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係るレールの内軌側の頭頂面及び車輪踏面の各々について、鉄道車両の走行方向の第2位置における鉛直断面形状及び勾配曲線を示す図である。
図9図9は、第3実施形態に係るレールを模式的に示す平面図である。
図10図10は、第3実施形態に係るレールの内軌側の頭頂面及び車輪踏面の各々について、鉄道車両の走行方向の第1位置における鉛直断面形状及び勾配曲線を示す図である。
図11図11は、第3実施形態に係るレールの内軌側の頭頂面及び車輪踏面の各々について、鉄道車両の走行方向の第2位置における鉛直断面形状及び勾配曲線を示す図である。
図12図12は、第3実施形態に係るレールの内軌側の頭頂面及び車輪踏面の各々について、鉄道車両の走行方向の第3位置における鉛直断面形状及び勾配曲線を示す図である。
図13図13は、車輪とレールとが適切に接触する場合、車輪とレールとの接触位置が変化する場合、及び車輪とレールとの接触面積が大きい場合の各々について、曲線におけるレールの潤滑効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
潤滑装置からの潤滑剤は、主として、鉄道車両の車輪のうちレールと接触する部分に供給される。このため、曲線の入口付近で車輪が潤滑装置から潤滑剤を受け取った後に車輪とレールとの接触位置が変化した場合、あるいは車輪とレールとの接触面積が大きい場合、曲線におけるレールの潤滑効果が低下する。以下、車輪とレールとの接触位置及び接触面積とレールの潤滑効果との関係について、図13を参照しつつ説明する。
【0013】
図13は、車輪とレールとが適切に接触する場合、車輪とレールとの接触位置が変化する場合、及び車輪とレールとの接触面積が広い場合の各々について、曲線におけるレールの潤滑効果を説明するための図である。図13において、車輪WとレールRとが接触する部分をX、車輪Wが潤滑剤を有する領域をYで示す。
【0014】
車輪とレールとが適切に接触する場合とは、鉄道車両の車輪Wが、潤滑装置からの潤滑剤を受け取った位置及び面積で、曲線においてレールRに接触する場合をいう。この場合、曲線において、車輪WとレールRとの接触部分X全体に潤滑剤が塗布されることになる。よって、レールRが良好に潤滑される。
【0015】
一方、レールRの摩耗等によって車輪WとレールRとの接触位置が変化する場合、曲線においてレールRを良好に潤滑することは難しい。例えば、潤滑装置から車輪Wに潤滑剤が供給された後で車輪WとレールRとの接触位置が軌道幅方向にずれた場合、車輪Wは、潤滑剤を受け取った位置でレールRに接触することができなくなる。このため、車輪Wは、曲線中において、レールRのうち車輪Wと接触する部分Xに対して適切に潤滑剤を塗布することができない。よって、曲線におけるレールRの潤滑効果が低下する。
【0016】
また、例えば、車輪WとレールRとの接触位置が不規則に変化する場合、車輪Wは、曲線において、常に潤滑剤を受け取った位置でレールRに接触することができなくなる。このため、曲線において、レールRのうち車輪Wと接触する部分Xに対し、安定して潤滑剤が塗布されない。よって、曲線におけるレールRの潤滑効果が低下する。
【0017】
車輪Wが潤滑剤を有する領域Yの面積よりも車輪WとレールRとの接触面積が大きい場合、車輪Wは、曲線において、レールRのうち車輪Wと接触する部分Xの一部にしか潤滑剤を塗布することができない。よって、曲線におけるレールRの潤滑効果が低下する。
【0018】
本発明者等は、以上の問題を鑑み、各実施形態に係るレールを考案した。
【0019】
一の実施形態は、鉄道車両を走行させるためのレールに関する。鉄道車両は、軌道幅方向の外側から内側に向かって拡径する車輪踏面を有する。レールは、レール本体と、潤滑装置と、を備える。レール本体は、頭部を有する。頭部は、頭頂面と、側面とを含む。頭頂面には、車輪踏面が接触する。側面は、軌道幅方向において頭頂面の両側に配置される。潤滑装置は、頭部の両側面のうち一方の側面に取り付けられる。頭頂面は、第1位置と、第2位置とを有する。第1位置は、鉄道車両の走行方向において、潤滑装置の範囲内にある。第2位置は、走行方向において、潤滑装置の範囲内にある。第2位置は、第1位置と異なる位置である。横軸に軌道幅方向の位置をとり、縦軸に勾配をとる座標系における勾配曲線で頭頂面及び車輪踏面の各々の勾配の変化を表したとき、第1位置における頭頂面の勾配曲線と車輪踏面の勾配曲線との交点は、第2位置における頭頂面の勾配曲線と車輪踏面の勾配曲線との交点と異なる(第1の構成)。
【0020】
第1の構成によれば、潤滑装置の範囲内において、車輪踏面の勾配曲線とレールの頭頂面の勾配曲線との交点は、鉄道車両の走行方向の第1位置と第2位置とで異なる。すなわち、鉄道車両が走行している間、潤滑装置の範囲内において、車輪踏面とレールとの接触位置が変化する。これにより、車輪踏面の広い範囲に潤滑装置からの潤滑剤が付着するため、曲線においてレールの広い範囲に車輪踏面からの潤滑剤が塗布される。その結果、車輪踏面とのレールとの接触位置が変化する場合や、車輪踏面とレールとの接触面積が大きい場合であっても、曲線中において、車輪踏面とレールとの接触部分に対して良好に潤滑剤が供給される。よって、潤滑装置による潤滑効果を向上させることができる。
【0021】
他の実施形態は、鉄道車両を走行させるためのレールに関する。鉄道車両は、軌道幅方向の外側から内側に向かって拡径する車輪踏面を有する。レールは、レール本体と、複数の潤滑装置と、を備える。レール本体は、頭部を有する。頭部は、頭頂面と、側面とを含む。頭頂面には、車輪踏面が接触する。側面は、軌道幅方向において頭頂面の両側に配置される。複数の潤滑装置は、頭部の両側面のうち一方の側面に取り付けられる。複数の潤滑装置は、鉄道車両の走行方向に並ぶ。頭頂面は、第1位置と、第2位置とを有する。第1位置は、走行方向において、複数の潤滑装置のうち一の潤滑装置の範囲内にある。第2位置は、走行方向において、複数の潤滑装置のうち他の潤滑装置の範囲内にある。横軸に軌道幅方向の位置をとり、縦軸に勾配をとる座標系における勾配曲線で頭頂面及び車輪踏面の各々の勾配の変化を表したとき、第1位置における頭頂面の勾配曲線と車輪踏面の勾配曲線との交点は、第2位置における頭頂面の勾配曲線と車輪踏面の勾配曲線との交点と異なる(第2の構成)。
【0022】
第2の構成によれば、車輪踏面の勾配曲線とレールの頭頂面の勾配曲線との交点は、一の潤滑装置に対応する第1位置と、他の潤滑装置に対応する第2位置とで異なる。すなわち、鉄道車両が走行している間、複数の潤滑装置の範囲内において車輪踏面とレールとの接触位置が変化する。このため、第1の構成と同様に、潤滑装置からの潤滑剤を車輪踏面の広い範囲に付着させることができる。よって、車輪踏面とのレールとの接触位置が変化する場合や、車輪踏面とレールとの接触面積が大きい場合であっても、曲線中のレールのうち車輪踏面との接触部分に対し、車輪踏面からの潤滑剤を良好に供給することができる。その結果、潤滑装置による潤滑効果を向上させることができる。
【0023】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。説明の便宜上、各図において、構成を簡略化又は模式化して示したり、一部の構成を省略して示したりする場合がある。
【0024】
<第1実施形態>
[レールの構造]
図1は、第1実施形態に係るレール10の概略構造を示す平面図である。鉄道車両は、レール10を走行する。レール10は、鉄道線路の地上潤滑装置設置地点のレールである。図1に示すように、レール10は、一対のレール本体1,2と、潤滑装置3とを備える。
【0025】
レール本体1,2は、鉄道車両が走行する路線において、入口側の緩和曲線を構成する。すなわち、レール本体1,2は、鉄道車両の走行方向において曲線の直前に位置する緩和曲線の区間に配置されている。ただし、レール本体1,2は、鉄道車両の走行方向において、緩和曲線の直前の直線の区間に配置されていてもよい。あるいは、曲線の区間のうち入口に近い位置に、レール本体1,2を配置することもできる。
【0026】
レール本体1,2は、軌道幅方向において並列に配置される。レール本体1は、曲線の内軌に接続されている。レール本体2は、曲線の外軌に接続されている。本実施形態では、主に内軌側のレール本体1及びその関連構成について説明し、外軌側のレール本体2及びその関連構成については詳述しない。レール本体2及びその関連構成は、レール本体1及びその関連構成と同様のものであってもよい。
【0027】
潤滑装置3は、内軌の頭頂面を潤滑するための塗油器である。潤滑装置3は、内軌頭頂面潤滑装置、あるいは内軌潤滑装置とも称される。潤滑装置3は、レール本体1に取り付けられる。潤滑装置3には、図示しないタンクからポンプ9を介して潤滑剤が供給される。潤滑装置3は、レール本体1に向かって潤滑剤を吐出する。
【0028】
図2は、レール10の内軌側の部分の概略構造を示す断面図である。図2では、レール10上を走行する鉄道車両の車輪4の一部も示されている。車輪4は、車輪踏面41と、フランジ42とを含む。
【0029】
レール本体1は、頭部11と、腹部12と、底部13とを有する。頭部11は、腹部12及び底部13によって下方から支持されている。
【0030】
頭部11は、頭頂面111と、側面112,113とを含む。側面112,113は、軌道幅方向において頭頂面111の両側に配置されている。
【0031】
頭頂面111には、車輪踏面41が接触する。車輪踏面41は、軌道幅方向の外側から内側に向かって拡径する。車輪踏面41は、スロート43を介してフランジ42と接続されている。
【0032】
側面112は、軌道幅方向において頭頂面111の内側に位置する。側面113は、軌道幅方向において頭頂面111の外側に位置する。側面112,113の一方に潤滑装置3が取り付けられる。本実施形態では、側面113に潤滑装置3が取り付けられている。ただし、側面112に潤滑装置3が取り付けられていてもよい。
【0033】
[車輪とレールとの接触位置]
以下、車輪4の車輪踏面41と内軌側のレール本体1との接触位置について説明する。
【0034】
図3は、本実施形態に係るレール10を模式的に示した平面図である。図3に示すように、本実施形態では、1つの潤滑装置3の範囲内において、鉄道車両の走行方向に沿って車輪踏面41とレール本体1の頭頂面111との接触部分Xの位置が軌道幅方向に移動する。すなわち、レール本体1の頭頂面111のうち潤滑装置3に対応する部分では、走行方向に沿って、車輪踏面41との接触位置が変化する。
【0035】
ここで、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置とは、軌道幅方向における位置をいう。よって、接触位置が変化するという場合は、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置が軌道幅方向に移動することを意味する。
【0036】
1つの潤滑装置3の範囲とは、鉄道車両の走行方向において、レール本体1に当該潤滑装置3が設けられている範囲をいう。潤滑装置3が設けられている範囲とは、走行方向における潤滑装置3の長さの範囲をいう。走行方向における潤滑装置3の長さは、当該潤滑装置3がレール本体1の頭頂面111に潤滑剤を供給することが可能な、走行方向の長さである。
【0037】
レール本体1の頭頂面111は、鉄道車両の走行方向における位置P11,P12を有する。位置P11,P12は、走行方向において互いに異なる位置である。位置P11は,P12は、潤滑装置3の範囲内にある。
【0038】
接触位置C11,C12は、それぞれ、鉄道車両の走行方向の位置P11,P12におけるレール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置である。潤滑装置3の範囲内における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置は、走行方向に沿って、接触位置C11から軌道幅方向の外側に向かって徐々に移動し、接触位置C12まで達した後、軌道幅方向の内側に向かって徐々に移動する。
【0039】
軌道幅方向において、接触位置C12は接触位置C11よりも外側に位置する。すなわち、潤滑装置3から接触位置C12までの軌道幅方向の距離は、潤滑装置3から接触位置C11までの軌道幅方向の距離よりも小さい。
【0040】
接触位置C12は、潤滑装置3の範囲内における接触部分Xのうち、軌道幅方向において最も外側の部分の位置である。すなわち、接触位置C12は、潤滑装置3の範囲内におけるレール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置のうち、潤滑装置3に最も近い接触位置である。接触位置C12を含むレール本体1の鉛直断面において、接触位置C12は、レール本体1の中心軸A(図2)よりも潤滑装置3側に位置することが好ましい。中心軸Aは、頭頂面111の軌道幅方向中央を通り、側面112,113から実質的に等距離にある直線である。
【0041】
一方、接触位置C11は、潤滑装置3の範囲内における接触部分Xのうち、軌道幅方向において最も内側の部分の位置である。すなわち、接触位置C11は、潤滑装置3の範囲内におけるレール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置のうち、潤滑装置3から最も遠い接触位置である。
【0042】
接触位置C11は、例えば、レール本体1の側面112から軌道幅方向の外側に18mm〜レール本体1の中心軸Aの範囲に設けることができる。接触位置C12は、例えば、レール本体1の側面113から軌道幅方向の内側に18mm〜レール本体1の中心軸Aの範囲に設けることができる。
【0043】
潤滑装置3の範囲内において、車輪踏面41と頭頂面111との接触位置が鉄道車両の走行方向に沿って変化することにより、潤滑装置3から供給される潤滑剤は、車輪踏面41の領域Yに広く付着する。車輪踏面41の領域Yについては後述する。
【0044】
レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置は、頭頂面111及び車輪踏面41の各勾配曲線を用いて表すことができる。以下、頭頂面111及び車輪踏面41の各勾配曲線について説明する。
【0045】
勾配曲線は、横軸に軌道幅方向の位置をとり、縦軸に勾配をとる座標系上の線である。軌道幅方向の位置は、レール10と車輪4とが中立位置にある場合の車輪4の軌道幅方向中央(車輪中央)の位置を0として、車輪中央よりも軌道幅方向外側の位置を正、軌道幅方向内側の位置を負と定義される。レール10と車輪4とが中立位置にある場合とは、内軌側における車輪4とレール本体1との位置関係と、外軌側における車輪4とレール本体2との位置関係とが実質的に等しい場合をいう。勾配は、軌道幅方向の外側から内側へ向かって下降している場合は正、上昇している場合は負と定義される。
【0046】
図4は、鉄道車両の走行方向の位置P11において、レール本体1の頭頂面111及び車輪踏面41の各鉛直断面形状及び各勾配曲線を示す図である。図5は、鉄道車両の走行方向の位置P12において、レール本体1の頭頂面111及び車輪踏面41の各鉛直断面形状及び各勾配曲線を示す図である。
【0047】
図4及び図5では、車輪踏面41が円錐踏面である場合の例を示している。円錐踏面は、概ね円錐台の側面によって構成される踏面である。ただし、レール10(図3)を走行する車輪踏面41の種類は、円錐踏面に限定されるものではない。車輪踏面41は、車輪4の軸中心を通る断面視で円弧形状を含む円弧踏面であってもよい。
【0048】
図4に示すように、走行方向の位置P11において、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L11は、軌道幅方向の位置x11で車輪踏面41の勾配曲線Ltと交差する。これは、軌道幅方向の位置x11で頭頂面111と車輪踏面41とが接触することを意味する。すなわち、軌道幅方向の位置x11は、走行方向の位置P11における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C11(図3)である。本実施形態では、軌道幅方向の位置x11は、軌道幅方向においてレール本体1の中心軸A(図2)よりも内側にある。
【0049】
図5に示すように、走行方向の位置P12において、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L12は、軌道幅方向の位置x12で車輪踏面41の勾配曲線Ltと交差する。これは、軌道幅方向の位置x12で頭頂面111と車輪踏面41とが接触することを意味する。すなわち、軌道幅方向の位置x12は、走行方向の位置P12における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C12(図3)である。本実施形態では、軌道幅方向の位置x12は、軌道幅方向においてレール本体1の中心軸A(図2)よりも外側にある。
【0050】
図4図5とを比較すると、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L11,L12は、互いに異なる形状を有する。すなわち、走行方向の位置P11におけるレール本体1の頭頂面111の形状は、走行方向の位置P12におけるレール本体1の頭頂面111の形状と異なる。
【0051】
より具体的には、走行方向の位置P11における頭頂面111の勾配曲線L11と車輪踏面41の勾配曲線Ltとの交点は、走行方向の位置P12における頭頂面111の勾配曲線L12と車輪踏面41の勾配曲線Ltとの交点と異なる。よって、走行方向の位置P11における接触位置C11は、走行方向の位置P12における接触位置C12と異なる(図3)。
【0052】
[レールの削正方法]
例えば、レール10を新たに設置する場合や、レール本体1及び/又は車輪踏面41が摩耗した場合等に、レール10の削正が実施される。以下、レール10の削正方法について、図2及び図3を再度参照しながら簡単に説明する。
【0053】
上述の構成を有するレール10を形成するため、頭部11の側面113に潤滑装置3が取り付けられていない状態で、レール本体1の頭頂面111を研削する。このとき、後で取り付けられる潤滑装置3に対応する範囲では、鉄道車両の走行方向に沿って形状が変化するように頭頂面111を研削する。すなわち、走行方向の位置P11では頭頂面111が接触位置C11で車輪踏面41に接触し、走行方向の位置P12では頭頂面111が接触位置C12で車輪踏面41に接触するように頭頂面111を形成する。
【0054】
レール本体1を研削した後、レール本体1の頭部11の側面113に潤滑装置3を取り付ける。潤滑装置3は、頭頂面111のうち鉄道車両の走行方向に沿って接触位置が変化するように形成された部分の隣、つまり当該部分に潤滑剤を供給可能な位置に配置される。これにより、レール10が完成する。
【0055】
[効果]
本実施形態に係るレール10では、潤滑装置3の範囲内において、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41と接触位置が鉄道車両の走行方向に沿って変化する。具体的には、潤滑装置3の範囲内において、走行方向の位置P11における頭頂面111の勾配曲線L11と車輪踏面41の勾配曲線Ltとの交点は、走行方向の位置P12における頭頂面111の勾配曲線L12と車輪踏面41の勾配曲線Ltとの交点と異なる。これにより、以下に述べるように、車輪踏面41の広範囲に潤滑装置3からの潤滑剤を付着させることができる。
【0056】
図3に示すように、潤滑装置3の範囲内では、鉄道車両の走行方向に沿い、頭頂面111と車輪踏面41と接触位置がC11からC12まで軌道幅方向に変化する。潤滑装置3から供給される潤滑剤は、車輪踏面41のうち、主として頭頂面111との接触位置に付着する。このため、走行方向の位置P11では、車輪踏面41のうち、接触位置C11及びその周囲に潤滑装置3からの潤滑剤が付着する。走行方向の位置P12では、車輪踏面41のうち、接触位置C12及びその周囲に潤滑装置3からの潤滑剤が付着する。すなわち、潤滑装置3からの潤滑剤は、潤滑装置3から離れた接触位置C11から潤滑装置3に近い接触位置C12まで、車輪踏面41に広く付着する。
【0057】
図3では、車輪踏面41のうち、潤滑装置3からの潤滑剤が付着する領域を符号Yで示している。車輪踏面41の領域Yは、軌道幅方向に長さを有する領域である。車輪踏面41において、領域Yの軌道幅方向の内側端部は、潤滑装置3から最も遠い接触位置C11に対応する。車輪踏面41において、領域Yの軌道幅方向の外側端部は、潤滑装置3から最も近い接触位置C12に対応する。
【0058】
車輪踏面41の領域Yに対して全体的に潤滑剤が付着することにより、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置が変化した場合であっても、曲線において、頭頂面111と車輪踏面41との接触部分Xを良好に潤滑することができる。また、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触面積が大きい場合であっても、当該接触面積に対応して、曲線において頭頂面111と車輪踏面41との接触部分Xを潤滑することができる。
【0059】
したがって、本実施形態に係るレール10によれば、潤滑装置3による潤滑効果を向上させることができる。
【0060】
<第2実施形態>
第1実施形態では、1つの潤滑装置の範囲内において、鉄道車両の走行方向に沿って車輪踏面とレールの頭頂面との接触位置を変化させている。第2実施形態では、複数の潤滑装置が設けられている場合に、車輪踏面とレールの頭頂面との接触位置を潤滑装置ごとに変化させる。
【0061】
[レールの構造]
図6は、本実施形態に係るレール10Aを模式的に示した平面図である。図6に示すように、レール10Aは、内軌側のレール本体1と、外軌側のレール本体2と、複数の潤滑装置31,32とを備える。本実施形態におけるレール本体1,2及び潤滑装置31,32の基本的な構成は、それぞれ、第1実施形態におけるレール本体1,2及び潤滑装置3と同様である。
【0062】
潤滑装置31,32は、いずれも、レール本体1の側面113に取り付けられている。潤滑装置31,32は、鉄道車両の走行方向に並んでいる。潤滑装置32は、走行方向において潤滑装置31の前方に配置されている。
【0063】
図6に示すように、レール本体1の頭頂面111は、鉄道車両の走行方向における位置P21,P22を有する。位置P21,P22は、走行方向において互いに異なる位置である。位置P21は、潤滑装置31の範囲内にある。位置P22は、潤滑装置32の範囲内にある。
【0064】
レール本体1の頭頂面111は、鉄道車両の走行方向の位置P21において、接触位置C21で車輪踏面41と接触する。本実施形態では、潤滑装置31の範囲内において、頭頂面111と車輪踏面41との接触位置は、実質的に変化せず、一定である。
【0065】
レール本体1の頭頂面111は、鉄道車両の走行方向の位置P22において、接触位置C22で車輪踏面41と接触する。接触位置C22は、接触位置C21から軌道幅方向にずれた位置である。すなわち、潤滑装置32の範囲内における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C22は、潤滑装置31の範囲内における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C21と異なる。本実施形態では、潤滑装置32の範囲内において、頭頂面111と車輪踏面41との接触位置は、実質的に変化せず、一定である。
【0066】
軌道幅方向において、接触位置C21は接触位置C22よりも外側に位置する。すなわち、潤滑装置31から接触位置C21までの軌道幅方向の距離は、潤滑装置32から接触位置C22までの軌道幅方向の距離よりも小さい。
【0067】
接触位置C21は、例えば、レール本体1の側面113から軌道幅方向の内側に18mm〜レール本体1の中心軸Aの範囲に設けることができる。接触位置C22は、例えば、レール本体1の側面112から軌道幅方向の外側に18mm〜レール本体1の中心軸Aの範囲に設けることができる。
【0068】
第1実施形態と同様に、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置は、頭頂面111及び車輪踏面41の各勾配曲線を用いて表すことができる。以下、頭頂面111及び車輪踏面41の各勾配曲線について説明する。
【0069】
図7は、鉄道車両の走行方向の位置P21において、レール本体1の頭頂面111及び車輪踏面41の各鉛直断面形状及び各勾配曲線を示す図である。図8は、鉄道車両の走行方向の位置P22において、レール本体1の頭頂面111及び車輪踏面41の各鉛直断面形状及び各勾配曲線を示す図である。図7及び図8では、車輪踏面41が円錐踏面である場合の例を示しているが、第1実施形態と同様、車輪踏面41の種類は特に限定されるものではない。
【0070】
図7に示すように、走行方向の位置P21では、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L21は、軌道幅方向の位置x21で車輪踏面41の勾配曲線Ltと交差する。これは、軌道幅方向の位置x21で頭頂面111と車輪踏面41とが接触することを意味する。すなわち、軌道幅方向の位置x21は、走行方向の位置P21における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C21(図6)である。本実施形態では、軌道幅方向の位置x21は、軌道幅方向においてレール本体1の中心軸A(図2)よりも外側にある。
【0071】
図8に示すように、走行方向の位置P22では、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L22は、軌道幅方向の位置x22で車輪踏面41の勾配曲線Ltと交差する。これは、軌道幅方向の位置x22で頭頂面111と車輪踏面41とが接触することを意味する。すなわち、軌道幅方向の位置x22は、走行方向の位置P22における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C22(図6)である。本実施形態では、軌道幅方向の位置x22は、軌道幅方向においてレール本体1の中心軸A(図2)の近傍にある。
【0072】
図7図8とを比較すると、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L21,L22は、互いに異なる形状を有する。すなわち、鉄道車両の走行方向において、位置P21におけるレール本体1の頭頂面111の形状は、位置P22におけるレール本体1の頭頂面111の形状と異なる。
【0073】
より具体的には、走行方向の位置P21における頭頂面111の勾配曲線L21と車輪踏面41の勾配曲線Ltとの交点は、走行方向の位置P22における頭頂面111の勾配曲線L22と車輪踏面41の勾配曲線Ltとの交点と異なる。よって、走行方向の位置P21における接触位置C21は、走行方向の位置P22における接触位置C12と異なる(図6)。
【0074】
[レールの削正方法]
本実施形態に係るレール10Aを形成するため、潤滑装置31,32が取り付けられていない状態で、レール本体1の頭頂面111を研削する。頭頂面111は、潤滑装置31に対応する部分の形状と潤滑装置32に対応する部分の形状とが異なるように研削される。すなわち、潤滑装置31の範囲内では頭頂面111が接触位置C21で車輪踏面41に接触し、潤滑装置32の範囲内では頭頂面111が接触位置C22で車輪踏面41に接触するように頭頂面111を形成する。
【0075】
レール本体1を研削した後、レール本体1の頭部11の側面113に潤滑装置31,32を取り付ける。潤滑装置31は、頭頂面111のうち、接触位置C21で車輪踏面41に接触するように形成された部分の隣、つまり当該部分に潤滑剤を供給可能な位置に配置される。潤滑装置32は、頭頂面111のうち、接触位置C22で車輪踏面41に接触するように形成された部分の隣、つまり当該部分に潤滑剤を供給可能な位置に配置される。これにより、レール10Aが完成する。
【0076】
[効果]
本実施形態に係るレール10Aも、第1実施形態に係るレール10と同様、潤滑装置31,32による潤滑効果を向上させることができる。
【0077】
本実施形態において、潤滑装置31の範囲内の位置P21における頭頂面111の勾配曲線L21と車輪踏面41の勾配曲線Ltとの交点は、潤滑装置32の範囲内における頭頂面111の勾配曲線L22と車輪踏面41の勾配曲線Ltとの交点と異なる。すなわち、レール本体1の頭頂面111は、潤滑装置31に対応する部分と潤滑装置32に対応する部分とで、車輪踏面41との接触位置が異なる。
【0078】
図6に示すように、潤滑装置31の範囲内では、レール本体1の頭頂面111が接触位置C21で車輪踏面41と接触する。このため、潤滑装置31の位置では、車輪踏面41のうち接触位置C21及びその周囲に潤滑剤が付着する。一方、潤滑装置32の範囲内では、レール本体1の頭頂面111は、接触位置C21から軌道幅方向にずれた接触位置C22で車輪踏面41と接触する。このため、潤滑装置32の位置では、車輪踏面41のうち接触位置C22及びその周囲に潤滑剤が付着する。よって、車輪踏面41のうち接触位置C21から接触位置C22までの領域Yに、潤滑剤が広く付着する。
【0079】
図6に示すように、潤滑装置31,32を通過した直後、車輪踏面41の領域Yは、頭頂面111との接触部分Xよりも軌道幅方向の外側にある。しかしながら、曲線中では、レール10Aに対する車輪4の位置が中立位置から外軌側に変位する。このため、車輪踏面41の領域Yが軌道幅方向の内側に移動し、接触部分Xと一致することになる。
【0080】
車輪踏面41の領域Yに対して広く潤滑剤が付着することにより、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置が変化した場合であっても、曲線において、頭頂面111と車輪踏面41との接触部分Xを良好に潤滑することができる。また、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触面積が大きい場合であっても、当該接触面積に対応して、曲線において頭頂面111と車輪踏面41との接触部分Xを潤滑することができる。
【0081】
<第3実施形態>
第3実施形態では、車輪踏面とレールの頭頂面との接触位置を潤滑装置ごとに変化させ、且つ、1つの潤滑装置の範囲内においても、鉄道車両の走行方向に沿って車輪踏面とレールの頭頂面との接触位置を変化させている。
【0082】
図9は、本実施形態に係るレール10Bを模式的に示した平面図である。図9に示すように、レール10Bは、内軌側のレール本体1と、外軌側のレール本体2と、複数の潤滑装置31,32とを備える。本実施形態におけるレール本体1,2及び潤滑装置31,32の基本的な構成は、それぞれ、第1実施形態におけるレール本体1,2及び潤滑装置3と同様である。潤滑装置31,32の配置は、第2実施形態と同様である。
【0083】
図9に示すように、レール本体1の頭頂面111は、鉄道車両の走行方向における位置P31a,P31b,P32a,P32bを有する。位置P31a,P31b,P32a,P32bは、走行方向において互いに異なる位置である。
【0084】
鉄道車両の走行方向の位置P31a,P31bは、潤滑装置31の範囲内にある。レール本体1の頭頂面111は、走行方向の位置P31aにおいて、接触位置C31aで車輪踏面41と接触する。頭頂面111は、走行方向の位置P31bにおいて、接触位置C31bで車輪踏面41と接触する。
【0085】
接触位置C31a,C31bは、軌道幅方向において互いに異なる位置である。すなわち、潤滑装置31の範囲内では、鉄道車両の走行方向に沿い、頭頂面111と車輪踏面41との接触位置が変化する。潤滑装置31の範囲内における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置は、走行方向に沿って、接触位置C31aから軌道幅方向の外側に向かって徐々に移動し、接触位置C31bまで達した後、軌道幅方向の内側に向かって徐々に移動する。
【0086】
鉄道車両の走行方向の位置P32a,P32bは、潤滑装置32の範囲内にある。レール本体1の頭頂面111は、走行方向の位置P32aにおいて、接触位置C32aで車輪踏面41と接触する。頭頂面111は、走行方向の位置P32bにおいて、接触位置C32bで車輪踏面41と接触する。
【0087】
接触位置C32a,C32bは、軌道幅方向において互いに異なる位置である。すなわち、潤滑装置32の範囲内でも、走行方向に沿い、頭頂面111と車輪踏面41との接触位置が変化する。潤滑装置32の範囲内における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置は、走行方向に沿って、接触位置C32aから軌道幅方向の内側に向かって徐々に移動し、接触位置C32bまで達した後、軌道幅方向の外側に向かって徐々に移動する。
【0088】
潤滑装置31,32の範囲内における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置のうち、軌道幅方向において最も外側の接触位置は、潤滑装置31の範囲内にある接触位置C31bである。潤滑装置31,32の範囲内における頭頂面111と車輪踏面41との接触位置のうち、軌道幅方向において最も内側の接触位置は、潤滑装置32の範囲内にある接触位置C32bである。本実施形態において、潤滑装置31の範囲内の接触位置C31aは、潤滑装置32の範囲内の接触位置C32aと一致している。
【0089】
他の実施形態と同様に、レール本体1の頭頂面111と車輪踏面41との接触位置は、頭頂面111及び車輪踏面41の各勾配曲線を用いて表すことができる。以下、頭頂面111及び車輪踏面41の各勾配曲線について説明する。
【0090】
図10は、鉄道車両の走行方向の位置P31aにおいて、レール本体1の頭頂面111及び車輪踏面41の各鉛直断面形状及び各勾配曲線を示す図である。図11は、鉄道車両の走行方向の位置P31bにおいて、レール本体1の頭頂面111及び車輪踏面41の各鉛直断面形状及び各勾配曲線を示す図である。図12は、鉄道車両の走行方向の位置P32bにおいて、レール本体1の頭頂面111及び車輪踏面41の各鉛直断面形状及び各勾配曲線を示す図である。図10図12では、車輪踏面41が円錐踏面である場合の例を示しているが、第1実施形態と同様、車輪踏面41の種類は特に限定されるものではない。
【0091】
図10に示すように、潤滑装置31の範囲内の位置P31aでは、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L31aは、軌道幅方向の位置x31aで車輪踏面41の勾配曲線Ltと交差する。これは、軌道幅方向の位置x31aで頭頂面111と車輪踏面41とが接触することを意味する。すなわち、軌道幅方向の位置x31aは、走行方向の位置P31aにおける頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C31a(図9)である。本実施形態では、軌道幅方向の位置x31aは、軌道幅方向においてレール本体1の中心軸A(図2)よりも内側にある。
【0092】
図11に示すように、潤滑装置31の範囲内の位置P31bでは、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L31bは、軌道幅方向の位置x31bで車輪踏面41の勾配曲線Ltと交差する。これは、軌道幅方向の位置x31bで頭頂面111と車輪踏面41とが接触することを意味する。すなわち、軌道幅方向の位置x31bは、走行方向の位置P31bにおける頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C31b(図9)である。本実施形態では、軌道幅方向の位置x31bは、軌道幅方向においてレール本体1の中心軸A(図2)の外側にある。
【0093】
潤滑装置32の範囲内の位置P32aにおけるレール本体1の頭頂面111の鉛直断面形状及び勾配曲線は、位置P31aにおけるもの(図10)と同様であるので、図示を省略する。
【0094】
図12に示すように、潤滑装置32の範囲内の位置P32bでは、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L32bは、軌道幅方向の位置x32bで車輪踏面41の勾配曲線Ltと交差する。これは、軌道幅方向の位置x32bで頭頂面111と車輪踏面41とが接触することを意味する。すなわち、軌道幅方向の位置x32bは、走行方向の位置P32bにおける頭頂面111と車輪踏面41との接触位置C32b(図9)である。本実施形態では、軌道幅方向の位置x32bは、軌道幅方向においてレール本体1の中心軸A(図2)の内側にある。
【0095】
図10図12を比較すると、レール本体1の頭頂面111の勾配曲線L31a,L31b,L32bが相違する。すなわち、レール本体1の頭頂面111の鉛直断面形状は、潤滑装置31,32の範囲内で変化する。
【0096】
本実施形態に係るレール10Bは、第1実施形態に係るレール10の構成と、第2実施形態に係るレール10Aの構成とを組み合わせた構成を有する。レール10Bでも、車輪踏面41のうち接触位置C31aから接触位置C32bまでの領域Yに、潤滑剤が広く付着する。よって、本実施形態によれば、第1及び第2実施形態と同様に、潤滑装置31,32による潤滑効果を向上させることができる。
【0097】
以上、実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
10,10A,10B:レール
1:レール本体
11:頭部
111:頭頂面
112,113:側面
3,31,32:潤滑装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13