特許第6866878号(P6866878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866878
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20210419BHJP
   H01M 8/04111 20160101ALI20210419BHJP
   H01M 8/04119 20160101ALI20210419BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20210419BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20210419BHJP
   H01M 8/04828 20160101ALI20210419BHJP
   H01M 8/04291 20160101ALI20210419BHJP
   F01D 15/08 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   H01M8/04 N
   H01M8/04111
   H01M8/04119
   H01M8/0432
   H01M8/04746
   H01M8/04828
   H01M8/04291
   F01D15/08 C
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-112759(P2018-112759)
(22)【出願日】2018年6月13日
(65)【公開番号】特開2019-216024(P2019-216024A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2020年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤也
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特表平8−500931(JP,A)
【文献】 特開2005−268117(JP,A)
【文献】 特開2002−158023(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/018312(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00− 8/2495
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−58/40
F01D 13/00−15/12
23/00−25/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する圧縮部、及び前記圧縮部を駆動させる電動モータを有する電動圧縮機と、
前記燃料電池スタックから排出される排出ガスによって回転するタービンホイールを有するタービンと、
前記電動圧縮機によって圧縮された空気を前記燃料電池スタックに供給する供給流路と、
前記燃料電池スタックと前記タービンとを接続するとともに前記燃料電池スタックから排出される排出ガスと共に前記燃料電池スタックから排出される水が流れる排出流路と、を備えた燃料電池システムであって、
前記タービンホイールの回転軸線方向に延びる筒状の流路形成壁によって形成されるとともに前記タービンホイールを通過した前記排出ガスが大気に向けて流れるタービン下流流路と、
大気に連通するとともに大気からの空気を前記圧縮部に供給する圧縮部上流流路と、
前記タービン下流流路と前記圧縮部上流流路とを連通する連通流路と、を備え、
前記連通流路における前記タービン下流流路側の端部が、前記流路形成壁の内周面に開口していることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記流路形成壁内には、前記タービン下流流路内を流れる水を前記連通流路における前記タービン下流流路側の端部に向けて案内する案内部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記連通流路内には、多孔質体が充填されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記連通流路には、可変絞りが設けられており、
前記可変絞りは、前記燃料電池スタックの温度が高いほど前記連通流路の流路断面積を増大させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料ガスである水素と空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池スタックを備える燃料電池システムを搭載した車両が実用化されている。燃料電池システムは、空気を圧縮する電動圧縮機を備えている。電動圧縮機は、燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する圧縮部、及び圧縮部を駆動させる電動モータを有している。圧縮部によって圧縮された空気は、燃料電池スタックに供給される。
【0003】
また、燃料電池システムの中には、燃料電池スタックから排出される排出ガスによって回転するタービンホイールを有するタービンを備えているものがある。このような燃料電池システムでは、排出ガスの運動エネルギによりタービンホイールが回転することで、排出ガスの運動エネルギがタービンホイールの回転エネルギに変換される。このように、タービンで発生した回転エネルギは、圧縮部を駆動させる電動モータの負荷を低減する。よって、圧縮部を駆動させるために必要な電動モータの消費電力が低減される。
【0004】
ところで、燃料電池システムにおいては、燃料電池スタックの発電が効率良く行われるためには、燃料電池スタック内が湿潤状態である必要がある。そこで、例えば特許文献1の燃料電池システムには、電動圧縮機によって圧縮された空気を燃料電池スタックに供給する供給流路と、燃料電池スタックとタービンとを接続するとともに燃料電池スタックから排出される排出ガスが流れる排出流路と、を跨ぐように加湿器が設けられている。排出流路には、燃料電池スタックから排出される水が排出ガスと共に流れる。加湿器は、燃料電池スタックから排出されて排出流路を流れる水を回収する。そして、加湿器は、回収した水を供給流路に向けて移動させることにより供給流路を流れる空気を加湿する。これにより、加湿器で加湿された空気が供給流路を介して燃料電池スタックに供給されるため、燃料電池スタック内を湿潤状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−164457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の燃料電池システムでは、加湿器で排出ガスの圧損が生じることにより、タービンホイールを回転させるための排出ガスの運動エネルギが小さくなってしまう。すると、タービンホイールが回転することにより発生する回転エネルギが小さくなるため、圧縮部を駆動させる電動モータの負荷が効率良く低減されなくなり、圧縮部を駆動させるために必要な電動モータの消費電力が効率良く低減されなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、燃料電池スタック内を湿潤状態とすることができるとともに、圧縮部を駆動させるために必要な電動モータの消費電力を効率良く低減することができる燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する燃料電池システムは、燃料ガスと空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに供給される空気を圧縮する圧縮部、及び前記圧縮部を駆動させる電動モータを有する電動圧縮機と、前記燃料電池スタックから排出される排出ガスによって回転するタービンホイールを有するタービンと、前記電動圧縮機によって圧縮された空気を前記燃料電池スタックに供給する供給流路と、前記燃料電池スタックと前記タービンとを接続するとともに前記燃料電池スタックから排出される排出ガスと共に前記燃料電池スタックから排出される水が流れる排出流路と、を備えた燃料電池システムであって、前記タービンホイールの回転軸線方向に延びる筒状の流路形成壁によって形成されるとともに前記タービンホイールを通過した前記排出ガスが大気に向けて流れるタービン下流流路と、大気に連通するとともに大気からの空気を前記圧縮部に供給する圧縮部上流流路と、前記タービン下流流路と前記圧縮部上流流路とを連通する連通流路と、を備え、前記連通流路における前記タービン下流流路側の端部が、前記流路形成壁の内周面に開口している。
【0009】
これによれば、燃料電池スタックから排出されて排出ガスと共に排出流路を流れる水は、排出流路を介してタービンに流入する。そして、水は、タービンホイールの回転による遠心力の作用によってタービンホイールの外周に向けて飛散しながら排出ガスと共にタービンホイールを通過して流路形成壁の内周面を伝うようにしてタービン下流流路を流れ、連通流路におけるタービン下流流路側の端部に至る。ここで、タービン下流流路内の圧力は大気圧よりも高くなっており、圧縮部上流流路内の圧力は大気圧よりも低くなっているため、タービン下流流路内の圧力は、圧縮部上流流路内の圧力よりも高くなっている。よって、連通流路におけるタービン下流流路側の端部に至った水は、タービン下流流路内の圧力と圧縮部上流流路内の圧力との差によって連通流路に吸い込まれるとともに連通流路を介して圧縮部上流流路に流れ込む。そして、圧縮部上流流路に流れ込む水によって圧縮部上流流路を流れる空気が加湿される。よって、加湿された空気が供給流路を介して燃料電池スタックに供給されるため、燃料電池スタック内を湿潤状態とすることができる。したがって、燃料電池スタック内を湿潤状態とするために、従来技術のような加湿器を供給流路と排出流路とを跨ぐように設ける必要が無いため、排出流路を流れる排出ガスの圧損を抑制することができる。よって、排出流路を流れる排出ガスの圧損が生じることにより、タービンホイールを回転させるための排出ガスの運動エネルギが小さくなってしまうことが抑制されるため、タービンホイールが回転することにより発生する回転エネルギが小さくなってしまうことが抑制される。その結果、圧縮部を駆動させる電動モータの負荷が効率良く低減されなくなってしまうことが抑制され、圧縮部を駆動させるために必要な電動モータの消費電力が効率良く低減されなくなってしまうことが抑制される。以上のことから、燃料電池スタック内を湿潤状態とすることができるとともに、圧縮部を駆動させるために必要な電動モータの消費電力を効率良く低減することができる。
【0010】
上記燃料電池システムにおいて、前記流路形成壁内には、前記タービン下流流路内を流れる水を前記連通流路における前記タービン下流流路側の端部に向けて案内する案内部が設けられているとよい。
【0011】
これによれば、案内部が、タービン下流流路内を流れる水を連通流路におけるタービン下流流路側の端部に向けて案内するため、タービン下流流路内を流れる水が連通流路を介して圧縮部上流流路に効率良く流れ込む。よって、圧縮部上流流路を流れる空気を効率良く加湿することができる。
【0012】
上記燃料電池システムにおいて、前記連通流路内には、多孔質体が充填されているとよい。
これによれば、連通流路内に多孔質体が充填されていない場合に比べると、排出ガスが連通流路を通過し難くなるため、タービン下流流路から連通流路を介して圧縮部上流流路に流れ込む排出ガスの量を少なくすることができる。その結果、圧縮部上流流路を流れて圧縮部に供給される排出ガスの量が少なくなるため、圧縮部で圧縮される排出ガスの量が少なくなる。その結果、圧縮部における空気の圧縮効率を向上させることができる。
【0013】
上記燃料電池システムにおいて、前記連通流路には、可変絞りが設けられており、前記可変絞りは、前記燃料電池スタックの温度が高いほど前記連通流路の流路断面積を増大させるとよい。
【0014】
これによれば、燃料電池スタックの温度が高いほど、タービン下流流路から連通流路を介して圧縮部上流流路に流れ込む水の量が多くなる。よって、圧縮部上流流路を流れる空気が加湿され易くなるため、燃料電池スタック内を効率良く湿潤状態とすることができる。したがって、燃料電池スタックの温度が高い場合であっても、燃料電池スタック内が乾いてしまうことを抑制することができ、燃料電池スタックの発電効率の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、燃料電池スタック内を湿潤状態とすることができるとともに、圧縮部を駆動させるために必要な電動モータの消費電力を効率良く低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態における燃料電池システムの概略構成図。
図2】電動圧縮機の縦断面図。
図3】タービン圧縮機の縦断面図。
図4】連通流路の周辺を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、燃料電池システムを具体化した一実施形態を図1図4にしたがって説明する。本実施形態の燃料電池システムは、例えば、燃料電池車などの車両に搭載されている。
図1に示すように、燃料電池システム10は、燃料電池スタック11と、燃料電池スタック11に供給される空気を圧縮する電動圧縮機21と、電動圧縮機21と直列接続されるとともに燃料電池スタック11に供給される空気を圧縮するタービン圧縮機31と、を備えている。燃料電池スタック11は、例えば、複数のセルを有している。各セルは、酸素極と、水素極と、両極の間に配置された電解質膜とが積層されて構成されている。そして、燃料電池スタック11は、燃料ガスである水素と空気中の酸素とを化学反応させて発電を行う。
【0018】
燃料電池スタック11は、図示しない走行用モータに電気的に接続されている。走行用モータは、燃料電池スタック11により発電された電力を電力源として駆動する。走行用モータの動力は、図示しない動力伝達機構を介して車軸に伝達され、車両は、アクセルペダルのアクセル開度に応じた車速で走行する。
【0019】
燃料電池スタック11の発電に寄与する酸素は、空気中に2割程度しか存在しないことから、燃料電池スタック11に供給された空気の8割程度は、燃料電池スタック11の発電に寄与されることなく燃料電池スタック11から排出ガスとして排出される。また、燃料電池スタック11が発電を行うと、燃料電池スタック11の内部には、水素と酸素との化学反応によって水が生成される。燃料電池スタック11で生成された水は、燃料電池スタック11の発電によって生じる熱によって水蒸気となって燃料電池スタック11から排出される。したがって、燃料電池スタック11から排出される排出ガスには水蒸気が含まれている。また、燃料電池スタック11で生成された水は、水蒸気とならずに燃料電池スタック11から排出される場合もある。
【0020】
燃料電池スタック11は、空気が供給される供給口11aと、空気が排出ガスとして排出される排出口11bと、供給口11aと排出口11bとを繋ぐ空気流路11cと、を有している。空気流路11cでは、供給口11aから供給された空気が排出口11bに向けて流れる。
【0021】
図2に示すように、電動圧縮機21は、電動圧縮機ハウジング22と、電動モータ23と、電動モータ23の駆動によって回転する連結軸24と、連結軸24に連結される圧縮部25と、を有している。電動モータ23は、図示しないバッテリから電力が供給されることにより駆動して連結軸24を回転させる。圧縮部25は、連結軸24が回転することにより駆動して燃料電池スタック11に供給される空気を圧縮する。よって、電動モータ23は、圧縮部25を駆動させる。本実施形態において、圧縮部25は、連結軸24の端部に連結され、連結軸24と一体的に回転するインペラであり、電動圧縮機21では、インペラが回転することにより圧縮動作が行われる。
【0022】
電動圧縮機ハウジング22内には、コンプレッサインペラ室26、ディフューザ流路27、及びコンプレッサスクロール流路28が形成されている。さらに、電動圧縮機ハウジング22には、空気が吸入される吸入口22aが形成されている。吸入口22aは、コンプレッサインペラ室26に連通している。コンプレッサインペラ室26は、圧縮部25を収容する。コンプレッサスクロール流路28は、コンプレッサインペラ室26の外周を渦巻状に周回している。ディフューザ流路27は、コンプレッサインペラ室26の周囲で環状に延びるとともに、コンプレッサインペラ室26とコンプレッサスクロール流路28とを連通する。また、図1に示すように、電動圧縮機ハウジング22は、空気が吐出される吐出口22bを有している。吐出口22bは、コンプレッサスクロール流路28におけるディフューザ流路27とは反対側の端部に連通している。
【0023】
燃料電池システム10は、大気に連通するとともに大気からの空気を圧縮部25に供給する圧縮部上流流路12を備えている。図2に示すように、圧縮部上流流路12は、配管12Aにより形成されている。圧縮部上流流路12の一端は大気に開放されており、圧縮部上流流路12の他端は吸入口22aに接続されている。よって、配管12Aは、配管12Aの内部の空間である圧縮部上流流路12の他端が、吸入口22aに連通するように電動圧縮機ハウジング22に連結されている。そして、大気からの空気が圧縮部上流流路12を流れて吸入口22aに吸入される。圧縮部25は、吸入口22aから吸入された空気を圧縮する。そして、圧縮部25で圧縮された空気は、ディフューザ流路27、及びコンプレッサスクロール流路28を通過して吐出口22bから吐出される。
【0024】
図1に示すように、燃料電池システム10は、タービン50を備えている。タービン50は、燃料電池スタック11から排出される排出ガスによって回転するタービンホイール51を有している。タービン50は、タービン圧縮機31に一体化されている。
【0025】
タービン圧縮機31は、ハウジング32と、ハウジング32内に収容される回転軸33と、タービン50のタービンハウジング52と、を有している。回転軸33の一端側にはタービンホイール51が連結されるとともに、回転軸33の他端側にはコンプレッサホイール34が連結されている。コンプレッサホイール34及びタービンホイール51は、回転軸33と一体的に回転するインペラである。よって、コンプレッサホイール34の回転軸線方向及びタービンホイール51の回転軸線方向は、回転軸33の回転軸線方向に一致している。コンプレッサホイール34は、回転軸33の回転に伴って回転することにより空気を圧縮する。
【0026】
図3に示すように、ハウジング32は、ベアリングハウジング35及びコンプレッサハウジング36を有している。ベアリングハウジング35は、軸受37を介して回転軸33を回転可能に支持する。軸受37としては、例えば、空気動圧軸受が用いられている。軸受37は、回転軸33の回転数が軸受37により回転軸33が浮上する浮上回転数に達するまでは、回転軸33と接触した状態で回転軸33を支持する。そして、回転軸33の回転数が浮上回転数に達すると、回転軸33と軸受37との間に生じる動圧によって、軸受37により回転軸33が浮上し、軸受37は、回転軸33と非接触の状態で回転軸33を支持する。
【0027】
タービンハウジング52は、ベアリングハウジング35における回転軸33の回転軸線方向の一端に連結されている。コンプレッサハウジング36は、ベアリングハウジング35における回転軸33の回転軸線方向の他端に連結されている。
【0028】
コンプレッサハウジング36内には、収容室38、ディフューザ流路39、及びコンプレッサスクロール流路40が形成されている。さらに、コンプレッサハウジング36には、空気が吸入される吸入口32aが形成されている。吸入口32aは、収容室38に連通している。収容室38は、コンプレッサホイール34を収容する。コンプレッサスクロール流路40は、収容室38の外周を渦巻状に周回している。ディフューザ流路39は、収容室38の周囲で環状に延びるとともに、収容室38とコンプレッサスクロール流路40とを連通する。
【0029】
図1に示すように、ハウジング32は、空気が吐出される吐出口32bを有している。吐出口32bは、コンプレッサスクロール流路40におけるディフューザ流路39とは反対側の端部に連通している。
【0030】
燃料電池システム10は、電動圧縮機21とタービン圧縮機31とを接続する接続流路13を備えている。接続流路13は、例えば、配管等で構成されている。接続流路13の一端は、電動圧縮機21の吐出口22bに接続されており、接続流路13の他端はタービン圧縮機31の吸入口32aに接続されている。そして、電動圧縮機21で圧縮されて吐出口22bから接続流路13に吐出された空気が、接続流路13を流れて吸入口32aに吸入される。コンプレッサホイール34は、吸入口32aから吸入されて収容室38内に流入した空気を圧縮する。そして、コンプレッサホイール34で圧縮された空気は、ディフューザ流路39、及びコンプレッサスクロール流路40を通過して吐出口32bから吐出される。
【0031】
したがって、タービン圧縮機31は、電動圧縮機21で1度圧縮された空気を圧縮している。よって、本実施形態の燃料電池システム10においては、燃料電池スタック11に供給される空気を、電動圧縮機21及びタービン圧縮機31でそれぞれ圧縮する2段階圧縮を行っている。
【0032】
燃料電池システム10は、タービン圧縮機31と燃料電池スタック11とを接続する供給流路14を備えている。供給流路14は、例えば、配管等で構成されている。供給流路14の一端は、タービン圧縮機31の吐出口32bに接続されるとともに、供給流路14の他端は、燃料電池スタック11の供給口11aに接続されている。そして、吐出口32bから吐出された空気は、供給流路14を流れて供給口11aに供給される。したがって、供給流路14は、電動圧縮機21及びタービン圧縮機31でそれぞれ圧縮された空気を燃料電池スタック11に供給する。すなわち、供給流路14は、電動圧縮機21によって圧縮された空気を燃料電池スタック11に供給する。
【0033】
図3に示すように、タービンハウジング52内には、タービン室53、連通路54、及びタービンスクロール流路55が形成されている。タービン室53は、タービンホイール51を収容する。タービンスクロール流路55は、タービン室53の外周を渦巻状に周回している。よって、タービンスクロール流路55は、タービン室53の周囲を取り囲む。連通路54は、タービン室53の周囲で環状に延びるとともに、タービンスクロール流路55とタービン室53とを連通する。
【0034】
図1に示すように、タービンハウジング52は、導入口52aを有している。導入口52aは、タービンスクロール流路55における連通路54とは反対側の端部に連通している。
【0035】
燃料電池システム10は、燃料電池スタック11とタービン50とを接続するとともに燃料電池スタック11の排出口11bから排出される排出ガスが流れる排出流路15を備えている。なお、排出流路15は、排出ガスと共に燃料電池スタック11から排出される水が流れる。排出流路15は、例えば、配管等で構成されている。排出流路15の一端は排出口11bに接続されるとともに、排出流路15の他端は導入口52aに接続されている。そして、排出口11bから排出された排出ガスは、排出流路15を流れて導入口52aに導入される。
【0036】
図3に示すように、タービン50は、複数のノズルベーン56、第1プレート57、及び第2プレート58を備えている。第1プレート57及び第2プレート58はそれぞれ環状であるとともに、回転軸33の回転軸線方向で間隔を置いた状態で互いに対向している。第1プレート57は、第2プレート58よりもベアリングハウジング35寄りに配置されている。そして、第1プレート57と第2プレート58とによって連通路54が形成されている。第1プレート57及び第2プレート58は、互いに協働して複数のノズルベーン56を回動可能に支持している。
【0037】
複数のノズルベーン56は、連通路54の流路断面積を可変とする。複数のノズルベーン56は、連通路54の周方向において互いに間隔を置いてそれぞれ配置されている。なお、回転軸33の回転軸線方向において、第1プレート57とベアリングハウジング35との間には、複数のノズルベーン56を回動させるための回動機構部59が配置されている。そして、複数のノズルベーン56及び回動機構部59は、連通路54の流路断面積を調整して燃料電池スタック11に供給される空気の圧力を調整する圧力調整弁60を構成している。
【0038】
タービンハウジング52は、ベアリングハウジング35とは反対側に向けて突出するタービン筒状部61を有している。タービン筒状部61は、回転軸33の回転軸線方向に延びている。タービン筒状部61の軸線は、回転軸33の回転軸線に一致している。タービン筒状部61内は、タービン室53に連通している。そして、タービン筒状部61内は、タービンホイール51を通過した排出ガスが大気に向けて流れるタービン下流流路62になっている。よって、本実施形態において、タービン下流流路62は、回転軸33の回転軸線方向、すなわち、タービンホイール51の回転軸線方向に延びるタービン筒状部61によって形成されている。したがって、タービン筒状部61は、タービン下流流路62を形成する筒状の流路形成壁である。
【0039】
図1に示すように、燃料電池システム10は、制御装置16を備えている。制御装置16は、アクセルペダルの操作態様等に基づいて燃料電池スタック11に要求される要求発電量を算出する。制御装置16は、電動モータ23と電気的に接続されている。制御装置16は、要求発電量に基づいて、電動モータ23の目標トルクを導出する。そして、制御装置16は、電動モータ23のトルクが目標トルクとなるように電動モータ23の駆動を制御する。
【0040】
また、制御装置16は、圧力調整弁60と電気的に接続されている。制御装置16は、要求発電量に基づいて、圧力調整弁60の目標開度を導出する。そして、制御装置16は、圧力調整弁60の開度が、導出された目標開度となるように圧力調整弁60の開度を制御する。制御装置16により圧力調整弁60の開度が制御されることにより、燃料電池スタック11に供給される空気の圧力が調整される。なお、圧力調整弁60の開度は、複数のノズルベーン56の回動角度である。そして、燃料電池スタック11に供給される空気の圧力が調整されることにより、燃料電池スタック11内の湿度が調整される。燃料電池スタック11内の湿度は、燃料電池スタック11の発電を効率良く行うために、予め定められた所望の湿度に調整される。
【0041】
また、圧力調整弁60によって連通路54の流路断面積が調整されることにより、連通路54からタービン室53に導入される排出ガスの圧力が調整される。タービンホイール51は、圧力調整弁60を通過した排出ガスが吹き付けられることによって回転する。よって、タービン50においては、タービンホイール51が排出ガスによって回転することにより回転エネルギが発生する。すなわち、タービン50は、排出ガスの運動エネルギを、タービンホイール51が回転することによって、回転エネルギに変換している。タービン圧縮機31では、排出ガスの運動エネルギにより、タービンホイール51が回転することで回転軸33が回転し、回転軸33の回転に伴ってコンプレッサホイール34が回転することにより空気が圧縮される。
【0042】
燃料電池システム10は、温度センサ17を備えている。本実施形態において、温度センサ17は、燃料電池スタック11を冷却する冷却水の温度を検出する。温度センサ17は、制御装置16に電気的に接続されている。そして、温度センサ17により検出された検出信号は、制御装置16に送信される。制御装置16は、温度センサ17から送信される検出信号に基づいて、燃料電池スタック11の温度を推定する。
【0043】
図4に示すように、燃料電池システム10は、タービン下流流路62と圧縮部上流流路12とを連通する連通流路63を備えている。連通流路63は、配管12Aの外周面から延設される連通配管64、及び配管12Aを貫通する貫通孔12hにより形成されている。連通配管64は、連通配管64の内部と貫通孔12hとが連通するように配管12Aに一体形成されている。貫通孔12hは、配管12Aの内周面に開口している。したがって、連通流路63における圧縮部上流流路12側の端部は、配管12Aの内周面に開口している。
【0044】
タービン筒状部61には、接続孔61hが形成されている。そして、連通配管64は、連通配管64における配管12Aとは反対側の端部が接続孔61hに挿入された状態でタービン筒状部61に連結されている。連通配管64における配管12Aとは反対側の端部は、タービン筒状部61の内周面61aよりもタービン筒状部61の内側に突出していない。よって、連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部は、タービン筒状部61の内周面61aに開口している。
【0045】
連通配管64内には、多孔質体65が充填されている。すなわち、連通流路63内には、多孔質体65が充填されている。また、連通流路63には、可変絞りとしての流量制御弁66が設けられている。流量制御弁66は、制御装置16に電気的に接続されている。制御装置16は、温度センサ17により検出された検出信号から推定される燃料電池スタック11の温度に基づいて、流量制御弁66の開度を制御する。具体的には、制御装置16は、温度センサ17により検出された温度が高いほど、流量制御弁66の開度が大きくなるように流量制御弁66の開度を制御する。したがって、流量制御弁66は、燃料電池スタック11の温度が高いほど連通流路63の流路断面積を増大させる。
【0046】
タービン筒状部61には、筒部材67が取り付けられている。筒部材67は、タービン筒状部61におけるタービン室53とは反対側の開口から挿入された状態でタービン筒状部61内に嵌め込まれている。筒部材67は、回転軸33の回転軸線方向に延びている。筒部材67の軸線は、タービン筒状部61の軸線に一致している。筒部材67におけるタービン筒状部61とは反対側の端部は、配管やマフラー等を介して大気に連通している。そして、タービン室53を通過した排出ガスは、タービン下流流路62及び筒部材67の内側を通過するとともに配管やマフラー等を介して外部へ排出される。
【0047】
筒部材67は、大径部67aと、外径が大径部67aよりも小さい小径部67bと、を有している。大径部67aの外周面と小径部67bの外周面とは、筒部材67の軸線方向に対して直交する方向に延びる環状の段差面67cによって接続されている。大径部67aの内径と小径部67bの内径とは同じである。よって、大径部67aの内周面と小径部67bの内周面とは同一面上に位置している。
【0048】
小径部67bは、大径部67aよりもタービン室53側に位置している。大径部67aの一部は、タービン筒状部61の内側に位置するとともに、その他の部分はタービン筒状部61におけるタービン室53とは反対側の開口から外部へ突出している。大径部67aにおけるタービン筒状部61の内側に位置する部分の外周面は、タービン筒状部61の内周面61aに接している。
【0049】
小径部67bは、筒部材67におけるタービン室53側の端部に位置している。小径部67bにおける段差面67cとは反対側の端縁は、タービン筒状部61の軸線方向において、連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部よりもタービン室53側に位置している。よって、連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部は、タービン筒状部61の径方向で小径部67bと対向している。小径部67bの外周面は、段差面67cの内周縁からタービン筒状部61の軸線方向に延びている。小径部67bの外周面は、タービン筒状部61の内周面61aに沿って延びている。小径部67bの外周面は、タービン筒状部61の内周面61aから離間している。
【0050】
段差面67cは、タービン筒状部61の軸線方向において、連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部よりもタービン室53とは反対側に位置している。そして、小径部67bの外周面及び段差面67cは、タービン下流流路62内を流れる水を連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に向けて案内する案内部68を構成している。したがって、タービン筒状部61内には、タービン下流流路62内を流れる水を連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に向けて案内する案内部68が設けられている。
【0051】
次に、本実施形態の作用について説明する。
燃料電池スタック11から排出されて排出ガスと共に排出流路15を流れる水は、排出流路15、導入口52a、タービンスクロール流路55、及び連通路54を介してタービン室53に流入する。また、燃料電池スタック11から排出されて排出ガス中に存在している水蒸気は、タービン50において、圧力調整弁60を通過する際に圧力が低下し、排出ガスの速度が速くなることによって冷却されて凝縮される。これにより、水(凝縮水)が生成され、この水は、排出ガスと共に連通路54を介してタービン室53に流入する。
【0052】
タービン室53に流入した水は、タービンホイール51の回転による遠心力の作用によってタービンホイール51の外周に向けて飛散しながら排出ガスと共にタービンホイール51を通過してタービン筒状部61の内周面61aを伝うようにしてタービン下流流路62を流れる。タービン筒状部61の内周面61aを伝うようにしてタービン下流流路62を流れる水は、筒部材67の小径部67bの外周面とタービン筒状部61の内周面61aとの間に流入するとともに、筒部材67の段差面67cによってタービン下流流路62内におけるタービン室53とは反対側へ向かう流れが堰き止められる。また、小径部67bの外周面は、小径部67bの外周面とタービン筒状部61の内周面61aとの間においてタービン筒状部61の内周面61aから離間した水を受け止める。そして、小径部67bの外周面及び段差面67cは、タービン下流流路62内における筒部材67の小径部67bの外周面とタービン筒状部61の内周面61aとの間を流れる水を連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に向けて案内する。小径部67bの外周面及び段差面67cによって案内された水は、連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に至る。また、タービン室53を通過した排出ガスは、タービン下流流路62及び筒部材67の内側を通過するとともに配管やマフラー等を介して外部へ排出される。
【0053】
ここで、タービン下流流路62内の圧力は大気圧よりも高くなっており、圧縮部上流流路12内の圧力は大気圧よりも低くなっているため、タービン下流流路62内の圧力は、圧縮部上流流路12内の圧力よりも高くなっている。よって、連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に至った水は、タービン下流流路62内の圧力と圧縮部上流流路12内の圧力との差によって連通流路63に吸い込まれるとともに連通流路63を介して圧縮部上流流路12に流れ込む。このとき、連通流路63内に多孔質体65が充填されているため、連通流路63内に多孔質体65が充填されていない場合に比べると、排出ガスが連通流路63を通過し難くなっている。
【0054】
また、制御装置16は、温度センサ17により検出された温度が高いほど、流量制御弁66の開度が大きくなるように流量制御弁66の開度を制御する。よって、燃料電池スタック11の温度が高いほど、流量制御弁66の開度が大きくなり、タービン下流流路62から連通流路63を介して圧縮部上流流路12に流れ込む水の量が多くなる。
【0055】
そして、圧縮部上流流路12に流れ込む水によって圧縮部上流流路12を流れる空気が加湿される。加湿された空気は、電動圧縮機21の圧縮部25及びタービン圧縮機31のコンプレッサホイール34それぞれによって圧縮されるとともに供給流路14を介して燃料電池スタック11に供給される。これにより、燃料電池スタック11内が湿潤状態となる。
【0056】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)燃料電池スタック11内を湿潤状態とするために、従来技術のような加湿器を供給流路14と排出流路15とを跨ぐように設ける必要が無いため、排出流路15を流れる排出ガスの圧損を抑制することができる。よって、排出流路15を流れる排出ガスの圧損が生じることにより、タービンホイール51を回転させるための排出ガスの運動エネルギが小さくなってしまうことが抑制されるため、タービンホイール51が回転することにより発生する回転エネルギが小さくなってしまうことが抑制される。したがって、圧縮部25を駆動させるために必要な電動モータ23の消費電力が低減され易い。よって、圧縮部25を駆動させる電動モータ23の負荷が効率良く低減されなくなってしまうことが抑制され、圧縮部25を駆動させるために必要な電動モータ23の消費電力が効率良く低減されなくなってしまうことが抑制される。以上のことから、燃料電池スタック11内を湿潤状態とすることができるとともに、圧縮部25を駆動させるために必要な電動モータ23の消費電力を効率良く低減することができる。
【0057】
(2)タービン筒状部61内には、タービン下流流路62内を流れる水を連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に向けて案内する案内部68が設けられている。これによれば、案内部68が、タービン下流流路62内を流れる水を連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に向けて案内するため、タービン下流流路62内を流れる水が連通流路63を介して圧縮部上流流路12に効率良く流れ込む。よって、圧縮部上流流路12を流れる空気を効率良く加湿することができる。
【0058】
(3)連通流路63内には、多孔質体65が充填されている。これによれば、連通流路63内に多孔質体65が充填されていない場合に比べると、排出ガスが連通流路63を通過し難くなるため、タービン下流流路62から連通流路63を介して圧縮部上流流路12に流れ込む排出ガスの量を少なくすることができる。その結果、圧縮部上流流路12を流れて圧縮部25に供給される排出ガスの量が少なくなるため、圧縮部25で圧縮される排出ガスの量が少なくなる。その結果、圧縮部25における空気の圧縮効率を向上させることができる。
【0059】
(4)連通流路63には、可変絞りとしての流量制御弁66が設けられている。流量制御弁66は、燃料電池スタック11の温度が高いほど開度が大きくなる。これによれば、燃料電池スタック11の温度が高いほど、タービン下流流路62から連通流路63を介して圧縮部上流流路12に流れ込む水の量が多くなる。よって、圧縮部上流流路12を流れる空気が加湿され易くなるため、燃料電池スタック11内を効率良く湿潤状態とすることができる。したがって、燃料電池スタック11の温度が高い場合であっても、燃料電池スタック11内が乾いてしまうことを抑制することができ、燃料電池スタック11の発電効率の低下を抑制することができる。
【0060】
(5)燃料電池スタック11内を湿潤状態とするために、従来技術のような加湿器を供給流路14と排出流路15とを跨ぐように設ける必要が無い。その結果、燃料電池システム10の小型化を図ることができる。
【0061】
(6)連通流路63から圧縮部上流流路12に供給される水は、空気を圧縮することにより圧縮部25で発生する熱によって水蒸気になる。この水の蒸発潜熱により、圧縮部25によって圧縮された空気が冷却されるため、電動圧縮機21から吐出される空気の温度を低くすることができ、燃料電池スタック11の発電効率を向上させることができる。
【0062】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
○ 実施形態において、筒部材67の小径部67bの外周面が、段差面67cの内周縁からタービン筒状部61の軸線方向に対して斜交する方向に延びるテーパ形状であってもよい。
【0064】
○ 実施形態において、タービン筒状部61に、筒部材67が取り付けられていなくてもよい。そして、例えば、タービン下流流路62内を流れる水を連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に向けて案内する案内部が、タービン筒状部61の内周面61aに一体形成されていてもよい。要は、タービン下流流路62を形成する流路形成壁内に、タービン下流流路62内を流れる水を連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に向けて案内する案内部が設けられていればよい。
【0065】
○ 実施形態において、タービン筒状部61に、筒部材67が取り付けられていなくてもよい。要は、タービン下流流路62を形成する流路形成壁内に、タービン下流流路62内を流れる水を連通流路63におけるタービン下流流路62側の端部に向けて案内する案内部が設けられていなくてもよい。
【0066】
○ 実施形態において、連通流路63内に多孔質体65が充填されていなくてもよい。
○ 実施形態において、連通流路63に、可変絞りとしての流量制御弁66が設けられていなくてもよい。
【0067】
○ 実施形態において、電動圧縮機21とタービン圧縮機31との位置関係を逆にしてもよい。すなわち、電動圧縮機21が、タービン圧縮機31で1度圧縮された空気を圧縮するようにしてもよい。
【0068】
○ 実施形態において、タービン圧縮機31が、回転軸33を回転させる電動モータを有していてもよい。この場合、電動モータは、回転軸33におけるコンプレッサホイール34とタービンホイール51との間に設けられる。そして、燃料電池システム10において、電動圧縮機21を削除し、タービン圧縮機31を、燃料電池システム10が備える電動圧縮機として機能させてもよい。この場合、コンプレッサホイール34は、電動圧縮機の圧縮部として機能する。
【0069】
○ 実施形態において、燃料電池システム10は、タービン圧縮機31を備えていなくてもよく、タービン50を少なくとも備えていればよい。そして、タービン50においてタービンホイール51が回転することにより発生する回転エネルギを利用して、例えば発電機に回生電力を発生させ、発電機で発生した回生電力を、圧縮部25を駆動させるための電動モータ23への供給電力として用いるようにしてもよい。
【0070】
○ 実施形態において、圧力調整弁60の具体的な構成は特に限定されるものではない。要は、圧力調整弁60は、連通路54の流路断面積を調整して燃料電池スタック11に供給される空気の圧力を調整することができるものであればよい。
【0071】
○ 実施形態において、圧縮部25の具体的な型式は、本実施形態のようなインペラ式に限らず任意であり、例えば、スクロール式やルーツ式などであってもよい。
○ 実施形態において、燃料電池システム10は、車両以外に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…燃料電池システム、11…燃料電池スタック、12…圧縮部上流流路、14…供給流路、15…排出流路、21…電動圧縮機、23…電動モータ、25…圧縮部、50…タービン、51…タービンホイール、61…流路形成壁であるタービン筒状部、61a…内周面、62…タービン下流流路、63…連通流路、65…多孔質体、66…可変絞りとしての流量制御弁、68…案内部。
図1
図2
図3
図4