【文献】
Hyobin Wi, Sung-Won Kang, Yuhoon Hwang,Immobilization of prussian blue nanoparticles in acrylic acid-surface functionalized poly(vinyl alcohol) sponges for cesium adsorption,Environ. Eng. Res.,2018年 7月25日,Vol.24, No.1,173-179
【文献】
Bokseong Kim et.al.,Development of adsorbent prussian blue(PB) impregnated through the grafting of covalent organic polymers(COPS) for the removal of radioactivity cesium(Cs-137),Applied Engineering, Materials and mechanics 2,2018年 7月,405-409
【文献】
Mines Paul D et.al.,Covalent organic polymer functionalization of activated carbon surfaces through acyl chloride for environmental clean-up,Chemical Engineering Journal,2017年,1-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明のセシウム吸着体および製造方法について添付の図面、実施例、実験などを参照して詳しく説明する。しかしながら、下記説明は、本発明の理解を助けるための例示的な説明であり、本発明の技術思想は、下記説明により制限されない。本発明の技術思想は、ただ後述する請求範囲により解析されたり、制限され得る。
【0019】
前記セシウム吸着剤は、改質された支持体および前記支持体の表面で合成されたプルシアンブルーを含む。本発明の実施例として前記支持体は、高分子、粉末イライトまたは粉末活性炭を含むことができる。
【0020】
以下では、各支持体を含むセシウム吸着剤およびそれぞれの製造方法を詳しく説明する。
【0021】
[高分子支持体]
支持体が高分子であるセシウム吸着剤を製造するための方法は、水酸化基(−OH)を有する高分子素材を使用し、前記高分子素材にアクリル酸を処理して、前記高分子の表面にカルボキシル基を有するように高分子の表面を改質する段階;前記高分子に塩化ナトリウム(NaCl)溶液を注入して反応させる段階;前記高分子に塩化鉄(FeCl
3)溶液を注入して反応させる段階;前記高分子にフェロシアン化カリウム(K
4Fe(CN)
6)溶液を注入して反応させる段階;および前記高分子に追加的に塩化鉄(FeCl
3)溶液を注入する段階を含む。
【0022】
各段階で使用される溶液の濃度は、それぞれ次のとおりである。前記アクリル酸の濃度は、0.3〜3.0M、前記塩化ナトリウム(NaCl)溶液の濃度は、0.05〜0.2M、前記塩化鉄(FeCl
3)溶液の濃度は、5〜100mM、前記フェロシアン化カリウム(K
4Fe(CN)
6)溶液の濃度は、5〜100mMであり、前記前記塩化鉄(FeCl
3)溶液の濃度は、2.5〜50mMである。
【0023】
前記高分子としては、水酸化基を有するポリビニルアルコール(polyvivnyl alcohol;PVA)スポンジまたはセルロース(cellullose)不織布などを使用することができる。
【0024】
表面改質の方法は、前記PVAスポンジまたはセルロース不織布素材の多孔性気孔内に存在する親水性グループである−OHを過硫酸カリウム、アクリル酸を利用したグラフト(Grafting)方法を利用して支持体の表面がカルボキシル基を有するようにすることである。カルボキシル基に改質された表面に負電荷が生成(−COO
−)されると、プルシアンブルーとの結合力を増大し、LBL方法(layer by layer assembly)で吸着素材の表面にプルシアンブルー(PB)の成長を容易に行うことができる。
【0025】
前記PVAスポンジまたはセルロース不織布素材は、表面に存在する水酸化基の酸素部分の孤立電子対によりプルシアンブルー(PB)の固定力が決定される。プルシアンブルーの水に対する引力が強く、水酸化基との固定力が弱くて、吸着後に洗浄により容易にプルシアンブルーが流出した。一方、PVAスポンジまたはセルロース不織布素材をアクリル酸で改質して、水酸化基をカルボキシル基に変える場合、表面に存在する負電荷とプルシアンブルーとの間に安定した結合が形成されて、洗浄によるプルシアンブルーの流出が抑制された。また、前記アクリル酸改質でPVAスポンジおよびセルロース不織布素材の気孔内にポリアクリル酸の多孔性高分子構造が形成されて、前記多孔性高分子構造の内外に水が自由に透過することができるので、イオン形態で存在するセシウムが内部のプルシアンブルーと効果的に反応することができた。
【0026】
前記PVAスポンジまたはセルロース不織布素材をアクリル酸で改質するとき、アクリル酸(AA)の注入量が増加するにつれてAA架橋成分が孔隙内に位置することになって、重さが増加することが観測されたが、多量の架橋成分により孔隙の間が詰まってしまうと、内側気孔まで鉄イオンの伝達が不可能であるので、鉄吸着当量が減少することを観測し、改質時にアクリル酸の最適注入量を決定した。
【0027】
また、LBL(layer by layer)方法を使用してプルシアンブルーの安定性を増大させた。既存のプルシアンブルーのin−situ方法は、3が鉄(Fe
3+)とフェロシアン化イオン([Fe(CN)
6]
4−)を反応させて形成することが一般的である。しかしながら、この場合、付着した3価鉄と注入されたフェロシアン化イオンの濃度均衡が維持されないことがあり、このような場合、3価鉄の不足によって安定した結晶体を形成しない場合が発生する。したがって、前記合成方法以後に3価鉄を追加的に注入することによって、鉄イオンがまだ鉄と結合しないフェロシアン化イオンと結合してプルシアンブルー結晶体を形成することによって、安定したプルシアンブルーが形成され得る。
【0028】
以下では、具体的な実施例、実験などにより支持体として高分子を使用する場合の吸着剤の製造方法を詳しく説明する。
【0029】
[実施例1:PVA表面改質]
プルシアンブルーを固定するための固定支持体素材の表面改質は、次のように実験を設定した。表面改質のための高分子溶液は、0.600gの過硫酸カリウム(Potassium persulfate,K
2S
2O
8)、2.5、5、7.5、10、12.5mlのアクリル酸(Acrylic acid,CH
2COOH)溶液と60mlの脱イオン水を混合して準備した。以後、0.5×0.5×0.5cm
3の規格を有する0.250gのPVAスポンジを高分子溶液に浸漬した後、窒素を注入した真空オーブンを使用して70℃で約6時間の間表面改質作業を進めた。改質が終わった素材は、エタノールおよび脱イオン水を利用して不純物を除去し、60℃で水分を完全除去して、AA表面改質を完了した。前記過程を通じて表面改質が完了した素材は、PAA−PVAと命名した(
図1)。
【0030】
[実施例2:セルロース不織布の表面改質]
セルロース不織布素材の表面改質の誘導は、次のように実験を設定した。高分子溶液は、0.600gの過硫酸カリウム(Potassium persulfate,K
2S
2O
8)、1、2、4、6、8mlのアクリル酸(Acrylic acid,CH
2COOH)と20mlの脱イオン水を混合して準備した。以後、ガラス上下板(23×23×0.5cm
3)を準備した後、ガラス下板にセルロースを固定させた後、高分子溶液を注入し、支持体素材に入り込むようにした。以後、真空オーブンに入れた後、窒素を注入することによって、溶液内の溶存酸素を除去し、70℃で約6時間の間表面改質作業を進めた。改質が終わった素材は、エタノールおよび脱イオン水を利用して不純物を除去し、60℃オーブンで水分を完全除去してAA表面改質を完了した。前記過程を通じて表面改質が完了した素材は、PAA−CFと命名した(
図1)。
【0031】
[実験:高分子支持体]
[前記表面改質の最適化および効果評価]
アクリル酸(Acrylicy aicd;AA)を使用したPVAスポンジおよびセルロース不織布素材の表面改質時に最適なAA注入濃度を探すために、本実験では、鉄イオンの吸着当量を評価してこれを実験した。下記説明するプルシアンブルーの合成は、3価鉄イオンとフェロシアン化イオンの結合により行われ、したがって、3価鉄イオンが多量付着すると、プルシアンブルーが多量合成されると予想することができる。本実験では、表面改質合成方法におけるAA注入濃度を、PVAの場合、2.5、5.0、7.5、10.0、12.5mlを注入して合成し、セルロースの場合、1、2、4、6、8mlを注入してこれを製造した。製造された固定支持体(PAA−PVA,PAA−CF)は、0.250gを測量して、これを約1000ppmの鉄濃度での反応体積50mlに注入して吸着実験を行った。以後、分析は、ICP−MS(Perkin−Elmer,USA)を利用して残留濃度を分析し、AA注入量に応じたFe
3+吸着当量を算出した。また、AA表面改質された以後に製造された支持体の重さを測定して、前後の差異を観察し、AAの合成された量を測定した。
【0032】
[実施例3:プルシアンブルー(PB)の形成]
表面アニオン形成のために、プルシアンブルーの合成前に支持体素材(PVA,Cellulose,PAA−PVA,PAA−CF)に対して0.1M塩化ナトリウム(NaCl)の50ml溶液に浸漬して反応させた。すべての素材の量は、0.250gと同一に測量し、反応時間は、約20〜30分内に進めた。前処理が進行されたすべての素材は、In−situ(素材分離の有/無)、Ex−situ、layer by layer方法でプルシアンブルーを形成した(
図1)。
【0033】
1.In−situ方法
支持体の存在下でプルシアンブルーを合成する方法をin−situ方法と命名した。NaCl溶液から分離した各素材を20mM FeCl
3 50mlに約1日間十分に 反応させることによって、Fe
3+イオンが固定支持体の表面から吸着されるように実験を進めた。以後、反応が終わった素材から上澄み液を分離した後、20mM K
4Fe(CN)
6の50ml溶液に再び浸漬してPBを形成させた。
【0034】
2.Ex−situ方法
支持体が存在しない条件でプルシアンブルーをまず合成し、これに支持体を浸漬して、プルシアンブルーが付着するようにする方法をex−situ方法と命名した。支持体素材を注入する前に、20mM FeCl
3 25mlと20mM K
4Fe(CN)
6の50ml溶液を注入して、優先的にPB溶液を製造した。以後、NaCl溶液から分離した各素材は、0.250gを測量して、PB溶液に入れて、表面染色を行った。
【0035】
3.L.B.L方法(Layer by Layer Assembly)
前記in−situ方法と同一に0.1M NaCl溶液から分離した素材をFeCl
3の50ml溶液を注入して鉄イオンを固定し、もう一度素材を分離してK
4Fe(CN)
6の50ml溶液を注入してプルシアンブルーを合成した。しかしながら、プルシアンブルーの不安定な成長によってもう一度FeCl
3溶液を注入して、鉄イオンを供給し、プルシアンブルーの安定した形成を誘導した(
図2)。以後、完全乾燥して、LBL工法によるPB吸着素材を製造した。プルシアンブルーの各注入前駆物質の濃度は、下記の表に示した。前記言及された合成過程を整理すれば、
図2の通りである。
【0037】
[素材特性分析]
素材の表面特性を評価し、構成元素を分析するために走査型電子顕微鏡およびX線分光分析(Field Emission Scanning Electron Microsope,JEOL Ltd,Japan)を利用して合成された素材の元素および構成された含有率を測定した。
【0038】
[吸着実験方法(Batch test/pH test/Isothermal test)]
セシウム除去実験方法としては、放射性セシウム(
137Cs)と化学的性質が類似した安定同位元素である
133Cs
+ standard溶液を利用して超純水に希釈して基準溶液を製造した。Batch testの場合は、0.100gの吸着素材を基準としてセシウム10mg/Lの50mlでセシウム吸着テストを進め、反応時間は、24hで実験を行った。以後、吸着テストが終わった素材に限って等温吸着テストを実行し、実験方法は、次のように進めた。0.100gの吸着素材を基準としてセシウム吸着濃度を0.2、0.5、2,5、10、20mg/Lの濃度範囲内での反応体積50mlで吸着実験を進め、約24hr内で吸着反応を進めた。以後、吸着分析は、ICP−MSを利用して残存のセシウム濃度を分析し、これを利用して素材別吸着当量を分析した。等温吸着式モデルは、LangmuirおよびFreundlichモデルを利用して等温曲線を分析し、適用されたモデルの式は、次のように示した:
【0040】
[PB溶出評価(UV−spectrum)]
固定支持体素材の表面にプルシアンブルーの流出程度を調べてみるために、表面改質された支持体からプルシアンブルーが合成された後、洗浄時に溶出されるプルシアンブルー洗浄水をUV−Vis spectrophotometer(Libara S22,BioChrom Ltd.,USA)を利用してその程度を分析した。また、除染素材から水中安定度を確認するために、物理的衝撃および吸着破壊された以後からプルシアンブルーが流出することを調べてみるために、同一に分光分析機を使用して分析した。
【0041】
[実験結果:高分子支持体]
[1.AA表面改質実験結果]
AA注入量に応じた表面改質素材の鉄吸着量と合成により変化する重さの差異を比較して、支持体素材であるPVA/セルロースのAA注入適正量を確認した(
図3および4)。その結果は、AA注入量に応じて合成されて体小材に対して3価鉄イオンに対する吸着量と表面改質前後の重さの差異として現れ、合成前後の重さの差異は、AAの注入量が増加するにつれて重さの変化も増加することを確認することができた。
【0042】
PVAスポンジ素材の場合、AAの架橋成分がPVAスポンジ間の孔隙に位置することになって、架橋成分の量が増大するほどさらに多くの物質が合成されることが分かった。しかしながら、鉄吸着量の関係では、AA注入量10ml以後からは、鉄吸着当量が減少することを確認することができるが、これは、架橋成分であるAA成分によりPVAスポンジ孔隙間の目詰まり現象につながって、重さが増加するが、鉄吸着位置が閉鎖されて、これを吸着しないことが分かった。PVAスポンジ表面改質のためのAA適正注入量は、鉄吸着当量が最も高く現れた約10mlであることが分かり、PAA−PVA素材合成は、AA 10mlを適正注入量に設定し、実験を進めた(
図3)。
【0043】
セルロース不織布素材の場合は、合成前後の重さの差異が明確でなく、これにより、鉄吸着当量によりカルボキシル基の性能評価に依存するしかなかった。鉄吸着量データの場合、2mlのAA注入量で高い鉄吸着当量を示し、セルロースの表面改質の適正注入量を2mlに設定し、以後の実験を行った(
図4)。
【0044】
[2.プルシアンブルー安定性評価]
[A.合成後の洗浄時にプルシアンブルー溶出評価(分析された波長値:690nm)]
表面改質の有無によるプルシアンブルー固定安定性の程度を確認するために、合成後5回洗浄を実施した場合、流出されるプルシアンブルーの程度を分光光度計を使用して測定した。In−situとex−situ方法で合成されたプルシアンブルーが固定された素材を使用し、洗浄水をプルシアンブルーの吸光度波長値である690nmで分析して、プルシアンブルーの流出程度を
図5で確認した。アクリル酸で改質を行わない場合、プルシアンブルーと支持体との化学的結合力は、ただPVA/セルロースにある水酸化基であり、これは、−OHの酸素部分の孤立電子対によりPBの固定力が依存することになる。
【0045】
PVAの場合、
図5のように、1回洗浄時に非常に高濃度のPBの溶出が起こることを確認することができた。多くのPBが気孔に位置するが、PVA水酸化基の固定力が弱い原因によって気孔内に多量で存在するPBが水に対する引力が強いので、残留および固定されたPBが洗浄されて流出することが分かった。反面、アクリル酸で改質した場合(PAA−PVA−PB)には、洗浄時に流出して出るプルシアンブルーの量が大きく減少することを
図3を通じて確認することができる。
【0046】
また、in−situ方法とex−situ方法でプルシアンブルーを合成した試料を比較した結果、in−situ方法で合計する場合に、プルシアンブルーの流出が減少することを確認することができた。このような結果は、プルシアンブルーの固定化が物理的な粒子の捕獲よりは、化学的な結合により起こることを示す。In−situの場合には、3価鉄と水酸化基やカルボキシル基のアニオンと反応してイオン結合を形成した後、フェロシアン化イオンと反応してプルシアンブルーが形成される。これに対し、ex− situの場合には、すでに形成された中性のプルシアンブルー粒子が高分子構造内に物理的に捕獲される作用機序に依存するので、結合力が非常に低くて、多い量のプルシアンブルーが洗浄により除去されるものと判断することができる。
【0047】
[B.合成完了試料のプルシアンブルー含量分析]
表面改質によるプルシアンブルー付着量の増大をさらに定量的に確認するために、エネルギー分散型X線分光法(EDS)を使用した。
図6は、PVAを支持体として使用し、in−situ方法でプルシアンブルーを合成した場合、表面改質の有無による元素分析結果の変化を示すものである。支持体として使用したPVAの場合には、炭素と酸素からなる元素分析結果を示し、これは、PVA自体の素材構成と一致する。しかし、プルシアンブルーをin−situ方法で付着した場合には、窒素と鉄の検出が行われ、この二つの元素は、プルシアンブルーを構成する三つの元素(鉄、炭素、窒素)のうち一つであり、プルシアンブルーが形成されたことを直接的に示す。アクリル酸で表面改質を行った試料(PB−PAA−PVA)の場合には、鉄の比率が大幅に増加して、約20%内外と測定され、これは、表面改質前の試料の2%から10倍ほど大きく増加したことを示し、表面改質後にプルシアンブルーの付着量が大きく向上したことを示す。
【0048】
[3.セシウム吸着能の比較(batch test)]
合成された吸着素材のセシウム吸着性能を比較するために、Cs
+初期濃度5mg/Lでの吸着テストを進め、その結果を
図7に示した。アクリル酸で改質された試料が、改質されない試料に比べて非常に高いセシウム吸着能を示し、これは、プルシアンブルーの固定量と一致する結果である。アクリル酸で改質した場合、非改質群の吸着能に比べて約6〜10倍程度の吸着能が向上することが分かった。
【0049】
[4.LBL評価]
[A.LBL方法の適用によるプルシアンブルー流出評価]
前述したように、表面改質とin −situ合成を通じて優れた性能のセシウム吸着素材を取得することができたが、合成過程および使用時にプルシアンブルーが、微量ながらも、一部流出される現象が発生して、実際に水処理工程への適用に短所として作用することができると判断した。このような流出現象は、気孔内に固定されずに存在するプルシアンブルーによるものと判断され、このような現象を最小化するために、3価鉄とフェロシアン化イオンの濃度比を維持できるようにLBL方法を考案した。LBL工法は、合成されたPAA−PB除染素材に鉄イオンをもう一度供給するものであり、フェリシアニドが付着した以後、FeCl
3をもう一度注入する工法である。
【0050】
図8は、アクリル酸で表面改質を行わないPVAとセルロースを使用してそれぞれin−situ,ex−situおよびLBL方法でプルシアンブルーを合成した後、洗浄時に溶出されるプルシアンブルーを測定して提示したものである。In−situとex−situの場合、1回洗浄時に非常に多い量のプルシアンブルーが溶出されて出ることを確認することができたが、LBL方法の場合には、1回洗浄でもほとんどプルシアンブルーが溶出されて出ない優れた結果を確認した。
【0051】
プルシアンブルーの安定性は、表3で提示する重さの変化を通じても確認することができる。重さの変化率については、既存in−situ方法により合成された除染素材の場合、平均1.5%の変化率を示すが、本LBL工法による合成された除染素材の場合、3.3%であって、2倍以上のプルシアンブルーが固定されていることが明らかになった。これは、プルシアンブルー粒子は、Fe
4[Fe(CN)
6]
3のように結晶体を形成しているが、In−situ方法により生成されたプルシアンブルーは、鉄イオンの比率が不足しているためであると確認することができた。これにより、塩化鉄をもう一度注入することによって、PBが安定的に形成され得るようにした。これに伴い、固定化によるプルシアンブルー合成法は、In−situ合成よりもLBLによる合成法が効率的な方法であることを確認することができた。
【0053】
[5.吸着素材評価(PVA)]
前述したように、アクリル酸表面改質法およびLBLプルシアンブルー合成法を結合してセシウム吸着素材を開発し、その結果は、前記二つの場合に比べて優れていた。優れた性能を示すアクリル酸表面改質−LBLプルシアンブルー合成法を使用したセシウム吸着素材の特性分析およびセシウム吸着性能に対する結果である。
【0054】
吸着素材の表面を観察すると同時に元素組成を分析するために、走査型電子顕微鏡およびエネルギー拡散型X線分光法(SEM/EDS)を使用した。
図9は、アクリル酸表面改質およびLBL方法を使用して合成されたPVAおよびセルロース基盤吸着素材の電子顕微鏡写真を示すものである。LBL工法により合成されたPAA−PVA−PB除染素材の断面の場合、気孔が非常に小さくなり、高分子幹にひびが入っているような鉱物特性を示した。表面の場合、気孔が見えなく、幹の末端に鈍い模型が観察されたが、これは、プルシアンブルーの特徴である直六面体の結晶構造から形成されていて、合成素材の洗浄時に圧着によりその結晶構造体が潰されて、角形態の形状に現れたものであり、これからAA架橋成分がプルシアンブルー粒子を固定し、LBL方法による鉄イオンの供給により高分子の表面の上にプルシアンブルーが安定的に形成されることを確認した。セルロース素材の場合にも、表面上、プルシアンブルーの粒子が約20μmの粒子状であることが観察された。
【0055】
合成された素材のプルシアンブルーの含量を間接的に判断するために、EDS元素分析結果を使用した。PVAやセルロースが、いずれも、C、H、Oからなる素材であるので、支持体から区別され得るプルシアンブルーの構成元素は、Fe、Nであり、これは、プルシアンブルーの含有率の基準になり得る結果である。表4から分かるように、In−situとLBL方法のうち素材の表面での鉄含有量は、LBL方法による素材が、in−situ方法の場合より1.5倍ほどさらに多く検出された。また、LBL方法のうちAAにより表面改質化された素材の場合、全体重量の約39%に該当する水準であり、これは、一つの素材内に多量のプルシアンブルーが分布していることが分かる。これは、表面改質前に比べて1.5倍以上高い数値である。
【0056】
また、セルロース素材の場合は、水酸化基に固定された鉄イオンよりもカルボキシル基により固定された鉄の量が4倍ほど増加することを確認することができた。
【0058】
[PVAスポンジ(LBL−PAA−PVA−PB)の吸着能評価およびPB流出評価]
まず、対照群である非改質−LBL条件で合成したPVA−PBの等温吸着挙動を
図10に示した。本等温曲線は、Langmuir & Freundlichモデルを利用して解析した。それに対する定数を表5に整理した。本数値分析によりFreudlichモデルがLangmuirモデルよりR
2値がさらに高く示され、これは、セシウム吸着挙動が、単分子吸着でなく、気孔の間にセシウムが複数の層で吸着するものと認められる。また、親密度(n)は、6.1387値であって、除染素材とセシウムイオンに対して低い親密度を有することを確認することができた。Langmuirモデルに基づいて吸着素材当たり最大セシウム吸着量は、約0.71mg/gと算出された。
【0059】
素材特性分析により最適化された素材として選別されたLBL−P AA−PVA−PB除染素材の吸着挙動も、Langmuir & Freundlichモデルを利用してこれを数値解析し、その結果と関連定数を
図10および表5に示した。二つのモデルの算出されたR
2値は、対照群とは異なって、Langmuirモデルが高く示され、これは、吸着挙動形態が気孔間で単分子吸着挙動を呈することを確認することができた。各特性を調べると、除染素材とセシウムイオンの親密度(n)は、3.6284と算出されて、相互に対する引力があることを確認することができた。また、最大吸着量(qm)値は、対照群に比べて約6倍程向上した値4.16mg/gであって、これは、セシウムイオン除染に対して妥当な数値であることを確認した。
【0061】
等温吸着時に、実験初期および実験が完了する時点でのpHの変化を確認した。セシウム溶液の初期pHは、約5.8〜5.9であり、吸着実験が終わった時点でpHの変化は、
図12に示されたようにり、各セシウム初期濃度を基準としてLBL−PVA−PB除染素材の場合は、pHが非常に低くなり、これは、結合されていないプルシアンブルー前駆物質(アルカリ金属)により水中の酸度が増加したためである。反面、改質群に属するLBL−PAA−PVA−PB除染素材の場合には、初期セシウム溶液pHに比べて増加して、約6〜6.5pHの範囲を示した。従って、本pHの変化実験によりLBL−PAA−PVA−PB除染素材が水中の水処理素材に適しており、環境に影響を与えないことを確認することができた。
【0062】
PB流出評価によって二つの素材がいずれもPBが流出されないことを確認した(
図15)。吸着が終わった各セシウム濃度別吸光度分析では、プルシアンブルー系の色相波長690nmですべての部分で不検出と分析され、これから除染素材が汚染地域の上水道処理施設に適用されるとき、2次的汚染流出で安全であることを確認することができた。そのため、安定した吸着と同時にpHとPB流出評価での安全な除染素材と評価され、セシウム除染素材として環境汚染が誘発されない素材であることを確認した。
【0063】
[6.吸着素材評価(セルロース不織布)]
まず、対照群である非改質−LBL条件で合成したL−CF−PBの等温吸着挙動を
図11に示した。本等温曲線は、Langmuir & Freundlichモデルを利用して解析した。それに対する定数を表6に整理した。本数値分析によりFreudlichモデルがLangmuirモデルよりR
2値が多少高く示されたが、類似した数値で示されて、セシウムの吸着挙動が単分子吸着と同時に気孔の間にセシウムが複数の層で吸着するものと認められる。また、親密度(n)は、3.518値であって、除染素材とセシウムイオンに対して親密度を有することを確認することができた。Langmuirモデルに基づいて吸着素材当たり最大セシウム吸着量は、約2.694mg/gと算出された。
【0064】
素材特性分析によって最適化された素材として選別されたL−PAA−CF−PB除染素材の吸着挙動も、Langmuir & Freundlichモデルを利用してこれを数値解析し、その結果と関連した定数を
図11および表6に示した。二つのモデルの算出されたR
2値は、対照群とは異なって、Langmuirモデルが多少高く示されたが、やはり類似に示されて、セシウム吸着挙動形態が気孔の間で単分子吸着挙動と同時に多層吸着が起こることを確認することができた。各特性を調べると、除染素材とセシウムイオンの親密度(n)は、7.862と算出されて、非改質試料であるときより除染素材とセシウムイオン間の引力が増加したことが分かった。また、最大吸着量(qm)値は、対照群に比べて約2倍程向上した値4.437mg/gであって、これは、セシウムイオン除染に対して妥当な数値であることを確認した。
【0066】
等温吸着時に、実験初期および実験が完了する時点でのpHの変化を確認した。セシウム溶液の初期pHは、約5.6〜6.0であり、吸着実験が終わった時点でpHの変化は、
図12に示されたように、各セシウム初期濃度を基準としてLBL−CF−PB除染素材の場合は、pHが多少低くなり、改質群に属するLBL−PAA−CF−PB pHがさらに多く減少したことが示された。これは、改質するとき、素材の表面に付着していたカルボキシル基において水素基がプルシアンブルーの付着前に完全に除去されずに残っていて、pH減少がさらに大きくなったと判断した。
【0067】
[イライト支持体]
支持体がイライトであるセシウム吸着剤の製造方法は、前記支持体としてイライトを使用し、前記イライトにアクリル酸を処理してイライトの表面にカルボキシル基を有するように改質する段階;前記イライトに塩化ナトリウム(NaCl)溶液を注入して反応させる段階;前記イライトに塩化鉄(FeCl
3)溶液を注入して反応させる段階;前記イライトにフェロシアン化カリウム(K
4Fe(CN)
6)溶液を注入して反応させる段階;および前記イライトに追加的に塩化鉄(FeCl
3)溶液を注入する段階を含む。
【0068】
前記カルボキシル基改質段階の以後に前記イライトに過硫酸カリウム(K
2S
2O
8)を注入して反応させる段階;および前記イライトを窒素の雰囲気下で加熱して反応させる段階をさらに含むこともできる。
【0069】
本実施例で使用するイライトは、正長石の変質または風化により形成されるミネラル成分の粘土鉱物であって、価格が安くて、自然親和的であり、埋蔵量が豊富であるので、供給と大量生産が容易であり、多様な浄化作業に活用されている。また、水中に溶解したセシウムを効率的に吸着するものと知られている。イライトは、水伝導度が低くて、放射性セシウムで汚染された地域の地下水の拡散を防止し、土壌を浄化するのに活用するための研究だけでなく、イライトを支持体として利用して水中の放射性物質を除去する研究が進行されてきた。イライトは、内部にK
+イオンを含んでおり、イライト内部のinterlayerとfrayed edgeで行われるK
+イオンとカチオン性放射性セシウムイオンとのイオン交換を利用して放射性セシウムを吸着する。この際、セシウムイオンは、イライトに非可逆的に吸着することになるが、特にセシウムイオンは、イライトの風化した部分であるfrayed edgeに吸着し、長期間にかけてイライトのinterlayerに移動する方式で吸着する。これを通じて、イライトは、セシウムを吸着し、相対的に少ない量のセシウムを脱着する特徴を有する。
【0070】
前記イライトの表面改質は、水酸化基を過硫酸カリウム、アクリル酸を利用したグラフト(Grafting)表面改質方法を利用してカルボキシル基に変えるものであって、表面に負電荷が生成(−COO
−)されてプルシアンブルーとの結合力を増大し、LBL方法(layer by layer assembly)で吸着素材の表面にPBの成長を誘導することができる。
【0071】
イライト粒子の表面に存在する水酸化基の酸素部分の孤立電子対によりプルシアンブルー(PB)の固定力が決定される。プルシアンブルーの水に対する引力が強くて、水酸化基との固定力が弱いため、吸着後に洗浄により容易にプルシアンブルーが流出した。一方、イライトをアクリル酸で改質して、水酸化基をカルボキシル基に変える場合、表面に存在する負電荷とプルシアンブルーとの間に安定した結合が形成されて、洗浄によるプルシアンブルーの流出が抑制された。
【0072】
前記LBL(layer by layer)方法は、既存のプルシアンブルーのin−situ方法以後に塩化鉄を追加的に注入することによって、鉄イオンがまだ鉄と結合しないフェリシアニドと結合してプルシアンブルー結晶体を形成することによって、安定したプルシアンブルーが形成され得る。
【0073】
以下では、具体的な実施例、実験などを取って支持体としてイライトを使用する場合の吸着剤の製造方法を詳しく説明する。
【0074】
[実施例4:材料の準備(イライト支持体)]
AAとilliteの重合体(AA−Illite)を合成するために、アクリル酸(acrylic acid,SAMCHUN,CH
2CHCOOH、99.0%)、過硫酸カリウム(potassium persulfate,SAMCHUN,K
2S
2O
8,98.0%)、エチルアルコール(ethyl alcohol,SAMCHUN,C
2H
5OH、70.0〜75.0%)試薬とDI water、粉末状のイライトを準備した。また、AAとイライト(illite)重合体にPBを合成するために、塩化ナトリウム(sodium chloride,NaCl,SAMCHUN、99.0%)、塩化第2鉄6水和物(iron(III)chloride hexahydrate,SAMCHUN,FeCl
3・6H
2O、97.0%)とフェロシアン化カリウム(potassium ferrocyanide,SAMCHUN,K
4Fe(CN)
6・3H
2O、97.0%)を準備し、吸着実験に必要な塩化セシウム(cesium chloride,SAMCHUN,CsCl、99.0%)と韓国標準科学研究院(KRISS)で製造した放射性セシウム(Radioactive cesium,Cs−137)標準線源溶液を準備した。
【0075】
[実施例5:AA−Illite−PBの合成]
AA−Illiteは、3段階にかけて合成された。1段階として、イライト2.5gを60mlの蒸留水とラジカル開始剤である過硫酸カリウム(potassium persulfate)0.06gと5分間反応させて、イライト内部の−OH基をOラジカルで改質させた後、アクリル酸6mlを注入して5分間反応させた。2段階として、イライトとアクリル酸、過硫酸カリウム混合溶液の温度を0℃まで低減した後、窒素状態で20分間反応させて、混合溶液内の酸素を除去した。3段階として、混合溶液を6時間の間60〜70℃で湯煎して加熱した。反応後、試料に付着した未反応状態の残余成分を除去するために、カルボキシル基で表面が改質されたイライトをDI Waterで1回洗浄後エタノールとDI Water 1:1混合溶液で洗浄して、80℃オーブンで6時間乾燥してAA−Illiteを合成した。
【0076】
AA−Illite−PBの合成のために合成されたAA−Illite 2.5gを0.5MのNaCl溶液と反応させた後、LBL(Layer by Layer)方法を通じてPBを合成した。FeCl
3・6H
2O 20mMの溶液25mlに浸漬させて、1日間100rpmの速度で撹拌した。以後、遠心分離機(3500rpm、15 min)を利用して固液分離後、20mMのフェロシアン化カリウム25ml溶液と混合して5分間反応させた。以後、同一に固液分離した後、FeCl
3・6H
2O 20mM溶液25mlに再反応させた後、蒸留水を通じて数回洗浄し、60℃オーブンで6時間の間乾燥した。合成されたAA−Illite−PBのPB脱着の有無を確認するために、AA−Illite−PBと非改質IlliteとPBの重合体(Illite−PB)を洗浄した洗浄水のPB濃度をUv−vis機器分析を通じて測定した。
【0077】
[実験:イライト支持体]
[AA−Illite−PB粒子の表面特性分析]
AA−Illite粒子の表面特性を分析するために、Illite、Illite−PB,AA−Illite−PBをSEM(TESCAN,VEGA3,Czech republic)を利用して分析した。また、AA−Illiteの高分子含有量を測定するために、TGA(TA instrument,SDT,USA)分析を窒素条件下に0〜1000degreeの範囲で実施した。追加的に、EDS分析を通じて吸着剤を構成する元素含有量を分析した。試料のXRD分析とFT−IR(Bruker,TENSOR27,Germany)分析は、室温で行い、スペクトル範囲は、それぞれ10〜90degree、400〜4000cm
−1で進めた。
【0078】
[AA−Illite−PBの等温吸着実験]
AA−Illite−PBの等温吸着実験のために、AAで改質されたイライト粒子の表面官能基にin−situ方式を通じてPBを化学的に固定させた。以後、CsClを利用して1000mg L
−1濃度の貯蔵液(stock solution)を製造した後、希釈を通じて10mg L
−1(ppm)溶液を製造して使用した。等温吸着実験は、50mlのCsCl溶液にイライトを0.01〜5gの範囲で注入して24時間の間反応させて、Cs吸着効率を確認し、吸着効率は、ICP−MS(Perkin−Elmer SCIEX,NexION 350D、USA)機器分析を通じて確認した。
【0079】
AA−Illite−PBのCs−137の吸着実験のために、200Bq/LのCs−137溶液を製造して、AA−Illite−PB 0.01gと24時間の間反応させた。Cs−137の除去効率は、厚さ20mmの鉛遮蔽体の内部にMCAとデジタルMCAが装着されている放射線測定機器(Nucare,RAD IQ FS200,Korea)を使用して測定した。
【0080】
pH影響評価に利用されたCsCl 10mg L
−1のpHは、NaOH水溶液とHNO
3水溶液を利用してpH4、6、8および10の範囲でAA−Illite−PB 0.01gの範囲で注入して、24時間の間反応させてCs吸着効率を確認した。
【0081】
[実験結果:イライト支持体]
[1.AA−Illite−PB重合体の特性分析]
水溶性単量体AAでイライトを改質して、PBを合成する過程は、
図13に示された通りである。粉末状イライト2.5gを水溶性ラジカル反応開始剤である過硫酸カリウム0.06gと反応させて、イライトに含まれた水酸化基をOラジカルで改質した。その後、AA 6mlを注入して撹拌した後、0℃でN
2ガスを流入して20分間反応させて溶液内酸素を除去した。以後、イライトに生成されたOラジカルとAAとの間に共有結合を通した化学的結合を誘導するために、60〜70℃の温度で6時間の間重合反応を経てAA−Illite重合体を合成した。反応進行後6時間経過後に反応物は、粘度を示し、AA重合体が結合されてカルボキシル基が生成されたAA−Illiteは、最後に蒸留水とエタノール、蒸留水混合液で順次に洗浄して、イライトの表面に結合されないAA単量体と重合体を除去した。合成されたAA−Illite 2.5gは、0.5M塩化ナトリウムに反応させることによって、AA−Illite表面のCOOH基をCOONaに置換させて、親水性、吸湿性などの機能を向上させ、20mMのFeCl
3・6H
2O溶液に1日間浸漬させて、Fe
3+イオンでAA−Illite表面のCOONaをCOOFeに置換した。以後、フェロシアン化カリウム溶液を利用してPBをAA−Illiteのカルボキシル基にin−situ方式で合成した。
図14は、illiteとAA−IlliteとAA−Illite−PBのXRD分析を通した元素分析結果であり、AA−Illite−PB内部のPB存在の有無を示す。一般的にPBに該当するピークは、17.4degree、24.7degree、35.3degreeに該当する。Illite、AA−Illite、AA−Illite−PBのXRDピーク分析結果、いずれも、イライトに該当するピークを示し、AA−Illite−PBのピーク分析結果、既存の研究で報告されたものと類似したPBピークが発見された。これを通じて、AA−IlliteにPBが効果的に合成されたことが分かった。
【0082】
図15は、Illite、AA−Illite、AA−Illite−PBのFT−IR spectrum分析結果である。Illiteは、1000cm
−1の付近でSi−O結合を有し、これは、AA−IlliteとAA−Illite−PBのFT−IR分析結果でも、1000cm
−1付近でSi−Oの結合を確認することができる。これを通じて、AA−IlliteとAA−Illite−PBが、いずれも、イライトの特性を有することを確認した。また、AA−Illite−PBの場合、CN結合を示す2060〜2080cm
−1の付近でピークが確認されるにつれて、AA−Illite−PBにPBが存在するのを確認することができる。
【0083】
一方、非改質Illite、Illite−PB、AA−Illite−PBを比較すると、非改質イライトの表面にPB粒子が少なく結合されているが、AAで改質されたイライトの表面にPBの粒子が多量結合されたことが確認された。このような結果は、EDS分析を通した元素分析結果で確認することができ、その結果は、表7に示された通りである。実験に使用したイライトの場合、酸素(O)とケイ素(Si)から構成されており、in−situ方式を通じて合成したIllite−PBの場合、Feの含量が5%weightを占めることによって、PBが合成されたことを確認することができる。また、AA−Illite−PBの場合、Feの含量が40%weightであって、Illite−PBと比較して約8倍高い数値を示すことを確認することができた。このような事実は、AAを通じて改質されたイライトが、非改質されたイライトの表面より多い量のPBをさらに効率的に固定することを意味する。
【0085】
TGA分析を通じて窒素条件下で0〜1000degreeの範囲で測定した結果は、
図16に示した。Illiteの場合、温度の増加に応じて徐々に分解が進行されることを確認することができる。またAA−Illiteの場合、初期の重さと比較して350 degree付近で分解が加速化して1000degree付近で約3%の重さの減少を確認することができ、AA−Illite−PBは、漸進的に分解が加速化して、1000degree付近で約3.3%の重さの減少を確認することができる。これを通じて、AA−Illiteの場合、AA重さ分率は、約3%であり、AA−Illite−PBの場合、AAとPBの重さ分率は、約3.3%であることを確認することができる。また、AA−Illite−PBの温度が増加するにつれてPB脱着が行われることを確認することができる。
【0086】
[2.AA−Illite−PBのセシウム吸着性能評価]
合成されたAA−IlliteにFeCl
3・6H
2Oとフェロシアン化カリウム溶液を利用してin−situ方式でPBを合成したAA−Illite−PBに対してセシウム吸着実験を実施した(
図17)。AA−Illite−PBの最大吸着量は、2.0029mg g
−1であり、平衡データは、LangmuirとFreundlich等温吸着モデルに合わせた。Langmuir等温吸着モデルは、均等な吸着エネルギーにより均等な特定部位に吸着が起こるものと仮定した。q
m(mg L
−1)は、単一層の最大吸着容量、K
Lは、Langmuir定数であって、吸着エネルギーを示す。Freundlich等温吸着モデルは、吸着剤の表面が異なる吸着エネルギーを有すると仮定した。Freundlich等温吸着モデルでK
fは、吸着容量を示す指標であり、nは、吸着強度を示す定数である。Langmuir等温吸着モデルとFreundlich等温吸着モデルの吸着定数は、表8に示した。Langmuir等温吸着モデルとFreundlich等温吸着モデルの相関係数R
2は、それぞれ0.9331、0.8660であって、Langmuir等温吸着モデルでさらに大きい値を有する。これを通じて、吸着形態が気孔の間でセシウムが単層に均一に吸着し、物理的に吸着する傾向が大きいことを確認することになった。
【0088】
水中でAA−Illite−PBのCs−137の除去能力を測定するために、吸着実験を実施した(
図18)。200Bq/kgのCs−137を含有する溶液500mlにAA−Illite−PBを0.01g注入して24時間の間反応させた。吸着剤と反応前の試料溶液は、Cs−137の特性を示す662keVでピークを示した。しかし、吸着剤と反応後の試料溶液は、662keVでピークを示さなかった。これを通じて、AA−Illite−PBのCs−137吸着に対して確認することができた。
【0089】
AA−Illite−PBのCs−137対する除去効率(%)と検出限界(DL)を表3に示した。放射線測定装置を利用して試料を分析した結果、Cs−137は、初期濃度である200Bq/kgから98%除去された4.66Bq/kgと測定された。
【0091】
[3.Illite−PBとAA−Illite−PBのPB溶出分析]
IlliteとAA−IlliteにPBを合成後、それぞれの吸着剤に対して5回ずつ洗浄して、サンプリングを実施した。試料は、PB脱着特性を分析するために、UV−vis機器分析を行い、その結果は、
図19の通りである。
図19に示されたように、非改質イライトを利用したIllite−PBは、最初1〜2回洗浄時に多量のPBが溶出されることを確認することができた。以後、5次にかけたサンプリングを通じて薄い濃度のPBが継続して脱着されることを確認することができる。反面、AAでイライトを改質するAA−Illite−PBの場合、最初の1回洗浄時に少量のPBが脱着されることを確認することができ、以後、5回にかけた洗浄の間にPBがほとんど溶出されないことを確認することができた。これは、粉末イライト粒子の表面に合成されたAA重合体のカルボキシル基にPBが化学的に結合されて脱着されずに効果的に固定化されたことを示す。これを通じて、AA−Illite−PBを現場適用する場合、PB脱着による2次環境汚染を防止することができることを確認することができた。
【0092】
[粉末活性炭支持体]
支持体が粉末活性炭である場合のセシウム吸着剤の製造方法は、前記支持体として粉末活性炭を使用し、前記粉末活性炭を酸化させて、粉末活性炭の表面にカルボキシル基を有するように改質する段階;前記酸化した活性炭を塩化チオニルと反応させて、酸化活性炭の表面にアシルクロリド基を形成する段階;前記酸化した活性炭を高分子とブラフトさせて、高分子で改質された粉末活性炭を製造する段階;前記高分子で改質された粉末活性炭の表面で高分子の成長が起こるようにする段階;および前記粉末活性炭を塩化鉄(III)およびフェロシアン化カリウム溶液とイン−シチュー(in situ)反応させる段階を含む。
【0093】
前記活性炭は、水処理工程で活用される場合に、水中に粉末活性炭を散布した後、均一に分散させることによって、水処理対象に含まれた放射性物質を効果的に吸着して除去することができる。
【0094】
前記高分子としては、共有結合有機高分子(covalent organic polymer,COP)が使用され、前記高分子は、粉末活性炭の表面に結合されて、プルシアンブルーが形成され得るようにする。本実施例では、高分子としてメラミンが使用され、これに制限されず、プルシアンブルーのin situ合成を可能にする高分子であれば、他の高分子であっても構わない。
【0095】
本発明で使用された共有結合有機高分子(covalent organic polymer,COP)は、ヘキサヒドロピラジンとシアヌル酸塩化物の段階的交換反応、芳香族ニトロと脂肪族アミンの固定化などの合成方法により形成される鎖形態の高分子であって、活性炭粒子の表面に数ナノメートルの気孔が存在する網の皮形態で合成された。これは、吸着剤の表面に豊富な吸着−吸収表面積を形成する。
【0096】
本発明において、プルシアンブルー合成は、粉末活性炭の表面に合成された共有結合有機高分子(covalent organic polymer,COP)の孔隙内で合成された。塩化鉄(III)溶液に浸漬させた後、フェロシアン化カリウム溶液を注入してin situ方法で進行され、これは、吸着に使用された以後プルシアンブルーの流出を防止するためである。
【0097】
本発明で吸着剤の合成過程でプルシアンブルー固定化は、物理−化学的方法で同時に進行された。塩化鉄(III)溶液とフェロシアン化カリウム溶液を支持体粒子の表面に数ナノメートルのサイズで結合された共有結合有機高分子(covalent organic polymer,COP)の孔隙内で順次に反応させて、物理的にプルシアンブルーを捕獲することになる。同時に高分子であるメラミンの官能基のうちアミン基により塩化鉄(III)イオンが吸着され、順次にフェロシアン化カリウムが反応することによって、化学的にプルシアンブルーの固定化が行われる。
【0098】
以下では、具体的な実施例、実験などを取って支持体として粉末活性炭を使用する場合の吸着剤の製造方法を詳しく説明する。
【0099】
[実施例6:材料の準備(粉末活性炭支持体)]
COP−PACを製造するために、次のように材料を準備した:PAC(SAMCHUN)、硝酸(SHOWA,HNO
3,60%)、硫酸(SAMCHUN,H
2SO
4,33%)、ジクロロメタン(SAMCHUN,CH
2Cl
2,99%)、塩化チオニル(DAEJUNG,SOCl
2,99%)、メラミン(SAMCHUN,C
3H
6N
6,99%)、ジメチルスルホキシド(SAMCHUN、(CH
3)
2SO、99%)、ジイソプロピレンアミン(SAMCHUN,C
8H1
9N、99%)、テレフタルアルデヒド(Sigma aldrich,C
6H
4(CHO)
2,99%)、アセトン(C
3H
6O、99%)およびエタノール(SAMCHUN,C
2H
6O、70%)。また、COP−PAC−PB製造のために、塩化鉄(III)(SAMCHUN,FeCl
3,97%)およびフェロシアン化カリウム(SAMCHUN,K
4Fe(CN)
6・3H
2O、99%)溶液をin situ方式で反応させた。吸着実験に必要な塩化セシウム(cesium chloride,SAMCHUN,CsCl、99.0%)と韓国標準科学研究院(KRISS)で製造した放射性セシウム(Radioactive cesium,Cs−137)標準線源溶液を準備した。
【0100】
[実施例7:COP−PACの合成]
表面が高分子で改質された粉末活性炭(COP−PAC)は、4つの段階を通じて合成された。1段階として20%のPACを40%硝酸および45%硫酸を3:1の割合で混合した500mLの王水で24時間の間反応させた。反応液を中性pHに到達するまで3次蒸留水で多量洗浄した後、真空オーブンで12時間の間110℃で乾燥させて酸化活性炭(Ox−PAC)を合成した。2段階として400mlのジクロロメタンと100mlの塩化チオニルが混合された溶液にOx−PAC 2.5gを注入し、35℃で24時間の間反応させた。その後、溶液を回転蒸発器を使用して回転蒸発させて合成された化合物からThio−PACを得た。3段階としてThio−PAC 0.375g 2.5gをメラミン150ml、ジメチルスルホキシド2.5mlおよびジイソプロピルエチルアミンと直ちに反応させ(メラミンは、浴槽で超音波注入法で溶液に完全に溶解した)、混合溶液を窒素ガス中で120℃で24時間の間反応させた。固液分離を通じてPAC粒子をジメチルスルホキシド、3次蒸留水およびエタノール(各溶液で3回)で洗浄し、真空オーブンで110℃で12時間の間乾燥してMel−PACを合成した。最終段階として、メラミン500mgとテレフタルアルデヒド800mgをジメチルスルホキシド150mLと混合し、PAC粒子にCOPを付着させて、COP−PACを合成するために、水槽で超音波処理を通じて完全に溶解させた。その後、Mel−PAC 1000mgを溶液と混合して窒素ガス中で150℃で48時間反応させた。合成されたCOP−PACを溶液から分離し、ジメチルスルホキシド、アセトン、3次蒸留水およびエタノールで順に十分に洗浄した(各溶液で3回)。その後、PACを真空オーブンで110℃で12時間の間乾燥させてCOP−PACを合成した。
【0101】
[実施例8:COP改質/非改質された粉末活性炭のプルシアンブルー形成]
プルシアンブルーの合成は、
図20に示されたように、in situ方法で行われた。まず、PAC、Ox−PACおよびCOP−PAC粒子それぞれ5gを50mLの塩化鉄(III)(FeCl
3)で反応させ、100rpmで一日間マグネット撹拌した。遠心分離機(4000rpm、10分)を使用して混合溶液の固体および液体を分離した。その後、分離した固体を20mMフェリシアン化カリウム(potassium ferricyanide)50mlと混合し、5分間反応させた。再び遠心分離機(4000 rpm、10分)を使用して混合溶液の固体および液体を分離し、固体を3次蒸留水で複数回洗浄した後、乾燥オーブンで60℃で6時間の間乾燥させた。合成された改質された粉末活性炭(COP−PAC)と非改質粉末活性炭(PACおよびOx−PAC)のプルシアンブルーの脱着の有無を確認するために、洗浄水のPB濃度をUV−Vis分光光度計を利用して測定した。
【0102】
[実験:粉末活性炭支持体]
[COP−PAC−PB粒子の特性分析]
300kVで作動する透過型電子顕微鏡(JEOL,JEM−2010,Japan)を使用してPACおよびCOP−PAC粒子の表面特性を分析し、エネルギー分散分光器(EDS)および元素分析器(Thermo,Flash2000,Germany)を利用して各段階で生成された各吸着剤を構成する元素含有量を分析した。試料のXRD分析(Rigaku,SmartLab,Japan)およびFT−IR分析(Thermo,Nicolet iS50)は、室温で行い、スペクトル範囲は、15〜75degreeおよび500〜3000cm
−1で進めた。比表面積および気孔分布分析器(BEL,BELSORP−max,Japan)を使用してPAC、COP−PACおよびCOP−PAC−PBのBET(Brunauer−Emmett−Teller)表面積および平均気孔サイズを測定した。in situ方法によりCOP孔隙内に合成されたプルシアンブルーの脱着を確認するために、UVスペクトル(BioChrom,Libara S22,USA)を利用して脱着特性を分析した。
【0103】
[COP−PAC−PBの等温吸着実験]
PBは、PAC粒子の表面に合成されたCOPのナノメートルサイズの孔隙内に固定されていた。すべての吸着実験は、ポリプロピレンファルコンチューブ(polypropylene falcon tube、15ml)を使用して室温で行われた。CsClを使用して原液(1000mg L
−1)を製造し、希釈して、実験に使用した。COP−PAC−PB(0.01〜5g)をCs 10mg L
−1(ppm)溶液50mlに注入し、24時間の間反応させた後、COP−PAC−PBのCs吸着効率をICP−MS(Perkin−Elmer,Nexion 350D、USA)。COP−PAC−PBの放射性セシウム除去効果(Cs−137)を測定するために、放射性セシウム600Bqが含まれた蒸留水200mlを放射線検出チューブ内でCOP−PAC−PB 0.1gと24時間の間反応させた。放射線は、3×3インチNal検出器、MCAおよびデジタルMCAが厚さ20mmのリードライニング保管コンテナ内に装着された放射線モニター(Nucare,RAD IQ FS200,Korea)を使用して測定された。
【0104】
[実験結果:粉末活性炭支持体]
[1.COP−PAC−PB重合体の特性分析]
まず、粉末活性炭(powdered activated carbon,PAC)粒子を王水(硝酸3:硫酸1)で24時間の間反応させてOx−PACを合成した。ひとまず、カルボキシル基がPAC粒子の表面で高度に飽和されると、ジクロロメタン(CH
2Cl
2)と塩化チオニル(SOCl
2)が混合された溶液で還流下で2:1の割合で反応し、高い反応性を有するアシルクロリド置換体に変換された。合成されたThio−PAC粒子に使用された溶媒は、回転式蒸発器を使用して蒸発させ、次の工程を直ちに行って、空気または水分による塩化アシルの加水分解を阻止した。Thio−PACとメラミンが完全に溶け合っているジメチルスルホキシド溶液を反応させてMel−PACを合成した。この過程でメラミンは、アミド結合を形成し、カルボキシル基からアシルクロリドに転換された活性炭素粒子の表面にグラフトされた。したがって、メラミンのアミン基によりシェル形態のCOPが生成された。COP−PACは、以前の研究と同様に、Schiff−baseネットワークを基盤とするテレフタルアルデヒドによるメラミンの成長を通じて合成された。合成後、COP−PACを洗浄して、PAC粒子の表面に合成されない単量体および重合体を除去した。
図21では、PACとCOP−PACのTEMイメージを示す。TEMイメージ分析は、PAC粒子がなめらかな表面を有することを示したが、反面、皮形態のCOPは、COP−PAC粒子の表面にチェーン形状のように絡まっていることが観察された。PAC粒子の表面にグラフトされたCOP形態は、GAC粒子を合成するための以前の研究で使用されたCOPの形態と非常に類似していた[Mines,P.D.et al.,Chemical Engineering Journal、309,766−771.(2017)]。
【0105】
エネルギー分散分光法(EDS)および元素分析(EA)技術を使用してCOPの存在が確認され、その結果は、表10に示された通りである。その結果、PACは、主に炭素からなり、メラミンの成長によるCOPの存在によってCOP−PACでの窒素含量が非常に高いことが分かった。粒子分析を通じてもEDS分析の結果と同様に、炭素がPAC粒子含量の大部分を占めることが示されることを確認した。王水で酸化したOx−PACの酸素含量は有意に増加したが、水素と窒素含量は若干増加した。Mel−PACの場合には、メラミンを構成するアミン基の添加に起因するグラフトされたメラミンにより窒素含量が増加した。酸素含量は若干減少したが、これは、アシルクロリドを代替したメラミンによるものである。COP−PACでの窒素含量は、以前の段階で改質された他のPAC類型に比べて最も高く示されたが、これは、COP−PACでの窒素含量がテレフタルアルデヒドとメラミンの成長によってMel−PACでの含量よりも高く示された。COP合成段階での生成物をフーリエ変換赤外線分光法(FT−IR)で分析した結果は、
図22に示された通りである。Ox−PACの場合、C=OおよびC−Oに該当するピークがそれぞれ1631cm
−1および1064cm
−1付近で観察され、C−Oに該当する吸着ピークは、C=Oによるものより若干さらに強く現れた。3段階で合成されたMel−PACは、それぞれ1630cm
−1および1209cm
−1付近のN−HおよびC−Nと関係関係があることが分かった。最終改質されたCOP−PACの場合、1548、1479、1354、1193および877cm
−1付近に多重ピークが観察された。そのピークパターンは、COPがPAC粒子の表面に効果的にグラフトされたことを示す純粋なCOP−19で発見されたパターンと類似していた。
【0107】
図20に示されたように、プルシアンブルーは、COP−PAC粒子の表面上にグラフトされたCOPの孔隙内で合成された。PAC、COP−PACおよびCOP−PACのXRD分析結果は、
図23の通りである。一般的に、PBの特性を示すピークは、17.5と39.7degreeの近くで観察される。COP−PAC−PBのXRDを分析し、PBのピークをそれぞれ黒色と赤色で表示されたPACおよびCOP−PACのピーク パターンと比較した。その結果、プルシアンブルーのピークは、以前の研究結果と類似した位置で発見され、これからin situ方式でプルシアンブルーが効果的に合成されたことを確認した。COP−PAC−PB粒子でプルシアンブルーの存在を確認するためにFT−IR分析を行い、シアン化物グループの(C≡N)伸縮振動による新しい吸着ピークが2076cm
−1の付近で観察され、これからプルシアンブルーがCOP−PAC−PB粒子に存在することが分かった(
図24)。
【0108】
N2吸着−脱着等温線を使用してPAC、COP−PACおよびCOP−PAC−PBのBET表面積を分析した結果は、
図25に示された通りである。PACおよびCOP−PACの非表面積は、それぞれ776.82m
2/gおよび395m
2/gであった。多孔性物質の比表面積は、COP合成過程で酸化されるにつれて顕著に減少するものと知られている。この工程は、活性炭素粒子表面の酸化に対する機能水準を増加させ、このような結果は、表10に提示されたTEM(EDS)および元素分析(EA)の結果で確認することができた。COP−PACの比表面積は、Ox−PACの比表面積より高かった。これは、メラミンのグラフトおよび成長を通じてPACの表面にCOPが合成されるにつれてCOP−PACの比表面積が増加したためである。表11のBET分析の結果は、COP−PACおよびCOP−PAC−PBの平均気孔サイズがPACの平均気孔サイズより大きいことを示し、これは、微細気孔の壁が酸化工程で破壊されたためである。COP−PAC−PBのBET表面積は、290m
2/gであり、これは、PBがPAC粒子の表面に存在するCOPの気孔内にin situ合成されたためである。したがって、このような理由でCOP−PAC−PBの比表面積は、COP−PACの比表面積より小さいと言える。
【0110】
[2.COP−PAC−PBのPB溶出分析]
PBをPAC、Ox−PACおよびCOP−PACでin situ合成した直後、それぞれの吸着剤を6回ずつ洗浄してサンプリングを実施した。PBの脱着特性を分析するために、試料をUV−Vis機器分析を行った(
図26)。
図26に示されたように、非改質されたグループ(PACおよびOx−PAC)は、最初1〜2回洗浄時に、多量のPBが溶出されることを確認することができ、薄い濃度のPBが継続して脱着されることを確認した。反面、改質されたグループ(COP−PAC)の場合、最初の1回洗浄時に少量のPBが脱着されることを確認した。また、6回洗浄後には、COP−PACからいかなるPBも脱着されず、これからPBがPAC粒子の表面に合成されたCOPの気孔内に効果的に結合固定されていることを確認した。これを通じて、COP−PAC−PBを現場適用する場合、PB脱着による2次環境汚染を防止することができることを確認することができた。
【0111】
[3.COP−PAC−PBのセシウム吸着性能評価]
PACをCOPで表面改質するためにOx−PACを合成し、Ox−PACとCOPを利用してPAC粒子の表面をCOP−PACで改質した。その後、COP−PAC粒子を塩化鉄(III)およびフェロシアン化カリウム溶液とin situ反応させてPBと結合させた。
【0113】
吸着実験結果は、表12に示されたように、PAC−PBおよびOx−PACは、9.91mg L
−1(初期濃度)のセシウム溶液でそれぞれ20%および25%の除去効率を示したが、COP−PAC−PBは、約86%の除去効率を示した。このような結果は、COPがPAC粒子の表面に効果的に合成され、PBがCOP孔隙内で成功裏にin situ合成されたことを意味する。COP−PAC−PB粒子の吸着−脱着等温線は、
図27の通りである。COP−PAC−PB粒子の最大吸着量は、19mg/gであり、平衡データは、LangmuirおよびFreundlich等温線モデルに合わせた。Langmuir等温吸着モデルは、均等な吸着エネルギーにより均等な特定部位で吸着が起こると仮定し、その方程式は、次の通りである:
【0115】
ここで、Ce(mg L
−1)は、平衡濃度であり、qm(mg L
−1)は、単一層の最大吸着容量、bは、ラングミューアの定数である。単一層(qm)の吸着能力とラングミューア定数(b)は、それぞれその切片と傾きから得られる。Freundlich等温吸着モデルは、吸着剤の表面が異なる吸着エネルギーを有すると仮定した。Freundlich等温吸着モデルでK
fは、吸着容量を示す指標であり、nは、吸着強度を示す定数である。
【0117】
COP−PAC−PBに対するLangmuirおよびFreundlichモデルの定数は、表13に示した。Langmuir等温吸着モデルとFreundlich等温吸着モデルの相関係数R
2は、それぞれ0.9844、0.9635であって、Langmuir等温吸着モデルでさらに大きい値を有する。これを通じて、気孔内でセシウムが単層に均一に吸着することを確認することができた。
【0119】
COP−PAC−PBの放射性セシウムCs−137の除去能力を測定するために吸着実験を行い、その結果は、表14の通りである。60Bq/kgのCs−137が存在する200mlの溶液にCOP−PAC−PB(0.2g)を注入し、24時間反応させた。その後、厚さ20mmのリード保管コンテナ内で核種を分析することができる3×3インチNal検出器(Nucare,RAD IQ FS200,韓国)を使用して溶液のCs−137濃度を3,600秒間測定した。最終Cs−137濃度は、1.62Bq/kgであり、初期濃度から97.3%減少した。また、吸着実験を行う前後の溶液内放射水準をスペクトルで示した(
図28)。吸着前後のレベルは、それぞれ赤色および黒色で表示し、検出器は、同じ条件下で使用された。吸着実験の前後に天然放射性核種であるK−40ガンマ線のエネルギー準位が明確なピーク(1,460KeV)を示した。吸着前にCs−137ガンマ線のエネルギー準位(赤色で表示)は、明確なピーク(662 KeV)を示したが、Cs−137濃度が低くなって、吸着後のスペクトルでは、ピーク(662KeV)が明確に観察されなかった。これから、Cs−137は、注入されたCOP−PAC−PBにより効率的に吸着、除去されたことが分かった。