(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(
図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0013】
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dがそれぞれ配設されており、さらに
図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。
【0014】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、トナーコンテナ4a〜4dによりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が所定量充填されており、現像装置3a〜3dによって感光体ドラム1a〜1d上に現像剤中のトナーが供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0015】
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等はクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
【0016】
トナー像が転写される転写紙Pは、カラープリンター100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して転写紙Pが所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0017】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、そのまま(或いは分岐部14によって反転搬送路18に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0018】
図2は、上述のカラープリンター100に用いられる、本発明の現像剤搬送機構を備えた現像装置3aの構成を示す断面平面図である。なお、
図2の説明では、
図1に示す感光体ドラム1aに対応する現像装置3aの構成及び動作について説明するが、現像装置3b〜3dの構成及び動作については現像装置3aと同様であるため説明を省略する。
【0019】
図2に示すように、現像装置3aは、現像ローラー20、磁気ローラー21、規制ブレード24、攪拌搬送部材42、および現像容器22等により構成されている。
【0020】
現像容器22は、仕切り部22bによって第1搬送室22cと第2搬送室22dに区画されている。第1搬送室22c及び第2搬送室22dには、キャリアとトナーからなる二成分現像剤が収容される。また、現像容器22は、攪拌搬送部材42と磁気ローラー21及び現像ローラー20を回転可能に保持している。更に、現像容器22には、現像ローラー20を感光体ドラム1aに向けて露出させる開口22aが形成されている。
【0021】
現像ローラー20は、固定軸20aと、磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20cとを備える。現像ローラー20は、感光体ドラムに対向し、一定の間隔を設けて感光体ドラム1aの右方に配設される。また、現像ローラー20は、感光体ドラム1aに接近した対向位置において、感光体ドラム1aにトナーを供給する現像領域Dを形成している。
【0022】
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転可能に保持され、更に、磁石よりなる磁極部材20bが磁気ローラー21と対向する位置に現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて固着される。現像スリーブ20cは、図示しない駆動機構により、
図2の矢印方向(時計回り方向)に回転する。また、現像スリーブ20cには直流電源55aと交流電源55bとで構成される現像電圧電源55が接続されており、直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
【0023】
磁気ローラー21は、ローラー軸21aと磁極部材M及び非磁性材からなる非磁性スリーブ21bを備え、攪拌搬送部材42により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラー20に供給する。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石が交互に配設され、現像容器22に回転不能に支持されるローラー軸21aに固着される。
【0024】
非磁性スリーブ21bは、図示しない駆動機構により、現像ローラー20と同方向(
図2の時計回り方向)に回転する。また、非磁性スリーブ21bには直流電源56aと交流電源56bとで構成される供給電圧電源56が接続されており、直流電圧に交流電圧を重畳した供給バイアスが印加される。非磁性スリーブ21b表面において、帯電した現像剤は磁極部材Mの磁力によって磁気ブラシを形成して担持され、磁気ブラシは規制ブレード24によって所定の高さ(層厚)に調節される。
【0025】
攪拌搬送部材42は磁気ローラー21の略下方に配設される。攪拌搬送部材42は、第1スパイラル43と第2スパイラル44の2本で構成される。第2スパイラル44が磁気ローラー21の下方で、第2搬送室22d内に設けられ、第1スパイラル43が第2スパイラル44の右方に隣接して、第1搬送室22c内に設けられる。第1及び第2スパイラル43、44は現像剤を攪拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。
【0026】
また、第1搬送室22cと第2搬送室22dを仕切る仕切り部22bの長手方向(
図2の紙面と垂直な方向)の両端部分には連通部(
図3参照)が設けられており、第1スパイラル43が回転すると、帯電した現像剤が仕切り部22bに設けた一方の連通部から第2スパイラル44に搬送され、現像剤が第1搬送室22c内と第2搬送室22d内とを循環する。そして、第2スパイラル44から磁気ローラー21に現像剤が供給される。
【0027】
非磁性スリーブ21bが回転すると、磁気ブラシは、磁極部材Mによって非磁性スリーブ21b表面に担持されて搬送され、現像ローラー20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、非磁性スリーブ21bに印加されたバイアス56に応じて、現像ローラー20に供給される。
【0028】
現像バイアスを印加された現像スリーブ20cが
図2の時計回り方向に回転すると、現像領域Dにおいて、現像バイアス電位と感光体ドラム1aの露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20c表面に担持されたトナーが感光体ドラム1aに飛翔する。飛翔したトナーは矢印A方向(反時計回り方向)に回転する感光体ドラム1a上の露光部位に順次付着し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0029】
次に、
図3を用いて、現像装置の攪拌部について詳しく説明する。
図3は現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図(
図2のXX′矢視断面図)である。
【0030】
現像容器22には、前述のように、第1搬送室22cと、第2搬送室22dと、仕切り部22bと、上流側連通部22e、及び下流側連通部22fが形成され、その他に、現像剤補給口22gと、現像剤排出部22hと、上流側壁部22i、及び下流側壁部22jが形成されている。なお、第1搬送室22cにおいて、
図3の左側を上流側、
図3の右側を下流側とし、また、第2搬送室22dにおいて、
図3の右側を上流側、
図3の左側を下流側とする。従って、連通部及び側壁部は、第2搬送室22dを基準として上流及び下流と呼称している。
【0031】
仕切り部22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1搬送室22cと第2搬送室22dを並列させるように仕切っている。仕切り部22bの長手方向の右側端部は、上流側壁部22iの内壁部とともに上流側連通部22eを形成し、一方、仕切り部22bの長手方向の左側端部は、下流側壁部22jの内壁部とともに下流側連通部22fを形成している。現像剤は、第1搬送室22c、上流側連通部22e、第2搬送室22d、及び下流側連通部22fを順次通過して現像容器22内を循環する。
【0032】
現像剤補給口22gは、現像容器22の上部に設けられたトナーコンテナ4a(
図1参照)から新たなトナー及びキャリアを現像容器22内に補給するための開口であり、第1搬送室22cの上流側(
図3の左側)に配置される。
【0033】
現像剤排出部22hは、トナー及びキャリアの補給によって第1及び第2搬送室22c、22d内で余剰となった現像剤を排出するための部分であり、第2搬送室22dの下流側で第2搬送室22dの長手方向に連続して円筒状に設けられるパイプ状搬送路である。
【0034】
第1搬送室22c内には第1スパイラル43が配設され、第2搬送室22d内には第2スパイラル44が配設されている。
【0035】
第1スパイラル43は、回転軸43bと、回転軸43bに一体に設けられ、回転軸43bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根43aとを有する。また、第1螺旋羽根43aは、第1搬送室22cの長手方向の両端部側まで延び、上流側及び下流側連通部22e、22fにも対向して設けられている。回転軸43bは現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
【0036】
第2スパイラル44は、回転軸44bと、回転軸44bに一体に設けられ、回転軸44bの軸方向に第1螺旋羽根43aと同じピッチで第1螺旋羽根43aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される第2螺旋羽根44aとを有する。また、第2螺旋羽根44aは、磁気ローラー21の軸方向長さ以上の長さを有し、更に、上流側連通部22eに対向する位置まで延びて設けられている。回転軸44bは、回転軸43bと平行に配置され、現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
【0037】
また、回転軸44bには、第2螺旋羽根44aとともに、減速搬送部51、規制部52及び排出羽根53が一体に配設されている。
【0038】
減速搬送部51は、第2螺旋羽根44aと同方向を向く複数(ここでは3枚)の羽根で螺旋状に形成されている。減速搬送部51を構成する螺旋羽根は、第2螺旋羽根44aの外径と同じサイズで第2螺旋羽根44aのピッチより小さく設定されている。
【0039】
規制部52は、第2搬送室22d内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、且つ、所定量以上になった現像剤を現像剤排出部22hに搬送する。規制部52は、回転軸44bに設けられる螺旋羽根からなり、第2螺旋羽根44aと逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成され、且つ、第2螺旋羽根44aの外径と略同じで第2螺旋羽根44aのピッチより小さく設定されている。また、規制部52は、下流側壁部22j等の現像容器22の内壁部と規制部52の外周部において所定量の隙間を形成している。この隙間から余剰の現像剤が排出される。
【0040】
現像剤排出部22h内の回転軸44bには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第2螺旋羽根44aと同じ方向を向く螺旋状の羽根からなるが、第2螺旋羽根44aよりピッチが小さく、また羽根の外周が小さくなっている。従って、回転軸44bが回転すると、排出羽根53も回転し、規制部52を乗り越えて現像剤排出部22h内に搬送された余剰現像剤は、
図3の左側に送られて、現像容器22外に排出されるようになっている。なお、排出羽根53、規制部52、及び第2螺旋羽根44aは合成樹脂によって回転軸44bと一体に成型される。
【0041】
また、現像剤排出部22hの下部には搬送パイプ82の連結部82a〜82d(
図6参照)に連通する排出口65が形成されており、現像剤排出部22hの外周面には排出口65を開閉するシャッター70が装着されている。
【0042】
現像容器22の外壁には、歯車61〜64が配設されている。歯車61、62は回転軸43aに固着され、歯車64は回転軸44bに固着され、歯車63は現像容器22に回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。
【0043】
図4は、
図3における現像剤排出部22h周辺の拡大図である。第2スパイラル44には現像剤搬送方向(
図4の白矢印方向)に対し規制部52の上流側直近において下流側連通部22fに対向するように減速搬送部51が設けられている。
【0044】
新たに現像剤を補給していない現像時には、現像剤は、第1搬送室22cから、上流側連通部22e、第2搬送室22d、及び下流側連通部22fと循環しながら攪拌されて、攪拌された現像剤が磁気ローラー21に供給される。
【0045】
現像によってトナーが消費されると、現像剤補給口22gから第1搬送室22c内にトナーとキャリアとを含む現像剤が補給される。補給された現像剤は、現像時と同様に、第1螺旋羽根43aによって、第1搬送室22c内を矢印P方向に搬送され、その後、上流側連通部22eを通って第2搬送室22d内に搬送される。更に、第2螺旋羽根44aによって、現像剤は、第2搬送室22d内の現像剤を矢印Q方向に搬送され、減速搬送部51に搬送される。回転軸44bの回転にともなって規制部52が回転すると、規制部52によって、第2螺旋羽根44aによる現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与される。減速搬送部51において搬送速度が減速された現像剤は、規制部52の上流側に位置する減速搬送部51近傍で塞き止められて嵩高となり、余剰の現像剤(現像剤補給口22gから補給された現像剤とほぼ同量)が規制部52を乗り越えて現像剤排出部22hを介して現像容器22外に排出される。
【0046】
また、第2搬送室22d内には現像剤搬送方向(
図4の白矢印方向)に対し減速搬送部51の上流側に隣接して、透磁率センサーからなるトナー濃度検知センサー71が配置されている。トナー濃度検知センサー71により現像剤の透磁率が検出されると、その検出結果に相当する電圧値を制御部(図示せず)に出力するよう構成されており、制御部によってトナー濃度検知センサー71の出力値からトナー濃度が決定される。
【0047】
シャッター70は、現像剤排出部22hに対し軸方向(矢印AA′方向)に摺動可能に外挿される円筒状の部材である。シャッター70と現像容器20との間にはコイルバネ75が配置されている。シャッター70はコイルバネ75によって閉方向(矢印A方向)に付勢されており、通常は
図4に示すように、現像剤排出部22hの排出口65と重なり合う位置に配置されることにより排出口65を閉鎖している。
【0048】
シャッター70の内周面にはシール部材76が固定されており、現像剤排出部22hの外周面とシャッター70との隙間からの現像剤の漏出を防止する。現像剤排出部22h、シャッター70、コイルバネ75、及びシール部材76は、本発明の現像剤搬送機構を構成する。シール部材76の詳細な構成については後述する。
【0049】
図5は、カラープリンター100の前面側の外装カバー(図示せず)を開放した状態を示す部分斜視図であり、
図6は、
図5のインナーカバー85を取り外して現像剤回収機構80を露出した状態を示す斜視図、
図7は、現像剤回収機構80の側面断面図である。なお、
図6では現像装置3a〜3dの記載を省略している。また、
図7では現像装置3aに対応する位置の断面を示している。
【0050】
現像剤回収機構80は、内部に搬送スクリュー81が配置された搬送パイプ82と、搬送パイプ82を介して搬送されてきた現像剤が貯留される回収容器83とを有している。回収容器83は引き出し可能なトレイ84(
図5では不図示)内に収納されている。また、搬送パイプ82には各現像装置3a〜3dの現像剤排出部22h(
図4参照)に連結される連結部82a〜82dが形成されている。
【0051】
また、各現像装置3a〜3dのシャッター70に対応する位置には押圧部材86a〜86dが設けられている。押圧部材86a〜86dは頭部87と軸部88とで構成されるネジ形状であり、軸部88はカラープリンター100の筐体に形成された貫通孔90を貫通してシャッター70の突起70aに当接している。インナーカバー85には押圧部材86a〜86dの頭部87が露出する窓部85a〜85dが形成されている。押圧部材86a〜86dは、コイルバネ75(
図4参照)によって付勢されるシャッター70によりインナーカバー85方向(矢印A方向)に押圧されている。
【0052】
図5〜
図7は、カラープリンター100の輸送時(出荷時)の状態を示しており、現像装置3aをカラープリンター100に装着した状態では、
図7に示すように現像剤排出部22hの排出口65がシャッター70によって閉じられている。そのため、この状態でカラープリンター100を輸送しても、現像装置3a〜3d内に充填された現像剤が輸送中の振動や衝撃によって排出口65から漏出するおそれはない。
【0053】
カラープリンター100がユーザーの元へ搬入され、サービスマンによりセットアップ(初期設定)を行う際には、押圧部材86a〜86dの頭部87にドライバーを差し込んで回転させながらインナーカバー85内に押し込む。このとき、押圧部材86a〜86dの軸部88と貫通孔90とは鍵と鍵穴の関係を有しているため、軸部88を貫通孔90に押し込んで90°回転させることにより、押圧部材86a〜86dが押し込まれた位置で固定される。
【0054】
図8は、シャッター70により排出口65が開放された状態を示す現像剤回収機構80の側面断面図である。押圧部材86a〜86dがインナーカバー85内に押し込まれると、シャッター70が押圧部材86a〜86dの軸部88に押され、シャッター70はコイルバネ75を圧縮しながら矢印A′方向に移動して排出口65を開放する。これにより、現像剤排出部22hの排出口65と搬送パイプ82とが連通して排出口65からの現像剤の排出が可能となる。現像剤排出部22hの排出口65から排出された現像剤は、搬送スクリュー81により搬送パイプ82内を搬送されて回収容器83内に貯留される。
【0055】
本実施形態の構成により、現像装置3a〜3d内に現像剤を充填した状態でカラープリンター100を輸送(出荷)したときの、現像剤排出部22hからの現像剤の漏出によるカラープリンター100内部の汚染を、簡易な構成で確実に防止することができる。また、セットアップ時には簡単な操作で排出口65を開放することができる。
【0056】
次に、カラープリンター100から現像装置3a〜3dを取り外す際のシャッター70の開閉動作とシール部材76との関係について説明する。押圧部材86a〜86dの頭部87にドライバーを差し込んでセットアップ時と逆方向に90°回転させることにより、圧縮されていたコイルバネ75の復元力により押圧部材86a〜86dがインナーカバー85側に押し戻され、シャッター70が矢印A方向に移動して排出口65を閉鎖する。
【0057】
図9は、本実施形態の現像装置3aにおける現像剤排出部22hの分解斜視図、
図10は、
図9の現像剤排出部22hを排出口65側(
図9の下方向)から見た平面図、
図11および
図12は、それぞれシャッター70によって排出口65を閉鎖した状態および開放した状態を示す現像剤排出部22hの側面断面図である。
【0058】
シャッター70はパイプ状の現像剤排出部22hに外挿される円筒状の部材であり、外周面には押圧部材86a〜86dの軸部88(
図8参照)によって押圧される突起70aが形成されている。
【0059】
シール部材76はシャッター70の内周面(現像剤排出部22hとの摺動面)に貼り付け固定されている。シール部材76の材質としては、スポンジや不織布、フェルト、ナイロン植毛パイル等の弾性材料を用いることができる。本実施形態では、スポンジ製のシール部材76を両面粘着テープでシャッター70の内周面に固定している。
【0060】
シャッター70が排出口65を閉鎖する直前においては、コイルバネ75(
図4参照)は圧縮状態から自然長に戻る直前である。そのため、シャッター70が矢印A方向に動き出した直後に比べてコイルバネ75の復元力(付勢力)が小さくなる。そのため、シール部材76に現像剤が付着するなどしてシャッター70とシール部材76との摺動負荷(摩擦抵抗)が増加すると、シャッター70が排出口を完全に閉鎖しなくなり、この状態で現像装置3a〜3dを取り外すと現像剤の漏洩の原因となる。
【0061】
本実施形態ではシール部材76をシャッター70の摺動面に固定している。この構成により、現像剤排出部22hが搬送パイプ82の連結部82a(
図7参照)内に挿入された際にシール部材76に現像剤が付着しない。
【0062】
その結果、シール部材76への現像剤の付着による摺動負荷の増大も発生しないため、シャッター70が閉動作の途中で止まってしまうことがなく、シャッター70が排出部65を開放した状態(
図12参照)から排出口65を閉鎖した状態(
図11参照)に円滑に且つ確実に切り換わる。従って、シャッター70の動作不良に起因する排出口65からの現像剤の漏洩を確実に防止することができる。
【0063】
また、シャッター70の摺動負荷は、現像剤排出部22hとシャッター70に固定されたシール部材76との接触面積が大きくなるにつれて増加する。そこで、本実施形態ではシール部材76の形状を工夫することによって、シャッター70の摺動負荷をより一層低減し、シャッター70の円滑な動作と十分なシール性能とを両立させている。
【0064】
具体的には、シール部材76を、額縁状のシール部76aと、シール部76aの内側に形成される円形の開口部76bとを有する構成としている。シール部76aは、シャッター70により排出口65を閉じた状態で排出口65を囲むように現像剤排出部22hの外周面と接触する。これにより、開口部76bの分だけシール部76aの面積(現像剤排出部22hとシール部材76との接触面積)が減少するため、シャッター70の摺動負荷が低減する。
【0065】
なお、ここでは排出口65よりも小さい開口部76bをシール部材76に形成しているが、開口部76bの大きさは特に制限はなく、シャッター70により排出口65を閉じた状態でシール部材76(シール部76a)が排出口65の周囲をシール可能であれば、排出口65よりも大きい開口部76bを形成してもよい。但し、開口部76bが大きくなるにつれてシール部76aの面積が減少するため、現像剤排出部22hとシール部材76との摺動負荷は減少する反面、シール性能やシャッター部材70への貼り付け強度が低下する。そのため、シール部材76の摩擦係数やシャッター70を摺動させるコイルバネ75のバネ係数、シール部材76に要求されるシール性能や貼り付け強度等を考慮して、適切な大きさの開口部76bを形成する必要がある。
【0066】
また、開口部76bの形状も特に限定されないが、本実施形態のように開口部76bを円形とすることで、開口部76bの外周縁と矩形状の排出口65のエッジ部65aとが引っ掛かり難くなり、シャッター70の動作不良やシール部材76の剥がれを抑制できるため、円形、或いは楕円形の開口部76bを形成することが好ましい。
【0067】
また、矩形状の開口部76bを形成する場合は、
図13に示すように、開口部76bをひし形に形成することが好ましい。開口部76bをひし形にした場合、4辺の開口縁77がいずれも排出口65のエッジ部65aに対して所定の角度を有する(平行でない)ことになる。これにより、シャッター70の閉鎖時におけるシール部材76の開口部76bとエッジ部65aとの引っ掛かりを抑制することができる。
【0068】
なお、開口部76bの形状はひし形に限らず、六角形や八角形等の多角形であってもよい。このとき、開口部76bの全ての辺(開口縁)が排出口65のエッジ部65aに対して所定の角度を有するような多角形とすることで、
図13に示したひし形の場合と同様に開口部76とエッジ部65aとの引っ掛かりを抑制することができる。
【0069】
さらに、開口部76bに代えて、
図14(a)、(b)に示すようにシール部材76に円形の凹部76cを形成してもよい。この場合も、開口部76bを形成した場合と同様に凹部76cの分だけシール部76aの面積が減少するため、シャッター70の摺動負荷を低減することができる。凹部76cの大きさや形状については開口部76bと同様に決定することができる。
【0070】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明の現像剤搬送機構は、
図2に示したような二成分現像剤の補給を行うとともに余剰現像剤を排出する現像装置3aの現像剤排出部への適用に限定されるものではなく、画像形成装置内においてパイプ状搬送路を用いて現像剤を搬送する種々の部分に適用可能である。なお、本発明の現像剤搬送機構で搬送される「現像剤」とは、トナーと磁性キャリアとから成る二成分現像剤、トナーのみから成る一成分現像剤、二成分現像剤から像担持体上へ供給され、像担持体上から回収された廃トナー等を含むものとする。
【0071】
例えば、
図1のクリーニング装置14a〜14dによって感光体ドラム1a〜1dから除去された廃トナーや、ベルトクリーニング装置31によって中間転写ベルト8上から除去された廃トナーを、パイプ状通路と搬送スクリューを用いて廃トナー回収容器まで搬送する現像剤搬送機構において、現像剤搬送機構をカラープリンター100に対し着脱可能とし、パイプ状通路の排出口を開閉するシャッターを設けて廃トナーの漏出を防止する場合にも適用可能である。
【0072】
また、本発明は
図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、カラー複写機、ファクシミリ等、種々の画像形成装置に適用可能である。