(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マルトース、フルクトース、スクロース、ラクトース、グルコース、ガラクトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト、及びその組合せから選択される水溶性炭水化物を50〜99.9重量%含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の口腔内崩壊性固形医薬剤形。
前記剤形が、加工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロース、及びその組合せから選択される崩壊剤を0.1〜20重量%含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の口腔内崩壊性固形医薬剤形。
医学的治療における使用又は女性ホルモン補充療法における使用であって、前記剤形を舌下、頬側、又は唇下投与することを含む前記使用のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の口腔内崩壊性固形医薬剤形。
女性の避妊の方法における使用であって、前記剤形を舌下、頬側、又は唇下投与することを含む前記使用のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の口腔内崩壊性固形医薬剤形。
前記顆粒化混合物が、加工デンプン、架橋PVP、クロスカルメロース、及びその組合せから選択される崩壊剤を0.1〜20重量%含有する、請求項14又は15に記載の方法。
前記顆粒化混合物が、前記エステトロール粒子と前記1種又は複数の顆粒化賦形剤を、1:4〜1:1,000の範囲内の重量比で組み合わせることによって製造される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
前記エステトロール含有顆粒が、前記顆粒化混合物と前記造粒液を、0.5:1〜20:1の範囲内の重量比で混合することによって製造される、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
前記エステトロール含有顆粒が、高剪断造粒機、低剪断造粒機、又は流動層造粒機で、前記顆粒化混合物を前記造粒液と混合することによって製造される、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
前記造粒液が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びその組合せから選択される極性溶媒を少なくとも60重量%含有する、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
前記造粒液が、セルロース誘導体、デンプン及びデンプン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、寒天、ゼラチン、グアーガム、アラビアゴム、アルギン酸塩、ポリエチレングリコール、グルコース、スクロース、ソルビトール及びその組合せから選択される結合剤を0.5〜40重量%含有する、請求項14〜22のいずれか一項に記載の方法。
前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びその組合せから選択される、請求項23又は24に記載の方法。
前記1種又は複数の錠剤化賦形剤が、ラクトース、マンニトール、キシリトール、微結晶セルロース、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、及びその組合せを含む、請求項14〜26のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0004】
エステトロールは、妊娠中にのみ胎児の肝臓によって産生されるヒトステロイドである。この天然ホルモンは、1965年にDiczfalusyと共同研究者らによって、妊婦の尿中に発見された。エステトロールは、4つのヒドロキシル基を有すエストロゲンステロイドの構造を持つ。エステトロールは、胎児の肝臓で、2つの酵素、15α−及び16α−水酸化酵素によってエストラジオール及びエストリオールから合成される。出生後、これら2つの酵素が発現されなくなるため、新生児の肝臓はエステトロールを合成する能力を急速に失う。
【0005】
エステトロールは、胎盤を通過して母体循環に入り、すでに妊娠9週には母体尿中に検出された。妊娠中期の間、母体血漿中の濃度が高く、非抱合型エステトロール濃度は、妊娠終了に向かって約1ng/mL(>3nmol/L)まで安定して上昇することが認められた。エステトロールの生理学的機能は、これまでのところ不明である。胎児の健康状態についてのマーカーとしてのエステトロールの使用の可能性が、かなり大規模に研究されてきた。しかし、妊娠中の母体のエステトロール血漿濃度の個体内及び個体間変動が大きいため、マーカーとしての使用は実現しそうにない。
【0006】
2001年以降、エステトロールに関し大規模な研究が行われてきた。ヒトにおいて、エステトロールは、高くて用量比例的な経口バイオアベイラビリティ、及び約28時間の長い終末消失半減期を有することが示された。in vitro試験の結果から、エステトロールは、エチニルエストラジオール及び17β−エストラジオールといったエストロゲンとは異なり、エストロゲン受容体のERα型を優先的に、エストロゲン受容体に高選択的に結合することが示された。同様に、エチニルエストラジオール及び特に17β−エストラジオールとは対照的に、エステトロールは、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)に結合せず、in vitroにおいてSHBG産生を刺激しない。
【0007】
エステトロールの特性についても、一連の予測的で、十分に検証されている薬理学的in vivoラットモデルにおいて検討されてきた。これらのモデルにおいて、エステトロールは、膣、子宮(子宮筋層及び子宮内膜の両方)、体重、骨質量、骨強度、ほてり、及び排卵(抑制)に対してエストロゲン作用を示した。エステトロールのこれらすべての作用は、用量依存的であり、同等の用量で最大の作用を示した。驚くべきことに、エステトロールは、抗エストロゲン剤であるタモキシフェン及び卵巣摘出と同様の程度及び用量で、DMBA乳房腫瘍モデルにおける腫瘍の発生を予防した。17β−エストラジオールの存在下におけるエステトロールのこの抗エストロゲン作用は、ヒト乳癌細胞を用いたin vitro試験においても認められている。
【0008】
国際公開第2002/094275号、国際公開第2002/094276号、国際公開第2002/094278号、及び国際公開第2003/018026号を含む多くの特許出願で、エステトロールの頬側、舌下、又は唇下投与について言及されている。これらの公報に、頬側、舌下、又は唇下投与のためのエステトロール含有投与単位についての記載はなかった。
【0009】
国際公開第2010/033832号は、エストリオール化合物及び薬学的に許容されるマトリックス材料を含有する経口投与剤形であって、頬側口腔及び/又は舌下腔の唾液に接触すると約300秒未満の時間内で、少なくとも約90%のエストリオール化合物を放出する前記経口投与剤形について記載されている。
【0010】
米国特許出願公開第2007/286829号は、エチニルエストラジオールの送達が可能であり、バイオアベイラビリティが向上している経口投与された固形投与剤形であって、(i)エチニルエストラジオール約0.5μg〜約50μg及び(ii)前記固形投与剤形を2オンス以下の水で患者に経口投与する場合、口腔粘膜を介してエチニルエストラジオールを少なくとも15%吸収することを可能にする口腔内溶解促進担体(oral dissolution enhancing carrier)を含有する前記固形投与剤形について記載されている。
【0011】
米国特許第6,117,446号は、生侵食性ポリマー担体(bioerodible polymeric carrier)と、テストステロン及び薬理学的に許容されるそのエステルから選択されるアンドロゲン剤、プロゲスチン、並びにエストロゲンの治療上有効な量から成る圧縮錠剤を含む、ステロイド系活性薬剤の組合せを投与するための頬側投与単位について記載されている。上記例は、次の成分を十分に混合することによって調製された頬側投与単位について記載されている:エストロゲン、プロゲストゲン、アンドロゲン、ポリエチレンオキシド、カルボマー、及びステアリン酸マグネシウム。次に、上記混合物を流動層造粒法によって造粒し、こうして得られた顆粒を圧縮して錠剤とした。
【0012】
エステトロールを含有する経口投与単位は、複数の特許公報に記載されている。
【0013】
国際公開第2002/094276号は、ホルモン補充療法に使用するための医薬組成物について記載されており、前記療法は、このような治療を必要としている患者に有効量のエステトロールを投与することを含み、前記組成物は、実質的にプロゲストゲン及び抗プロゲスチンを含有しない。国際公開第2002/094276号は、下記製剤処方に基づき、エステトロール1.5mgを含有する重量185mgのエステトロール錠剤の調製について記載されている:
【表1】
国際公開第2002/094275号は、女性のリビドーを増強する方法におけるエステトロールの使用について記載されており、前記方法は、前記女性に有効量のエステトロールを投与することを含む。経口投与は適切な投与様式として言及されている。この特許出願は、国際公開第2002/094276号と同じエステトロール錠剤について記載されている。
【0014】
国際公開第2002/094279号は、哺乳動物の雌を避妊する方法におけるエステトロールの使用について記載されており、前記方法は、出産可能な雌に、排卵を阻害するために有効な量の前記エストロゲン成分及びプロゲストゲン成分を経口投与することを含む。185mgのエステトロール錠剤の下記製剤処方は、本国際特許出願に記載されている。
【0015】
【表2】
国際公開第2003/041718号は、哺乳動物に対するホルモン補充法におけるエステトロールの使用について記載されており、前記方法は、哺乳動物に、低エストロゲン症の症状を予防又は治療するために有効な量のエステトロール及びプロゲストゲン成分を経口投与することを含む。この特許出願は、国際公開第2002/094279号と同じエステトロール錠剤について記載されている。
【0016】
国際公開第2007/081206号は、哺乳動物の急性血管障害を治療する方法におけるエステトロールの使用について記載されており、前記方法は、前記哺乳動物に、必要に応じて前記哺乳動物に対し有効な量のエステトロールを経口投与することを含む。この特許出願は、1カプセル当たりエステトロール100mg及びシルデナフィルクエン酸塩25mgを含有する硬ゼラチンカプセルの調製について記載されている。
【0017】
国際公開第2008/156365号は、新生児の胎便吸引症候群(MAS)の治療におけるエステトロールの使用について記載されており、前記治療は、出生後7日間以内の前記新生児に、有効量のエストロゲンを投与することを含む。上記国際特許出願は、エストロゲンを少なくとも1μg含有する、新生児に使用するための坐剤であって、最大直径10mm未満及び重量0.5g未満の特徴をさらに持つ前記坐剤について記載されている。上記坐剤に含有される賦形剤は、体温で融解する脂質物質を基剤にすることができ、又は水と接触した際に溶解又は崩壊する親水性成分を基剤にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の態様は、重量が30〜1,000mgの間である口腔内崩壊性固形医薬投与単位であって:
エステトロール、エステトロールエステル、及びその組合せから選択されるエステトロール成分を少なくとも80重量%含有するエステトロール粒子0.1〜25重量%、及び
1種又は複数の薬学的に許容される成分75〜99.9重量%
から成る、前記投与単位であって、
上記エステトロール成分を少なくとも100μg含有する上記固形投与単位に関し;
ここで、上記固形投与単位は:
上記エステトロール成分を少なくとも80重量%含有し、体積中位径が2μm〜50μmであるエステトロール粒子を
提供するステップ、
上記エステトロール粒子を1種又は複数の顆粒化賦形剤と混合し、顆粒化混合物を製造するステップ、
上記顆粒化混合物を、液体溶媒を少なくとも60重量%含有する、造粒液と混合し、エステトロール含有顆粒を形成するステップ、
上記エステトロール含有顆粒から液体溶媒を除去し、乾燥したエステトロール含有顆粒を形成するステップ、
任意選択で、上記乾燥した顆粒を1種又は複数の錠剤化賦形剤と混合するステップ、及び
上記乾燥した顆粒又は乾燥した顆粒と1種又は複数の錠剤化賦形剤の上記混合物を固形投与単位に形成するステップ
を含む方法によって得られる。
【0026】
本明細書で用いる場合、「エステトロール」という用語は、1,3,5(10)−エストラトリエン−3,15α,16α,17β−テトロール又は15α−ヒドロキシエストリオール、同様にエステトロールの水和物、例えば、エステトロール一水和物を指す。
【0027】
本明細書で用いる場合、「口腔内崩壊性投与単位」という用語は、唾液と接触した際に口腔内で速やかに崩壊し、エステトロール成分が唾液に分散し、口腔内粘膜を介して吸収されるように設計された投与単位を指す。
【0028】
本明細書で用いる場合、「薬学的に許容される成分」という用語は、以下でさらに定義されるとおり、薬学的に許容される賦形剤及び上記エステトロール成分以外の薬学的活性成分の両方を含む。
【0029】
本明細書で用いる場合、「舌下」という用語は、これによって上記エステトロール成分が、舌下の組織を介して血中に拡散する、薬理学的な投与経路を指す。
【0030】
本明細書で用いる場合、「頬側」という用語は、これによって上記エステトロール成分が、頬の内膜(頬粘膜)と歯/歯茎の間の口内部位である頬前庭の組織を介して血中に拡散する、薬理学的な投与経路を指す。
【0031】
本明細書で用いる場合、「唇下」という用語は、これによって上記エステトロール成分が、口唇と歯肉の間に置かれる、薬理学的な投与経路を指す。
【0032】
本明細書で用いる場合、「造粒」という用語は、別段の指定がない限り、最初の粉末粒子を接着させ、「顆粒」と呼ばれるより大きな多粒子体を形成する方法に関する。
【0033】
本明細書で用いる場合、「錠剤化賦形剤」という用語は、錠剤など、固形投与単位の製造に使用可能な薬学的に許容される賦形剤を指す。
【0034】
別段の指定がない限り、本明細書に記載されるすべての百分率は、重量百分率である。
【0035】
本発明に包含される固形投与単位の例には、錠剤、糖衣錠、トローチ剤、及びフィルム剤が含まれる。好ましい実施形態によると、上記投与単位は、錠剤、最も好ましくは圧縮錠剤である。
【0036】
上記固形投与単位の重量は、通常40〜500mgの間、より好ましくは50〜300mgの間、及び最も好ましくは70〜150mgの間である。
【0037】
上記固形投与単位は、上記エステトロール成分を、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは2〜25重量%、及び最も好ましくは2.2〜15重量%含有する。
【0038】
上記固形投与単位に含有されるエステトロール成分の量は、好ましくは0.3〜100mg、より好ましくは0.5〜40mg、及び最も好ましくは1〜20mgの範囲内とする。
【0039】
本発明のエステトロール成分は、好ましくはエステトロール、
ヒドロキシル基の少なくとも1つの水素原子が、1〜25個の炭素原子を持つ炭化水素カルボン酸、スルホン酸、又はスルファミン酸のアシル基により置換されているエステトロールのエステル、
及びそれらの組み合わせから成る群から選択さ
れる。上記エステトロール成分は、エステトロール(エステトロール水和物を含む)であることがさらにより好ましい。上記投与単位に含有されるエステトロール成分は、エステトロール一水和物であることが最も好ましい。
【0040】
上記固形投与単位中の上記エステトロール粒子の粒径は、舌下、頬側、又は唇下投与後、上記エステトロール成分を十分に吸収するために適するべきである。上記固形投与単位中のエステトロール粒子及び(独立して)上記固形投与単位の調製に用いるエステトロール粒子は、体積中位径が3μm〜35μmの範囲内であることが好ましく、4μm〜25μmの範囲内であることがより好ましく、及び5μm〜15μmの範囲内であることが最も好ましい。
【0041】
上記固形投与単位中のエステトロール粒子及び(独立して)上記固形投与単位の調製に用いるエステトロール粒子は、60μmを超える粒径の粒子を限定量を超えて含有しないことが好ましい。60μmを超える粒径を有するエステトロール粒子は、10体積%以下であること(D
90)が好ましく、5体積%以下であること(D
95)がより好ましい。40μmを超える粒径を有するエステトロール粒子は、10体積%以下であること(D
90)がさらにより好ましく、5体積%以下であること(D
95)がより好ましい。
【0042】
上記エステトロール粒子及び本方法で使用される他の粒子状材料の上記粒径分布は、レーザー回折によって適切に確定されてもよい。上記固形投与単位中のエステトロール粒子の粒径分布は、分光技術、例えば、ラマンマッピングを用いて適切に確定され得る。
【0043】
本発明の固形投与単位は、投与単位が、口腔内に導入され、唾液と接触した際、そのエステトロール成分が、速やかに放出される利点を提供する。上記投与単位からのエステトロール成分の放出速度は、実施例に記載されている溶出試験、又は欧州薬局方2.9.1(「錠剤及びカプセルの崩壊」)及び米国薬局方<701>(「崩壊」)に従い、さらに実施例にも記載されている崩壊試験を用いて適切に確定し得る。前述の溶出試験を実施した場合、本発明の固形投与単位は、5分後、エステトロール成分を、通常少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、及び最も好ましくは少なくとも80%放出する。前述の崩壊試験を実施した場合、本発明の固形投与単位は、通常5分未満、より好ましくは2分未満、さらにより好ましくは1.5分未満、さらにより好ましくは1分未満、さらにより好ましくは45秒未満、及び最も好ましくは30秒未満に崩壊する。
【0044】
上記固形投与単位及び本方法に用いられるエステトロール粒子は、上記エステトロール成分を少なくとも90重量%含有することが好ましく、上記エステトロール成分を少なくとも95重量%含有することがより好ましく、及び上記エステトロール成分を少なくとも99重量%含有することが最も好ましい。上記エステトロール成分以外に、上記エステトロール粒子は、上記投与単位の分散を補助し、上記エステトロール成分の溶出及び吸収を補助する、薬学的に許容される賦形剤を適当に含有することができる。このような賦形剤の例には、張力活性剤、共溶媒、吸収促進剤、超崩壊剤(superdisintegrant)、及び緩衝剤が含まれる。
【0045】
上記エステトロール粒子は、上記投与単位の0.5〜20重量%の間に通常相当する。上記エステトロール粒子は、上記投与単位の1〜18重量%に相当することがより好ましく、5〜15重量%に相当することが最も好ましい。
【0046】
本発明の固形投与単位は、好ましくはマルトース、フルクトース、スクロース、ラクトース、グルコース、ガラクトース、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、マンニトール、イソマルト、及びその組合せから選択される水溶性炭水化物を50〜99.8重量%含有する。上記水溶性炭水化物は、ラクトース、マンニトール、エリスリトール、及びその組合せから選択されることがより好ましい。上記水溶性炭水化物は、マンニトール、エリスリトール、及びその組合せから選択されることがさらにより好ましい。上記水溶性炭水化物は、マンニトールであることが最も好ましい。
【0047】
上記水溶性炭水化物は、上記投与単位中に、好ましくは結晶形態で含まれる。別の好ましい実施形態によると、上記投与単位は、加工デンプン(例えば、カルボキシメチルデンプンのナトリウム塩)、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロース(crosslinked carmellose)、及びその組合せから選択される崩壊剤を、0.1〜15重量%含有し、0.2〜10重量%含有することがより好ましく、及び1〜5重量%含有することが最も好ましい。
【0048】
上記エステトロール粒子は、1種又は複数の顆粒化賦形剤をさらに含有する顆粒の成分として、本発明の上記固形投与単位中に存在する。
【0049】
上記乾燥したエステトロール含有顆粒は、上記経口投与単位の20〜99.9重量%を通常構成する。これらの顆粒は、上記経口投与単位の50〜99.8重量%に相当することがより好ましく、60〜99.7重量%に相当することが最も好ましい。
【0050】
上記エステトロール粒子を含有する上記乾燥したエステトロール含有顆粒の体積中位径は、100〜4,000μmであることが通常であり、150〜1,000μmであることがより好ましく、及び200〜600μmであることが最も好ましい。
【0051】
上記乾燥したエステトロール含有顆粒は、通常1種又は複数の顆粒化賦形剤を70〜95重量%及び上記エステトロール成分を5〜30重量%含有する。これらの顆粒は、1種又は複数の顆粒化賦形剤を75〜90重量%及び上記エステトロール成分を10〜25重量%含有することがさらにより好ましい。
【0052】
上記エステトロール含有顆粒に適切に含有されてもよい他の顆粒化賦形剤には、水溶性炭水化物、希釈剤/充填剤(例えば、カルシウム塩、微結晶セルロース)、結合剤、崩壊剤、粘膜付着剤、香料、着色剤、滑剤、滑沢剤、及びその組合せが含まれる。
【0053】
上記乾燥したエステトロール含有顆粒は、本明細書で先に定義されている水溶性炭水化物を、少なくとも20重量%含有することが好ましく、少なくとも35重量%含有することがより好ましく、及び少なくとも45重量%含有することが最も好ましい。
【0054】
上記乾燥したエステトロール含有顆粒は、上記水溶性炭水化物を、1種又は複数の顆粒化賦形剤の重量に対して、少なくとも30%含有することが好ましく、少なくとも40%含有することがより好ましく、及び少なくとも50%含有することが最も好ましい。
【0055】
上記乾燥したエステトロール含有顆粒は、本明細書で先に定義されている結合剤を、通常0〜20重量%含有する。これらの顆粒は、上記結合剤を0.1〜15重量%含有することがさらにより好ましく、0.2〜10重量%含有することがより好ましい。
【0056】
別の好ましい実施形態によると、上記乾燥したエステトロール含有顆粒は、本明細書で先に定義されている崩壊剤を、0.1〜20重量%含有し、0.2〜10重量%含有することがより好ましい。
【0057】
乾燥したエステトロール含有顆粒以外に、本発明の固形投与単位は、ラクトース、マンニトール、キシリトール、微結晶セルロース、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、及びその組合せから選択される錠剤化賦形剤を、適切に0.1〜80重量%、より好ましくは0.2〜50重量%、及び最も好ましくは0.3〜40重量%含有してもよい。特に好ましい一実施形態によると、上記錠剤化賦形剤は、マンニトールを少なくとも50重量%含有する。別の好ましい実施形態によると、上記錠剤化賦形剤は、ラクトースを少なくとも50重量%含有する。
【0058】
上記固形投与単位は、上記エステトロール成分以外に、1種又は複数の他の薬学的活性成分を含有してもよい。このような他の薬学的活性成分の例には、ステロイドホルモンが含まれる。本発明の固形投与単位は、1種又は複数のプロゲストゲン、好ましくは、プロゲステロン、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン(NETA)、ジドロゲステロン、ドロスピレノン、3β−ヒドロキシデソゲストレル、3−ケトデソゲストレル(=エトノゲストレル)、17−デアセチルノルゲスチメート、19−ノルプロゲステロン、アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、アナゲストン、クロルマジノン、シプロテロン、デメゲストン、デソゲストレル、ジエノゲスト、ジヒドロゲステロン、ジメチステロン、エチステロン、二酢酸エチノジオール、酢酸フルロゲストン、ガストリノン(gastrinon)、ゲストデン、ゲストリノン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、リネストレノール(=リノエストレノール)、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メレンゲストロール、ネストロン、ノメゲストロール、酢酸ノメゲストロール(NOMAC)、ノルエチンドロン(=ノルエチステロン)、ノルエチノドレル、ノルゲストレル(d−ノルゲストレル及びdl−ノルゲストレルを含む)、ノルゲストリエノン、ノルメチステロン、プロゲステロン、キンゲスタノール、(17α)−17−ヒドロキシ−11−メチレン−19−ノルプレグナ−4,15−ジエン−20−イン−3−オン、チボロン、トリメゲストン、アルゲストンアセトフェニド、ネストロン、プロメゲストン、17−ヒドロキシプロゲステロンエステル、19−ノル−17ヒドロキシプロゲステロン、17α−エチニル−テストステロン、17α−エチニル−19−ノル−テストステロン、d−17β−アセトキシ−13β−エチル−17α−エチニル−ゴン−4−エン−3−オンオキシム、及びこれらの化合物のプロドラッグから選択される1種又は複数のプロゲストゲンを、0.05〜10mg含有することが好ましく、0.1〜5mg含有することがより好ましい。本発明に従って使用される上記1種又は複数のプロゲストゲンは、プロゲステロン、デソゲストレル、エトノゲストレル、ゲストデン、ジエノゲスト、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン(NETA)、ノメゲストロール、酢酸ノメゲストロール(NOMAC)、ドロスピレノン、トリメゲストン、ネストロン、及びジドロゲステロンから成る群から選択されることが好ましい。
【0059】
本発明に記載の固形投与単位は、1種又は複数のアンドロゲン、好ましくは、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA);硫酸DHEA(DHEAS);テストステロンエステル(例えば、ウンデカン酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、フェニルプロピオン酸テストステロン、テストステロンイソヘキサノエート(testosterone isohexanoate)、エナント酸テストステロン(testosterone enantate)、テストステロンブカネート(testosterone bucanate)、デカン酸テストステロン、テストステロンブシクレート(testosterone buciclate));メチルテストステロン;メステロロン;スタノゾロール;アンドロステンジオン;ジヒドロテストステロン;アンドロスタンジオール;メテノロン;フルオキシメステロン;オキシメステロン;メタンドロステノロル(methandrostenolol);MENT、及びこれらの化合物のプロドラッグから選択される1種又は複数のアンドロゲンを、0.05〜100mg含有することが好ましく、0.1〜50mg含有することがより好ましい。上記1種又は複数のアンドロゲンは、テストステロン、DHEA、及びMENTから成る群から選択されることが最も好ましい。
【0060】
本発明の別の態様は、医学的治療、女性ホルモン補充療法、又は女性の避妊に対する前述の固形投与単位の使用であって、上記投与単位を舌下、頬側、又は唇下投与することを含む前記使用に関する。本発明の固形投与単位が、適切に使用されることがある医学的治療の例には、骨粗鬆症の治療、及び子宮内膜症、乳癌、又は前立腺癌に対するエストロゲンのアドバック療法が含まれる。好ましい実施形態に従って、上記固形投与単位は、女性ホルモン補充療法又は女性の避妊に使用される。上記固形投与単位は、特に外陰腟萎縮及び/又は血管運動症状を治療するため、女性ホルモン補充療法に使用されることが最も好ましい。
【0061】
医学的治療、女性ホルモン補充療法、又は女性の避妊に対する上記固形投与単位の使用には、上記エステトロール成分を、少なくとも0.1mg、より好ましくは0.5〜100mg、及び最も好ましくは1〜40mg供給するため、上記固形投与単位を舌下、頬側、又は唇下投与することが通常含まれる。
【0062】
外陰腟萎縮を治療するため、上記投与単位は、上記エステトロール成分を、少なくとも0.1mg供給するために十分な量で投与されることが好ましい。上記投与された投与単位は、上記エステトロール成分を、少なくとも0.5mg供給することがより好ましく、少なくとも1mg供給することが最も好ましい。外陰腟萎縮の治療において、上記投与単位は、供給する上記エステトロール成分を、好ましくは50mg以下、より好ましくは20mg以下、及び最も好ましくは10mg以下とする量で投与される。
【0063】
血管運動症状を治療するため、上記投与単位は、上記エステトロール成分を、少なくとも0.2mg供給するために十分な量で投与されることが好ましい。上記投与された投与単位は、上記エステトロール成分を、少なくとも1mg供給することがより好ましく、少なくとも2mg供給することが最も好ましい。血管運動症状の治療において、上記投与単位は、供給する上記エステトロール成分を、好ましくは100mg以下、より好ましくは40mg以下、及び最も好ましくは20mg以下とする量で投与される。
【0064】
上記固形投与単位のこれらの使用は、通常少なくとも1週間、より好ましくは少なくとも2週間の期間の上記投与単位の1日1回投与を含む。これらの期間、上記固形投与単位は、好ましくは少なくとも0.05mg、より好ましくは0.1〜40mg、及び最も好ましくは0.2〜20mgの上記エステトロール成分の1日量を供給するために投与される。
【0065】
外陰腟萎縮を治療するため、上記投与単位は、少なくとも0.1mgの上記エステトロール成分の1日量を供給するために投与されることが好ましい。上記投与単位は、より好ましくは0.5〜20mg、最も好ましくは1〜10mgの上記エステトロール成分の1日量を供給するために投与される。
【0066】
血管運動症状を治療するため、上記投与単位は、少なくとも0.2mgの上記エステトロール成分の1日量を供給するために投与されることが好ましい。上記投与単位は、より好ましくは1〜40mg、最も好ましくは2〜20mgの上記エステトロール成分の1日量を供給するために投与される。
【0067】
本発明のさらに別の態様は、本明細書で先に記載されている固形投与単位を調製する方法であって:
エステトロール、エステトロールエステル、及びその組合せから選択されるエステトロール成分を少なくとも80重量%含有し、体積中位径が2μm〜50μmであるエステトロール粒子を
提供するステップ、
上記エステトロール粒子を1種又は複数の顆粒化賦形剤と混合し、顆粒化混合物を製造するステップ、
上記顆粒化混合物を、液体溶媒を少なくとも60重量%含有する、造粒液と混合し、エステトロール含有顆粒を形成するステップ、
上記エステトロール含有顆粒から液体溶媒を除去し、乾燥したエステトロール含有顆粒を形成するステップ、
任意選択で、上記乾燥した顆粒を1種又は複数の錠剤化賦形剤と混合するステップ、及び
上記乾燥した顆粒又は乾燥した顆粒と1種又は複数の錠剤化賦形剤の上記混合物を固形投与単位に形成するステップ
を含む、前記方法に関する。
【0068】
本方法において、上記顆粒化混合物は、上記エステトロール粒子と上記1種又は複数の顆粒化賦形剤を、好ましくは1:2〜1:1000の範囲内、より好ましくは1:3〜1:100の範囲内、及び最も好ましくは1:4〜1:10の範囲内である重量比で組み合わせることによって製造される。
【0069】
上記顆粒化混合物の調製に使用される1種又は複数の顆粒化賦形剤には、本明細書で先に定義されている水溶性炭水化物が含まれることが好ましい。前記水溶性炭水化物は、上記1種又は複数の顆粒化賦形剤の、少なくとも50重量%を構成することが好ましく、少なくとも60重量%を構成することがより好ましく、及び少なくとも80重量%を構成することが最も好ましい。
【0070】
上記顆粒化混合物の1種又は複数の顆粒化賦形剤は、本明細書で先に定義されている結合剤を、0.1〜20重量%含有することが好ましく、0.15〜10重量%含有することがより好ましく、及び0.2〜5.0重量%含有することが最も好ましく、すべての百分率は上記顆粒化混合物の重量によって計算した。
【0071】
上記顆粒化混合物の1種又は複数の顆粒化賦形剤は、本明細書で先に定義されている崩壊剤を適切に含有してもよい。上記崩壊剤は、上記顆粒化混合物の、0.1〜20重量%を構成することが好ましく、0.2〜10重量%を構成することがより好ましい。
【0072】
上記エステトロール含有顆粒は、上記顆粒化混合物と上記造粒液を、0.5:1〜20:1の範囲内の重量比で混合することによって製造されることが好ましい。上記顆粒化混合物と上記造粒液は、さらにより好ましくは0.8:1〜12:1の範囲内、さらにより好ましくは1:1〜10:1の範囲内、及び最も好ましくは1.5:1〜5:1の範囲内の重量比で混合される。前述の重量比は、上記乾燥したエステトロール含有顆粒の調製に使用される顆粒化混合物と造粒液の総量に基づいて算出される。
【0073】
上記エステトロール含有顆粒は、高剪断造粒機、低剪断造粒機、又は流動層造粒機で、上記顆粒化混合物を上記造粒液と混合することによって製造されることが好ましい。上記顆粒は、低剪断造粒機で調製されることが最も好ましい。
【0074】
本方法で使用される造粒液は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、及びその組合せから選択される極性溶媒を、少なくとも60重量%含有することが好ましく、少なくとも80重量%含有することがより好ましく、及び少なくとも90重量%含有することが最も好ましい。
【0075】
特に好ましい実施形態によると、上記造粒液は、水、エタノール、及びその組合せから選択される極性溶媒を、少なくとも60重量%含有し、少なくとも80重量%含有することがより好ましく、及び少なくとも90重量%含有することが最も好ましい。上記造粒液に使用される極性溶媒は、水を、少なくとも80重量%含有することが好ましく、少なくとも90重量%含有することがより好ましい。
【0076】
本方法で使用される造粒液は、液体溶媒以外に、追加の賦形剤を適切に含有してもよい。このような追加の賦形剤の例には、結合剤、崩壊剤、粘膜付着剤、着色剤、香料、及びその組合せが含まれる。
【0077】
上記造粒液は、結合剤を、0.5〜40重量%含有することが好ましく、1〜25重量%含有することがより好ましく、及び2〜20重量%含有することが最も好ましく、前記結合剤は、セルロース誘導体、デンプン及びデンプン誘導体(例えば、アルファ化デンプン)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、寒天、ゼラチン、グアーガム、アラビアゴム、アルギン酸塩、ポリエチレングリコール(PEG)、グルコース、スクロース、ソルビトール、並びにその組合せから選択される。本方法に使用される結合剤は、セルロース誘導体、アルファ化デンプン、ポリビニルピロリドン、及びその組合せから選択されることが好ましい。
【0078】
結合剤として上記投与単位に使用されてもよいセルロース誘導体の例には、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びその組合せが含まれる。
【0079】
本方法において、上記顆粒化混合物と上記造粒液の混合が完了した後、液体溶媒を除去することが好ましい。好ましい実施形態では、上記エステトロール含有顆粒の製造中、減圧を行って(例えば、200ミリバール未満)液体溶媒の除去を容易にする。通常、高温で上記液体溶媒を除去する(例えば、>50℃)。
【0080】
本方法で製造された乾燥したエステトロール含有顆粒の体積中位径は、通常100〜4,000μmの範囲内である。これらの顆粒の体積中位径は、200〜1,000μmの範囲内であることがより好ましく、200〜600μmの範囲内であることが最も好ましい。
【0081】
上記固形投与単位を形成する前に上記乾燥したエステトロール含有顆粒と任意選択で組み合わせる上記1種又は複数の錠剤化賦形剤の例には、ラクトース、マンニトール、キシリトール、微結晶セルロース、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、及びその組合せが含まれる。
【0082】
本方法において、上記乾燥したエステトロール含有顆粒と上記1種又は複数の錠剤化賦形剤は、好ましくは1:4〜9:1の範囲、より好ましくは1:2.5〜3:1の範囲、及び最も好ましくは1:1.5〜1.5:1の範囲である重量比で混合される。
【0083】
本方法において、上記固形投与単位は、直接圧縮又は圧縮成形によって適切に形成されてもよい。上記固形投与単位は、直接圧縮によって形成されることが最も好ましい。
【0084】
本方法によって得られた固形投与単位は、様々な方法で包装することができる。上記投与単位は、少なくとも14個の投与単位を含むブリスターパックに包装されることが好ましい。
【0085】
本発明は、下記の非限定的実施例を用いてさらに例証される。
【実施例】
【0086】
溶出試験
下記溶出試験は、口腔内崩壊性投与単位の溶出挙動を試験するために適用することができる。
【0087】
溶出装置
パドル及びバスケット溶出試験器バンケルVK7010(VanKel VK7010)又はVK7025、オートサンプラーVK8000、1000mL溶出試験器用ベッセル、及び多孔性ミクロンフィルター(35ピン)
【0088】
溶出媒体
10,000mLのメスフラスコに脱イオン水(demineralised water)9,000mLを移す。
68.05gのKH
2PO
4及び8.96gのNaOHを加え、すべてが溶解するまで上記溶液を撹拌する。
上記溶液を混合し、必要であれば、NaOH又はリン酸を用いてpHを6.8に調整し、脱イオン水を用いて体積を調整する。
【0089】
溶出手順
溶出媒体900mLをパドル装置の各ベッセルに移す。
装置を組み立て、上記媒体を37±0.5℃に加温し、温度計を取り外す。
パドルの回転を開始する前に6個のベッセルの底にそれぞれ1個の錠剤を置く。
直ちにパドルの回転を開始する。
50rpmの撹拌速度を用いる。
【0090】
完全な溶出プロファイルのため、5、10、20、30、45、60、75、及び90分後に溶出試験器用ベッセルからサンプル5mLを採取する。溶出媒体の表面とパドルブレードの先端の間の中間で、ベッセル壁から10mm以上離れた位置からサンプルを採取する。取り除かれた溶出媒体の体積分は、新たな溶出媒体で置き換えない。
【0091】
サンプル中のエステトロール濃度は、基準としてエステトロール原液を用いたHPLCによって確定された。
【0092】
移動相(MP)のリン酸緩衝液の調製
1.15gのNH
4H
2PO
4(10mM)を脱イオン水1,000mLに移して溶解し、リン酸を用いてpHを3.0に調整する。
【0093】
HPLC装置
クォータナリ溶媒送達システム、容量可変インジェクター、温度制御オートサンプラー、カラム恒温槽、及びフォトダイオードアレイ検出器2996(すべてWaters)から成るアライアンス2695(Alliance2695)分離モジュール
分析カラム:シンメトリーC18(Symmetry C18)、3.9×150mm、dp=5μm(Waters製)
ガードカラム:セキュリティーガード(Security guard)カラムC18、4x3mm(Phenomenex)
流量:1.0mL/分
検出:UV@280nm
カラム温度:30℃
オートサンプラー温度:10℃
注入量:100μL
実行時間:12分
【表3】
溶出試験は3回実施する。
【0094】
粒径測定
エステトロール一水和物の粒径分布は、マルバーンマスターサイザーマイクロプラス(MALVERN MASTERSIZER MICROPLUS)レーザー粒径分析器を用いて実施する。
【0095】
分散媒の調製:
エステトロール一水和物1g及びトリオレイン酸ソルビタン1gをフラスコ内に量り取る。
n−ヘキサン1Lを加え、室温で少なくとも1時間混合する。
0.45μmフィルターを通して濾過する。
【0096】
サンプル調製:
サンプル100mgを25mLビーカーに入れる。
分散媒を数滴加える。
ガラス棒で慎重に混合し、粉末を十分に懸濁させる。
分散媒10mLを加える。
サンプル分散ユニットの速度3000〜3500rpmで分析を実施する。
【0097】
分析:
粒径測定は、同じ分散を用いて3回実施する。最終的な結果は、3回の検出結果を平均して得られる。
【0098】
実施例1
舌下錠は、下記の手順によって調製する。
【0099】
表1に示される組成物を含有する顆粒化混合物は、上記成分の乾式混合によって調製した。
【0100】
【表4】
表2に示される組成物を含有する造粒液は、水にアルファ化デンプンを分散することによって調製される。
【0101】
【表5】
高剪断造粒機内で、上記水性造粒液を徐々に加えて上記顆粒化混合物を造粒する。加えた造粒液の総量は、上記顆粒化混合物の25重量%に達する。
【0102】
こうして得られた顆粒は、40℃の真空乾燥オーブン内で乾燥し、続いて500μmの篩にかける。
【0103】
表3に示される組成物を含有する錠剤化混合物は、上記乾燥した顆粒を表の賦形剤(ステアリン酸マグネシウム以外)と15分間混合することによって調製される。ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに5分間混合を続ける。
【0104】
【表6】
上記錠剤化混合物は、直径6.5mmの80mgの円形錠剤に圧縮する。これらの錠剤のエステトロール含有量は、10mgである。
【0105】
実施例2
舌下錠は、下記の手順によって調製する。
【0106】
表4に示される組成物を含有する顆粒化混合物は、表の成分の乾式混合によって調製される。
【0107】
【表7】
表5に示される組成物を含有する造粒液は、ポリビニルピロリドン(PVP)を水に分散することによって調製される。
【0108】
【表8】
低剪断造粒機内で、上記造粒液を徐々に加えて上記顆粒化混合物を造粒する。加えた造粒液の総量は、上記顆粒化混合物の25重量%に達する。
【0109】
こうして得られた顆粒は、40℃の低剪断造粒機内で乾燥し、続いて500μm篩にかける。
【0110】
表6に示される組成物を含有する錠剤化混合物は、上記乾燥した顆粒を表の賦形剤(ステアリン酸マグネシウム以外)と15分間混合することによって調製される。ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに5分間混合を続ける。
【0111】
【表9】
上記混合物は、直径6.5mmの80mgの円形錠剤に圧縮する。これらの錠剤の上記エステトロール含有量は約10mgである。
【0112】
実施例3
舌下錠は、下記の手順によって調製する。
【0113】
表7に示される組成物を含有する顆粒化混合物は、表の成分の乾式混合によって調製される。
【0114】
【表10】
表8に示される組成物を含有する造粒液は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を水に分散することによって調製される。
【0115】
【表11】
流動層造粒機内で、上記造粒液を徐々に加えて上記顆粒化混合物を造粒する。加えた造粒液の総量は、上記顆粒化混合物の35重量%に達する。
【0116】
こうして得られた顆粒は、50℃の流動層造粒機内で乾燥し、続いて500μmの篩にかける。
【0117】
表9に示される組成物を含有する錠剤化混合物は、上記乾燥した顆粒を表9の賦形剤(ステアリン酸マグネシウム以外)と15分間混合することによって調製される。ステアリン酸マグネシウムを加え、さらに5分間混合を続ける。
【0118】
【表12】
上記混合物は、直径6.5mmの80mgの円形錠剤に圧縮する。これらの錠剤の上記エステトロール含有量は約10mgである。
【0119】
実施例4
7種の異なる舌下錠のセット(製剤処方A〜G)は、下記の手順及び
図1に示される手順によって調製した。
【0120】
錠剤毎のエステトロールの目標含有量は以下のとおりであった:製剤処方Aは100μg、製剤処方Bは250mg、製剤処方Cは7.5mg、製剤処方Dは1mg、並びに製剤処方E、F及びGは10mg。
【0121】
上記錠剤の目標重量は以下のとおりであった:製剤処方A及びCは30mg、製剤処方B及びDは1000mg、並びに製剤処方E、F及びGは80mg。
【0122】
上記エステトロールを主な希釈剤の一部と混合し、800μm篩(screen)で篩い分けした。すべての他の賦形剤も800μm篩で篩い分けした。
【0123】
脱イオン水中10%PVP(ポリビニルピロリドン)の結合剤溶液を調製した(製剤処方B、C、及びFに使用された結合剤溶液中のPVP濃度は15%であった)。表の顆粒内賦形剤(バッチサイズ±100g)から成る乾燥した混合物に、上記結合剤溶液を加えることによって、顆粒形成を開始した。混合の30秒後に顆粒を形成し、続いて適切な顆粒が形成されるまで、純粋な脱イオン水を加えた(目視判定で、顆粒形成は合計1分間)。
【0124】
上記顆粒は、40℃の真空オーブン内で一晩乾燥し、続いて800μm篩で粉砕した。こうして得られた混合物を顆粒外賦形剤(ステアリン酸マグネシウム以外)とともに15分間混合した。最終的に、ステアリン酸マグネシウムを加えて3分間混合した。
【0125】
適切なパンチ(30mg錠剤(A及びC)に対しては5mm、80mg錠剤(E、F、及びG)に対しては6mm、及び1000mg錠剤(B及びD)に対しては15mm)を装備したシングルパンチ機を使用し、圧縮を行った。
【0126】
欧州薬局方2.9.1(「錠剤及びカプセルの崩壊」)及び米国薬局方<701>(「崩壊」)に記載される公知のプロトコールに従って、所定の液体として水を用い、崩壊時間を数値化した。
【0127】
欧州薬局方2.9.8(「錠剤の耐衝撃性」)に記載される公知のプロトコールを用い、硬度を測定した。
【0128】
最終製剤及び対応する錠剤の結果は、下記の表10及び11にみられる。
【0129】
試験中、問題は認められず、上記混合物の流動性は良好であり、スティッキングは認められなかった。
【0130】
【表13】
【表14】
目標重量に近い最終重量ですべての錠剤が得られたこと、及びこれらの錠剤のために意図された舌下、頬側、又は唇下投与経路によると、最も大きい1g錠剤であっても崩壊時間は非常に短かったことが確認できる。
【0131】
最後に、すべての錠剤の硬度は非常に許容し得る範囲内であった。
【0132】
実施例5
無作為化、非盲検、二期間、クロスオーバー、薬物動態試験を実施し、80mgの錠剤(実施例4の製剤処方Eに記載の錠剤として同組成物を含有)1個で投与されたエステトロール10mgの舌下バイオアベイラビリティと、エステトロール10mgを含有する83mgの錠剤に含有されたエステトロールの経口アベイラビリティを比較した。これらの錠剤は、絶食状態の女性健常者に舌下及び経口投与された。
【0133】
10名の健康な女性被験者は、下記判定基準に基づいて選択される:年齢45〜65歳(含む)、非喫煙者又は元喫煙者(投薬の少なくとも6ヵ月前)、体格指数(BMI)=18.5〜30kg/m
2(スクリーニング時を含む)。
【0134】
上記試験の第1及び第2の期間の開始時、午前07:00〜午前07:28の間に、被験者5名は、エステトロールの錠剤(錠剤重量80mg;エステトロール10mg)を1錠投与されることによって、エステトロールの舌下製剤の1回用量を摂取し、さらに被験者5名は、水200mLと一緒に飲み込んでエステトロールの錠剤(錠剤重量83mg;エステトロール10mg)を1錠投与されることによって、エステトロールの経口製剤の1回経口用量を摂取する。
【0135】
被験者は、錠剤の投与前少なくとも10時間及び投与後少なくとも4時間絶食することが求められる。上記薬剤の投与前1時間以内の水又は飲料の摂取は認められない。被験者は、錠剤の投与前1時間及び投与後2時間に水200mLを摂取する。被験者は、錠剤の投与後4時間から水及びフルーツティーを自由に摂取する。錠剤の投与前10.5時間並びに投与後4、6、9、及び13時間に標準食を供給する。
【0136】
第1及び第2の期間に行われた一連の事象を表12に示す:
【表15】
本試験で用いる血液及び尿のサンプリングスケジュールを表13に示す。
【0137】
【表16】
採取された血液サンプル中のエステトロール濃度は、HPLC/MS/MSを用いて確定する。尿サンプル中のエステトロールグルクロン酸抱合体(D−環)濃度も、HPLC/MS/MSを用いて確定する。
【0138】
これらの分析結果から、舌下投与されたエステトロールのバイオアベイラビリティは、経口投与されたエステトロールと同程度又はより優れていることが示される。さらに、上記データから、舌下投与されたエステトロールは、経口投与されたエステトロールと比較してバイオアベイラビリティがより早いことが示唆される。舌下によるエステトロールは、肝機能検査値への影響が少ない。