(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866477
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】金属触媒担体、その製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
B01J 35/04 20060101AFI20210419BHJP
B01J 37/00 20060101ALI20210419BHJP
B01J 32/00 20060101ALI20210419BHJP
B32B 3/12 20060101ALN20210419BHJP
B32B 3/28 20060101ALN20210419BHJP
B31F 1/28 20060101ALN20210419BHJP
【FI】
B01J35/04 311A
B01J37/00 Z
B01J32/00
!B32B3/12 A
!B32B3/28 A
!B31F1/28 Z
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-520960(P2019-520960)
(86)(22)【出願日】2017年10月13日
(65)【公表番号】特表2019-534142(P2019-534142A)
(43)【公表日】2019年11月28日
(86)【国際出願番号】KR2017011342
(87)【国際公開番号】WO2018074782
(87)【国際公開日】20180426
【審査請求日】2019年4月19日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0136546
(32)【優先日】2016年10月20日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0136544
(32)【優先日】2016年10月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511302024
【氏名又は名称】アモグリーンテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミョン・ソー
(72)【発明者】
【氏名】キム、トン・ボク
【審査官】
佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−225130(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02871435(EP,A1)
【文献】
特開平05−285398(JP,A)
【文献】
中国実用新案第2598641(CN,Y)
【文献】
特開平07−108176(JP,A)
【文献】
特開平07−054644(JP,A)
【文献】
実開平03−075834(JP,U)
【文献】
特開平02−265651(JP,A)
【文献】
特開2001−096171(JP,A)
【文献】
特開平11−253753(JP,A)
【文献】
特開平10−249213(JP,A)
【文献】
特開平09−152292(JP,A)
【文献】
特開平01−280613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
B01D 53/86 − 53/94
B32B 3/12
B32B 3/28
B31F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じサイズを有する複数の板部材が一定の間隔で移送される移送部と、
前記移送部に移送される板部材に第1波形部と第2波形部を繰り返して形成するように互いに噛み合って回転する第1成形ローラおよび第2成形ローラと、
前記板部材が第1成形ローラと第2成形ローラに嵌合する開始地点を一致させてすべての板部材の形状を同一に成形する位置整列ユニットと、を含む、金属触媒担体の製造装置。
【請求項2】
前記移送部は、板部材が安着された状態で移送されるベルトコンベヤである、請求項1に記載の金属触媒担体の製造装置。
【請求項3】
前記位置整列ユニットは、板部材を第1成形ローラと第2成形ローラの開始地点Pに投入する投入ユニットと、
前記開始地点に板部材が位置するとこれを感知する位置感知センサーと、
前記位置感知センサーで印加される信号によって投入ユニットの作動を制御する制御部と、を含む、請求項1に記載の金属触媒担体の製造装置。
【請求項4】
前記投入ユニットは、前記制御部が前記移送部を制御して板部材を開始地点に投入する方法と、前記移送部の一側に別途の投入装置を設置して板部材を開始地点に移動させる方法のうちいずれか1つを使用する、請求項3に記載の金属触媒担体の製造装置。
【請求項5】
同じサイズの板部材を移送部に沿って移動させる段階と、
前記板部材が設定された位置に到着すれば、板部材の前方が互いに噛み合って回転する第1成形ローラと第2成形ローラに嵌合する開始地点に位置するように整列させる段階と、
前記開始地点に整列した板部材を、前記第1成形ローラと前記第2成形ローラの間を通過させ、第1波形部と第2波形部を交互に成形して波形板を製作する段階と、
製作された波形板と平板を交互にケース内部に積層する段階と、を含む、金属触媒担体の製造方法。
【請求項6】
前記波形板は、第1波形部の頂点と第2波形部の頂点が向き合うように一致させて配列される、請求項5に記載の金属触媒担体の製造方法。
【請求項7】
前記板部材を開始地点に整列させる段階は、板部材が移送部に沿って移動して設定位置に到着すれば投入ユニットが作動して板部材を開始地点に移動させる段階と、
前記板部材が開始地点に位置すると位置感知センサーがこれを感知してその信号を制御部に印加する段階と、
前記制御部が投入ユニットの作動を停止して板部材を開始地点に整列させる段階と、を含む、請求項5に記載の金属触媒担体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互積層される波形板の頂点が互いに一致するようにする金属触媒担体、その製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫酸化物、一酸化炭素、炭化水素などの公害物質は人類環境に大きな威嚇となっており、各国では有害排出ガスの規制を強化するか、これを減少するための技術の開発も加速されている。
【0003】
排出量が最も多い自動車分野では、排気ガスが人間の生活する陸上の環境に直接的な影響を与えるため、規制の要請も高く、処理技術も早くから進んできた。それに比べて、船舶の排気ガス規制は比較的最近になって国際海事機関(IMO)および先進国を中心に実質的な対策作りが活発な方である。
【0004】
国際海事機関の造船・海運産業関連環境規制に対応するための緑色船舶の排気ガス後処理技術中の窒素酸化物(NO
x)の低減分野では、性能、安全性および経済性が検証された選択的触媒還元(SCR;Selective Catalytic Reduction)システムが脚光を浴びている。
【0005】
SCRシステムは、ハニカム構造の触媒担体が装着された反応器を含んでおり、触媒担体は、NO
xとアンモニア(NH
3)が混合された排気ガスが還元反応を通じて窒素と水が生成されるように誘導する。触媒担体の材料としては、低費用の量産が容易なセラミック押出材が考案されたりもしたが、薄い厚さに製作が可能でかつ機械的特性に優れた金属担体の使用も増加している。
【0006】
韓国公開特許第10−2012−0117426号公報においては、触媒担体を単位触媒担体ブロック形態で製作し、これを組み立てる構造であって、組立部材は隣接した単位触媒担体ブロックの間を締結するための要素の中心になっており、締結の箇所が多く複雑な構造を持っている。
【0007】
また、単位触媒担体ブロックには、表面に触媒がコーティングされた金属薄板材質の波板および平板から製作された波板/平板組立体によって多数の中空型セルが形成されたセル形成体がセル形成体の形状に対応する多角形構造としてセル形成体を収容して挿入するための支持体を含んでいる。
【0008】
さらに、表面に触媒がコーティングされた金属薄板材質の波板および平板から製作された波板/平板組立体を使用して具現される従来の金属担体は、波板と平板をブレージング(brazing)、ウェルディング(welding)、ソルダリング(soldering)、拡散接合(diffusion bonding)等の接合(joining)方法で一体化した波板/平板組立体を使用するために生産性が落ちて、価格競争力の確保が難しい問題がある。
【0009】
また、波板と平板を交互に積層して製作するとき、波板間の頂点が互いに一致できず外部の振動や衝撃または温度変化などによって波板と平板が変形される問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、積層される波形板の頂点が互いに向き合うように一致させることによって、外部の衝撃や振動および温度変化に応じた熱膨張時の変形を最小化することができる金属触媒担体を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、波形板の頂点に凸部と凹部をそれぞれ形成し、平板に凹凸部を形成して相互挿入されるようにして波形板と平板の間を別途の接合なしに固定できる金属触媒担体を提供することにある。
【0012】
本発明のまた他の目的は、波形板を生産する製造工程で波形板の形状を同一に製造することにより、波形板の形状を一致させるための別途のカッティング工程を必要としないので、製造工程を短縮できる金属触媒担体の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の金属触媒担体は、排気ガスが通過する空間を有するケースと、前記ケースに交互に積層され触媒がコーティングされる平板および波形板を含み、前記波形板は、前記平板を間において第1波形板と第2波形板が配置され、前記第1波形板と第2波形板は第1波形部と第2波形部が交互に繰り返して形成され、前記第1波形部の頂点と第2波形部の頂点が向き合うように一致させて配列される。
【0014】
前記第1波形部の頂点には凸部が形成され、前記第2波形部の頂点には凹部が形成され、前記平板には凹凸部が形成されて凸部が凹凸部に挿入され、凹凸部が凹部に挿入され得る。
【0015】
金属触媒担体の製造装置は、同じサイズを有する複数の板部材が一定の間隔で移送される移送部と、前記移送部に移送される板部材に第1波形部と第2波形部を繰り返して形成するように互いに噛み合って回転する第1成形ローラおよび第2成形ローラと、前記板部材が第1成形ローラと第2成形ローラに嵌合する開始地点を一致させて、すべての板部材の形状を同一に成形する位置整列ユニットを含むことができる。
【0016】
前記移送部は、板部材が安着された状態で移送されるベルトコンベヤを使用することができる。
【0017】
前記位置整列ユニットは、板部材を第1成形ローラと第2成形ローラの開始地点Pに投入する投入ユニットと、前記開始地点に板部材が位置するとこれを感知する位置感知センサーと、前記位置感知センサーで印加する信号によって投入ユニットの作動を制御する制御部と、を含むことができる。
【0018】
前記投入ユニットは、前記制御部が前記移送ユニットを制御して板部材を開始地点に投入する方法と、前記移送ユニットの一側に別途の投入装置を設置して板部材を開始地点に移動させる方法のうちいずれか1つを使用することができる。
【0019】
金属触媒担体の製造方法は、同じサイズの板部材を移送部に沿って移動させる段階と、前記板部材が設定された位置に到着すると板部材の前方が開始地点に位置するように整列させる段階と、開始地点に整列した板部材に第1波形部と第2波形部を交互に成形して波形板を製作する段階と、製作された波形板と平板を交互にケース内部に積層する段階と、を含むことができる。
【0020】
前記波形板は、第1波形部の頂点と第2波形部の頂点が向き合うように一致させて配列することができる。
【0021】
前記板部材を開始地点に整列させる段階は、板部材が移送部に沿って移動して設定位置に到着すると投入ユニットが作動して板部材を開始地点に移動させる段階と、前記板部材が開始地点に位置すると位置感知センサーがこれを感知してその信号を制御部に印加する段階と、前記制御部が投入ユニットの作動を停止して板部材が開始地点に整列されるようにする段階と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
前記のように、本発明では、積層される波形板の頂点が互いに向き合うように一致させることによって、外部の衝撃や振動および温度変化に応じた熱膨張時の変形を最小化できる。
【0023】
また、波形板の頂点に凸部と凹部をそれぞれ形成し、平板に凹凸部を形成して相互挿入されるようにして波形板と平板との間を別途の接合なしに固定できる。
【0024】
また、波形板を生産する製造工程で波形板の形状を同一に製造することによって、波形板の形状を一致させるための別途のカッティング工程を必要としないので、製造工程を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施例による金属触媒担体の正面図である。
【
図2】本発明の第2実施例による金属触媒担体の正面図である。
【
図3】本発明に係る金属触媒担体の製造装置の構成図である。
【
図4】本発明に係る投入ユニットを示すブロック図である。
【
図5】本発明に係る金属触媒担体の製造方法を示す工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明に係る実施例を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは説明の明瞭性と便宜のために誇張して示されることもある。また、本発明の構成および作用を考慮して特に定義された用語は、使用者や運用者の意図または慣例によって異なることがある。このような用語に対する定義は本明細書全般にわたった内容に基づいて下されるべきである。
【0027】
図1を参照すると、本発明の第1実施例による金属触媒担体は、両側が貫通されたケース10と、ケース10に交互に積層される平板20と、波形板30と、からなる。
【0028】
金属触媒担体は船舶や発電所、焼却場のような大型プラントなどのエンジンや炉(furnace)に装着されて窒素酸化物(NO
x)とアンモニア(NH
3)が混合された排気ガスが還元反応を通じて窒素と水が生成されるように構成されている。
【0029】
触媒担体は、排気管の間に配置されることで、内部に触媒を支持する大容量の触媒担体が多段または一段の形態で配置され得る。
【0030】
ケース10は両端が開口された四角形状であり、その両端は排気管に連結される。平板20と波形板30は耐熱性金属薄板で形成され、その厚さは20〜100μmであることが好ましい。
【0031】
波形板30は波形状または凹凸形状に形成され、平板20は平らな板形状に形成され、ケース10内部に相互交互に積層されると排気ガスが通過する通路が形成される。このような平板20と波形板30の表面には排気ガスと反応して浄化させる触媒物質がコーティングされる。
【0032】
波形板30は、平板20を間において第1波形板32と第2波形板34が交互に繰り返して積層され、第1波形板32と第2波形板34にはそれぞれ上方に向かって膨らむように突出する第1波形部42と、下方に向かって膨らむように突出する第2波形部44が繰り返されて波形状に形成される。
【0033】
第1波形板32の第1波形部42の頂点Aと第2波形板34の第2波形部44の頂点Bが互いに向き合うように一致させて組み立てられる。つまり、平板20を間において第1波形部42の頂点Aと第2波形部44の頂点Bが互いに向き合うように組み立てられる。
【0034】
このように、波形板30の頂点が互いに一致するように組み立てられるため、波形板30の間の支持力が向上して外部の衝撃や振動および排気ガスが通過する圧力および温度変化に応じた熱膨張などによる波形板30と平板20の変形を最小化できる。
【0035】
第2実施例による金属触媒担体は、
図2に示されているように、波形板30の第1波形部42の頂点には長さ方向に凹部50が形成され、第2波形部44の頂点には長さ方向に凸部52が形成され、平板20には凸部52と凹部50とが接する地点に凹凸部54が形成される。
【0036】
したがって、第1波形板32、平板20および第2波形板34を交互に積層すれば、第1波形板32の凹部50に平板20の凹凸部54が挿入され、平板20の凹凸部54に第2波形板44の凸部52が挿入されて、第1波形板32、平板20および第2波形板34の間が相互噛み合う形状になり、波形板と平板の間を別途の接合なしに固定できる。
【0037】
第1実施例による金属触媒担体のように、波形板の間の頂点が互いに一致するように組み立てるためには、すべての波形板の形状を同一に製造しなければならない。つまり、波形板の両側周縁の波形部が形成される開始位置を全て同一に形成しなければ、波形板を組み立てるときに波形板の頂点が一致しなくなる。
【0038】
このように、波形板の周縁の開始位置を同一に形成するためには、波形板を製造した後、別途の工程で波形板の周縁の開始点を一致させた後に切断工程を行わなければならない。
【0039】
この場合、波形板の周縁を一致させるために、波形板の周縁を切断する別途の工程を必要とするため、製造工程を追加しなければならない問題がある。
【0040】
本発明の金属触媒担体の製造装置は、波形板を製造する工程で波形板の開始点が一致するように製造することによって、波形板の周縁を切断して合わせる別途の工程を必要としなくなる。
【0041】
本発明の触媒担体製造装置は、
図3に示されているように、同じサイズで平板形状の板部材62が順次に移送される移送部60と、移送部60によって移送される板部材62に第1波形部42と第2波形部44が交互に形成されるように波形状の波形を形成する成形ローラ64、66と、成形ローラ64、66の前方に配置されて成形ローラ64、66に引き込む板部材62の開始地点Pを一致させる位置整列部68と、を含む。
【0042】
移送部60はベルトコンベヤであって、複数の板部材62が一列に配列されて順次移送されて成形ローラ64、66に供給される。
【0043】
成形ローラ64、66は、外面にギヤ歯を形成する第1成形ローラ64と、第1成形ローラと同じ形状であり、第1成形ローラ64と噛み合って回転する第2成形ローラ66と、で構成され、第1成形ローラ64と第2成形ローラ66との間を板部材62が通過すれば板部材62に第1波形部42と第2波形部44が繰り返して形成される。
【0044】
位置整列部68は
図3に示されているように、第1成形ローラ64と第2成形ローラ66に板部材62が嵌合する開始地点Pと第1成形ローラ64と第2成形ローラ66を通過して排出する終了地点が一致するようにしてすべての波形板30の形状を同一に形成する。
【0045】
位置整列ユニット68は
図3に示されているように、移送部60によって移送される板部材62を第1成形ローラ64と第2成形ローラ66の開始地点Pに投入する投入ユニット72と、第1成形ローラ64と第2成形ローラ66に板部材62が嵌合する開始地点に板部材62が位置すると、これを感知する位置感知センサー74と、位置感知センサー74で印加される信号によって投入ユニット72の作動を制御する制御部76と、を含む。
【0046】
位置感知センサー74は、開始地点Pに配置されて板部材62の前面を感知する方法と、移送部60に設置されて板部材62の前面が開始地点に位置すると板部材62の後面を感知する方法を使用することができる。
【0047】
投入ユニット72は、板部材62を開始地点に投入するいかなる方法も適用可能である。一例として、移送部60が投入ユニットの役割を同時に行い、板部材62が開始地点に到達すれば移送部60の動作が停止するタイプが適用され得、板部材62を直接移動させるステップモータタイプやシリンダータイプが適用され得る。
【0048】
ここで、開始地点Pは、第1成形ローラ64と第2成形ローラ66が互いに噛み合って回転するときに板部材62が第1成形ローラ64と第2成形ローラ66の間に嵌合する地点で、板部材62が開始地点Pに位置すると第1成形ローラ64と第2成形ローラ66に嵌合する地点が常に一致するため、波形板30の形状が同一の波形板を連続的に生産することができる。
【0049】
このように、構成される金属触媒担体の製造装置を用いた金属触媒担体の製造方法を以下で説明する。
【0050】
このように、構成される金属触媒担体の製造方法について説明する。
【0051】
図5は、本発明の一実施例による金属触媒担体の製造方法を示す工程フローチャートである。
【0052】
まず、平板形状の板部材62を同じサイズに切断する(S10)。その後、板部材62を移送部60に一定の間隔で整列させ、移送部60が作動すると板部材62は移送部60によって移動する(S20)。
【0053】
板部材62が移送部60に沿って移動して第1成形ローラ64と第2成形ローラ66の前方である設定地点に到達すれば、位置整列ユニット68によって板部材62の前方が開始地点Pに整列する。そうすると、第1成形ローラ64と第2成形ローラ66に開始地点Pに位置した板部材62の前方が嵌合し、板部材62が第1成形ローラ64と第2成形ローラ66を通過しながら第1波形部42と第2波形部44が交互に形成された波形板30を製作することになる。
【0054】
この時、板部材62が開始地点Pに位置すると第1成形ローラ64と第2成形ローラ66に嵌合する板部材62の位置が常に一定であるため、製作される波形板30の形状を同一に製作することができる。
【0055】
したがって、波形板30の形状を同一に製作するための別途のカッティング工程を必要としないため、製造工程を短縮することができる。
【0056】
位置整列ユニット68の作用を見てみると、板部材62が移送部60に沿って移動して設定位置に到着すれば、投入ユニット72が作動して板部材62を開始地点Pに移動させる。そして、板部材62が開始地点Pに位置すると位置感知センサー74がこれを感知してその信号を制御部76に印加し、制御部76は投入ユニット72の作動を停止して板部材62が開始地点Pに整列できるようにする。
【0057】
このような工程によって波形板30の製作が完了した後、ケース10に第1波形板32、平板20および第2波形板34を交互に積層することで、金属触媒担体の製作が完了する。ここで、第1波形板32と第2波形板34の形状は同一であり、第2波形板34は第1波形板32をひっくり返した形状である。
【0058】
波形板30の形状はいずれも同じであるため、四角筒形状のケース10内部に積層すれば第1波形板32の第1波形部42の頂点と第2波形板34の第2波形部44の頂点が互いに向き合うように整列される。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 排気ガスが通過する空間を有するケース;および
前記ケースに交互に積層され触媒がコーティングされる平板および波形板;を含み、
前記波形板は、前記平板を間において第1波形板と第2波形板が配置され、前記第1波形板と第2波形板は、第1波形部と第2波形部が交互に繰り返して形成され、前記第1波形部の頂点と第2波形部の頂点が向き合うように一致させて配列される、金属触媒担体。
[2] 前記第1波形部の頂点には凸部が形成され、前記第2波形部の頂点には凹部が形成され、前記平板には凹凸部が形成されて凸部が凹凸部に挿入され、凹凸部が凹部に挿入される、[1]に記載の金属触媒担体。
[3] 同じサイズを有する複数の板部材が一定の間隔で移送される移送部と、
前記移送部に移送される板部材に第1波形部と第2波形部を繰り返して形成するように互いに噛み合って回転する第1成形ローラおよび第2成形ローラと、
前記板部材が第1成形ローラと第2成形ローラに嵌合する開始地点を一致させてすべての板部材の形状を同一に成形する位置整列ユニットと、を含む、金属触媒担体の製造装置。
[4] 前記移送部は、板部材が安着された状態で移送されるベルトコンベヤである、[3]に記載の金属触媒担体の製造装置。
[5] 前記位置整列ユニットは、板部材を第1成形ローラと第2成形ローラの開始地点Pに投入する投入ユニットと、
前記開始地点に板部材が位置するとこれを感知する位置感知センサーと、
前記位置感知センサーで印加される信号によって投入ユニットの作動を制御する制御部と、を含む、[3]に記載の金属触媒担体の製造装置。
[6] 前記投入ユニットは、前記制御部が前記移送ユニットを制御して板部材を開始地点に投入する方法と、前記移送ユニットの一側に別途の投入装置を設置して板部材を開始地点に移動させる方法のうちいずれか1つを使用する、[5]に記載の金属触媒担体の製造装置。
[7] 同じサイズの板部材を移送部に沿って移動させる段階と、
前記板部材が設定された位置に到着すれば板部材の前方が開始地点に位置するように整列させる段階と、
開始地点に整列した板部材に第1波形部と第2波形部を交互に成形して波形板を製作する段階と、
製作された波形板と平板を交互にケース内部に積層する段階と、を含む、金属触媒担体の製造方法。
[8] 前記波形板は、第1波形部の頂点と第2波形部の頂点が向き合うように一致させて配列される、[7]に記載の金属触媒担体の製造方法。
[9] 前記波形板を製作する段階は、波形板が互いに噛み合って回転する第1成形ローラと第2成形ローラの間を通過して製作される、[7]に記載の金属触媒担体の製造方法。
[10] 前記板部材を開始地点に整列させる段階は、板部材が移送部に沿って移動して設定位置に到着すれば投入ユニットが作動して板部材を開始地点に移動させる段階と、
前記板部材が開始地点に位置すると位置感知センサーがこれを感知してその信号を制御部に印加する段階と、
前記制御部が投入ユニットの作動を停止して板部材を開始地点に整列させる段階と、を含む、[7]に記載の金属触媒担体の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、自動車や船舶などのエンジンで発生する排気ガスに含まれている窒素酸化物、硫酸化物、一酸化炭素、炭化水素などの公害物質を除去する金属触媒担体であって、波形板間の頂点が互いに向き合うように一致させることによって、外部の衝撃や温度変化に応じた熱膨張時の変形を最小化して寿命を延長することができる。