(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0018】
[実施形態]
この実施形態においては、まず、
ガスコンロ(加熱調理器)の基本構成について説明した後、調理容器の特徴的構成、および、
本発明の調理容器を用いて調理を行うのに適したガスコンロの特徴的構成について説明する。
【0019】
<加熱調理器の基本構成>
本発明の調理容器を用いて調理を行うのに適したガスコンロ(この実施形態ではグリル付きガスコンロ)Aは、
図1に示すように、高火力バーナ1a,1b、および小バーナ1cの3つのコンロバーナを備えており、トッププレートの上部に、高火力バーナ1a、高火力バーナ1b、および小バーナ1cに対する鍋などの被加熱物(調理容器)を受け止め、支持するための五徳51が載置されている。
【0020】
そして、高火力バーナ1aには、被加熱物(例えば、調理容器Bの底)に接触してその温度を検出するためのサーミスタからなる温度検出体(鍋底温度センサ)9が,高火力バーナ1aの中央を貫通するように配設されている。
なお、この温度検出体(鍋底温度センサ)9を備えた高火力バーナ1aにより、炊飯、湯沸かし、揚げものなどの温調調理を行うことが可能である。
【0021】
なお、すべてのコンロバーナに温度検出体(鍋底温度センサ)9を備えるように構成し、すべてのコンロバーナにより、炊飯、湯沸かし、揚げものなどの温調調理を行うように構成してもよい。
【0022】
また、グリル部4は、前面部が開口した箱状に形成されたグリル庫内に、魚などの被調理物を載置するための載置部として機能する焼き網を設けて構成されている。また、グリル庫内には、1つの上側バーナ2a(
図2参照)と2つの下側バーナ2b,2c(
図2参照)が配設されている。
【0023】
さらに、ガスコンロAの前側面には、上述のコンロバーナとグリルバーナの点火および消火、火力調節と各種の設定とを指令する手動操作部34(
図1参照)が設けられている。
【0024】
また、ガスコンロAの前側面には、自動復帰型の押し操作式の電源スイッチ24が設けられている。
【0025】
上記手動操作部34は、コンロバーナ(高火力バーナ1a,1b、小バーナ1c)の夫々に対して各別に点火・消火や火力調節を指令するための3つの加熱状態調節部21(21a,21b,21c)、高火力バーナ1aの温調機能(湯沸かし、揚げ物、炊飯)とタイマ機能についての操作および表示を行う高火力バーナ用の付加機能操作・表示部32、グリルバーナ(上側バーナ2aと2つの下側バーナ2b,2c)の火力調節などを行うグリルバーナ操作部22、グリルバーナの作動状態の切り換えを指令するグリル用の付加機能操作・表示部33などを備えている。
【0026】
なお、器具本体10の前面右上に配置された電源スイッチ24をONにして電源ランプ25が点灯した後に、上記高火力バーナ操作部21a、高火力バーナ操作部21b、および小バーナ操作部21cを押し込み操作することにより、高火力バーナ1a、高火力バーナ1b、および小バーナ1cが点火するとともに、各バーナ操作部21a,21b,21cが内部から飛び出して、火力調節を行うことができるように構成されている。
【0027】
また、高火力バーナ1a,高火力バーナ1b,小バーナ1cに点火した場合には、燃焼表示ランプ23が点灯して、点火を確認することができるように構成されている。
【0028】
また、各バーナ操作部21a,21b,21cを再度押し込むことにより、高火力バーナ1a,高火力バーナ1b,小バーナ1cの消火動作が実行されるとともに、各バーナ操作部21a,21b,21cが器具本体10の内部に収納されるように構成されている。
【0029】
高火力バーナ1a,高火力バーナ1b,小バーナ1cの消火動作が終わった場合には、燃焼表示ランプ23が消灯して、消火を確認することができるように構成されている。さらに、グリルバーナ操作部22についても、同様に、グリルバーナ操作部22を再度押し込むことにより、消火動作が実行されるとともに、グリルバーナ操作部22が器具本体10の内部に収納されるように構成されている。
なお、このような操作部の構成は周知であるので詳細な説明は省略する。
【0030】
また、
図1に示すように、器具本体10の前面の、高火力バーナ1aの位置する側である左側の下部には、使用しない時には器具本体10の内部に収納され、使用時には操作・表示位置に移行するように構成された、高火力バーナ1aの温調機能(湯沸し、揚げ物、炊飯)とタイマ機能についての操作および表示を行うバーナ用の付加機能操作・表示部32が配設されている。なお、高火力バーナ1a用の付加機能操作・表示部32(
図3参照)は、いわゆるカンガルーポケット機構により、使用時には前・下側に回動して操作および表示が可能な操作・表示位置に移行でき、使用しない時には、器具本体10の内部に保持できるように構成されている。
【0031】
さらに、
図1に示すように、器具本体10の前面の右側下部には、使用しない時には器具本体10の内部に収納され、使用時には操作・表示位置に移行できるように構成された、グリルバーナのオート調理機能(メニュー、焼き加減)とタイマ機能についての操作および表示を行うグリル用の付加機能操作・表示部33が配設されている。
【0032】
なお、グリル用の付加機能操作・表示部33は、上述の高火力バーナ用の付加機能操作・表示部32と同様に、いわゆるカンガルーポケット機構により、使用時には前・下側に回動して操作および表示が可能な操作・表示位置に移行でき、使用しない時には器具本体10の内部に保持できるように構成されている。
なお、このようないわゆるカンガルーポケット機構は周知であるので詳細な説明は省略する。
【0033】
また、
図2に示すように、高火力バーナ1a、高火力バーナ1b、小バーナ1cの夫々には、点火作動を実行する点火装置としての点火プラグ7および着火状態を検出するための熱電対8が設けられ、グリルバーナにおけるバーナ(上側バーナ2a、下側バーナ2b,2c)の夫々にも、点火作動を実行する点火装置としての点火プラグ7および着火状態を検出するための熱電対8が設けられている。
【0034】
コンロバーナおよびグリルバーナへのガス供給に関する構成は以下のとおりである。
元ガス供給路(主ガス配管)11に元ガス電磁弁12が設けられ、この元ガス供給路11から、高火力バーナ用分岐路13a、高火力バーナ用分岐路13b、小バーナ用分岐路13c、グリルバーナ用分岐路13dに分岐されている。
【0035】
これらの各分岐路の夫々には、ガス量を調整して各バーナの加熱量を調整する流量制御弁(ステッピングモータにより駆動されるガス量調節弁)3と、その開度位置を検出する位置センサ19が設けられている。
【0036】
加熱状態調節部21(21a、21b、21c)が器具本体10の前面から突出した燃焼状態で、加熱状態調節部21(21a,21b,21c)を指で摘んで回動操作するとこれがロータリーエンコーダ(図示せず)により検出され、制御部に入力される。
【0037】
制御部は、ロータリーエンコーダからの信号に応じ、ステッピングモータを駆動することによりコンロ部のガス量を制御する。
なお、炊飯モード、湯わかしモードなどの温調制御を行うときは、加熱状態調節部21(21a,21b,21c)の回動操作位置によらず、制御に適した値となるようにコンロ部のガス量が制御される。
また、流量制御弁3は、調整流量を零にする遮蔽状態にも切り換え可能に構成されている。
【0038】
なお、ガスコンロAでは、上記のようにステッピングモータにより駆動されるガス量調節弁が設けられているが、機械式にガス量制御される場合も、機械式の手動ガス量調節弁と直列にガス量制限のためのガス電磁弁を装備することにより、後述の各モード処理の実行が可能である。
【0039】
ただし、機械式の手動ガス量調節弁を用いる場合は、各モード実行の前に、使用者が手動調節弁を最大ガス量位置等に調節しておくことにより確実な制御が実行される。
【0040】
なお、ステッピングモータにより駆動されるガス量調節弁が設けられている場合は、各モード実行時のガス量調節位置に関わらず、制御部は、最小から最大の範囲で任意のガス量に制御することが可能であることから、各モード実行の前の使用者による最大ガス量位置等への調節の必要はない。
【0041】
そして、このガスコンロAではタイマ調理が実行可能で、
図3に示す高火力バーナ1a用の付加機能操作・表示部32の、タイマ設定部41を操作して、タイマ調理用残時間を設定して高火力バーナ1aによる加熱を開始すると、高火力バーナ1aによるタイマ調理を実行する。
【0042】
タイマ調理の実行中は、タイマ調理用残時間が時間の経過とともに減少して更新されるとともに、タイマ時間表示部42に表示される。そして、更新されたタイマ調理用残時間がゼロになった時点で高火力バーナ1aによる加熱を停止してタイマ調理を終了する、いわゆる減算式タイマによるタイマ調理機能を備えている。
【0043】
<調理容器の特徴的構成>
次に、調理容器Bの特徴的構成について説明する。なお、ここでは、上記ガスコンロAの高火力バーナ1a上に載置されて調理に用いられる調理容器Bを例にとって説明する。
【0044】
(
本発明が関連する発明の実施形態(第1実施形態))
本発明が関連する発明の第1実施形態にかかる調理容器B(B1)は、
図4,
図5に示すように、ガスコンロAの、温度検出体9を具備する高火力バーナ1a上に載置され加熱される外鍋部61と、被調理物50を収容する内鍋部71とを備えており、外鍋部61の中の所定位置に内鍋部71が配置されたとき、外鍋部61と内鍋部71との間に空隙65が形成されるように構成されている。
【0045】
空隙65は、
図5に示すように、外鍋部61の内周面(側壁)61aと、内鍋部71の外周面(側壁)71aとの間に形成される円筒状空隙65aと、外鍋部61の底面61bと、内鍋部71の底面71bとの間に形成される略平坦な底部空隙65bとを備えている。
【0046】
この第1実施形態にかかる調理容器B1では、スペーサ52によって、内鍋部71が外鍋部61の中の所定位置に維持されるように構成されている(
図5)。なお、特に
図5には示していないが、内鍋部71が外鍋部61内で径方向に位置ずれしないような係合構造部が、スペーサ52と内鍋部71の少なくとも一方に形成されている。
【0047】
そして、高火力バーナ1aが備える温度検出体9が、調理容器B1を構成する内鍋部71の底面71bに当接することができるように構成されている。具体的には、外鍋部61の底面61bに温度検出体9が挿通する温度検出体挿通口62が形成されており、温度検出体9が温度検出体挿通口62を通過して、内鍋部71の底面71bに当接するように構成されている。(
図4、
図5)
これにより、温度検出体9が、温度検出体挿通口62を経て、直接に調理容器B1の内鍋部71の底面71bに当接し、内鍋部71の底面71bの温度を検出することができるため、自動温度調節機能による調理を適正に行うことが可能になる。
【0048】
なお、調理容器B1においては、外鍋部61の底面61bに、空隙65(65a,65b)に流下した煮汁を排出する開口部67が形成されている(
図4、
図5)。この点は、以下に説明する
本発明が関連する発明の第2実施形態(
図6A、
図6B)
および第3実施形態(
図7)、
本発明の実施形態である第4実施形態(
図8)および
本発明が関連する発明の第5実施形態(
図9(a),(b)、
図10,および
図11)においても同様である。
【0049】
ただし、空隙65に流下した煮汁を排出する開口部67が形成されるようにした点は任意の構成であり、開口部を備えていない構成とすることも可能である。
この点は、以下の第2実施形態(
図6A、
図6B)、第3実施形態(
図7)、第4実施形態(
図8)および第5実施形態(
図9(a),(b),
図10,
図11)の場合も同様である。
【0050】
上述のように、空隙65に流下した煮汁を排出する開口部67を備える構成とした場合、外鍋部61と内鍋部71の間の空隙65に煮汁が流下したときにも、煮汁が開口部67から排出されるので、外鍋部61と内鍋部71の間の空隙65に煮汁が停滞することを防止できて好ましい。
【0051】
また、空隙65に流下した煮汁を排出する開口部67を備える構成とした場合、図示は省略するが、外鍋部61の底面61bの中心領域から外鍋部61の底面61bの周縁領域に向けて、下り勾配となる傾斜を設け、この傾斜の最も低くなる位置に開口部67が位置するように構成することが望ましい。
このようにした場合、外鍋部61と内鍋部71の間の空隙65に煮汁が流下したときに、開口部67からの煮汁の排出を促進することができる。
【0052】
(
本発明が関連する発明の第2実施形態)
図6Aは、
本発明が関連する発明の第2実施形態にかかる調理容器B(B2a)を示す図である。
図6Aに示す第2実施形態の調理容器B(B2a)は、内鍋部71の底面71bに、下方向に突出する突出部72を形成し、この突出部72の下面が、外鍋部61の底面61bに形成された温度検出体挿通口62から、外鍋部61の下面側に露出し、高火力バーナ1aが備える温度検出体9と当接するように構成されている。
【0053】
なお、第2実施形態にかかる調理容器B(B2a)でも、スペーサ52によって、内鍋部71が外鍋部61の中の所定位置に維持されるように構成されている。
【0054】
また、
図6Bは、第2実施形態にかかる調理容器B(B2a)の変形例にかかる調理容器B(B2b)を示す図である。
図6Bに示す調理容器B2bは、上記突出部72の下面が外鍋部61の底面61bと当接するように構成されている。このように構成した場合、高火力バーナ1aが備える温度検出体9が外鍋部61の底面61bに当接することで、内鍋部の底面(突出部72の下面)の温度が、外鍋部61の底面61bを介して、温度検出体9により検出されることになる。
【0055】
上述のように、
図6Aに示す、第2実施形態の調理容器B(B2a)では、内鍋部61の底面に、下方向に突出する突出部72を形成し、突出部72が外鍋部61の底面61bより下側に露出して温度検出体9に当接するように構成されているので、内鍋部71の底面71bの温度を温度検出体9により確実に検出して、自動温度調節機能による調理を適正に行うことが可能になる。
【0056】
また、
図6Bに示す、第2実施形態の変形例にかかる調理容器B(B2b)の場合も、内鍋部71の底面71bの温度を、外鍋部61の底面61bを介して、温度検出体9により検出することができるので、自動温度調節機能による調理を適正に行うことができる。
【0057】
(
本発明が関連する発明の第3実施形態)
図7は、
本発明が関連する発明の第3実施形態にかかる調理容器B(B3)を示す図である。第3実施形態にかかる調理容器B3は、
図7に示すように、内鍋部71の底面71bと外鍋部61の底面61bとの間に熱伝導体53が配置されるように構成されている。
【0058】
なお、第3実施形態にかかる調理容器B3では、内鍋部71を、その底面71bが外鍋部61の底面61bとの間に間隙65を保持しつつ内鍋部71を外鍋部61内の所定位置に保持するためのスペーサ52が、熱伝導体53としても機能するように構成されている。
【0059】
第3実施形態にかかる調理容器B(B3)では、内鍋部71の底面71bからの熱が、熱伝導体53および外鍋部61の底面61b(底部)を経て、温度検出体9に伝わることで、内鍋部71の底面71bの温度が検出される。
その結果、温度検出体9による検出温度に応じて高火力バーナ1aの火力が増減される自動温度調節機能による調理を行うことが可能になる。
【0060】
(
本発明の実施形態である第4実施形態)
図8は、
本発明の実施形態である第4実施形態にかかる調理容器B(B4)を示す図である。第4実施形態にかかる調理容器B4では、外鍋部61の底面61bにおいて温度検出体9が当接する、温度検出体当接予定領域61cと、内鍋部71の底面71bとの間に、熱伝導体53が配置されている。
【0061】
上述のように構成された第4実施形態にかかる調理容器B(B3)の場合、高火力バーナ1aが備える温度検出体9によって当該調理容器Bの底面の温度をより適正に検出することが可能になり、自動温度調節機能による調理を適正に行うことができる。
【0062】
(
本発明が関連する発明の第5実施形態)
図9(a),(b)、
図10、および
図11は、本発明
が関連する発明の第5実施形態にかかる調理容器B(B5)の構成を示す図である。
【0063】
第5実施形態にかかる調理容器B5の場合、
図9(a),(b)、
図10、および
図11に示すように、外鍋部61の内周面61aに内鍋部71を支持する支持体、すなわち、高位置支持用の支持体66aおよび低位置支持用の支持体66bが、周方向に交互に複数個(第5実施形態ではそれぞれ4個で合計8個)配設されており、また、内鍋部71の外周面71aには、径方向の外側に突出するように配設された複数(第5実施形態では周方向に4個)の被支持体76が配設されている。詳しくは、第5実施形態にかかる調理容器B5では、調理容器B5を構成する外鍋部61の上端から高位置支持用の支持体66aの水平部上面までの距離H1が、外鍋部61の上端から低位置支持用の支持体66bの水平部上面までの距離H2よりも小さくなるように構成されている。
【0064】
そして、内鍋部71の被支持体76が、外鍋部61の内周面61aに配設された高位置支持用の支持体66a、あるいは低位置支持用の支持体66bによって懸架されることにより、内鍋部71が、外鍋部61に対して着脱自在に、かつ、所定の位置、詳しくは、高さ方向の位置および径方向の位置が所定の位置に保たれるように構成されている。
【0065】
なお、
図10および
図11では、内鍋部71が備える被支持体76が、外鍋部61が備える高位置支持用の支持体66aによって懸架され、内鍋部71が外鍋部61における高位置に支持されている状態を示している。
【0066】
この第5実施形態にかかる調理容器B5において、
(a)内鍋部71が備える被支持体76が、外鍋部61の高位置支持用の支持体66aに載置されたとき、外鍋部61の底面61bと内鍋部71の底面71bとの距離が大きくなり、内鍋部71が、外鍋部61における高位置に支持され(
図10および
図11)、また、
(b)内鍋部71の被支持体76が、低位置支持用の支持体66bに載置されたとき、外鍋部61の底面61bと内鍋部71の底面71bとの距離が小さくなり、内鍋部が、外鍋部における低位置に支持されることになる。
【0067】
第5実施形態の調理容器B5においては、上述のように、内鍋部71が、外鍋部61に対して着脱自在に、かつ、高位置支持用の支持体66a、あるいは低位置支持用の支持体66bに懸架されて所定高さ位置に支持されるように構成されている。
【0068】
したがって、内鍋部71を外鍋部61から取り外して、外鍋部61と内鍋部71との間の空隙の清掃が容易に行うことができる。
また、調理の種類に応じて外鍋部61の底面61bと内鍋部71の底面71bとの距離を変更することができるので使い勝手を向上させることが可能になる。
【0069】
(
本発明が関連する発明の第6実施形態)
図12は、本発明
が関連する発明の第6実施形態にかかる調理容器B(B6)を示す図であって、外鍋部に内鍋部の装着を完了する前の状態を示す側断面図、
図13は、外鍋部への内鍋部の装着を完了した状態を示す側断面図である。
【0070】
この第6実施形態にかかる調理容器B6は、
図12、
図13に示すように、内鍋部71の外周面71aに鍔体78を設け、この鍔体78の下面の、内鍋部71の外周面71aから径方向外側に所定距離だけ離れた位置に、内鍋部71の周方向に沿うように位置決め用溝状部79を設け、外鍋部61の上端が、この位置決め用溝状部79に嵌り込むことにより、外鍋部61内の所定位置に内鍋部71が位置されるように構成されている。
【0071】
なお、第6実施形態にかかる調理容器B6では、外鍋部61の底面に、温度検出体9が挿通する温度検出体挿通口62を備えているが、煮汁を排出する開口部67は設けていない。これは、内鍋部71が鍔体78を備えており、外鍋部61と内鍋部71の間の空隙65に煮汁が流れ込むことが鍔体78により阻止されるため、煮汁が空隙65に流れ込むおそれがないことによる。
【0072】
この第6実施形態の調理容器B6の場合、位置決め用溝状部79が形成された鍔体78を内鍋部71に設けるだけで、外鍋部61と内鍋部71との位置決めを容易かつ確実に行うことが可能になり、使い勝手のよい調理容器を提供することが可能になる。
【0073】
なお、第6実施形態の調理容器B6において、
図14(a)に示すように、外鍋部61の上端に切り欠き部68を形成するとともに、外鍋部61の底面に煮汁を排出するための開口部(図示せず)を設けるように構成することも可能である。
【0074】
また、切り欠き部68は、
図14(a)に示すように、外鍋部61の上端に形成する場合に限らず、例えば
図14(b)に示すように、外鍋部61の外周壁の上端より少し下側の位置に貫通孔として切り欠き部68を設けるように構成してもよい。
【0075】
上述のように、外鍋部61の底面に煮汁を排出するための開口部を設けるとともに、外鍋部61の上端あるいは上部に切り欠き部68を設けるようにした場合、外鍋部61と内鍋部71の間の空隙65に煮汁が流下したときにも、煮汁を容易に排出することができるとともに、調理容器B6がガスコンロA上で加熱されたとき、ガスコンロAからの熱気が、外鍋部61に形成された開口部から空隙65に流入して、外鍋部61の上端の切欠き部68から排出されることで、ガスコンロAからの熱を内鍋部71内の被調理物50に効率よく伝播させることが可能になり、本発明をより実効あらしめることができる。
【0076】
なお、この第6実施形態の調理容器B6において、鍔体78を内鍋部71の全周ではなく、周方向に所定の間隔をおいて複数個に分割して配設するように構成することも可能である。
【0077】
<ガスコンロの特徴的構成>
本発明による調理容器Bを用いて加熱調理を行うのに使用されるガスコンロAは、以下に説明するような特徴的な構成を備えている。
【0078】
図1および
図2に示すように、調理容器Bの下側から調理容器Bと当接する、高火力バーナ1aが備える温度検出体9と、高火力バーナ1aの火力を制御する制御部を備えている。
【0079】
制御部は、手動操作部34にて設定された設定温度を目標値として、温度検出体9の検出温度が目標値より小さいときに、高火力バーナ1aの火力を所定の大火力(例えば4000kcal/時)とし、温度検出体9の検出温度が目標値より大きいときには、高火力バーナ1aの火力を所定の設定最小火力(例えば300kcal/時)とする、自動温度調節機能による調理を実行することができるように構成されている。
【0080】
また、手動操作部34は、50℃、67℃、160℃、180℃、200℃の各温度を設定温度として設定できるように構成されおり、100℃未満の温度を設定して、自動温度調節機能による調理を実行することができるように構成されている(
図3)。
因みに、設定温度を50℃とすることにより、短時間で日本酒の熱燗を行うことが可能になる。
【0081】
また、卵を湯水中にて加熱調理したとき、黄身が固まる温度が65℃〜70℃であり、白身が固まる温度が75℃〜78℃程度であることを利用して、設定温度を67℃とすることにより、白身が固まらず黄身だけが固まった温泉卵を簡単に作ることができる。つまり、設定温度を67℃として自動温度調節機能による調理を実行することで、温泉卵を簡単に作ることができる。
【0082】
上述のように、
ガスコンロAによれば、本発明の調理容器Bを用いて、高火力バーナ1aが備える温度検出体9の検出温度に応じて高火力バーナ1aの火力が増減される自動温度調節機能による調理を容易に行うことが可能になり、有意義である。
【0083】
また、本発明の実施形態にかかる調理容器Bでは、制御部が、温度検出体9の検出温度の上昇速度が所定の上昇速度(例えば、1分当たりの上昇温度が1℃)以下となったときに、検出温度の平衡が検出されたと判定するように構成されている。
【0084】
そして、手動操作部34にて設定された設定温度が100℃未満である状態において、上述の高火力バーナ1aの火力が設定最小火力(例えば300kcal/時)であるときに、温度検出体9の検出温度が設定温度以上となった状態で検出温度の平衡が検出されたときには、制御部が報知を行うように構成されている。
【0085】
つまり、本発明の実施形態にかかる上記調理容器Bを用いた場合において、設定温度が100℃未満に設定されたときに、温度検出体9の検出温度が設定温度(100℃未満の設定温度)以上となったときには、高火力バーナ1aの火力が設定最小火力(例えば300kcal/時)に調節されるため、温度検出体9の検出温度が設定温度(100℃未満の設定温度)以下に低下することになるはずである。
【0086】
それにもかかわらず、温度検出体9の検出温度が設定温度以上となった状態で検出温度の平衡が検出されるということは、上述の構成を備えた本発明の調理容器Bが用いられるべきところを、誤って一般の調理容器が用いられている蓋然性が高い。そこで、その場合に、上述の報知を行うことによって、使用者に調理容器の選択に誤りがあることを知らせることが可能になる。
なお、上記報知を行う点は、任意の構成であり、上記報知を行わないように構成することも可能である。
【0087】
なお、上記のガスコンロAでは、手動操作部34にて設定される設定温度を50℃、67℃、160℃、180℃、200℃としたが、手動操作部34にて設定される設定温度は、適宜変更して設定できるように構成することも可能である。
【0088】
上述のように構成された、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、および第6実施形態にかかる調理容器B(B1,B2a,B2b,B3,B4,B5,およびB6)においては、いずれの場合も、ガスコンロA上に載置され加熱される外鍋部61と被調理物50を収容する内鍋部71との間に空隙65が形成されるように構成されているので、第1〜第6実施形態の調理容器Bを用いることで、ガスコンロAに設定されている設定最大火力が高火力である場合にも、ガスコンロAからの加熱による被調理物50への熱の伝播を緩やかにすることができる。
【0089】
また、温度検出体9が、内鍋部71の底面71bに当接可能に構成され、あるいは、内鍋部71の底面71bと外鍋部61の底面61bとの間に熱伝導体53が配置されるように構成されているので、ガスコンロAの高火力バーナ1aが備える温度検出体9によって調理容器Bの底面の温度を確実に検出することが可能になる。
【0090】
したがって、上述の第1実施形態〜第6実施形態にかかる調理容器Bを用い、
かつ、上述のように構成されたガスコンロAを使用することで、例えば、設定温度が100℃未満の低温に設定された場合にも、ガスコンロAの高火力バーナ1aが備える温度検出体9による検出温度に応じて、ガスバーナ(高火力バーナ1a)の火力が増減される自動温度調節機能による調理を適正に行うことが可能になる。すなわち、設定温度が100℃未満の低温に設定された場合にも、被調理物が加熱されすぎて発泡したり、焦げ付いたりすることのない、良好な自動温度調節機能による調理を行うことができるようになる。
【0091】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。