【実施例】
【0094】
(実施例)
目下のところ一般的に記載されている本発明を、以下の実施例を参照することによってより容易に理解する。以下の実施例を、単に、本発明のある局面および実施形態の例証の目的のために挙げる。これらの実施例は本発明を制限するとは意図されない。
【0095】
(実施例1−凍結乾燥されたグリベンクラミド)
(表3)
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
注:範囲または代わりのものを、かっこ内に示す。「注射用蒸留水」としては、精製された、殺菌された、濾過された、および患者への投与に適切かつ安全である他の水が挙げられる。
【0098】
(実施例2A−−微粉化されたグリベンクラミドを用いた溶解度の研究)
(スクロース)
表4の左側の列に記録されているように、水中の2%スクロース(グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、および単糖類、二糖類を含む他の糖に対する代用品として)中で、微粉化されたグリベンクラミドを調製した。加えて、微粉化されたグリベンクラミドを、バルキング剤を伴なわない水中で調製した(表4、右側の列を参照のこと)。これらは緩衝化されていない溶液であったため、1)pHを標的の値に調節した、その後2)グリベンクラミドを添加した(これは、pHを下げた)そしてその後3)pHを標的まで再調節(re−adjust)した。これを、pHが安定するまで繰り返して行った。
【0099】
(表4−−グリベンクラミド(GLB)の溶液)
【0100】
【表6】
グリベンクラミド濃度(縦軸上にmg/mLの単位で示される)を、
図1において、水性のスクロース溶液(水中の2%スクロース、ここで「%」はg/100mLを意味する)および水単独における、pHの関数としてプロットした。
【0101】
ラクトースおよびにマンニトールならびに他の糖(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロース、ソルビトール、および単糖類、二糖類を含む他の糖)についての結果は、スクロースについて示されている結果と類似すると考える。
【0102】
(生理食塩水)
水中の2%生理食塩水および0.9%生理食塩水中で微粉化されたグリベンクラミドを調製し、そして分析した(表5を参照のこと)。これらの溶液は緩衝化されていない溶液であったので、以下の方法を用いた:1)pHを標的まで調節した、その後2)グリベンクラミドを添加した(これは、pHを下げた)そしてその後3)pHを標的まで再調節した。これを、pHが安定するまで繰り返して行った。「GLB」はグリベンクラミドを示す。
【0103】
(表5−−グリベンクラミド(GLB)の溶液)
【0104】
【表7】
グリベンクラミドの量(mg/mLにおける)を、生理食塩水溶液中および水中におけるグリベンクラミドの溶液について、pH(横軸に沿っている)の関数として、
図2において縦軸上にプロットした。
【0105】
図2において見られ得るように、グリベンクラミドの溶解度がより小さかったのは、生理食塩水溶液であり、NaClのより高い濃度はグリベンクラミドの溶解度をさらに下げる。つまり、0.9%生理食塩水溶液におけるグリベンクラミドの最大限の量は、2%生理食塩水溶液におけるグリベンクラミドの最大限の量より大きかった。
【0106】
(緩衝化された溶液)
緩衝化された水の溶液(Britton Robinson緩衝液)を、追加の塩も追加の糖も含まない緩衝化された溶液中に可溶であるグリベンクラミドの量を決定するために用いた。グリベンクラミドに加えて緩衝化された水を用いる実験は、pHによる以下のような濃度を結果として生じた:
(表6)
【0107】
【表8】
2%スクロースおよび水−単独型と比較した場合、溶解度は緩衝化された型においてわずかに変わり、そして、より高い溶解度を、緩衝化することなくNaOH調節を用いて達成し得るようである。
【0108】
(3%マンニトール、1mg/mLグリベンクラミドを含み、かつ11.3のpHを有する溶液)
グリベンクラミド−試験的な処方物(JC No.:R08−02682)ならびに凍結乾燥および再構成(JC.:R08−02683)
(実験の詳細)
脱イオン水中のグリベンクラミドの二つのバルク溶液(処方物A、1mg/mL;処方物B、0.5mg/mL)を調製した(両者は3%マンニトールを有する)。希釈物は各バルク溶液から調製した。上記バルク溶液を、外見およびpHについて、調製後すぐに(0時間)、ならびに5時間(バルク溶液だけ)および24時間後、評価した。2個のバルク溶液のそれぞれから10個のバイアルを満たし、そしてその後10個のバイアルを凍結乾燥した。各バッチ(batch)からの2個のバイアルを、脱イオン水を用いて再構成し、そして外見およびpHについて評価した。以下において、希釈物は0.9%生理食塩水溶液を用いて作製したことは注目すべきである。
【0109】
結果を以下に要約する:
(結果および考察)
BN838−097(3%マンニトールにおけるグリベンクラミド1.0mg/mL、pH11.4)およびBN838−099(グリベンクラミド0.01mg/mL(BN838−097の1:99希釈物))
【0110】
【表9】
0、5および24時間において評価されたサンプルは、沈殿物を有さない澄んだ無色の溶液であった。希釈されていないおよび希釈されたサンプルのpHは、24時間にわたって安定であった。
【0111】
BN838−101(3%マンニトールにおけるグリベンクラミド0.5mg/mL、pH11.4)、BN838−103(グリベンクラミド0.01mg/mL(BN838−101の1:49希釈物))、およびBN838−105(0.003mg/mL(BN838−103の1:2希釈物))
BN838−101の希釈物におけるpHが、pH8より上であることに注目し(BN838−103)、それゆえ、さらなる1:2希釈をBN838−103で行った(その結果はBN838−105)。
【0112】
【表10】
0、4および24時間において評価されたサンプルは、沈殿物を有さない澄んだ無色の溶液であった。希釈されていないサンプルのpHは、24時間にわたって安定であった。希釈されたサンプルのpHは(BN838−103(BN838−101の1:49希釈))、24時間の間に、約1pH単位のpHの低下を示した。
【0113】
上に記載されるように、バッチ838−103のpHがpH8より上であったので、バッチ838−103をさらに1:2で希釈した。この希釈されたサンプルのpHは、24時間の間に、約1pH単位、上昇したが、pH8より下のままであった。
【0114】
(凍結乾燥および再構成)
【0115】
【表11】
上に記載されるように、上記のバルク溶液のそれぞれからバイアルを満たし、そして凍結乾燥した。乾燥サイクルの最後において、バイアルを乾燥機から抜き、そして各バッチからの2個のバイアルを、脱イオン水を用いて再構成した。
【0116】
凍結乾燥されたケークは、脱イオン水の添加に際して非常に急速に溶解し、沈殿物を有さない澄んだ無色の溶液を生み出した。このpHを測定し、そして、両方のバッチについて11.4であることを見出した。別の研究室が類似の仕事を引き受け、そして凍結乾燥された物質の再構成後に結果として生じたpHは、10.7であった。したがって、これらの結果は、上記処方物を首尾よく凍結乾燥し得ることを示す。
【0117】
(実施例2B)
(例示的処方物:グリベンクラミド(1mg/mL)、NaOH、および水;この処方物は11.3のpHを有する)
(表7)
【0118】
【表12】
(調製)
凍結乾燥されたグリベンクラミドを、以下の方法で産生した:
1.中程度の速度で攪拌している間に、95mLのWFIを0.2Mの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH11.4±0.1に調節した。
2.引き続き攪拌しながら、マンニトールおよびグリベンクラミドを添加する。pHを11.4±0.1に調節する。
3.攪拌している間、溶液のpHを、数分ごとに、0.2Mの水酸化ナトリウム溶液を用いて11.4に調節する。グリベンクラミドが溶液になるために必要とされる時間は、約30分である。
4.容積が100mLになるようにWFIを添加する。
5.必要である場合、pHを11.4に調節する。
6.工程5の溶液を凍結乾燥する。白色または灰色がかった白色のケークを形成する。凍結乾燥された物質は十分に大きな表面積を有し、これをさらに粉砕することを必要としない。
注意:HClを使用していない。グリベンクラミドはpHの多少の低下を引き起こす;pHのさらなる低下は必要ではない。
【0119】
しかしながら、所望であれば、さらに、必要に応じて、工程6の後に粉砕の工程を、凍結乾燥されたケークを粉砕し微粉化された粉末にするために行い得る。そのような粉砕の工程は、例えば、多量の凍結乾燥物について、有用であり得る。そしてそのような粉砕の工程をいずれの場合においても除外し得、そして特に、ケークが大きさにおいて小さい場合、バイアル内にある場合、または任意の他の理由でも除外し得る。
【0120】
上記出願人によって行われた実験において、微粉化されたグリベンクラミドをCambrex(微粉化された形態で供給される;Cambrex Profarmaco Milano、 Srl、Via Curiel、34、20067 Paullo(MI)、Italy(East Rutherford、New Jersey 07073のCambrex Corporationの一部門)から取得される)から得た。この微粉化されたグリベンクラミドをその後、溶液にし、そしてこの溶液をその後、本明細書で開示される方法に従って凍結乾燥した。
【0121】
(緩衝化されていない溶液および処方物)
緩衝化されていない溶液および処方物を調製した−すなわち、この溶液または処方物は緩衝剤を欠いている。しかしながら、溶液および処方物(これらは、低濃度(例えば、約2mM未満)の緩衝剤または弱い緩衝剤もしくは低い緩衝能力を有する緩衝剤のみを含み、そのため、溶液のpHを緩衝剤によって仮に調節した場合も溶液のpHを満足に調節しなかった)は、この溶液および処方物となじみやすいと考える。
【0122】
本明細書で開示される方法のある実施形態において、溶液のpHは、より多くのグリベンクラミドが溶液になるにつれて、製造プロセスの間、絶えず増大する。
【0123】
pHは、再構成後は高いとしても、再構成された溶液を0.9%生理食塩水中に希釈する場合、(例えば、例として、50倍から約100倍希釈する)、pHは生理学的に受容可能なレベルに下がる。したがって、そのような再構成された溶液は、希釈の際に、例えば3日間の注入における使用に対して適切である。この適切さは、緩衝化を欠いているために意外であり、このことはpHを、溶液を希釈する側のさらなる努力を伴なわずに、生理学的に受容可能な溶液中での希釈によって、受容可能なレベルまで下げることを可能にする。
【0124】
(HCl(塩酸)無し)
pHを下げるためのHClの使用と共に、pHを増大させるためのNaOHの使用は、凍結乾燥の間の崩壊温度(collapse temperature)を下げ得る。それゆえ、pH調節のためにNaOHだけを使用することが好ましい。したがって、ある実施形態において、HClは使用しない:すなわち、凍結乾燥のための溶液または処方物のpHを調節するために、HClを使用しない。
【0125】
(PEG(ポリエチレングリコール)または他の有機溶媒無し)
当該分野における、凍結乾燥されたグリベンクラミドの他の実施例とは異なり、有機溶媒の使用を、本明細書で開示される方法および組成物においては必要としない。有機溶媒が無いことは、先行技術の処方物に勝る利点であると考えられ、そしてこのことはFDA規制経路(regulatory pathway)を平易にし得(例えば、患者を処置することならびに患者の疾患および病気の処置のための薬を産生することにおける使用に対し、本明細書で開示される方法に従って、溶液、処方物、凍結乾燥物などを使用することへの規制の承認を取得するために必要とされる努力を平易にする)、そして臨床的適用におけるこれらの方法の迅速な採択を可能にし得る。
【0126】
(開始pHと、開始濃度と、全用量と、一日あたりの最大の注入可能な体積との関係) 特定の開始濃度(例えば、0.5mg/mL)、開始pH(これは、上記濃度を維持するために十分に高い(例えば、pH11.3))および目的とする全用量(例えば、一日あたり3mg)に対し、一日当たりの最大の注入可能な体積(例えば、1,000mL)は十分に高くなければならず、薬物を、一日当たりの最大の注入可能な体積を得るために0.9%生理食塩水中で希釈する場合、希釈率(994:6、すなわち、166:1)は、pH8.5以下、または最も優先的にはpH7.0のpHに達するために必要とされる最小の希釈率より高い(この場合、最小の希釈率は、上で論じられた実験に基づき、50〜100の間のどこかである)。
【0127】
(実施例3)
(例示的な処方物:グリベンクラミド(0.2mg/mL)、NaOH、HCl、および水;この処方物は9.4のpHを有する)
HClを、pHを9.4に変更するため凍結乾燥の前の最終工程として使用することを除いて、実施例2Bの1mg/mLグリベンクラミド処方物について記載されたように、この処方物を、調製する。
【0128】
(実施例4)
(例示的な処方物:グリベンクラミド(0.1mg/mL)、NaOH、HCl、および生理食塩水;この処方物は9.4のpHを有する)
HClを、pHを9.4に下げるために凍結乾燥の前の最終工程として使用することを除いて、実施例2Bの1mg/mLグリベンクラミド処方物について記載されたように、この処方物を調製する。
【0129】
加えて、この処方物、および類似の濃度の他のものは、再構成に際して直ちに等張となり、かつ炭水化物を含まない。このことは、例えば、臨床医は、しばしば高血糖である脳卒中の患者に炭水化物を与えることを、しばしば懸念するので、脳卒中の患者を処置することにおいて、臨床的強みを提供すると考える。
【0130】
(凍結−乾燥(凍結乾燥))
凍結乾燥(freeze drying)(凍結乾燥としても知られる)は、物質を最初に凍結し、そしてその後、(凍結された固体の周囲の気圧を下げることによる)昇華によって、および物質中の凍結された水が直接、固相から気体に昇華する(これは、乾燥された物質を残す)ことを引き起こすために十分な熱を加えることによって乾燥する、プロセスである。凍結乾燥物はしばしば、乾燥した薄片または他の粒子として現れ、これはその後、例えば、粉末を形成するために、より小さな粒子へとさらにばらばらにされ得る。凍結乾燥の完全な記述は、Thomas JenningsによるLyophilization−Introduction and Basic Principles(CRC Press LLC,Boca Raton,Florida,USA(1999)によって出版された。ISBN:9781574910810およびISBN−10:574910817)の本で見い出せる。
【0131】
凍結−乾燥プロセスは3つの工程を含むと考えられ得る:凍結、一次乾燥、および二次乾燥。
【0132】
第一の工程(凍結)は、その名前が含意するように、単に物質を凍結するプロセスである。物質を、凍結するため、および融解よりむしろ昇華が、真空状態または低圧下で、凍結された物質へのその後の加熱によっておこることを保証するために、その物質の共融点(物質の固相および液相が共存する、最も低い温度)より下の温度まで冷やすべきである。共融点はその物質の固相および液相が共存し得る、最も低い温度で生じるので、この点より下の温度で物質を凍結することは、続く工程で融解よりむしろ昇華がおこることを保証する。非晶質(ガラス状の)物質(これは、共融点を欠いている)の冷却は、この物質の臨界温度より下で、あるべきである。
【0133】
例えば、物質を、何れかの適切な方法(例えば、冷凍、ドライアイスおよびメタノールの浴液器内に置くこと、または液体窒素浴液器内に置くこと)によって冷却される、凍結−乾燥フラスコ内で凍結し得る。
【0134】
最初の乾燥工程(一次乾燥段階)において、圧力を下げ、かつ昇華のために十分な熱を物質中の凍結された水に対し供給する。水の大部分を、この最初の乾燥段階において除去する。この段階において、圧力を、昇華を早めるための部分的な真空状態の適用を通じて制御する。
【0135】
最初の乾燥段階の後に、さらなる乾燥(二次乾燥段階)を、温度を一次乾燥段階で用いられた温度よりも高く上げることによって行う。二次乾燥段階は、一次乾燥段階の間に濃縮された、または最初の場所から移動された水を除去し得る。低い圧力を、なおその上、この段階において一般に用いる。
【0136】
特に、水の再吸収(reabsorption)を防ぐために措置を講じる場合、凍結乾燥された産物はしばしば非常に安定である。例えば、凍結乾燥は、多数の年数の間保管され得る調合薬を提供するために有用である。しかしながら、上記のプロセスは物質中に多くの微視的な孔を産生し、これが水の再導入(reintroduction)を助けるので、必要である場合、凍結乾燥された物質の産物を、難なく再水和(再構成)し得る。凍結乾燥された物質を、容易に保管、輸送し得、かつ注射のために、そのそもそもの形態に後で再構成し得る。
【0137】
(微粉化)
顆粒化されたまたは粉末化された固体の平均の粒子の大きさを減少させることを微粉化と呼び得、これは、例えば、薬物の粒子の大きさを減少させることまたは薬物が数ミクロンの平均の粒子の大きさを有するように微粉化することである。微粉化された薬物粒子を含む投薬形態は、高められた溶解度を示し、そしてその結果、薬物の生物学的利用能の上昇を生じることをしばしば見出す。
【0138】
伝統的には、乾燥物質を、乳鉢および乳棒の作用によって手で、(微粉化された)細かい粉末へと粉砕した。ここでは、上記物質を、硬い乳棒と硬い乳鉢との間で、どんどん細かい粒子へと粉々にした。多くの機械化された微粉化技術(例えば、ミリングおよび粉砕)は、粒子の大きさを下げるために摩擦を用いる。一般的な産業上の製粉機は、粉砕要素(例えば、鋼鉄の球体)を含む円柱状の金属ドラムからなる。このドラムが回転すると、ドラム内の粉砕エレメントが固体の粒子と衝突し、そして、二つの粉砕要素の間に捕捉した場合、この粒子を粉々にし、より小さい直径を有する、より小さな粒子を産出する。代わりに、粉砕ホイール(wheel)または他の粉砕要素を、粉末または薄片などの粒子をより小さな粒子に微粉化するために使用し得る。
【0139】
押しつぶすおよび刻むなどの方法もまた、粒子の直径を下げるために使用するが、これはミリングおよび粉砕と比較して、より粗い粒子を産出する(だからそれゆえ、微粉化プロセスの初期の段階である)。押しつぶすことは、衝撃によって固体をより小さな粒子に砕くためにハンマーのような道具を利用する。刻むことは、粗い固体の断片をより小さなものに刻むために、鋭利な刃物を用いる。
【0140】
マイクロカプセル化に適切な固体粒子(例えば、約20μm未満、または約10μm未満より小さい平均の粒子の大きさを有する粒子)を形成するため、タンパク質および薬物を含む固体物質の微粉化を、上で論じられたような、ミリングを含むいろいろな手法を用いて、ならびにその上、噴霧乾燥(spray−drying)、噴霧凍結−乾燥、および超臨界抗溶媒(SAS)沈殿技術によって、達成している。
【0141】
種々のミリング技術は公知である。例えば、Backstromらに対する米国特許第5,952,008号において、噴出ミリング(jet milling)を、吸入投与のための10μmより小さい粒子を産生するために使用する。Platzらに対する米国特許第5,354,562号は、薬物(その後のミリングの間での薬物の劣化(degradation)を阻害する、ミリング安定剤(milling stabilizer)を含む)の溶液を凍結乾燥することによって作製されるポリペプチド薬物の固体粒子のエアロゾル処方物を開示する。凍結乾燥された薬物を、流体エネルギーミル(耐摩耗性材料を備えた)の中でミリングする。高圧でミリングする場合、結果として生じる粒子は0.5と4μmとの間であり、ならびに、低圧でミリングする場合、結果として生じる粒子は4μmと15μmとの間である。Clarkらに対する米国特許第5,747,002号は、7μmより小さい大きさの分布を有する粒子を産生するための塩化ナトリウムの噴出ミリングを開示する。
【0142】
Burkeに対する米国特許第5,817,343号は、重合体/薬物微粒子を形成するための方法を開示し、これは重合体溶液/不溶性薬物の混合物を形成すること;重合体中に薬物粒子を含む硬い基質(matrix)を形成するために、この混合物から溶媒を除去すること;および重合体のガラス転移点より下でこの基質を断片化(例えば、粉砕またはミリング)することによって、この基質を微粉化することによる。
【0143】
ソニケーション(sonication)は、粒子を微粉化するために利用される別の技術である。例えば、Fongらに対する米国特許第4,384,975号は、乳化剤としてオレイン酸ナトリウムを用いる、溶媒除去によるミクロスフェアの調製を開示する。重合体溶液中の固体の薬物粒子のミリングによるまたは超音波プローブソニケーションによる、コア物質の微粉化を、開示する。Tracy,Biotechnol.Prog,14:108 15(1998)は、超音波ノズルを使用して溶液中の増殖ホルモンを霧状にすること、凍結されたエタノールのスラリー中で分散された小滴を凍結すること、そして溶媒でないものを除去し、かつ小滴を固めるためにその後凍結乾燥することを開示する。結果として生じる中空の球体を、球体を断片化するために、超音波プローブ処理によってさらに微粉化する。その後、その断片を被包する。
【0144】
(実施例5−凍結乾燥されたトルブタミドの調製のための水の処方物)
トルブタミドは、グリベンクラミドより24倍、水に可溶性であり(109mg/L対4mg/L)、そのため、トルブタミドは水の溶液中でより容易に使用できる。しかしながら、グリベンクラミドより約100倍多量のトルブタミドを、グリベンクラミドと同じ臨床的効果を有するために必要とする。したがって、いくつかの実施形態においてではあるが、グリベンクラミドと同程度の量のトルブタミドを、本発明の特徴を有する処方物および凍結乾燥物中に含み得、あるいは上で論じられたグリベンクラミドの量と比較して、より多くのトルブタミド(または、所望である他の薬物、例えば、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリドおよびSURと相互作用する他の薬物もしくは薬物の代謝産物が挙げられ;例えば、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635などのイオンチャネルブロッカーが挙げられ得;エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲンもしくは他のステロイド化合物が挙げられ得る)を含む。
【0145】
加えて、処方物は、薬物の混合物(例えば、ピンコラントを加えたグリベンクラミド;またはフルフェナム酸を加えたグリベンクラミド;またはメファナム酸を加えたグリベンクラミド;またはニフルミック酸を加えたグリベンクラミド;またはリモナバントを加えたグリベンクラミド;またはSKF 9635を加えたグリベンクラミド;またはエストロゲンを加えたグリベンクラミド;またはエストラディオールを加えたグリベンクラミド;またはエストロンを加えたグリベンクラミド;またはエストリオールを加えたグリベンクラミド;またはゲニステインを加えたグリベンクラミド;またはジエチルスチルベストロールを加えたグリベンクラミド;またはグメストロールを加えたグリベンクラミド;またはゼアラレノンを加えたグリベンクラミド;または非ステロイド性エストロゲンを加えたグリベンクラミド;またはフィトエストロゲンを加えたグリベンクラミド;またはSURと相互作用する別の薬物もしくは薬物の代謝産物を加えたグリベンクラミド)を含み得る。
【0146】
(表8−−トルブタミドの処方物)
【0147】
【表13】
【0148】
【表14】
注:範囲または代わりのものを、かっこ内に示す。
【0149】
上で論じられたグリベンクラミド溶液、処方物、および凍結乾燥物と同様に、トルブタミド溶液、処方物、および凍結乾燥物を調製し得る。そのようなトルブタミド溶液および処方物は、糖も、塩も、緩衝液も含まない、トルブタミドの水の溶液であり得;糖(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖の一つまたは複数)もまた含むトルブタミドの水の溶液であり得、塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)もまた含むトルブタミドの水の溶液であり得、緩衝液(例えば、Britton−Robinson緩衝液、リン酸緩衝液、「トリス」緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む)、HEPES緩衝液(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を含む)、または他の緩衝液)もまた含むトルブタミドの水の溶液であり得る。そのような溶液、処方物、ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物は、上記の組み合わせを含み得ることを、理解する。
【0150】
(実施例6−凍結乾燥されたレパグリニドを調製するための水の処方物)
レパグリニドはSURに作用する別の薬学的に活性な成分であり、かつ、本発明の実施に適している。レパグリニドは、pH9で0.6mg/mLの水の溶解度を有し、これは、このpHでの水におけるグリベンクラミドの溶解度よりわずかに低い。それゆえ、レパグリニドの水の処方物を、グリベンクラミドの水の処方物に類似していると考える。
【0151】
(表9−−レパグリニドの処方物)
【0152】
【表15】
注:範囲または代わりのものを、かっこ内に示す。
【0153】
上で論じられたグリベンクラミドおよびトルブタミド溶液、処方物、ならびに凍結乾燥物と同様に、レパグリニド溶液、処方物、および凍結乾燥物を調製し得る。そのようなレパグリニド溶液および処方物は、糖も、塩も、緩衝液も含まない、レパグリニドの水の溶液であり得;糖(例えば、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、トレハロース、スクロース、ならびに単糖類、二糖類、および他の糖類を含む他の糖の一つまたは複数)もまた含むレパグリニドの水の溶液であり得、塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)もまた含むレパグリニドの水の溶液であり得、緩衝液(例えば、Britton−Robinson緩衝液、リン酸緩衝液、「トリス」緩衝液(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む)、HEPES緩衝液(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)を含む)、または他の緩衝液)もまた含むレパグリニドの水の溶液であり得る。そのような溶液、処方物、ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物は、上記の組み合わせを含み得ることを、理解する。
【0154】
同様に、溶液および処方物、ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物を、他の薬物ならびに薬学的に活性な化合物および成分から作製し得る。したがって、例えば、類似の溶液および処方物ならびにそのような溶液および処方物から作製される凍結乾燥物は、例えば、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリドおよびSURと相互作用する他の薬物もしくは薬物の代謝産物;例えば、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635などのイオンチャネルブロッカー;エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲンもしくは他のステロイド化合物;または他の薬学的に活性な化合物、から作製し得る。
【0155】
本発明の特徴を有する溶液、処方物、および凍結乾燥物を含むキットを調製し得る。例えば、キットは、目的の化合物(例えば、上で論じたように、例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、レパグリニド、ナテグリニド、メグリチニド、ミダグリゾール、LY397364、LY389382、グリクラジド、グリメピリドおよびSURと相互作用する他の薬物もしくは薬物の代謝産物;例えば、ピンコラント、フルフェナム酸、メファナム酸、ニフルミック酸、リモナバント、およびSKF 9635などのイオンチャネルブロッカー;エストロゲン、エストラディオール、エストロン、エストリオール、ゲニステイン、ジエチルスチルベストロール、グメストロール、ゼアラレノン、非ステロイド性エストロゲン、フィトエストロゲンもしくは他のステロイド化合物;または他の薬学的に活性な化合物を含む)の液体の処方物;ならびにそのような液体の溶液の使用のための指示書を含み得る。例えば、この指示書は、上で記載されたような方法および説明を含み得、これは、活性な薬学的成分を含む、水の溶液を提供するための方法を含む。実施形態において、この指示書は、水の溶液を提供するために、どのように、乾燥凍結乾燥物に適切な量の水を添加し得るかを平易に記載し得る。実施形態において、上に記載されたように、この指示書は、どのように、そのような溶液のpHを測定し得るかをさらに記載し得、かつ、どのように、そのような溶液のpHを、所望のようにまたは適切なように調節し得るかを記載し得る。実施形態において、この指示書は、どのように、適切なさらなる成分(これは、上に記載されたように、緩衝剤、塩、賦形剤、増量剤、または他の成分を含む)をそのような溶液に添加し得るかを記載し得る。実施形態において、この指示書は、上に記載されたように、どのように、そのような溶液を注射(ボーラスとしてまたは注入のためのいずれか)に適切である溶液に添加し得るかを記載し得る。
【0156】
さらなる実施形態において、キットは、(例えば、上で論じられたような)目的の化合物の凍結乾燥された処方物;希釈剤の溶液;およびそのような液体の溶液の使用についての指示書を含み得る。例えば、そのような希釈剤の溶液は、水;水およびアルコール(例えば、エタノール);水およびポリエチレングリコール(PEG);水、アルコールおよびPEGから選択され得る。実施形態において、希釈剤のpHは、約pH7.4またはそれより大きいpHであり得る。
【0157】
さらなる実施形態において、希釈剤のpHは約pH7.4またはそれより大きく、かつ、この希釈剤を緩衝化する;この緩衝剤は、薬学的に受容可能な緩衝剤であり得る。なおさらなる実施形態において、キットの希釈剤を緩衝化し、かつ緩衝剤の濃度は約1mMと約100mMとの間である。実施形態において、緩衝剤の濃度は約15mM未満であり得;ならびに実施形態において、緩衝剤の濃度は約5mMと約10mMとの間である。
【0158】
(実施例7−凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性)
種々の温度および相対湿度における長期の保管に対する凍結乾燥されたグリベンクラミドの安定性を評価するための研究を実行した。この研究から取得されたデータは、凍結乾燥されたグリベンクラミドは、試験された温度および相対湿度条件において、少なくとも3ヶ月間にわたってよい安定性を有することを示す。実験の手順およびこの研究からの結果を、詳細に、以下に記載する。
【0159】
実験の手順:凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末を含むバイアルを、この研究で用いた。凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末を、4.7〜5.0mgのグリベンクラミド(この実験は、6mgのグリベンクラミドで始めた。しかしいくらかのグリベンクラミドは、水性の混合物の濾過後、フィルター上に残った。結果として、凍結乾燥に用いられた濾過液は、4.7〜5.0mgのグリベンクラミドを含んだ。)、180mgのマンニトール、および必要に応じ水酸化ナトリウム(凍結乾燥の前にpHを11.3に調節するため)を含む水性の混合物の凍結乾燥によって取得した。この水性の混合物の凍結乾燥は、バイアルあたり6mLの水を除去した。
【0160】
凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末を、外見、再構成時間、再構成後のpH(p1−1)、水分含有量、HPLCで分析されたときのグリベンクラミドの量、およびグリベンクラミドに関連する物質の量、について以下の時点で評価した。:
時間=2〜8℃の初期
時間=2〜8℃で6週間
時間=25℃および60%RHで6週間
時間=40℃および75%RHで6週間
時間=25℃および60%RHで6週間および13日間
時間=40℃および75%RHで6週間および13日間
時間=2〜8℃で3ヶ月間
時間=25℃および60%RHで3ヶ月間
時間=40℃および75%RHで3ヶ月間
分析を、以下のように実行した:
外見および粒子:凍結乾燥されたバイアルを、視覚的に検査した(注射用蒸留水6mLで再構成する前および後に)。
再構成時間:2個の別個のバイアルからの二連のサンプルの再構成時間を、注射用蒸留水6mLを添加した後、測定した。
pH:再構成に用いられた2個の別個のバイアルからの二連のサンプルのpHを、測定した。
グリベンクラミドの量についての検査およびグリベンクラミドに関連する物質についての検査:注射サンプル中のグリベンクラミドについての検査を、無勾配(isocratic)HPLC法によって測定した。Zorbax XDB−C18、5.0vun、150mm×4.6mmカラムを用い、50℃で操作し、アセトニトリル/水/ギ酸(fonnic acid)溶離剤を用いて抽出した。メタノールを希釈剤として用いた。グリベンクラミド含有量を、同様にクロマトグラフされた参照溶液との比較によって検査した。関連する物質を、230nmでのグリベンクラミドのピークに関して、面積%として評価した。
Coulometric Karl Fischerによって分析された水分含有量:水分含有量を、凍結乾燥されたケークをベンジルアルコール中に分散させること、およびこの溶液を電量Karl Fischer滴定によって分析すること、によって評価した。結果をmg/バイアルとして報告する。
【0161】
結果:
外見および粒子:3ヶ月の時点において、凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末の再構成前および後の外見は、初期の時点から変化がないことを示した。再構成の前に、白色から灰色がかった白色のケーク(深さ約12〜14mm)を観察した。このケークは、表面上にいくつかの小さなひびを有した。再構成後、目に見える粒子および繊維を含まない澄んだ無色の溶液を観察した。再構成後24時間での外見は、全ての時点および条件において、いくつかの小さな繊維を含んだが、これらの繊維を、pHの決定の間に入り込んだと決定した。
【0162】
再構成時間:全ての時点および条件において、再構成時間における有意な変動はなかった。
【0163】
pH:全ての時点および条件において、pHにおける有意な変動はなく、かつ全ての結果は、10.4〜11.4のpH範囲内であった。
【0164】
グリベンクラミドの量についての検査およびグリベンクラミドに関連する物質についての検査:各バイアルを、期待される0.78〜0.83mg/mLの濃度のグリベンクラミドを供給するために、6mLのメタノールで再構成した(凍結乾燥されたグリベンクラミド粉末の各バイアルは、4.7〜5.0mgのグリベンクラミドを含んでいたと決定した。)。保管時のグリベンクラミドの検査からの結果は、40℃および75%RHで保管された6週間ならびに3ヶ月間の時点でのサンプル、ならびに2〜8℃で3ヶ月間保管された一つのサンプルを除き、0.78〜0.83mg/mLの範囲内であった。40℃および75%RHでの保管時のサンプル中のグリベンクラミドの濃度は、両方とも0.77mg/mLであった−グリベンクラミド含有量における減少は、おそらく、他のサンプルと比較して高められた温度および相対湿度のためである。2〜8℃の温度で3ヶ月間保管されたサンプルは、0.844mg/mLおよび0.762mg/mLのグリベンクラミド濃度を有した。
【0165】
グリベンクラミドにおそらく関連する三つの物質を、安定性の研究の間に同定した。第一の物質は、0.19のHPLC相対保持時間を有し、かつ定量化可能なピークを産生した。第二の物質は、0.33のHPLC相対保持時間を有し、かつ6週間の時点でのみ、痕跡レベルで存在した。第三の物質は、0.41のHPLC相対保持時間を有し、痕跡レベルで存在した。特に、2〜8℃ならびに60%RHでの25℃において保管されたサンプルに関して、初期の時点と比較した場合、関連する物質の濃度における有意な変化はなかった。40℃および75%RHで保管されたサンプルは、第一の物質のわずかに上昇されたレベルを有した(すなわち、この物質は、0.19分のHPLC保持時間;初期の時点における0.12面積%と比較して、3ヶ月間保管されたサンプルにおいては0.19面積%を有した)。
【0166】
電量Karl Fischer滴定によって決定される水分含有量:全ての時点および条件において、水分含有量における有意な変化はなかった。全ての平均の結果は1.5〜2.0mg/バイアルの範囲内であった。
【0167】
この研究からのデータを、
図4〜8に示す。
【0168】
(参照による援用)
本明細書に参照される各特許文書および科学論文の全ての開示は、全ての目的のために、参照によって援用される。
【0169】
(等価物)
本発明は、この精神または本質的な特性からはずれることなく、他の具体的な形態で具体化され得る。上記の実施形態は、したがって、本明細書に記載される発明を制限するのではなくく、全ての点で、実例となっていると見なされるべきである。本発明の範囲は、したがって、上記の記載ではなく、添付された特許請求の範囲によって示され、かつ特許請求の範囲と等価な意味および範囲内でおこる全ての変化は、本発明に含まれることが意図される。