(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電子時計100は、
図1に示すように、ハードウェア構成として、電子時計100は、マイクロコントローラ110と、振動子141と、表示駆動回路142と、表示部151と、操作受付部152と、電源部160と、通信部170と、を備える。
【0011】
マイクロコントローラ110は、発振回路111と、分周回路112と、計時回路113と、タイマ回路114と、割込発生回路115と、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)120と、ROM(Read Only Memory)131と、RAM(Random Access Memory)132と、を備える。なお、発振回路111、分周回路112、計時回路113、タイマ回路114、割込発生回路115、ROM131及びRAM132は、マイクロコントローラ110の内部に限られず、マイクロコントローラ110の外部に設けられてもよい。また、振動子141、表示駆動回路142、電源部160及び通信部170は、マイクロコントローラ110の外部に限られず、マイクロコントローラ110の内部に設けられてもよい。
【0012】
発振回路111は、振動子141を発振させて、所定の周波数信号(クロック信号)を生成して出力する。
【0013】
分周回路112は、発振回路111から入力された周波数信号を計時回路113やCPU120が利用する周波数の信号に分周して出力する。この出力信号の周波数は、CPU120による設定に基づいて変更されても良い。
【0014】
計時回路113は、分周回路112から入力された信号の入力回数を計数することによって現在時刻を計時する。なお、計時回路113は、所定の時間(例えば1秒)毎にRAM132に記憶させる値を変化させるソフトウェアにより構成されても良いし、或いは、専用のハードウェアにより構成されても良い。計時回路113が計時する時刻は、所定のタイミングからの累積時間、UTC(Coordinated Universal Time、協定世界時)、JST(Japan Standard Time、日本標準時)等の各地の標準時、又は予め設定された都市の時刻(地方時)等のうち何れであっても良い。また、この計時回路113が計時する時刻は、必ずしも年月日時分秒の形式でなくてもよい。なお、本実施形態においては、発振回路111、分周回路112及び計時回路113により計時部が構成される。
【0015】
タイマ回路114は、割り込み周期をカウントし、割り込み周期が経過するたびに、割込発生回路115に割り込み周期が経過したことを通知する。タイマ回路114には複数の割り込み周期(例えば1/8秒と1秒)を設定することができ、どの割り込み周期が経過したのかを割込発生回路115に通知する。本実施形態では割り込み周期として、以下の2つの割り込み周期が設定される。1つ目は、表示部151に印加する電圧の極性を変化させる周期(極性反転周期)が、1秒の割り込み周期として設定される。2つめは、表示部151に表示される画像データを更新する周期(基準周期)が、1/8秒の割り込み周期として設定される。この極性判定周期は基準周期を8分周して得られる。
【0016】
割込発生回路115は、タイマ回路114からの通知を受けると、CPU120に割り込み要求信号を出力する。上述したようにタイマ回路114の割り込み周期は、複数(例えば1/8秒と、1秒)設定することができ、割込発生回路115は、タイマ回路114からの通知により、どの割り込み周期による割り込みなのかを判別できる割り込み要求信号をCPU120に出力する。この2つの割り込み周期により、CPU120は、1/8秒の基準周期と、1秒の極性反転周期と、をそれぞれ得ることができる。この場合、基準周波数は基準周期の逆数である8Hzであり、極性反転周波数は極性反転周期の逆数である1Hzである。極性反転周波数は基準周波数を8分周したものなので、基準周波数は極性反転周波数の8倍である。ただし、基準周期(基準周波数)と極性反転周期(極性反転周波数)との関係はこれに限定されるものではない。基準周期は極性反転周期の整数分の1であれば任意である。
【0017】
CPU120は、各種演算処理を行い、電子時計100の全体動作を統括制御するプロセッサである。CPU120は、ROM131から制御プログラムを読み出し、RAM132をワークメモリとして用いながら、電子時計100の各種機能に係る演算制御、表示制御等を行う。また、CPU120は、マルチスレッド機能に対応していてもよい。CPU120がマルチスレッド機能に対応している場合は、複数のスレッド(異なる処理の流れ)を並行して実行することができる。なお、本実施形態において、CPU120及び表示駆動回路142により本発明に係る駆動装置の一例が構成される。
【0018】
ROM131は、マスクROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、制御プログラムや初期設定データを記憶する。ROM131に記憶されている制御プログラムには、表示部151を駆動するための後述する電圧反転及び画像データ出力の制御に係るプログラムが含まれている。
【0019】
RAM132は、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。RAM132は、ワークメモリとして一時的なデータ、各種設定データ、表示部151に表示する画像データ等を記憶する。本実施形態において、画像データは、例えば現在時刻、年月日、曜日、バッテリ残量等を表す画像データである。
【0020】
振動子141は、例えば、水晶振動子であって、発振回路111と組み合わされて固有の周波数信号を生成する。
【0021】
表示駆動回路142は、CPU120からの制御信号に基づいて、表示部151を駆動するための駆動信号を表示部151に出力し、表示部151に時刻や各種機能の表示を行わせる。詳細には、表示駆動回路142は、
図2に示すように、データドライバ1421、ゲートドライバ1422、VCOM(共通電極電圧)ドライバ1423を含む。データドライバ1421は、CPU120からの制御信号及びクロック信号に基づいて、データバスライン1424にデータ信号を出力する。ゲートドライバ1422は、CPU120からの制御信号及びクロック信号に基づいて、ゲートバスライン1425に走査信号を出力する。VCOMドライバ1423は、CPU120からの制御信号に基づいて、後述する表示素子1513の共通電極1515に印加させる電圧(共通電極電圧:VCOM)を出力する。本実施形態において、共通電極電圧の極性は、CPU120により決定されたタイミングで反転する。
【0022】
表示部151は、時刻や各種機能に係るデータを表示する。本実施形態において、表示部151は、格子状に配置された複数の画素のそれぞれが、その画素の表示データを記憶するメモリ素子を含むメモリインピクセル(MIP:Memory In Pixel)液晶である。表示部151に画像を表示する際、表示駆動回路142は表示対象の画素にデータ信号を出力する。そして、そのデータ信号は、表示対象の画素に含まれるメモリ素子に記録される。そして、メモリ素子に記録されたデータに応じた電圧が画素電極と共通電極との間に印加されることにより、画像の表示が行われる。
【0023】
より詳細には、
図2に示すように、表示部151に含まれる複数の画素1510は、メモリ素子1511と、表示電圧供給回路1512と、表示素子1513とから構成される。また、表示素子1513は、画素電極1514と、共通電極1515と、液晶1516とから構成される。
【0024】
画素1510に画像データを表示する際、ゲートドライバ1422が表示対象の画素1510を含むゲートバスライン1425に走査信号を出力し、データドライバ1421がデータ信号を出力すると、そのデータ信号は、画素1510に含まれるメモリ素子1511に記録される。そして、メモリ素子1511に記録されたデータに応じた電圧が、表示電圧供給回路1512により画素電極1514に供給される。そして、VCOMドライバ1423により供給される共通電極1515と、画素電極1514との間の電圧により、画像の表示が行われる。
【0025】
表示されている画像の書き換えが必要な場合には、データドライバ1421及びゲートドライバ1422がアクティブとなってメモリ素子1511に記録されたデータを更新することにより、表示内容が書き換えられる。しかし、表示されている画像の書き換えが必要ない場合(現在の表示内容を維持する場合)、画素電極1514の電位は表示電圧供給回路1512により保たれ、表示部151はメモリ素子1511に記録されたデータの表示をそのまま維持できるため、データドライバ1421及びゲートドライバ1422は停止する。メモリインピクセル液晶は、このような動作により、一般的なTFT(Thin Film Transistor)液晶と比較して、低消費電力化を図ることができる。
【0026】
操作受付部152は、ユーザからの入力操作を受け付けて、当該入力操作に応じた電気信号を入力信号としてCPU120に出力する。操作受付部152は、例えば、押しボタンスイッチやりゅうずを含む。或いは、操作受付部152として、タッチセンサが、表示部151の表示画面に重ねて設けられ、表示画面とともにタッチパネルを構成してもよい。この場合、タッチセンサは、当該タッチセンサへのユーザの接触動作に係る接触位置や接触態様を検出し、検出された接触位置や接触態様に応じた操作信号をCPU120に出力する。
【0027】
電源部160は、例えば、バッテリ及び電圧変換回路を備える。電源部160は、電子時計100内の各部の動作電圧で電力を供給する。電源部160のバッテリとしては、本実施形態では、ボタン型電池等の一次電池が用いられている。或いは、電源部160のバッテリとして、ソーラパネルと二次電池が用いられてもよい。
【0028】
通信部170は、高周波(RF:Radio Frequency)回路やベースバンド(BB:Baseband)回路等を備える。通信部170は、例えばBluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)に基づく無線信号の送信及び受信を行う。通信部170は、受信した無線信号を、復調、復号等してCPU120へ送る。また、通信部170は、CPU120から送られた信号を、符号化、変調等して、外部へ送信する。
【0029】
次に、第1実施形態に係る電子時計100のCPU120の機能構成について説明する。
図1に示すように、CPU120は、画像データ出力制御部121及び電圧反転制御部122として機能する。これら画像データ出力制御部121及び電圧反転制御部122の機能は、単一のCPU120により実現されても良いし、各々別個のCPUにより実現されてもよい。また、それらの機能は、マイクロコントローラ110以外の構成部が備えるCPU等、CPU120以外のプロセッサにより実現されても良い。
【0030】
画像データ出力制御部121としてのCPU120は、表示部151に画像データを出力するよう表示駆動回路142に指示する。例えば、CPU120は、操作受付部152によるユーザ操作の検出や、時刻表示の更新等により、表示部151に表示されている画像を更新する必要が生じると、出力すべき画像データを生成し、RAM132に記録する。そして、CPU120は、後述する画像更新タイミングで、表示駆動回路142に、表示位置(表示部151の出力アドレス)を指定するために垂直アドレス(GS:Gate Select)及び水平アドレス(SS:Source Select)を出力し、その後RAM132に記録した画像データ(DATA1〜DATAn)を出力する。すると、表示駆動回路142が、画像データを表示部151の各画素1510に書き込み、画像が表示される。
【0031】
電圧反転制御部122としてのCPU120は、表示部151に含まれる共通電極1515に印加される電圧(VCOM:共通電極電圧)の極性を割り込み周期(例えば上述した1秒の極性反転周期)毎に反転して出力するよう表示駆動回路142に指示する。共通電極電圧の極性の反転を指示された表示駆動回路142は、VCOMドライバ1423により、共通電極電圧の極性を反転させる。
【0032】
次に、本実施形態における画像更新タイミングと共通電極電圧の反転タイミングとの関係を
図3を用いて説明する。ここで、画像更新タイミングとは、CPU120が表示駆動回路142に画像データを出力するタイミングである。
図3の最上段は、画像更新タイミングを生成する基準周期(例えば上述した1/8秒の基準周期)を、2段目は画像更新タイミングを、3段目は共通電極電圧の反転タイミング(極性反転タイミング)を、それぞれ表す。また、
図3の4段目及び5段目は、横(時間)方向のスケールを8倍に拡大し、4段目は共通電極電圧(VCOM)の反転中を、5段目は画像更新中を、それぞれ表している。
【0033】
図3では、時刻t
0において極性反転タイミングの割り込み要求信号(上述した1秒の極性反転周期毎の割り込み要求信号)が発生したことを示しているが、この割り込み要求信号により、CPU120(電圧反転制御部122)は、共通電極電圧を反転させる。また、
図3の5段目は、この共通電極電圧の反転が完了するまでに基準反転時間tの時間がかかっていることを示している。同じく、
図3の5段目は、t
0時点からt+Δts後に画像更新タイミングが発生し、これによりCPU120が画像更新を開始していることを示している。この画像更新タイミングは、上述した1/8秒の基準周期毎の割り込み要求信号が発生してからt+Δts後である。したがって、CPU120は、基準周期毎の割り込み要求信号を受信後、t+Δts待ってから画像更新を開始する。このt+Δtsを基準調整時間と呼ぶことにする。そして、
図3の5段目は、画像更新にtallの時間がかかり、画像更新完了から次の画像更新タイミングまでΔthの余裕時間があることを示している。表示部151の仕様上、共通電極電圧の極性反転が完了してからΔtsの時間が経過するまでは画像更新が禁止されており、また、画像更新が完了してからΔthの時間が経過するまでは共通電極電圧の極性反転が禁止されているので、
図3の5段目は、Δts及びΔthを考慮したタイミングを示している。Δtsを表示更新禁止時間、Δthを反転禁止時間と呼ぶことにする。
【0034】
画像更新の時間tallは、画像データの大きさによって変化するが、表示部151の全画面を更新する場合の時間を(最大表示更新時間)tallで表すことにする。すると、
図3の最下段に示す時間関係を満たして画像更新を行うためには、以下の式(1)を満たす必要がある。
t+Δts+tall+Δth<1/8秒 …(1)
【0035】
例えば、t=0.2ミリ秒、Δts=4ミリ秒、tall=119ミリ秒、Δth=1ミリ秒なら、t+Δts+tall+Δth=124.2ミリ秒となる。1/8秒=125ミリ秒なので、tall<119ミリ秒なら、式(1)を満たすことがわかる。本実施形態の電子時計100において、表示部151の全画面の画像更新を行うのに必要な時間は長くても100ミリ秒なので、式(1)を満たすことがわかる。なお、全画面の画像更新に必要な時間(tall)が120ミリ秒以上になる場合には、画像更新のタイミングを生成する基準周期をtall以上(極性反転周期の整数分の1の周期)に変更する必要がある。例えば、基準周期を極性反転周期の1/7、1/6、1/4等(極性反転周期の整数分の1)に変更すればよい。
【0036】
上述の式(1)を満たせば、
図3の最下段に示すように、共通電極電圧の極性反転と、画像更新とは、Δts及びΔth以上の余裕時間を持たせた上で、時間的に重ならないことが保証されることがわかる。
【0037】
以上のように、CPU120は、共通電極電圧の極性を反転するタイミングに対応する割り込み要求信号を受信すると、表示駆動回路142を介して共通電極電圧の極性を反転させる。そして、CPU120は、画像更新のタイミングに対応する割り込み要求信号を受信すると、t+Δts待ってから、表示駆動回路142を介して表示部151に表示されている画像を更新する。このように二つの割り込み信号が同期しつつ、極性反転のタイミングと画像更新のタイミングとは、少なくともt+Δtsのずれを持つので、この二つのタイミングは、常に時間的に重ならないことが保証される。
【0038】
次に、電子時計100のCPU120が実行する電圧反転制御処理の制御手順について、
図4を参照して説明する。電圧反転制御処理は、共通電極電圧を反転させる処理であり、電子時計100が起動して、極性反転周期(例えば1秒毎)の割り込み設定を行った後に、1つのスレッドとして起動し、他のスレッドと並行して処理が開始される。
【0039】
電圧反転制御処理が開始されると、CPU120は、共通電極電圧の極性を初期化するよう表示駆動回路142に指示する(ステップS101)。例えば、CPU120は、共通電極電圧の極性の初期値として、共通電極電圧を0Vに設定するよう表示駆動回路142に指示する。
【0040】
次に、CPU120は、極性反転タイミングであるか否かを判定する(ステップS102)。これは、極性反転周期の割り込み要求信号を受信したか否かで判定できる。極性反転周期の割り込み要求信号を受信したら極性反転タイミングであり、受信していなければ極性反転タイミングではない。この極性反転周期の割り込み要求信号は、割込発生回路115から極性反転周期(例えば、1秒)毎に出力される。
【0041】
極性反転タイミングでなければ(ステップS102;No)、CPU120は、極性反転タイミングになるまで待機する。極性反転タイミングなら(ステップS102;Yes)、CPU120は、表示駆動回路142に共通電極電圧の極性の反転を指示する(ステップS103)。そして、ステップS102の処理に戻る。ステップS103は、電圧反転制御ステップとも呼ばれる。
【0042】
以上の電圧反転制御処理により、極性反転周期で共通電極電圧の極性が反転される。この極性反転周期はデューティー比が50%なので、表示部151の液晶の劣化を極力抑えることができる。
【0043】
次に、電子時計100のCPU120が実行する画像データ出力制御処理の制御手順について、
図5を参照して説明する。画像データ出力制御処理は、CPU120が、表示部151に、画像データを表示させるための処理であり、電子時計100が起動して、基準周期(ここでは1/8秒毎)の割り込み設定を行った後に、1つのスレッドとして起動し、他のスレッドと並行して処理が開始される。
【0044】
画像データ出力制御処理が開始されると、CPU120は、表示部151に表示されている画像データの更新が必要か否かを判定する(ステップS201)。電子時計100の起動直後で表示部151にまだ何も表示していない時、時間の経過により(例えば1秒毎、1分毎等の)時刻表示を更新する必要が生じた時、操作受付部152によりユーザ操作を検出した時などに画像データの更新が必要となる。
【0045】
画像データの更新が必要ではないなら(ステップS201;No)、CPU120は、画像データの更新が必要になるまで待機する。画像データの更新が必要なら(ステップS201;Yes)、CPU120は、表示部151に出力すべき画像データを生成する(ステップS202)。そして、CPU120は、生成した画像データをRAM132に記録する。
【0046】
その後、CPU120は、基準周期タイミングであるか否かを判定する(ステップS203)。基準周期タイミングとは、基準周期毎の割り込みタイミングであり、基準周期の割り込み要求信号を受信したか否かで判定できる。基準周期の割り込み要求信号を受信したら基準周期タイミングであり、受信していなければ基準周期タイミングではない。この基準周期の割り込み要求信号は、割込発生回路115から基準周期(例えば、1/8秒)毎に出力される。
【0047】
基準周期タイミングでなければ(ステップS203;No)、CPU120は、基準周期タイミングになるまで待機する。基準周期タイミングなら(ステップS203;Yes)、CPU120は、t+Δtsの時間待つ(ステップS204)。そして、CPU120は、ステップS202で生成した画像データを表示駆動回路142に出力する(ステップS205)。そして、ステップS201の処理に戻る。ステップS205は画像データ出力制御ステップとも呼ばれる。
【0048】
以上の画像データ出力制御処理により、共通電極電圧の極性反転のタイミングとは異なるタイミングでCPU120は、表示駆動回路142に画像データを出力することができる。
【0049】
以上のように、第1実施形態に係る電子時計100のCPU120は、共通電極電圧の極性を反転するタイミングと、画像データを出力するタイミングとが重ならないように制御する。したがって、例えば共通電極電圧の極性が画像データを出力中に反転したことによって画像データが画素1510に含まれるメモリ素子1511に正常に記録されず、書き換えエラーが生じることを防ぐことができる。これにより、表示部151の信頼性の低下を防ぐことができる。そして、CPU120が画像データを更新するタイミングは基準周期によって一定に保たれているので、表示する画像データをスムーズに更新することができる。
【0050】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る電子時計100は、画像更新タイミングになってから、CPU120が表示駆動回路142に画像データを出力する。CPU120が表示駆動回路142に画像データを出力する際は、垂直アドレス(GS)及び水平アドレス(SS)を設定後にデータを出力する必要がある。より詳細には、
図6に示すように、まず、垂直アドレス(GS)を表示駆動回路142のSDO(Serial Data Output)に出力し、表示駆動回路142のSCLK(Serial Clock)を立ち上げて表示駆動回路142に垂直アドレス(GS)を設定する。次に、水平アドレス(SS)をSDOに出力し、SCLKを立ち上げて表示駆動回路142に水平アドレスを設定する。これで垂直アドレスと水平アドレスが両方とも設定されて、データを出力する準備が整う。
【0051】
そして、画像データ(DATA)を1つSDOに出力してSCLKを立ち上げて表示駆
動回路142に設定後、書込活性化信号(MWR:Memory Write)を”H”
(ハイレベル)にすることにより、その1つの画像データが表示部151に書き込まれる。その後は、垂直アドレス及び水平アドレスの設定不要でデータを連続的に書き込むことができる。つまり、CPU120が画像データを出力しようとしてから、実際に画像データが表示部151に書き込まれるまでには、垂直アドレスの設定や水平アドレスの設定にかかる時間等によるタイムラグ(tp)がある。したがって、このタイムラグの分だけ先回りしてCPU120に画像データ出力処理を開始させても、共通電極電圧の極性反転完了と、画像更新開始との時間間隔をt+Δts確保することが可能である。このようなCPU120の処理を先行して開始させる第2実施形態について説明する。
【0052】
第2実施形態に係る電子時計101と、第1実施形態に係る電子時計100との違いは、画像データ出力制御処理の基準周期タイミング後の待ち時間のみであるので、以下では、電子時計の101の画像データ出力制御処理について、
図7を参照して説明する。それ以外の構成及び電圧反転制御処理については、電子時計101は電子時計100と同じである。また、
図7も、
図5のステップS204をステップS211に置き換えたこと以外は同じである。よって、ステップS211のみを説明する。
【0053】
ステップS211では、CPU120は、t+Δts−tpの時間待つ。ここで、tpとは、
図8に示すように、CPU120が、表示駆動回路142に垂直アドレス(GS)、水平アドレス(SS)及びデータ(DATA1)をSCLKの立ち上げによって設定し、書込活性化信号を立ち上げるまでの時間である。この値は、表示駆動回路142及び表示部151の仕様により定まる。もしtpの値が1つの値に定まらず、ある範囲内を変化する可能性がある場合は、その範囲内の最小値をtpに設定する。ここでは、tpをアドレス指定時間と呼ぶことにする。本実施形態においては、t+Δts−tpが基準調整時間となる。つまり、第1実施形態における基準調整時間(t+Δts)からアドレス指定時間tpを減算したものを、本実施形態における基準調整時間とする。
【0054】
電子時計101は、このような処理を行うことにより、tpの分だけ表示のタイムラグを減らすことができ、表示する画像データを、より遅れなくスムーズに更新することができる。このことは、
図6に比べて
図8の方が、画像更新タイミングがtpの分だけ早まっていることからも確認できる。
【0055】
(第3実施形態)
上述の各実施形態では、表示部151の全画面を更新するのに必要な最大時間を100ミリ秒と想定し、それにt+Δts+Δthを加えた時間よりも大きい時間を基準周期にする必要があるため、基準周期を1/8秒(125ミリ秒)にしている。しかし、例えば表示部151の全画面を更新するのに必要な最大時間が50ミリ秒であり、それにt+Δts+Δthを加えた値が62.5ミリ秒未満になるなら、基準周期を1/16秒(62.5ミリ秒)にすることができる。このような第3実施形態について説明する。
【0056】
第3実施形態に係る電子時計102と、第1実施形態に係る電子時計100との違いは、表示部151の全画面を更新するのに必要な時間と基準周期のみである。それ以外の構成、電圧反転制御処理及び画像データ出力制御処理については、電子時計102は電子時計100と同じである。
【0057】
電子時計102の表示部151の全画面を更新するのに必要な時間tallは50ミリ秒である。また、共通電極電圧の反転が完了するまでにかかる時間t、共通電極電圧の極性反転が完了してから画像更新が禁止されている時間Δts、及び、画像更新が完了してから共通電極電圧の極性反転が禁止されている時間Δthについては、電子時計100と同じで、例えば、t=0.2ミリ秒、Δts=4ミリ秒、Δth=1ミリ秒である。すると、上述した式(1)の値は55.2ミリ秒となる。
【0058】
また、第1実施形態に係る電子時計100は、起動すると、基準周期(1/8秒)の割り込み設定を行った後に、画像データ出力制御処理のスレッドを起動するが、第3実施形態に係る電子時計102は、起動すると、基準周期(1/16秒)の割り込み設定を行った後に、画像データ出力制御処理のスレッドを起動する。1/16秒=62.5ミリ秒であり、この値は上述した式(1)の値である55.2ミリ秒よりも大きいので、
図9に示すように、t+Δts+tall+Δthの値が基準周期の1周期分の中に収まる。この結果、共通電極電圧の極性反転中の時間帯と、画面更新中の時間帯とがΔts及びΔthの余裕を持った上で、時間的に重ならなくなる。
【0059】
電子時計102は、画面更新可能なタイミングが電子時計100に比較して2倍に増えるので、その分画面更新を速くかつ頻繁に行うことができる。
【0060】
(第4実施形態)
上述した第1実施形態の画像データ出力制御処理では、CPU120が画像データを生成してから基準周期タイミングであるか否かを判定し、その後t+Δtsの時間だけ待つ処理をしている。しかし、秒表示の更新については、確実に毎秒画面の更新があり、また、この秒表示更新のための画像データ生成にかかる時間は事前に見積もり可能である。そこで、秒表示更新のための画像データ生成にかかる時間が
図10に示すようにt+Δtsよりも確実に長いことが判明している場合に、画像データ出力制御処理を効率化した第4実施形態について説明する。
【0061】
第4実施形態に係る電子時計103と、第1実施形態に係る電子時計100との違いは、画像データ出力制御処理のみであるので、以下では、電子時計の103の画像データ出力制御処理について、
図11を参照して説明する。それ以外の構成及び電圧反転制御処理については、電子時計103は電子時計100と同じである。ただし、電子時計103の極性反転周期は秒の更新周期と同期している。つまり、毎秒ちょうどのタイミングで共通電極電圧の極性反転と秒表示の更新とを行う。また、
図11も、
図5にステップS221及びステップS222を追加した点以外は同じである。よって、
図11のステップS221及びステップS222について説明する。
【0062】
ステップS221では、CPU120は、秒表示の更新が必要か否かを判定する。秒表示の更新が必要でないなら(ステップS221;No)、ステップS201に進む。秒表示の更新が必要なら(ステップS221;Yes)、秒表示更新のための画像データを生成する(ステップS222)。その後、ステップS205に進む。
【0063】
秒表示の更新が必要なタイミングでは基準周期タイミングでもあることと、画像データの生成にt+Δts以上の時間がかかることが判明していることから、第4実施形態の画像データ出力制御処理では、秒表示更新が必要であることを判定したら、ステップS203及びステップS204の処理をスキップすることができる。したがって、その分、画像データ出力制御処理の負荷を軽くすることができ、また秒表示をより速く更新することができる。
【0064】
(第5実施形態)
上述の各実施形態では、基準周期と極性反転周期とが同期しており、極性反転タイミングは確実に基準周期タイミングでもあった。そのため、画像データ出力制御処理においては、CPU120は、基準周期タイミングの後、t+Δts待ってから画像データを出力している。しかし、
図12に示すように基準周期を極性反転周期と予めt+Δtsずらしておけば、CPU120は、基準周期タイミングの後、t+Δts待たずに画像データを出力することができる。このような第5実施形態について説明する。
【0065】
第5実施形態に係る電子時計104と、第1実施形態に係る電子時計100との違いは、基準周期が極性反転周期とt+Δtsずれている点と画像データ出力制御処理でt+Δts待たない点のみである。それ以外の構成及び電圧反転制御処理については、電子時計104は電子時計100と同じである。
【0066】
電子時計104では、タイマ回路114による1/8秒の割り込み周期と、1秒の割り込み周期とは、t+Δtsずらして設定される。もし一つのタイマ回路114でt+Δtsずらした割り込み周期を設定するのが困難であれば、タイマ回路114以外の別のタイマ回路(図示せず)を用意し、タイマ回路114と当該別のタイマ回路とをt+Δtsずらして割り込み周期のカウントをさせるようにしても良い。いずれの場合も、電子時計104は、1/8秒の割り込み周期を、1秒の割り込み周期より、後ろにt+Δtsだけずらした状態でカウントさせる。
【0067】
そして、割込発生回路115が、このt+Δtsだけずれた状態の各割り込み周期で割り込み要求信号を出力する。この結果、
図12に示すように、画像更新タイミングは基準周期タイミングと一致する。
【0068】
次に、電子時計104の画像データ出力制御処理について、
図13を参照して説明するが、この処理は、電子時計100の画像データ出力制御処理(
図5)からステップS204を削除しただけの処理である。電子時計104では、上述したように、基準周期タイミングが極性反転タイミングよりt+Δtsだけ後になるように予め割り込み周期が設定されているので、t+Δts待つ処理が不要になるからである。
【0069】
以上のように、電子時計104では、画像データ出力制御処理において、t+Δts待つ必要がなく、CPU120が画像データ出力制御処理を行う際の負荷を下げることができる。
【0070】
(第6実施形態)
上述の各実施形態では、CPU120が電圧反転制御処理及び画像データ出力制御処理を行っていたが、これに限られない。電圧反転制御処理及び画像データ出力制御処理に相当する処理を専用のハードウェアで実現する第6実施形態について説明する。
【0071】
第6実施形態に係る電子時計105の構成は、
図14に示すように、第1実施形態に係る電子時計100の構成(
図1)に加えて、マイクロコントローラ110内に、ハード用タイマ回路116と、電圧反転回路117と、画像更新予約回路118と、画像更新許可回路119と、を備える。ただし、電子時計105は、ハード用タイマ回路116、電圧反転回路117、画像更新予約回路118及び画像更新許可回路119の全て又は一部を、マイクロコントローラ110の外部に備えてもよい。また、電子時計105のCPU120は、画像データ出力制御部121及び電圧反転制御部122として機能する必要はないが、画像データ生成部123として機能する。それ以外の点については、電子時計105の構成は、第1実施形態の電子時計100の構成と同一であるため、
図14では、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付すこととして説明を省略する。
【0072】
ハード用タイマ回路116は、電圧反転回路117に極性反転周期(1秒毎)のタイミングを通知し、画像更新許可回路119に基準周期(1/8秒毎)のタイミングを通知する。なお、ハード用タイマ回路116を別途設けずに、発振回路111又はタイマ回路114により、CPU120が電圧反転回路117及び画像更新許可回路119に極性反転周期及び
基準周期のタイミングを通知するようにしても良い。
【0073】
電圧反転回路117は、表示部151に含まれる共通電極電圧の極性を極性反転周期毎に反転して出力するよう表示駆動回路142に指示する。電圧反転回路117は、第1実施例の電圧反転制御部122としてのCPU120の機能をハードウェアで実現するものであり、第1実施形態の電圧反転制御処理(
図4)と同等の処理を行う回路である。
【0074】
画像更新予約回路118は、CPU120による画像データの生成が完了して、RAM132に画像データが格納されると、CPU120からの信号を受けて、画像更新が予約されたことを記憶する回路である。また、画像更新許可回路119によって画像データが出力され、画像更新が完了すると、画像更新の完了をCPU120に通知する機能も持つ。
【0075】
画像更新許可回路119は、画像更新予約回路118において画像更新が予約されたことが記憶されたら、次の画像更新タイミングにおいて、RAM132に格納された画像データを表示部151に出力するよう表示駆動回路142に指示する。ここで、画像更新タイミングは、画像更新許可回路119がハード用タイマ回路116から通知される基準周期タイミングを受信したらt+Δtsだけ待つことによって得られる。画像更新許可回路119は、第1実施形態の画像データ出力制御部121としてのCPU120の機能をハードウェアで実現するものであり、第1実施形態の画像データ出力制御処理(
図5)のステップS203からステップS205までの処理と同等の処理を行う回路である。
【0076】
次に、電子時計105のCPU120が実行する、画像データ生成処理の制御手順について、
図15を参照して説明する。この処理は、第1実施形態の画像データ出力制御処理(
図5)からステップS203、ステップS204及びステップS205を削除し、その代わりに、ステップS231及びステップS232を追加した処理なので、追加したステップについて説明する。
【0077】
ステップS231において、CPU120は、画像データの生成が完了したことを画像更新予約回路118に通知する。その後、ステップS232において、CPU120は、画像更新が完了したか否かを判定する。この判定は、画像更新予約回路118から、CPU120に、画像更新の完了が通知されたか否かにより判定できる。画像更新が完了していなければ(ステップS232;No)、ステップS232に戻って画像更新が完了するまで待機する。画像更新が完了したら(ステップS232;Yes)、ステップS201に戻る。
【0078】
以上のように、第6実施形態に係る電子時計105は、CPU120が、第1実施形態の電圧反転制御処理(
図4)や画像データ出力制御処理(
図5)のステップS203からステップS205までの処理を行う必要がない。このため、CPU120の負荷を軽減することができる。そして、画像データを更新するタイミングは基準周期によって一定に保たれているので、表示する画像データをスムーズに更新することができる。
【0079】
(第6実施形態の変形例1)
また、画像更新許可回路119が、画像更新タイミングを、基準周期タイミングのt+Δts後ではなく、t+Δts−tp後にすることにより、第2実施形態に係る電子時計101のCPU120の処理の一部をハードウェアで行うことができるようにすることもできる。
【0080】
(第6実施形態の変形例2)
さらに、ハード用タイマ回路116が、画像更新許可回路119に基準周期として、1/8秒毎ではなく、1/16秒毎のタイミングを通知することにより、第3実施形態に係る電子時計102のCPU120の処理の一部をハードウェアで行うことができるようにすることもできる。
【0081】
(第6実施形態の変形例3)
また、上述の第4実施形態と同様に、秒表示更新のための画像データ生成にかかる時間が
図10に示すようにt+Δtsよりも確実に長いことが判明している場合は、画像更新許可回路119の動作をマスクして、常に書込許可の状態にしても良い。すると、秒表示更新のための画像データをCPU120が生成して画像更新予約回路118に知らせるとすぐに画像データの出力が開始されるようになる。これにより、第4実施形態に係る電子時計103のCPU120の処理の一部をハードウェアで行うことができるようにすることもできる。
【0082】
(第6実施形態の変形例4)
さらに、ハード用タイマ回路116が、電圧反転回路117に通知する極性反転周期よりも画像更新許可回路119に通知する基準周期をt+Δtsだけ後にすることにより、第5実施形態に係る電子時計104のCPU120の処理の一部をハードウェアで行うことができるようにすることもできる。
【0083】
以上述べたような第6実施形態の各種変形例においても、CPU120の処理の一部をハードウェアで行うことにより、CPU120の負荷を軽減することができる。
【0084】
なお、本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
【0085】
例えば、上述の各実施形態では、表示部151がメモリインピクセル(MIP)液晶である例について説明した。しかし、表示部151の種類はこれに限られない。例えば、表示部151は、通常のTFT液晶であってもよい。なお、MIP液晶を採用した製品は、MIP液晶の特性(表示維持時の消費電力が少ない)を生かすために、通常のTFT液晶と比較して、画像の書き換え頻度を低くしていることが多い。このため、MIP液晶において共通電極電圧の極性を反転するタイミングと画像データを出力するタイミングとが重なって書き換えエラーが生じた場合、そのエラーを含む表示状態が通常のTFT液晶よりも長く続く可能性がある。しかし、本発明に係る駆動装置をMIP液晶に適用することにより、表示する画像データをスムーズに更新することができるとともに、書き換えエラーが生じにくくなるため、MIP液晶の信頼性を向上させることができる。
【0086】
また、第3実施形態では、表示部151の全画面を更新するのに必要な最大時間(tall)が50ミリ秒である場合で説明した。しかし、表示部151の更新最大時間(tall)の更新対象を全画面に限る必要はない。例えば、1行のみの更新、秒桁のみの更新等、全画面の更新よりも時間を必要としない特定画面更新を想定し、そのような特定画面更新のための基準周期として、1/8秒よりも短い1/16秒、1/32秒等の第2の基準周期を選択可能にしても良い。このようにすることにより、画面更新可能なタイミングが電子時計100に比較して2倍、4倍等に増えるので、その分、画面更新を速くかつ頻繁に行うことができる。ただし、この場合、基準周期の異なる特定画面更新用の画像データ出力制御処理スレッドを基準周期の種類数だけ起動し、各基準周期の画像データ出力制御処理スレッド間で排他制御を行う必要がある点に注意する必要がある。
【0087】
また、上述の第1から第5の各実施形態では、CPU120がマルチスレッド機能に対応し、電圧反転制御処理と画像データ出力制御処理を並行して実行するものとして説明したが、これに限られない。CPU120がマルチスレッド機能に対応していない場合は、まず共通電極電圧の極性を初期化し、画像データ出力制御処理における各判定の前に、極性反転タイミングか否かの判定を行い、極性反転タイミングであるなら共通電極電圧の極性を反転させる処理を行えば、同様の制御を行うことができる。例えば、第1実施形態をシングルスレッドのCPUで実行する場合には、画像データ出力制御処理(
図5)のステップS201及びS203の直前で電圧反転制御処理(
図4)のステップS102の判定を行い、この判定がYesなら電圧反転制御処理(
図4)のステップS103を実行後にステップS201又はS204に進み、この判定がNoならそのままステップS201又はステップS203に進むようにすれば良い。他の実施形態についても同様である。
【0088】
また、以上の説明では、本発明の電圧反転制御処理及び画像データ出力制御処理に係るプログラムを記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリ等の不揮発性メモリからなるROM131を例に挙げて説明した。しかし、コンピュータ読み取り可能な媒体は、これらに限定されず、HDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)などの可搬型記録媒体を適用してもよい。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0089】
その他、上記実施の形態で示した構成、制御手順や表示例などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記の番号は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0091】
(付記1)
表示部を駆動する表示駆動回路と、
前記表示駆動回路を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記表示部に印加する電圧の極性を一定の極性反転周期の反転タイミングで基準反転時間以下の時間で極性反転させ、
前記反転周期と同期しかつ前記反転周期の整数分の1倍の基準周期と同じ周期の画像更新タイミングであって、前記基準周期の時間未満かつ前記基準反転時間以上の基準調整時間だけ前記基準周期のタイミングより後の画像更新タイミングで、画像データを前記表示駆動回路に出力する、
駆動装置。
【0092】
(付記2)
前記基準周期は、前記画像データを前記画像更新タイミングで前記表示駆動回路に出力する際に必要な時間の最大値である最大表示更新時間、前記基準反転時間、前記極性反転の前に必要な反転禁止時間及び前記極性反転の後に必要な表示更新禁止時間を合計した時間以上の周期である、
付記1に記載の駆動装置。
【0093】
(付記3)
前記基準調整時間は、前記基準反転時間及び前記表示更新禁止時間を合計した時間以上である、
付記2に記載の駆動装置。
【0094】
(付記4)
前記基準調整時間は、前記基準反転時間及び前記表示更新禁止時間を合計した時間から、前記制御部が前記表示駆動回路に前記表示部への出力アドレスを指定するのに必要な時間であるアドレス指定時間を減算した時間以上である、
付記2に記載の駆動装置。
【0095】
(付記5)
前記反転周期が1秒であり、前記基準周期が1/8秒である、
付記1から4のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0096】
(付記6)
前記反転周期が1秒であり、前記基準周期が1秒であり、
前記制御部は、
前記反転周期と同期しかつ前記反転周期の整数分の1倍の基準周期の画像更新タイミングで画像データを生成し、生成した前記画像データを前記表示駆動回路に出力する、
付記1又は2に記載の駆動装置。
【0097】
(付記7)
前記表示部は複数の画素及び前記画素のそれぞれに対応する複数のメモリ素子を備え、
前記メモリ素子は、対応する前記画素が表示する画像データを記憶する、
付記1から6のいずれか1つに記載の駆動装置。
【0098】
(付記8)
表示部を駆動する表示駆動回路と、
前記表示部に印加する電圧の極性を一定の極性反転周期の反転タイミングで基準反転時間以下の時間で反転させる電圧反転回路と、
前記反転周期と同期しかつ前記反転周期の整数分の1倍の基準周期と同じ周期の画像更新タイミングであって、前記基準周期の時間未満かつ前記基準反転時間以上の基準調整時間だけ前記基準周期のタイミングより後の画像更新タイミングで、画像データを前記表示駆動回路に出力する画像更新許可回路と、
を備える駆動装置。
【0099】
(付記9)
付記1から8のいずれか1つに記載の駆動装置と、
現在時刻を計時する計時部と、
前記駆動装置により駆動され、前記計時部により計時された現在時刻を表す画像を表示する表示部と、
を備える電子時計。
【0100】
(付記10)
表示部を駆動する表示駆動回路を備える駆動装置が実行する駆動方法であって、
前記表示部に印加する電圧の極性を一定の極性反転周期の反転タイミングで基準反転時間以下の時間で反転させる電圧反転制御ステップと、
前記反転周期と同期しかつ前記反転周期の整数分の1倍の基準周期と同じ周期の画像更新タイミングであって、前記基準周期の時間未満かつ前記基準反転時間以上の基準調整時間だけ前記基準周期のタイミングより後の画像更新タイミングで、画像データを前記表示駆動回路に出力する画像データ出力制御ステップと、
を含む駆動方法。
【0101】
(付記11)
表示部を駆動する表示駆動回路を備える駆動装置のコンピュータを、
前記表示部に印加する電圧の極性を一定の極性反転周期の反転タイミングで基準反転時間以下の時間で反転させる電圧反転制御部、及び、
前記反転周期と同期しかつ前記反転周期の整数分の1倍の基準周期と同じ周期の画像更新タイミングであって、前記基準周期の時間未満かつ前記基準反転時間以上の基準調整時間だけ前記基準周期のタイミングより後の画像更新タイミングで、画像データを前記表示駆動回路に出力する画像データ出力制御部、
として機能させるためのプログラム。