(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のガイドワイヤ1の全体構成を示す部分断面概要図である。ガイドワイヤ1は、血管や消化器官にカテーテルを挿入する際に用いられる医療器具であり、コアシャフト10と、コイル体20と、内側コイル体30と、先端接合部51と、基端接合部52と、内側接合部55と、第一中間固定部61と、第二中間固定部62と、第一樹脂皮膜71と、第二樹脂皮膜72と、を有している。以下では、
図1の左側をガイドワイヤ1および各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側をガイドワイヤ1および各構成部材の「基端側」と呼ぶ。
【0018】
コアシャフト10は、基端側が太径で先端側が細径とされた先細りした長尺形状の部材である。コアシャフト10は、例えば、ステンレス合金(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni−Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル−クロム系合金、コバルト合金、タングステン等の材料で形成することができる。コアシャフト10は、上記以外の公知の材料によって形成されていてもよい。コアシャフト10の長さについては特に限定されないが、例えば、600mm〜3000mmの範囲を例示することができる。コアシャフト10は、基端側から先端側に向かって順に、太径部11と、テーパー部12と、細径部13とを有している。
【0019】
太径部11は、コアシャフト10において外径が最大となる最大外径部であり、コアシャフト10の基端から先端側に向かって外径が一定となっている。太径部11の基端には基端接合部52が形成されている。太径部11の外径D1については、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜0.5mmの範囲を例示することができる。太径部11の長さについても特に限定はないが、例えば、560mm〜2960mmの範囲を例示することができる。
【0020】
テーパー部12は、太径部11と細径部13の間に形成されており、基端から先端に向かって外径が細くなっている。細径部13は、コアシャフト10の先端に設けられており、細径部13の先端には、先端接合部51が形成されている。
【0021】
コイル体20は、1つのコイル、または、複数のコイルを連ねた部材によって構成されており、コアシャフト10の外周のほぼ全体を覆うようにコアシャフト10に巻回されている。コイル体20は、先端接合部51、基端接合部52、第一中間固定部61、および、第二中間固定部62によってコアシャフト10に固定されている。
【0022】
コイル体20を構成するコイルは、1本の素線を螺旋状に巻いて円筒形状に形成した単コイルであってもよいし、複数の素線を撚り合わせた撚線を円筒形状に形成した中空撚線コイルであってもよい。また、コイル体20は、単コイルと中空撚線コイルを組み合わせて構成されていてもよい。ここでは、コイル体20は、第二中間固定部62よりも先端側が単コイルによって構成され、第二中間固定部62よりも基端側が中空撚線コイルによって構成されているものとして説明する。
【0023】
コイル体20は、例えば、ステンレス合金(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni−Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル−クロム系合金、コバルト合金、タングステン等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金−ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成することができる。コイル体20は、上記以外の公知の材料によって形成されていてもよい。コイル体20の長さは、ほぼコアシャフト10の長さと等しい。コイル体20は、外径D2が一定に構成されている。外径D2は、特に限定はないが、例えば、0.3mm〜1.5mmの範囲を例示することができる。
【0024】
コイル体20の先端は、先端接合部51によってコアシャフト10の先端と接合されている。先端接合部51は、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等の金属はんだによって形成され、この金属はんだによりコイル体20の先端とコアシャフト10の先端とが固着されている。なお、先端接合部51は、エポキシ系接着剤などの接着剤によって形成され、接着剤によりコイル体20の先端とコアシャフト10の先端とが固着されていてもよい。コイル体20の基端は、基端接合部52によってコアシャフト10の基端と接合されている。基端接合部52は、先端接合部51と同じ材料によって形成されていてもよいし、先端接合部51と異なる材料によって形成されていてもよい。
【0025】
コイル体20の中間部付近の一部は、第一中間固定部61によって、コアシャフト10の太径部11に固定されている。また、コイル体20の中間部付近の他の一部は、第二中間固定部62によって、コアシャフト10の太径部11に固定されている。第二中間固定部62は、第一中間固定部61よりも基端側に位置しており、ここでは、コイル体20を構成する単コイルと中空撚線コイルの接続部(境界部)となっている。第一中間固定部61および第二中間固定部62は、先端接合部51および基端接合部52と同じ材料によって形成されていてもよいし、異なる材料によって形成されていてもよい。
【0026】
コイル体20は、コイルピッチの異なる、疎巻き部22と密巻き部(第一密巻き部23a、第二密巻き部23b)とを有している。コイル体20は、先端側から基端側に向かって順に、第一密巻き部23a、疎巻き部22、第二密巻き部23bが形成されており、ここでは、第一密巻き部23aと疎巻き部22とが同一の単コイルに形成され、第二密巻き部23bが中空撚線コイルに形成されている。
【0027】
疎巻き部22は、コイル体20において、コイルピッチが相対的に疎い部分である。具体的には、疎巻き部22は、密巻き部23(第一密巻き部23a、第二密巻き部23b)よりもコイルピッチが疎く、ここでは、コイルピッチが第一密巻き部23aの0.80倍〜0.99倍程度となっている。ここでの疎巻き部22のコイルピッチとは、疎巻き部22におけるコイルピッチの平均値を意味しており、疎巻き部22の軸方向の長さを、疎巻き部22のコイル巻き数で割った値である。第一密巻き部23aのコイルピッチとは、第一密巻き部23aにおけるコイルピッチの平均値を意味しており、第一密巻き部23aの軸方向の長さを、第一密巻き部23aのコイル巻き数で割った値である。疎巻き部22は、基端が第二中間固定部62に隣接した位置に設けられている。
【0028】
密巻き部23(第一密巻き部23a、第二密巻き部23b)は、コイル体20において、コイルピッチが相対的に密な部分である。第一密巻き部23aと第二密巻き部23bは、コイルピッチが等しくてもよいし異なっていてもよい。第一密巻き部23aは、先端が先端接合部51に固定され、基端が疎巻き部22の先端と接している。第二密巻き部23bは、先端が疎巻き部22の基端、および、第二中間固定部62に接しており、基端が基端接合部52に固定されている。
【0029】
このように、コイル体20は、疎巻き部22の先端よりも先端側と、疎巻き部22の基端よりも基端側の両方に密巻き部(第一密巻き部23a、第二密巻き部23b)が配置されている。また、疎巻き部22は、コイル体20において、太径部11を覆う位置に設けられている。また、疎巻き部22は、コイル体20において、コアシャフト10のうちの内側コイル体30が巻回されていない部分を覆う位置に設けられている。これらによる効果の一例については後述する。
【0030】
内側コイル体30は、単コイルまたは中空撚線コイルによって構成されており、コアシャフト10の先端側の外周を覆うようにコアシャフト10に巻回されている。ここでは、内側コイル体30は、コアシャフト10の細径部13およびテーパー部12の一部に巻き回されている。内側コイル体30は、コアシャフト10およびコイル体20よりも長さが短く、先端接合部51、および、内側接合部55によってコアシャフト10に固定されている。
【0031】
内側コイル体30の長さについては特に限定されないが、例えば、10mm〜100mmを例示することができる。内側コイル体30は、外径D3が一定に構成されている。外径D3は、特に限定はないが、例えば、0.1mm〜0.5mmの範囲を例示することができる。内側コイル体30の先端は、先端接合部51によってコアシャフト10の先端と接合されている。内側コイル体30の基端は、内側接合部55によってコアシャフト10のテーパー部12に接合されている。内側接合部55は、先端接合部51と同じ材料によって形成されていてもよいし、異なる材料によって形成されていてもよい。
【0032】
内側コイル体30の巻き方向は、コイル体20の巻き方向と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、内側コイル体30のコイルピッチは、コイル体20のコイルピッチと同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、内側コイル体30のコイルピッチをコイル体20のコイルピッチと異ならせることによって、ガイドワイヤ1の先端部を湾曲変形させたときに、これらの素線同士のかみ合い現象を抑制することができる。
【0033】
本実施形態では、ガイドワイヤ1において、ガイドワイヤ1の先端から第一中間固定部61までの部分を「第一区間部P1」と呼び、第一中間固定部61から疎巻き部22の先端までの部分を「第二区間部P2」と呼び、疎巻き部22の先端から基端までの部分を「第三区間部P3」と呼び、疎巻き部22の基端からガイドワイヤ1の基端までの部分を「第四区間部P4」と呼ぶ。第一区間部P1の長さは、例えば、40mm〜400mmの範囲を例示することができる。第二区間部P2の長さは、例えば、250mm〜1000mmの範囲を例示することができる。第三区間部P3の長さは、例えば、10mm〜100mmの範囲を例示することができる。第四区間部P4の長さは、例えば、300mm〜1500mmの範囲を例示することができる。
【0034】
このとき、コイル体20は、第一区間部P1と第二区間部P2において第一密巻き部23aが形成されており、第三区間部P3において疎巻き部22が形成されており、第四区間部P4において第二密巻き部23bが形成されている。コイル体20のうち、第一区間部P1と第四区間部P4に位置する部分の外表面は、第一樹脂皮膜71によって被覆され、第二区間部P2に位置する部分の外表面は、第二樹脂皮膜72によって被覆されている。コイル体20の第三区間部P3に位置する部分の外表面には樹脂皮膜が形成されておらず露出している。
【0035】
すなわち、ガイドワイヤ1は、疎巻き部22以外の部分が樹脂皮膜(第一樹脂皮膜71または第二樹脂皮膜72)で覆われており、疎巻き部22は樹脂皮膜で覆われていない。言い換えれば、コイル体20は、第一密巻き部23aと第二密巻き部23bの外表面に樹脂皮膜が形成されており、疎巻き部22において、樹脂皮膜が分断されている。これによる効果の一例については後述する。
【0036】
第一樹脂皮膜71は、コイル体20の表面よりも外部との摩擦が生じにくい疎水性の樹脂によって構成されており、ここでは、シリコン樹脂等が用いられる。なお、疎水性の樹脂としてシリコン樹脂以外に、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン等を用いてもよい。
【0037】
第二樹脂皮膜72は、親水性基を有する樹脂によって構成されており、例えば、カルボキシルメチルデンプンなどのデンプン系、カルボキシルメチルセルロースなどのセルロース系、アルギン酸、ヘパリン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸などの多糖類、ゼラチンなどの天然水溶性高分子物質やポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸塩、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸塩、メチルビニルエーテル無水マレイン酸アンモニウム塩、無水マレイン酸エチルエステル共重合体、ポリヒドキシエチルフタル酸エステル共重合体、ポリジメチロールプロピオン酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド四級化物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルホネート、水溶性ナイロンなどの合成水溶性高分子物質によって構成されている。第二樹脂皮膜72は、水を含むと膨潤状態となり、第一樹脂皮膜71よりも、さらに滑り性や血栓付着防止性が向上する。
【0038】
第二樹脂皮膜72は、第一樹脂皮膜71よりも潤滑性を有しており、体内において摩擦抵抗をより低減させることができる。一方、先端から基端までのガイドワイヤ全体の外表面を第二樹脂皮膜72によって被覆すると、体内でガイドワイヤが滑りすぎてしまい、体内の分岐などになどにおいて操作性が低下する。本実施形態のように、ガイドワイヤの先端側および基端側を第一樹脂皮膜71とし、中間部の一部を第二樹脂皮膜72とすることによって、操作性の向上を図ることができる。
【0039】
<本実施形態の効果例>
以上説明した、本実施形態のガイドワイヤ1によれば、先端接合部51と基端接合部52との間において、コイル体20は疎巻き部22を有しているため、湾曲時におけるガイドワイヤの回転追従性能の低下を抑制することができる。回転追従性能とは、ガイドワイヤの基端を回転させたときに、基端の回転に追従して先端が回転する性能をいう。言い換えれば、回転追従性能とは、コアシャフトとコイル体を介した回転の伝達性能である。
【0040】
本実施形態のガイドワイヤ1は、湾曲させたときにコイル体20のうち湾曲の内側に位置する部分がガイドワイヤ1の軸方向に圧縮されても、疎巻き部22のコイル間の隙間によって、コイルの詰まりが緩和される。そのため、ガイドワイヤ1を湾曲させたときにコイルが詰まって回転追従性能が低下することを抑制できる。また、ガイドワイヤ1を湾曲させたときに、疎巻き部22によってコイルの詰まりが緩和されるため、コイル体20がコアシャフト10に接触してコアシャフト10が軸方向に引っ張られことを緩和することができる。そのため、ガイドワイヤ1の湾曲時にコイル体20の内周がコアシャフト10の外周と接触して、コアシャフト10が軸方向に引っ張られることによる回転追従性能の低下も抑制できる。本実施形態のガイドワイヤ1によって湾曲時における回転追従性能の低下が抑制される点については、
図2〜
図5を用いて後述する。
【0041】
また、本実施形態のガイドワイヤ1によれば、コイル体20は、疎巻き部22の先端よりも先端側と、疎巻き部22の基端よりも基端側の両方に、密巻き部23を有していているため、両側の密巻き部23によってガイドワイヤ1の摺動性能の低下を抑制しつつ、疎巻き部22によって湾曲時におけるガイドワイヤ1の回転追従性能の低下を抑制することができる。一般的に、コイル体は、疎巻き部よりも密巻き部の方が外内における摺動性能が高い。本実施形態のガイドワイヤ1によれば、疎巻き部22の両側の密巻き部23によって摺動性能を確保しつつ、疎巻き部22によって湾曲時におけるガイドワイヤ1の回転追従性能の低下を抑制できる。
【0042】
また、本実施形態のガイドワイヤ1によれば、コイル体20は、疎巻き部22の先端よりも先端側の第一密巻き部23aと、疎巻き部22の基端よりも基端側の第二密巻き部23bのそれぞれ外表面に樹脂皮膜71、72が形成されており、疎巻き部22において、樹脂皮膜71、72が分断されているため、ガイドワイヤ1を湾曲させたときの回転追従性能の低下をさらに抑制できる。一般的に、具体的には、コイル体の外表面に樹脂皮膜を形成すると、樹脂皮膜によってコイル同士の相対的な移動が規制(コイル体が拘束)される。樹脂皮膜によってコイル体が拘束されると、湾曲時におけるガイドワイヤの回転追従性能がさらに低下する。本実施形態のガイドワイヤ1によれば、疎巻き部22に樹脂皮膜が形成されていないため、疎巻き部22において、樹脂皮膜によるコイル体20の拘束が緩和されている。これにより、ガイドワイヤ1を湾曲させたときの回転追従性能の低下をさらに抑制することができる。また、疎巻き部22の外表面に樹脂皮膜を形成しようとした場合、樹脂皮膜を形成するための皮膜形成液が疎巻き部22の外表面からコアシャフト10に入り込み、コイル体20とコアシャフト10とが接着して回転追従性能が低下するおそれがある。疎巻き部22に樹脂皮膜を形成しないことによって、コイル体20とコアシャフト10との接着の発生を抑制できる。
【0043】
また、本実施形態のガイドワイヤ1によれば、疎巻き部22は、コイル体20において、最大外径部である太径部11を覆う位置に設けられているため、ガイドワイヤを湾曲させたときに、最大外径部とコイル体20との接触によって、コアシャフト10が軸方向に引っ張られた状態となることを緩和することができる。これにより、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能が低下することを抑制できる。
【0044】
また、本実施形態のガイドワイヤ1によれば、疎巻き部22は、コイル体20において、コアシャフト10のうちの内側コイル体30が巻回されていない部分を覆う位置に設けられているため、ガイドワイヤ1を湾曲させたときに、内側コイル体30とコイル体20の素線同士のかみ合いの発生を抑制しつつ、ガイドワイヤ1の回転追従性能の低下を抑制できる。
【0045】
<回転追従性試験>
図2〜5を用いて、本実施形態のガイドワイヤによって湾曲時における回転追従性能の低下が抑制されることを説明する。ここでは、本実施形態のガイドワイヤの効果を証明するために、本実施形態の構成を有するガイドワイヤを含む5つのサンプルに対して回転追従性試験をおこなった。回転追従性試験とは、ガイドワイヤの回転追従性能を定量的に測定する試験である。
【0046】
図2は、回転追従性試験に用いたガイドワイヤのサンプル1〜5の構成を例示した図である。
図2では、各サンプルの第一中間固定部61と第二中間固定部62の間の部分のみが示されている。
図3は、サンプル1〜5の構成を比較した説明図である。サンプル1〜5は、上述した本実施形態のガイドワイヤ1(
図1)と同様に、コアシャフト10と、コイル体20(20a〜20e)と、第一中間固定部61と、第二中間固定部62と、第一樹脂皮膜71と、を有している。サンプル1〜5は、
図2に示す、第一中間固定部61と第二中間固定部62の間の部分の構成が互いに異なっている。それ以外の部分については本実施形態と同様の構成(
図1)を有している。サンプル1〜5は、第一中間固定部61付近、および、第二中間固定部62付近において、第一樹脂皮膜71の有無、疎巻き部22の有無の組み合わせがそれぞれ異なっている。
【0047】
図2に示すように、サンプル1のコイル体20aは、第一中間固定部61と第二中間固定部62の間において、全体が密巻き部23となっている。また、コイル体20aは、第二中間固定部62付近において第一樹脂皮膜71が形成されておらず露出しており、それ以外の部分に第一樹脂皮膜71が形成されている。そのため、
図3に示すように、サンプル1は、第一中間固定部61付近において、第一樹脂皮膜71が「有り」となり、疎巻き部22が「無し」となっている。また、第二中間固定部62付近において、第一樹脂皮膜71が「無し」となっており、疎巻き部22が「無し」となっている。
【0048】
図2に示すように、サンプル2のコイル体20bは、第二中間固定部62付近において疎巻き部22が形成されており、それ以外の部分が密巻き部23となっている。また、コイル体20bは、サンプル1と同様に、第二中間固定部62付近において第一樹脂皮膜71が形成されておらず露出しており、それ以外の部分に第一樹脂皮膜71が形成されている。そのため、
図3に示すように、サンプル2は、第一中間固定部61付近において、第一樹脂皮膜71が「有り」となり、疎巻き部22が「無し」となっている。また、第二中間固定部62付近において、第一樹脂皮膜71が「無し」となっており、疎巻き部22が「有り」となっている。サンプル2は、第一中間固定部61と第二中間固定部62の間の樹脂皮膜の種類が第一樹脂皮膜71である点を除いては、第1実施形態のガイドワイヤ1と同様の構成となっている。
【0049】
図2に示すように、サンプル3のコイル体20cは、サンプル1のコイル体20aと同様に、第一中間固定部61と第二中間固定部62の間において、全体が密巻き部23となっている。一方、コイル体20cは、第一中間固定部61付近と第二中間固定部62付近の両方において第一樹脂皮膜71が形成されておらず露出しており、それ以外の部分に第一樹脂皮膜71が形成されている。そのため、
図3に示すように、サンプル3は、第一中間固定部61付近において、第一樹脂皮膜71が「無し」となり、疎巻き部22が「無し」となっている。また、第二中間固定部62付近において、第一樹脂皮膜71が「無し」となっており、疎巻き部22が「無し」となっている。
【0050】
図2に示すように、サンプル4のコイル体20dは、第一中間固定部61付近と第二中間固定部62付近の両方にそれぞれ疎巻き部22(第一疎巻き部22a、第二疎巻き部22b)が形成されている。また、コイル体20dは、第一中間固定部61付近と第二中間固定部62付近の両方において第一樹脂皮膜71が形成されておらず露出しており、それ以外の部分に第一樹脂皮膜71が形成されている。そのため、
図3に示すように、サンプル4は、第一中間固定部61付近において、第一樹脂皮膜71が「無し」となり、疎巻き部22が「有り」となっている。また、第二中間固定部62付近において、第一樹脂皮膜71が「無し」となっており、疎巻き部22が「有り」となっている。
【0051】
図2に示すように、サンプル5のコイル体20eは、サンプル1のコイル体20aと同様に、第一中間固定部61と第二中間固定部62の間において、全体が密巻き部23となっている。一方、コイル体20eは、第一中間固定部61と第二中間固定部62の間において、全体に第一樹脂皮膜71が形成されている。そのため、
図3に示すように、サンプル5は、第一中間固定部61付近において、第一樹脂皮膜71が「有り」となり、疎巻き部22が「無し」となっている。また、第二中間固定部62付近において、第一樹脂皮膜71が「有り」となっており、疎巻き部22が「無し」となっている。
【0052】
図4は、回転追従性試験の試験方法を説明するための図である。チューブ81を用いて、半径50mmの円形の輪をつくり、輪の前後に直線部分を形成した試験経路を作成した。この試験経路の一方の開口部(
図4右側の開口部)から、サンプルのガイドワイヤ84を挿入した。サンプルのガイドワイヤ84は、先端がチューブ81の他方の開口部から突出するまで奥に押し進めた。この状態で、ガイドワイヤ84の基端側を回転させた。各サンプル1〜5について、基端側を回転させたときに先端側が何度回転したかを測定した。
【0053】
図5は、回転追従性試験の試験結果を説明するための図である。
図5の表において、横軸はサンプルの基端側の回転角度(入力角度)を示し、縦軸はサンプルの先端側の回転角度(出力角度)を示している。
図5の理想値とは、基端部の回転に先端部が完全に追従している状態を示している。コイル体20に疎巻き部22が形成されていないサンプル1、3、5では、回転追従性能が相対的に低く、コイル体20に疎巻き部22が形成されているサンプル2、4では、回転追従性能が相対的に高い。このことから、ガイドワイヤは、コイル体20に疎巻き部22を設けることによって、湾曲時における回転追従性能の低下が抑制されることが明らかになった。
【0054】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態のガイドワイヤ1Aの全体構成を示す部分断面概要図である。第1実施形態のガイドワイヤ1は、疎巻き部22が第二中間固定部62に隣接して一カ所のみ形成されている(
図1)。しかし、疎巻き部22は、第二中間固定部62に隣接した位置以外の部分に形成されていてもよいし、複数形成されていてもよい。例えば、
図6に示す第2実施形態のガイドワイヤ1Aでは、コイル体20Aは、第一中間固定部61付近と第二中間固定部62付近の両方にそれぞれ疎巻き部22(第一疎巻き部22a、第二疎巻き部22b)が形成されている。第一疎巻き部22aは、先端が第一中間固定部61に隣接した位置に設けられている。第二疎巻き部22bは、基端が第二中間固定部62に隣接した位置に設けられている。コイル体20Aは、先端側から基端側に向かって順に、第一密巻き部23c、第一疎巻き部22a、第二密巻き部23d、第二疎巻き部22b、第三密巻き部23eが形成されている。
【0055】
ここでは、ガイドワイヤ1Aの先端から第一中間固定部61までの部分を「第一区間部P11」と呼び、第一中間固定部61から第一疎巻き部22aの基端までの部分を「第二区間部P12」と呼び、第一疎巻き部22aの基端から第二疎巻き部22bの先端までの部分を「第三区間部P13」と呼び、第二疎巻き部22bの先端から第二中間固定部62までの部分を「第四区間部P14」と呼び、第二中間固定部62からガイドワイヤ1Aの基端までの部分を「第五区間部P15」と呼ぶ。
【0056】
このとき、コイル体20Aは、第一区間部P11において第一密巻き部23cが形成されており、第二区間部P12において第一疎巻き部22aが形成されており、第三区間部P13において第二密巻き部23dが形成されており、第四区間部P14において第二疎巻き部22bが形成されており、第五区間部P15において第三密巻き部23eが形成されている。コイル体20Aのうち、第一区間部P11と第五区間部P15に位置する部分の外表面は、第一樹脂皮膜71によって被覆され、第三区間部P13に位置する部分の外表面は、第二樹脂皮膜72によって被覆されている。コイル体20Aの第二区間部P12および第四区間部P14に位置する部分の外表面には樹脂皮膜が形成されておらず露出している。
【0057】
第2実施形態のガイドワイヤ1Aによっても、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能の低下を抑制できる。具体的には、第2実施形態のガイドワイヤ1Aは、上述した回転追従性試験に用いたサンプル4と樹脂皮膜の構成以外同じである。回転追従性試験に用いたサンプル4は、回転追従性能が比較的高いことから、第2実施形態のガイドワイヤ1Aにおいても、湾曲時におけるガイドワイヤの回転追従性能の低下を抑制することができることは明らかである。なお、疎巻き部22は、中間固定部(第一中間固定部61、第二中間固定部62)の位置に関係なく、任意の箇所に設けることができる。また、疎巻き部22は、ガイドワイヤの先端に設けられていてもよい。ただし、疎巻き部22は、ガイドワイヤの中間部付近に設けることが好ましい。
【0058】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態のガイドワイヤ1Bの全体構成を示す部分断面概要図である。第1実施形態のガイドワイヤ1は、密巻き部23(第一密巻き部23a、第二密巻き部23b)の外表面の全体に樹脂皮膜が形成されている。しかし、密巻き部23の外表面の一部に樹脂皮膜が形成されていなくてもよい。例えば、
図7に示す第3実施形態のガイドワイヤ1Bでは、コイル体20Aは、第一密巻き部23aの先端から基端に向かって所定の範囲の外表面に樹脂皮膜(第一樹脂皮膜71または第二樹脂皮膜72)が形成されているが、第一密巻き部23aの後端側の外表面の一部には樹脂皮膜が形成されておらず露出している。それ以外の構成は第1実施形態のガイドワイヤ1と同様である。言い換えれば、コイル体20Aは、第一密巻き部23aの先端から所定の範囲の外表面と、第二密巻き部23bの外表面に樹脂皮膜が形成されており、疎巻き部22と、第一密巻き部23aの後端側の一部分において、樹脂皮膜が分断されている。
【0059】
ここでは、ガイドワイヤ1Bの先端から第一中間固定部61までの部分を「第一区間部P21」と呼び、第一中間固定部61から第一密巻き部23aの後端側の途中地点までの部分を「第二区間部P22」と呼び、第一密巻き部23aの後端側の途中地点から疎巻き部22の先端までの部分を「第三区間部P23」と呼び、疎巻き部22の先端から基端までの部分を「第四区間部P24」と呼び、疎巻き部22の基端からガイドワイヤ1Bの基端までの部分を「第五区間部P25」と呼ぶ。
【0060】
このとき、コイル体20Bは、第一区間部P21、第二区間部P22、および、第三区間部P23において第一密巻き部23aが形成されており、第四区間部P24において疎巻き部22が形成されており、第五区間部P25において第二密巻き部23bが形成されている。コイル体20Bのうち、第一区間部P21と第五区間部P25に位置する部分の外表面は、第一樹脂皮膜71によって被覆され、第二区間部P22に位置する部分の外表面は、第二樹脂皮膜72によって被覆されている。コイル体20Bの第三区間部P23および第四区間部P24に位置する部分の外表面には樹脂皮膜が形成されておらず露出している。
【0061】
第3実施形態のガイドワイヤ1Bによっても、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能の低下を抑制できる。さらに、第3実施形態の構成であれば、コイル体20の外表面に樹脂皮膜を形成するときに、樹脂皮膜を形成するための皮膜形成液がコイル体20の外表面からコアシャフト10に入り込み、コイル体20とコアシャフト10とが接着して回転追従性能の低下する状態の発生を低減できる。具体的には、密巻き部23aの全体に樹脂皮膜を形成するために、第一密巻き部23aと疎巻き部22との境界位置に皮膜形成液を塗布すると、毛細管現象などによって意図せず疎巻き部22の外表面から皮膜形成液がコアシャフト10に入り込み、コイル体20とコアシャフト10とが接着して回転追従性能が低下する場合がある。第3実施形態のガイドワイヤ1Bのように、第一密巻き部23aのうち、先端から所定の範囲(第二区間部P22)だけに樹脂皮膜を形成し、後端側の一部分(第三区間部P23)には、樹脂皮膜を形成しない構成とすることによって、製造中に意図せず疎巻き部22の外表面から皮膜形成液がコアシャフト10に入り込むこを抑制できる。なお、第一密巻き部23aのうち、上述した位置以外の位置にも樹脂皮膜が形成されていない部分があってもよい。また、第二密巻き部23bの先端から所定の範囲も樹脂皮膜が形成されていなくてもよい。
【0062】
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態のガイドワイヤ1Cの全体構成を示す部分断面概要図である。第1実施形態のガイドワイヤ1は、疎巻き部22を一つ備え(
図1)、第2実施形態のガイドワイヤ1Aは、疎巻き部22を2つ備えている(
図6)。しかし、疎巻き部22の数は、上記に限定されない。例えば、
図8に示す第4実施形態のガイドワイヤ1Cでは、コイル体20Cは、第一中間固定部61付近と第二中間固定部62付近のほか、ガイドワイヤ1Cの先端と第一中間固定部61との間にも、疎巻き部22が形成されている。すなわち、第4実施形態のコイル体20Cは、3つの疎巻き部22(第一疎巻き部22c、第二疎巻き部22d、第三疎巻き部22e)を有しており、先端側から基端側に向かって順に、第一密巻き部23f、第一疎巻き部22c、第二密巻き部23g、第二疎巻き部22d、第三密巻き部23h、第三疎巻き部22e、第四密巻き部23iが形成されている。
【0063】
ここでは、ガイドワイヤ1Cの先端から第一疎巻き部22cの先端までの部分を「第一区間部P31」と呼び、第一疎巻き部22cの先端から後端までの部分を「第二区間部P32」と呼び、第一疎巻き部22cの後端から第一中間固定部61までの部分を「第三区間部P33」と呼び、第一中間固定部61から第二疎巻き部22dの基端までの部分を「第四区間部P44」と呼び、第二疎巻き部22dの基端から第三疎巻き部22eの先端までの部分を「第五区間部P35」と呼び、第三疎巻き部22eの先端から第二中間固定部62までの部分を「第六区間部P36」と呼び、第二中間固定部62からガイドワイヤ1Cの基端までの部分を「第七区間部P37」と呼ぶ。
【0064】
このとき、コイル体20Cは、第一区間部P31において第一密巻き部23fが形成されており、第二区間部P32において第一疎巻き部22cが形成されており、第三区間部P33において第二密巻き部23gが形成されており、第四区間部P34において第二疎巻き部22dが形成されており、第五区間部P35において第三密巻き部23hが形成されており、第六区間部P36において第三疎巻き部22eが形成されており、第七区間部P37において第四密巻き部23iが形成されている。コイル体20Cのうち、第一区間部P31、第三区間部P33、および、第七区間部P37に位置する部分の外表面は、第一樹脂皮膜71によって被覆され、第五区間部P35に位置する部分の外表面は、第二樹脂皮膜72によって被覆されている。コイル体20Cの第二区間部P32、第四区間部P34、および、第六区間部P36に位置する部分の外表面には樹脂皮膜が形成されておらず露出している。
【0065】
第4実施形態のガイドワイヤ1Cによっても、3つの疎巻き部22(第一疎巻き部22c、第二疎巻き部22d、第三疎巻き部22e)のコイル間の隙間によって、湾曲時におけるコイルの詰まりが緩和される。また、コイルの詰まりが緩和によって、湾曲時にコイル体20Cがコアシャフト10に接触してコアシャフト10が軸方向に引っ張られことを緩和することができる。よって、第4実施形態のガイドワイヤ1Cによっても、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能の低下を抑制できる。なお、ガイドワイヤは、疎巻き部22を4つ以上備えていてもよい。
【0066】
<第5実施形態>
図9は、第5実施形態のガイドワイヤ1Dの全体構成を示す部分断面概要図である。第1実施形態のガイドワイヤ1は、内側コイル体30を備えている(
図1)。しかし、
図9に示す第5実施形態のガイドワイヤ1Dのように、内側コイル体を備えていなくてもよい。この構成であっても、疎巻き部22によって、湾曲時におけるコイルの詰まりが緩和される。また、湾曲時にコイル体20Dがコアシャフト10に接触してコアシャフト10が軸方向に引っ張られことを緩和することができる。よって、第5実施形態のガイドワイヤ1Dによっても、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能の低下を抑制できる。
【0067】
<第6実施形態>
図10は、第6実施形態のガイドワイヤ1Eの全体構成を示す部分断面概要図である。第1実施形態のガイドワイヤ1は、コイル体20の外表面に2種類の樹脂皮膜(第一樹脂皮膜71、第二樹脂皮膜72)が形成されている(
図1)。しかし、コイル体20の外表面に形成される皮膜の構成は上記に限定されない。例えば、
図10に示す第6実施形態のガイドワイヤ1Eのように、コイル体20Eの疎巻き部22以外の全体が単一種類の樹脂皮膜(ここでは、第二樹脂皮膜72)によって被覆されていてもよい。また、ガイドワイヤ1は、3種類以上の樹脂皮膜によって被覆されていてもよい。これらの構成であっても、疎巻き部22によって、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能の低下を抑制できる。
【0068】
<第7実施形態>
図11は、第7実施形態のガイドワイヤ1Fの全体構成を示す部分断面概要図である。第1実施形態のガイドワイヤ1は、コイル体20の疎巻き部22がコアシャフト10の最大外径部である太径部11を覆う位置に設けられている(
図1)。しかし、コイル体20の疎巻き部22は、コアシャフト10の最大外径部を覆う位置に設けられていなくてもよい。例えば、
図10に示す第7実施形態のガイドワイヤ1Fでは、コアシャフト10Fは、基端側から先端側に向かって順に、第一太径部15と、第二太径部16と、テーパー部17と、細径部18とを有している。第一太径部15は、コアシャフト10Fにおいて外径が最大となる最大外径部であり、外径が一定となっている。第二太径部16は、外径が第一太径部15よりも小さく、外径が一定となっている。テーパー部17および細径部18は、第一実施形態のテーパー部12および細径部13と同様である。そして、コイル体20Fの疎巻き部22は、最大外径部の第一太径部15ではなく、第二太径部16を覆う位置に設けられている。
【0069】
この構成であっても、疎巻き部22によって、湾曲時におけるコイルの詰まりが緩和される。また、湾曲時にコイル体20Fがコアシャフト10Fの第二太径部16に接触してコアシャフト10Fが軸方向に引っ張られることを緩和することができる。よって、第7実施形態のガイドワイヤ1Fによっても、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能が低下することを抑制できる。
【0070】
<第8実施形態>
図12は、第8実施形態のガイドワイヤ1Gの全体構成を示す部分断面概要図である。第1実施形態のガイドワイヤ1は、基端接合部52において、コイル体20の基端がコアシャフト10の基端に接続されている(
図1)。しかし、コイル体20の基端は、コアシャフト10の基端以外の部位に固定されていてもよい。例えば、
図12に示す第8実施形態のガイドワイヤ1Gのように、コイル体20Gの基端は、コアシャフト10Gの中間部付近に固定されていてもよい。ここでは、コイル体20Gの基端は、中間接合部56によってコアシャフト10Gの太径部19と接合されている。中間接合部56は、先端接合部51と同様の材料によって形成することができる。
【0071】
この構成であっても、疎巻き部22によって、湾曲時におけるコイルの詰まりが緩和される。また、湾曲時にコイル体20Gがコアシャフト10Gの太径部19に接触してコアシャフト10Gが軸方向に引っ張られることを緩和することができる。よって、第8実施形態のガイドワイヤ1Gによっても、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能が低下することを抑制できる。
【0072】
<第9実施形態>
図13は、第9実施形態のガイドワイヤ1Hの全体構成を示す部分断面概要図である。第1実施形態のガイドワイヤ1は、2つの中間固定部(第一中間固定部61、第二中間固定部62)を備えている(
図1)。しかし、中間固定部の数は、上記以外の構成であってもよい。例えば、
図13に示す第9実施形態のガイドワイヤ1Hのように、中間固定部を備えていなくてもよい。この構成であっても、疎巻き部22(第一疎巻き部22a、第二疎巻き部22b)のコイル間の隙間によって、湾曲時におけるコイルの詰まりが緩和される。また、2つの疎巻き部22によって、湾曲時にコイル体20Hがコアシャフト10に接触してコアシャフト10が軸方向に引っ張られことを緩和することができる。よって、第9実施形態のガイドワイヤ1Hによっても、ガイドワイヤを湾曲させたときの回転追従性能の低下を抑制できる。なお、中間固定部は、3つ以上形成さていてもよいし、1つ形成されていてもよい。また、幅や大きさ、固定方法は上記以外の構成であってもよい。
【0073】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0074】
[変形例1]
第1〜9実施形態のガイドワイヤ1,1A〜1Hは、コイル体20,20A〜20Hの外表面の少なくとも一部に樹脂皮膜(第一樹脂皮膜71または第二樹脂皮膜72)が形成されていた。しかし、ガイドワイヤは、コイル体の外表面に全く樹脂皮膜が形成されておらず、全体が露出していてもよい。また、ガイドワイヤは、コイル体20の外表面の少なくとも一部が金属など樹脂以外の皮膜によって覆われていてもよい。第1〜9実施形態のガイドワイヤは、疎巻き部22に樹脂皮膜が形成されていない。しかし、疎巻き部22の少なくとも一部に樹脂皮膜が形成されていてもよい。また、コイル体の外表面に形成されている樹脂皮膜は、疎巻き部22において分断されず、疎巻き部22を介して両側の密巻き部23に形成されている樹脂皮膜がつながっていてもよい。なお、疎巻き部22には、樹脂皮膜が形成されていない方が好ましい。
【0075】
[変形例2]
第1実施形態のガイドワイヤ1は、コイル体20と内側コイル体30の両方の同一位置に疎巻き部22が設けられていてもよい。この場合、ガイドワイヤ1の先端を湾曲変形する際に、湾曲を容易にして、塑性変形性能を向上させることができる。
【0076】
[変形例3]
第1実施形態のガイドワイヤ1は、コイル体20の外径D2が一定でなくてもよい。また、ガイドワイヤ1は、内側コイル体30の外径D3が一定でなくてもよい。また、コアシャフト10の太径部11の外径D1が一定でなくてもよい。
【0077】
[変形例4]
第1実施形態のガイドワイヤ1は、密巻き部23が、疎巻き部22の両側ではなく、片側のみに形成されていてもよい。すなわち、疎巻き部22がコイル体20の先端または基端に形成されていてもよい。なお、疎巻き部22は、コイル体20の中間付近に設けられ、両側に密巻き部23が形成されている方が好ましい。
[変形例5]
第1実施形態のガイドワイヤ1は、疎巻き部22が、コイル体20において、コアシャフト10の内側コイル体30が巻回されている部分を覆う位置に設けられていてもよい。この場合であっても、湾曲時におけるガイドワイヤの回転追従性能の低下を抑制することができる。
【0078】
[変形例6]
第1〜9実施形態のガイドワイヤの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態のガイドワイヤ1A(
図6)は、第3実施形態の密巻き部23(
図7)のように、外表面の一部に樹脂皮膜が形成されていなくてもよい。また、例えば、第5実施形態(
図9)のように内側コイル体30を備えていなくてもよい。また、例えば、第4実施形態のガイドワイヤ1C(
図8)は、第6実施形態のコイル体20E(
図10)のように、疎巻き部22以外の全体が単一種類の樹脂皮膜によって被覆されていてもよい。
【0079】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。