(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態としての記憶媒体装置について図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
[ICカードの構成例]
図1は、本実施形態におけるICカード100(記憶媒体装置の一例)の構成例を示している。なお、同図においては、ICカード100と通信を行う外部装置として、リーダライタ200がともに示されている。なお、本実施形態におけるリーダライタ200は、カード所有者がICカードを使用する運用段階において使用されるものであってもよいし、発行段階においてICカード100に対して発行処理を行う発行装置であってもよい。
【0014】
同図のICカード100の構成例について説明する。同図に示すICカード100は、通信部101、制御部102、及び記憶媒体103を備える。
【0015】
通信部101は、リーダライタ200と通信を実行する。通信部101による外部装置との通信は接触式であってもよいし非接触式であってもよい。つまり、通信部101は、物理層の構成として、接触式に対応する構成を有していてもよいし、非接触式に対応する構成を有していてもよい。
以降の説明では、本実施形態のICカード100が非接触式で通信を行うようにされている場合を例に挙げる。
【0016】
制御部102は、ICカード100における各種制御を実行する。制御部102としての機能は、例えばICカード100が備えるCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより実現される。
本実施形態の制御部102は、リーダライタ200との通信に関連する機能部として、通信能力通知部121、パラメータ変換部122、及び通信制御部123を備える。
【0017】
通信能力通知部121は、記憶媒体103に記憶され、自装置の通信能力を示す通信パラメータを含む通信能力データDCMを、リーダライタ200との通信路設定に際してリーダライタに送信する。
ICカード100がリーダライタ200の通信距離に入ると、ICカード100がリーダライタ200からの電源供給を受けて起動し、通信路設定に対応する待機モードとなる。ICカード100における通信能力通知部121は、待機モードのもとでリーダライタ200から送信された通信能力通知要求を受信すると、通信路設定モードに移行し、通信能力通知要求に対する応答として、通信能力データDCMをリーダライタ200に送信する。
【0018】
パラメータ変換部122は、通信能力データDCMに含まれる通信パラメータについて通信制御に適合するように変換を行う。
通信制御部123は、外部装置との通信路設定後の通信にあたり、パラメータ変換部122により変換された通信パラメータを用いて通信制御を行う。
上記の通信能力通知部121、パラメータ変換部122、及び通信制御部123は、例えばOSにより実現される機能である。
【0019】
記憶媒体103は、CPUが実行するプログラムのほか、制御部102が利用する各種のデータを記憶する。リーダライタ200との通信に関連して、記憶媒体103は、通信能力データDCMと、通信パラメータ変換テーブルPTB(通信パラメータ対応情報の一例)を記憶する。記憶媒体103は、不揮発性メモリを備えて構成される。記憶媒体103が備える不揮発性メモリとしては、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、及びROM(Read Only Memory)などを挙げることができる。
【0020】
通信能力データDCMは、前述のようにリーダライタ200との通信路設定に際して、通信能力通知部121によりリーダライタ200に送信されるデータである。通信能力データDCMは、ICカード100の通信能力を示す情報であり、通信能力を示す所定の通信パラメータを含む。通信能力データDCMに含まれる通信パラメータとして、例えば、通信速度、ブロックタイムアウト、キャラクタタイムアウト、及び通信バッファサイズなどを挙げることができる。
通信速度は、リーダライタ200との間でのデータの伝送速度を示す。ブロックタイムアウトは、リーダライタ200から送信されたコマンドを受信してからレスポンスを送信するまでに許容される待ち時間を示す。キャラクタタイムアウトは、1バイトの伝送に対応する時間を示す。通信バッファサイズは、所定の通信プロトコルに対応して伝送される単位データを格納するバッファのサイズを示す。リーダライタ200は、受信された通信能力データDCMに含まれる通信パラメータの値を、それぞれICカード100との通信に対応する通信パラメータの値として設定する。
【0021】
通信パラメータ変換テーブルPTBは、共通の通信パラメータごとに、通信制御に適合する値と、外部装置との通信路設定に適合する値とを対応付けたテーブルである。パラメータ変換部122は、通信能力データDCMに含まれる通信パラメータについて通信制御に適合するように変換を行うにあたって通信パラメータ変換テーブルを使用する。
【0022】
図2は、通信パラメータ変換テーブルPTBとして、ブロックタイムアウトの通信パラメータに対応するテーブルの例を示している。同図においては実待ち時間ごとに待ち時間対応整数値と待ち時間対応タイマ値とが対応付けられている。なお、実待ち時間は、説明の理解のために図示しており、通信パラメータ変換テーブルPTBとしては、待ち時間対応整数値と待ち時間対応タイマ値とが対応付けられていればよい。また、同図に示される実待ち時間の値は一例である。
【0023】
待ち時間対応整数値は、通信能力データDCMにおいてブロックタイムアウトに対応する通信パラメータである。同図から理解されるように、待ち時間対応整数値は、302μs〜4949msの15段階の実待ち時間ごとに対して、「0」〜「14」の整数値を設定した形式である。
リーダライタ200は、ICカード100から送信された通信能力データDCMを利用して通信パラメータの設定を行うが、ブロックタイムアウトについては以下のように設定することができる。
つまり、リーダライタ200は、所定の規格に基づき、通信能力データDCMに含まれていた待ち時間対応整数値Vwを利用して以下の式1を用いた演算により、実待ち時間Twを算出することができる。なお、式1においてfcは、キャリア周波数である。
Tw=(256×16÷fc)×2
Vw・・・(式1)
【0024】
待ち時間対応タイマ値は、通信制御部123がリーダライタ200との通信路設定後における通信制御に用いる通信制御対応通信パラメータにおいてブロックタイムアウトに対応する通信パラメータである。待ち時間対応タイマ値は、302μs〜4949msの15段階の実待ち時間ごとに対して、「1」、「2」、「4」・・・・「16384」のように2のべき乗で増加する値を設定した形式である。
このように、通信能力データDCMと通信制御対応通信パラメータとでは同じ実値に対応して設定される制御値の形式が異なっている。
【0025】
本実施形態のパラメータ変換部122は、通信能力データDCMの通信パラメータを通信制御対応通信パラメータに変換するにあたり、ブロックタイムアウトの通信パラメータについては、以下のように処理を行う。
先ず、ブロックタイムアウトの通信パラメータの変換にあたり、パラメータ変換部122は、記憶媒体103が記憶する通信能力データDCMに含まれる待ち時間対応整数値を参照する。通信能力データDCMには、待ち時間対応整数値として、「0」〜「14」のうちのいずれか1つの値が格納されている。パラメータ変換部122は、通信能力データDCMに格納されている待ち時間対応整数値を取得する。次に、パラメータ変換部122は、記憶媒体103が記憶する通信パラメータ変換テーブルPTBを参照し、取得した待ち時間対応整数値に対応付けられた待ち時間対応タイマ値を取得する。このようにして、ブロックタイムアウトの通信パラメータについて、待ち時間対応整数値から待ち時間対応タイマ値への変換が行われる。
パラメータ変換部122は、例えば通信速度、キャラクタタイムアウト、及び通信バッファサイズなどの他の通信パラメータについても、それぞれに対応する通信パラメータ変換テーブルPTBにおける各通信パラメータに対応のテーブルを用いて、同様に変換を行う。
【0026】
[処理手順例]
図3のフローチャートを参照して、
図1の構成によるICカード100が通信に関連して実行する処理手順例について説明する。
前述のように、ICカード100がリーダライタ200の通信距離に入ったことで起動すると、ICカード100は、先ず、通信路設定の待機モードとなる。通信路設定の待機モードにおいて、通信能力通知部121は、リーダライタ200から送信される通信能力通知要求が通信部101にて受信されるのを待機する(ステップS101−NO)。
通信能力通知要求が受信されると(ステップS101−YES)、通信能力通知部121は、記憶媒体103が記憶する通信能力データDCMを読み出す(ステップS102)。通信能力通知部121は、読み出した通信能力データDCMを、ステップS101に対応して受信された通信能力通知要求に対する応答として、通信部101からリーダライタ200に送信させる(ステップS103)。
【0027】
また、パラメータ変換部122は、記憶媒体103から読み出した通信能力データDCMに含まれる通信パラメータの値を、前述のように通信パラメータ変換テーブルPTBを利用して、通信制御部123が実行する通信制御に適合する値となるように変換を行う(ステップS104)。
パラメータ変換部122は、変換した通信パラメータを、通信制御対応通信パラメータPRM(
図1)として、例えば制御部102が備えるRAM(Random Access Memory)にて記憶させる(ステップS105)。
【0028】
ステップS105により通信制御対応通信パラメータPRMがRAMに記憶されて以降において、通信制御部123は、ステップS105によりRAMに記憶された通信制御対応通信パラメータPRMを利用してリーダライタ200との通信における通信制御を実行する(ステップS106)。
【0029】
例えば、ICカードにおいて通信能力データと通信制御対応通信パラメータとのそれぞれを記憶媒体103に予め記憶させておくようにした場合、通信能力データと通信制御対応通信パラメータとは特に関連付けられることなく個別に管理される。このために、何らかの理由で通信能力データに含まれる通信パラメータの値に対応する実値と通信制御対応通信パラメータの値に対応する実値とで相違している可能性がある。通信パラメータと通信制御対応通信パラメータとで上記のように相違が生じている場合には、通信が正常に行われなくなる可能性がある。
具体例として、例えば通信能力データにおいて通信速度に対応する通信パラメータの値が106kbpsに対応する値であるのに対して、通信制御対応通信パラメータにおいて通信速度に対応する通信パラメータの値が212kbpsである場合を挙げる。この場合のリーダライタは、106kbpsの通信速度に対応したクロックの設定に基づいて通信を行う。一方で、ICカードでは212kbpsの通信速度に対応したクロックの設定に基づいて通信を行う。このため、ICカードから送信したデータの速度がリーダライタ200側では速すぎることになってデータの受信が正常に行われなくなる。
【0030】
これに対して、本実施形態においては、記憶媒体103に通信能力データDCMを記憶させるが、通信制御対応通信パラメータについては記憶媒体103に記憶させていない。そのうえで、ICカード100は、通信路設定に際して、通信能力データDCMを変換して得た通信制御対応通信パラメータPRMにより通信制御を実行するようにされている。また、一方のリーダライタ200は、ステップS103により送信された通信能力データDCMを利用して、ICカード100との通信における通信パラメータの値を設定したうえで、通信制御を行っている。従って、この場合のリーダライタ200とICカード100とは、それぞれが同じ通信パラメータの実値を設定して通信を行うことができる。これにより、例えば前述の通信速度についても、リーダライタ200とICカード100とで同じ速度を設定できる。
このようにして、本実施形態においては、通信能力データと通信制御対応通信パラメータとのパラメータ値の相違に起因する通信の不具合を解消できる。
【0031】
また、本実施形態においては、例えばICカード100のアップデートなどに伴って通信パラメータが変更される場合において、記憶媒体103に記憶された通信能力データDCMを更新すればよく、通信制御対応通信パラメータを更新する必要はない。これにより、ICカード100の通信パラメータの更新を簡易に行うことができる。
【0032】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。先の第1実施形態では、通信能力データDCMを記憶媒体103に記憶させたうえで、通信能力データDCMを変換することで、通信能力データDCMと同じ通信パラメータの実値を示す通信制御対応通信パラメータPRMを得るようにされていた。
これに対して、本実施形態では、通信制御対応通信パラメータPRMを予め記憶媒体103に記憶させておき、通信能力データDCMについては、記憶媒体103に記憶させないようにしている。そのうえで、通信路設定に際しては、ICカード100は、記憶媒体103に記憶された通信制御対応通信パラメータPRMを通信能力データDCMに変換し、変換された通信能力データDCMを、通信能力通知要求に対する応答としてリーダライタ200に送信する。そして、ICカード100は、通信路設定後の通信に際しては、記憶媒体103に記憶された通信制御対応通信パラメータPRMを利用して通信制御を実行する。このような構成によっても、リーダライタ200とICカード100とで同じ通信パラメータの実値を設定して通信を行うことが可能である。
【0033】
[ICカードの構成例]
図4は、本実施形態におけるICカード100の構成例を示している。同図において
図1と同様となる部分については同一符号を付し、説明を省略する。
本実施形態における記憶媒体103は、通信制御対応通信パラメータPRMと通信パラメータ変換テーブルPTBとを記憶する。つまり、本実施形態における記憶媒体103は、
図1の記憶媒体103にて記憶されていた通信能力データDCMに代えて、通信制御対応通信パラメータPRMを記憶する。
また、本実施形態におけるICカード100の制御部102は、通信能力通知部121A、パラメータ変換部122A、及び通信制御部123Aを備える。
【0034】
[処理手順例]
図5のフローチャートを参照して、
図4の構成によるICカード100が通信に関連して実行する処理手順例について説明する。
通信路設定の待機モードにおいて、通信能力通知部121Aは、リーダライタ200から送信される通信能力通知要求が通信部101にて受信されるのを待機する(ステップS201−NO)。
通信能力通知要求が受信されると(ステップS201−YES)、パラメータ変換部122Aは、記憶媒体103から通信制御対応通信パラメータPRMを読み出す(ステップS202)。パラメータ変換部122Aは、読み出した通信制御対応通信パラメータPRMに含まれる通信パラメータの値のそれぞれを、通信能力通知に対応する形式による値に変換する(ステップS203)。パラメータ変換部122Aは、通信パラメータの変換にあたり、通信パラメータ変換テーブルPTBを参照する。
具体例として、通信制御対応通信パラメータPRMに含まれる通信パラメータのうち、ブロックタイムアウトに対応する通信パラメータの値を変換する場合について説明する。通信制御対応通信パラメータPRMに含まれる通信パラメータのうち、ブロックタイムアウトに対応する通信パラメータは待ち時間対応タイマ値である。そこで、パラメータ変換部122Aは、通信制御対応通信パラメータPRMから取得した待ち時間対応タイマ値の値に対応付けられた待ち時間対応整数値を
図2のテーブルから取得する。このようにしてブロックタイムアウトに対応する通信パラメータの値について、通信制御にて適合する形式から通信能力通知に適合する形式への変換が行われる。
【0035】
パラメータ変換部122Aは、変換後の各通信パラメータを含む通信能力データDCMを生成し、生成された通信能力データDCMを制御部102が有するRAMに記憶させる(ステップS204)。
【0036】
通信能力通知部121Aは、ステップS204によりRAMに記憶された通信能力データDCMを、ステップS201に対応して受信された通信能力通知要求に対する応答として、通信部101からリーダライタ200に送信させる(ステップS205)。
リーダライタ200は、ステップS205により送信された通信能力データDCMに含まれる通信パラメータの値を利用してICカード100との通信のための通信パラメータの設定を行う。
【0037】
ステップS205による通信能力データDCMの送信によりリーダライタ200とICカード100との間で通信路設定が完了すると、通信制御部123Aは、記憶媒体103に記憶されている通信制御対応通信パラメータPRMを利用して、リーダライタ200との通信における通信制御を実行する(ステップS206)。
【0038】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について説明する。先の第2実施形態においては、記憶媒体103が記憶する通信制御対応通信パラメータPRMを変換して得られた通信能力データDCMを、制御部102が有するRAMに記憶させていた。
これに対して、本実施形態では、通信制御対応通信パラメータPRMを変換して得られた通信能力データDCMを、記憶媒体103に記憶させる。
記憶媒体103は不揮発性メモリである。このため、記憶媒体103に一旦記憶された通信能力データDCMは、例えばICカード100への電源供給が停止されても消去することなく記憶されている。このため、本実施形態では、例えば通信路設定にあたり、記憶媒体103に通信能力データDCMが記憶されている場合には、通信パラメータの変換を行うことなく、記憶媒体103から読み出した通信能力データDCMをリーダライタ200に送信することができる。これにより、ICカード100が起動されて通信路設定が行われる都度に通信パラメータの変換処理を実行する必要がなくなり、通信路設定の処理の効率化が図られる。
本実施形態において記憶媒体103に記憶される通信能力データDCMは、通信制御対応通信パラメータPRMから変換して得られたものである。従って、記憶媒体103に記憶される通信能力データDCMに含まれる各通信パラメータの値に対応する実値と、通信制御対応通信パラメータPRMの各通信パラメータの値に対応する実値とは常に一致している。このため、記憶媒体103に記憶される通信能力データDCMをリーダライタ200に送信して通信能力通知を行っても、リーダライタ200とICカード100とで通信パラメータの設定値が相違することはない。
【0039】
[ICカードの構成例]
図6は、本実施形態におけるICカード100の構成例を示している。同図において
図4と同様となる部分については同一符号を付し、説明を省略する。
本実施形態における記憶媒体103は、
図4と同様に、通信制御対応通信パラメータPRMと通信パラメータ変換テーブルPTBとを記憶する。そのうえで、記憶媒体103は、さらに通信能力データDCMを記憶可能な通信能力データ領域ARdcmを有する。
また、本実施形態におけるICカード100の制御部102は、
図4と同様の通信制御部123Aを備える。また、制御部102は、通信能力通知部121B及びパラメータ変換部122Bを備える。
【0040】
[処理手順例]
図7のフローチャートを参照して、
図6の構成によるICカード100が通信に関連して実行する処理手順例について説明する。
通信路設定の待機モードにおいて、通信能力通知部121Bは、リーダライタ200から送信される通信能力通知要求が通信部101にて受信されるのを待機する(ステップS301−NO)。
【0041】
通信能力通知要求が受信されると(ステップS301−YES)、パラメータ変換部122Bは、記憶媒体103に通信能力データDCMが記憶済みであるか否かについて判定する(ステップS302)。
【0042】
記憶媒体103に通信能力データDCMが記憶済みではなかった場合(ステップS302−NO)、パラメータ変換部122Bは、記憶媒体103から通信制御対応通信パラメータPRMを読み出す(ステップS303)。パラメータ変換部122Aは、読み出した通信制御対応通信パラメータPRMに含まれる通信パラメータの値のそれぞれを、通信能力通知に対応する形式による値に変換する(ステップS304)。
パラメータ変換部122Bは、変換後の各通信パラメータを含む通信能力データDCMを生成し、生成された通信能力データDCMを記憶媒体103の通信能力データ領域ARdcmに記憶させる(ステップS305)。
なお、通信能力データ領域ARdcmは、予め所定のディレクトリ、アドレスに対応する領域が定められていてもよいし、ステップS305の処理の際に、そのときの記憶媒体103の空き領域に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0043】
ステップS305の処理の後、通信能力通知部121Bは、記憶媒体103の通信能力データ領域ARdcmから通信能力データDCMを読み出す(ステップS306)。
通信能力通知部121Bは、ステップS301に対応して受信された通信能力通知要求に対する応答として、ステップS306により読み出した通信能力データDCMを、通信部101からリーダライタ200に送信させる(ステップS307)。
【0044】
ステップS307による通信能力データDCMの送信によりリーダライタ200とICカード100との間で通信路設定が完了すると、通信制御部123Aは、記憶媒体103に記憶されている通信制御対応通信パラメータPRMを利用して、リーダライタ200との通信における通信制御を実行する(ステップS308)。
【0045】
また、記憶媒体103に通信能力データDCMが記憶済みであった場合(ステップS302−YES)、ステップS303〜S305としての通信パラメータの変換による通信能力データDCMの生成と、通信能力データDCMの記憶媒体103への記憶に関する処理はスキップされる。そのうえで、ステップS306の処理に移行されることで、記憶媒体103に記憶済みであった通信能力データDCMの読み出しが行われたうえで、通信能力データDCMのリーダライタ200への送信が行われる。
このような処理が実行されることで、通信路設定に際して、記憶媒体103に通信能力データDCMが記憶されていなければ、通信制御対応通信パラメータPRMからの変換により通信能力データDCMが生成され、記憶媒体103に記憶が行われる。そして、記憶媒体103に通信能力データDCMが記憶された後の通信路設定においては、通信パラメータの変換処理を行うことなく、記憶媒体103から読み出した通信能力データDCMをリーダライタ200に送信することができる。
【0046】
なお、記憶媒体103に通信能力データDCMが記憶された状態のICカード100についてバージョンアップなどが行われて、記憶媒体103に記憶された通信制御対応通信パラメータPRMが更新される可能性がある。この場合には、記憶媒体103に記憶された通信制御対応通信パラメータPRMと通信能力データDCMとで、互いが対応する通信パラメータの実値が相違する可能性がある。この場合において、
図7に示す手順に従って処理を実行した場合には、リーダライタ200側での通信パラメータの設定が、ICカード100の通信制御対応通信パラメータPRMによる通信パラメータの設定と異なる可能性がある。
そこで、本実施形態のICカード100としては、例えばバージョンアップなどにより通信制御対応通信パラメータPRMが更新された場合には、記憶媒体103に記憶された通信能力データDCMを消去してもよい。これにより、通信制御対応通信パラメータPRMの更新後における最初の通信路設定にあたって、更新後の通信制御対応通信パラメータPRMを変換して得られた通信能力データDCMが記憶媒体103に新たに記憶される。この結果、通信制御対応通信パラメータPRMの更新に対応させて、通信能力データDCMに含まれる通信パラメータの実値と通信制御対応通信パラメータPRMの実値とを同じにすることができる。
【0047】
<第4実施形態>
続いて、第4実施形態について説明する。先の第1実施形態においては、記憶媒体103が記憶する通信能力データDCMに含まれる通信パラメータを変換して得られた通信制御対応通信パラメータPRMを、制御部102が有するRAMに記憶させていた。
これに対して、本実施形態では、通信能力データDCMに含まれる通信パラメータを変換して得られた通信制御対応通信パラメータPRMを、不揮発性メモリにより構成される記憶媒体103に記憶させる。
不揮発性メモリである記憶媒体103に一旦記憶された通信制御対応通信パラメータPRMは、例えばICカード100への電源供給が停止されても消去することなく記憶されている。このため、本実施形態では、例えば通信制御にあたり、記憶媒体103に通信制御対応通信パラメータPRMが記憶されている場合には、通信パラメータの変換を行うことなく、記憶媒体103から読み出した通信制御対応通信パラメータPRMを利用して通信制御を行うことができる。これにより、ICカード100が起動されてリーダライタ200と通信を実行するごとに通信パラメータの変換処理を実行する必要がなくなり、通信制御に関する処理の効率化が図られる。
本実施形態において記憶媒体103に記憶される通信制御対応通信パラメータPRMは、通信能力データDCMから変換して得られたものである。従って、記憶媒体103に記憶される通信制御対応通信パラメータPRMの各通信パラメータの値に対応する実値と、通信能力データDCMに含まれる各通信パラメータの値に対応する実値とは常に一致している。このため、ICカード100が記憶媒体103に記憶される通信制御対応通信パラメータPRMを利用して通信制御を行っても、リーダライタ200とICカード100とで通信パラメータの設定値が相違することはない。
【0048】
[ICカードの構成例]
図8は、本実施形態におけるICカード100の構成例を示している。同図において
図1と同様となる部分については同一符号を付し、説明を省略する。
本実施形態における記憶媒体103は、
図1と同様に、通信能力データDCMと通信パラメータ変換テーブルPTBとを記憶する。そのうえで、記憶媒体103は、さらに通信制御対応通信パラメータPRMを記憶可能な通信制御対応通信パラメータ領域ARprmを有する。
また、本実施形態におけるICカード100の制御部102は、
図1と同様の通信能力通知部121を備える。また、制御部102は、パラメータ変換部122C及び通信制御部123Bを備える。
【0049】
[処理手順例]
図9のフローチャートを参照して、
図8の構成によるICカード100が通信に関連して実行する処理手順例について説明する。
通信路設定の待機モードにおいて、通信能力通知部121は、リーダライタ200から送信される通信能力通知要求が通信部101にて受信されるのを待機する(ステップS401−NO)。
【0050】
通信能力通知要求が受信されると(ステップS401−YES)、通信能力通知部121は、記憶媒体103が記憶する通信能力データDCMを読み出す(ステップS402)。通信能力通知部121は、読み出した通信能力データDCMを、ステップS401に対応して受信された通信能力通知要求に対する応答として、通信部101からリーダライタ200に送信させる(ステップS403)。
【0051】
次に、パラメータ変換部122Cは、記憶媒体103に通信制御対応通信パラメータPRMが記憶済みであるか否かについて判定する(ステップS404)。
記憶媒体103に通信制御対応通信パラメータPRMが記憶済みではなかった場合(ステップS404−NO)、パラメータ変換部122Cは、ステップS402により記憶媒体103から読み出された通信能力データDCMに含まれる通信パラメータの値を、通信パラメータ変換テーブルPTBを利用して、通信制御に適合する値となるように変換を行う(ステップS405)。
パラメータ変換部122Cは、変換した通信パラメータを、通信制御対応通信パラメータPRMとして、記憶媒体103の通信制御対応通信パラメータ領域ARprmに記憶させる(ステップS406)。
なお、通信制御対応通信パラメータ領域ARprmは、予め所定のディレクトリ、アドレスに対応する領域が定められていてもよいし、ステップS406の処理の際に、そのときの記憶媒体103の空き領域に基づいて設定されるようにしてもよい。
【0052】
ステップS406の処理の後、通信制御部123Bは、記憶媒体103の通信制御対応通信パラメータ領域ARprmから通信制御対応通信パラメータPRMを読み出す(ステップS407)。
通信制御部123Bは、ステップS407により読み出された通信制御対応通信パラメータPRMを利用して、リーダライタ200との通信における通信制御を実行する(ステップS408)。
【0053】
また、記憶媒体103に通信制御対応通信パラメータPRMが記憶済みであった場合(ステップS404−YES)、ステップS405、S406としての通信パラメータの変換と、変換された通信パラメータによる通信制御対応通信パラメータPRMの記憶媒体103への記憶に関する処理はスキップされる。そのうえで、ステップS407の処理に移行されることで、記憶媒体103に記憶済みであった通信制御対応通信パラメータPRMを利用した通信制御部123Bによる通信制御が行われる。
このような処理が実行されることで、通信制御の実行にあたり、記憶媒体103に通信制御対応通信パラメータPRMが記憶されていなければ、通信能力データDCMからの変換により通信制御対応通信パラメータPRMが得られ、記憶媒体103に記憶が行われる。そして、記憶媒体103に通信制御対応通信パラメータPRMが記憶された後においては、通信パラメータの変換処理を行うことなく、記憶媒体103から読み出した通信制御対応通信パラメータPRMにより通信制御を行うことができる。
【0054】
なお、記憶媒体103に通信制御対応通信パラメータPRMが記憶された状態のICカード100についてバージョンアップなどが行われて、記憶媒体103に記憶された通信能力データDCMが更新される可能性がある。この場合には、記憶媒体103に記憶された通信制御対応通信パラメータPRMと通信能力データDCMとで、互いが対応する通信パラメータの実値が相違する可能性がある。この場合において、
図9に示す手順に従って処理を実行した場合には、リーダライタ200側での通信パラメータの設定が、ICカード100の通信制御対応通信パラメータPRMによる通信パラメータの設定と異なる可能性がある。
そこで、本実施形態のICカード100としては、例えばバージョンアップなどにより通信能力データDCMが更新された場合には、記憶媒体103に記憶された通信制御対応通信パラメータPRMを消去してもよい。これにより、通信能力データDCMの更新後における最初の通信路設定にあたって、更新後の通信能力データDCMに含まれる通信パラメータを変換して得られた通信制御対応通信パラメータPRMが記憶媒体103に新たに記憶される。この結果、通信能力データDCMの更新に対応させて、通信能力データDCMに含まれる通信パラメータの実値と通信制御対応通信パラメータPRMの実値とを同じにすることができる。
【0055】
なお、上記各実施形態において、パラメータ変換部122、122A、122B、122Cは、通信パラメータ変換テーブルPTBを利用して通信パラメータの変換を行っていた。しかしながら、パラメータ変換部122、122A、122Bは、通信パラメータの変換を所定の式の演算により行うようにしてもよい。
【0056】
なお、上述のICカード100の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述のICカード100としての処理を行ってもよい。
ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。