特許第6866360号(P6866360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866360
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】立体物を製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/255 20170101AFI20210419BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20210419BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20210419BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20210419BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20210419BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210419BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210419BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20210419BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20210419BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   B29C64/255
   B29C64/321
   B29C64/153
   B29C64/268
   B29C64/205
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B33Y50/02
   B22F3/105
   B22F3/16
【請求項の数】29
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-516111(P2018-516111)
(86)(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公表番号】特表2018-530459(P2018-530459A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2016072424
(87)【国際公開番号】WO2017063829
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2019年9月20日
(31)【優先権主張番号】62/241,950
(32)【優先日】2015年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/268,849
(32)【優先日】2016年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/268,865
(32)【優先日】2016年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513089497
【氏名又は名称】ア−カム アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カールソン クリストファー
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0224712(US,A1)
【文献】 特表2008−538333(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/058160(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して三次元物体を層単位で製造するための装置(100)であって、
前記装置(100)は、
粉末材料の複数の層がその上に載置される作業領域(190)と、
底面(130)から離れた位置にある開口部(160)を備えた粉末貯蔵ユニット(110)であって、前記底面(130)は前記粉末貯蔵ユニット(110)内の供給粉末を支持する、粉末貯蔵ユニット(110)と、
粉末分配部材(185)と、
前記粉末分配部材(185)よりも上方に位置する枢動軸(140)と、
を備え、
前記底面(130)は前記作業領域(190)の一辺に沿って延在し、
前記粉末分配部材(185)は前記底面(130)と前記作業領域(190)の前記一辺とに沿って延在し、前記作業領域(190)にほぼ平行に前記作業領域(190)の上方の平面を移動可能であるように配置され、
枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、一部の粉末を前記底面(130)から前記粉末分配部材(185)と前記作業領域(190)との間の位置に移動させ、前記粉末分配部材(185)は、前記一部の粉末を前記作業領域(190)上に分配するように、前記作業領域(190)に向かって、更には前記作業領域(190)を横切って、移動可能であるように更に配置され、
前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)の第1の部分(170)は、前記粉末分配部材(185)の前記枢動軸(140)への接近と連動して、第1の終端位置と第2の終端位置との間の行程で前記粉末分配部材(185)の下を前記枢動軸(140)の廻りを回転移動可能であり、前記作業領域(190)上に移送される粉末の量は、前記第1の部分(170)の行程の長さに依存する、
装置。
【請求項2】
前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、前記粉末分配部材(185)によって機械的に作動される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、電気的に作動され、制御ユニットによって制御される、請求項1に記載の装置
【請求項4】
記枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、その枢動行程の一部分の間、前記粉末貯蔵ユニット(110)から前記底面(130)上への粉末流を遮断する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
記装置(100)は、第1および第2の粉末貯蔵ユニットを備え、前記第1および第2の粉末貯蔵ユニットは、前記第1および第2粉末貯蔵ユニットからの供給粉末を支持するための第1の底面および第2の底面をそれぞれ備え、前記第1および第2粉末貯蔵ユニットは、前記作業領域の両端に配置され、前記作業領域(190)に基本的に平行な表面を有するネット(180)は、前記底面の一部分の上方に前記一部分から距離を置いて設けられ、前記ネット(180)は、最後の粉末分配後に余分な粉末を濾過するために使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記底面(130)は、湾曲形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
記作業領域(190)は、鉛直方向に調整可能なプラットフォーム上に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
記エネルギービームは、電磁ビームまたは電子ビームである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
粉末分配部材(185)は、前記底面(130)に向かう第1の方向に前記底面(130)の上方を移動可能であり、
前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)の前記第1の部分(170)は、前記作業領域(190)に向かう第2の方向に移動可能であり、前記第1の部分(170)が1つの地点において前記粉末分配部材(185)の下を移動するように、第1および第2の方向は互いに対して逆方向である、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
粉末分配部材(185)は、第1の方向に並進移動可能であり、
前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)の前記第1の部分(170)は、第2の方向に湾曲軌道で移動可能である、
請求項に記載の装置。
【請求項11】
粉末分配部材(185)は、グリップアーム(150)を更に備え、
前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)は接触部材(154)を更に備え、
前記接触部材(154)と前記グリップアーム(150)との間の接触は、前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)の前記第1の部分(170)の移動を強いる、
請求項に記載の装置。
【請求項12】
記接触部材(154)と前記グリップアーム(150)との間の前記接触は、前記粉末分配部材(185)が前記底面(130)の上に位置付けられているときにのみ生じる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
粉末分配部材(185)は、グリップアーム(150)を更に備え、
前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、接触部材(154)を更に備え、
前記接触部材(154)と前記グリップアーム(150)との間の接触は、前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)の前記第1の部分(170)の移動を強いる、
請求項1に記載の装置。
【請求項14】
記接触部材(154)と前記グリップアーム(150)との間の前記接触は、前記粉末分配部材(185)が前記底面(130)の上に位置決付けられているときにのみ生じる、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
記装置は、前記粉末分配部材(185)が更に前記底面(130)の上に位置付けられているときに、前記底面(130)の上方、前記粉末分配部材(185)と前記底面(130)との間の中間に位置付けられたネット(180)を更に備え、
前記ネット(180)は、余分な粉末材料を通過させて前記底面(130)に落とすように構成され、
前記ネット(180)は、粉末凝集物および/または金属薄片の通過を防止するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項16】
ット(180)は、前記粉末分配部材(185)が前記底面(130)の上方に位置付けられているときに、前記粉末分配部材(185)と前記底面(130)との間の中間に更に位置付けられる、請求項に記載の装置。
【請求項17】
ネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して立体物を層単位で製造するための、コンピュータによって実現される方法であって、前記方法は、
開口部を備えた粉末貯蔵ユニットを底面から離して設けるステップであって、前記底面は前記粉末貯蔵ユニット内の供給粉末を支持している、ステップと、
枢動式粉末押し出しデバイスによって所定量の粉末を前記底面から粉末分配部材と、前記粉末材料の複数の層がその上に載置される作業領域との間の位置に移動させるステップと、
粉末材料の層を形成するために粉末部分を前記作業領域上に分配するように前記粉末分配部材を前記作業領域に向けて、更には前記作業領域を横切って、移動させるステップと、を含み、
前記枢動式粉末押し出しデバイスの一部分は、第1の終端位置と第2の終端位置との間の行程で前記粉末分配部材の下を、前記粉末分配部材よりも上方に位置する枢動軸への前記粉末分配部材の接近と連動して、前記枢動軸の廻りを回転移動可能であり、前記作業領域の上に移送される粉末の量は、前記一部分の行程の長さに依存する、
方法
【請求項18】
記枢動式粉末押し出しデバイスを前記粉末分配部材によって機械的に作動するステップを更に含む、請求項17に記載の方法
【請求項19】
記枢動式粉末押し出しデバイスを電気的に作動し、前記作動を制御ユニットによって制御するステップを更に含む、請求項17に記載の方法
【請求項20】
記枢動式粉末押し出しデバイスのための枢動軸を前記底面の上方に配置するステップを更に含む、請求項17に記載の方法
【請求項21】
記枢動式粉末押し出しデバイスによって、その枢動行程の一部分の間、前記粉末貯蔵ユニットから前記底面上への粉末流を遮断するステップを更に含む、請求項17に記載の方法
【請求項22】
前記底面は、湾曲形状を有する、請求項17に記載の方法
【請求項23】
記作業領域を鉛直方向に調整可能なプラットフォーム上に設けるステップを更に含む、請求項17に記載の方法
【請求項24】
記エネルギービームは、電磁ビームまたは電子ビームである、請求項17に記載の方法
【請求項25】
動式粉末押し出しデバイスによって所定量の粉末を前記底面から前記粉末分配部材と前記作業領域との間の位置に移動させる前記ステップは、
前記粉末分配部材(185)を前記底面(130)に向かう第1の方向に前記底面(130)の上を移動させるサブステップと、
前記サブステップと同時に、前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)の第1の部分(170)が1つの地点において前記粉末分配部材(185)の下を移動するように、前記第1の部分(170)を前記作業領域(190)に向かう第2の方向に移動させるサブステップであって、前記第1および第2の方向は互いに対して逆方向である、サブステップとを含む、
請求項17に記載の方法
【請求項26】
粉末分配部材(185)は、グリップアーム(150)を更に備え、
前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、接触部材(154)を更に備え、
前記接触部材(154)と前記グリップアーム(150)との間の接触は、前記枢動式粉末押し出しデバイス(125)の前記第1の部分(170)を第2の方向に移動させる、
請求項25に記載の方法
【請求項27】
記接触部材(154)と前記グリップアーム(150)との間の前記接触は、前記粉末分配部材(185)が前記底面(130)の上に位置付けられているときにのみ生じる、請求項26に記載の方法
【請求項28】
記底面からの粉末の前記所定量を粉末材料の先行層の溶融面積に応じて変化させるステップを更に含む、請求項17に記載の方法
【請求項29】
数のコンピュータ可読プログラムコード部分が埋め込まれた非一時的コンピュータ可読記憶媒体を少なくとも1つ備えたコンピュータプログラム製品であって、前記複数のコンピュータ可読プログラムコード部分は少なくとも1つの実行可能部分を備え、前記少なくとも1つの実行可能部分は、
開口部を備えた粉末貯蔵ユニットを底面から離して設けるステップであって、前記底面は前記粉末貯蔵ユニット内の供給粉末を支持しているステップと、
枢動式粉末押し出しデバイスによって、所定量の粉末を前記底面から粉末分配部材と、粉末材料の複数の層がその上に載置される作業領域との間の位置に移動させるステップと、
前記粉末材料の層を形成するために粉末部分を前記作業領域上に分配するように前記粉末分配部材を前記作業領域に向けて、更には前記作業領域を横切って、移動させるステップと、
を行うように構成され、
前記枢動式粉末押し出しデバイスの一部分は、第1の終端位置と第2の終端位置との間の行程で前記粉末分配部材の下を、前記粉末分配部材よりも上方に位置する枢動軸への前記粉末分配部材の接近と連動して、前記枢動軸の廻りを回転移動可能であり、前記作業領域の上に移送される粉末の量は、前記一部分の行程の長さに依存する、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して三次元物体を層単位で製造するための方法および装置に関する。特に、本発明は、粉末の層単位の塗布に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁放射線または電子ビームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して三次元物体を層単位で製造するための設備は、例えば特許文献1〜3から公知である。このような設備は、例えば、粉末供給源と、作業領域に粉末層を塗布する手段と、作業領域上にビームを方向付ける手段とを含む。ビームが作業領域の上を移動するに伴い、粉末は焼結または溶融し、凝固する。製品品質の理由から、粉末は作業領域全体に均等に分配されること、および層厚が明確であり、所定の値に一致することが重要である。更に、製造速度をできる限り高く維持するために、層が素早く塗布されると有利である。
【0003】
伝統的な粉末塗布手段は、一般に、供給部材と分配部材とを含み、前者は一定量の粉末を粉末供給源から分配部材へ搬送する。分配部材は、次にこの粉末を作業領域全体に分配する。
【0004】
粉末塗布手段が作動する状況は劣悪であり、温度が高く、粉末微粒子は開口部および隙間の中へと飛散し、蒸発した粉末材料が凝縮して被膜などを形成する。
【0005】
特許文献4は、供給粉末が作業領域の片側において高さ調整が可能な板の形態の供給部材上に蓄積される粉末塗布システムを開示している。分配レーキへの粉末の供給は、a)レーキを作業領域から粉末供給部上に横方向に移動させ、b)一部の粉末がレーキの下側より上方に位置付けられるように粉末供給板を上昇させ、c)前記一部の粉末を作業領域に向けて移送するように、レーキを粉末供給部に向けて、更には粉末供給部を横切って、移動させることによって、行われる。同様のシステムが特許文献5に開示されている。このようなシステムの一欠点は、所要空間が相対的に大きいことである。
【0006】
特許文献6は、別の粉末塗布システムを開示している。このシステムにおいては、作業領域に面している供給粉末の側面に安息角を形成するように開口して供給粉末が配置されている。分配レーキの遠方側から作業領域に面する側にレーキを越えて流れる一部の粉末の移送をもたらすように、分配レーキは供給粉末に向かって、更には供給粉末の中へと一定距離移動できるように配置されている。第2工程において、一部の粉末を作業領域上に分配するように、分配レーキは作業領域に向けて、更には作業領域を横切って、移動される。このシステムの一利点は、粉末を分配レーキに供給するために機械的に作動される供給部材を必要としないことである。
【0007】
流動し難い特定種類の粉末を使用する場合、特許文献6に開示されているデバイスでは問題が生じ得る。例えば、レーキが供給粉末の中に移動されたときに粉末がレーキの上に留まり得るので、レーキを越えて移送される部分の粉末量が変動し得る。
【0008】
特許文献7には、粉末貯蔵ユニットからの供給粉末を支持するための底面が弾性である、更に別の粉末塗布システムが開示されている。この設計の一欠点は、レーキを供給粉末の中まで移動させる必要があるため、粉末分配部材に対して不要な力が生じることである。別の問題は、粉末が粉末分配部材の裏面に付着し得ることである。この粉末は、新しく分配された粉末層上に落下し、これにより、その表面仕上げを悪化させ得る。
【0009】
したがって、この分野における改良が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4863538号
【特許文献2】米国特許第5647931号
【特許文献3】スウェーデン国特許第524467号
【特許文献4】特開2003−245981号
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0084814号
【特許文献6】国際公開第2006/121374号
【特許文献7】国際公開第2010/095987号
【発明の概要】
【0011】
本発明の一目的は、従来の設備に比べ、向上された粉末塗布特性を示す、三次元物体を層単位で製造するための設備を提供することである。この目的は、独立請求項に含まれている技術的特徴によって規定される装置および方法によって達成される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態、更なる発展、および変形例を含んでいる。
【0012】
本発明の第1の側面においては、電磁放射線または電子ビームなどのエネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して三次元物体を層単位で製造するための装置(100)が提供される。この装置は、粉末材料の複数の層がその上に載置される作業領域と、底面から離れた位置にある開口部を備えた粉末貯蔵ユニットであって、底面は粉末貯蔵ユニット内の供給粉末を支持している、粉末貯蔵ユニットと、粉末分配部材と、一部の粉末を底面から分配部材と作業領域との間の位置に移動させるための枢動式粉末押し出しデバイスとを備える。底面は作業領域の一辺に沿って延在する。分配部材は底面および作業領域の当該一辺に沿った方向に延在し、作業領域にほぼ平行に作業領域の上方の平面を移動可能であるように配置される。分配部材は、当該粉末部分を作業領域上に分配するように、作業領域に向かって、更には作業領域を横切って、移動可能であるように更に配置される。枢動式粉末押し出しデバイスの第1の部分が分配部材の下を移動可能である。
【0013】
従来技術の設計のデバイスに比べ、本発明の設計は、特に流動性が低い粉末の使用時に移送される粉末部分のサイズをより良好に制御できる。この向上された制御の理由の1つは、枢動式粉末押し出しデバイスによって粉末が分配部材の下方で移送されるので、粉末部分が層として実際に形成されるときまで、粉末部分と粉末分配部材との物理的接触が切り離されているからである。別の理由は、本発明の装置は、粉末の流動性条件に殆ど依存しないので、粉末分配部材の前方に供給される粉末の種類に影響され難いことによる。これは、移送される粉末部分のサイズをより精確に制御できることを意味する。本発明の別の利点は、作業領域上に分配される粉末の量を測定するための粉末センサを不要にし得ることである。本発明の更に別の利点は、レーキのほぼ如何なる設計でも使用され得ることである。
【0014】
本発明のさまざまな例示的実施形態において、枢動式粉末押し出しデバイスは分配部材によって機械的に作動される。少なくともこの実施形態の一例示的利点は、単純且つ堅牢であることである。
【0015】
本発明のさまざまな例示的実施形態において、枢動式粉末押し出しデバイスは電気的に作動され、制御ユニットによって制御される。少なくともこの実施形態の一例示的利点は、設計が極めてコンパクトであり得ることである。
【0016】
本発明のさまざまな例示的実施形態において、枢動式粉末押し出しデバイスのための枢動軸が底面の上方に設けられる。少なくともこの実施形態の一例示的利点は、枢動式粉末押し出しデバイスの第1の部分より上方でレーキを移動可能にするための簡単な解決策を提供することである。
【0017】
本発明のさまざまな例示的実施形態において、枢動式粉末押し出しデバイスは、その枢動行程の一部分の間、粉末貯蔵ユニットから底面上への粉末流を遮断する。少なくともこの実施形態の一例示的利点は、枢動式粉末押し出しデバイスによって粉末貯蔵ユニットからの粉末流が調節され得ることである。
【0018】
本発明のさまざまな例示的実施形態において、本装置は、第1の底面および第2の底面をそれぞれ備えた第1および第2の粉末貯蔵ユニットを備える。第1の底面および第2の底面は、第1および第2の粉末貯蔵ユニットからの供給粉末をそれぞれ支持する。第1および第2の粉末貯蔵ユニットは作業領域の両端に配置される。底面の一部分の上方に、この部分から距離を置いてネットが設けられる。ネットは、作業領域に基本的に平行な表面を有し、最後の粉末分配の後の余分な粉末を濾過するために使用される。少なくともこの実施形態の一例示的利点は、最後の粉末分配の後の余分な粉末がその後の粉末分配において再使用され得ることである。これは、積層造形プロセス中に粉末材料のこぼれが皆無か極めて少ないことを意味する。
【0019】
本発明のさまざまな例示的実施形態において、粉末供給底面は湾曲形状を有する。少なくともこの実施形態の一例示的利点は、この曲面は、枢動式粉末押し出しデバイスの第1の部分の枢動行程と同様の曲率半径を有し得ることである。これは、第1の部分は、その行程中、この曲面から所定の距離に配置され得ること、これにより、粉末テーブル上に、すなわち分配部材と作業領域との間の位置に、供給される粉末量の正確さを向上させ得ることを意味する。
【0020】
さまざまな例示的実施形態において、作業領域は、鉛直方向に調整可能なプラットフォーム上に位置する。少なくともこの実施形態の一例示的利点は、本発明は、粉末を使用する層単位の積層造形デバイスであれば如何なる種類のデバイスにも適し得ることである。エネルギービーム源は、1つまたは複数の電子ビーム源および/または1つまたは複数のレーザビーム源であり得る。
【0021】
本発明の別の側面においては、電磁放射線または電子ビームなどのエネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して立体物を層単位で製造する方法が提供される。本方法は、開口部を備えた粉末貯蔵ユニットを底面から離して設けるステップであって、底面は粉末貯蔵ユニット内の供給粉末を支持している、ステップと、枢動式粉末押し出しデバイスによって所定量の粉末を底面から分配部材と作業領域との間の位置に移動させるステップと、粉末材料の層を形成するために前記粉末部分を作業領域上に分配するように、分配部材を作業領域に向けて、更には作業領域を横切って、移動させるステップとを含む。枢動式粉末押し出しデバイスの一部分は、分配部材の下を移動可能である。
【0022】
本発明の更に別の側面においては、複数のコンピュータ可読プログラムコード部分が埋め込まれた非一時的コンピュータ可読記憶媒体を少なくとも1つ備えたコンピュータプログラム製品が提供される。これらコンピュータ可読プログラムコード部分は、少なくとも1つの実行可能部分を備える。この少なくとも1つの実行可能部分は、開口部を備えた粉末貯蔵ユニットを底面から離して設けるステップであって、底面は粉末貯蔵ユニット内の供給粉末を支持している、ステップと、枢動式粉末押し出しデバイスによって所定量の粉末を底面から分配部材と作業領域との間の位置に移動させるステップと、粉末材料の層を形成するために前記粉末部分を作業領域上に分配するように、分配部材を作業領域に向けて、更には作業領域を横切って、移動させるステップとを行うように構成される。枢動式粉末押し出しデバイスの一部分は、分配部材の下を移動可能である。
【0023】
本発明の更に別の側面においては、エネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して三次元物体を層単位で製造するための装置(100)の底面(130)から当該装置の分配部材(185)と作業領域(190)との間の位置に一部の粉末を移動させるための枢動式粉末押し出しデバイス(125)が提供される。枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、第1の部分(170)と接触部材(154)とを備える。接触部材(154)は、分配部材(185)が底面(130)の上方に少なくとも部分的に位置付けられているときに、分配部材(185)のグリップアーム(150)に作動的に係合するように構成される。枢動式粉末押し出しデバイス(125)の第1の部分(170)が分配部材(185)の下を通過するように、第1の部分(170)は、グリップアーム(150)と接触部材(154)との係合によって、分配部材(185)の移動方向とは逆の第1の方向に移動される。
【0024】
本発明の更に別の側面においては、電磁放射線または電子ビームなどのエネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して三次元物体を層単位で製造するための(and)装置(100)が提供される。装置(100)は、当該装置の底面(130)から当該装置の分配部材(185)と当該装置の作業領域(190)との間の位置に一部の粉末を移動させるための枢動式粉末押し出しデバイス(125)を備える。枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、第1の部分(170)と接触部材(154)とを備える。接触部材(154)は、分配部材(185)が底面(130)の上方に少なくとも部分的に位置付けられているときに、分配部材(185)のグリップアーム(150)に作動的に係合するように構成される。枢動式粉末押し出しデバイス(125)の第1の部分(170)が分配部材(185)の下を通過するように、第1の部分(170)は、グリップアーム(150)と接触部材(154)との係合によって、分配部材(185)の移動方向とは逆の第1の方向に移動される。
【0025】
本発明の更に別の側面においては、電磁放射線または電子ビームなどのエネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して立体物を層単位で製造するための、コンピュータによって実現される方法が提供される。本方法は、開口部を備えた粉末貯蔵ユニットを底面から離して設けるステップであって、底面は粉末貯蔵ユニット内の供給粉末を支持している、ステップと、枢動式粉末押し出しデバイスによって所定量の粉末を底面から分配部材と作業領域との間の位置に移動させるステップと、粉末材料の層を形成するために前記粉末部分を作業領域上に分配するように、分配部材を作業領域に向けて、更には作業領域を横切って、移動させるステップとを含む。枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、第1の部分(170)と接触部材(154)とを備える。接触部材(154)は、分配部材(185)が底面(130)の上方に少なくとも部分的に位置付けられているときに、分配部材(185)のグリップアーム(150)に作動的に係合するように構成される。枢動式粉末押し出しデバイス(125)の第1の部分(170)が分配部材(185)の下を通過するように、第1の部分(170)はグリップアーム(150)と接触部材(154)との係合によって、分配部材(185)の移動方向とは逆の第1の方向に移動される。
【0026】
本発明の更に別の側面においては、複数のコンピュータ可読プログラムコード部分が埋め込まれた非一時的コンピュータ可読記憶媒体を少なくとも1つ備えたコンピュータプログラム製品が提供される。これらコンピュータ可読プログラムコード部分は、少なくとも1つの実行可能部分を備える。この少なくとも1つの実行可能部分は、開口部を備えた粉末貯蔵ユニットを底面から離して設けるステップであって、底面は粉末貯蔵ユニット内の供給粉末を支持している、ステップと、枢動式粉末押し出しデバイスによって所定量の粉末を底面から分配部材と作業領域との間の位置に移動させるステップと、粉末材料の層を形成するために前記粉末部分を作業領域上に分配するように分配部材を作業領域に向けて、更には作業領域を横切って、移動させるステップとを行うように構成される。枢動式粉末押し出しデバイス(125)は、第1の部分(170)と接触部材(154)とを備える。接触部材(154)は、分配部材(185)が底面(130)の上方に少なくとも部分的に位置付けられているときに、分配部材(185)のグリップアーム(150)に作動的に係合するように構成される。枢動式粉末押し出しデバイス(125)の第1の部分(170)が分配部材(185)の下を通過するように、第1の部分(170)は、グリップアーム(150)と接触部材(154)との係合によって、分配部材(185)の移動方向とは逆の第1の方向に移動される。
【0027】
本発明の方法の少なくともこの実施形態および他のさまざまな例示的実施形態の一例示的利点は、対応する装置の実施形態と同じである。
【0028】
以下においては、添付の図面を参照して本発明を非制限的に更に説明する。図面のいくつかの図にわたって、対応する同様の部分を示すために、同じ参照符号が使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】枢動式粉末押し出し要素が第1の終端位置にあるときの本発明の一例示的実施形態を前方左側の概略斜視図で示す。
図1B】枢動式粉末押し出し要素が第1の終端位置にあるときの本発明の一例示的実施形態を前方左側の略断面図で示す。
図2A】枢動式粉末押し出し要素が第2の終端位置にあるときの本発明の一例示的実施形態を前方左側の略斜視図で示す。
図2B】枢動式粉末押し出し要素が第2の終端位置にあるときの本発明の一例示的実施形態を前方左側の略断面図で示す。
図3】本発明による方法の一例示的実施形態の概略フローチャートを示す。
図4】本発明のさまざまな実施形態による一例示的システムのブロック図である。
図5A】本発明のさまざまな実施形態によるサーバの概略ブロック図である。
図5B】本発明のさまざまな実施形態による一例示的モバイルデバイスの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。ここで定義されている用語は、本発明に関連する分野の当業者によって共通に理解される意味を有する。
【0031】
「a」、「an」、および「the」などの用語は、単一の実体のみを指そうとするものではなく、説明のためにその具体的な例が使用され得る一般的クラスを含むものとする。本願明細書における用語は、本発明の具体的な実施形態を説明するために使用されているが、特許請求の範囲に記述されている場合を除き、これら用語の使用は本発明を限定するものではない。
【0032】
本願明細書で使用されている用語「三次元構造」およびこれに類するものは、全般的には、特定の目的のために使用されるように意図された、または実際に製造された、(例えば、1つ以上の構造材の)三次元構成を指す。このような構造等は、例えば三次元CADシステムの助けを借りて、設計され得る。
【0033】
本願明細書においてさまざまな実施形態で使用されている用語「電子ビーム」は、何れかの荷電粒子ビームを指す。荷電粒子ビーム源は、電子銃、直線加速器、等々を含む。
【0034】
図1A〜Bおよび図2A〜Bは、本発明の第1の例示的実施形態の構成要素および機能を示す。これらの図に示されているように、本発明の装置100は、ほぼ平坦な作業テーブル195の上に配置された粉末塗布システムを備える。このシステムは、作業テーブル195の切り抜きに嵌まる鉛直方向に調整可能なプラットフォームの上に位置する作業領域190の片側に配置された粉末貯蔵ユニット110を備える。
【0035】
粉末貯蔵ユニット110は、供給粉末を収容するように適合化される。ここでレーキの形態の分配部材185が作業領域190に沿って延在する。分配部材185は、その延在方向に垂直な方向に、作業領域190を横切って作業領域190の僅か上方の平面を移動可能であるように、複数のガイド(図示せず)によって配置され得る。
【0036】
放射線源(図示せず)が作業領域190の上方に距離を置いて従来どおり配置される。作業領域190は、粉末を凝固させるために使用される電磁放射線または電子ビームの標的領域として機能する。電子ビームが使用される場合は、気体分子が電子ビームに干渉することを回避するために、積層造形プロセスは完全に閉囲されて密閉され、真空排気される。
【0037】
粉末貯蔵ユニット110は、その対応する供給粉末と共に、作業領域190の一辺に沿ってレーキまたは粉末分配部材185にほぼ平行な方向に延在する。粉末貯蔵ユニット110は、支持用底面130と共に、粉末貯蔵ユニット110を限定する複数の部分を規定し、供給粉末を然るべき位置に維持する。支持用底面130は、所定の曲率半径の曲面を有し得る。粉末貯蔵ユニット110は、粉末貯蔵ユニット110の開口部160を底面130の上方に距離を置いて位置付けることによって、開口するように配置される。これにより、湾曲した底面130によって規定された容積を供給粉末の下方部分が作業テーブル195に平行な高さまで少なくとも部分的に自由に満たすことができるという効果がある。粉末貯蔵ユニット110の充填または再充填は上から行われ得る。
【0038】
次に、装置100の粉末塗布システムの機能を説明する。図1A〜Bおよび図2A〜Bは、三次元物体の製造に関する初期状態を示す。すなわち、作業領域190への第1層の粉末の塗布を容易にするように、作業領域190は作業テーブル195の高さより僅かに下の位置に調整されている。
【0039】
図1Aは、枢動式粉末押し出し要素が第1の終端位置にあるときの本発明の一例示的実施形態の前方左側の略斜視図を示し、図1Bは枢動式粉末押し出し要素が第1の終端位置にあるときの本発明の一例示的実施形態の前方左側の略断面図を示す。図1Aにおいて、レーキ185は第1の位置にあり、粉末貯蔵ユニット110に向かって右方に移動中である。
【0040】
枢動式粉末押し出しデバイス125は、一例示的実施形態において、第1の部分170と、アーム120と、接触部材154とを備える。枢動式粉末押し出しデバイス125は、枢動軸140上に配置される。枢動軸140は、作業領域190側の前方上端に配置され得る。この第1の終端位置において、枢動式粉末押し出しデバイス125の第1の部分170は、粉末貯蔵ユニット110の開口部160の背後に配置されている。更に、第1の部分170の第1の終端位置において、接触部材154は、レーキ185上に配置されたグリップアーム150によって影響されていない。接触部材154が嵌入するように配置されるスロット152がグリップアームに設けられ得る。接触部材154は、一例示的実施形態において、ロッドの形態であり得る。この場合、ロッドの底面で押し出しデバイスに取り付けられる。
【0041】
図2A〜Bにおいて、レーキ185は、湾曲した底面130の上方のどこかにある第2の位置に到達している。レーキ185は、そのグリップアーム150が粉末押し出しデバイス125の接触部材154に機械的に接触しており、第1の部分170を作業領域190に向かう前方方向に第2の終端位置まで移動させている。レーキ185が粉末貯蔵ユニット110に向かう方向に移動するに伴い、第1の部分170は粉末貯蔵ユニット110の開口部160の背後の位置から作業領域190に向かって逆方向に移動する。第1の部分170は湾曲軌道を移動している。この湾曲軌道は、湾曲した底面130に基本的に類似し得る。第1の部分170の湾曲軌道は、湾曲した底面130より僅かに小さい曲率半径を有し得る。底面130の湾曲は、粉末貯蔵ユニット110に対して下方に曲がっている。
【0042】
第1の部分170は、湾曲した底面130から所定の距離において移動し得る。第1の部分170が作業領域190に向かって移動するに伴い、所定量の粉末が第1の部分170の前方で押されて作業テーブル195上に供給される。
【0043】
枢動式粉末押し出しデバイス125は、上で開示されているようにレーキ185によって機械的に作動される代わりに、電気的に作動されて制御ユニットによって制御され得る。この電気式作動は、レーキが所定の位置を通過しているときに第1の部分170の枢動運動が開始されるように、レーキの第1の位置によってトリガされ得る。第1の部分の戻り行程は、レーキの第2の位置によって、またはレーキが第1の位置を通過してから一定時間後に、トリガされ得る。
【0044】
レーキ185が第1の部分170を作業領域190に向けて前方方向に移動させているとき、レーキ185は粉末貯蔵ユニット110に向かって移動している。第1の部分170はレーキ185の下を通過することになる。
【0045】
枢動式粉末押し出しデバイス125は、その枢動行程の一部分の間、粉末貯蔵ユニット110から湾曲した底面130への粉末流を遮断し得る。図1Bにおいて、第1の部分170は粉末貯蔵ユニット110の開口部160の背後に位置付けられている。第1の部分170が作業領域190に向かう方向に移動し始めるに伴い、第1の部分170は粉末貯蔵ユニット110の開口部160の下を通過することになる。粉末貯蔵ユニット110からの粉末流は、第1の部分が開口部160の下に配置されているときに遮断されるように配置され得る。第1の部分170のサイズおよび部分170の行程の長さの適切な設計によって、粉末流の遮断を全行程の小さな部分または大きな部分にし得る。
【0046】
ネット180が湾曲した底面130の上方に設けられ得る。レーキ185が湾曲した底面130の上方を移動されているとき、ネット180は粉末材料への粉末凝集物および/または金属薄片の混入を防止することになる。余分な粉末材料はネット180を通って落ちるが、粉末凝集物および/または金属薄片はネット180上に留まることになる。図1A〜Bおよび図2A〜Bに示されている実施形態による粉末分配機構は、粉末をこぼさないか、こぼしたとしても少ない。粉末層が作業テーブル上に塗布される粉末分配サイクルからの余分な粉末は、ネット180を通って落ち、その後の粉末分配サイクルにおいて使用されることになる。
【0047】
本発明の方法によって、レーキ185は、材料を作業テーブル190の上に供給し始める前に、粉末材料に接触する必要がない。作業領域190上に移送される粉末の量は、通常、第1の部分170の形状と第1の部分の行程の長さとに依存する。第1の部分の前面領域178が大きいほど、作業領域190に移送される材料が多くなる。行程が長いほど、作業領域190に移送される材料が多くなる。凹状底面130に直交する線に対する前面領域の角度も作業領域に移送される粉末量に影響を及ぼすことになる。第1の部分170の全行程における前面領域の角度の平均値が90°に近いと、粉末が凹状底面130から作業テーブル195に最も効率的に移送されることになる。
【0048】
第1の部分が作業領域190に向かう方向に移動しているときに、前面領域178が第1の部分の前方で粉末を押しているように、第1の部分170は楔形を有し得る。戻り行程中、すなわち第1の部分170が粉末貯蔵ユニット110に向かって移動しているとき、第1の部分170の楔形状は、戻りの枢動行程に平行な方向に移送される粉末ができる限り少ないことを保証する。これは、第1の部分が作業領域190に向かって移動しているときにのみ粉末が第1の部分170の前方で押されるが、第1の部分170が反対方向に、すなわち粉末貯蔵ユニット110に向かって、移動しているときは粉末が押されないことを意味する。
【0049】
図3には、本発明のさまざまな例示的実施形態による電磁放射線または電子ビームなどのエネルギービームの照射によって凝固可能な粉末材料を使用して立体物を層単位で製造するための方法の概略フローチャートが示されている。
【0050】
第1ステップ310において、開口部を備えた粉末貯蔵ユニットが底面から離して設けられる。底面は粉末貯蔵ユニット内の供給粉末を支持している。底面に向かう開口部は、作業領域190の一辺に沿って延在する単一の細長いスリットの形態であり得る。
【0051】
第2ステップ320において、枢動式粉末押し出しデバイスによって所定量の粉末が底面から分配部材と作業領域との間の位置に搬送される。枢動式粉末押し出しデバイスの一部分が分配部材の下を移動可能である。底面から作業テーブル195上への粉末の移動中、粉末押し出しデバイスの第1の部分170は、レーキ/粉末分配部材185の下を移動している。レーキ185は、作業テーブル195から所定の距離にある、作業テーブル195に平行な平面を移動している。ただし、第1の部分は、湾曲軌道を有している。これは、第1の部分170がその湾曲行程の両終端位置から所定の距離にあるときに、レーキ185が第1の部分170の上方を通過し得ることを意味する。
【0052】
第3ステップ330において、分配部材は、粉末材料の層を形成するために粉末部分を作業領域190上に分配するように、作業領域190に向かって、更には作業領域190を横切って、移動している。第1の部分170によって作業テーブル195上に供給される粉末材料は、作業領域上に所定厚の完全な粉末層をもたらすために十分であり得る。
【0053】
第1の部分170は、レーキ185によって機械的に作動され得る。別の例示的実施形態において、第1の部分は電気的に作動される。この作動は、レーキ185の位置および/またはタイミングによってトリガされ得る。したがって、本発明では、粉末の体積がより精確に制御され得る。
【0054】
本発明の一例示的実施形態において、前記底面からの粉末の前記所定量は、粉末材料の先行層の溶融面積に応じて変化させ得る。粉末の所定の基準量は、溶融面積がゼロである先行層に対して設定され得る。先行層の溶融面積のmm毎に所定の追加量の粉末が前記所定の基準量の粉末に追加され得る。粉末の追加量は、レーキ/粉末分配部材185の下を移動する粉末押し出しデバイスの第1の部分170の位置を変化させることによって設定され得る。粉末を取り出すときに前記粉末押し出しデバイスが前記作業領域190から遠くに設定されるほど、より多くの粉末が前記作業テーブル195上に塗布されることになる。
【0055】
本発明の別の側面においては、コンピュータ上で実行されたときに粉末ベッドの複数部分の連続溶融によって少なくとも1つの立体物を形成するための方法を実現するように構成および配置されたプログラム要素が提供される。粉末ベッドの複数部分は、立体物の連続部分に相当する。このプログラム要素は、具体的には、添付の特許請求の範囲に概説されているステップを実行するように構成され得る。
【0056】
このプログラム要素は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体にインストールされ得る。この非一時的コンピュータ可読記憶媒体および/またはプログラム要素は、制御ユニット150または別の制御ユニットであり得る。埋め込まれた非一時的コンピュータ可読プログラムコード部分を複数備え得るコンピュータ可読記憶媒体およびプログラム要素は、1つ以上の非一時的コンピュータプログラム製品内に収容され得る。さまざまな実施形態によると、本願明細書の他の箇所で説明されている方法は、例えば1つ以上のプロセッサおよび/またはメモリ記憶域と共に、コンピュータによって実現され得る。これらの特徴および構成に関する更なる詳細を以下に提供する。
【0057】
上記のように、本発明のさまざまな実施形態は、さまざまに、例えば非一時的コンピュータプログラム製品として、実現され得る。コンピュータプログラム製品は、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、プログラムコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、マシンコード、実行可能命令、および/またはこれらに類するもの(本願明細書においては、実行可能命令、実行用命令、プログラムコード、および/または本願明細書において区別なく使用される同様の用語とも呼称)を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。このような非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、あらゆる(揮発性および不揮発性媒体を含む)コンピュータ可読媒体を含む。
【0058】
1つの実施形態において、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートストレージ(SSS)(例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ソリッドステートカード(SSC)、ソリッドステートモジュール(SSM))、エンタプライズフラッシュドライブ、磁気テープ、または他の何れかの非一時的磁気媒体、および/またはこれらに類するものを含み得る。不揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、パンチカード、紙テープ、光学マークシート(または、穴のパターンまたは他の光学的に認識可能な目印を有する他の何れかの物理媒体)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、書き換え可能コンパクトディスク(CD−RW)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク(登録商標)(BD)、他の何れかの非一時的光媒体、および/またはこれらに類するものを更に含み得る。このような不揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ(例えば、シリアル、NAND、NOR、および/またはこれらに類するもの)、マルチメディアメモリカード(MMC)、セキュアデジタル(SD)メモリカード、スマートメディアカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カード、メモリスティック、および/またはこれらに類するものを更に含み得る。更に、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、導電性ブリッジランダムアクセスメモリ(CBRAM)、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、強誘電体ランダムアクセスメモリ(FeRAM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)、抵抗変化型ランダムアクセスメモリ(RRAM(登録商標))、シリコン−酸化物−窒化物−酸化物−シリコンメモリ(SONOS)、浮遊接合ゲートランダムアクセスメモリ(FJGRAM)、ミリピード(Millipede)メモリ、レーストラックメモリ、および/またはこれらに類するものを更に含み得る。
【0059】
1つの実施形態において、揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、高速ページモードダイナミックランダムアクセスメモリ(FPMDRAM)、エクステンデッドデータアウトダイナミックランダムアクセスメモリ(EDODRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDRSDRAM)、ダブルデータレートタイプ2同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR2SDRAM)、ダブルデータレートタイプ3同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR3SDRAM)、ラムバス(Rambus)ダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM)、ツイントランジスタRAM(TTRAM)、サイリスタRAM(T−RAM)、ゼロキャパシタ(Z−RAM)、ラムバスインラインメモリモジュール(RIMM)、デュアルインラインメモリモジュール(DIMM)、シングルインラインメモリモジュール(SIMM)、ビデオランダムアクセスメモリ(VRAM)、キャッシュメモリ(さまざまなレベルを含む)、フラッシュメモリ、レジスタメモリ、および/またはこれらに類するものを含み得る。コンピュータ可読記憶媒体を使用する実施形態が複数説明されている場合でも、他の種類のコンピュータ可読記憶媒体が上記のコンピュータ可読記憶媒体に加えて、またはその代わりに、使用され得ることを理解されるであろう。
【0060】
理解されるように、本発明のさまざまな実施形態は、本願明細書の他の箇所で説明されているように、方法、装置、システム、コンピューティングデバイス、コンピューティングエンティティ、および/またはこれらに類するものとしても実現され得る。そのため、本発明の複数の実施形態は、いくつかのステップまたは操作を行うためにコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されている命令を実行する装置、システム、コンピューティングデバイス、コンピューティングエンティティ、および/またはこれらに類するものの形態を取り得る。ただし、本発明の複数の実施形態は、いくつかのステップまたは操作を行う完全にハードウェアによる実施形態の形態も取り得る。
【0061】
以下においては、装置、方法、システム、およびコンピュータプログラム製品のブロック図およびフローチャート図を参照して、さまざまな実施形態を説明する。ブロック図およびフローチャート図の何れにおいても各ブロックは、コンピュータプログラム命令によって、例えば、コンピューティングシステムのプロセッサ上で実行される論理ステップまたは操作として、それぞれ部分的に実現され得ることを理解されたい。これらコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置上で実行される命令がフローチャートの1つ以上のブロックに指定されている機能を実現するように、専用に構成された機械を製造するために、専用コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置などのコンピュータに読み込まれ得る。
【0062】
これらコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読メモリにも記憶され得る。これらコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読メモリに記憶されたこれら命令がフローチャートの1つ以上のブロックに指定されている機能を実現するためのコンピュータ可読命令を含む製品を生成するように、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置を特定の方法で機能させることができる。これらコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能装置上で実行された命令がフローチャートの1つ以上のブロックに指定されている機能を実現するための操作をもたらすように、コンピュータによって実現されるプロセスを生じさせるために一連の操作ステップをコンピュータまたは他のプログラム可能装置上で実行させるためにも、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置に読み込まれ得る。
【0063】
したがって、これらブロック図およびフローチャート図の複数のブロックは、指定された諸機能を実行するためのさまざまな組み合わせ、指定された諸機能を実行するための複数の操作の組み合わせ、および指定された諸機能を実行するための複数のプログラム命令をサポートする。これらブロック図およびフローチャート図の各ブロック、およびこれらブロック図およびフローチャート図の複数のブロックの組み合わせは、指定された諸機能または諸操作、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせ、を実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステムによって実現可能であろうことも理解されるべきである。
【0064】
図4は、本発明のさまざまな実施形態と共に使用可能な一例示的システム1020のブロック図である。少なくとも図示の実施形態において、システム1020は、1つ以上の中央コンピューティングデバイス1110、1つ以上の分散コンピューティングデバイス1120、および1つ以上の分散ハンドヘルドまたはモバイルデバイス1300を含み得る。これらは、何れも1つ以上のネットワーク1130を介して中央サーバ1200(または制御ユニット)と通信可能に構成される。図4は、種々のシステムエンティティを個別のスタンドアロンエンティティとして示しているが、さまざまな実施形態はこの特定のアーキテクチャに限定されるものではない。
【0065】
本発明のさまざまな実施形態によると、この1つ以上のネットワーク1130は、いくつかの第2世代(2G)、2.5G、第3世代(3G)、および/または第4世代(4G)のモバイル通信プロトコル、またはこれらに類するもののうちの何れか1つ以上による通信をサポート可能であり得る。より具体的には、この1つ以上のネットワーク1130は、2G無線通信プロトコルIS−136(TDMA)、GSM(登録商標)、およびIS−95(CDMA)による通信をサポート可能であり得る。また、例えば、この1つ以上のネットワーク1130は、2.5G無線通信プロトコルGPRS、エンハンストデータGSM環境(EDGE)、またはこれらに類するものによる通信をサポート可能であり得る。加えて、例えば、1つ以上のネットワーク1130は、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))無線アクセス技術を採用しているユニバーサルモバイル電話システム(UMTS)ネットワークなどの3G無線通信プロトコルによる通信をサポート可能であり得る。一部の狭帯域AMPS(NAMPS)、ならびにTACS、ネットワーク(単数または複数)も、本発明の複数の実施形態の恩恵を受け得る。デュアルモード以上の高モード移動局(例えば、デジタル/アナログまたはTDMA/CDMA/アナログ電話機)も同様のはずである。更に別の例として、システム1020の各構成要素は、例えば、無線周波数(RF)、ブルートゥース(登録商標)、赤外線(IrDA)などの手法、あるいは有線または無線パーソナルエリアネットワーク(“PAN”)、ローカルエリアネットワーク(“LAN”)、メトロポリタンエリアネットワーク(“MAN”)、ワイドエリアネットワーク(“WAN”)、またはこれらに類するものを含むいくつかの異なる有線または無線ネットワーキング手法のうちの何れかにより、互いに通信するように構成され得る。
【0066】
デバイス(単数または複数)1110〜1300は、同じネットワーク1130を介して互いに通信するように図4に示されているが、これらデバイスは複数の個別ネットワークを介して同様に通信し得る。
【0067】
1つの実施形態によると、分散デバイス1110、1120、および/または1300は、サーバ1200からのデータの受信に加え、データの収集および送信を自身で行うように更に構成され得る。さまざまな実施形態において、デバイス1110、1120、および/または1300は、キーパッド、タッチパッド、バーコードスキャナ、無線周波識別(RFID)リーダ、インタフェースカード(例えば、モデム、等々)、または受信機などの1つ以上の入力ユニットまたはデバイスを介してデータを受信可能であり得る。デバイス1110、1120、および/または1300は、更に、1つ以上の揮発性または不揮発性メモリモジュールにデータを格納可能であり得る、およびそのデータを1つ以上の出力ユニットまたはデバイスを介して、例えば、デバイスを操作しているユーザにデータを表示することによって、または、例えば1つ以上のネットワーク1130を介してデータを送信することによって、出力可能であり得る。
【0068】
さまざまな実施形態において、サーバ1200は、本発明のさまざまな実施形態によると、本願明細書により具体的に表示および説明されている機能を含む、1つ以上の機能を実施するためのさまざまなシステムを含む。ただし、サーバ1200は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、1つ以上の同様の機能を実施するための種々の代替デバイスを含み得ることを理解されたい。例えば、サーバ1200の少なくとも一部分が、いくつかの実施形態においては、特定用途のために望ましいように、分散デバイス(単数または複数)1110、1120上に、および/またはハンドヘルドまたはモバイルデバイス(単数または複数)1300上に、置かれ得る。以下により詳細に説明するように、少なくとも1つの実施形態において、ハンドヘルドまたはモバイルデバイス(単数または複数)1300は、モバイルアプリケーション1330を1つ以上含み得る。モバイルアプリケーション1330は、その全てを同様により詳細に以下に説明するように、サーバ1200との通信用のユーザインタフェースを提供するように構成され得る。
【0069】
図5Aは、さまざまな実施形態によるサーバ1200の概略図である。サーバ1200は、システムインタフェースまたはバス1235を介してサーバ内の他の要素と通信するプロセッサ1230を含む。データの受信および表示用の表示/入力デバイス1250もサーバ1200に含まれる。この表示/入力デバイス1250は、例えば、モニタと組み合わせて使用されるキーボードまたはポインティングデバイスであり得る。サーバ1200はメモリ1220を更に含む。メモリ1220は、一般に読み出し専用メモリ(ROM)1226とランダムアクセスメモリ(RAM)1222の両方を含む。サーバのROM1226は、サーバ1200内の要素間の情報の転送を助ける基本ルーチンを含むバイオス(BIOS)1224を格納するために使用される。さまざまなROMおよびRAM構成については本願明細書において既に説明した。
【0070】
加えて、サーバ1200は、情報をハードディスク、取り外し可能な磁気ディスク、またはCD−ROMディスクなどの各種コンピュータ可読媒体上に格納するために、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、CD ROMドライブ、または光ディスクドライブなどの記憶デバイスまたはプログラムストレージ210を少なくとも1つ含む。当業者には理解されるように、これら記憶デバイス1210の各々は適切なインタフェースによってシステムバス1235に接続される。各記憶デバイス1210およびそれに対応付けられたコンピュータ可読媒体は、パーソナルコンピュータ用の不揮発性ストレージを提供する。当業者には理解されるように、上記のコンピュータ可読媒体の代わりに、当該技術分野において公知の他の何れかの種類のコンピュータ可読媒体を使用することも可能である。このような媒体は、例えば、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、およびベルヌーイ(Bernoulli)カートリッジを含む。
【0071】
図示されていないが、一実施形態によると、サーバ1200の記憶デバイス1210および/またはメモリは、サーバ1200によってアクセスされ得る履歴および/または現行供給データおよび供給条件を格納し得るデータ記憶デバイスの機能を更に提供し得る。この点に関して、記憶デバイス1210は1つ以上のデータベースを備え得る。用語「データベース」は、リレーショナルデータベース、階層型データベース、またはネットワークデータベースを介するなどしてコンピュータシステムに格納される記録またはデータの構造化されたコレクションを指すので、制限的に解釈されるべきではない。
【0072】
例えば、プロセッサ1230による実行が可能なコンピュータ可読プログラムコード部分を1つ以上備えたいくつかのプログラムモジュール(例えば、例示的モジュール1400〜1700)は、さまざまな記憶デバイス1210によって、およびRAM1222内に、格納され得る。このようなプログラムモジュールは、オペレーティングシステム1280を更に含み得る。上記および他の実施形態において、さまざまなモジュール1400、1500、1600、1700は、プロセッサ1230およびオペレーティングシステム1280の助けを借りて、サーバ1200の動作のいくつかの側面を制御する。更に他の実施形態においては、本発明の範囲および本質から逸脱することなく、1つ以上の追加および/または代替モジュールが更に設けられ得ることを理解されたい。
【0073】
さまざまな実施形態において、プログラムモジュール1400、1500、1600、1700はサーバ1200によって実行される。これらモジュール1400、1500、1600、1700は、1つ以上のグラフィカルユーザインタフェース、レポート、命令、および/または通知/警告を生成するように構成される。これらは、何れもシステム1020のさまざまなユーザからのアクセス、および/またはこれらユーザへの送信が可能である。いくつかの実施形態において、これらユーザインタフェース、レポート、命令、および/または通知/警告は、上記のように、インターネットまたは他の実現可能な通信ネットワークを含み得る1つ以上のネットワーク1130を介してアクセス可能であり得る。
【0074】
さまざまな実施形態において、モジュール1400、1500、1600、1700のうちの1つ以上は、代わりに、および/または加えて(例えば、二重化)、デバイス1110、1120、および/または1300のうちの1つ以上にローカルに格納され得ること、およびその1つ以上のプロセッサによって実行され得ることを更に理解されたい。さまざまな実施形態によると、モジュール1400、1500、1600、1700は1つ以上のデータベースに対してデータの送受信を行い得る、および1つ以上のデータベースに含まれているデータを利用し得る。この1つ以上のデータベースは、1つ以上の個別の、リンクされた、および/またはネットワーク化された、データベースで構成され得る。
【0075】
1つ以上のネットワーク1130の他の要素との接続および通信のためのネットワークインタフェース1260もサーバ1200内に存在する。サーバ1200の1つ以上の構成要素は、他のサーバ構成要素から地理的に遠方に位置し得ることを当業者は理解されるであろう。更に、サーバ1200の1つ以上の構成要素は組み合わされ得る、および/または本願明細書に記載されている機能を実行する追加の構成要素もこのサーバに含まれ得る。
【0076】
上では単一のプロセッサ1230を説明しているが、当業者には認識されるように、サーバ1200は、本願明細書に記載されている機能を実行するために、互いに一緒に動作する複数のプロセッサを備え得る。プロセッサ1230は、メモリ1220に加え、データ、コンテンツ、またはこれらに類するものを表示、送信、および/または受信するための少なくとも1つのインタフェースまたは他の手段にも接続可能である。この点に関して、インタフェース(単数または複数)は、少なくとも1つの通信インタフェース、またはデータ、コンテンツ、またはこれらに類するものを送信および/または受信するための他の手段、ならびに、以下により詳細に説明するように、ディスプレイおよび/またはユーザ入力インタフェースを含み得る少なくとも1つのユーザインタフェースを含むことができる。ユーザ入力インタフェースは、キーパッド、タッチディスプレイ、ジョイスティック、または他の入力デバイスなど、ユーザからのデータをエンティティに受信させるいくつかのデバイスの何れでも備えることができる。
【0077】
更に、「サーバ」1200に言及しているが、当業者には認識されるように、本発明の複数の実施形態は、伝統的に定義されているサーバアーキテクチャに限定されるものではない。更に、本発明の複数の実施形態のシステムは、単一のサーバ、あるいは同様のネットワークエンティティまたはメインフレームコンピュータシステムに限定されるものではない。本願明細書に記載されている機能を提供するために互いに一緒に動作する1つ以上のネットワークエンティティを含む他の同様のアーキテクチャも、本発明の複数の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、同様に使用され得る。例えば、本願明細書に記載されている機能をサーバ1200と連係して提供するために互いに協働する2つ以上のパーソナルコンピュータ(PC)、同様の電子デバイス、またはハンドヘルド携帯デバイスのメッシュネットワークが、本発明の複数の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、同様に使用され得る。
【0078】
さまざまな実施形態によると、プロセスの個々のステップの多くは、本願明細書に記載されているコンピュータシステムおよび/またはサーバを利用して行われても、行われなくてもよく、コンピュータによる実現の度合いは、1つ以上の特定の用途のために望ましい、および/または有益である、ように変動し得る。
【0079】
図5Bは、本発明のさまざまな実施形態と共に使用可能なモバイルデバイス1300の一例示的代表例を提供する。モバイルデバイス1300は、さまざまなパーティによる操作が可能である。図5Bに示されているように、モバイルデバイス1300は、アンテナ1312と、送信機1304(例えば、無線)と、受信機1306(例えば、無線)と、送信機1304および受信機1306に対して信号の供給および受信を行う処理要素1308とを含み得る。
【0080】
送信機1304および受信機1306に対して供給および受信される信号は、サーバ1200、分散デバイス1110、1120、および/またはこれらに類するものなどの各種エンティティと通信するために該当する無線システムの無線インタフェース規格による信号データを含み得る。この点に関して、モバイルデバイス1300は、1つ以上の無線インタフェース規格、通信プロトコル、変調方式、およびアクセス方式で動作可能であり得る。より具体的には、モバイルデバイス1300は、いくつかの無線通信規格およびプロトコルのうちの如何なるものにも従って動作し得る。特定の一実施形態において、モバイルデバイス1300は、GPRS、UMTS、CDMA2000、lxRTT、WCDMA、TD−SCDMA、LTE、E−UTRAN、EVDO、HSPA、HSDPA、Wi−Fi、WiMAX、UWB、IRプロトコル、ブルートゥースプロトコル、USBプロトコル、および/または他の何れかの無線プロトコルなど、複数の無線通信規格およびプロトコルに従って動作し得る。
【0081】
これら通信規格およびプロトコルによって、モバイルデバイス1300は、さまざまな実施形態によると、非構造付加サービスデータ(USSD)、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディアメッセージングサービス(MMS)、デュアルトーンマルチ周波数シグナリング(DTMF)、および/または加入者識別モジュールダイヤラ(SIM dialer)などのコンセプトを使用する他の各種エンティティと通信し得る。モバイルデバイス1300は、例えば、そのファームウェア、ソフトウェア(例えば、実行可能命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、およびオペレーティングシステムへの変更、アドオン、および更新をダウンロードすることもできる。
【0082】
1つの実施形態によると、モバイルデバイス1300は、位置判定デバイスおよび/または機能を含み得る。例えば、モバイルデバイス1300は、例えば、緯度、経度、高度、ジオコード、進路、および/または速度データを取得するように適合化されたGPSモジュールを含み得る。1つの実施形態において、GPSモジュールは、見える人工衛星の数およびこれら人工衛星の相対位置を識別することによって、時にはエフェメリスデータとして公知の、データを取得する。
【0083】
モバイルデバイス1300は、(処理要素1308に結合されたディスプレイ1316を含み得る)ユーザインタフェースおよび/または(処理要素308に結合された)ユーザ入力インタフェースを更に備え得る。このユーザ入力インタフェースは、キーパッド1318(ハードまたはソフト)、タッチディスプレイ、音声またはモーションインタフェース、または他の入力デバイスなど、データの受信をモバイルデバイス1300に行わせるいくつかのデバイスのうちの何れでも備えることができる。キーパッド1318を含む複数の実施形態において、キーパッドは、従来の数字入力キー(0〜9)および関連キー(#、*)、およびモバイルデバイス1300を操作するために使用される他のキーを含む(または、これらのキーを表示させる)ことができる。キーパッドは、フルセットの英数字キーを提供するために起動され得る一組のキーまたはフルセットの英字キーを含み得る。入力の提供に加え、ユーザ入力インタフェースは、例えば、スクリーンセーバおよび/またはスリープモードなどの特定の機能を起動または停止するために、使用され得る。
【0084】
モバイルデバイス1300は、揮発性ストレージまたはメモリ1322および/または不揮発性ストレージまたはメモリ1324を更に含むことができる。これらストレージまたはメモリは、埋め込み可能である、および/または取り外し可能であり得る。例えば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、RRAM、SONOS、レーストラックメモリ、および/またはこれらに類するものであり得る。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPMDRAM、EDODRAM、SDRAM、DDRSDRAM、DDR2SDRAM、DDR3SDRAM、RDRAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリ、および/またはこれらに類するものであり得る。揮発性および不揮発性ストレージまたはメモリは、モバイルデバイス1300の機能を実現するために、データベース、データベースインスタンス、データベースマッピングシステム、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、マシンコード、実行可能命令、および/またはこれらに類するものを格納できる。
【0085】
モバイルデバイス1300は、カメラ1326およびモバイルアプリケーション1330のうちの1つ以上を更に含み得る。カメラ1326は、さまざまな実施形態によると、追加および/または代替データ収集用の特徴として構成され得る。したがって、1つ以上のアイテムの読み出し、格納、および/または送信がカメラを介してモバイルデバイス1300によって行われ得る。モバイルアプリケーション1330は、モバイルデバイス1300で種々のタスクを実行するための特徴を更に提供し得る。モバイルデバイス1300およびシステム1020の1人以上のユーザにとって全体として望ましいように、さまざまな構成が提供され得る。
【0086】
上記のシステムおよび方法の多くの変形例が可能であり、および上記の各実施形態からの逸脱が可能であるが、それにも拘らず特許請求の範囲に含まれることを理解されるであろう。上記の説明および対応付けられた図面に提示されている教示の利点を有する、本願明細書に記載の本発明の多くの変更例および他の実施形態がこれら発明の関連業界の当業者には想起されるであろう。例えば、本装置は、作業領域の両端に配置された第1および第2の粉末貯蔵ユニットからの供給粉末を支持するための第1の底面および第2の底面をそれぞれ備えた第1および第2の粉末貯蔵ユニットを備え得る。したがって、本発明は開示されている特定の実施形態に限定されるものではないこと、更には変更例および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれるもとすることを理解されたい。本願明細書においては特定の用語が使用されているが、これら用語は、一般的且つ説明的な意味でのみ使用されており、制限を目的としたものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B