(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
従来より、誘導加熱装置として、例えば、
図1に示すように、トンネル型加熱コイル102と当該トンネル型加熱コイル102に接続された高周波電流源104とを有し、高周波電流源104からトンネル型加熱コイル102へ高周波電流を供給することにより、1枚の板状の被加熱物106を誘導加熱する誘導加熱装置100が知られている。
【0004】
図1に示す誘導加熱装置100においては、トンネル型加熱コイル102における枠状の略螺旋形状の内部空間領域Sに、誘導加熱される対象としての1枚の板状の被加熱物106が配置されている。
【0005】
上記したトンネル型加熱コイル102を流れる高周波電流により被加熱物106を誘導加熱する際において、被加熱物106が磁性金属材料よりなる板材(磁性金属板)である場合には、磁性金属板は非常に電流浸透深さが浅いため、トンネル型加熱コイル102を流れる高周波電流の周波数帯域が低い周波数帯域(例えば、厚さ1mmのアルミ板において20kHz以下の周波数である。)であっても、キュリー温度以下であれば磁性金属板を十分に加熱することが可能である。
【0006】
しかしながら、被加熱物106が非磁性金属材料よりなる板材(非磁性金属板)である場合には、非磁性金属板は電流浸透深さが深いため、磁性金属板と同じ条件(被加熱物106の厚さやトンネル型加熱コイル102を流れる高周波電流の周波数帯域である。)では、被加熱物106内部で誘導電流同士が打ち消し合ってしまい、非磁性金属板を加熱することができなかった。
【0007】
より詳細には、
図2に示すように、誘導電流の電流密度が被加熱物106の表面における電流密度の1/e(=0.368)倍に減少した点での表面からの深さ(電流浸透深さ)に対し、当該被加熱物106の板厚である厚さT0が2倍未満のとき、被加熱物106の内部で被加熱物106の一方の板面(厚さよりも幅広く長い平行する面)106aを流れる誘導電流Aと、一方の板面と対向する他方の板面106bを流れる誘導電流Bとが打ち消し合い、誘導加熱による加熱効率を悪化させるものであった。
【0008】
ここで、トンネル型加熱コイル102を用いた誘導加熱においては、誘導加熱できる金属板の厚さは、トンネル型加熱コイル102を流れる高周波電流の周波数により決定されることが知られている。
【0009】
従って、被加熱物106として電流浸透深さが深い非磁性金属材料よりなる薄板を加熱する場合には、電流浸透深さが浅い非磁性金属材料よりなる薄板を加熱する場合よりも、トンネル型加熱コイル102を流れる高周波電流の周波数を高くする必要があった。
【0010】
また、従来より、所謂、トランスバース型加熱コイルによる誘導加熱によれば、電流浸透深さが深い非磁性金属材料よりなる薄板の加熱も可能であるため、電流浸透深さが深い非磁性金属材料よりなる薄板の加熱のためには、トンネル型加熱コイル102に代えてトランスバース型加熱コイルを用いる必要があった。
【0011】
即ち、上記したように従来の技術によれば、被加熱物の材料や厚さによっては、トンネル型加熱コイルでは被加熱物を誘導加熱できない高周波電流の周波数帯があったり、あるいは、トンネル型加熱コイルに代えてトランスバース型加熱コイルを用いる必要があるなどして、作業性に劣るという問題点があった。
【0012】
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記したような従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来はトンネル型加熱コイルでは被加熱物を誘導加熱できない高周波電流の周波数帯においても、被加熱物を誘導加熱することができるようにして、作業性を向上させたトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法を提供しようとするものである。
【0014】
また、本発明の目的とするところは、従来はトランスバース型加熱コイルを用いて誘導加熱する必要があった被加熱物をトンネル型加熱コイルで誘導加熱することができるようにして、作業性を向上させたトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、加熱コイルを略螺旋形状に1巻以上巻回してトンネル状に形成したトンネル型加熱コイルにおける当該略螺旋形状の内部空間領域に、2枚の板状の被加熱物を互いの板面が対向するようにして配置したものである。
【0016】
従って、本発明によれば、被加熱物が非磁性材料よりなる薄板であっても、誘導電流のループが被加熱物の板面の表面に形成されるので、誘導電流の打ち消しが起こらず、従来では誘導加熱できない高周波電流の周波数帯においても、被加熱物を誘導加熱することができるようになる。
【0017】
また、本発明によれば、被加熱物が磁性材料よりなる薄板であっても、従来と同様に被加熱物を誘導加熱することができる。
【0018】
即ち、本発明は、トンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法において、加熱コイルを略螺旋形状に1巻以上巻回してトンネル状に形成したトンネル型加熱コイルにおける上記略螺旋形状の内部空間領域に、2枚の板状の被加熱物を互いの板面が対向するようにして配置したものである。
【0019】
また、本発明は、トンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法において、加熱コイルを略螺旋形状に1巻以上巻回してトンネル状に形成したトンネル型加熱コイルにおける上記略螺旋形状の内部空間領域に、1枚の板状の被加熱物を折り返すことによる成果物としての2枚分の板状の上記被加熱物を、互いの板面が対向するようにして配置したものである。
【0020】
また、本発明は、上記した本発明において、上記被加熱物は、非磁性金属薄板であるようにしたものである。
【0021】
また、本発明は、上記した本発明において、上記非磁性金属薄板の厚さは、電流浸透深さの2倍未満であるようにしたものである。
【0022】
また、本発明は、上記した本発明において、上記被加熱物は、磁性金属薄板であるようにしたものである。
【0023】
また、本発明は、上記した本発明において、上記非磁性金属薄板の厚さは、電流浸透深さの2倍以上であるようにしたものである。
【0024】
また、本発明は、上記した本発明において、上記内部空間領域において、予め設定された間隔を開けて上記被加熱物を配置したものである。
【0025】
また、本発明は、上記した本発明において、上記内部空間領域において、間隔20mmを開けて上記被加熱物を配置したものである。
【0026】
また、本発明は、上記した本発明において、上記略螺旋形状は、常螺旋形状および平行巻き螺旋形状を含むものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上説明したように構成されているので、従来はトンネル型加熱コイルでは被加熱物を誘導加熱できない高周波電流の周波数帯においても、被加熱物を誘導加熱することができるようになり、作業性を向上することができるという優れた効果を奏する。
【0028】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、従来はトランスバース型加熱コイルを用いて誘導加熱する必要があった被加熱物をトンネル型加熱コイルでも誘導加熱することができるようになり、作業性を向上することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0031】
なお、上記した「背景技術」の項において説明した誘導加熱装置100の各構成と同一あるいは相当する構成については、誘導加熱装置100において用いた符号と同一の符号を用いて示すこととし、その構成ならびに作用の詳細な説明は省略する。
【0032】
(I)本発明の第1の実施の形態の説明
【0033】
図3には、本発明の第1の実施の形態によるトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法を示す説明図があらわされている。また、
図4には、
図3のIV矢視を模式的に示す説明図があらわされている。
【0034】
本発明の第1の実施の形態によるトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法は、被加熱物として、加熱コイルを枠状の略螺旋形状に1巻以上(
図3では、加熱コイルを枠状の略螺旋形状に3巻した状態を示している。)巻回してトンネル状に形成したトンネル型加熱コイル102における当該略螺旋形状の内部空間領域Sに、非磁性金属材料よりなる2枚の薄い板状の金属板(非磁性金属薄板)10、12を互いの板面(厚さよりも幅広く長い平行する面)が対向するようにして、予め設定された間隔G1を開けて隣接して配置したものである。
【0035】
ここで、非磁性金属薄板10の厚さT1は、電流浸透深さの2倍未満である。また、非磁性金属薄板12の厚さT2も、電流浸透深さの2倍未満である。
【0036】
なお、本発明の理解を容易にするために、説明の便宜上、
図3ならびに
図4において、非磁性金属薄板10、12の上方側に位置する一方の板面を表面10a、12aとそれぞれ称し、非磁性金属薄板10、12の下方側に位置する一方の板面を裏面10b、12bとそれぞれ称することとする。
【0037】
図3ならびに
図4に示す本発明の実施の形態の一例においては、トンネル型加熱コイル102における内部空間領域Sにおいて、上方側に非磁性金属薄板10を配置するとともに下方側に非磁性金属薄板12を配置し、かつ、非磁性金属薄板10の裏面10bと非磁性金属薄板12の表面12aとが対向するようにして、間隔G1を開けて非磁性金属薄板10と非磁性金属薄板12とを隣接して配置している。
【0038】
ここで、間隔G1の値は、一例としては、20mmである。なお、間隔G1の値については、20mmに限られるものではないことは勿論である。間隔G1の値については、例えば、設計条件や実験あるいはシミュレーションなどに基づいて、20mm未満の値や20mmを超える値など、適宜の値を設定するようにしてよい。
【0039】
このように、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに非磁性金属薄板10、12を配置することにより、従来はトンネル型加熱コイル102を用いては誘導加熱できなかった高周波電流源104から供給される高周波電流(コイル電流)の周波数帯域でも、非磁性金属薄板10、12を誘導加熱することができるようになる。
【0040】
即ち、
図4に示すように、厚さT1が電流浸透深さの2倍未満より薄い非磁性金属薄板10の表面10aと裏面10bとで誘導電流IC1の向きが一致するとともに、厚さT2が電流浸透深さの2倍未満より薄い非磁性金属薄板12の表面12aと裏面12bとで誘導電流IC2の向きが一致する。
【0041】
ここで、トンネル型加熱コイル102の上方位置におけるコイル電流(上方コイル電流)CC1の影響は、上方側に位置する非磁性金属薄板10を通り抜けて下方側に位置する非磁性金属薄板12まで影響する。
【0042】
しかしながら、下方側に位置する非磁性金属薄板12ではトンネル型加熱コイル102の下方位置におけるコイル電流(下方コイル電流)CC2の影響が大きいため、上方側に位置する非磁性金属薄板10を通り抜けて下方側に位置する非磁性金属薄板12へ影響する上方コイル電流CC1の効果は小さい。
【0043】
同様に、トンネル型加熱コイル102の下方位置におけるコイル電流(下方コイル電流)CC2の影響は、下方側に位置する非磁性金属薄板12を通り抜けて上方側に位置する非磁性金属薄板10まで影響する。
【0044】
しかしながら、上方側に位置する非磁性金属薄板10ではトンネル型加熱コイル102の上方位置におけるコイル電流(上方コイル電流)CC1の影響が大きいため、下方側に位置する非磁性金属薄板12を通り抜けて上方側に位置する非磁性金属薄板10へ影響する下方コイル電流CC2の効果は小さい。
【0045】
従って、非磁性金属薄板10の表面10aと裏面10bとを流れる誘導電流IC1の向きと、非磁性金属薄板12の表面12aと裏面12bとを流れる誘導電流IC2の向きとは、互いに反対方向となる。
【0046】
その結果、
図3に示すように、トンネル型加熱コイル102から出た誘導電流は、非磁性金属薄板10の表面10aの端部まで達すると主に非磁性金属薄板12の裏面12bに回りこみながら非磁性金属薄板10の表面10aへ戻ってくるので、誘導電流のループL1が非磁性金属薄板10の表面10aと非磁性金属薄板12の裏面12bとの板面に沿って形成されることになり、非磁性金属薄板10、12を誘導加熱することが可能となる。
【0047】
即ち、
図3に示すように、誘導電流のループL1が非磁性金属薄板10の表面10aから非磁性金属薄板12の裏面12bへとそれぞれの板面に沿って形成されることで、誘導電流の打ち消しが起こらず誘導加熱することができる。
【0048】
なお、上記した第1の実施形態において、非磁性金属薄板10と非磁性金属薄板12とは、互いに同一の組成や寸法であってもよいし異なっていてもよい。
【0049】
従って、上記した本発明の第1の実施の形態によれば、トンネル型加熱コイルへ供給する高周波電流の周波数帯域に依存することなく、従来はトンネル型加熱コイルでは被加熱物を誘導加熱できない高周波電流の周波数帯においても、被加熱物を誘導加熱することができるようになる。
【0050】
また、上記した本発明の第1の実施の形態によれば、従来はトランスバース型加熱コイルを用いて誘導加熱する必要があった被加熱物を、トンネル型加熱コイルで誘導加熱することができるようになる。
【0051】
(II)本発明の第2の実施の形態の説明
【0052】
次に、
図5には、本発明の第2の実施の形態によるトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法を示す説明図であって、
図3のIV矢視に相当する模式的な説明図があらわされている。
【0053】
本発明の第2の実施の形態によるトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法は、被加熱物として、トンネル型加熱コイル102における内部空間領域Sに、磁性金属材料よりなる2枚の薄い板状の金属板(磁性金属薄板)20、22を互いの板面(厚さよりも幅広く長い平行する面)が対向するようにして、予め設定された間隔G2を開けて隣接して配置したものである。
【0054】
ここで、磁性金属薄板20の厚さT3は、電流浸透深さの2倍以上である。また、非磁性金属薄板22の厚さT4も、電流浸透深さの2倍以上である。
【0055】
なお、本発明の理解を容易にするために、説明の便宜上、
図5において、磁性金属薄板20、22の上方側に位置する一方の板面を表面20a、22aとそれぞれ称し、磁性金属薄板20、22の下方側に位置する一方の板面を裏面20b、22bとそれぞれ称することとする。
【0056】
図5に示す本発明の第2の実施の形態においては、トンネル型加熱コイル102における内部空間領域Sにおいて、上方側に磁性金属薄板20を配置するとともに下方側に磁性金属薄板22を配置し、かつ、磁性金属薄板20の裏面20bと磁性金属薄板22の表面22aとが対向するように、間隔G2を開けて磁性金属薄板20と磁性金属薄板22とを隣接して配置している。
【0057】
ここで、間隔G2の値は、一例としては、20mmである。なお、間隔G2の値については、20mmに限られるものではないことは勿論である。間隔G2の値については、例えば、設計条件や実験あるいはシミュレーションなどに基づいて、20mm未満の値や20mmを超える値など、適宜の値を設定するようにしてよい。
【0058】
このように、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに2枚の磁性金属薄板20、22を配置しても、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに1枚の磁性金属薄板を配置した場合と同様に、2枚の磁性金属薄板20、22を誘導加熱することができる。
【0059】
このときの誘導電流の流れは、
図5に示すように、
図3ならびに
図4を参照しながら上記において説明した2枚の非磁性金属薄板10、12を配置した場合とは異なる誘導電流のループL2、L3を形成する。
【0060】
即ち、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに2枚の磁性金属薄板20、22を配置した場合には、磁性金属薄板20の表面20aの端部から裏面20bへ回りこみながら表面20aへ戻ってくる誘導電流のループL2が形成されるので、磁性金属薄板20を誘導加熱することができるとともに、磁性金属薄板22の裏面22bの端部から表面22aへ回りこみながら裏面22bへ戻ってくる誘導電流のループL3が形成されるので、磁性金属薄板22を誘導加熱することができる。
【0061】
つまり、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに2枚の磁性金属薄板20、22を配置した場合であっても、
図5に示すような誘導電流のループL2、L3が形成されるので、2枚の磁性金属薄板20、22を誘導加熱することができる。
【0062】
なお、上記した第2の実施形態において、磁性金属薄板20と磁性金属薄板22とは、互いに同一の組成や寸法であってもよいし異なっていてもよい。
【0063】
従って、上記した本発明の第2の実施の形態においても、上記した本発明の第1の実施の形態と同様に、トンネル型加熱コイルへ供給する高周波電流の周波数帯域に依存することなく、従来はトンネル型加熱コイルでは被加熱物を誘導加熱できない高周波電流の周波数帯においても被加熱物を誘導加熱することが可能になり、また、従来はトランスバース型加熱コイルを用いて誘導加熱する必要があった被加熱物をトンネル型加熱コイルで誘導加熱することが可能になる。
【0064】
(III)本発明の第3の実施の形態の説明
【0065】
次に、
図6には、本発明の第3の実施の形態によるトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法を示す説明図があらわされている。なお、
図6は、被加熱物として、非磁性金属薄板を誘導加熱している状態を示している。
【0066】
また、
図7には、
図6のVII−VII線により破断した端面の構成を模式的に示す説明図があらわされている。
【0067】
本発明の第3の実施の形態によるトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法は、1枚の被加熱物30をローラー32を介して折り返すようにして、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに供給し、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域S内に実質的に2枚分の被加熱物30が存在するように配置したものである。
【0068】
即ち、本発明の第3の実施の形態によるトンネル型加熱コイルを用いた誘導加熱方法は、1枚の被加熱物30を折り返したことにより得られる結果の成果物としての2枚分の被加熱物30を、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域S内に配置するようにしたものである。
【0069】
ここで、被加熱物30として、非磁性金属薄板10または非磁性金属薄板12を用いた場合には、
図6に示すように、上記において説明した本発明の第1の実施の形態と同様に、被加熱物30(非磁性金属薄板10または非磁性金属薄板12)を誘導加熱することができる。
【0070】
しかも、本発明の第3の実施の形態によれば、被加熱物30(非磁性金属薄板10または非磁性金属薄板12)のローラー32での折り返しにより、被加熱物30(非磁性金属薄板10または非磁性金属薄板12)の同じ領域を2度加熱することができるため、本発明の第1の実施の形態と比較すると、被加熱物30(非磁性金属薄板10または非磁性金属薄板12)の加熱効率を向上することができる。
【0071】
同様に、被加熱物30として、磁性金属薄板20または磁性金属薄板22を用いた場合には、上記において説明した本発明の第2の実施の形態と同様に、被加熱物30(磁性金属薄板20または非磁性金属薄板22)を誘導加熱することができる。
【0072】
しかも、本発明の第3の実施の形態によれば、被加熱物30(磁性金属薄板20または磁性金属薄板22)のローラー32での折り返しにより、被加熱物30(磁性金属薄板20または磁性金属薄板22)の同じ領域を2度加熱することができるため、本発明の第2の実施の形態と比較すると、被加熱物30(磁性金属薄板20または非磁性金属薄板22)の加熱効率を向上することができる。
【0073】
即ち、被加熱物30を折り返して、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに実質的に2枚の被加熱物30が存在するように配置することにより、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに2枚の非磁性金属薄板を配置した本発明の第1の実施の形態や、トンネル型加熱コイル102の内部空間領域Sに2枚の磁性金属薄板を配置した本発明の第2の実施の形態と同様に、被加熱物30を誘導加熱することが可能であり、本発明の第1の実施の形態や本発明の第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができ、かつ、被加熱物30の加熱効率の向上を図ることができるようになる。
【0074】
(IV)本発明の各実施の形態の作用効果
【0075】
以上において説明したように、本発明の第1の実施形態、本発明の第2の実施形態ならびに本発明の第3の実施形態によれば、従来はトンネル型加熱コイルでは被加熱物を誘導加熱できない高周波電流の周波数帯においても当該被加熱物を誘導加熱することができるようになり、また、従来はトランスバース型加熱コイルを用いて誘導加熱する必要があった被加熱物をトンネル型加熱コイルで誘導加熱することができるようになって、作業性を向上することができる。
【0076】
さらに、本発明の第3の実施形態によれば、被加熱物の加熱効率の向上を図ることができる。
【0077】
(V)他の実施の形態および変形例の説明
【0078】
なお、上記した各実施の形態は例示に過ぎないものであり、本発明は他の種々の形態で実施することができる。即ち、本発明は、上記した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。
【0079】
例えば、上記した各実施の形態は、以下の(1)乃至(5)に示すように変形するようにしてもよい。
【0080】
(1)上記した各実施の形態においては、トンネル型加熱コイル102について、
図3や
図6ならびに
図7では加熱コイルを略螺旋形状に3巻した状態を示しているが、これに限られるものではないことは勿論である。トンネル型加熱コイル102は、加熱コイルを略螺旋形状に1巻以上巻回してトンネル状に形成し、当該略螺旋形状の内部空間領域に被加熱物を配置可能にしたものであれば、加熱コイルの巻き数に制限はなく、設計条件などに応じて適宜の巻き数を選択すればよい。
【0081】
(2)上記した各実施の形態においては、非磁性金属薄板10、非磁性金属薄板12、磁性金属板20、磁性金属板22ならびに被加熱物30を移動する手法についての詳細な説明は省略したが、非磁性金属薄板12、磁性金属板20、磁性金属板22ならびに被加熱物30を移動する手法としては、従来より周知のモーターなどを利用して移動する手法を用いればよい。
【0082】
(3)上記した各実施の形態においては、高周波電流源102についての詳細な説明は省略したが、高周波電流源102としては、従来より周知の各種の高周波電流源を用いればよい。
【0083】
(4)上記した各実施の形態においては、
図3あるいは
図6に示すトンネル型加熱コイル102の枠状の略螺旋形状について常螺旋形状を図示したが、これに限られるものではないことは勿論である。
図3あるいは
図6に示すトンネル型加熱コイル102の枠状の略螺旋形状は、例えば、周状の一箇所のみで巻きの高さの変更があり、その他の部分の高さは一定に保たれている、所謂、平行巻き螺旋形状(
図1に示すトンネル型加熱コイル102を参照する。)でもよい。要するに、本発明における略螺旋形状とは、回転しながら回転面に垂直成分のある方向へ上昇する三次元曲線の形状全般を意味するものであって、その形状が特に限定されるものではない。
【0084】
(5)上記した各実施の形態ならびに上記した(1)乃至(4)に示す各実施の形態や変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。