(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の電気抵抗ヒータが第1のワイヤコイルを備え、前記第2の電気抵抗ヒータが第2のワイヤコイルを備え、前記第1のワイヤコイルと前記第2のワイヤコイルとが同軸である、請求項1に記載の電子蒸気供給装置。
前記制御システムが、前記ウィックの少なくとも一部分がドライアウトしたことを示す抵抗の変化を監視するように構成されている、請求項6に記載の電子蒸気供給装置。
前記制御システムが、大幅な温度上昇を示す、少なくとも前記第2の電気抵抗ヒータの前記抵抗の変化を監視するように構成されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の電子蒸気供給装置。
前記制御システムが、当該電子蒸気供給装置の正常動作と比較して異常に速い温度上昇を示す、少なくとも前記第2の電気抵抗ヒータの前記抵抗の変化を監視するように構成されている、請求項1〜16のいずれか一項に記載の電子蒸気供給装置。
前記制御システムが、一つ以上の所定の基準を満たす、少なくとも前記第2の電気抵抗ヒータの前記抵抗の変化に基づいて、前記第1の電気抵抗ヒータ及び/又は前記第2の電気抵抗ヒータへの電力の供給を低減又は遮断するように構成されている、請求項1〜17のいずれか一項に記載の電子蒸気供給装置。
前記制御システムを含む再使用可能部分と、前記第1の電気抵抗ヒータ及び前記第2の電気抵抗ヒータを含む使い捨て部分とを備える、請求項1〜18のいずれか一項に記載の電子蒸気供給装置。
前記制御システムが、前記第2の電気抵抗ヒータを含む、前記使い捨て部分の抵抗の変化を全体として監視するように構成されている、請求項20に記載の電子蒸気供給装置。
前記装置が、前記第1の電気抵抗ヒータと前記第2の電気抵抗ヒータとの間に熱接触をもたらすように構成されている、請求項1〜23のいずれか一項に記載の電子蒸気供給装置。
【背景技術】
【0002】
eシガレットなどの電子蒸気供給システムは、一般に、気化されるべき液体(本書では「eリキッド」とも称する)のリザーバを含む。これらのシステムは、ヒータ、例えばワイヤコイルと、液体をリザーバからヒータへ移送するための何らかの形の輸送機構(例えば、ウィック)とをさらに備える。このようなシステムは、一般に、コントロールユニット及びバッテリーも含み、このコントロールユニットは、ヒータに電力を供給するようにバッテリーを動作させて少量の液体を気化させ、次いで、この蒸気が使用者に吸引される。ほとんどのeシガレットが、再充電可能なリチウムイオンバッテリー(又は電池)から電力を供給されるが、このリチウムイオンバッテリーは、eシガレットだけでなく、非常に広範囲な装置で見られるものである。リザーバ及びヒータは一つのユニット(「カートリッジ」又は「カトマイザ」とも称される)に入っていることが多いが、バッテリー及びコントロールユニットは、別個の取外し可能なユニット(「コントロールユニット」又は「装置部分」とも称される)に入っている。
【0003】
したがって、eシガレットは、一般に、第1には気化される液体、第2にはバッテリーの電力という二つの消耗物を内蔵する。前者に関しては、液体のリザーバが空になった後、そのリザーバを含む装置の少なくとも一部分、例えばカートリッジが、新しいカートリッジと交換できるように廃棄されてもよい(ただし、システムによってはカートリッジの再充填が可能なものもある)。後者に関しては、eシガレットには通常、外部充電電源から電力を受け取るための何らかの形の電気コネクタを設けてあり、それによってeシガレット内部のバッテリーの再充電を可能にしている。したがって、装置部分は、再使用可能構成要素と称されることがあるのに対し、カートリッジは、使い捨て構成要素と称される。
【0004】
eシガレットは通常、ヒータにいつ通電(電力を供給)するかをコントロールユニットがどのようにして決定するかによって、ボタン作動又はパフ通電のどちらかに分類することができる。前者では、使用者がeシガレットの外面のボタンを押す(又は触れる)ことにより、コントロールユニットがヒータに通電する。後者では、空気流又は圧力センサを使用して、使用者がeシガレットを吸引したときが検出され、この検出により次にヒータに通電される。
【0005】
eシガレットの課題の一つは、短時間(通常では所与の1ユーザパフ(使用者が一吸いすること)における1秒以内ほど)に十分な蒸気を発生できることである。この課題により、上述のように、このような装置の通常の電源としてリチウムセルが使用されることになった。一部の設計では、eシガレットはさらに、より高速の気化を支援するために複数のヒータ、例えば複数のコイルを備える。
【0006】
一方、eシガレット内部に高電力ヒータを使用することには潜在的な問題がないわけではない。例えば、このようなヒータは、低温を維持するために、液体の気化に依拠することがある。言い換えると、ヒータが液体をまず加熱してから気化させるときに、ウィックから入ってくる液体がヒータを冷却する。しかし、この冷却は、液体の気化によって冷却されるように設計されているヒータの部分が、入ってくる液体を実際には受け取らなかった場合に問題になるおそれがある。このような問題は、例えば、リザーバの液体が使い果たされることによって、及び/又はウィックに沿った何らかの閉塞又は障害によって生じる可能性がある。ドライアウト(乾燥)と呼ばれることがあるこの状況では、ヒータコイル(又は他の形のヒータ)は、意図されたよりも高温になり得る。
【0007】
ドライアウト又は他の形の過熱(例えば、電気的故障による)は、いくつかの問題を場合によって引き起こす可能性がある。例えば、ヒータは、それ自体を、又はシステム内部の他の構成要素を損傷するのに十分な高温になり得る。加えて、熱はシステムの外面まで流れることもあり、この外面は、使用者が触れると熱いことになり得る。さらに、液体がヒータの過熱部分で気化された場合には、このことが液体/蒸気中の何らかの分解又は他の化学反応を招いて、場合によっては副産物が生成されると共に香料及び安全性が損なわれる可能性がある。
【0008】
ドライアウト又は他の過熱の発生から保護するためのいくつかの試みが、何らかの形の温度検知を行うことによってなされてきた。特に、このようなシステムでは、ヒータ又はその近傍の温度の急な上昇を検出しようとすることがあり、この場合、コントロールユニットは次に、バッテリーからヒータへ流れる電力を低減又は阻止することを決定する。しかし、このような温度検知を行うことにはいくつかの実際的な制約がある。例えば、ヒータは通常、使い捨て部分であることが多いカートリッジ又はカトマイザの中にあり、それゆえに、使用者にとって継続的に発生するコスト及び廃棄物を最小限にするための、カートリッジを比較的簡単にしておくという圧力がある。さらに、カートリッジとコントロール部分又は装置部分との間のインターフェースは、やはりコストを低減するために、また操作性、接続性などが容易であることを維持するためにも、比較的簡単であることが多い。
【0009】
このような状況においてドライアウトを検出する一つの手法は、コントロール部分から見てヒータコイルの抵抗を測定することであった。すなわち、コントロール部分にはすでに、カトマイザと、既知の(又は測定された)電圧を供給するバッテリーとに対する二つの電源接続部(正及び負)がある。そのため、カートリッジとの間で行き来する電流の流れを監視して1ユーザパフの間の顕著な変化を探すことが実行可能になる。
【0010】
例えば、ドライアウトにより温度が著しく局地的に上昇し、したがって、関連する電気抵抗が著しく上昇することになり得る。これにより、装置部分からカトマイザへの(及び再び戻る)電流の流れが低下することになる。この電流は、このような低下を検出するために監視することもでき、低下が発生した場合には、コントロールユニットは、ヒータコイルへの電力供給を低減又は終止することができる。
【0011】
ドライアウトを監視するこのような手法は理論的には堅実であるが、実際に効果的にするのは困難である。特に、既知のeシガレットシステムでは、ドライアウトによる抵抗の上昇は、ヒータコイルの全抵抗と比較して相対的に小さく、したがって、感知された電流の流れの低下が、真正のドライアウト又は何か他の異常を実際に示しているのかどうかを確実に決定することは困難である。したがって、局所的な過熱の危険は、eシガレットの多くの既存の設計にとっての問題とされるままになっている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述のように、本開示は、eシガレットなどの電子蒸気供給システムに関する。以下の説明全体を通して、「eシガレット」という用語が使用されるが、この用語は、電子蒸気供給システム、電子エアロゾル送達システム、及び他の同様の表現と交換可能に使用されることがある。
【0017】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるeシガレット10の概略図である(原寸に比例していない)。eシガレットは概ね円筒形であり、破線LAで示された長手方向軸線に沿って延びており、二つの主要構成要素、すなわちカトマイザ20と、装置部分ないしは本体部分(単に「本体」とも称する)30とを備える。カトマイザ20は、
図1に示されるように、例えば、eリキッドが使い果たされた場合にカトマイザ20を交換(又は再充填)できるように、本体30から取外し可能である。使用中、カトマイザ20と本体30は連結されている。特に、カトマイザ20と本体30のそれぞれは、これらが互いに接続されるときにカトマイザ20と本体30との間の機械的及び電気的接続を行うそれぞれのコネクタ25A、25B(本書では一括してコネクタ25と呼ぶ)を備える。例えば、コネクタ25は、カトマイザ20と本体30の間にねじ、バヨネット又は押込みばめを形成することができる。
【0018】
本体部分30は、バッテリー又は電池ユニット330、操作ボタン340、様々な電子部品を含むプリント回路基板(PCB)335、及びコネクタ25Bを含む(図を分かりやすくするために、これらの別々の構成要素間の電気配線は省略されていることに留意されたい)。バッテリーユニット330は通常、再充電可能であり、一つ以上のコネクタ25B、コネクタ25Bの反対側の、本体30の端部に位置する先端コネクタ(図示せず)、及び/又は別個のコネクタ(例えば本体30の外部を介してアクセス可能なマイクロUSB(図示せず))との有線接続を介した再充電をサポートすることができる。バッテリーはさらに、誘導による無線再充電をサポートすることもできる。(実際には、ほとんどのeシガレットは、これらの再充電機能のうちの一つ又は二つのサブセットしか設けていない。)
図1には単一のPCB335だけが示されているが、このPCBは複数のPCBとしても実装できることを理解されたい。加えて、コネクタ25B及び/又はバッテリーユニット330は、場合によってPCBを含むこともできる。
【0019】
ボタン340は、eシガレット10を起動して吸引するために操作される。ボタン340は、押しボタン、タッチセンスボタン、スイッチ、又は他の任意の適切な機構とすることができる。一部のeシガレットでは、ボタン340が操作されている限り通電したままにすることができ(場合によっては、ある最大通電期間に制約される)、別のeシガレットでは、ただ1回のボタンの操作に応じて所定の期間(例えば数秒)通電することができる(例えば、1パフのためにeシガレットに通電するのに、ボタンの操作が1回用いられる)。一般に、eシガレット10の通電には、eリキッドを気化して使用者が吸引するために、電力がバッテリー330からカトマイザ20までコネクタ25を介して供給されることを要する。
【0020】
カトマイザ20は、eリキッドのリザーバ210を収容する内部チャンバを含む。リザーバの液体は、適切な溶媒中にニコチンを含むことができ、また、例えばエアロゾル形成を助けるための別の成分、及び/又は追加の香味剤を含むことができる。この液体は、例えばスポンジ、発泡体又は詰め物などの、何らかの形態の材料でチャンバ内部に保持すること、又は自由液体として提供されることができる。リザーバ210の中心に、吸い口35につながる空気通路215が通っている。動作中、リザーバ210からのeリキッドが気化され(以下でより詳細に説明する)、その蒸気が次に、空気管215に沿って流れ、使用者が吸引する吸い口35から流出する。図を分かりやすくするために、空気入口及び空気出口の孔が
図1には示されていないことに留意されたい。空気入口孔は、カトマイザ20の外部に、例えばコネクタ25Aの近くに(又はその一部として)設けることができる。空気入口孔は、別法として(又は追加して)、本体30の外面に設けることもでき、この場合コネクタ25は、空気通路215に接続する空気通路を一般に含む。
図1は、空気通路215がリザーバ210の中心を通っているように示しているが(したがって、リザーバは管又はリングの形状を有する)、別の実施態様では、空気通路215はリザーバ210の片側に、例えば主軸線LAから離して、カトマイザ20の外壁に隣接して設けることができることに留意されたい。
【0021】
カトマイザ20はさらに、eリキッドをリザーバ210からヒータすなわち気化器235まで気化のために移送するウィック225を備える。ウィックは、例えば(有機栽培の)綿、ガラス繊維などの繊維質材料である適切な材料、又は、例えば多孔質セラミック、焼結物質などの何らかの他の形態の多孔質材料である適切な材料から形成することができる。カトマイザは、(eリキッドがウィック225を通してヒータ235に移送されるのではなく)eリキッドがリザーバ210から直接空気通路215に漏洩することを防止するために、ウィック225がリザーバ210から空気通路215に入る(一つ以上の)部位のまわりに適切なシール(図示せず)を備えるとよい。
【0022】
ヒータ235は、図を簡単にするために
図1では、ウィック225に巻き付けられた単一のコイルとして示されている(ただし、以下でより詳細に説明するように、ヒータ235の構造はただの単一のコイルよりも複雑である)。ヒータ235は、ワイヤ230によってコネクタ25Aに電気的に結合されている。ボタン340が押された(又は別の方法で操作された)とき、コントロールユニット335は、電力をバッテリー330から、ウィック225からの液体を気化するヒータ235まで、コネクタ25及びワイヤ230を通して供給する。この蒸気は次に、eシガレットを吸引する(吹かす)使用者によって、空気通路に沿って引き込まれ、吸い口35から流出して使用者の口に入る。加えて、ウィック225は、気化されたeリキッドに取って代わる、さらなるeリキッドをリザーバ210から引き出し、eシガレット10はこうして、さらに使用するための用意ができる。
【0023】
図1のeシガレット10は、ボタン340によって操作(起動)されるが、別のeシガレットは1パフを検知するものである。このタイプのeシガレット10では、使用者が吸い口35から吸引したとき、空気が、eシガレット10の外側に適切に置かれている一つ以上の空気入口孔を通して、eシガレット10(通常は本体30)に引き込まれる。この空気流(又は結果として生じる圧力の変化)が圧力センサ又は空気流センサによって検出されると、ヒータ235が通電されて、リザーバ210からの(ウィック225を経由した)液体を気化させる。一部の装置ではさらに、二重通電機構を利用する。すなわち、これらの装置は圧力を検知するが、ヒータに通電するにはボタン又は同様の機構が操作されることもまた必要になる。
【0024】
図1のeシガレット10は、カトマイザ20及び本体30を備える二つの部分からなる装置として示されているが、別の実施態様では一つの部分からなる装置を、例えば、カトマイザリザーバ210が、本体30から取り外す必要なしに再充填できる場合に、又は装置が、リザーバ210からすべての液体が供給された後に廃棄するものである場合に、含むものとしてもよい。別の実施態様では、二つより多い構成要素を備えることができ、例えば気化器部分は、eリキッドの交換可能なカートリッジとは別に(分離可能に)することができる。
【0025】
図2は、いくつかの実施形態による、
図1のeシガレット10の主な電気(電子)構成要素の概略(簡略)図である。これらの構成要素は一般に、装置部分(本体)30の中に置かれている。その理由は、装置部分が(使い捨てではなく)再使用可能であるからである。この図は、本体30内部の様々な構成要素への電源供給ラインではなく、機能的な接続に主に関するものであることに留意されたい(バッテリーユニット330からコネクタ25Bへの電源供給ラインが示されてはいる)。
【0026】
上で述べたように、装置部分30は、eシガレット10に電源供給するバッテリーユニット330、及びコントローラ410が搭載されているプリント回路基板(PCB)335を含む。PCB335は、バッテリー330の横に、又はその一方の端部に配置することができる。
図1に示された構成では、PCB335はバッテリー330とコネクタ25Bの間に位置する。コントローラ410は、eシガレット10を制御するために、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、又はマイクロコントローラを備えることができる。いくつかの実施態様では、コントローラ410は、CPUなどのプロセッサ、及びメモリ(ROM及び/又はRAM)を含む。コントローラ410(それゆえにさらに、eシガレット10の他の電子構成要素)の動作は一般に、プロセッサ(及び/又は必要に応じて他の電子構成要素)において実行するソフトウェアプログラムによって少なくとも一部が制御される。このようなソフトウェアプログラムは、不揮発性メモリに記憶することができ、このメモリは、コントローラ410自体に組み込むこと、又は別個の構成要素(図示せず)として設けることができる。プロセッサはROMにアクセスして、個々のソフトウェアプログラムを必要なときにロード及び実行することができる。
【0027】
本体はさらに、本体30とカトマイザ20の間の機械的及び電気的接続を行うコネクタ25Bを含む。コネクタ25Bは通常、バッテリー330からカトマイザ20内部のヒータ235へ電力を供給するための正負の端子として機能する二つの電気接点(
図2には示さず)を含む。二つの電気接点は、コネクタ25の特定の設計に応じて、例えば、並列の、又は外側接点を形成するリングにより内側接点が囲まれるなど、任意の適切な構成を有することができる。
【0028】
本体30は、eシガレット10に通電するために上で述べたように操作されるボタン340と、ユーザインターフェース480(
図1には図示せず)とをさらに含む。ユーザインターフェース480は、状態情報を使用者に与えるための音声及び/又は視覚の出力(例えば、バッテリーが満充電のときは緑であるが、バッテリーがほぼ放電されたときには橙になる光)を提供する。異なる状態又は状況を知らせるための異なる音声及び/又は視覚の信号は、様々なピッチ及び/又は持続時間のトーン又はビープを利用すること、複数のそのようなビープまたトーンを与えること、着色光又は点滅光を利用すること、などによって得ることができる。
【0029】
eシガレット10に使用されるバッテリーユニット330は、最も一般的にはリチウムイオン電池を含む。このタイプのバッテリーは、満充電のときに約4.2Vの出力電圧を生成し、放電されたときに約3.6Vまで低下する。しかし、別の実施形態では、必要に応じて他のバッテリータイプを利用することができる。バッテリーユニット330は、コントローラ410に接続されている内蔵電力制御システム450をさらに含む。コントローラ410は、電力制御システム450を使用して、コネクタ25Bへのバッテリー出力をオン・オフすることができる(コントローラ410自体は、制御機能を得るために、バッテリーユニットからいくらかの電力をなお引き出すことができる)。
【0030】
ほとんどの時間、電力制御システム450は、バッテリー330からコネクタ25Bへの出力を概ね阻止する。しかし、使用者がボタン340を操作した場合、コントローラ410は電力制御システム450に、電力をバッテリーユニット330からヒータ235へ所定の期間供給するように信号を送り、この所定の期間の後、コントローラ410は電力制御システム450に、バッテリーユニット330からカトマイザ20への電力供給を再びオフにするように命令する。
【0031】
電力制御システム450はさらに、バッテリーユニット330からカトマイザ20へ供給される電流の量を調整することもできる。これを実現する一つの方法は、パルス幅変調(PWM)の利用であり、この方法では、バッテリーユニット330は、第1の所定の期間(T
on)に電力を供給し(「on」)、次の第2の所定の期間(T
off)に電力を供給しない(「off」)。このパターンが、全期間がT
on+T
off、デューティサイクル(onに費やされる時間の比率)がT
on/(T
on+T
off)で繰り返される。したがって、デューティサイクルは0〜1の範囲内に入り、デューティサイクルが1(1)に向かって増大するにつれて、バッテリーユニット330からの電力出力は、バッテリーユニット330から得られる最大値に近づく。繰り返し期間(T
on+T
off)は、ヒータ235の熱応答時間よりも一般に非常に短いことに留意されたい。したがって、ヒータ温度は、PWMパターンの個々のサイクルと共に顕著には振動せず、むしろ、全体デューティサイクルを反映する。言い換えると、0.5のデューティサイクルで供給される実効加熱電流は、1.0のデューティサイクルで供給される実効加熱電流(実質的に、PWMなしの一定レベルの電流になる)の半分にすぎない。そのようにして、0.25のデューティサイクルで供給される実効加熱電流は、0.5のデューティサイクルで供給される実効加熱電流の半分にすぎず、以下同様である。すなわち、コントローラ410は、バッテリー330からカトマイザ20へ供給される電力レベルを管理(制御)するために、電力制御システム450によって利用されるデューティサイクルを、0(ゼロ)のデューティサイクルを設定することによってカトマイザ20に供給される電力をオフにすることを含めて、設定することができる。
【0032】
コントローラ410が、バッテリー330からカトマイザ20へ供給される電流レベルを制御するために、PWM(又は任意の他の同様な方式)を使用することには様々な理由がある。一つの理由は、バッテリー330がほぼ放電したときにバッテリー330から得られる電圧の低下を補償することである。すなわち、出力電圧が降下するにつれてデューティサイクルを増大させて、出力電力レベルが一定に保たれることを保証する助けにすることができる。別の理由は、ヒータ温度に対してより高度な制御を行うことであり、例えば、1パフの初期部分の間にデューティサイクルを高くすると(例えば、1)、その結果、ヒータ温度は、適切な動作温度まで可能な限り速く上昇し、この温度に到達した後は、ヒータ235が動作温度にとどまる(それを超えては加熱されない)ようにデューティサイクルが低減される。
【0033】
図2にも示されているように、バッテリー330からコネクタ25Bへの(したがって、カトマイザ20への)供給経路には電流モニタ460が含まれる。電流モニタ460は、どれだけの電流がバッテリー330から引き出され、カトマイザ20へ供給されるかを測定する。概して述べるならば、カトマイザ20は、液体を急速気化すべくヒータ235を動作させるために、バッテリー330から例えば1〜数アンペアのかなり大きい電流を取り込む。リチウムイオンバッテリーの4Vの出力、及び2Aの電流を仮定すると、これはカトマイザ20の約2オームの抵抗を意味する。電流モニタ460は、任意の適切な方法で動作することができる。例えば、電流モニタは、通過する電流を直接測定することができ(例えば、生じる磁界を検知することによって)、又は既知の抵抗の両端の電圧を測定することができる。電流モニタ460は、カトマイザ20に供給される、より詳細にはヒータ235に供給される、電流の測定値を継続的にコントローラ410へ知らせる。これによりコントローラ410は、カトマイザ20に供給される電流を追跡できるようになる。
【0034】
コントローラ410はさらに、バッテリー330から出力される電圧を測定することもできる(上記のように、この電圧は放電サイクルの間に一般的に低下する)。この測定は、例えば、一つ以上の基準電圧源(
図2には図示せず)と比較することによって達成することができる。電流モニタ460による電圧降下が分かっている(又は補償することができる)と仮定すると、カトマイザ20に供給される電圧値と電流値の組み合わせを使用して、カトマイザ20の抵抗を決定することができる。
【0035】
図2は、eシガレットの電子構成要素の例示的な構成を示すが、当業者には多くの可能な別の構成が知られよう。例えば、
図2の実施態様では、コントローラ410は、バッテリー330からカトマイザ20への出力のオン/オフ設定を実施するためにも、さらには電力供給のオン設定があるときにデューティサイクルを管理するためにも、電力制御システム450を使用する。しかし、いくつかの実施態様では、バッテリー330からカトマイザ20への出力のオン/オフ設定を決定するための第1のユニットと、デューティサイクルを管理するための第2のユニットとがあり得る(両方ともコントローラ410の制御を受ける)。加えて、ボタン340が
図2に、コントローラ410に接続しているように示されているが、この場合ボタンは、それに応じてバッテリー330からカトマイザ20への電力の供給を制御し、別の実施態様では、ボタンは、バッテリーユニット330からカトマイザ20への電力供給ライン上に直接配置され、ボタンの動作状態に応じて、この電力供給ラインを開くこと、又は閉じることができる。さらに、コントローラ410の機能は、組み合わせでコントローラ410のように作動する一つ以上の構成要素にわたって分散させることができる。
【0036】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による
図1のeシガレットのヒータ235の概略図である。ヒータ235は、ウィック225に巻き付けられた、「426」と示された第1のコイル、「427」と示された第2のコイルの二つのコイルを備える。(図を分かりやすくするために、コイル427は、コイル426と区別するように破線を用いて概略的に描かれているが、実際には両方のコイルとも、その全長に沿って電気の流れを支持するために、連続していることに留意されたい。)
【0037】
第1のコイル426は通常、eシガレットヒータコイル用に、ニクロム(ニッケルとクロムの合金)などの従来の材料で作られる。ヒータコイルワイヤとして使用するニクロムの標準的な一例は、(質量で)約80%Ni及び20%Crから作られるが、他のニクロム合金では、鉄及び/又は炭素などの少量の他の材料を含むことがあり、さらにニッケルとクロムの比率は非常に多様である。ヒータコイルとしてニクロムコイルを使用する主な理由は、その耐酸化性、及び高温における一般的な安定性、さらにはその耐腐食性(eリキッドを気化するためにコイルが使用される場合に重要)である。
【0038】
上で述べたように、eシガレットの温度を評価するのにヒータコイルの抵抗を使用することが検討された。すなわち線形近似では、例えば加熱コイルである材料の温度による抵抗の変化は次式で表すことができる。
R(T)=R(T
0)(1+αΔT)
ここで、R(T)は温度Tにおける抵抗であり(以下、簡単にするためにRと書く)、R(T
0)は温度T
0における抵抗であり(以下、簡単にするためにR0と書く)、ΔT=T−T
0、αは抵抗の温度係数である。ニクロムでは、この係数の標準値は比較的低く、T
0=293Kでα≒4×10
−4K
−1である(注:実際の値は厳密な組成などの影響を受ける)。その結果、温度による抵抗の変化は比較的小さく、したがって、温度変化に対する感受性は同様に非常に低い。
【0039】
例えば、200℃(473K)の温度で動作しているときに2Ωの抵抗を有するニクロムヒータコイルを考える。コイルの一部分(20%)が50℃だけ過熱する、すなわち250℃(523K)まで過熱すると仮定すれば、過熱の前後の総抵抗について次の二つの式が得られる。
2=R0(1+α180)
R=0.2R0(1+α230)+0.8×2
R0を消去すると次式が得られる。
R=1.6+[0.4(1+α230)/(1+α180)]
これらの温度において、なおα≒4×10
−4K
−1であると仮定すれば、掛け合わせて
R=1.6+0.4075=2.0075Ω (例1)
となることが分かる。言い換えると、全体としてのコイルの抵抗の変化は、絶対的な言い方で0.0075Ω、又は相対的な言い方で0.375%にすぎない。この変化を正確に測定するのは困難であることが理解されよう(特にeシガレット10に関しては)。
【0040】
コイル全体の温度が100℃だけ上昇する、すなわち473K(T1)から573K(T2)まで上昇するように数値を変えたとしても、過熱の前後の総抵抗について次の二つの式が得られる。
2=R0(1+α(T1−T
0))
R=R0(1+α(T2−T
0))
再びR0を消去すると次式が得られる。
R=2[(1+α(T2−T
0))/(1+α(T1−T
0))]
そして、掛け合わせて
R=2.075Ω (例2)
となることが分かる。したがって、全体としてのコイルの抵抗の変化はなお、絶対的な言い方で0.075Ω、又は相対的な言い方で3.73%にすぎない。
【0041】
抵抗の変化が比較的小さいので、上の式、R=2[(1+α(T2−T
0))/(1+α(T1−T
0))]を次式のように近似できることに留意されたい。
R(T2)/R(T1)=[(1+α(T2−T
0))/(1+α(T1−T
0))]≒1+α(T2−T1)
【0042】
上記の考察の見地から、
図3の第2のコイル427は、コイル426とは異なる材料で作られる。例えば、このコイルは、耐熱性(高温に耐える)でもあり、さらには耐腐食性でもあるチタンで作ることができる。さらに、チタンの抵抗温度係数は、α≒3.5×10
−3K
−1である(やはり不純物などに影響されやすい)。
【0043】
第1のコイル426と第2のコイル427は直列に接続され、各コイルは通常(デフォルト)動作温度において1Ωの抵抗を有すると仮定する。これによりヒータ全体で2Ωの総抵抗、すなわち上記の例1及び例2と同じ総抵抗が得られる(したがって、所与の電圧供給では同じ電力がヒータに供給される)。各ヒータの20%が付加的に50℃上昇すると仮定される上記の例1の状況では、抵抗の総増加は、コイル426では約0.0037Ωとなり、コイル427では0,021Ωとなって、約0.0247Ωの抵抗値の総増加が得られ、これは例1の、コイル427だけのそれ自体で得られるものの3倍よりも大きい。同様の増加が、第1のコイル426と第2のコイル427が並列に接続され、各コイルが4Ωの抵抗を有する場合にも得られる(この場合やはり、ヒータ全体で2Ωの総抵抗、すなわち上記の例1及び例2と同じ総抵抗が得られることになる)。
【0044】
第1のコイル426と第2のコイル427(第2のコイル427は著しく大きい抵抗熱係数を有する)の使用によって、eシガレット10の内部の、より詳細にはカトマイザ20の内部(又は、第1のコイル426及び第2のコイル427を含む、eシガレット10の他の部分)の過熱を監視、検出し、過熱から保護する機能が強化される。前述のように、このような過熱は、ヒータ235によって気化させるeリキッドが局部的又は完全に使い果たされる結果として、又は電気的故障、狭い空間内での動作(したがって外部冷却がない)などの様々な他の原因により、生じる可能性がある。いくつかの例によって実現される、より高い温度感受性をさらに(又は別法として)、eシガレットの正常な動作中に所望の気化温度に維持するための助けとするために、使用することができる。
【0045】
したがって動作中、電流モニタ460は、ヒータ235に供給される電流のレベルを追跡する。いくつかの場合において、電流レベルは、一定の電圧を(対象の期間にわたって)実際上仮定して、抵抗のインジケータとして間接的に利用することができる。或いは、システムは、監視された電流レベルと、バッテリー330からカトマイザ20へ供給される既知の、又は推定された、又は測定された電圧とを組み合わせることによって、抵抗を直接監視することができる。間接的手法でも直接的手法でも、コントローラ410は、監視された抵抗のレベルの表示を追跡し、異常な状況、例えば、表示された抵抗レベルの比較的急な上昇、及び/又は異常に高いレベルの抵抗がもしあれば検出する。抵抗が通常は温度上昇と共に増大することを念頭に置くと(ただし一部の材料は負の抵抗熱係数を有する)、監視される抵抗の急な増大、又はこの抵抗の異常に高い値が(例えば)カトマイザ内部の過熱を示している可能性がある。
【0046】
実際には、コントローラは、正常な挙動と異常な挙動の区別を助けるために、様々な(又は同様な)閾値を備えることができる。例えば、ボタン340が最初に操作され、ヒータ235が通電されると、ヒータ抵抗が増大する(したがって電流が低下する)ことが予想される。これは装置の正常な動作を表すことになる。しかし、ヒータ抵抗が引き続き増大する、又はもっと後で吸入中に急に増大した場合には、これは装置の異常な動作を表している可能性がより高い。したがって、コントローラ410は、例えば、吸入の開始以来の、所定の時間閾値の後に起きる電流低下(したがって温度上昇)を探すように構成することができる。これらの閾値の適切な設定値は、実験的に、及び/又は所与の装置の動作をモデリングすることによって、決定することができる。
【0047】
別の実施態様では、コントローラ410は、初期の加熱期間中に(加熱処理の代わりに、又は、加熱処理の後期にも)電流低下(したがって温度上昇)を探すように構成することができる。こうすることの一つの動機は、装置が使用されるそれぞれの場合において潜在的な問題がもしあれば迅速に特定することであり、その結果、適切な是正措置をできるだけ速く取ることができる。別の動機は、一部のシステムが、最大限の電力(1のデューティサイクル)の初期期間を用いて加熱要素を所望の温度まで加熱し、次に、デューティサイクルを低減して、加熱要素をこの所望の温度に維持することである。抵抗の異常な増大を特定するのは、最大限の電力が一定の初期段階中の方が、デューティサイクルの低減に従って電力が変調される後の段階におけるよりも実際上容易である。
【0048】
コントローラ410が、モニタ460によって追跡される電流レベルに基づいて何らかの異常状態(例えば、抵抗の増大によって生じる可能性がある、一般には過熱を示す電流の急な低下)を検出した場合、コントローラ410は適切な是正(補償)措置を取ることができる。例えば、コントローラ410は、バッテリーからヒータ335への電力供給を制限(低減)し、さらにはオフさえするように電力制御システム450に命令することができる。コントローラ410はさらに、インターフェース480を介して、何らかの形の視覚による警告を使用者に与えることもできる。
【0049】
過熱をこのように検出し、したがって過熱から保護するために上述の第1のコイル426及び第2のコイル427を使用することには、いくつの利点がある。すなわち、第1のコイル426よりも高い抵抗熱係数(したがって高い温度感受性)を有する第2のコイル427を含むことによって、所与のレベルの過熱が、抵抗の、したがって電流レベルのより大きい、それゆえにより容易に検出される変化をもたらし得る点で、装置はそのような過熱に対して感受性が高くなる。一方で、ヒータ235が、高い抵抗熱係数を有する材料で全体的に作られること(すなわち実際上、第1のコイル426ではなく、第2のコイル427だけを使用すること)は、望ましくない場合がある。例えば、第2のコイル427の材料では、より高価である、又は加熱の効率が低い、又はより腐食されやすいことなどがあり得る。したがって、場合により、カトマイザ20から供給される電力の大部分が、第2のコイル427ではなく第1のコイル426によって利用されるように構成することが望ましいことがある(例えば、こうすることは効率が高いので、又はコイル427を保護する助けになり得るためである)。これらの様々な問題に対処するためのいくつかの可能性のある選択肢について、以下で述べる。
【0050】
さらに、第1のコイル426及び第2のコイル427を使用することは、カトマイザ20と装置30の間の従来の2端子インターフェースとの整合性がある(例えば、ヒータ35から電気的に分離することを必要とし、したがって、カトマイザ20と装置部分30の間に追加の端子を必要とする専用のセンサを使用することとは対照的)。加えて、ヒータ235は、第2のコイル427によって放散される電気エネルギーが、eシガレット10の動作全体に寄与するように設計することができる。例えばヒータは、気化、又はカトマイザ20を通る空気流(ヒータ235自体の上流又は下流)の加熱を支援することができる。したがって、第1のコイル426を一次的にはヒータコイル、二次的には(抵抗を監視するための)センサコイルと考えることができるのに対し、第2のコイル427を一次的にはセンサコイル、二次的にはヒータコイルと考えることができる。したがって、この手法は、過熱に対する保護の面で機能の改善を実現しながら、効率を維持することの助けになり得る。
【0051】
通常、第2のコイル427の抵抗熱係数は、第1のコイル426の抵抗熱係数よりもかなり大きく、例えば、少なくとも2倍、好ましくは4倍、好ましくは8倍大きい(上記のニクロムとチタンの例に関して)。いくつかの実施態様では、第1のコイル426の抵抗熱係数は、室温で1×10
−3K
−1未満であり、例えば様々な形のニクロムでは室温で5×10
−4K
−1未満であるが、第2のコイル427の第2の抵抗熱係数は、室温で1×10
−3K
−1よりも大きく、例えばチタン、又はニッケル若しくは鋼などの他の金属/合金では、室温で2.5×10
−3K
−1よりも大きい。
【0052】
上で示した例では、第1のコイル426は第2のコイル427と並列又は直列になっている。前者の選択肢は、
図1に示された接続ワイヤ230のパターンに適合しており、ヒータ235の各端部からコネクタ25Aに至る1本のワイヤがあることを理解されたい。しかし、後者の選択肢に利用される接続ワイヤのパターンは、
図1に示されたものと異なることがあり、例えば、コネクタ25Aへの両方の接続ワイヤがヒータ235の一方の端部から出て行き、第1のコイル426と第2のコイル427はヒータ235の反対の端部で接続する。当業者には、様々な実現可能なコイルの構成に応じて、別の可能な配線構成が考えられ得るであろう。
【0053】
図4A〜
図4Cは、ヒータ235の様々な実現可能な構成の例を示す。
図4Aは、第2のコイル427がヒータ235の中心部分だけに沿って置かれていることを除いて、
図3の構成と類似している。このヒータの中心部分は、ウィック225の両端がリザーバ210の液体に接触する典型的な構成のリザーバ210から、eリキッドがウィック225に沿って移動する最も遠い箇所になり、それゆえに潜在的に最もドライアウトしやすいことを理解されたい。第2のコイル427の長さを減らすことは、コストを節減すること、及び/又は第2のコイル427の抵抗を低減することの助けになることができ、後者の態様では、対応して低減された温度に対する感受性にもかかわらず、電力の大部分が第1のコイル426によって放散されることが可能になり得る(少なくとも直列構成について)。
【0054】
図4Bは断面図を示し(すなわち、コイル軸に垂直)、第1のコイル426がやはりウィック225に巻き付けられている。しかし、この実施態様では、第2のコイル427は第1のコイル426よりも半径が大きく、したがって、ウィック225から離隔されている。この構成は、例えば、起こり得る腐食を最小限にする助けとなるように、ウィック225の液体と第2のコイル427の間の直接の接触を減らすのに役立ち得る。それにもかかわらず、第2のコイル427からの熱は、eリキッドの気化になお寄与することができる。この実施態様では、第2のコイル427は、
図3に示されるように、第1のコイル426の全軸長に広がることがあり、或いは
図4Bに示されるように、全長の一部分だけに広がることがあることに留意されたい。
【0055】
図4Cは別の実施態様を示し、この場合も第1のコイル426がウィック225に巻き付けられている。しかし、この実施態様では、第2のコイル427は、第1のコイル426の上下に配置された(しかし第1のコイル426とは接触していない)二つのストリップヒータ527A及び527Bに置き換えられている。したがって、この構成の幾何形状は、
図4Bのものにいくらか類似しており、熱感受性がより高い材料からなるヒータが第1のコイル426の外側にあるが、異なるタイプの抵抗ヒータが使用されている(コイルではない)。このストリップヒータ527A、527Bの構成は、例えば、材料の熱感受性が高ければ高いほどワイヤに形成すること、又はコイルワイヤと比較して異なるレベルの抵抗を得ることがより困難であるか、又は費用がかかる場合に使用することができる。
【0056】
図5A及び
図5Bは、ヒータ235の二つの実現可能な回路構成の例を示す(これらの図は、物理的又は空間的構成物ではなく、電気的接続部を示すものである)。
図5Aは、二つのコイル部分627A及び627Bで表された第2のコイルの中間点に接続されている第1のコイル426及びウィック225を示す。この構成では、コネクタ25Aによって形成できる二つの端子626A及び626から電力供給される。この構成とした一つの潜在的な動機は、第2のコイル627の各コイル部分627A、627Bが、第1のコイル426の電流の半分しか搬送しないことである(二つのコイル部分627A、627Bが互いにほぼ同じ抵抗を有すると仮定して)。この構成は、例えば、第2のコイル427を保護するために、及び/又は第1のコイル426のより効率的な加熱を利用するために、第2のコイル427の電力放散を第1のコイル426の電力放散と比較して低減させるのに役立ち得る。
【0057】
図5Aでは、コイル部分627A、627Bは、別法として二つの別々のコイルと考えてもよいことに留意されたい。一般に、この手法のカトマイザ20は、ちょうど二つのコイル(又は、より一般的に二つの抵抗ヒータ)を有することに限定されず、さらなるコイル又はヒータを、所与の実施態様の特定の状況に応じてそのような要望があれば有することができる。
【0058】
図5Aで、カトマイザ20は、装置部分との電気的接続のための、接点626A及び626Bで表された二つだけの電気端子(実際には正負)を有する。しかし、
図5Bは、コネクタ25Aが三つ(又は四つ以上)の電気端子を支持する別の構成を示す。この構成では、第1の端子726Aが第1のコイル426(又はヒータ)への供給部として使用され、第2の端子726Bが第2のコイル427(又はヒータ)への供給部として使用され、この場合は両コイルが共通グランド帰路726Cを共有している。この構成は、第1のコイル426に供給される電流は気化に適切なレベルに設定することができ、第2のコイル427に供給される電流は熱検知のための別のレベルに設定することができるという点で、相当に適応性があることを理解されたい(第2のコイル427が加熱及び/又は気化をなお支援しているが)。この構成では、電流モニタ460は、接点726Bを介して第2のコイルに供給される電流レベルを監視することに留意されたい。この構成は、第2のコイル427の感受性が第1のコイル426によって実際上弱められないので、熱変動に対する良好な感受性が得られるが、コネクタ25A、25Bがここではより複雑になる(追加端子のため)。
【0059】
図4A〜
図4C及び
図5A〜
図5Bを全体的に考察すると、第1のコイル426及び第2のコイル427は電気抵抗ヒータの例であること、及びこのような抵抗ヒータの別の形態を必要に応じて、これらのコイルの一方又は両方に使用できることが分かる。加えて、二つの抵抗ヒータの相対的配置及び構成は、任意の所与の実施態様の細部により、また同様にその電気的特性(抵抗、接続性など)により、必要に応じて個々に修正することができる。これらの変形形態は、全体的な熱感受性などの様々な基準(装置部分の監視システムに与えられる)と、高い熱感受性を有するコイル又はヒータの特定のニーズ(例えば、電力放散の低減、液体接触の低減など)とに対応する助けになるように利用することができる。
【0060】
したがって、全体として、本書に記載の様々な実施態様は、液体を気化させて、使用者が吸引する空気流に蒸気を発生させる第1の電気抵抗ヒータと、液体を気化させる及び/又は空気流を加熱する第2の電気抵抗ヒータとを備え、第1の電気抵抗ヒータが、第2の電気抵抗ヒータの第2の抵抗熱係数よりも小さい第1の抵抗熱係数を有し、さらに、少なくとも第2の電気抵抗ヒータの抵抗の変化を監視するように構成された制御システムを備える、電子蒸気供給システムを特に提供するものである。
【0061】
通常、第1及び/又は第2の電気抵抗ヒータはワイヤコイルであるが、いくつかの実施態様では他の設計を用いることができる。例えば、第1又は第2の電気抵抗ヒータの少なくとも一方は、ワイヤヒータ(コイル以外の何らかの構成になっている)、ストリップヒータ、平面ヒータなどとすることができる。第1と第2の電気抵抗ヒータは、設計が互いに異なっていてもよく、例えば、第1の電気抵抗ヒータはワイヤコイルとし、第2の電気抵抗ヒータは隣接のストリップとしてもよいことを理解されたい。第1及び第2の電気抵抗ヒータは一般に、比較的互いに近接しており、その結果、前者(第1の電気抵抗ヒータ)の過熱が第2の抵抗ヒータの温度上昇(したがって後者の抵抗の増大)を引き起こすことになる。利用できる多くの空間構成物(例えば同軸コイル、横並びコイル、大きいコイルに巻き付けられた小さいコイルなど)がある。
【0062】
第1及び第2の電気抵抗ヒータは通常、(異なる抵抗熱係数を得るために)異なる材料、例えば異なる金属で作られる。別の場合では、第1及び第2の電気抵抗ヒータは、例えば、ドーピング、様々な内部構造(例えば、炭素の様々な形に類似している)、様々なコーティングなどによって様々な抵抗熱係数が得られるように調製された同一又は同様の材料から作ることができる。
【0063】
場合によっては、第1及び第2の電気抵抗ヒータの少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの絶縁材料で覆う、被覆する、又はコーティングすることとしてもよい。こうすることにより、第1と第2の電気抵抗ヒータは互いに接触することが可能になり、これは、制御された電気的分離を二つのヒータ間で依然として実現しながら、二つのヒータ間の良好な熱接触を確保すること、及び/又は様々な空間構成物を支持することに役立ち得る。いかなるこのような絶縁材料も一般に、比較的高い温度、及びeシガレット内部の蒸気に対し耐性がなければならないことに留意されたい。
【0064】
通常、装置は、制御システムを含む再使用可能部分と、第1及び第2の電気抵抗ヒータを含む使い捨て部分とを備える。多くの場合、再使用可能部分と使い捨て部分は、正及び負の極性を示す二つの電気接点を使用して接続される。この場合、制御システムは一般に、第1と第2の電気抵抗ヒータの組み合わせを含めて、使い捨て部分の総抵抗の変化を全体として監視する。第2の電気抵抗ヒータは、この総抵抗の大部分の温度依存性をもたらすように構成することができる。
【0065】
いくつかの実施態様では、制御システムは、コントローラと組み合わせた電流センサを備えることができる。電流センサは、抵抗の代わりとして電流レベルを監視することができる(バッテリーからの適度に安定した電圧出力を仮定した場合)。通常、制御システムは、第2の電気抵抗ヒータの抵抗の変化を(それ自体で、又は第1の電気抵抗ヒータとの組み合わせで)監視するように構成され、この変化は、急激で大幅な温度上昇を、したがって潜在的に異常な状況を示す。この場合、制御システムは、異常な状況を示し得る、一つ以上の所定の基準を満たす抵抗の変化に基づいて、第1及び/又は第2の電気抵抗ヒータへの電力の供給を低減又は遮断するように構成することができる。例えば、制御システムは、監視されている抵抗がカトマイザの温度の大幅な上昇(ヒータの動作中に通常生じる温度上昇を超える上昇)を示す場合に、電力を遮断することができる。したがって、制御システムは、ヒータのドライアウト、及び電気的故障、並びに他の潜在的に危険な、又は望ましくない状況から保護する助けになり得る。
【0066】
上述の実施態様では一般に、例えばリザーバに収容された液体を、使用者が吸引する蒸気を発生させるための前駆体として利用する。しかし、他の実施態様では、ペースト、ゲル、又は固体材料を含む、別の形の蒸気前駆体を使用することがある。場合によっては、蒸気前駆体は、少なくとも部分的に、何らかの形のタバコ又は他の植物抽出物(例えば、乾葉、粉末、ペーストなど)から得ることができる。
【0067】
上記のように、上述の実施態様では、一つ以上のコイルを蒸気前駆体材料から蒸気を発生させるための電気抵抗ヒータとして一般に利用する。しかし、基板(例えばプリント回路基板)上に金属トラックを形成することによって生成された平面ヒータ、又は金属メッシュヒータ、又はセラミックヒータなどの、他のタイプ又は形の電気抵抗ヒータが知られている。第1及び第2の抵抗ヒータ(それぞれ、低い抵抗熱係数及び高い抵抗熱係数を有する)は、
図4に示された、例えば両方がコイルである同じタイプのヒータとしても、又は別のタイプの抵抗ヒータとしてもよいことに留意されたい。さらに、第1及び第2の抵抗ヒータの一方又は両方が、複数の(類似している、又は類似していない)要素の組み合わせから形成されてもよく、例えば、第1の抵抗ヒータが複数のコイルなどから形成されてもよい。
【0068】
第1及び第2の抵抗ヒータは一般に、それぞれ正の抵抗熱係数(温度上昇と共に抵抗が増大する)を有するが、一部の材料、例えばセラミックは、負の抵抗熱係数(温度上昇と共に抵抗が減少する)を与えることができる。本書で、ある抵抗熱係数が別の抵抗熱係数よりも大きい、又は(小さい)と言う場合、これは大きさの観点で理解されなければならない。例えば、第1のヒータが、第2のヒータの抵抗熱係数(α
2)よりも小さい抵抗熱係数(α
1)を有する場合、これは、|α
1|<|α
2|を意味する(ここで、|α|はαの絶対値である)。これは、概して言えば、コントローラは抵抗の増大又は低下に対し感受性を高くすることができ、それゆえに、検出を容易にするために重要であるのは(符号ではなく)抵抗の変化の大きさであるためである、ということを理解されたい。
【0069】
第1と第2の電気抵抗ヒータは一般に、直接又は間接的に互いに熱接触している。このような熱接触は熱力学的結合を形成して、第1の電気抵抗ヒータからの熱を第2の電気抵抗ヒータへ移送することができる。この熱力学的結合は、第1の電気抵抗ヒータの(潜在的に異常な)どんな温度の変化に対しても第2の電気抵抗ヒータ(したがって監視システム全体)の感受性を可能な限り高くするために、通常は可能な限り強くなければならない。熱力学的結合は、輻射、対流及び/又は伝導などの、熱移動の一つ以上の形を利用することができる。場合によっては、熱力学的結合は中間物を利用することができ、例えば、第1の電気抵抗ヒータにはウィックまでの良好な熱移動があり、ウィックには第2の電気抵抗ヒータまでの良好な熱移動があり得る(以て、第1と第2の電気抵抗ヒータの間に間接的な熱結合が得られる)。いくつかの実施態様では、最も懸念されるのが中間構成要素の温度であり得ることに留意されたい。例えば、第2の電気抵抗ヒータの中心は、装置の外部ハウジングのいかなる過度の温度も監視する助けになるものであり得る。その理由は、(外部ハウジングの過度の温度が第1の電気抵抗ヒータの加熱によって生じる可能性があろうとも)外部ハウジングが使用者に触れられる可能性が最も高い部分であるからである。
【0070】
様々な問題に対処し、技術を進歩させるために、本開示では例示によって、特許請求された本発明(複数可)を実践できる様々な実施形態を示す。本開示の利点及び特徴は、諸実施形態の単なる代表例であり、網羅的及び/又は排他的なものではない。これらの利点及び特徴は、特許請求された本発明(複数可)を理解することを助け教示するためにだけ提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本開示に対する限定、又は他特許請求の範囲の等価物に対する限定と解釈されるべきものではないこと、並びに、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用することができ、また修正を加えることができることを理解されたい。様々な実施形態は、本書に特に記載されたもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部材、ステップ、手段などの様々な組み合わせを適切に備えるか、これらから成るか、これらから本質的に成ることができる。本開示は、現在は特許請求されていない、しかし将来は特許請求される可能性がある、他の発明を含み得る。