特許第6866544号(P6866544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6866544-二枚貝除殻装置 図000002
  • 特許6866544-二枚貝除殻装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866544
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】二枚貝除殻装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 29/04 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
   A22C29/04
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-64807(P2019-64807)
(22)【出願日】2019年3月11日
(65)【公開番号】特開2020-146023(P2020-146023A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年4月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518390594
【氏名又は名称】メカテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】花村 健
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−187640(JP,A)
【文献】 特開平08−289718(JP,A)
【文献】 特開2015−057971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1の殻が上側に位置し第2の殻が下側に位置するように二枚貝を把持する複数のテーブル治具が、テーブル上面に平面視で互いに一定の中心角を隔てて円周方向に並んで装着される一方、鉛直方向に伸びる回転軸を中心にして前記中心角と同一の回転角で間欠的に回転するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの周囲に配置され、二枚貝又は該二枚貝の構成部分に対して所定の処理、加工又は移送を行う二枚貝処理機構とを備えている、二枚貝を開殻して該二枚貝の身から殻を除去する二枚貝除殻装置であって、
前記二枚貝処理機構は、それぞれ前記ターンテーブルの回転停止時において前記複数のテーブル治具と対向する位置に配置され、前記ターンテーブルの回転方向に順に並ぶ第1〜第6のステーションを有し、
第1のステーションに、順次各テーブル治具に二枚貝を投入する二枚貝投入装置が配設され、
第2のステーションに、二枚貝の所定の部位で第1及び第2の殻の端部を切除する殻カット装置が配設され、
第3のステーションに、二枚貝を所定の高さ位置に位置決めする二枚貝位置決め装置が配設され、
第4のステーションに、貝柱上部を切断する第1貝柱カット装置が配設され、
第5のステーションに、貝柱下部を切断する第2貝柱カット装置が配設され、
第6のステーションに、二枚貝の身から殻を除去する殻除去装置が配設され、
二枚貝は牡蠣であり、
前記二枚貝投入装置は、二枚貝投入コンベアによって搬送されている複数の二枚貝のうちの1つの二枚貝を、該二枚貝投入装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に移載し、
前記殻カット装置は、該殻カット装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の所定の部位で、第1及び第2の殻の端部を切除して両殻間に開口部を形成し、
前記二枚貝位置決め装置は、該二枚貝位置決め装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝をカメラで撮影して該二枚貝の高さ位置を検出しつつ、該二枚貝の開口部が所定の高さ位置にくるように、テーブル治具昇降装置により該テーブル治具を昇降させ、
前記第1貝柱カット装置は、該第1貝柱カット装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の開口部を経由して二枚貝内に空気を噴射しつつ、該開口部を経由して二枚貝内に切断刃を挿入して貝柱上部を切断することにより該貝柱と第1の殻とを切り離し、二枚貝の蝶番部を中心にして第1の殻を上方に回動させて二枚貝を開殻し、
前記第2貝柱カット装置は、該第2貝柱カット装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の身を真空吸引により持ち上げつつ切断刃で貝柱下部を切断することにより該貝柱と第2の殻とを切り離し、
前記殻除去装置は、該殻除去装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の身を真空吸引により吸着して該テーブル治具から取り出す一方、第1及び第2の殻を把持して該テーブル治具から取り出すことを特徴とする二枚貝除殻装置。
【請求項2】
それぞれ第1の殻が上側に位置し第2の殻が下側に位置するように二枚貝を把持する複数のテーブル治具が、テーブル上面に平面視で互いに一定の中心角を隔てて円周方向に並んで装着される一方、鉛直方向に伸びる回転軸を中心にして前記中心角と同一の回転角で間欠的に回転するターンテーブルと、
前記ターンテーブルの周囲に配置され、二枚貝又は該二枚貝の構成部分に対して所定の処理、加工又は移送を行う二枚貝処理機構とを備えている、二枚貝を開殻して該二枚貝の殻から身を取り出す二枚貝除殻装置であって、
前記二枚貝処理機構は、それぞれ前記ターンテーブルの回転停止時において前記複数のテーブル治具と対向する位置に配置され、前記ターンテーブルの回転方向に順に並ぶ第1〜第6のステーションを有し、
第1のステーションに、順次各テーブル治具に二枚貝を投入する二枚貝投入装置が配設され、
第2のステーションに、二枚貝の所定の部位で第1及び第2の殻の端部を切除する殻カット装置が配設され、
第3のステーションに、二枚貝を所定の高さ位置に位置決めする二枚貝位置決め装置が配設され、
第4のステーションに、貝柱上部を切断する第1貝柱カット装置が配設され、
第5のステーションに、二枚貝から貝柱以外の身を取り出した上で、貝柱下部を切断する第2貝柱カット装置が配設され、
第6のステーションに、テーブル治具から貝柱と第1及び第2の殻とを分離して取り出す分離取出し装置が配設され、
二枚貝は帆立貝であり、
前記二枚貝投入装置は、二枚貝投入コンベアによって搬送されている複数の二枚貝のうちの1つの二枚貝を、該二枚貝投入装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に移載し、
前記殻カット装置は、該殻カット装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の所定の部位で、第1及び第2の殻の端部を切除して両殻間に開口部を形成し、
前記二枚貝位置決め装置は、該二枚貝位置決め装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝をカメラで撮影して該二枚貝の高さ位置を検出しつつ、該二枚貝の開口部が所定の高さ位置にくるように、テーブル治具昇降装置により該テーブル治具を昇降させ、
前記第1貝柱カット装置は、該第1貝柱カット装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の開口部を経由して二枚貝内に空気を噴射しつつ、該開口部を経由して二枚貝内に切断刃を挿入して貝柱上部を切断することにより該貝柱と第1の殻とを切り離し、二枚貝蝶番部を中心にして第1の殻を上方に回動させて二枚貝を開殻し、
前記第2貝柱カット装置は、該第2貝柱カット装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝から貝柱外身取出し装置で貝柱以外の身を取り出した上で、貝柱下部を切断することにより該貝柱と第2の殻とを切り離し、
前記分離取出し装置は、該分離取出し装置と対向する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の貝柱を真空吸引により吸着して該テーブル治具から取り出す一方、第1及び第2の殻を把持して該テーブル治具から取り出すことを特徴とする二枚貝除殻装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に、牡蠣、帆立貝等の二枚貝を開殻して、該二枚貝の身から殻を除去し又は該二枚貝の殻から身を取り出す二枚貝除殻装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
剥き身の形態で出荷されることが多い二枚貝(例えば、牡蠣、帆立貝など)は、一般に、その養殖場ないしは採取場の近辺の加工場で開殻され、除殻される。従来、このような開殻作業及び除殻作業は、主として刃物等の道具を用いて手作業で行われている。しかし、このような手作業による開殻作業及び除殻作業は、かなりの熟練を要するとともに、一人あたりの処理量が少ないので多数の人手を必要とし、人件費が高くつくといった問題がある。そこで、熟練を要する手作業を必要とせずに二枚貝を開殻ないしは除殻する開殻装置ないしは開殻方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−252711号公報
【特許文献2】特開2000−157157号公報
【特許文献3】特開2006−280348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された牡蠣の身の取出し手法では、開殻及び除殻を行う前に牡蠣を苦汁溶液に浸漬して牡蠣の殻を半開させるようにしているので、牡蠣を苦汁溶液に浸漬するための装置及び薬剤を必要とし、開殻・除殻装置の構造が複雑なものとなる。また、牡蠣の剥き身から苦汁を完全に除去するための洗浄等の処理が必要である。
【0005】
特許文献2に開示された二枚貝の開殻手法では、二枚貝を加熱するとともに加圧して開殻するので、剥き身の鮮度ないしは品質が悪くなり、また開殻・除殻装置の構造が複雑なものとなる。特許文献3に開示された帆立貝の開殻手法ないしは脱殻手法では、帆立貝に加圧加熱水蒸気を導入して開殻ないしは脱殻を行うので、剥き身の鮮度ないしは品質が悪くなり、また除殻装置の構造が複雑なものとなる。
【0006】
本発明は、前記従来の問題を解決するためになされたものであって、剥き身の鮮度ないしは品質を低下させることなく、自動的に高速で二枚貝の開殻及び除殻を行うことができる簡素な構造の二枚貝除殻装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明の第1の態様)
前記課題を解決するためになされた本発明の第1の態様に係る、二枚貝を開殻して該二枚貝の身から殻を除去する二枚貝除殻装置は、ターンテーブル(インデックステーブル)と、ターンテーブルの周囲に配置された二枚貝処理機構とを備えている。ターンテーブルの上面には、それぞれ第1の殻が上側に位置し第2の殻が下側に位置するように二枚貝を把持する複数のテーブル治具が、平面視で互いに一定の中心角を隔てて円周方向に並んで装着されている。ターンテーブルは、鉛直方向に伸びる回転軸を中心にして前記中心角と同一の回転角で間欠的に回転する。二枚貝処理機構は、二枚貝又はその構成部分(身、殻等)に対して所定の処理、加工又は移送(移載)を行う。
【0008】
二枚貝処理機構は、それぞれターンテーブルの回転停止時において複数のテーブル治具と係合する位置に配置され、ターンテーブルの回転方向に順に並ぶ複数のステーション(ワークステーション)を有する。ここで、第1の実施態様においては、二枚貝処理機構に第1〜第5のステーションが設けられる。この場合、第1のステーションには、順次テーブル治具に二枚貝を投入する二枚貝投入装置が配設される。第2のステーションには、二枚貝を所定の高さ位置に位置決めする二枚貝位置決め装置が配設される。第3のステーションには、貝柱上部を切断する第1貝柱カット装置が配設される。第4のステーションには、貝柱下部を切断する第2貝柱カット装置が配設される。第5のステーションには、二枚貝の身から殻を除去する殻除去装置が配設される。
【0009】
また、第2の実施態様においては、二枚貝処理機構に第1〜第6のステーションが設けられる。この場合、第1のステーションには、順次テーブル治具に二枚貝を投入する二枚貝投入装置が配設される。第2のステーションには、二枚貝の所定の部位で第1及び第2の殻の端部を切除(切断)する殻カット装置が配設される。第3のステーションには、二枚貝を所定の高さ位置に位置決めする二枚貝位置決め装置が配設される。第4のステーションには、貝柱上部を切断する第1貝柱カット装置が配設される。第5のステーションには、貝柱下部を切断する第2貝柱カット装置が配設される。第6のステーションには、二枚貝の身から殻を除去する殻除去装置が配設される。
【0010】
二枚貝が牡蠣である場合、第2の実施態様に係る二枚貝除殻装置の二枚貝処理機構は、次のように構成するのが好ましい。
(1) 二枚貝投入装置は、二枚貝投入コンベアによって搬送されている複数の二枚貝のうちの1つの二枚貝を、該二枚貝投入装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に移載する。
(2) 殻カット装置は、該殻カット装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の所定の部位(平面視で貝柱に最も近い縁部の近傍)で、第1及び第2の殻の端部を切除(切断)して両殻間に開口部を形成する。
(3) 二枚貝位置決め装置は、該二枚貝位置決め装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝をカメラで撮影して該二枚貝の高さ位置を検出しつつ、該二枚貝の開口部が所定の高さ位置にくるように、テーブル治具昇降装置により該テーブル治具を昇降させる。
(4) 第1貝柱カット装置は、該第1貝柱カット装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の開口部を経由して二枚貝内(上部)に空気を噴射しつつ、該開口部を経由して二枚貝内に切断刃を挿入して貝柱上部を切断することにより該貝柱と第1の殻とを切り離し、二枚貝の蝶番部を中心にして第1の殻を上方に回動させて二枚貝を開殻する。なお、第1の殻は、貝柱上部の切断により自然に開殻するが、第1の殻を機械的に持ち上げることにより開殻を促進するようにしてもよい。
(5) 第2貝柱カット装置は、該第2貝柱カット装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の身を真空吸引により持ち上げつつ切断刃で貝柱下部を切断することにより該貝柱と第2の殻とを切り離す。なお、開口部を経由して二枚貝内(下部)に空気を噴射することにより身を持ち上げるようにしてもよい。
(6) 殻除去装置は、該殻除去装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の身を真空吸引により吸着して該テーブル治具から取り出す一方、第1及び第2の殻を把持して該テーブル治具から取り出す。
【0011】
なお、第1の実施態様に係る二枚貝除殻装置の場合は、二枚貝処理機構が殻カット装置を備えていないので、二枚貝位置決め装置は二枚貝の所定の部位における両殻の隙間が所定の高さ位置にくるようにテーブル治具を昇降させる。また、第1貝柱カット装置は、二枚貝の両殻の隙間を経由して二枚貝内に空気を噴射し、切断刃を挿入する。
【0012】
(本発明の第2の態様)
本発明の第2の態様に係る、二枚貝を開殻して該二枚貝の殻から身を取り出す二枚貝除殻装置は、ターンテーブルと、ターンテーブルの周囲に配置された二枚貝処理機構とを備えている。ターンテーブルの上面には、それぞれ第1の殻が上側に位置し第2の殻が下側に位置するように二枚貝を把持する複数のテーブル治具が、平面視で互いに一定の中心角を隔てて円周方向に並んで装着されている。ターンテーブルは、鉛直方向に伸びる回転軸を中心にして前記中心角と同一の回転角で間欠的に回転する。二枚貝処理機構は、二枚貝又はその構成部分(身、殻等)に対して所定の処理、加工又は移送(移載)を行う。
【0013】
二枚貝処理機構は、それぞれターンテーブルの回転停止時において複数のテーブル治具と係合する位置に配置され、ターンテーブルの回転方向に順に並ぶ複数のステーション(ワークステーション)を有する。ここで、第1の実施態様においては、二枚貝処理機構に第1〜第5のステーションが設けられる。この場合、第1のステーションには、順次テーブル治具に二枚貝を投入する二枚貝投入装置が配設される。第2のステーションには、二枚貝を所定の高さ位置に位置決めする二枚貝位置決め装置が配設される。第3のステーションには、貝柱上部を切断する第1貝柱カット装置が配設される。第4のステーションには、二枚貝から貝柱以外の身(以下「貝柱外身」という。)を取り出した上で、貝柱下部を切断する第2貝柱カット装置が配設される。第5のステーションには、テーブル治具から貝柱と第1及び第2の殻とを分離して取り出す分離取出し装置が配設される。
【0014】
また、第2の実施態様においては、二枚貝処理機構に第1〜第6のステーションが設けられる。この場合、第1のステーションには、順次テーブル治具に二枚貝を投入する二枚貝投入装置が配設される。第2のステーションには、二枚貝の所定の部位で第1及び第2の殻の端部を切除(切断)する殻カット装置が配設される。第3のステーションには、二枚貝を所定の高さ位置に位置決めする二枚貝位置決め装置が配設される。第4のステーションには、貝柱上部を切断する第1貝柱カット装置が配設される。第5のステーションには、二枚貝から貝柱外身を取り出した上で、貝柱下部を切断する第2貝柱カット装置が配設される。第6のステーションには、テーブル治具から貝柱と第1及び第2の殻とを分離して取り出す分離取出し装置が配設される。
【0015】
二枚貝が帆立貝である場合、第2の実施態様に係る二枚貝除殻装置の二枚貝処理機構は、次のように構成するのが好ましい。
(1) 二枚貝投入装置は、二枚貝投入コンベアによって搬送されている複数の二枚貝のうちの1つの二枚貝を、該二枚貝投入装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に移載する。
(2) 殻カット装置は、該殻カット装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の所定の部位で、第1及び第2の殻の端部を切除(切断)して両殻間に開口部を形成する。
(3) 二枚貝位置決め装置は、該二枚貝位置決め装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝をカメラで撮影して該二枚貝の高さ位置を検出しつつ、該二枚貝の開口部が所定の高さ位置にくるように、テーブル治具昇降装置により該テーブル治具を昇降させる。
(4) 第1貝柱カット装置は、該第1貝柱カット装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の開口部を経由して二枚貝内(上部)に空気を噴射しつつ、該開口部を経由して二枚貝内に切断刃を挿入して貝柱上部を切断することにより該貝柱と第1の殻とを切り離し、二枚貝の蝶番部を中心にして第1の殻を上方に回動させて二枚貝を開殻する。なお、第1の殻は、貝柱上部の切断により自然に開殻するが、第1の殻を機械的に持ち上げることにより開殻を促進するようにしてもよい。
(5) 第2貝柱カット装置は、該第2貝柱カット装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝から貝柱外身取出し装置で貝柱外身を取り出した上で、貝柱下部を切断することにより該貝柱と第2の殻とを切り離す。
(6) 分離取出し装置は、該分離取出し装置と係合する位置に停止しているテーブル治具に把持されている二枚貝の貝柱を真空吸引により吸着して該テーブル治具から取り出す一方、第1及び第2の殻を把持して該テーブル治具から取り出す。
【0016】
なお、第1の実施対応に係る二枚貝除殻装置の場合は、二枚貝処理機構が殻カット装置を備えていないので、二枚貝位置決め装置は二枚貝の所定の部位における両殻の隙間が所定の高さ位置にくるようにテーブル治具を昇降させる。また、第1貝柱カット装置は、二枚貝の両殻の隙間を経由して二枚貝内に空気を噴射し、切断刃を挿入する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る二枚貝除殻装置によれば、簡素な構造でもって、剥き身の鮮度ないしは品質を低下させることなく、自動的に高速で二枚貝の開殻及び除殻を行うことができ、高品質の二枚貝の剥き身を低コストで大量に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明に係る牡蠣の除殻装置の模式的な平面図である。
図2図2は、本発明に係る帆立貝の除殻装置の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態1、2を具体的に説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る、養殖場等で採取された牡蠣1を開殻してその身から殻を除去する除殻装置S1(二枚貝除殻装置)は、ターンテーブル2と、ターンテーブル2の周囲に配置され、牡蠣1に対して所定の処理、加工又は移送(移載)を行う処理ステーション3(処理機構)とを備えている。ターンテーブル2の上面には、6つのテーブル治具4が、平面視で互いに60°の中心角を隔てて円周方向に並んで装着されている。各テーブル治具4は、牡蠣1を、第1の殻(平たい方の殻)が上側に位置し、第2の殻(舟状の殻)が下側に位置するように把持する。ターンテーブル2は、鉛直方向に伸びる回転軸R1を中心にして、平面視(上面視)で1回動60°の回転角で、反時計回り方向に間欠的に回転する。
【0020】
処理ステーション3は、それぞれターンテーブル2の回転停止時において6つのテーブル治具4のいずれかと係合する位置に配置されターンテーブル2の回転方向に順に並ぶ第1〜第6ワークステーションW1〜W6を備えている。そして、第1ワークステーションW1には、テーブル治具4に牡蠣1を投入する投入装置5が配設されている。第2ワークステーションW2には、牡蠣1の所定の部位で第1及び第2の殻の端部(縁部)を切除する殻カット装置6が配設されている。第3ワークステーションW3には、牡蠣1を所定の高さ位置に位置決めする位置決め装置7が配設されている。第4ワークステーションW4には、牡蠣1の貝柱上部を切断する第1貝柱カット装置8が配設されている。第5ワークステーションW5には、牡蠣1の貝柱下部を切断する第2貝柱カット装置9が配設されている。第6ワークステーションW6には、牡蠣1の身から殻を除去する殻除去装置10が配設されている。
【0021】
より具体的には、投入装置5は、オペレータによってコンベア治具11にセットされ投入コンベア12によって搬送されてくる複数の牡蠣1のうちの先頭のものを、投入装置5と係合する位置に停止しているテーブル治具4に順次移載する。殻カット装置6は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具4に把持されている牡蠣1の所定の部位(平面視で貝柱に最も近い縁部の近傍)で、第1及び第2の殻の端部(縁部)を上下方向に切断して両殻間に開口部(以下「切断開口部」という。)を形成する。位置決め装置7は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具4に把持されている牡蠣1ないしは切断開口部をカメラ13で撮影して切断開口部の高さ位置を検出しつつ、切断開口部が所定の高さ位置にくるように、テーブル治具昇降装置14によりテーブル治具4(牡蠣1)を昇降させる。
【0022】
第1貝柱カット装置8は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具4に把持されている牡蠣1の切断開口部を経由して牡蠣内(第1の殻の内面)にエアブロー装置15で空気を噴射して隙間を形成する一方、切断開口部を経由して牡蠣内の前記隙間に第1切断刃16を挿入して貝柱上部を切断することにより貝柱と第1の殻とを切り離す。これにより、牡蠣1は、その蝶番部を中心にして第1の殻を上方に回動させて開殻する。なお、第1の殻は、貝柱上部の切断により自然に開殻するが、第4ワークステーションW4から第5ワークステーションW5への移動時に第1の殻を機械的に持ち上げることにより開殻を助勢するようにしてもよい。
【0023】
第2貝柱カット装置9は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具4に把持されている牡蠣1の身を真空吸引により持ち上げつつ第2切断刃17で貝柱下部を切断することにより貝柱と第2の殻とを切り離す。なお、切断開口部を経由して牡蠣内(第2の殻内面)にエアブロー装置18で空気を噴射することにより身を持ち上げるようにしてもよい。殻除去装置10は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具4に把持されている牡蠣1の身を真空吸引により吸着してテーブル治具4から身取出しシュート19に取り出す一方、第1及び第2の殻をエアチャックで把持してテーブル治具4から殻取出しシュート20に取り出す。
【0024】
なお、殻カット装置6は省略してもよい。この場合、位置決め装置7は牡蠣1の所定の部位(平面視で貝柱に最も近い縁部の近傍)における両殻の隙間が所定の高さ位置にくるようにテーブル治具4を昇降させる。また、第1貝柱カット装置8は、牡蠣1の両殻の隙間を経由して牡蠣内に空気を噴射し、第1切断刃16を挿入することになる。
【0025】
本発明の実施形態1に係る除殻装置S1によれば、簡素な構造でもって、剥き身の鮮度ないしは品質を低下させることなく、自動的に高速で牡蠣1の開殻及び除殻を行うことができ、高品質の牡蠣1の剥き身を低コストで大量に生産することができる。
【0026】
(実施形態2)
図2に示すように、本発明の実施形態2に係る、養殖場等で採取された帆立貝21を開殻してその殻から身を取り出す除殻装置S2(二枚貝除殻装置)は、ターンテーブル22と、ターンテーブル22の周囲に配置され、帆立貝21に対して所定の処理、加工又は移送(移載)を行う処理ステーション23とを備えている。ターンテーブル22の上面には、6つのテーブル治具24が、平面視で互いに60°の中心角を隔てて円周方向に並んで装着されている。各テーブル治具24は、帆立貝21を、第1の殻が上側に位置し、第2の殻が下側に位置するように把持する。ターンテーブル22は、鉛直方向に伸びる回転軸R2を中心にして、平面視(上面視)で1回動60°の回転角で、反時計回り方向に間欠的に回転する。
【0027】
処理ステーション23は、それぞれターンテーブル22の回転停止時において6つのテーブル治具24のいずれかと係合する位置に配置されターンテーブル22の回転方向に順に並ぶ第1〜第6ワークステーションW21〜W26を備えている。そして、第1ワークステーションW21には、テーブル治具24に帆立貝21を投入する投入装置25が配設されている。第2ワークステーションW22には、帆立貝21の所定の部位で第1及び第2の殻の端部(縁部)を切除する殻カット装置26が配設されている。第3ワークステーションW3には、帆立貝21を所定の高さ位置に位置決めする位置決め装置27が配設されている。第4ワークステーションW24には、帆立貝21の貝柱上部を切断する第1貝柱カット装置28が配設されている。第5ワークステーションW25には、帆立貝21から貝柱外身を取り出した上で、貝柱下部を切断する第2貝柱カット装置29が配設されている。第6ワークステーション26には、テーブル治具24から貝柱と第1及び第2の殻とを分離して取り出す分離取出し装置30が配設されている。
【0028】
より具体的には、投入装置25は、オペレータによってコンベア治具31にセットされ投入コンベア32によって搬送されてくる複数の帆立貝21のうちの先頭のものを、投入装置25と係合する位置に停止しているテーブル治具24に順次移載する。なお、コンベア治具31にセットされた帆立貝21の姿勢は、投入姿勢整列装置50により所定(一定)の向きに調整される。
【0029】
殻カット装置26は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具24に把持されている帆立貝21の所定の部位(平面視で貝柱に最も近い縁部の近傍)で、第1及び第2の殻の端部(縁部)を上下方向に切断して両殻間に開口部(以下「切断開口部」という。)を形成する。位置決め装置27は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具24に把持されている帆立貝21ないしは切断開口部をカメラ33で撮影して切断開口部の高さ位置を検出しつつ、切断開口部が所定の高さ位置にくるように、テーブル治具昇降装置34によりテーブル治具24(帆立貝21)を昇降させる。
【0030】
第1貝柱カット装置28は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具24に把持されている帆立貝21の切断開口部を経由して帆立貝内(第1の殻の内面)にエアブロー装置35で空気を噴射して隙間を形成する一方、切断開口部を経由して帆立貝内の前記隙間に第1切断刃36を挿入して貝柱上部を切断することにより貝柱と第1の殻とを切り離す。これにより、帆立貝21は、その蝶番部を中心にして第1の殻を上方に回動させて開殻する。なお、第1の殻は、貝柱上部の切断により自然に開殻するが、第1の殻を機械的に持ち上げることにより開殻を助勢するようにしてもよい。
【0031】
第2貝柱カット装置29は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具24に把持されている帆立貝21から、エアブロー装置38で帆立貝内に空気を噴射しつつ、貝柱外身取出し装置41で貝柱外身を貝柱外身取出しシュート39に取り出した上で、第2切断刃37で貝柱下部を切断することにより、貝柱と第2の殻とを切り離す。分離取出し装置30は、これと係合する位置に停止しているテーブル治具24に把持されている帆立貝21の貝柱を真空吸引により吸着してテーブル治具24から貝柱取出しシュート42に取り出す一方、第1及び第2の殻を把持してテーブル治具24から殻取出しシュート40に取り出す。
【0032】
なお、殻カット装置26は省略してもよい。この場合、位置決め装置27は帆立貝21の所定の部位(平面視で貝柱に最も近い縁部の近傍)における両殻の隙間が所定の高さ位置にくるようにテーブル治具24を昇降させる。また、第1貝柱カット装置28は、帆立貝21の両殻の隙間を経由して帆立貝内に空気を噴射し、第1切断刃36を挿入することになる。
【0033】
本発明の実施形態2に係る除殻装置S2によれば、簡素な構造でもって、剥き身の鮮度ないしは品質を低下させることなく、自動的に高速で帆立貝21の開殻及び除殻を行うことができ、高品質の帆立貝21の剥き身を低コストで大量に生産することができる。
【符号の説明】
【0034】
S1 除殻装置(実施形態1)、S2 除殻装置(実施形態2)、W1〜W6 第1〜第6ワークステーション(実施形態1)、W21〜W26 第1〜第6ワークステーション(実施形態2)、1 牡蠣、2 ターンテーブル、3 処理ステーション、4 テーブル治具、5 投入装置、6 殻カット装置、7 位置決め装置、8 第1貝柱カット装置、9 第2貝柱カット装置、10 殻除去装置、11 コンベア治具、12 投入コンベア、13 カメラ、14 テーブル治具昇降装置、15 エアブロー装置、16 第1切断刃、17 第2切断刃、18 エアブロー装置、19 身取出しシュート、20 殻取出しシュート、21 帆立貝、22 ターンテーブル、23 処理ステーション、24 テーブル治具、25 投入装置、26 殻カット装置、27 位置決め装置、28 第1貝柱カット装置、29 第2貝柱カット装置、30 分離取出し装置、31 コンベア治具、32 投入コンベア、33 カメラ、34 テーブル治具昇降装置、35 エアブロー装置、36 第1切断刃、37 第2切断刃、38 エアブロー装置、39 貝柱外身取出しシュート、40 殻取出しシュート、41 貝柱外身取出し装置、42 貝柱取出しシュート、50 投入姿勢整列装置。
図1
図2