特許第6866479号(P6866479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボッシュエンジニアリング株式会社の特許一覧

特許6866479走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム
<>
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000002
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000003
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000004
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000005
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000006
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000007
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000008
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000009
  • 特許6866479-走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866479
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20210419BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20210419BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   G08G1/01 A
   G08G1/09 F
   G01C21/26 C
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-523360(P2019-523360)
(86)(22)【出願日】2018年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2018012781
(87)【国際公開番号】WO2018225347
(87)【国際公開日】20181213
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】特願2017-114151(P2017-114151)
(32)【優先日】2017年6月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517204346
【氏名又は名称】ボッシュエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】ジャガナタン ラムクマル
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−171317(JP,A)
【文献】 特開2015−138316(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/030934(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G01C 21/26
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両の位置情報を含むデータを、予め定められた第1時間間隔ごとに車載制御装置から受信するデータ取得部と、
受信した前記位置情報の履歴から求められる前記車両の走行軌跡に基づいて走行位置の周囲の走行障害情報を生成する障害情報生成部と、
生成した前記走行障害情報を車載制御装置に送信する障害情報送信部と、
前記障害情報生成部により生成された前記走行障害情報を記憶する記憶部と、
を備え
前記データ取得部は、前記障害情報生成部により生成された前記走行障害情報と前記記憶部に記憶されている過去の前記走行障害情報とが異なるか否かを判定し、異なると判定した場合に、前記第1時間間隔よりも短い第2時間間隔ごとに前記データを受信する制御を実行する
走行障害検出装置。
【請求項2】
前記障害情報生成部は、前記車両の走行軌跡と道路地図の情報とを統合して道路に存在する走行障害情報を生成する、請求項1に記載の走行障害検出装置。
【請求項3】
前記障害情報生成部は、あらかじめ設定した所定期間ごとに、複数の車載制御装置から受信した前記データに基づいて前記走行障害情報を生成する、請求項1又は2に記載の走行障害検出装置。
【請求項4】
前記障害情報生成部は、前記所定期間内に受信したデータ数に基づいて前記データを受信する間隔を変更する、請求項3に記載の走行障害検出装置。
【請求項5】
前記障害情報生成部は、前記所定期間内に受信した前記データに基づいて前記走行障害情報を生成した後、前記走行障害情報の生成に用いた前記データを消去する、請求項3又は4に記載の走行障害検出装置。
【請求項6】
前記データ取得部は、前記車両の走行状態の情報をさらに含むデータを受信し、
前記障害情報生成部は、前記走行軌跡の情報及び前記走行状態の情報に基づいて前記走行障害情報を生成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の走行障害検出装置。
【請求項7】
前記走行状態の情報が、ステアリングホイールの舵角の情報、車輪の回転数の情報、車速の情報、車輪の衝撃監視装置に生じた衝撃の情報、車両の傾斜角の情報、車輪のスリップ量の情報又は車輪のブレーキ力の情報のうちの少なくとも一つの情報を含む、請求項6に記載の走行障害検出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の走行障害検出装置と、
自車両の位置情報を取得する位置情報取得部、少なくとも前記位置情報を含むデータを前記走行障害検出装置に送信するデータ送信部、前記走行障害検出装置から走行障害情報を受信する障害情報取得部、及び前記走行障害情報に基づいてナビゲーション動作を行うナビゲーション制御部、を有する車載制御装置と、
を備える、車両ナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両が走行する道路において、走行の障害となる事象が発生する場合がある。例えば特許文献1には、路面の凹凸や亀裂等の路面状態を走行前に取得する路面状態検出装置が開示されている。この路面状態検出装置は車両の車輪の回転により加速度センサに作用する加速度に基づいて路面状態を推定し、車両の位置情報と併せてクラウドサーバに送信する。他の車両は、位置情報及び路面状態の情報に基づいて、走行前の路面の状態を取得することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−229433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、路面に存在する凹凸や亀裂等の程度が激しく車両の通行が困難な場合に、多くの車両が傷んでいる路面の走行を回避すると、加速度センサの検出値に路面状態が反映されなくなる。そうすると、これから当該路面を走行しようとする車両に対して路面状態の情報が提供されないことになる。また、路面状態だけでなく、工事や事故等によって車両の通行が制限されている場合においても、事前に車両に対してそのような障害の情報を提供することができれば、ドライバはより安全に障害を回避することができると考えられる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、道路上の走行障害の位置を適切に検出して車両の走行前に走行障害情報を提供可能な走行障害検出装置及び車両ナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある観点によれば、少なくとも車両の位置情報を含むデータを車載制御装置から受信するデータ取得部と、受信した位置情報の履歴から求められる車両の走行軌跡に基づいて走行位置の周囲の走行障害情報を生成する障害情報生成部と、生成した走行障害情報を車載制御装置に送信する障害情報送信部と、を備える、走行障害検出装置が提供される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、上述した走行障害検出装置と、自車両の位置情報を取得する位置情報取得部、少なくとも位置情報を含むデータを走行障害検出装置に送信するデータ送信部、走行障害検出装置から走行障害情報を受信する障害情報取得部、及び走行障害情報に基づいてナビゲーション動作を行うナビゲーション制御部、を有する車載制御装置と、を備える、車両ナビゲーションシステムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、道路上の走行障害の位置を適切に検出して車両の走行前に走行障害情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る車両ナビゲーションシステムの模式図である。
図2】同実施形態に係る車載制御装置を搭載した車両の構成例を示す模式図である。
図3】同実施形態に係る走行障害検出装置及び車載制御装置の構成例を示すブロック図である。
図4】車載制御装置によるデータ送信処理の一例を示すフローチャートである。
図5】走行障害検出装置による走行障害検出処理の一例を示すフローチャートである。
図6】走行障害検出装置によるデータ受信間隔の設定処理の一例を示すフローチャートである。
図7】車載制御装置によるナビゲーション動作処理の一例を示すフローチャートである。
図8】ナビゲーション表示の一例を示す説明図である。
図9】車載制御装置による警告処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお本明細書及び図面において実質的に同一の機能構成を有する構成要素については同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<1.車両ナビゲーションシステムの概要>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る車両ナビゲーションシステム1の概要を説明する。本実施形態に係る車両ナビゲーションシステム1は、道路9を走行中の車両10a,10b,10c,10d(以下、特に区別することを要しない場合には車両10と表記する)が走行障害検出装置100と無線通信を行い、進行方向の前方にある走行障害5の情報を事前に取得して車両10のナビゲーション動作を行うシステムである。走行障害検出装置100は、走行中の車両10から少なくとも位置情報を含むデータを受信し、これらのデータに基づいて走行障害情報を生成し、車両10に送信する。走行障害検出装置100は、例えばクラウドサーバである。
【0012】
例えば図1に示すように、片側二車線の道路9の第1の車線9aに走行障害5がある場合、第2の車線9bを走行する車両10c,10dは第2の車線9bを走行し続ける一方、第1の車線9aを走行してきた車両10a,10bは、走行障害5を回避するため第1の車線9aから第2の車線9bに車線変更する。走行障害5が存在する間、第1の車線9aを走行するほぼすべての車両10は、第2の車線9bへと車線変更すると考えられる。
【0013】
このように、道路9上に走行障害5がある場合には複数の車両10が当該走行障害5を回避して走行することを踏まえ、本実施形態に係る走行障害検出装置100は、車両10の走行軌跡から車両10が何らかの走行障害5の回避動作をしていると判断できる場合に、道路9上に走行障害5が存在していると判定する。走行障害検出装置100は、検出した走行障害5の情報を複数の車両10に送信することで、各車両10は走行障害5の存在を事前に取得し、ドライバが容易に走行障害5を回避することができる。
【0014】
車両10が走行する道路9は通常車幅よりも広く、多くの場合車両10は道路の幅方向の一部を通過するが、本実施形態に係る車両ナビゲーションシステム1では、車両10の位置情報を含むデータが用いられることによって走行障害5の存在位置をより高い精度で推定することができる。
【0015】
なお、走行障害5とは、道路9の表面の激しい凹凸、道路9の通行止め、道路9上での交通事故又は道路9上の落下物等、車両10が当該位置を回避して走行する起因となる事象を含む。また、本実施形態に係る車両ナビゲーションシステム1において、走行障害検出装置100は、さらに道路9上のスピードバンプ、積雪、路面の傾斜、又は湾曲する道路の曲率半径の情報を併せて算出し、各車両10に送信可能になっている。
【0016】
<2.車両の構成例>
次に、図2を参照して、本実施形態に係る車両ナビゲーションシステム1の車載制御装置50を搭載した車両10の構成例を説明する。車両10は、車載制御装置50を備える。車載制御装置50は、車両10に搭載された各種のセンサあるいは検出装置(以下、単に「検出器」ともいう。)の信号を受信し、得られた情報を走行障害検出装置100に送信する。また、車載制御装置50は、走行障害検出装置100から走行障害情報を受信し、車両10のナビゲーション動作を行う。
【0017】
車両10は、4つの回転センサ13a,13b,13c,13dと、4つの衝撃センサ15a,15b,15c,15dと、GPS(Global Positioning system)ユニット20と、撮像ユニット22と、加速度センサ24と、表示装置26と、舵角センサ34と、ブレーキ制御ユニット40とを備える。
【0018】
回転センサ13a,13b,13c,13d(以下、特に区別することを要しない場合には回転センサ13と表記する)及び4つの衝撃センサ15a,15b,15c,15d(以下、特に区別することを要しない場合には衝撃センサ15と表記する)は、車両10の前後左右の車輪11FR,11FL,11RR,11RL(以下、特に区別することを要しない場合には車輪11と表記する)にそれぞれ設けられている。回転センサ13は、それぞれの車輪11の回転数に応じたセンサ信号を出力する。衝撃センサ15は、それぞれの車輪11が受ける衝撃に応じたセンサ信号を出力する。衝撃センサ15は、例えばそれぞれの車輪11に設けられたショックオブザーバに設けられる。回転センサ13及び衝撃センサ15のセンサ信号は車載制御装置50に出力される。
【0019】
GPSユニット20は、GPSアンテナ及びGPS装置を有する。GPS装置は、GPSアンテナを介してGPS衛星からの電波を受信し、測位計算によりGPS装置すなわち車両10の現在位置を求める。GPSユニット20は、求めた位置情報を車載制御装置50に出力する。
【0020】
撮像ユニット22は、カメラ及び撮像処理装置を有する。カメラは、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有する撮像装置であり、車両10の前方を撮影する。撮像処理装置は、カメラの撮像データに基づいて公知の画像処理を行い、車両10の前方の車両や障害物、走行車線、路面状態等を認識する。撮像処理装置は、認識した前方の情報を車載制御装置50に出力する。なお、カメラは単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
【0021】
加速度センサ24は、車両10の前後方向及び車幅方向の水平方向からの傾きに応じたセンサ信号を出力する。加速度センサ24のセンサ信号は、車載制御装置50に出力される。
【0022】
舵角センサ34は、ステアリングホイール32の回転角度である舵角に応じたセンサ信号を出力する。舵角センサ34のセンサ信号は、車載制御装置50に出力される。
【0023】
ブレーキ制御ユニット40は、それぞれの車輪11に設けられた図示しないブレーキ装置により発生させるブレーキ力を制御する。例えば、ブレーキ制御ユニット40は、電磁弁の駆動を制御することにより、それぞれの車輪11に設けられたブレーキキャリパに供給する油圧を制御し、ブレーキ力を調節する。それぞれの車輪11に生じるブレーキ力の情報は、車載制御装置50に出力される。なお、ブレーキ装置の構成は特に限定されない。
【0024】
表示装置26は、車両10の走行位置の周囲の情報とともに道路地図を表示する。表示装置26は、例えば液晶パネル等の表示パネルを有し、車載制御装置50により表示の制御が行われる。表示装置26は、車両のフロントウィンドウへの表示を行うヘッドアップディスプレイであってもよい。
【0025】
<3.車載制御装置の構成例>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る車両ナビゲーションシステム1の車載制御装置50の構成例を説明する。それぞれの車両10(10a,10b,10c,10d)に搭載された車載制御装置50(50a,50b,50c,50d)は、通信部52と、走行状態検出部54と、位置情報取得部56と、障害情報受信部58と、データ送信部60と、記憶部62と、ナビゲーション制御部64とを備える。車載制御装置50はCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサを含む。また、車載制御装置50の一部又は全部はCPUやMPU等のプロセッサにより構成される以外に、ファームウェア等の更新可能なもので構成されていてもよく、またCPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。また、車載制御装置50は、互いに通信可能な複数の制御装置により構成されていてもよい。
【0026】
記憶部62は、プロセッサにより実行されるコンピュータプログラム、取得したセンサ信号あるいは情報、及びプロセッサの演算結果の情報を記憶する。記憶部62は、コンピュータプログラム及び制御パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)や、取得した情報、制御パラメータ及び演算処理結果の情報等を記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶素子を含んでもよい。また、記憶部62は、CD−ROMやストレージ装置等の他の記憶媒体による記憶装置を含んでもよい。
【0027】
通信部52は、走行障害検出装置100との間で信号の送受信を行うインタフェースである。通信部52は、走行障害検出装置100と無線通信を行う。なお、図2に示した車両10の構成例では車載制御装置50が通信部52を備えているが、車両10が車載制御装置50とは異なるゲイトウェイ制御装置を備え、当該ゲイトウェイ制御装置を介して車載制御装置50が走行障害検出装置100と通信可能に構成されていてもよい。
【0028】
走行状態検出部54は、車両10に備えられた回転センサ13、衝撃センサ15、撮像ユニット22、加速度センサ24、舵角センサ34及びブレーキ制御ユニット40から出力される信号あるいは情報を取得する。走行状態検出部54は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。走行状態検出部54は、取得した信号あるいは情報に基づいて、舵角、それぞれの車輪11が受ける衝撃の大きさ、それぞれの車輪11の回転数、車速、車両10の傾き、それぞれの車輪11のスリップの有無、それぞれの車輪11に生じているブレーキ力を求める。求められた情報は、走行状態の情報である。これらの走行状態の幾つかは省略されてもよい。
【0029】
位置情報取得部56は、車両10に備えられたGPSユニット20から出力される位置情報を取得する。位置情報取得部56は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。位置情報取得部56は、あらかじめ設定されたサイクルごとに位置情報を取得する。
【0030】
障害情報受信部58は、走行障害検出装置100から送信される走行障害情報を受信する。障害情報受信部58は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。例えば障害情報受信部58は、あらかじめ設定されたサイクルごとに送信されてくる走行障害情報を受信する。
【0031】
データ送信部60は、少なくとも車両10の位置情報を含むデータを走行障害検出装置100に送信する。データ送信部60は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。例えばデータ送信部60は、あらかじめ設定されたサイクルごとにデータを送信する。本実施形態において、データ送信部60は、車両10の位置情報と併せて走行状態の情報を含むデータを走行障害検出装置100に送信する。
【0032】
ナビゲーション制御部64は、走行障害検出装置100から受信した走行障害情報に基づいてナビゲーション動作を行う。ナビゲーション制御部64は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。本実施形態において、ナビゲーション制御部64は、表示装置26に表示させる道路地図情報に走行障害情報を反映させ、ドライバに走行障害情報を認識させる。本実施形態において、ナビゲーション制御部64は、走行車線上に存在する走行障害の位置を具体的に表示させてもよい。このとき車載制御装置50が走行障害検出装置100から走行障害情報の3Dバーチャル画像を取得する場合、ナビゲーション制御部64は、当該3Dバーチャル画像を表示装置26に表示させてもよい。また、ナビゲーション制御部64は、走行障害への車両10の接近に伴い、警告音を発生させてドライバに注意喚起を促してもよい。
【0033】
<4.走行障害検出装置の構成例>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る走行障害検出装置100の構成例を説明する。走行障害検出装置100は、通信部101と、データ取得部103と、障害情報生成部105と、障害情報送信部107と、記憶部109とを備える。走行障害検出装置100は、CPU又はMPU等のプロセッサを含む。また、走行障害検出装置100の一部又は全部はCPUやMPU等のプロセッサにより構成される以外に、ファームウェア等の更新可能なもので構成されていてもよく、またCPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。また、走行障害検出装置100は、互いに通信可能な複数の制御装置により構成されていてもよい。
【0034】
記憶部109は、プロセッサにより実行されるコンピュータプログラム、取得したセンサ信号あるいは情報、及びプロセッサの演算結果の情報を記憶する。記憶部109は、コンピュータプログラム及び制御パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)や、取得した情報、制御パラメータ及び演算処理結果の情報等を記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶素子を含んでもよい。また、記憶部109は、CD−ROMやストレージ装置等の他の記憶媒体による記憶装置を含んでもよい。
【0035】
通信部101は、車載制御装置50との間で信号の送受信を行うインタフェースである。本実施形態において走行障害検出装置100はいわゆるクラウドサーバであり、通信部101は、車載制御装置50と無線通信を行う。
【0036】
データ取得部103は、車載制御装置50から送信されてくるデータを取得する。データ取得部103は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。取得するデータには、少なくとも車両10の位置情報が含まれる。本実施形態において、取得するデータには、車両10の位置情報と併せて走行状態の情報が含まれている。
【0037】
障害情報生成部105は、取得した位置情報の履歴に基づいて車両10の走行軌跡を求める。また、障害情報生成部105は、求めた走行軌跡に基づいて走行位置の周囲の走行障害情報を生成する。障害情報生成部105は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。例えば障害情報生成部105は、求めた複数の車両10の走行軌跡の情報を道路地図情報に重ね合わせることで、複数の車両10が特定の位置で回避動作をしていることを判別し、走行障害5の存在を検出してもよい。
【0038】
また、本実施形態に係る走行障害検出装置100において、障害情報生成部105は、車両10の走行状態の情報に基づいて道路の状態を検出してもよい。道路の状態とは、路面の凹凸、道路の傾斜、湾曲する道路の曲率半径等の状態であり、障害情報生成部105は検出した道路の状態が車両10の走行に危険を及ぼすおそれがある場合には走行障害情報と判定する。障害情報生成部105は検出した道路の状態の情報と走行軌跡の情報と道路地図の情報とに基づいて走行障害情報の3Dバーチャル画像の情報を生成してもよい。
【0039】
障害情報送信部107は、生成された走行障害情報を車載制御装置50に送信する。障害情報送信部107は、プロセッサによるコンピュータプログラムの実行により実現される機能である。障害情報生成部70が3Dバーチャル画像の情報を生成する場合、障害情報送信部107は併せて3Dバーチャル画像の情報を車載制御装置50に送信する。
【0040】
<5.車両ナビゲーションシステムの動作例>
次に、本実施形態に係る車両ナビゲーションシステム1の動作例を説明する。
【0041】
(5−1.車載制御装置によるデータ送信処理)
図4は、車載制御装置50によるデータ送信処理を示すフローチャートである。
まず、車載制御装置50の走行状態検出部54は、自車両10の走行状態を検出する(ステップS31)。具体的に、走行状態検出部54は、車両10に備えられた回転センサ13、衝撃センサ15、撮像ユニット22、加速度センサ24、舵角センサ34及びブレーキ制御ユニット40から出力される信号あるいは情報を取得する。また、走行状態検出部54は、取得した信号あるいは情報に基づいて、舵角、それぞれの車輪11が受ける衝撃の大きさ、それぞれの車輪11の回転数、車速、車両10の傾き、それぞれの車輪11のスリップ、それぞれの車輪11に生じているブレーキ力を求める。これらの走行状態の幾つかは省略されてもよい。
【0042】
次いで、車載制御装置50の位置情報取得部56は、自車両10の位置情報を取得する(ステップS33)。具体的に、位置情報取得部56は、車両10に備えられたGPSユニット20から出力される位置情報を取得する。次いで、車載制御装置50のデータ送信部60は、通信部52を介して、少なくとも自車両10の位置情報及び走行状態の情報を含むデータを走行障害検出装置100に送信する(ステップS35)。
【0043】
車載制御装置50は、図4に示すデータ送信処理を、あらかじめ設定されたサイクルごとに実行する。あるいは、車載制御装置50は、走行障害検出装置100からの送信要求を受けて、当該データ送信処理を実行してもよい。
【0044】
(5−2.走行障害検出装置による走行障害検出処理)
図5は、走行障害検出装置100による走行障害検出処理を示すフローチャートである。
まず、走行障害検出装置100のデータ取得部103は、少なくとも車両10の位置情報を含むデータを車載制御装置50から受信する(ステップS11)。本実施形態において、データ取得部103は、車両10の位置情報と併せて走行状態の情報を含むデータを受信する。データ取得部103は、車載制御装置50を搭載した複数の車両10からデータを受信する。データ取得部103は、受信した位置情報及び走行状態の情報を含むデータを記憶部109に記憶する。
【0045】
次いで、データ取得部103は、車載制御装置50からデータを受信する期間としてあらかじめ設定された所定期間が経過したか否かを判別する(ステップS13)。所定期間は、受信したデータに基づいて走行障害5の有無を判別するに足りる適切な時間に設定される。例えば所定期間は、5〜10分に設定されてもよい。
【0046】
データ取得部103は、過去の所定期間内に受信したデータ数に基づいてデータを受信する間隔を短くしてデータの受信回数を多くしてもよい。これにより、また、同一車両10の位置情報の取得間隔が短くなって、当該車両10の走行軌跡をより精度よく求めることができる。あるいは、データ取得部103は、過去の所定期間内に受信したデータ数に基づいて所定期間の長さを変更してもよい。例えばある期間内に受信したデータ数が少なく、生成される走行障害情報の信頼性が低い場合には、所定期間を長くしてもよい。
【0047】
所定期間が経過していない場合(S13/No)、データ取得部103は、ステップS11に戻って車載制御装置50からのデータの受信を繰り返す。一方、所定期間が経過した場合(S13/Yes)、走行障害検出装置100の障害情報生成部105は、記憶部109に蓄積されたデータのうちの位置情報の履歴に基づいてそれぞれの車両10ごとの走行軌跡を演算する(ステップS15)。障害情報生成部105は、それぞれの車両10ごとに、位置情報の履歴に基づいて走行軌跡を演算する。
【0048】
次いで、障害情報生成部105は、車両10の走行軌跡の情報に基づいて走行位置の周囲の走行障害情報を生成する(ステップS17)。例えば、障害情報生成部105は、記憶部109に蓄積されたそれぞれの車両10の走行軌跡の情報と道路地図の情報とを統合して、道路9上での車両10の回避動作を判定することにより走行障害5の位置を特定する。例えば、障害情報生成部105は、複数の車両10が道路9上のある特定の位置を回避するように走行していることを認識したときに、当該回避している位置に走行障害5が存在していると判定する。
【0049】
障害情報生成部105は、車両10の走行軌跡の情報と併せて車両10の走行状態の情報を用いて、走行障害5の存在を判定してもよい。例えば障害情報生成部105は、車両10の走行軌跡から検出される車両10の旋回動作の直前に車輪11へのブレーキ力が急激に上昇している場合には、接近状態でドライバが認識し得るような走行障害5が存在すると判定してもよい。また、障害情報生成部105は、撮像ユニット22を用いて取得される車両10の前方の撮像情報を画像処理することにより、道路9上の走行障害5を検出してもよい。
【0050】
さらに、本実施形態において、障害情報生成部105は、車両10の走行状態の情報に基づいて道路9の状態を併せて検出してもよい。例えば湾曲する道路9の曲率半径は、舵角センサ34を用いて検出される舵角の情報に基づいて推定することができる。また、道路9の傾斜角度は、加速度センサ24を用いて検出される傾斜角度の情報に基づいて推定することができる。また、路面の凹凸やスピードバンプ、積雪状態は、例えば回転センサ13を用いて検出されるそれぞれの車輪11の回転数の情報及び衝撃センサ15を用いて検出されるそれぞれの車輪11への衝撃の情報に基づいて推定することができる。そして、障害情報生成部105は、検出した道路9の状態が、車両10の走行に影響を及ぼし得る状態にあると判定される場合に、当該車両10の走行位置の路面に走行障害5が存在すると判定してもよい。特に複数の車両10から受信した走行状態の情報を重ね合わせて道路9の状態を検出することにより、道路9の状態の検出精度を高めることができる。
【0051】
このとき、障害情報生成部105は、検出した道路9の状態の情報と走行軌跡の情報と道路地図の情報とに基づいて、道路9の3Dバーチャル画像の情報を生成してもよい。生成される3Dバーチャル画像はそれぞれの車両10の車載制御装置50に送信される。これにより、それぞれの車両10において3Dバーチャル画像の情報を生成する必要がなく、同一の3Dバーチャル画像の情報を複数の車両10で共有することができる。
【0052】
次いで、障害情報生成部105は、記憶部109に記憶されている走行障害5の情報を上書きし、最新の情報に更新する(ステップS19)。このとき、障害情報生成部105は、最新の走行障害5の情報の生成に用いたデータを記憶部109から消去してもよい。これにより、次の期間においては、当該期間に蓄積されたデータに基づいて走行障害5の情報が生成されるため、随時最新の走行障害5の情報を生成することができる。また、記憶部109に蓄積されるデータ量が膨大になることを避けることができる。
【0053】
次いで、障害情報送信部107は、通信部101を介して走行障害5の情報を車両10の車載制御装置50に送信する(ステップS21)。この走行障害5の情報は、車載制御装置50を搭載したすべての車両10に向けて送信されてもよく、走行障害5が存在する位置から所定の距離内を走行する車両10に向けて送信されてもよい。
【0054】
走行障害検出装置100は、図5に示す走行障害5の検出処理を、あらかじめ設定されたサイクルごとに実行し、それぞれの車両10の車載制御装置50に対して走行障害5の情報を提供する。
【0055】
(5−3.走行障害検出装置による走行障害検出処理の別の例)
走行障害検出装置100のデータ取得部103が車載制御装置50からデータを受信する間隔や、走行障害送信部107が車載制御装置50に走行障害5の情報あるいは道路9の状態の情報を送信する間隔は、適宜変更されてもよい。
【0056】
図6は、走行障害検出装置100による走行障害検出処理の別の例を示すフローチャートである。
まず、走行障害検出装置100のデータ取得部103はあらかじめ設定された受信間隔で車載制御装置50から少なくとも車両10の位置情報と走行状態の情報を含むデータを受信する(ステップS61)。
【0057】
次いで、データ取得部103は、受信したデータがすでに走行障害検出装置100の記憶部109に記憶されている走行障害5の情報あるいは道路9の状態の情報と異なっているか否かを判別する(ステップS63)。例えば新たに受信したデータにおける車両10の走行軌跡が、走行障害5が存在していると認識されている位置を通過している場合や、新たに受信したデータにおける車両10の走行状態が、道路9の凹凸や急カーブが存在していると認識されている位置において異なる状態を示す場合に、データ取得部103は受信したデータがすでに記憶部109に記憶されている情報と異なっていると判定する。
【0058】
受信したデータがすでに記憶部109に記憶されている情報と異なっていない場合(S63/No)、データ取得部103は、現在のデータ受信間隔を維持して処理を終了する。一方、受信したデータがすでに記憶部109に記憶されている情報と異なっている場合(S63/Yes)、データ取得部103は、対象の道路9の周囲を走行中のすべての車両10に対して、データの送信間隔を短くするよう、つまりデータの送信頻度を高くするよう要求する(ステップS65)。
【0059】
次いで、データ取得部103は、対象の道路9の周囲を走行中のすべての車両10が道路9上の特定の位置を回避しているか否かを判別する(ステップS67)。すべての車両10が道路9上の特定の位置を回避していない場合(S67/No)、データ取得部103はデータの不一致が一時的に生じたものであると見做して無視する(ステップS75)。一方、すべての車両10が道路9上の特定の位置を回避している場合(S67/Yes)、障害情報生成部105は、新たに取得したデータに基づいて走行障害5あるいは道路9の状態を検出し、記憶部109に記憶されている走行障害5の情報あるいは道路9の状態の情報を、直近の状態を反映した情報に更新する(ステップS69)。
【0060】
次いで、障害情報送信部107は、更新された走行障害5の情報及び道路9の状態の情報をそれぞれの車両10の車載制御装置50に送信する(ステップS71)。つまり、図6に示したフローチャートの例では、走行障害5の情報あるいは道路9の状態の情報が更新された場合にのみ、車載制御装置50に対して走行障害5の情報及び道路9の状態の情報が送信される。ステップS71又はステップS75の処理の終了後、データ取得部103は、すべての車両10に対して、データの送信間隔を元に戻すよう、つまりデータの送信頻度を低くするよう要求して処理を終了する(ステップS73)。
【0061】
以上のように、車載制御装置50から走行障害検出装置100へのデータの送信間隔、及び走行障害検出装置100から車載制御装置50へのデータの送信間隔を変更することにより、必要性に見合ったデータの通信頻度となり、車載制御装置50及び走行障害検出装置100の負荷を低減することができる。また、上記の例では、走行障害検出装置100は、車載制御装置50から受信したデータが現在記憶されている情報と食い違う場合には、より早く最新のデータを集め、新たな走行障害5の情報及び道路9の状態の情報に更新し、車載制御装置50に提供することができる。
【0062】
(5−4.車載制御装置によるナビゲーション動作処理)
図7は、車載制御装置50によるナビゲーション動作処理の一例を示すフローチャートである。
まず、車載制御装置50の障害情報受信部58は、走行障害検出装置100から送信されてくる走行障害5の情報を受信する(ステップS31)。この走行障害5の情報は、道路9上の走行障害5の位置を具体的に示す情報を含む。例えば走行障害5の情報は、片側二車線以上の道路9の場合、走行障害5がどの車線に存在するのかといった情報や、あるいは、走行障害5が道路9の中央、右側、左側のいずれの位置に存在するのかといった情報を含む。障害情報受信部58は、車両10の走行中に所定の時間間隔で送信されてくる走行障害5の情報を受信してもよく、ドライバ等の搭乗者が車両ナビゲーションシステム1の目的地を設定したときに走行障害検出装置100に対して走行障害5の情報の送信を要求し、受信してもよい。さらに障害情報受信部58は、走行障害5の情報と併せて道路9の状態の3Dバーチャル画像の情報を受信してもよい。
【0063】
次いで、車載制御装置50のナビゲーション制御部64は、受信した走行障害5の情報を用いてナビゲーション動作を制御する(ステップS43)。本実施形態において、ナビゲーション制御部64は、表示装置26に表示させるナビゲーション表示に走行障害5の情報を反映させる。図8は、ナビゲーション制御部64によるナビゲーション表示の一例を示す。このナビゲーション表示においては、表示画面45に縮尺の小さい道路地図上に走行障害5の存在を示す記号6が表示されつつ、自車両10が走行障害5に接近した場合には、表示画面45内の右半分に拡大ウィンドウ47が立ち上げられ、道路9上の走行障害5の位置が記号6により具体的に表示されるようになっている。このため、ドライバ等の搭乗者は、これから走行する道路9上に存在する走行障害5の位置を事前に把握することができ、走行障害5を安全に回避することができる。
【0064】
また、障害情報受信部58が走行障害検出装置100から道路9の3Dバーチャル画像の情報を受信する場合、ナビゲーション制御部64は表示装置26に当該3Dバーチャル画像を表示させてもよい。
【0065】
次いで、ナビゲーション制御部64は、警告処理を実行する(ステップS45)。警告処理は、自車両10の進行方向の前方に走行障害5が存在する場合に、ドライバ等の搭乗者に注意喚起するための処理である。
【0066】
図9は、警告処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ナビゲーション制御部64は、自車両10の進行方向前方に走行障害5が存在するか否かを判別する(ステップS51)。具体的に、ナビゲーション制御部64は、自車両10が走行する道路9上の前方に走行障害5が存在するか否かを判別する。自車両10の進行方向前方に走行障害5が存在しない場合(S51/No)、ナビゲーション制御部64は、スタートに戻ってステップS51の判別を繰り返す。
【0067】
一方、自車両10の進行方向前方に走行障害5が存在する場合(S51/Yes)、ナビゲーション制御部64は、自車両10が走行障害5に接近したか否かを判別する(ステップS53)。例えばナビゲーション制御部64は、自車両10と、進行方向前方に存在する走行障害5との距離があらかじめ設定した距離未満になったか否かを判別する。自車両10が走行障害5に接近していない場合(S53/No)、ナビゲーション制御部64は、スタートに戻ってステップS51の判別を行う。
【0068】
一方、自車両10が走行障害5に接近した場合(S53/Yes)、ナビゲーション制御部64は、音声又は警告音を発生させる等の報知処理を行う(ステップS55)。これにより、ドライバ等の搭乗者は、ナビゲーション表示を見ていない場合であっても走行障害5を認知して、安全な回避動作を行うことができる。
【0069】
<6.本実施形態による効果>
以上説明したように、本実施形態に係る走行障害検出装置100は、車両10から受信した位置情報の履歴から求められる車両10の走行軌跡に基づいて走行位置の周囲の走行障害情報を生成し、車両10に搭載された車載制御装置50に送信する。走行障害検出装置100は、車両10の走行軌跡に基づいて走行障害5の情報を生成することから、走行障害5の位置を適切に検出することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る車両ナビゲーションシステム1によれば、それぞれの車両10が走行障害5の位置を具体的に取得することができるため、ドライバが走行障害5を回避する確実性を高めることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る走行障害検出装置100は、あらかじめ設定した所定期間内に受信したデータに基づいて複数の車両10の走行軌跡を用いて走行障害5を検出する。このため、走行障害5の存在の推定精度を高めることができる。また、走行障害検出装置100は、所定期間内に受信したデータ数が少ない場合にはデータの受信間隔を短くして、より多くのデータを蓄積できるようにする。これにより、走行障害5の存在の推定精度を高めることができる。
【0072】
また、本実施形態に係る走行障害検出装置100は、車両10の走行軌跡の情報と併せて走行状態の情報を用いて走行障害5を検出する。このため、走行する道路が車両の走行に危険な状態となっている場合にも走行障害5として検出されるようになり、ドライバが道路の状態に関する走行障害5を回避する確実性を高めることができる。
【0073】
また、本実施形態に係る走行障害検出装置100は、車載制御装置50から走行障害検出装置100へのデータの送信間隔、及び走行障害検出装置100から車載制御装置50へのデータの送信間隔を変更することにより、必要性に見合ったデータの通信頻度となり、車載制御装置50及び走行障害検出装置100の負荷を低減することができる。また、走行障害検出装置100は、車載制御装置50から受信したデータが現在記憶されている情報と食い違う場合には、より早く最新のデータを集め、新たな走行障害5の情報及び道路9の状態の情報に更新し、車載制御装置50に提供することができる。
【0074】
また、本実施形態に係る走行障害検出装置100は、車両10から受信した情報に基づいて道路9の状態を検出し、当該道路9の状態の情報と走行軌跡の情報と道路地図の情報とに基づいて道路9の3Dバーチャル画像を生成してもよい。生成された3Dバーチャル画像はそれぞれの車両10に送信されてナビゲーション制御に用いられる。したがって、それぞれの車両10において3Dバーチャル画像の情報を生成することなく、それぞれの車両10が同一の3Dバーチャル画像の情報を共有することができる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば上記の実施形態では車両10側に送信された走行障害5の情報又は道路9の3Dバーチャル画像の情報がナビゲーション制御動作に用いられていたが、本発明はかかる例に限定されない。車両10が自動運転制御を実行可能な車両である場合、障害情報受信部58は受信した走行障害5の情報又は道路9の3Dバーチャル画像の情報を、自動運転を統合的に制御する統合制御装置に送信してもよい。この場合、統合制御装置は、車両10に搭載されたカメラやセンサ等が取得する情報と併せて走行障害5の情報又は道路9の3Dバーチャル画像の情報を用いて、車両10の加減速、舵角又はブレーキ力等を制御してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1・・・車両ナビゲーションシステム、5・・・走行障害、9・・・道路、9a・・・第1の車線、9b・・・第2の車線、10・・・車両、50・・・車載制御装置、52・・・通信部、54・・・走行状態検出部、56・・・位置情報取得部、58・・・障害情報受信部、60・・・データ送信部、64・・・ナビゲーション制御部、100・・・走行障害検出装置、101・・・通信部、103・・・データ取得部、105・・・障害情報生成部、107・・・障害情報送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9