(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866483
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】データコレクタと、複数の自律型の測定ユニットと、の間の送信品質を改善する方法、および、通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20210419BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20210419BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20210419BHJP
G08C 25/00 20060101ALI20210419BHJP
H04B 1/40 20150101ALI20210419BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20210419BHJP
【FI】
H04W24/02
G08C15/00 B
G08C17/00 Z
G08C25/00 C
H04B1/40
H04W4/38
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-529605(P2019-529605)
(86)(22)【出願日】2017年11月10日
(65)【公表番号】特表2020-504929(P2020-504929A)
(43)【公表日】2020年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2017001313
(87)【国際公開番号】WO2018099585
(87)【国際公開日】20180607
【審査請求日】2019年11月6日
(31)【優先権主張番号】102016014375.4
(32)【優先日】2016年12月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519068124
【氏名又は名称】ディール、メータリング、システムズ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DIEHL METERING SYSTEMS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100206243
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貴士
(72)【発明者】
【氏名】フリスト、ペトコフ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ラウテンバッハー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、カオプペルト
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、ゴットシャルク
【審査官】
三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/099093(WO,A1)
【文献】
特開2008−048027(JP,A)
【文献】
特表平08−511667(JP,A)
【文献】
特開2002−353875(JP,A)
【文献】
特表2006−500807(JP,A)
【文献】
特開2013−070126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
G08C 15/00
G08C 17/00
G08C 25/00
H04B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは双方向の無線送信を用いる通信システム(1)内の、データコレクタ(3)と、複数の測定ユニット特には消費量測定装置(2)と、の間の送信品質を改善する方法であって、前記通信システムが、
第1通信モジュール(10)、前記第1通信モジュール(10)は前記データコレクタ(3)に割り当てられている、と、
二つ以上の第2通信モジュール(17)、前記第2通信モジュール(17)は各場合において測定ユニットに割り当てられている、と、
を有していて、
前記第2通信モジュール(17)が、無線信号により前記第1通信モジュール(10)へのデータを、好ましくは、少なくとも一つの好ましくは複数のデータパケットを含む無線メッセージ(4)という形態で、送信するように設けられていて、
前記第1通信モジュール(10)が、前記第2通信モジュール(17)からデータを受信するように設けられていて、
前記第1通信モジュール(10)が、第1周波数基準装置(11)を含んでいて、
前記第2通信モジュール(17)が、第2周波数基準装置(18)を含んでいて、
前記第2通信モジュール(17)から前記第1通信モジュール(10)へのデータの送信中に各場合において送信される無線信号が、前記第2周波数基準装置(18)に依存している、
という方法であって、
それぞれの前記第2通信モジュール(17)によって送信され、かつ、前記第1通信モジュール(10)によって受信される無線信号についてのパラメータであって、以下のパラメータグループ、
帯域幅、
データレート、
データレートオフセット、
データパケットからの温度、
前記第2周波数基準装置(18)から導出されたΔ周波数、
変調指数、および/または、
受信時間
からの少なくとも一つのパラメータについての測定と、
前記第1通信モジュール(10)により、
パラメータの測定値またはそれから導出された値に基づき、前記第2周波数基準装置(18)の誤差の推定と、
前記第2周波数基準装置(18)の誤差またはそれに依存するパラメータ誤差が減少または除去されるように、前記第1周波数基準装置(11)の周波数、および、前記第1通信モジュール(10)における、データレートと、データレートオフセットと、変調指数と、周波数偏差と、を含むグループからの少なくとも一つのパラメータ、の調整と、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
帯域幅が測定され、データレートオフセットが測定された帯域幅から特定され、前記第2周波数基準装置の誤差がそれから推定される
ということを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
位相偏差が測定され、周波数偏差が測定された位相偏差から特定され、前記第2周波数基準装置(18)の誤差がそれから推定される
ということを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
関係するパラメータに対するデフォルトの補正値が、ルックアップテーブル(15)において指定され、
前記第2周波数基準装置(18)の推定された誤差に応じて、特定のデフォルト補正値(f(Pn、Wn))が、デフォルト補正値についての特定のセットから選択され、
前記第1周波数基準装置(11)が、それに応じて調整される
ということを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1周波数基準装置(11)のハードウェアが、前記第2周波数基準装置(18)の推定された誤差に応じて、調整される。
ということを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1通信モジュール(10)によって受信された無線信号の誤差が、後に減少または除去され、対応して補正された無線信号が前記第2通信モジュール(17)に送り返される
ということを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
無線信号の送信には、FSK変調が用いられる
ということを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
無線信号の送信には、MSK変調が用いられる。
ということを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
それぞれの前記第2通信モジュール(17)から前記第1通信モジュール(10)へのデータ送信は、さらなる前記第2通信モジュール(17)に関連して、連続的に、または、順次に、行われる
ということを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2周波数基準装置(18)の誤差は、積分変換、特にはフーリエ変換またはスペクトル変換、により、推定される
ということを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
データパケットが受信されると、信号が受信ウィンドウの中間に位置するように、受信周波数が前記データコレクタに設定される
ということを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2通信モジュール(17)が第3周波数基準装置(22)を含み、前記第3周波数基準装置(22)の周波数が、前記第2周波数基準装置(18)からΔ周波数を導出するために用いられる
ということを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
好ましくは双方向の無線送信を用いる通信システム(1)であって、前記通信システムが、
第1通信モジュール(10)、前記第1通信モジュール(10)はデータコレクタ(3)に割り当てられている、と、
二つ以上の第2通信モジュール(17)、前記第2通信モジュール(17)は各場合において測定ユニットに割り当てられていて、特には消費量測定装置(2)である、と、
を有していて、
前記第2通信モジュール(17)は、無線信号により前記第1通信モジュール(10)へのデータを、好ましくは、少なくとも一つの好ましくは複数のデータパケットを含む無線メッセージ(4)という形態で、送信するように設けられていて、
前記第1通信モジュール(10)が、前記第2通信モジュール(17)からデータを受信するように設けられていて、
前記第1通信モジュール(10)が、第1周波数基準装置(11)を含んでいて、
前記第2通信モジュール(17)が、第2周波数基準装置(18)を含んでいて、
前記第2通信モジュール(17)から前記第1通信モジュール(10)へのデータの送信中に各場合において送信される無線信号が、前記第2周波数基準装置(18)に依存していて、
前記第1周波数基準装置(11)と前記第2周波数基準装置(18)との間の偏差に基づいてデータを補正するために、特には請求項1ないし11 のいずれか一項に記載の方法を実行するために、装置が設けられている、
という通信システム(1)であって、
前記第1通信モデル(10)は、それぞれの前記第2通信モジュール(17)によって送信され、かつ、前記第1通信モジュール(10)によって受信される無線信号についてのパラメータであって、以下のパラメータグループ、
帯域幅、
データレート、
データレートオフセット、
データパケットからの温度、
前記第2周波数基準装置(18)から導出されたΔ周波数、
変調指数、および/または、
受信時間
からの少なくとも一つのパラメータを測定するために測定装置(21)を有し、
前記第1通信モジュール(10)は、制御兼処理ユニット(13)を有するか、または、少なくともそれに接続されており、前記ユニットが、推定を通じて、パラメータ測定値またはそれから導出された値に基づき、前記第2周波数基準装置(18)の誤差を特定する、
ということを特徴とする通信システム。
【請求項14】
前記測定値と比較するためのパラメータと関連する比較値(W1からWn)が記憶されており、前記制御兼処理ユニット(13)が、前記比較値および前記測定値の差分に基づき、前記第2周波数基準装置(18)の誤差を推定する
ということを特徴とする請求項13に記載の通信システム。
【請求項15】
関係するパラメータに対するデフォルトの補正値(f(Pn、Wn))がルックアップテーブル(15)において指定され、
前記第2周波数基準装置(18)の推定された誤差に応じて、特定のデフォルト補正値(f(Pn、Wn))がそれから選択可能であり、前記第1周波数基準装置(11)の調整が、対応する選択により、行われ得る
ということを特徴とする請求項13または14に記載の通信システム。
【請求項16】
前記第1通信モジュール(10)の周波数が修正可能である最終制御要素(14)が、前記第1通信モジュール(10)内に設けられている
ということを特徴とする請求項13ないし15のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項17】
前記第1周波数基準装置(11)の周波数、および、前記第1通信モジュール(10)における、データレートと、データレートオフセットと、変調指数と、周波数偏差と、を含むグループからの少なくとも一つのパラメータ、の調整を行うことにより、前記第2周波数基準装置(18)の誤差、または、それに依存するパラメータ誤差が、低減または除去される。
ということを特徴とする請求項13ないし16のいずれか一項に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る、データコレクタと、複数の自律型の測定ユニットと、の間の送信品質を改善するための方法、および、請求項13のプリアンブルに係る、対応する通信システムと、に関する。本発明に係る方法および通信システムは、特に、消費量測定装置による、熱もしくはエネルギー、電気、ガス、または水の消費量の記録において使用するのに適している。
【背景技術】
【0002】
スマートメータとも呼ばれる、インテリジェント消費量測定装置は、例えば、熱もしくはエネルギー、電気、ガス、または水といったもののための供給ネットワークに組み込まれた消費量測定装置であり、接続ユーザそれぞれに実際の消費量を示し、通信ネットワークに組み込まれる。インテリジェント消費量測定装置は、手動での検針をもはや不要とし、実際の消費量に応じた比較的短期間での請求がプロバイダにより実施され得るという利点を提供する。その結果、比較的短期間での読み取り間隔が、エンドカスタマーの料金と、電気の取引価格の変化と、のより正確な関連付けを可能にする。供給ネットワークは、また、実質的に、より効果的に利用され得る。
【0003】
インテリジェント消費量測定装置は、各々の場合において、住居用ユニットまたは住居用建物に、通常、割り当てられる。そこで生成された測定データは、多数の異なる方法で読み取られ得る。測定データは、例えば、電力供給ネットワーク(電力線)を介して、読み込まれ得る。しかし、上のローカルネットワークに消費量測定装置を組み込むことは、ここでは不可能である。測定データは、さらに、移動無線通信の技術を用いてデータパケットまたはメッセージの形態で、送信され得る。しかし、これは、高価であるし、消費量測定装置に対する移動無線通信のモジュールのインストールを要求するし、個々の消費量測定装置において高電力消費という不利を有する。さらに、測定データは、例えば、ISM(工業、科学、医療)の帯域周波数範囲において、または、SRD(短距離装置)の帯域周波数範囲において、無線リンクを介して、データパケットまたはメッセージの形態で、送信され得る。これらの周波数範囲は、周波数管理に対する一般的なライセンスしかオペレータは必要としないという利点を提供する。しかし、例えば、ガレージドア制御、警報システム、WLAN、ブルートゥース、煙探知機などといった広範囲の技術装置がこの種の周波数範囲を使用する頻度により、干渉がしばしば起こり得るという問題が存在する。消費量測定装置の送信機内に供給された測定データの送信先であって固定またはモバイルであるデータコレクタのいずれかにより、無線リンクを介して、測定データは収集される。
【0004】
法的な理由から、特定の非常に短い設定期間(設定時間または設定時点、時間偏差を含む)の間にデータコレクタへ送信される測定データのみが、消費量の査定のために、消費量測定装置の送信機により用いられてもよい。全ての消費量測定装置の送信機は、これらの非常に短い設定期間の間に、それらのデータパケットをデータコレクタの受信機に送信する。設定期間外に受信されたデータパケットは拒否される。ここでは、異なる消費量測定装置の送信機からの測定データの送信が、設定期間の間において、互いに干渉するということが非常に頻繁に起こる。また、建物特有の特性も、消費量測定装置からデータコレクタへの測定データの送信における干渉を、しばしばもたらす。これら全ての要因の結果として、関連のチャネルにおいてデータパケットが首尾よく送信される確率はわずかしかない。
【0005】
さらなる困難は、データコレクタと消費量測定装置との間での双方向の無線送信を用いる通信システムが、消費量測定装置の領域に位置する通信モジュールと、データコレクタにおけるそれらと、の間において、非常に正確な時刻同期を必要とするということである。自律型の消費量測定装置の通信モジュールの領域では特に、低電力消費の単純なクリスタルが周波数基準装置として用いられている。製造の公差、温度挙動、および経年劣化のために、この種のクリスタルは、10〜100ppmのクリスタル誤差を有する。標準的なクリスタルにおいて、例えば、50ppmのクリスタル誤差は、1日あたり4.3秒、すなわち、1年あたり26分の偏差をもたらす。続いて、これは、受信動作の次第なる悪化の結果、時刻同期における偏差の増加をもたらす。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、用いることによって消費量測定装置とデータコレクタとの間における改善された受信を可能とする、一般的な方法および一般的な通信システムを提供することである。
【0007】
上記の目的は、本発明に係る方法において請求項1の特徴により、および、本発明に係る通信システムにおいて請求項13の特徴により、達成される。
【0008】
本発明に係る方法および通信システムの適切な設計は、従属請求項において提示されている。
【0009】
周波数測定、このために必要とされるハードウェアを含む、の必要性は、第2通信モジュールの第2周波数デバイスの誤差(クリスタル誤差)が、帯域幅、ならびに/または、データレート、ならびに/または、データレートオフセット(もしくはデータレート誤差またはサンプリングオフセット)、ならびに/または、データパケットからのデータパケットからの温度、ならびに/または、第2周波数基準装置から導出されたΔ周波数、ならびに/または、変調指数、ならびに/または、受信時間を含んでいるパラメータグループからの少なくとも一つのパラメータまたは複数のパラメータを測定して、特定されたパラメータ値に基づくその後の推定により、導出されるという点で、排除される。誤差は、ソフトウェアベースの数学的近似モデルにおけるシンプルな方法において、推定され得る。このことは、第1通信モジュール、すなわちデータコレクタ、の領域において、そこでは増大な処理能力が利用可能であるため、測定ユニットまたは消費量測定装置に対して割り当てられているそれぞれの第2通信モジュールとは対照的に、特に有利である。クリスタル誤差を推定するためであって、推定を通じて特定されたクリスタル誤差が、無線信号の送信品質に、影響するかしないか、または、制限するかしないか、といったようなクオリティであるかどうかを特定するために実行されるチェックがそこにおいて行われるという予備的なルーチンが、ここでは、適宜に提供され得る。第1周波数基準装置の周波数、および/または、第1通信モジュール内であって、データレートと、データレートオフセットと、変調指数と、周波数偏差と、を含むグループからの少なくとも1つのパラメータは、それに応じて、特定されたパラメータ偏差、ひいては、第2周波数基準装置の誤差、を減少または除去することにより、調整され得る。このことは、第1通信モジュールが第2通信モジュールへの通信を調整することを可能にし、それによって、第1および第2通信モジュールの間における、ひいては、測定ユニットおよびデータコレクタの間における、送信品質を最適化することを可能にする。続いて、上述の動作状況において正しく受信されたデータパケットの確率が、結果として増大する。
【0010】
本発明の一つの適切な設計によれば、受信された無線信号の帯域幅が測定され、データレート誤差またはデータレートオフセットがそれから特定される。続いて、第2周波数基準装置の誤差が、このようにして特定されたデータレートオフセットに基づき、特定される。帯域幅は、ここでは、データレートオフセットの尺度として用いられる。
【0011】
代替的にまたは付加的に、受信された無線信号の位相偏差を測定することと、周波数偏差をそれから決定することと、が可能である。続いて、第2周波数基準装置の誤差は、周波数偏差を用いて特定することができる。
【0012】
データレートとクリスタル誤差は、また、受信された無線信号の変調指数を用いて、周波数偏差によって特定され得る。
【0013】
データレートオフセットと、周波数偏差と、受信時間パラメータと、もまた、直接、特定または測定され得るし、クリスタル誤差は、測定結果に基づき、推定され得る。
【0014】
周波数補正を実行するために、特定の特性値についての選択のためのルックアップテーブルに関係するパラメータに対して、デフォルトの補正値(レジスタ設定)が指定される。第2周波数基準装置の誤差の数学的決定に応じて、デフォルト補正値についての特定のセットから、特定のデフォルト補正値が選択される。それに応じて、クリスタル誤差の調整または第1周波数装置についての調整が行われる。
【0015】
それぞれの第2通信モジュール(すなわちそれぞれの測定ユニットまたは消費量測定装置)は、好ましくは順次処理される。したがって、個々の測定ユニットの周波数データは、データベース内に格納される必要はない。
【0016】
代替的にまたは付加的に、第1周波数装置のハードウェアは、特定されたパラメータに応じて直接調整され得る。これは、例えば、第1通信モジュールのハードウェアに対する設定を行うことにより(例えば、バラクタダイオードに電圧を印加することにより)、行なわれ得る。
【0017】
それぞれのメータおよびデータコレクタ間における双方向通信は、第1通信モジュールによって受信された無線信号の誤差が後において減少または除去され、それに応じて、補正された無線信号が第2通信モジュールに送り返されるという点で、最適化され得る。
【0018】
それぞれのデータパケットの長さにわたる変調指数誤差の連続的な増加は、変調指数が無線パラメータとして特定され調整されるという点で回避される。これは、変調指数誤差の変調指数を調整することにより、以前よりも長いデータパケット長を今や達成することができるという利点を提供する。続いて、これは、追加のデータ、例えば、効果的な暗号のためのセキュリティデータまたは暗号化データ、の同時送信を可能にする。これは、FSKまたはMSKの変調の場合において、特に有利である。
【0019】
データパケットが受信されると、信号が受信ウィンドウの中間に位置するように、受信周波数がデータコレクタに適切に設定され得る。さらに測定ユニットは、設定によって、データコレクタに応答することができる。このことは、測定ユニットにより手順が順次実行され得ること、すなわち、測定ユニットを保証する。
【0020】
第2通信モジュールはさらに、より周波数安定性の高いクリスタル発振器、例えばHFクリスタル、を有する第3周波数基準装置を備えることができる。その結果、第2周波数基準装置のΔ周波数を導出するために、より周波数安定性の高い第3周波数基準装置の周波数が用いられ得る、すなわち、より周波数安定性の高い第3周波数基準装置の周波数は、第2周波数基準装置の周波数基準点として機能する。
【0021】
本発明は、二次的に請求されてもいるが、請求項13のプリアンブルに係る通信システムにさらに関する。この通信システムは、第1通信モジュールが、次のパラメータグループ、帯域幅、および/または、データレート、および/または、データレートオフセット(もしくはデータレート誤差)、および/または、データパケットからの温度、および/または、第2周波数基準装置(18)から導出されたΔ周波数から、および/または、変調指数、および/または、受信時間、からの、第2通信モジュールから受信した無線信号の少なくとも1つのパラメータを測定するための測定装置を有する、ということを特徴としており、第1通信モジュールは、制御兼処理ユニットを有するか、または、少なくともそれに接続されており、前記ユニットは、パラメータ測定値またはそれから導出された値に基づき、第2周波数基準装置の誤差を数学的に特定する。
【0022】
第2周波数基準装置の誤差、または、それに依存するパラメータの誤差は、第1周波数基準装置の周波数、および/または、データレートと、データレートオフセットと、変調指数と、周波数偏差と、を含むグループからの、第1通信モジュール内における少なくとも1つのパラメータ、を調整することにより、さらに低減または除去され得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の特殊な設計は、図面の図を参照して以下に詳細に説明される。
【
図1】
図1は、データコレクタおよび複数の関連する消費量測定装置の実質的に簡略化された概略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の基本原理の実質的に簡略化された概略図を示す。
【
図3】
図3は、特定される予定の無線パラメータのリストを示す。
【
図4】
図4は、本発明に係る通信システムの構成要素としてのデータコレクタの第1設計のより詳細な図を示す。
【
図5】
図5は、ルックアップテーブルの実質的に簡略化された概略図を示す。
【
図6】
図6は、本発明に係る通信システムの構成要素としてのデータコレクタのさらなる設計を示す。
【
図7】
図7は、二つの周波数基準装置を有する消費量測定装置の実質的に簡略化された概略図と、それぞれの周波数基準装置の周波数の図と、を示す。
【
図8】
図8は、二つのデータパケット間における時間間隔の実質的に簡略化された概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1の符号1は、複数の測定ユニットまたは消費量測定装置2を含む通信システムを示す。消費量測定装置2は、例えば、水道メータ、エネルギーメータもしくは熱メータ、ガスメータ、または電気メータなどである。この種の消費量測定装置2は、自律的に作動する、すなわち、それらは、それら自身とともに、電源(電池)を備えつけられている。それらは通常、建物の設備内に、例えば、一戸建て住宅の地下室内に、または、アパートの各階に、設置される。それぞれの消費量測定装置2は、通常、消費量測定装置2の総合検針を可能にするディスプレイ9を有する。各消費量測定装置2は、通信モジュール(第2通信モジュール17)と、制御兼処理ユニット19と、クリスタル発振器(第2周波数基準装置18)と、アンテナ8と、をさらに有する。
【0025】
通信システム1はさらに、個々の消費量測定装置2から離れて設置された周波数基準装置11を有するデータコレクタ3、例えば、建物の屋根の上にあって、それぞれ割り当てられた消費量測定装置2からデータをデータパケットの形態で受信するよう機能する、をさらに備える。データパケットは、特定の時間において、消費量測定装置2からデータコレクタ3へ送信される無線メッセージ4により形成される。多くの異なるアプリケーションにとってライセンスフリーな周波数帯域を提供するSRD帯域および/またはISM帯域が、送信に用いられるのが好ましい。それぞれの消費量測定装置2により送信された無線メッセージ4は、関連の消費量測定装置2のクリスタル発振器により規定される。クリスタル発振器が誤差を有する場合、この誤差もまた無線メッセージ4によりデータコレクタ3へ常に同時に送信される。
【0026】
無線メッセージ4は、消費量測定装置2のクリスタル発振器の誤差により、データコレクタ3と比べて、異なる周波数を有するか、または、異なるチャネルに位置する。これは、点線で示されている「データコレクタ3により予期された」無線メッセージ5により、
図1において、象徴的に示されている。消費量測定装置2とデータコレクタ3との間の理想的な通信においては、消費量測定装置2は、無線メッセージ5に対応する無線メッセージをデータコレクタ3へ送信したほうがよい。
【0027】
本発明の概念によれば、データコレクタ3は、それぞれの消費量測定装置2から無線メッセージ4を受信すると直ちに、一つの特別な無線パラメータまたは複数の特別な無線パラメータを測定し、測定された無線パラメータに基づき、第2周波数基準装置18の誤差についての概算推定を行い、関係するパラメータにおける識別された差が除去されるか少なくとも減少されるように、自身の周波数基準装置11を修正する。このように、データコレクタ3は、第2通信モジュール17および第1通信モジュール10の周波数同士が少なくとも基本的に互いに一致するように、自身の周波数、または、周波数チャネルのそれらに関して、自身を調整する。それに対応してデータコレクタ3により調整された無線メッセージ6が、データコレクタ3から消費量測定装置2に送り返される(ダウンリンク)。このようにして、関連の消費量測定装置2は、調整され改善された通信が行われ得ることを知る。無線メッセージ6についての関連の調整は、後のほうが、その周波数位置に関してデータコレクタにより予期された無線メッセージ(点線で示されている)と一致するという点で明らかである。
【0028】
図2は、基本概念をブロック図で示す。消費量測定装置2により送信された無線メッセージ4は、少なくとも1つの固定された所定の無線パラメータに関して調べられ、それぞれの消費量測定装置2のクリスタル発振器の誤差の推定は、当該無線パラメータに基づき行われる。クリスタル誤差推定は、ここでは、数学モデルにより、例えば積分変換の形で、好ましくはフーリエ変換またはスペクトル変換の形で、好ましくは行われる。この概算推定は、ソフトウェアを用いて、有利に実行することができる。例えば、データコレクタ3の制御兼処理ユニット13の処理能力を、このために用いることができる。あるいは、データコレクタ3がまた、外部の制御兼処理要素(例えばクラウドコンピュータ)に接続され得る。
【0029】
図3のテーブルは、消費量測定装置2のクリスタル発振器の誤差を推定するための、本発明に係る適切な無線パラメータのセットを示す。例えば、送信された無線信号の帯域幅は無線パラメータとして用いられ得るし、周波数偏差はそれから特定され得る。続いて、クリスタル誤差が、周波数偏差により、推測され得る。
【0030】
データレートオフセット、すなわち、実際に送信されたデータレートと、データコレクタ3によって予想されるデータレートとの間の差、も無線パラメータとして用いられ得る。データレートオフセットの結果として、関連するシンボルは、データコレクタ3において、より早いまたは遅い時間に捕捉される。不正確な時間もまた、送信の性能を損なう位相誤差をもたらす。続いて、クリスタル誤差は、データレートオフセットから概ね推測され得る。
【0031】
無線信号の受信時間の違いもまた、クリスタル誤差の直接的な指標となる。変調指数の偏差もまた、周波数偏差の無線パラメータから識別され得るし、クリスタル誤差がそれから特定され得る。
【0032】
消費量測定装置2は、温度測定装置、例えば温度センサ、によって温度を特定し、その温度情報を、第2通信モジュール17を介してデータコレクタ3の第1通信モジュール10へ送信する。データコレクタ3は、例えば当該温度の値を、較正テーブルに記憶された温度の値と比較することにより、当該温度データからクリスタル誤差を特定することができる。
【0033】
図7によれば、消費量測定装置2は、第2周波数基準装置18よりも良好な周波数安定性を有していて通常ではエネルギー消費が増加する第3周波数基準装置22、をさらに備えることができる。クロッククリスタルは、例えば、32kHz程度のクロック周波数を有する第2周波数基準装置18として提供され得るし、20MHz程度のクロック周波数を有するHFクリスタルは、第3周波数基準装置22として提供され得る。時間尺度として、第3周波数基準装置22の周波数、サイクル持続時間、または異なる導出可能な量を用いるために、そして、第2周波数基準装置18のクリスタル誤差をそれらから特定するために、第2周波数基準装置18は、ここでは連続的に動作し、第3周波数基準装置22は断続的のみである。このため、第2周波数基準装置18の、例えば、周波数F18は、より周波数安定性の高い第3周波数基準装置22の周波数F22と、比較され得る。偏差または周波数差分Δ周波数、例えば、周波数F18の予期された周波数値から特定された周波数F18についての、は、対応して、第2周波数基準装置18のクリスタル発振器のクリスタル誤差についての直接的な示しを与える。
【0034】
データパケット間の時間間隔、例えば5秒、は、さらに知られている。データパケット間の時間間隔t1、t2の限界は、時間情報または時間信号または時間基準として、
図8に係るデータパケットの中間領域に配置され得る。これにより、時間間隔t1、t2は、時間間隔t1’およびt2’と同程度に正確に特定され得るし、予想された時間間隔t1およびt2と比較することができる。そして、周波数は、特定された時間間隔t1’およびt2’と、第2周波数基準装置18のクリスタル発振器のΔ周波数と、により、例えば、周波数=t1’+Δ周波数により、特定され得る。
【0035】
必要ならば、前述の無線パラメータの全ては、クリスタル誤差またはその一部の組み合わせを特定するために用いられ得る。
【0036】
クリスタル誤差の計算の実行に続いて、消費量測定装置2のクリスタル発振器がパフォーマンスを制限する影響を有するかどうかを決定するために、サブルーチンにおいて、チェックが最初に実行されることが好ましい。誤差がごくわずかであれば、調整は行われません。しかし、誤差が大きい場合は、データコレクタ3において調整が行われる。
【0037】
図4は、実質的には簡略化されているが拡大された表示において、データコレクタ3の第1通信モジュール10の適切な設計を示す。通信モジュール10は、アンテナ7を有するトランシーバ部12と、制御兼処理ユニット13に接続されたクリスタル発振器(第1周波数基準装置11)と、好ましくはディスプレイ16と、を備える。トランシーバ部12は、前述の無線パラメータを記録するための測定装置21を備える。無線信号の測定されたパラメータに応じて、データコレクタ3の周波数に対して行われる修正を可能にするルックアップテーブル15がさらに設けられる。
図5によれば、ルックアップテーブル15は、データコレクタ3により、測定され、または、さらに処理された、それぞれパラメータデータP1〜Pnに対する複数の入力値を含む。ルックアップテーブル15は、パラメータ入力データとの相関性に関して適した複数の実験的入力値W1〜Wnをさらに含む。それぞれのパラメータ入力データに応じて、適切な出力信号が、ルックアップテーブル15により、データコレクタ3の第1周波数基準装置11にこうして送信され、その結果、データコレクタ3の第1周波数基準装置11の周波数が調整され得る。
【0038】
それぞれの消費量測定装置2に関連するデータコレクタ3の第1周波数基準装置11の周波数についての調整は、順次に、すなわち消費量測定装置から消費量測定装置へ、対応する調整が全ての消費量測定装置2で行われるまで、行われる。ただ一つの無線パラメータの測定値が保存予定である。多数の無線パラメータの値を記憶するためのデータベースは必要ではない。
【0039】
ルックアップテーブル15の、代わりにまたは加えて、周波数調整のための第1周波数基準装置11のハードウェアの修正は、手動で操作可能な調整要素によっても、例えば、
図6に示されるように、最終制御要素14を設けたバラクタダイオード20によっても、提供され得る。
【0040】
本発明によれば、コヒーレントに復調されるMSK変調(最小偏移変調)が用いられ得る。MSK変調は、そして、0.5の変調指数を有するFSK変調(周波数偏移変調)により、生成される。シンボルの位相は、そのような変調タイプをコヒーレントに復号できるようにするために、知られていなければならない。消費量測定装置2におけるシンボルの位相がおかしい場合、このことは、機能性の喪失点までへの性能劣化(干渉源の堅牢性、または、感度に関して測定される)をもたらす。特に、位相は変調指数誤差によって乱される。二つのFSK周波数は、搬送波の傍でΔF(周波数偏差)の間隔で送信される。変調指数誤差は、2ΔF(周波数偏差)×T(シンボル周期)として、規定される。2つのFSK周波数は、変調指数誤差により、わずかに乱れている。これは、受信機内の伝搬位相誤差をもたらす。メッセージが長いほど、変調指数誤差は蓄積する。それゆえ、これまで変調指数誤差はテレグラムの長さに対する限界を表していた。第2通信モジュール17のクリスタル発振器18の誤差により周波数偏差が変化した場合、これは変調指数誤差の修正をもたらす。本発明は、変調指数または変調指数誤差を、データコレクタにおいて設定または修正(もしくは低減)することを可能にし、その結果として、以前よりもかなり長い無線メッセージを送信することが可能になる。無線メッセージに追加の暗号を組み込むためには、より長いパケット長またはより長い無線メッセージが、好ましくは用いられ得るし、それにより、改善された送信品質と同時に、改善された送信セキュリティがもたらされる。
【符号の説明】
【0041】
1 通信システム
2 消費量測定装置
3 データコレクタ
4 消費量測定装置により送信された無線メッセージ
5 データコレクタにより予期された無線メッセージ
6 データコレクタにより調整された無線メッセージ
7 アンテナ
8 アンテナ
9 ディスプレイ
10 第1通信モジュール
11 第1周波数基準装置(データコレクタ)
12 トランシーバ部(データコレクタ)
13 制御兼処理ユニット(データコレクタ)
14 最終制御要素
15 ルックアップテーブル
16 ディスプレイ
17 第2通信モジュール(消費量測定装置)
18 第2周波数基準装置(消費量測定装置)
19 制御兼処理ユニット(消費量測定装置)
20 バラクタダイオード
21 測定装置
22 第3周波数基準装置(消費量測定装置)
F18 第2周波数基準装置の周波数
F22 第3周波数基準装置の周波数
t 時間
t1 時間間隔
t2 時間間隔