特許第6866295号(P6866295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダラン エス.ピー.エー.の特許一覧

特許6866295薄帯状シートに対して高精度なレーザ切断を実行するための方法及び該方法を実行するための装置
<>
  • 特許6866295-薄帯状シートに対して高精度なレーザ切断を実行するための方法及び該方法を実行するための装置 図000002
  • 特許6866295-薄帯状シートに対して高精度なレーザ切断を実行するための方法及び該方法を実行するための装置 図000003
  • 特許6866295-薄帯状シートに対して高精度なレーザ切断を実行するための方法及び該方法を実行するための装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866295
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】薄帯状シートに対して高精度なレーザ切断を実行するための方法及び該方法を実行するための装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/04 20140101AFI20210419BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20210419BHJP
【FI】
   B23K26/04
   B23K26/38 Z
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-536955(P2017-536955)
(86)(22)【出願日】2016年6月16日
(65)【公表番号】特表2018-520002(P2018-520002A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】IB2016053571
(87)【国際公開番号】WO2016203419
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2019年5月17日
(31)【優先権主張番号】UB2015A001510
(32)【優先日】2015年6月18日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】506407545
【氏名又は名称】ダラン エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ダラン,アンドレア
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−036202(JP,A)
【文献】 特開平09−192865(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/065055(WO,A1)
【文献】 特開2002−059288(JP,A)
【文献】 特開昭63−056380(JP,A)
【文献】 特開2013−154383(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/131658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ切断ステーション(10)に位置決めされた、長さLu及び幅Leの薄帯状シート(4)に対して高精度なレーザ切断を実行するための方法であって:
・薄帯状シート(4)を、ひずみ取りローラユニット(6)に、そして次に、供給器(8)に供給するためのリール(2)であって、供給器(8)はレーザ切断ステーション(10)への供給を行う、リール(2)と、
・前記薄帯状シートを前進させるためのコンベヤ(16)と、
・前記レーザ切断ステーションにおいて長手方向の軸(X軸)及び前記レーザ切断ステーションにおいて横手方向の軸(Y軸)の両方に沿って移動可能な切断ヘッド(12)を有するレーザ切断ステーション(10)と、
・前記X軸及びY軸に沿って移動可能である前記切断ヘッド(12)に関して相互に固定された視覚システム(14)と、
・前記切断ヘッド(12)及び前記視覚システム(14)の移動を命令するソフトウェアに関連付けられた命令&制御センタと、
を備える方法において:
・前記命令&制御センタには、加工されるべき前記薄帯状シートに対応するCAD/CAM図面の座標が提供され、前記図面上に基準孔が設けられ、
・長さLu及び幅Leの前記薄帯状シート(4)は、前記レーザ切断ステーションの内部に供給され、
・前記コンベヤ(16)は停止され、且つ前記視覚システムは、前記命令&制御センタに、X軸及びY軸からなる座標系における、以前に決められた基準孔の座標X1、Y1を提供し、
・前記薄帯状シートを静止状態に維持しながら、前記命令&制御センタは、前記視覚システムを、前記薄帯状シートの長手方向縁部上の2つの点と一致する位置に移動させ、その結果として、再び前記座標系における、前記命令&制御センタに送信される2つの点X2Y2及びX3Y3を識別し、
・前記命令&制御センタによって受信されたデータに基づいて、且つ制御に関連付けられるソフトウェアに基づいて、該方法は、前記座標系の空間内で、点Oをどの座標に位置付けるかを決定し(前記CAD/CAM図面をデカルト軸に一致させること)、且つ前記軸をどの角形成に位置付けるかを決定し、その結果として、前記図面に表された前記薄帯状シートは薄帯状シートの長手方向縁部と一致する図面上の長手方向縁部を有し、且つ前記CAD/CAM図面に示された同じ孔と一致する孔を有し、
前記命令&制御センタは、前記視覚システム(14)から前記点の座標(x,y)に関するデータを受信し、前記データを長さLu及び幅LeのシートのCAD/CAM図面のデータと比較し、且つ前記レーザ切断ステーションの駆動手段に命令を出し、その結果として得られる値と理想的な値との間の違いを考慮しながらレーザ切断を実施する、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記薄帯状シートの前縁上の点を基準点として用いること、及び、
座標系を作成するなどのために、前記命令&制御センタに、加工されるべき薄帯状シートに対応するCAD/CAM図面の座標を提供すること、
・前記視覚システムを、前記レーザ切断ステーションの出口端部に対応する位置に位置決めすること、
・前記視覚システムが前記薄帯状シートの前縁を識別するまで、長さLu及び幅Leの前記薄帯状シート又は幅Leの薄帯を前記レーザ切断ステーションの中に導入すること、
・前記コンベヤを停止させ、且つ前記命令&制御センタに、前記座標系における、前記薄帯状シートの前記前縁の点の前記座標X1、Y1を提供すること、
によって特徴付けられ、
・前記薄帯状シートを静止状態に維持しながら、前記命令&制御センタは、前記視覚システムを、前記薄帯状シートの長手方向縁部上の2つの点と一致する位置に移動させ、その結果として、再び前記座標系における、前記命令&制御センタに送信される2つの点X2Y2及びX3Y3を識別し、
・前記命令&制御センタによって受信されたデータに基づいて、且つ制御に関連付けられるソフトウェアに基づいて、該方法は、前記デカルト基準系の空間内で、点Oをどの座標に位置付けるかを決定し(前記デカルト軸の一致)、且つ前記軸をどの角形成に位置付けるかを決定し、その結果として、前記図面に表された前記薄帯状シートは、前記薄帯状シートの長手方向縁部と一致する図面上の長手方向縁部を有し、且つ前記薄帯状シートの前縁と一致する図面上の前縁を有し、
・前記命令&制御センタは、前記視覚システム(14)から前記点の座標(x,y)に関するデータを受信し、前記データを長さLu及び幅LeのシートのCAD/CAM図面のデータと比較し、且つ前記レーザ切断ステーションの駆動手段に命令を出し、その結果として前記得られる値と前記理想的な値との間の違いを考慮しながら、レーザ切断を実行する、
ことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の前記方法を履行するための装置であって:
・長さLu及び幅Leの薄帯状シート(4)を供給するためのユニット(2,6,8)と、
・コンベヤ(16)及び、前記薄帯状シートを切断するための切断ヘッド(12)を備えたレーザ切断ステーション(10)であって、前記切断ヘッド(12)は、自身を前記レーザ切断ステーションの長手方向軸(X)及び横手方向軸(Y)に沿って駆動するための手段を備えている、レーザ切断ステーション(10)と、
・前記切断ヘッド(12)に関して相互に固定された視覚システム(14)であって、該視覚システム(14)は、前記薄帯状シートの長手方向縁部の2つの点の位置、及び少なくとも1つの基準点の位置を見るために、前記レーザ切断ステーションの前記長手方向軸(X)及び前記横手方向軸(Y)に沿って移動可能である、視覚システム(14)と、
・命令&制御センタであって、該命令&制御センタは、前記視覚システム(14)から前記点の座標(x,y)に関するデータを受信し、該データを長さLu及び幅LeのシートのCAD/CAM図面のデータと比較し、且つ前記レーザ切断ステーションの駆動手段に命令を出し、その結果として、見たままの点の基準点からの偏差を考慮しながら動作を実施する、命令&制御センタと、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記切断ヘッド(12)と前記視覚システム(14)が相互に固定されていることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄帯状シートに対して高精度なレーザ切断を実行するための方法、及び該方法を実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
巻物を加工する既知の方法では、薄帯は、リールから解かれ、ひずみ取りローラユニットを通過させられ、且つシートを形成するために切断されるが、ここで該シートは、完成片を得るためのレーザ切断動作を受ける。
【0003】
この方法は、しかしながら、次の点において精度信頼性が十分ではない。即ち、反り、湾曲又は段差のような、巻物の幾何学的特性及び本質的な公差のために、及び機械の中で予想できない巻物の位置の幾何学的特性及び本質的な公差のために、レーザ切断動作が、薄帯の位置/寸法、及び/又は薄帯上の前から存在する任意の加工/穿孔に精度良く対応する、ということは常に保証され得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、コンベヤベルトに載っているシート/薄帯の、その理想的位置に対する位置決めを検証することによって、これらの欠点を除去することである。この場合、該理想的位置に対して、切断動作がプログラムされているが、そのやり方は、シート/薄帯の任意の変位、及び/又は前から存在する任意の加工の正確な位置を考慮しながら、これらのプログラムされた動作を実行するという具合である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に説明されるような方法によって、本発明に従って達成される。
【0006】
本発明は、添付図面を参照しながら、以下で更に明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明による方法を履行するための装置の横方向の模式図である。
図2】本発明による方法を履行するための装置の第2実施形態を示すものである。
図3】レーザヘッドの切断領域内で実行される一連の動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図から分かるように、本発明による方法は、図1に示される装置を使用する。この装置はリール2を備えるが、リール2は、巻物薄帯4を、ひずみ取りローラユニット6に、そして次に、供給器8に供給するためのものであり、ここで供給器8は、レーザ切断ステーション10への供給を行う。
【0009】
切断ステーション10は、伝統的なデカルト運動系に従って移動可能である切断ヘッド12を収容し、ここで該デカルト運動系は、ステーションに対して長手方向の軸(X軸)、及びステーションに対して横手方向の軸(Y軸)の両方に沿っている。視覚システム14は、ステーションに据え付けられている。
【0010】
変更された実施形態において(図に示されていない)、視覚システム14及び切断ヘッド12は、相互に固定されている。
【0011】
ソフトウェアプログラムは、視覚システム14に関連付けられ、その結果として、命令&制御センタ(図に示されていない)によって、切断ヘッド12はステーション10内を移動するようになる。
【0012】
コンベヤベルト16は、薄帯を前進させるために、ステーション10の中に提供されるが、これは、例えば行者ベッド型のものである。
【0013】
本発明による装置は、次のやり方で動作する。即ち、命令&制御センタは、長さLu及び幅Leの、加工されるべき薄帯状シートを示すCAD/CAM図面の座標を受信する。後に続く説明では、前縁は、切断ステーション出口に最も近いものである。
【0014】
視覚システム14は、その後、切断ステーション10の出口端部に一致する位置に位置決めされる。リール2を離れる巻物薄帯4は、ひずみ取りローラユニット6を通過させられ、且つ、その後、切断ステーション10に供給され、切断ステーション10では、視覚システム14が薄帯の前縁を識別するまで、薄帯は前進する。命令&制御センタは、その後、コンベヤ16を停止させ、且つ視覚システム14は、該センタに、この前縁上の点の、機械デカルト基準系における座標X1、Y1を提供する。薄帯状シートが依然として静止している状態で、視覚システム14は、薄帯長手方向縁部に一致する位置に位置決めされ、その結果として、該位置の上に機械デカルト基準系における2つの点の座標X2、Y2及びX3、Y3をそれぞれ決定するが、このデータもまた命令&制御センタに提供される。
【0015】
受信されたデータに基づいて、命令&制御センタは、機械デカルト基準系の空間内に、CAD/CAM図面のゼロ点を設定するべき座標、及びこれらの軸を位置付けるべき角形成を決定し、その結果として、図面の中で表される薄帯状シートは、薄帯状シートの長手方向縁部に一致する図面上の長手方向縁部を有し、且つシートの前縁に一致する図面上の前縁を有する。
【0016】
特に、傾斜に関する巻物の角度を決定するのに、長手方向縁部の座標X2Y2;X3Y3が使用され、且つ、この故に、該傾斜は、生産されるべき製品に適用される。この角度及び座標X1、Y1(前縁)を知ることによって、命令&制御センタはまた、巻物の前縁が存在する直線の方程式を決定し、且つ薄帯状シートを示すCAD/CAM図面の縁部は、これに対応するようになる。
【0017】
命令&制御センタは、シートの寸法Lu及びLeを知ることによって、CAD/CAM図面のゼロ点の位置を、機械基準系のどの座標に位置付けるかを一意的に計算し、その結果として、該ゼロ点の位置は、薄帯状シート上に完全に再現されるようになる。
【0018】
変更された実施形態において、本方法によって、命令&制御センタは、加工されるべき薄帯状シートの図面を提供されるようになり、且つ基準孔の絶対位置、及び長手方向縁部上の2つの点の絶対位置を提供されるようになる。
【0019】
更なる実施形態において、本方法によって、命令&制御センタは、2つの基準孔を備えた薄帯状シートの図面を提供されるようになる。このように、視覚システムは、これら2つの孔の絶対位置を、CAD/CAM図面に示された寸法と比較する。
【0020】
更なる実施形態において、本方法によって、命令&制御センタは、加工されるべき薄帯状シートの図面を、2つの縦に整列した連続的な穿孔配列の開始の位置を、及び長手方向縁部を、提供されるようになる。この実施形態において、本方法は、機械基準系における、2つの微小穿孔部分のX、Y寸法を得るために、2つの穿孔配列のX、Y座標を決定するが、この決定は、最初の仮定のように、2つの穿孔が完全に縦に配設されることを知っていることによる。前述の決定された寸法を用いることによって、現在の材料の傾斜角度を決定することが可能であり(該角度は、それ故に、製品の生産角でもある)、この傾斜は、長手方向縁部上の点のX、Y決定と共に、CAD/CAM図面の点Oが一意的に識別されることを可能にし、その結果として、該点Oは、薄帯状シート上で、及び現存する穿孔上でぴったりと合う。
図1
図2
図3