(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866462
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02B 25/02 20060101AFI20210419BHJP
F02M 61/04 20060101ALI20210419BHJP
F02M 61/18 20060101ALI20210419BHJP
F02M 61/14 20060101ALI20210419BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
F02B25/02
F02M61/04 G
F02M61/18 310C
F02M61/18 340C
F02M61/14 310U
F02M61/18 320Z
F02M21/02 S
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-222822(P2019-222822)
(22)【出願日】2019年12月10日
(65)【公開番号】特開2020-97935(P2020-97935A)
(43)【公開日】2020年6月25日
【審査請求日】2020年1月14日
(31)【優先権主張番号】PA 2018 70806
(32)【優先日】2018年12月11日
(33)【優先権主張国】DK
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519441006
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ、フィリアル・エフ・マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー、ティスクランド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・クノイ
【審査官】
小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−047705(JP,A)
【文献】
特開平08−049634(JP,A)
【文献】
特表2015−529783(JP,A)
【文献】
実開平02−054365(JP,U)
【文献】
特開平11−193734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 19/03−19/06
F02M 61/08
F02M 69/04
F02D 41/00−41/06
F02B 23/00−31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダを有する2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関(100)であって、
前記複数のシリンダの各シリンダはシリンダ壁および前記シリンダの中心軸に沿って移動するように構成されたピストンを有し、
前記2ストローク内燃機関(100)は、燃料ガス供給システムを介して燃料ガスをシリンダ(101)のうちの少なくとも1つに噴射するように構成され、
前記燃料ガス供給システムは、前記少なくとも1つのシリンダに対して、圧縮ストロークの間、前記燃料ガスを前記シリンダ(101)に噴射するように構成されている1つ以上の燃料ガス弁(105)を備え、前記燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、
前記1つ以上の燃料ガス弁(105)は、前記シリンダ壁に配置され、燃料ガスをノズル出口軸に沿って前記シリンダの内側に提供するための1つ以上のノズル出口(206)を有する燃料ガスノズル(204)を有し、
前記燃料ガスノズル(204)は、前記ノズル出口軸の周りを回転運動する燃料ガスを噴射するように構成され、前記ノズル出口軸は前記シリンダの前記中心軸に対して角度が付けられていることを特徴とする、2ストローク内燃機関。
【請求項2】
前記燃料ガスノズル(204)は、前記燃料ガスの回転運動を発生するように構成されているフロー変更要素(205)を備える、請求項1に記載の2ストローク内燃機関。
【請求項3】
前記フロー変更要素(205)は、第1の方向に前記燃料ガスの第1の部分を誘導するように構成されている、請求項2に記載の2ストローク内燃機関。
【請求項4】
前記フロー変更要素(205)は、第2の方向に前記燃料ガスの第2の部分を誘導するようにさらに構成されている、請求項3に記載の2ストローク内燃機関。
【請求項5】
前記フロー変更要素(300)は、前記第1の方向に前記燃料ガスの前記第1の部分を誘導するように構成されている第1のチャネル(302)を備える、請求項3または4に記載の2ストローク内燃機関。
【請求項6】
前記フロー変更要素(400)は、少なくとも5度、少なくとも10度、または、少なくとも20度の前記フロー変更要素の前記燃料ガスの上流のフロー方向に対する入射角を有する第1の表面(401)を備える、請求項2から5のうちのいずれか1項に記載の2ストローク内燃機関。
【請求項7】
前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダのうちの少なくとも1つに対して、第1のノズル出口および第2のノズル出口を備え、前記燃料ガス供給システムは、前記第1のノズル出口と前記第2のノズル出口とを出る前記燃料ガスの回転運動を発生するように構成され、前記第1のノズル出口を出る前記燃料ガスの回転運動は、前記第2のノズル出口を出る前記燃料ガスの回転運動よりも強い、請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の2ストローク内燃機関。
【請求項8】
前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダのうちの少なくとも1つに対して、第1の燃料ガス弁と第2の燃料ガス弁とを備え、前記第1の燃料ガス弁と前記第2の燃料ガス弁は、前記圧縮ストロークの間、燃料ガスを前記シリンダに噴射するように構成され、前記燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、
前記第1の燃料ガス弁と前記第2の燃料ガス弁は、燃料ガスノズルを有し、
前記第1のノズル出口は、前記第1の燃料ガス弁の前記燃料ガスノズルのノズル出口であり、前記第2のノズル出口は、前記第2の燃料ガス弁の前記燃料ガスノズルのノズル出口である、請求項7に記載の2ストローク内燃機関。
【請求項9】
前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダのうちの少なくとも1つに対して、前記圧縮ストロークの間、前記燃料ガスを前記シリンダに噴射するように構成されている第1の燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、
前記第1の燃料ガス弁は、燃料ガスノズルを有し、
前記第1のノズル出口と前記第2のノズル出口の両方は、前記第1の燃料ガス弁の前記燃料ガスノズルのノズル出口である、請求項7に記載の2ストローク内燃機関。
【請求項10】
前記燃料ガス弁(105)は、前記圧縮ストロークの間、燃料ガスを前記シリンダに噴射するように適合され、前記燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、
前記燃料ガス弁(105)は燃料ガスノズル(204)を有し、前記燃料ガスノズル(204)は燃料ガスを前記シリンダの内側に提供するための1つ以上のノズル出口(206)を有し、
前記燃料ガスノズル(204)は、回転運動する燃料ガスを噴射するように構成される、請求項1から9のうちのいずれか1項に記載の2ストローク内燃機関に対する燃料ガス弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ストローク内燃機関と2ストローク内燃機関のための燃料ガス弁に関する。
【背景技術】
【0002】
2ストローク内燃機関は、コンテナ船、ばら積み貨物船、およびタンカーのような船舶において推進エンジンとして使用される。内燃機関からの望ましくない排出ガスの低減は、ますます重要になっている。
【0003】
望ましくない排出ガスの量を低減させるための効果的な方法は、燃料油、例えば重油(HFO)から燃料ガスに切り替えることである。燃料ガスは、圧縮ストロークの最後にシリンダに噴出されてもよく、これは、圧縮されたときにシリンダ中のガスが達成する高温によって、または、パイロット燃料の発火によってのいずれかで、ただちに発火できる。しかしながら、圧縮ストロークの最後にシリンダに燃料ガスを噴射することは、シリンダ中の大きな圧力を克服するために、噴射より前に燃料ガスを圧縮するための大型ガスコンプレッサを必要とする。
【0004】
しかしながら、大型ガスコンプレッサは、製造および維持するのに高価で複雑である。大型コンプレッサの必要性を回避するための1つの方法は、シリンダ中の圧力がかなり低い圧縮ストロークの始めに燃料ガスを噴射するように構成されている燃料ガス弁を有することである。
【0005】
EP3015679は、このような燃料ガス弁を開示している。
【0006】
DE102011003909は、シリンダの上部セクションにガスを排出するための排出弁とディーゼルモードのための燃料を供給するための主な噴射器とが設けられている、いくつかのシリンダを有するエンジンを開示している。ガス運転のための燃料に関して、ガス入口ポートが各シリンダに割り当てられ、シリンダに挿入される。それぞれのシリンダのピストンが下死点にある、および/または、ピストンの死点と同じ隣接エリアのポジション領域にある場合、それぞれのシリンダの燃焼チャンバーにおいて比較的低い圧力で空気を充填する際に、ガス運転のための燃料がもたらされる。
【0007】
しかしながら、シリンダ中の掃気と燃料ガスとの間で高速で効率的な混合を確実にすることは、難しいかもしれない。
【0008】
燃料ガスと掃気の不均一混合は、結果として、燃料ガスの不十分な燃焼、または、ノッキングにつながる早期点火となるかもしれない。
【0009】
1つの解決法は、圧縮ストロークの非常に早期に燃料ガスを噴射し、より長い時間期間の間ガスを混合することを許容することである。しかしながら、排出弁が閉じられる前に燃料ガスがシリンダに噴射される場合、望まれない燃料ガスの漏れが生じるかもしれない。
【0010】
したがって、シリンダ中で燃料ガスと掃気の混合を向上させることが依然として問題である。
【0011】
第1の態様にしたがうと、本発明は、複数のシリンダを有する2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関に関し、2ストローク内燃機関は、燃料ガス供給システムを介して燃料ガスをシリンダのうちの少なくとも1つに噴射するように構成され、燃料ガス供給システムは、少なくとも1つのシリンダに対して、圧縮ストロークの間、燃料ガスをシリンダに噴射するように構成されている1つ以上の燃料ガス弁を備え、燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、1つ以上の燃料ガス弁は、燃料ガスをシリンダの内側に提供するための1つ以上のノズル出口を有する燃料ガスノズルを有し、燃料ガスノズルは、燃料ガス中で回転運動を発生するように構成される。
【0012】
燃料ガス中で、回転運動、すなわち、スワールを発生することにより、燃料ガスノズルの開口から生じる燃料ガスの噴出は、任意の実質的な回転運動のない対応する燃料ガスの噴出に比べて、分解前に、シリンダ内部でより短い距離を移動するだろう。これは、シリンダ内の所望のロケーションで燃料ガスの堆積を可能にし、これにより、より良い混合を達成できる。これは、燃料ガス出口に対向するシリンダ壁の代わりに、シリンダの中央部分に配置されることになる比較的大きな燃料ガス出口から生じる燃料ガス噴出も許容し、これは、燃料ガスの高速噴射と良好な配置の両方を可能にするだろう。
【0013】
内燃機関は、好ましくは、シリンダ毎に少なくとも400kWの動力を有する、海洋船舶を推進するためのユニフロー掃気を有する大型低速ターボチャージ2ストローククロスヘッド内燃機関である。内燃機関によって発生し、排気を圧縮するように構成されている排出ガスによって駆動するターボチャージャーを燃焼機関システムは備えていてもよい。内燃機関は、燃料ガスで動くとき、オットーサイクルモードを有し、代替燃料、例えば、重油または船舶用ディーゼル油で動くとき、ディーゼルサイクルモードを有する、デュアルヒューエルエンジンであってもよい。このようなデュアルヒューエルエンジンは、代替燃料を噴射するためのそれ自体の専用燃料供給システムを有しており、この燃料供給システムは、燃料ガスと掃気との混合を発火するためのオットーサイクルモードで動作するとき、パイロット燃料の噴射のために使用されてもよい。
【0014】
内燃機関は、例えば、重油または海洋ディーゼル油のような少量のパイロット燃料を噴射可能であるパイロット燃料システムのような専用発火システムを備えていてもよく、これは、正確に量り分け、ちょうどの量は、燃料と掃気の混合を発火することが可能であり、パイロット燃料の必要な量だけが使用される。このようなパイロット燃料システムは、代替燃料のための専用燃料供給システムと比較して、サイズがより小さく、正確な量のパイロット燃料を噴射するのにより適切であり、これは、コンポーネントの大きなサイズがこの目的に適さないことによる。
【0015】
内燃機関の燃焼チャンバーに流体的に接続されている予燃チャンバーでパイロット燃料を噴射してもよい。代替的に、燃料と掃気との混合は、スパークプラグまたはレーザ着火を備える手段によって発火されてもよい。各シリンダには、シリンダの底に1つ以上の掃気入口が、シリンダの一番上に排出口が設けられてもよい。燃料ガス供給システムは、好ましくは、1つ以上の燃料ガス弁を介して、音速条件下で、すなわち音のスピードと等しい速度で、すなわち一定速度で、燃料ガスを噴射するように構成されている。ノズルのど(断面の最小エリア)に渡る圧力降下比がおおよそ2より大きいとき、音速条件を達成できる。
【0016】
いくつかの実施形態では、燃料ガスノズルは、燃料ガス中で回転運動を発生するように構成され、1つ以上のノズル出口を出る燃料ガスは、1つ以上のノズル出口のそれぞれにおいて、少なくとも0.025、少なくとも0.05または少なくとも0.1のスワール数を有するだろう。
【0017】
スワール数は、流体中のスワールの明確に規定された測定である。これは、角運動量の軸方向磁束と軸運動量の軸方向磁束の比として規定される。幾何学的なノズル出口軸と整列するノズル出口表面においてシリンダの座標系を最初に確立することにより、これを推定してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つ以上の燃料ガス弁は、下死点からの0度から160度内で、下死点からの0度から130度内で、または、下死点からの0度から90度内で、圧縮ストロークの間、燃料ガスをシリンダに噴射するように構成されている。
【0020】
燃料ガスの例は、天然ガス、メタン、エタン、および、液化石油ガスである。
【0021】
いくつかの実施形態では、燃料ガスノズルは、ガス中で回転運動を発生するように構成されているフロー変更要素を備えている。
【0022】
フロー変更要素は、燃料ガスノズルの挿入または一体化された部分であってもよく、すなわち、フロー変更要素と燃料ガスノズルは、一体型として形成されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、第1の方向に、例えば、フロー変更要素から燃料ガスノズルの下流の第1の内部表面領域に向けて、ガスの第1の部分を誘導するように構成されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、第2の方向に、例えば、フロー変更要素の燃料ガスノズルの下流の第2の内部表面領域に向けて、燃料ガスの第2の部分を誘導するようにさらに構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、第3の方向に、例えば、フロー変更要素の燃料ガスノズルの下流の第3の内部表面領域に向けて、燃料ガスの第3の部分を誘導するようにさらに構成されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、第4の方向に、例えば、フロー変更要素の燃料ガスノズルの下流の第4の内部表面領域に向けて、燃料ガスの第4の部分を誘導するようにさらに構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、第1の方向にガスの第1の部分を誘導するように構成されている第1のチャネルを備えている。
【0028】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、第2の方向にガスの第2の部分を誘導するように構成されている第2のチャネルを備えている。
【0029】
第1のチャネルは、第1の中央軸に沿って伸張する実質的に直線チャネルであってもよく、第2のチャネルは、第2の中央軸に沿って伸張する実質的に直線チャネルであってもよく、第1の中心軸と第2の中心軸は非平行である。第1の中央軸の方向ベクトルと第2の中央軸の方向ベクトルとの間の角度は、少なくとも10度、少なくとも20度、または、少なくとも30度であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、第3の方向に第3の部分を誘導するように構成されている第3のチャネルを備えている。
【0031】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、第4の方向にガスの第4の部分を誘導するように構成されている第4のチャネルを備えている。
【0032】
第3のチャネルは、第3の中央軸に沿って伸張する実質的に直線チャネルであってもよく、第4のチャネルは、第4の中央軸に沿って伸張する実質的に直線チャネルであってもよく、第3の中心軸と第4の中心軸は非平行である。第3の中央軸の方向ベクトルと第4の中央軸の方向ベクトルとの間の角度は、少なくとも10度、少なくとも20度、または、少なくとも30度であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、少なくとも5度、少なくとも10度、または、少なくとも20度のフロー変更要素の燃料ガスの上流のフロー方向に対する入射角を有する第1の表面を備えている。
【0034】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、少なくとも5度、少なくとも10度、または、少なくとも20度のフロー変更要素の燃料ガスの上流のフロー方向に対する入射角を有する第2の表面を備えている。
【0035】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、少なくとも5度、少なくとも10度、または、少なくとも20度のフロー変更要素の燃料ガスの上流のフロー方向に対する入射角を有する第3の表面を備えている。
【0036】
いくつかの実施形態では、フロー変更要素は、少なくとも5度、少なくとも10度、または、少なくとも20度のフロー変更要素の燃料ガスの上流のフロー方向に対する入射角を有する第4の表面を備えている。
【0037】
第1、第2、第3、および/または、第4の表面は、実質的に平面であってもよい。第1、第2、第3、および/または、第4の表面は、異なって方向付けられてもよく、第1の表面は、燃料ガスノズルの第1の内部表燃領域に向けてガスの第1の部分を誘導するように構成され、第2の表面は、燃料ガスノズルの第2の内部表燃領域に向けてガスの第2の部分を誘導するように構成され、第3の表面は、燃料ガスノズルの第3の内部表燃領域に向けてガスの第3の部分を誘導するように構成され、および/または、第4の表面は、燃料ガスノズルの第4の内部表燃領域に向けてガスの第4の部分を誘導するように構成されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、シリンダのうちの少なくとも1つに対して、第1のノズル出口および第2のノズル出口を備え、燃料ガス供給システムは、第1のノズル出口と第2のノズル出口とを出る燃料ガス中で回転運動を発生するように構成され、第1のノズル出口を出る燃料ガスの回転運動は、第2のノズル出口を出る燃料ガスの回転運動よりも強い。したがって、第1のノズル出口から生じる燃料ガスの噴出は、第2のノズル出口から生じる燃料ガスの噴出よりも、分解前に、シリンダ内をより短い距離を移動してもよい。したがって、2つの噴出からの燃料ガスは、シリンダ内の異なるポジションに配置されてもよく、したがって、より効果的な燃料ガスと掃気の混合の結果となる。
【0039】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、シリンダのうちの少なくとも1つに対して、第1の燃料ガス弁と第2の燃料ガス弁とを備え、第1の燃料ガス弁と第2の燃料ガス弁は、圧縮ストロークの間、燃料ガスをシリンダに噴射するように構成され、燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、第1の燃料ガス弁と第2の燃料ガス弁は、燃料ガスノズルを有し、第1のノズル出口は、第1の燃料ガス弁の燃料ガスノズルのノズル出口であり、第2のノズル出口は、第2の燃料ガス弁の燃料ガスノズルのノズル出口である。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁は、第1のフロー変更要素を備え、第2の燃料ガス弁は、第2のフロー変更要素を備えている。
【0041】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、シリンダのうちの少なくとも1つに対して、圧縮ストロークの間、燃料ガスをシリンダに噴射するように構成されている第1の燃料ガス弁を備え、燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、第1の燃料ガス弁は、燃料ガスノズルを有し、第1のノズル出口と第2のノズル出口の両方は、第1の燃料ガス弁の燃料ガスノズルのノズル出口である。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の燃料ガス弁の燃料ガスノズルは、入口と出口を有する主なチャネルを備え、第1の2次チャネルは入口と出口を有し、第2の2次チャネルは入口と出口を有し、マニホルドは入口、第1の出口、および第2の出口を有し、主なチャネルの出口は、マニホルドの入口に接続され、マニホルドの第1の出口は、第1の2次チャネルに接続され、マニホルドの第2の出口は、第2の2次チャネルの入口に接続され、第1の2次チャネルの出口は、第1のノズル出口であり、第2の2次チャネルの出口は、第2のノズル出口である。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1の2次チャネルは、第1のフロー変更要素を備えている。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2の2次チャネルは、第2のフロー変更要素を備えており、第1のフロー変更要素は、ガス中で、第2のフロー変更要素によって発生するガス中の回転運動よりも強いガス中の回転運動を発生するように構成されている。
【0045】
第2の態様にしたがうと、本発明は、第1の態様に関連して開示したような2ストローク内燃機関に対する燃料ガス弁に関連し、燃料ガス弁は、圧縮ストロークの間、燃料ガスをシリンダに噴射するように適合され、燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、燃料ガス弁は燃料ガスノズルを有し、燃料ガスノズルは燃料ガスをシリンダの内側に提供するための1つ以上のノズル出口を有し、燃料ガスノズルは、燃料ガス中で回転運動を発生するように構成されている。
【0046】
本発明の異なる態様を、上記および以下に説明するような2ストローク内燃機関および燃料ガス弁を含む異なる方法で実現でき、それぞれは、上記で説明した態様のうちの少なくとも1つに関連して説明した利益および利点のうちの1つ以上を生み出し、それぞれは、上記で説明した態様のうちの少なくとも1つに関連して説明したおよび/または従属請求項において開示する好ましい実施形態に対応する1つ以上の好ましい実施形態を有している。さらに、ここで説明する態様のうちの1つに関連して説明した実施形態は、他の態様に等しく適用されてもよいことが認識されるだろう。
【0047】
本発明の上記のおよび追加のオブジェクト、特徴、および、利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明によってさらに明瞭にされるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にしたがう、2ストローク内燃機関の断面を概略的に示している。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態にしたがう、2ストローク内燃機関に対する燃料ガス弁200の断面を概略的に示している。
【
図3a】
図3aは、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素300を示している。
【
図3b】
図3bは、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素300を示している。
【
図3c】
図3cは、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素300を示している。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素400を示している。
【
図5a】
図5aは、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素500を示している。
【
図5b】
図5bは、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素500を示している。
【0049】
以下の説明において、添付の図面への参照がなされ、これは、本発明がどのように実施されるかを例として示している。
【0050】
図1は、本発明の実施形態にしたがう、海洋船舶を推進するためのユニフロー掃気100を有する大型低速ターボチャージ付き2ストローククロスヘッド内燃機関の断面図を概略的に示している。2ストローク内燃機関100は、掃気システム111、排出ガスレシーバ108、および、ターボチャージャー109を備えている。2ストローク内燃機関は、複数のシリンダ101を有している(断面には単一のシリンダのみが示されている)。各シリンダ101は、掃気を提供するための掃気入口102、ピストン103、排出弁104、および、(概略的に図示されているにすぎない)1つ以上の燃料ガス弁105を備えている。掃気入口102は、掃気システムに流体的に接続されている。ピストン103は、その最も低いポジション(下死点)に示されている。ピストン103は、(示されていない)クランクシャフトに接続されているピストン棒を有している。燃料ガス弁105は、概略的に示されているにすぎない。燃料ガス弁105は、圧縮ストロークの間、燃料ガスをシリンダに噴射するように構成され、燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、燃料ガス弁105は、燃料ガスノズルを有し、燃料ガスノズルは、燃料ガスをシリンダの内側に提供するための1つ以上のノズル出口を有している。燃料ガスノズルは、燃料ガス中で回転運動を発生するように構成されている。下死点から0度から130度内の圧縮ストロークの始めに、すなわち、クランクシャフトが下死点においてその方向から0度および130度の間で回転するとき、燃料ガス弁105は、燃料ガスをシリンダ101に噴射するように構成されてもよい。好ましくは、燃料ガス弁105は、クランクシャフトが下死点から数度回転した後、燃料ガスを噴射することを開始するように構成され、燃料ガスが排出弁104と掃気入口102を通して出ることを回避するようにピストンは掃気入口102を通過する。掃気システム111は、掃気レシーバ110と空気冷却器106とを備えている。
【0051】
図2は、本発明の実施形態にしたがう、2ストローク内燃機関に対する燃焼ガス弁200の断面を概略的に示している。燃料ガス弁は、弁シャフト201、弁ヘッド202、弁シート203、および、ノズル出口206を有する燃料ガスノズル204を備えている。燃料ガスノズルには、(概略的にのみ示している)フロー変更要素205が設けられてもよい。
【0052】
図3a−cは、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素300を示しており、
図3aは前面図を示し、
図3bは平面図を示し、
図3cはフロー変更要素300の中央部分301の斜視図を示している。フロー変更要素は、第1の方向に、例えば、フロー変更要素300から燃料ガスノズルの下流の第1の内部表面領域に向けて、ガスの第1の部分を誘導するように構成されている第1のチャネル302と、第2の方向に、例えば、フロー変更要素300の燃料ガスノズルの下流の第2の内部表面領域に向けて、ガスの第2の部分を誘導するように構成されている第2のチャネル303と、第3の方向に、例えば、フロー変更要素300の燃料ガスノズルの下流の第3の内面領域に向けて、燃料ガスの第3の部分を誘導するように構成されている第3のチャネル304と、第4の方向に、例えば、フロー変更要素300の燃料ガスノズルの下流の第4の内部表面領域に向けて、ガスの第4の部分を誘導するように構成されている第4のチャネル305とを備えている。
【0053】
図4は、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素400を示している。フロー変更要素は、フロー変更要素400の燃料ガスの上流のフロー方向に対して第1の入射角を有する第1の表面401と、フロー変更要素400の燃料ガスの上流のフロー方向に対して第2の入射角を有する第2の表面402と、フロー変更要素400の燃料ガスの上流のフロー方向に対して第3の入射角を有する第3の表面403と、フロー変更要素400の燃料ガスの上流のフロー方向に対して第4の入射角を有する第4の表面404とを備えている。第1、第2、第3、および、第4の入射角は、少なくとも5度、少なくとも10度、または、少なくとも20度である。第1、第2、第3、および、第4の入射角は、異なっていてもよく、または、同じであってもよい。第1、第2、第3、および、第4の表面401、402、403、404を異なって方向付けもよく、第1の表面401は、燃料ガスノズルの第1の内部表面領域に向けてガスの第1の部分を誘導するように構成され、第2の表面402は、燃料ガスノズルの第2の内部表面領域に向けてガスの第2の部分を誘導するように構成され、第3の表面403は、燃料ガスノズルの第3の内部表面領域に向けてガスの第3の部分を誘導するように構成され、第4の表面404は、燃料ガスノズルの第4の内部表面領域に向けてガスの第4の部分を誘導するように構成されている。
【0054】
図5a−bは、本発明の実施形態にしたがう、フロー変更要素500を示しており、
図5aは、平面図を示し、
図5bは斜視図を示している。フロー変更要素500は、中心線507に沿って伸張する第1のチャネル501と、中心線506に沿って伸張する第2のチャネル502とを備え、第1のチャネル501は入口503と出口を有し、第2のチャネル502は入口と出口505を有し、第1のチャネル501の出口は、第2のチャネル502の入口に接続され、第1のチャネル507の中心線の方向ベクトルと第2のチャネル506の中心線の方向ベクトルとの間の角度は、少なくとも30度、60度または80度、すなわち、この実施形態では90度である。第1のチャネル501は、さらに第2のチャネルから中心をはずれて構成され、すなわち、第1のチャネル501の中心線は、第2のチャネル502の中心線と交差せず、例えば、2つの中心線507、506間の距離は、第2のチャネルの出口505の平均直径の少なくとも5%とされる。
【0055】
いくつかの実施形態を詳細に説明し、示したが、本発明は、これらに限定されず、以下の特許請求の範囲で規定する主題事項の範囲内で、他の方法で具現化されてもよい。特に、他の実施形態を利用してもよく、本発明の範囲から逸脱せずに、構造的および機能的修正を行ってもよいことを理解すべきである。
【0056】
装置請求項において、いくつかの手段を列挙しており、これらの手段のうちのいくつかを、ハードウェアのうちの1つまたは同じアイテムによって具現化できる。ある手段を相互に異なる従属請求項において規定した、または異なる実施形態において説明したという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを役立つように使用できないということを示さない。
【0057】
用語「備える」、「備えている」は、本明細書で使用されるとき、述べた特徴、整数、ステップまたはコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネントまたはそのグループの存在または追加を排除しないことを強調すべきである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 複数のシリンダを有する2ストロークユニフロー掃気クロスヘッド内燃機関(100)であって、
前記2ストローク内燃機関(100)は、燃料ガス供給システムを介して燃料ガスをシリンダ(101)のうちの少なくとも1つに噴射するように構成され、
前記燃料ガス供給システムは、前記少なくとも1つのシリンダに対して、圧縮ストロークの間、前記燃料ガスを前記シリンダ(101)に噴射するように構成されている1つ以上の燃料ガス弁(105)を備え、前記燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、
前記1つ以上の燃料ガス弁(105)は、燃料ガスを前記シリンダの内側に提供するための1つ以上のノズル出口(206)を有する燃料ガスノズル(204)を有し、前記燃料ガスノズル(204)は、前記燃料ガス中で回転運動を発生するように構成されることを特徴とする、2ストローク内燃機関。
[2] 前記燃料ガスノズル(204)は、前記燃料ガス中で回転運動を発生するように構成されているフロー変更要素(205)を備える、[1]に記載の2ストローク内燃機関。
[3] 前記フロー変更要素(205)は、第1の方向に前記燃料ガスの第1の部分を誘導するように構成されている、[1]または[2]に記載の2ストローク内燃機関。
[4] 前記フロー変更要素(205)は、第2の方向に前記燃料ガスの第2の部分を誘導するようにさらに構成されている、[3]に記載の2ストローク内燃機関。
[5] 前記フロー変更要素(300)は、前記第1の方向に前記燃料ガスの前記第1の部分を誘導するように構成されている第1のチャネル(302)を備える、[3]または[4]に記載の2ストローク内燃機関。
[6] 前記フロー変更要素(400)は、少なくとも5度、少なくとも10度、または、少なくとも20度の前記フロー変更要素の前記燃料ガスの上流のフロー方向に対する入射角を有する第1の表面(401)を備える、[2]から[5]のうちのいずれか1項に記載の2ストローク内燃機関。
[7] 前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダのうちの少なくとも1つに対して、第1のノズル出口および第2のノズル出口を備え、前記燃料ガス供給システムは、前記第1のノズル出口と前記第2のノズル出口とを出る前記燃料ガス中で回転運動を発生するように構成され、前記第1のノズル出口を出る前記燃料ガスの回転運動は、前記第2のノズル出口を出る前記燃料ガスの回転運動よりも強い、[1]から[6]のうちのいずれか1項に記載の2ストローク内燃機関。
[8] 前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダのうちの少なくとも1つに対して、第1の燃料ガス弁と第2の燃料ガス弁とを備え、前記第1の燃料ガス弁と前記第2の燃料ガス弁は、前記圧縮ストロークの間、燃料ガスを前記シリンダに噴射するように構成され、前記燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、
前記第1の燃料ガス弁と前記第2の燃料ガス弁は、燃料ガスノズルを有し、
前記第1のノズル出口は、前記第1の燃料ガス弁の前記燃料ガスノズルのノズル出口であり、前記第2のノズル出口は、前記第2の燃料ガス弁の前記燃料ガスノズルのノズル出口である、[7]に記載の2ストローク内燃機関。
[9] 前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダのうちの少なくとも1つに対して、前記圧縮ストロークの間、前記燃料ガスを前記シリンダに噴射するように構成されている第1の燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、
前記第1の燃料ガス弁は、燃料ガスノズルを有し、
前記第1のノズル出口と前記第2のノズル出口の両方は、前記第1の燃料ガス弁の前記燃料ガスノズルのノズル出口である、[7]に記載の2ストローク内燃機関。
[10] 前記燃料ガス弁(105)は、前記圧縮ストロークの間、燃料ガスを前記シリンダに噴射するように適合され、前記燃料ガスが掃気と混合することを可能にし、発火する前に掃気と燃料ガスとの混合を圧縮することを許容し、
前記燃料ガス弁(105)は燃料ガスノズル(204)を有し、前記燃料ガスノズル(204)は燃料ガスを前記シリンダの内側に提供するための1つ以上のノズル出口(206)を有し、
前記燃料ガスノズル(204)は、前記燃料ガス中で回転運動を発生するように構成される、[1]から[9]のうちのいずれか1項に記載の2ストローク内燃機関に対する燃料ガス弁。