特許第6866805号(P6866805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866805
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】架台及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/30 20060101AFI20210419BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H02B1/30 A
   F16B7/18 D
   F16B7/18 E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-160773(P2017-160773)
(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公開番号】特開2019-41467(P2019-41467A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬司
(72)【発明者】
【氏名】中原 敬之
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−189761(JP,A)
【文献】 特開昭58−093408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00− 1/38
H02B 1/46− 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレめっき形鋼が非加熱接合により互いに接合されている架台であって
全体としての外形が矩形状とされており、
前記複数のプレめっき形鋼には、互いに平行に配置された複数の溝形鋼と、前記溝形鋼に直交するとともに互いに平行に配置された複数のH形鋼とが含まれている、
架台。
【請求項2】
前記H形鋼には、ウェブと、前記ウェブの両端に接合された一対のフランジとを有し、前記ウェブが前記フランジの幅方向中央からずれた位置で前記フランジに接合されている、偏心H形鋼が含まれており、
前記偏心H形鋼のフランジには、前記ウェブの側面から前記フランジの端部までの領域のうち、幅広の領域である広部と、前記ウェブの側面から前記フランジの端部までの領域のうち、幅狭の領域である狭部とが設けられており、
前記広部の幅が前記溝形鋼のフランジの幅と等しくされている、
請求項記載の架台。
【請求項3】
前記非加熱接合は、ボルト接合である、
請求項1又は請求項2に記載の架台。
【請求項4】
複数のプレめっき形鋼を準備する工程と、
前記複数のプレめっき形鋼を非加熱接合により互いに接合する工程と
を含む、架台の製造方法であって、
前記架台は、全体としての外形が矩形状とされており、
前記複数のプレめっき形鋼には、互いに平行に配置された複数の溝形鋼と、前記溝形鋼に直交するとともに互いに平行に配置された複数のH形鋼とが含まれている、
架台の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば受変電設備や空調設備等の被支持物を支持するための架台及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の架台としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来の架台は、断面C字状の溝形鋼を矩形状(枠状)に接合したものにより構成されている。例えばコンクリート基礎の上面等の設置面の上に架台が配置されるとともに、その架台の上に被支持物が設置される。
【0003】
このような架台には、腐食を抑えるため耐食性処理が施されることがある。一般に、耐食性処理は、溝形鋼を溶接して矩形状の架台素体(中間体)を形成した後に、その架台素体を溶融金属に浸漬して架台素体の外面にめっき層を形成することで行われる。架台素体を溶融金属に浸漬する代わりに、架台素体の外面に金属を溶射する(溶融金属を吹き付ける)場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−67219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の架台では、溝形鋼を溶接して矩形状の架台素体を形成した後に、溶融金属への浸漬又は金属の溶射により架台素体への耐食性処理を行っている。構造体である架台素体への耐食性処理には特別な設備が必要とされるため、架台素体の耐食性処理は専門業者で実施される。このため、専門業者での処理コストがかかるとともに、架台素体を形成した後に専門業者との間で架台素体を往復させるコストが生じ、架台の製造コストが増大する。
【0006】
また、架台素体を溶融金属に浸漬した際に架台素体が熱せられて架台素体に歪みが生じる虞がある。架台素体のような構造体に生じた歪みを矯正することは難しいため、一般に、架台素体の素材として肉厚が厚い溝形鋼を使用して、架台素体での歪みの発生を抑えることが行われている。このため、被支持物の支持に必要とされる強度を得るための肉厚よりも厚い肉厚の溝形鋼を用いることになり、架台の重量が増大している。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、製造コストを抑えることができるとともに、重量を軽くすることができる架台及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る架台は、複数のプレめっき形鋼が非加熱接合により互いに接合されている架台であって、全体としての外形が矩形状とされており、複数のプレめっき形鋼には、互いに平行に配置された複数の溝形鋼と、溝形鋼に直交するとともに互いに平行に配置された複数のH形鋼とが含まれている
【0009】
また、本発明に係る架台の製造方法は、複数のプレめっき形鋼を準備する工程と、複数のプレめっき形鋼を非加熱接合により互いに接合する工程とを含む架台の製造方法であって、架台は、全体としての外形が矩形状とされており、複数のプレめっき形鋼には、互いに平行に配置された複数の溝形鋼と、溝形鋼に直交するとともに互いに平行に配置された複数のH形鋼とが含まれている
【発明の効果】
【0010】
本発明の架台及びその製造方法によれば、複数のプレめっき形鋼が非加熱接合により互いに接合されているので、製造コストを抑えることができるとともに、重量を軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1による架台を示す斜視図である。
図2図1の架台を示す平面図である。
図3図1の架台の要部を示す斜視図である。
図4図3の各H形鋼の断面図である。
図5】本発明の実施の形態2による架台の要部を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態3による架台の要部を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態4による架台の要部を示す斜視図である。
図8】本発明の実施の形態5による架台の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による架台1を示す斜視図であり、図2図1の架台1を示す平面図である。架台1は、被支持物2を支持するためのものであり、例えばコンクリート基礎の上面等の設置面の上に配置されて使用される。被支持物2としては、屋外に配置される屋外設備が主に想定される。屋外設備としては、受変電設備(配電盤、分電盤、制御盤又は変電盤)又は空調設備等、立方体又は直方体の外形を有する設備が主に想定される。但し、被支持物2は、屋内に配置される屋内設備であってもよい。また、屋外設備は、受変電設備及び空調設備以外の設備であってもよい。
【0013】
架台1は、複数のプレめっき形鋼3が非加熱接合により互いに接合されたものである。プレめっき形鋼3とは、プレめっき形鋼3が互いに接合される前に外面にめっき層が形成された形鋼である。すなわち、本実施の形態の架台1の製造方法は、複数のプレめっき形鋼3を準備する工程と、複数のプレめっき形鋼3を非加熱接合により互いに接合する工程とを含む。めっき層は、例えば亜鉛、亜鉛及びアルミニウムの合金、又は亜鉛、アルミニウム及びマグネシウムの合金等、耐食性に優れた金属及び合金により構成され得る。形鋼としては、溝形鋼、リップ付溝形鋼、H形鋼及び山形鋼等が使用され得る。めっき金属板を冷間成形又は接合して形鋼を形成することが好ましいが、形鋼を形成した後にめっき層を形成してもよい。めっき金属板の接合にはレーザ溶接又は高周波抵抗溶接を用いることができる。
【0014】
架台1の外形並びにプレめっき形鋼3の本数及び断面形状は任意であるが、本実施の形態では、架台1の全体として外形が矩形状とされているとともに、互いに平行に配置された2本の溝形鋼30と、溝形鋼30に直交するとともに互いに平行に配置された3本のH形鋼31とがプレめっき形鋼3として用いられている。溝形鋼30は、架台1の短手方向に延在されており、架台1の長手方向の端部に配置されている。H形鋼31は、架台1の長手方向に延在されおり、溝形鋼30の両端部と溝形鋼30の中央部とに配置されている。
【0015】
プレめっき形鋼3の接合に使用される非加熱接合とは、溶接のように金属を溶融するほどの加熱を伴わない接合方法である。非加熱接合としては、ボルト接合、リベット接合、かしめ接合及び接着等を挙げることができる。後に図を用いて説明するように、本実施の形態では非加熱接合としてボルト接合が用いられている。ボルト接合は、特別な装置や道具及び特殊な技能を必要とせず、利便性が高いためである。
【0016】
次に、図3図1の架台1の要部を示す斜視図であり、図4図3の各H形鋼31の断面図である。図3に示すように、溝形鋼30は、ウェブ30aが架台1の内方に位置し、フランジ30bがウェブ30aから架台1の外方に向かって延出される向きで配置されている。溝形鋼30のウェブ30aには、H形鋼31の端部が当接又は近接するように配置されている。
【0017】
上述のように、本実施の形態の架台1では、各H形鋼31が溝形鋼30にボルト接合されている。具体的には、L字状の接続部材4が溝形鋼30及びH形鋼31のウェブ30a,31aに接するように配置されており、これら溝形鋼30及びH形鋼31のウェブ30a,31aに接続部材4がボルト5によって締結されることで、各H形鋼31が溝形鋼30にボルト接合されている。
【0018】
H形鋼31には、溝形鋼30の延在方向の中央部に配置された非偏心H形鋼310と、溝形鋼30の両端部に配置された偏心H形鋼311とが含まれている。
【0019】
非偏心H形鋼310は、図4の(a)に示すようにフランジ31bの幅方向中央31cの位置でウェブ31aがフランジ31bに接合されたH形鋼である。偏心H形鋼311は、図4の(b)に示すようにフランジ31bの幅方向中央31cからずれた位置でウェブ31aがフランジ31bに接合されたH形鋼である。
【0020】
偏心H形鋼311のフランジ31bは、ウェブ31aによって二つの領域に分けられる。ウェブ31aの側面からフランジ31bの端部までの領域のうち、幅広の領域を広部311aと呼び、幅狭の領域を狭部311bと呼ぶ。
【0021】
図3に示すように、偏心H形鋼311は、広部311aが架台1の外方に位置する向きで配置されている。広部311aの幅は、溝形鋼30のフランジ30bの幅と等しくされている。このように広部311aの幅が溝形鋼30のフランジ30bの幅と等しくされていることで、架台1の周囲に幅又は奥行が同じ空間を確保することができる。
【0022】
このような架台1では、複数のプレめっき形鋼が非加熱接合により互いに接合されているので、製造コストを抑えることができるとともに、重量を軽くすることができる。
具体的には、互いに接合される前に外面にめっき層が形成されたプレめっき形鋼3を使用している。プレめっき形鋼3は、プレめっきした金属板より製造することができる。形鋼を接合して架台素体を形成する前に形鋼の外面にめっき層を形成しているので、架台素体での歪の発生を抑えるために肉厚が厚い溝形鋼を用いる必要性を無くすことができ、架台素体の重量を軽くすることができる。さらに、架台素体での専門業者によるめっき処理を省略できるとともに、専門業者との間で架台素体を往復させる必要を省略でき、架台1の製造コストを抑えることができる。
プレめっき形鋼3は、めっきされていない形鋼の状態で、専門業者によるめっき処理を行っても良い。架台素体のように複雑な形状ではないので、架台素体にめっき処理を施す場合とは異なり、めっき処理による歪が発生しても形状修正は容易であるため、歪発生抑制のために肉厚を厚くする必要性を無くすことができ、架台素体の重量を軽くすることはできる。
また、構造体である架台素体全体をめっき槽に浸漬する必要がないため大掛かりな特殊な設備を必要とされない。
【0023】
また、架台1の全体としての外形が矩形状とされており、互いに平行に配置された複数の溝形鋼30と、溝形鋼30に直交するとともに互いに平行に配置された複数のH形鋼31とが複数のプレめっき形鋼3に含まれているので、より確実に被支持物2を支持することができる。この態様の架台1は、受変電設備又は空調設備を支持することに特に有用であり、これら受変電設備又は空調設備が屋外に設置される場合にさらに有用である。
【0024】
さらに、H形鋼31に偏心H形鋼311が含まれており、偏心H形鋼311のフランジ31bにおける広部311aの幅が溝形鋼30のフランジ30bの幅と等しくされているので、架台1の周囲に幅又は奥行が同じ空間を確保することができる。なお、非偏心H形鋼310を用いて架台1の周囲に幅又は奥行が同じ空間を確保しようとすると、非偏心H形鋼310のフランジ31bの幅が不必要に長くなることが生じ得るが、本実施の形態のように偏心H形鋼311を用いることで、このような問題が発生する虞を回避できる。
【0025】
さらにまた、非加熱接合がボルト接合であるので、特別な装置や道具及び特殊な技能を不要とすることができ、架台1の製造コストをより確実に抑えることができる。
【0026】
なお、実施の形態1では、H形鋼31に偏心H形鋼311が含まれるように説明しているが、H形鋼に偏心H形鋼が含まれておらず、H形鋼が非偏心H形鋼のみにより構成されていてもよい。
【0027】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2による架台の要部を示す斜視図である。実施の形態1では溝形鋼30にH形鋼31が接合されるように説明したが、溝形鋼30の代わりにH形鋼31を用いてもよい。
【0028】
本発明の実施の形態2による架台には、第1H形鋼31と、この第1H形鋼31に直交して配置された第2H形鋼31と含まれている。第1H形鋼31のフランジの側面に第2H形鋼31のフランジの端面が当接されている。これら第1及び第2H形鋼31,31のウェブに接するようにL字状の接続部材4が配置されており、これら第1及び第2H形鋼31,31のウェブに接続部材4がボルトで締結されることで、これら第1及び第2H形鋼31,31を互いにボルト接合できる。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0029】
このように、溝形鋼を用いずに、H形鋼31により矩形の架台を形成してもよい。
【0030】
実施の形態3.
図6は、本発明の実施の形態3による架台の要部を示す斜視図である。実施の形態2では第1H形鋼31のフランジの側面に第2H形鋼31のフランジの端面が当接されているので、第1及び第2H形鋼31,31のウェブ間に空間が空いてしまう。図6に示すように、第1及び第2H形鋼31,31に斜めの切断部6を形成して、第1及び第2H形鋼31,31のウェブを互いに近接させることもできる。その他の構成は、実施の形態1,2と同様である。
【0031】
このように、第1及び第2H形鋼31,31に斜めの切断部6を形成して、第1及び第2H形鋼31,31のウェブを互いに近接させてもよい。
【0032】
実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4による架台の要部を示す斜視図である。実施の形態2のように第1H形鋼31のフランジの側面に第2H形鋼31のフランジの端面を当接させると、第1及び第2H形鋼31,31のウェブ間に空間が空いてしまう。図7に示すように、第2H形鋼31の端部からL字状の延出部7を延出させるとともに、第2H形鋼31の延出部7を第1H形鋼31のウェブに当てて、延出部7を第1H形鋼31にボルト接合してもよい。換言すると、実施の形態1〜3では接続部材4を介して形鋼をボルト接合するように説明したが、形鋼同士を直接的にボルト接合してもよい。その他の構成は、実施の形態1〜3と同様である。
【0033】
このように、形鋼の形状に工夫を加えて、形鋼同士を直接的にボルト接合してもよい。
【0034】
実施の形態5.
図8は、本発明の実施の形態5による架台の要部を示す斜視図である。実施の形態2のように第1H形鋼31のフランジの側面に第2H形鋼31のフランジの端面を当接させると、第1及び第2H形鋼31,31のウェブ間に空間が空いてしまう。図8に示すように、第2H形鋼31のウェブ端部に屈曲加工部80を形成することにより、フランジ間距離が狭くされた幅狭部8を第2H形鋼31の端部に形成し、この幅狭部8を第1H形鋼31のフランジ間に挿入して、第1及び第2H形鋼31,31のウェブ間に空間が空くことを回避してもよい。その他の構成は、実施の形態1〜4と同様である。
【0035】
このように、幅狭部8を第2H形鋼31の端部に形成することにより、第1及び第2H形鋼31,31のウェブ間に空間が空くことを回避してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 架台
3 プレめっき形鋼
4 接続部材
30 溝形鋼
31 H形鋼
311 偏心H形鋼
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8