特許第6866470号(P6866470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866470
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】エンターテイメントオーディオ処理
(51)【国際特許分類】
   H03G 5/16 20060101AFI20210419BHJP
   H03G 11/00 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H03G5/16
   H03G11/00
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-505233(P2019-505233)
(86)(22)【出願日】2017年7月29日
(65)【公表番号】特表2019-528605(P2019-528605A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】US2017044551
(87)【国際公開番号】WO2018026667
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年2月21日
(31)【優先権主張番号】15/225,088
(32)【優先日】2016年8月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・アール・ヴォーティン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・ダブリン
【審査官】 工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−096483(JP,A)
【文献】 特開2005−143051(JP,A)
【文献】 特開2001−203548(JP,A)
【文献】 特開2005−164291(JP,A)
【文献】 特表昭63−502945(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第03045722(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G1/0969
G10H1/46
H03G3/00−3/34
H03G5/00−5/28
H03G11/00−11/08
H04R3/00−3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
音楽リミッタであって、
オーディオ信号、音楽に対する音量制御情報、及びアナウンスに対する音量制御情報を受信するように、かつ
前記アナウンスに対して前記音楽がどの程度小音量又は大音量であるかの指標である音楽対アナウンス比に基づいて、利得パラメータを算出するように構成されている、音楽リミッタと、
処理済みオーディオ信号と未処理オーディオ信号との間で選択するように構成されている、xフェードと、を備える、
装置。
【請求項2】
前記音楽対アナウンス比が、用途に基づいている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記音楽リミッタが、前記利得パラメータを前記オーディオ信号に適用するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記オーディオ信号に対する前記利得パラメータの適用が、前記アナウンスの信号レベルに対する前記音楽の信号レベルの調節に対応する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記音楽リミッタが、前記音楽に対する前記音量制御情報の変化、及び前記アナウンスに対する前記音量制御情報の変化に基づいて、前記音楽対アナウンス比を動的に調節するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記音楽リミッタに結合されており、かつ左オーディオ信号チャネル及び右オーディオ信号チャネルを一致させるように構成されている、ミキサを更に備え、前記オーディオ信号が、前記左オーディオ信号チャネル及び前記右オーディオ信号チャネルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ミキサに結合されており、かつ前記左オーディオ信号チャネルと前記右オーディオ信号チャネルとの間に振幅差及び位相差を導入するように構成されている、等化器を更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記xフェードが、アナウンストリガ信号を受信するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記音楽リミッタに結合されており、かつ特定の量に基づいて前記オーディオ信号のレベルを低減させるように構成されている、固定減衰器を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
装置であって、
左オーディオ信号チャネル及び右オーディオ信号チャネルを一致させるように構成されている、ミキサと、
前記ミキサに結合されており、かつ前記左オーディオ信号チャネルと前記右オーディオ信号チャネルとの間に振幅差及び位相差を導入するように構成されている、等化器と、
前記ミキサ又は前記等化器のうちの少なくとも一方によって処理された第1のオーディオ信号と、前記ミキサ又は前記等化器のうちの前記少なくとも一方によって処理されていない第2のオーディオ信号との間で選択するように構成されている、xフェードと、を備える、
装置。
【請求項11】
音楽リミッタであって、音楽に対する音量制御情報、及びアナウンスに対する音量制御情報を受信するように、かつ前記アナウンスに対して前記音楽がどの程度小音量又は大音量であるかの指標である音楽対アナウンス比に基づいて利得パラメータを算出するように構成されている、音楽リミッタを更に備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記音楽リミッタが、前記等化器に結合されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記左オーディオ信号チャネル及び前記右オーディオ信号チャネルの各々が、オーディオ音楽信号又はオーディオアナウンス信号のうちの少なくとも一方を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記xフェードが、アナウンストリガ信号を受信するように更に構成されている、請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、オーディオシステムに関し、より具体的には、車両のオーディオ源を管理することに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車種が、運転者に情報を伝達するためのアナウンスオーディオを含む。例えば、アナウンスオーディオとしては、ナビゲーションシステム音声指示、車両チャイム、発音アナウンス、携帯電話のアラート、携帯電話の会話、及び他の非エンターテイメントオーディオ源が挙げられ得る。オーディオシステムで既にエンターテイメントオーディオが再生されている場合には、到達するアナウンスオーディオを明瞭に聞くことが困難になる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
下記の全ての例及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0004】
一態様では、装置は、オーディオ信号、音楽に対する音量制御情報、及びアナウンスに対する音量制御情報を受信するように構成されている、音楽リミッタを含む。特定の実装形態において、音楽リミッタは、音楽対アナウンス比に基づいて、利得パラメータを算出するように構成されている。音楽対アナウンス比は、音楽がアナウンスに対してどの程度小音量又は大音量であるかの指標である。音楽対アナウンス比は、用途に基づいてもよい。この用途は、異なる車種の様々な製造及びモデルに対応する。
【0005】
別の態様では、装置は、左オーディオ信号チャネル及び右オーディオ信号チャネルを実質的に一致させるように構成されている、ミキサを含む。ミキサは、等化器に結合されている。等化器は、左オーディオ信号チャネルと右オーディオ信号チャネルとの間に振幅差及び位相差を導入するように構成されている。特定の実装形態によれば、この装置は、音楽に対する音量制御情報、及びアナウンスに対する音量制御情報を受信するように構成されている、音楽リミッタを含む。音楽リミッタは、音楽対アナウンス比に基づいて、利得パラメータを算出するように構成されている。
【0006】
別の態様では、方法は、オーディオ信号を受信することを含む。オーディオ信号は、オーディオ音楽信号及びオーディオアナウンス信号の少なくとも一方を含む。特定の実装形態では、この方法は、音楽対アナウンス比に基づいて、オーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルを調節することを含む。音楽対アナウンス比は、音楽オーディオがアナウンスオーディオに対してどの程度小音量又は大音量であるかを示す。別の特定の実装形態によれば、この方法は、オーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルを調節することに応答して、空間信号処理を実行することを含む。空間信号処理は、左オーディオ信号チャネル及び右オーディオ信号チャネルを実質的に一致させることを含む。特定の実装形態において、この方法は、左オーディオ信号チャネルと右オーディオ信号チャネルとの間に振幅差及び位相差を導入することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】エンターテイメントオーディオ処理システムの例示的な実装形態のブロック図である。
図2図1と同様であり、ミキサを備えない、エンターテイメントオーディオ処理システムの例示的な実装形態のブロック図である。
図3】エンターテイメントオーディオ処理システムの別の例示的な実装形態のブロック図である。
図4】エンターテイメントオーディオ処理システムの別の例示的な実装形態のブロック図である。
図5】前置増幅器モジュールに含まれるエンターテイメントオーディオ処理システムの例示的な実装形態のブロック図である。
図6】エンターテイメントオーディオ処理システムについての方法の例示的な実装形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
車両のオーディオシステムは、予め記録された、又はライブの音楽及び/又はテレビ(TV)番組若しくはラジオ番組などのエンターテイメントオーディオを再生する。場合によっては、オーディオシステムは、進行中の音楽又は他のエンターテイメントオーディオを終了させて、オーディオアナウンスメントの再生を開始する。本システムの実装形態は、アナウンスオーディオ信号のレベルに対して、及びアナウンスオーディオ信号のレベルに応じて、音楽オーディオ信号のレベルを自動調節する。自動調節は、例えば、エンターテイメントオーディオを消音することを必要とせずに、リスナーがアナウンスオーディオに対して集中する、明瞭に聞く、識別する、又は理解する能力を高める。
【0009】
オーディオシステムは、リスナーに、音楽オーディオに代えてアナウンスオーディオに注意を向けさせるエンターテイメントオーディオ処理システムを含む。例えば、エンターテイメントオーディオ処理システムは、音楽対アナウンス比に基づいてオーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルを調節する。音楽対アナウンス比は、オーディオ音楽信号がオーディオアナウンス信号に対してどの程度小音量又は大音量であるかを示す。音楽対アナウンス比は、1つ以上の用途に関連付けられている。例えば、この用途は、異なる車種の様々な製造及びモデルに対応する。
【0010】
異なる例では、音楽対アナウンス比は、エンターテイメントオーディオ処理システムの製造元で、車両の製造元で、又はリスナーによって調整される。エンターテイメントオーディオ処理システムは、音楽対アナウンス比を調整又は最適化するために使用される1つ以上のつまみを含むことができる。リスナーは、調整された音楽対アナウンス比を調節、再調節、及び保存することができる。エンターテイメントオーディオ処理システムは、アナウンスがある場合に、保存された音楽対アナウンス比を使用する。
【0011】
エンターテイメントオーディオ処理システムは、音楽オーディオに代えてアナウンスオーディオに注意を向けさせるように、オーディオ音楽信号に空間変化を導入する。この空間変化は、左オーディオ信号チャネル及び右オーディオ信号チャネルを一致させることを含む。この空間変化は、左オーディオ信号チャネルと右オーディオ信号チャネルとの間に振幅差及び位相差を導入することを更に含む。このようにして、下流のプロセッサは、オーディオ音楽信号に関連する出力オーディオ信号を空間的に異ならせる。したがって、信号経路に対する空間変化を早期に導入(又は適用)すれば、1つ以上の下流のプロセッサの特性を直接変更せずに下流のプロセッサが続いて実行する内容を変更し得る。
【0012】
エンターテイメントオーディオ処理システムの様々な例示的な実装形態が、本明細書において示される。しかしながら、様々な例示的な実装形態は、本出願に開示されたエンターテイメントオーディオ処理システムの網羅的な実装形態としてみなすべきではない。
【0013】
図1は、エンターテイメントオーディオ処理システム100を示す。エンターテイメントオーディオ処理システム100は、音楽リミッタ106を含む。音楽リミッタ106は、オーディオ信号102を減衰させる(又は低減する)。音楽リミッタ106が受信したオーディオ信号102は、オーディオ音楽信号のうちの少なくとも1つを含む。例示的なオーディオ信号102は、エンターテイメントオーディオ(例えば、音楽オーディオ)に対応し、別個のオーディオアナウンス信号115は、ナビゲーションシステム音声指示又は着信する携帯電話通話に関連する。音楽リミッタ106は、所望の音楽対アナウンス比を維持するようにオーディオ音楽信号を減衰させる。音楽対アナウンス比は、音楽オーディオがアナウンスオーディオに対してどの程度小音量又は大音量であるかを示す。音楽対アナウンス比は、異なる車種の製造及びモデルなどの1つ以上の用途に基づいている。
【0014】
図1は、非エンターテイメントオーディオ信号130を処理して、処理済み非エンターテイメントオーディオ信号132を生成する非エンターテイメントオーディオ処理回路128を更に示す。処理済みエンターテイメント(例えば、音楽)オーディオ信号122は、処理済み非エンターテイメントオーディオ信号132と下流で合成される。図1のエンターテイメントオーディオ処理システム100は、2015年7月6日に出願された、「SIMULATING ACOUSTIC OUTPUT AT A LOCATION CORRESPONDING TO SOURCE POSITION DATA」と題する米国特許出願第14/791758号に記載されたような非エンターテイメントオーディオ処理回路(図示せず)と並列に動作する。
【0015】
音楽リミッタ106は、音楽対アナウンス比に基づいて、利得パラメータを算出する。この利得パラメータは、音楽オーディオがアナウンスオーディオよりも小音量又は大音量のデシベル(dB)数となるように、オーディオ音楽信号に適用される。一例としての音楽リミッタ106は、アナウンス及び音楽に対する音量制御情報118、120に基づいて、オーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルをアクティブに調節する。例えば、アナウンス及び音楽に対する音量制御情報の変化118及び120に基づいて、音楽対アナウンス比を動的に調節する。
【0016】
例えば、車両の特定の製造及びモデルが10dBという望ましい音楽対アナウンス比を有する(すなわち、音楽オーディオはアナウンスオーディオよりも10dB小音量である)と判定されるとき、かつ音楽リミッタ106によって、オーディオアナウンス信号に対するオーディオ音楽信号の減衰が5dBしかないと判定されると、音楽リミッタ106は、音楽対アナウンス比が約10dBとなるように、オーディオ音楽信号を5dBだけ更に減衰させる。別の例では、音楽リミッタ106は、オーディオアナウンス信号に対するオーディオ音楽信号の減衰が既に10dB以上であると判定するとき、減衰を実行しない。したがって、音楽リミッタ106は、エンターテイメントオーディオ処理システム100に特定の音楽対アナウンス比を維持させることができる。特定の実装形態によれば、音楽対アナウンス比は、6〜10dBの範囲内の値に対応し得る。6〜10dBの範囲は、様々な車両の製造及びモデルの大部分に適用可能な最適値に関連付けられ得る。
【0017】
別の特定の実装形態によれば、音楽リミッタ106は、予め算出された複数の音楽対アナウンス比を記憶する。音楽リミッタ106は、予め算出された複数の音楽対アナウンス比に基づいて利得パラメータを決定する。音楽リミッタ106は、音楽オーディオがアナウンスオーディオよりも小音量のdB数となるように、利得パラメータをオーディオ音楽信号に適用する。予め算出された音楽対アナウンス比によって、特定のアナウンスが戻るときにオーディオアナウンス信号がどのレベルであるべきかを音楽リミッタ106が予測することが可能となる。音楽リミッタ106は、ダイナミックレンジリミッタ又は減衰器に対応し得る。
【0018】
エンターテイメントオーディオ処理システム100の実装形態は、ミキサ108及び等化器110を含む。ミキサ108及び等化器110は、リスナーへのオーディオ音楽信号の空間的知覚を変化させることを可能にする。空間的知覚の変化があると、音楽オーディオからアナウンスオーディオへ関心が移る。ミキサ108は、左オーディオ音楽信号及び右オーディオ音楽信号を互いに類似させることによって、オーディオ音楽信号を部分的又は完全にモノラル音に劣化させる。例えば、ミキサ108は、S成分に調整可能な減衰を与える行列に対応する。ミキサ108に関連するアルゴリズムは、次の式を利用する。
L_out=(2−G)/2L_in+G/2R_in
R_out=(2−G)/2R_in+G/2L_in
ここで、G=0はステレオ音再生を生じ、G=1はモノラル音を生成し、2つの可能なGの値の間で連続的に変化する。
【0019】
等化器110は、左オーディオ音楽信号と右オーディオ音楽信号との間に振幅差及び位相差を導入又は挿入する。左オーディオ音楽信号の振幅及び位相は、右オーディオ音楽信号の振幅及び位相に対して変化する。導入された振幅差及び位相差の結果は、1つ以上の下流のプロセッサ出力の全てにわたって分配されるオーディオ音楽信号のエネルギーである。これにより得られるスピーカの出力音は、リスナーの周囲に均等に拡散する。この導入された振幅差及び位相差は、エンターテイメントオーディオ処理システム又は車両の製造元によって決定される値に対応し得る。特定の実装形態によれば、導入された振幅差及び位相差は、特定の車両又は特定の用途に対して最適化又は調整される。等化器110は、2チャネルフルレート有限インパルス応答(FIR)に対応し得る。図1において、音楽リミッタ106は、ミキサ108及び等化器110の前に順に配置されている。代替的に、音楽リミッタ106の処理は、ミキサ108及び等化器110の処理に続いて行われてもよい。
【0020】
図1のエンターテイメントオーディオ処理システム100は、xフェード112を含む。xフェード112は、非エンターテイメントオーディオ処理回路128によって開始されるアナウンストリガ信号114に基づいて、処理済みオーディオ信号124を選択すべきか、又は未処理オーディオ信号126を選択すべきかを判定する。アナウンストリガ信号114は、アナウンスオーディオが存在するとの指標をエンターテイメントオーディオ処理システム100に提供する。アナウンストリガ信号114は、アナウンスオーディオを生成することを担うシステムによって出力される。
【0021】
処理済みオーディオ信号124は、音楽リミッタ106、ミキサ108、及び等化器110のうちの少なくとも1つによって処理されたオーディオ信号102に対応する。未処理オーディオ信号126は、遅延補償器116の出力信号に対応する。遅延補償器116は、処理済みオーディオ信号124に関連する時間遅延に一致する時間遅延を導入する。処理済みオーディオ信号124に関連する時間遅延は、音楽リミッタ106、ミキサ108、等化器110、又は固定減衰器104のうちの少なくとも1つに起因する。したがって、xフェード112は、リスナーがオーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルの突然の変化を感知しないように、デジタルオーディオ信号122を緩やかに変化させることができる。下流のプロセッサは、デジタルオーディオ信号122を受信し、デジタルオーディオ信号122に関連する出力オーディオ信号を空間的に異ならせる。
【0022】
特定の実装形態によれば、エンターテイメントオーディオ処理システム100は、固定減衰器104を含む。固定減衰器104は、オーディオ音楽信号を固定量のdBだけ減衰させて、リスナーにモード変更を知らせる。例えば、固定減衰器104は、用途に特有である音楽対アナウンス比に対応してオーディオ音楽信号のレベルを更に減衰させてもよい。特定の実装形態によれば、エンターテイメントオーディオ処理システム100は、プロセッサ(例えば、DSP)によって実施されてもよい。
【0023】
図2は、エンターテイメントオーディオ処理システムの別の例示的な実装形態を示す。エンターテイメントオーディオ処理システム200は、図1のエンターテイメントオーディオ処理システム100に関連する1つ以上の要素を含む。この構成において、Xフェード112は、遅延が調節されたxフェード112の出力と、xフェードの処理済み出力との間で(すなわち、固定減衰器104、音楽リミッタ106、及び等化器110によって処理されたように)選択する。
【0024】
図3は、エンターテイメントオーディオ処理システムの別の例示的な実装形態を示す。エンターテイメントオーディオ処理システム300は、図1のエンターテイメントオーディオ処理システム100に関連する1つ以上の要素を含む。しかしながら、図3に示すように、図1のエンターテイメントオーディオ処理システム100に関連する1つ以上の要素は、エンターテイメントオーディオ処理システム300には含まれない。例えば、図3のシステム300は、ミキサ又は等化器を含まない。
【0025】
図4は、エンターテイメントオーディオ処理システムの別の例示的な実装形態を示す。エンターテイメントオーディオ処理システム400は、図1のエンターテイメントオーディオ処理システム100に関連する1つ以上の要素を含む。しかしながら、図4に示すように、図1のエンターテイメントオーディオ処理システム100に関連する1つ以上の要素は、エンターテイメントオーディオ処理システム400には含まれない。例えば、図4のシステム400は、音楽リミッタ又は音量制御情報を含まない。
【0026】
図5は、エンターテイメントオーディオ処理システムの別の例示的な実装形態を示す。エンターテイメントオーディオ処理システム502は、前置増幅器モジュール500に含まれる。エンターテイメントオーディオ処理システム502は、図1図4のエンターテイメントオーディオ処理システム100、200、300、400のうちの1つに対応し得る。処理済みエンターテイメントオーディオ信号508は、図1図4のデジタルオーディオ信号122に対応し得る。エンターテイメントオーディオ処理システム502の処理済みエンターテイメントオーディオ信号508は、他の信号処理及び/又は制御システム504へ出力される。他の信号処理及び/又は制御システム504の出力信号506は、オーディオシステムの1つ以上の下流のプロセッサに入力される。
【0027】
図5は、非エンターテイメントオーディオ処理回路506を更に示す。エンターテイメントオーディオ信号処理回路502及び非エンターテイメントオーディオ信号処理回路506のそれぞれの出力は、他の信号処理及び/又は制御システム504の上流で互いに加算される。処理済みエンターテイメントオーディオ信号508は、512において、処理済み非エンターテイメントオーディオ510と合成され得る。この合成信号514は、下流処理504に供されてもよい。下流処理504は、例えば、出力信号を複数の信号成分にアップミキシングすることを含むことができる。
【0028】
代替的に、又は更に、処理済みエンターテイメントオーディオ信号508及び未処理非エンターテイメントオーディオ信号510は、それぞれ、512において合成される前に、下流の処理回路516及び518に供されてもよい。すなわち、下流処理は、ブロック504における合成信号の下流処理の代替として、又はそれに加えて、処理済みエンターテイメントオーディオ信号508及び処理済み非エンターテイメントオーディオ信号510に対して、個別に実行され得る。
【0029】
図6は、エンターテイメントオーディオ処理システムについての方法600の実装形態を表すフローチャート図を示す。方法600は、図1図4のエンターテイメントオーディオ処理システム100、200、300、400又は図5のエンターテイメントオーディオ処理システム502のうちの1つで実施され得る。一態様において、方法600は、デジタル信号プロセッサにおいて実施される。
【0030】
方法600は、602において、オーディオ信号を受信することを含む。例えば、図1図4の固定減衰器104は、オーディオ信号を受信する。別の例では、図1及び図3の音楽リミッタ106は、オーディオ信号を受信する。別の例では、図4のミキサ108は、オーディオ信号を受信する。別の例では、図2のxフェード112は、オーディオ信号を受信する。オーディオ信号は、オーディオ音楽信号又はオーディオアナウンス信号のうちの少なくとも一方を含む。
【0031】
方法600は、604において、音楽対アナウンス比に基づいてオーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルを調節することを含む。例えば、図1図3の音楽リミッタ106は、オーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルを調節する。
【0032】
方法600は、606において、オーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルを調節することに応答して、空間信号処理を実行することを含む。例えば、図1図2、及び図4のミキサ108及び等化器110は、オーディオアナウンス信号のレベルに対するオーディオ音楽信号のレベルを調節することに応答して、空間信号処理を実行する。
【0033】
本明細書に記載される機能性又はその部分、及びその様々な修正(以下「機能」)は、少なくとも部分的にコンピュータプログラム製品(例えば、1つ以上のデータ処理装置(例えば、プログラム可能プロセッサ、DSP、マイクロコントローラ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/若しくはプログラム可能論理構成要素など)の動作による実行のための、又はその動作を制御するための、1つ以上の非一時的機械可読媒体又は記憶デバイスなどの情報担体において有形に具現化されたコンピュータプログラム)を介して実装され得る。
【0034】
コンピュータプログラムは、コンパイル又は解釈された言語を含む任意の形態のプログラム言語で書き込まれ得、それは、スタンドアローンプログラムとして、又はコンピューティング環境の使用に好適なモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくは他の単位として含む任意の形態で配備され得る。コンピュータプログラムは、1つのサイトにおいて1つ以上の処理装置により実行されるように配置されるか、又は複数のサイトにわたって配信されて、ネットワークによって相互接続され得る。
【0035】
機能の全部又は一部を実装することと関連した動作は、本明細書で説明される処理の機能を実施するように1つ以上のプログラム可能なプロセッサ又は処理装置が1つ以上のコンピュータプログラムを実行することによって実施され得る。機能の全部又は一部は、特殊目的論理回路(例えば、FPGA及び/又はASIC(特定用途向け集積回路))として実装され得る。
【0036】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしてはまた、例として、一般的及び特殊目的マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はそれらの両方から命令及びデータを受信することになる。コンピュータの構成要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスを含む。
【0037】
当業者は、本発明の概念から逸脱することなく本明細書に開示された特定の装置及び技法から多くを使用、変更、及び発想することができる。例えば、本開示に従うエンターテイメントオーディオ処理システムの選択された実装形態は、以上の図面の1つ以上を参照して説明される実装形態の全ての、それより少ない、又はそれとは異なる構成要素を含んでもよい。開示された実装形態は、本明細書に開示された装置及び技法に存在するか、又はそれによって保有される、それぞれの、及びあらゆる新規な特徴、及び特徴の新規な組み合わせを包含するものとみなされ、かつ添付の請求項の範囲及びその均等物によってのみ限定されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
100 エンターテイメントオーディオ処理システム
102 オーディオ信号
104 固定減衰器
106 音楽リミッタ
108 ミキサ
110 等化器
112 xフェード
114 アナウンストリガ信号
116 遅延補償器
118 音量制御情報
120 音量制御情報
122 処理済みエンターテイメントオーディオ信号
124 処理済みオーディオ信号
126 未処理オーディオ信号
128 非エンターテイメントオーディオ処理回路
130 非エンターテイメントオーディオ信号
132 処理済み非エンターテイメントオーディオ信号
400 エンターテイメントオーディオ処理システム
500 前置増幅器モジュール
502 エンターテイメントオーディオ処理システム
504 他の信号処理及び/又は制御システム
506 出力信号
508 処理済みエンターテイメントオーディオ信号
510 処理済み非エンターテイメントオーディオ
512 処理済みエンターテイメントオーディオ信号
514 合成信号
516 下流の処理回路
518 下流の処理回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6