特許第6866902号(P6866902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866902
(24)【登録日】2021年4月12日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】細胞移植システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20210419BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20210419BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   A61M37/00
   C12M1/00 A
   C12M1/26
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-68172(P2019-68172)
(22)【出願日】2019年3月29日
(65)【公開番号】特開2020-162535(P2020-162535A)
(43)【公開日】2020年10月8日
【審査請求日】2020年9月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真一
(72)【発明者】
【氏名】今井 慶一
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/042818(WO,A1)
【文献】 特表2015−531644(JP,A)
【文献】 特表2007−503876(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0264043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61M 5/178
A61M 5/32
A61L 27/38
A61L 27/56
A61L 27/58
A61L 31/14
C12M 1/00
C12M 1/26
C12M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の対象領域に細胞を含む移植物を配置するための細胞移植装置を備える細胞移植システムであって、
1つの方向に沿って延びる針状部であって、前記移植物を保持可能に構成された保持部を有する前記針状部を備え、前記針状部が先端部に有する開口から前記移植物を取り込んで前記針状部の内部に収容する前記細胞移植装置と、
前記移植物が前記針状部の前記保持部に保持されたことを検知する検知部と、
を備える細胞移植システム。
【請求項2】
前記検知部は、前記針状部による前記移植物の保持を当該保持による前記針状部での電気的変化または圧力変化として検出する
請求項に記載の細胞移植システム。
【請求項3】
前記細胞移植装置は、前記針状部内を吸引する吸引部を備え、
前記針状部が内部に有する流路の途中には、前記針状部の先端部から基端部に向かう方向への前記移植物の通過が不可能なように前記流路を狭める構造が設けられ、
前記針状部において、前記流路の途中から前記開口までの領域を囲む部分が、前記針状部内の吸引により前記開口から入った液状体が含む前記移植物を、前記吸引によって形成される負圧により当該領域に留める前記保持部として機能する
請求項に記載の細胞移植システム。
【請求項4】
前記針状部は、前記開口を有する外筒部を備え、
前記保持部は、前記外筒部の内側に位置する筒状を有し、
前記細胞移植装置は、前記保持部内を吸引する吸引部を備え、
前記保持部は、前記吸引によって前記保持部の先端部に前記移植物を保持する
請求項に記載の細胞移植システム。
【請求項5】
前記細胞移植装置は、前記検知部に電気的に接続された第1導体部および第2導体部を備え、
前記保持部は、導電性を有する導電部を有し、
前記第1導体部は、前記保持部の前記導電部に接し、
前記第2導体部は、前記移植物が前記保持部に保持されたときに前記導電部に接するように配置され、
前記検知部は、前記第1導体部と前記第2導体部との導通状況の変化を検出することにより、前記移植物の保持を検知する
請求項3または4に記載の細胞移植システム。
【請求項6】
前記検知部は、前記保持部が前記移植物を保持したときの前記保持部内の圧力の変化を検出することにより、前記移植物の保持を検知する
請求項に記載の細胞移植システム。
【請求項7】
前記細胞移植装置は、複数の針状部を備え、
前記検知部は、前記針状部ごとに前記移植物の保持を検知する
請求項1〜6のいずれか一項に記載の細胞移植システム。
【請求項8】
前記細胞移植装置は、100μm以上1000μm以下の径を有する細胞集合体を含む前記移植物を、前記対象領域に配置するために用いられる
請求項1〜7のいずれか一項に記載の細胞移植システム。
【請求項9】
前記細胞移植装置は、皮膚由来幹細胞を含んだ細胞凝集体である前記移植物を、前記対象領域に配置するために用いられる
請求項1〜8のいずれか一項に記載の細胞移植システム。
【請求項10】
生体内の対象領域に細胞を含む移植物を配置するための細胞移植装置を備える細胞移植システムであって、
1つの方向に沿って延びる筒状の針状部を備え、前記針状部が先端部に有する開口から吸引により前記移植物を取り込んで前記針状部の内部に収容し、前記針状部内の加圧によって前記開口から前記移植物を押し出すように構成された前記細胞移植装置と、
前記移植物が前記針状部の内部に入ったことを検知する検知部と、
を備える細胞移植システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞の移植に用いられる細胞移植システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体から採取した細胞の培養に基づき得られた移植物を、生体の皮内や皮下へ移植する技術が開発されている。例えば、毛を作り出す器官である毛包の形成に寄与する細胞群を精製し、この細胞群を皮内へ移植することによって、毛髪を再生させることが試みられている。
【0003】
毛包は、上皮系細胞と間葉系細胞との相互作用により形成される。毛髪の良好な再生のためには、移植された細胞群から、正常な組織構造を有して周期的な毛髪の形成能力を有する毛包が生じることが望ましい。そこで、こうした毛包を形成可能な細胞群の製造方法について、様々な研究開発が行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/073625号
【特許文献2】国際公開第2012/108069号
【特許文献3】特開2008−29331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、移植に際しては、培養容器等の容器に入れられている移植物が、生体における移植の対象領域へ移される。移植物は微小であるため、移植物を移動させるための器具や装置に移植物が的確に保持されているか否かを目視のみによって判断することは困難である。移植物の保持が的確でないまま移植が進められたり、移植物の保持状況の確認に労力を要したりすると、移植の効率が低下してしまう。
【0006】
本発明は、対象領域に配置するための細胞の容器からの取り込み効率を高めることのできる細胞移植システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する細胞移植システムは、生体内の対象領域に細胞を含む移植物を配置するための細胞移植装置を備える細胞移植システムであって、1つの方向に沿って延びる針状部を備え、前記針状部が先端部に有する開口から前記移植物を取り込んで前記針状部の内部に収容する前記細胞移植装置と、前記移植物が前記針状部に保持されたことを検知する検知部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、移植物が針状部に保持されたことが、検知部によって検知されるため、移植物の保持状況を目視によって確認する場合と比較して、保持状況を容易に把握可能であり、保持状況の確認の精度も高められる。したがって、細胞移植装置への移植物の取り込み効率を高めることが可能であり、細胞移植装置を用いた細胞の移植を円滑に進めることができる。
【0009】
上記構成において、前記針状部は、前記移植物を保持するための保持部であって、液状体に含まれる前記移植物が当該保持部よりも前記針状部の基端側に流れることを抑える前記保持部を備え、前記検知部は、前記保持部に前記移植物が保持されたことを検知してもよい。
【0010】
上記構成によれば、移植物が保持部に保持されることで、移植物が針状部内の奥まで入り込むことが抑えられるため、移植物の移植が円滑に進められる。そして、移植物が保持部に保持されたことが検知されるため、針状部における移植物の保持が的確に検知される。
【0011】
上記構成において、前記検知部は、前記針状部による前記移植物の保持を当該保持による前記針状部での電気的変化または圧力変化として検出してもよい。
上記構成によれば、針状部による移植物の保持を的確に検知することができる。
【0012】
上記構成において、前記針状部において、当該針状部が内部に有する流路の途中から前記開口までの領域を囲む部分が、前記開口から入った前記液状体が含む前記移植物を当該領域に留める前記保持部として機能してもよい。
上記構成によれば、移植物を針状部の先端付近に的確に保持することができる。
【0013】
上記構成において、前記針状部は、前記開口を有する外筒部を備え、前記保持部は、前記外筒部の内側に位置する筒状を有し、前記細胞移植装置は、前記保持部内を吸引する吸引部を備え、前記保持部は、前記吸引によって前記保持部の先端部に前記移植物を保持してもよい。
上記構成によれば、移植物を針状部の先端付近に的確に保持することができる。
【0014】
上記構成において、前記細胞移植装置は、前記検知部に電気的に接続された第1導体部および第2導体部を備え、前記保持部は、導電性を有する導電部を有し、前記第1導体部は、前記保持部の前記導電部に接し、前記第2導体部は、前記移植物が前記保持部に保持されたときに前記導電部に接するように配置され、前記検知部は、前記第1導体部と前記第2導体部との導通状況の変化を検出することにより、前記移植物の保持を検知してもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1導体部と第2導体部との導通状況の変化を利用することにより、移植物の保持を的確に検知することができる。
上記構成において、前記検知部は、前記保持部が前記移植物を保持したときの前記保持部内の圧力の変化を検出することにより、前記移植物の保持を検知してもよい。
【0016】
上記構成によれば、保持部内の圧力の変化を利用することにより、移植物の保持を的確に検知することができる。
上記構成において、前記細胞移植装置は、複数の針状部を備え、前記検知部は、前記針状部ごとに前記移植物の保持を検知してもよい。
【0017】
細胞移植装置が複数の針状部を備える場合、各針状部における移植物の保持状況を目視にて1つずつ確認することは、大きな労力を要する。したがって、複数の針状部を備える細胞移植装置を備える細胞移植システムに、上記各構成が適用されることによって、細胞の移植の効率が大きく高められる。
【0018】
上記構成において、前記細胞移植装置は、100μm以上1000μm以下の径を有する細胞集合体を含む前記移植物を、前記対象領域に配置するために用いられてもよい。
上記構成において、前記細胞移植装置は、皮膚由来幹細胞を含んだ細胞凝集体である前記移植物を、前記対象領域に配置するために用いられてもよい。
【0019】
こうした細胞の移植は、例えば、発毛や育毛を目的とする。発毛や育毛を目的とした移植では、多くの移植物を移植することが求められる場合が多い。こうした移植に上記細胞移植システムが用いられることで、細胞の移植の効率が大きく高められるため、細胞移植装置への移植物の取り込み効率の向上が可能となることの利点が大きい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、対象領域に配置するための細胞の容器からの取り込み効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】細胞移植システムの第1実施形態について、細胞移植システムの全体構成を示す図。
図2】第1実施形態の細胞移植装置であって、単一の針状部を備える細胞移植装置の側面構造を示す図。
図3】第1実施形態の細胞移植装置であって、複数の針状部を備える細胞移植装置の側面構造を示す図。
図4】第1実施形態の細胞移植装置であって、吸引押出部を備える細胞移植装置の構成を示す図。
図5】第1実施形態の細胞移植装置における針状部の断面構造を示す図。
図6】第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における細胞移植装置と移植物を保持するトレイとの配置を示す図。
図7】第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。
図8】第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。
図9】第1実施形態の細胞移植装置であって、移植物を保持した針状部の断面構造を示す図。
図10】第1実施形態の細胞移植システムの動作手順を示すフローチャート。
図11】第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の配置工程を示す図。
図12】第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の配置工程を示す図。
図13】第1実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法に複数の針状部を備える細胞移植装置を用いる場合の当該装置とトレイとの配置を示す図。
図14】細胞移植システムの第2実施形態について、針状部を中心に細胞移植装置の構成を示す図。
図15】第2実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。
図16】第2実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。
図17】第2実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。
図18】第2実施形態の細胞移植装置であって、移植物を保持した針状部の断面構造を示す図。
図19】細胞移植システムの第3実施形態について、針状部を中心に細胞移植装置の構成を示す図。
図20】第3実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。
図21】第3実施形態の細胞移植装置を用いた移植方法における移植物の収容工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1図13を参照して、細胞移植システムの第1実施形態を説明する。
[移植物]
本実施形態の細胞移植システムが備える細胞移植装置は、生体へ移植物を移植するために用いられる。移植物は、細胞群を含む。移植の対象領域は、皮内および皮下の少なくとも一方、あるいは、臓器等の組織である。まず、移植される対象である細胞群について説明する。
【0023】
移植対象の細胞群は、複数の細胞を含む。細胞群は、凝集された複数の細胞の集合体であってもよいし、細胞間結合により結合した複数の細胞の集合体であってもよい。あるいは、細胞群は、分散した複数の細胞から構成されてもよい。また、細胞群を構成する細胞は、未分化の細胞であってもよいし、分化が完了した細胞であってもよいし、細胞群は、未分化の細胞と分化した細胞とを含んでいてもよい。細胞群は、例えば、細胞塊(スフェロイド)、原基、組織、器官等である。
【0024】
細胞群は、対象領域に配置されることによって、生体における組織形成に作用する能力を有する。こうした細胞群の一例は、皮膚由来幹細胞を含んだ細胞凝集体である。移植対象の細胞群は、例えば、皮内または皮下に配置されることにより、発毛または育毛に寄与する。こうした細胞群は、毛包器官として機能する能力、毛包器官へ分化する能力、毛包器官の形成を誘導もしくは促進する能力、あるいは、毛包における毛の形成を誘導もしくは促進する能力等を有する。また、細胞群は、色素細胞もしくは色素細胞に分化する幹細胞等のように、毛色の制御に寄与する細胞を含んでいてもよい。
【0025】
具体的には、本実施形態における移植対象の細胞群の一例は、原始的な毛包器官である毛包原基である。毛包原基は、間葉系細胞と上皮系細胞とを含む。毛包器官では、間葉系細胞である毛乳頭細胞が、毛包上皮幹細胞の分化を誘導し、これによって形成された毛球部にて毛母細胞が分裂を繰り返すことにより、毛が形成される。毛包原基は、こうした毛包器官に分化する細胞群である。
【0026】
毛包原基は、例えば、毛乳頭等の間葉組織に由来する間葉系細胞と、バルジ領域や毛球基部等に位置する上皮組織に由来する上皮系細胞とを、所定の条件で混合培養することによって形成される。ただし、毛包原基の製造方法は上述の例に限定されない。また、毛包原基の製造に用いられる間葉系細胞と上皮系細胞との由来も限定されず、これらの細胞は、毛包器官由来の細胞であってもよいし、毛包器官とは異なる器官由来の細胞であってもよいし、多能性幹細胞から誘導された細胞であってもよい。
なお、移植物は、細胞群とともに、細胞群の移植を補助する部材を含んでいてもよい。
【0027】
[細胞移植システム]
図1を参照して、細胞移植システムの全体構成を説明する。細胞移植システム100は、細胞移植装置110と、検知部120とを備えている。
【0028】
細胞移植装置110は、筒状の針状部10を備え、針状部10の内部に移植物を収容して、生体における移植の対象領域まで移植物を運ぶ。
検知部120は、細胞移植装置110と電気的に接続され、細胞移植装置110からの電気信号に基づいて、針状部10に移植物が保持されたことを検知する。検知部120は、上記電気信号を処理する回路を含む。
【0029】
[細胞移植装置]
図2図5を参照して、細胞移植装置110の詳細な構成を説明する。
図2が示すように、細胞移植装置110は、針状部10と、針状部10を支持する支持部50とを備えている。針状部10は、1つの方向に沿って延びる筒状を有し、言い換えれば、中空の針形状を有する。針状部10の外形は、その先端部が、生体における皮膚等の移植の対象部位を刺すことの可能な形状を有していれば特に限定されない。針状部10の先端部は、例えば、円筒をその延びる方向に対して斜めに切断した形状を有し、尖っている。
【0030】
支持部50は、針状部10とは別々に形成された部材であってもよいし、針状部10と一体に形成されていてもよい。支持部50の外形は特に限定されない。
支持部50が針状部10とは別々に形成された部材である場合、支持部50は、針状部10の先端部から延びる部分の外側を囲み、針状部10を支持している。例えば、支持部50が有する孔に針状部10が通されることによって、支持部50に針状部10が組み付けられている。針状部10の先端部とその付近は、針状部10の延びる方向に沿って、支持部50から突き出している。
【0031】
支持部50が針状部10と一体に形成されている場合、針状部10は支持部50の表面から突き出している。
針状部10と支持部50とが別々の部材であるか一体に形成されているかに関わらず、針状部10のなかで支持部50から突き出している部分には、少なくとも、生体における移植の対象領域に進入する部分が含まれる。
【0032】
細胞移植装置110が備える針状部10の数は特に限定されず、細胞移植装置110は、図2が示すように単一の針状部10を備えていてもよいし、図3が示すように複数の針状部10を備えていてもよい。細胞移植装置110が複数の針状部10を備える場合、複数の針状部10の配置は特に限定されず、複数の針状部10は規則的に並んでいてもよいし、不規則に並んでいてもよい。また、細胞移植装置110が複数の針状部10を備える場合、1つの支持部50が、すべての針状部10を一括して支持することが好ましい。すなわち、複数の針状部10が1つの支持部50に支持されることで、複数の針状部10が一体となった細胞移植装置110を構成していることが好ましい。
【0033】
図4が示すように、細胞移植装置110は、針状部10への移植物の取り込みと放出とを補助する吸引押出部60を備えることが好ましい。吸引押出部60は、針状部10の外部にある移植物を、針状部10が先端部に有する開口から内部へ取り込むために、移植物を吸引すること、および、針状部10の上記開口から移植物を外部へ放出するために、針状部10の内部にある移植物を押すことを行う。
【0034】
吸引押出部60は、移植物の吸引および押し出しが可能な機構を備えて当該吸引および押し出しが可能に針状部10に接続されていればよい。例えば、吸引押出部60は、針状部10の内部の空気を吸い込むことによって移植物をその保護液と共に吸引し、空気圧を利用して針状部10の内部を加圧することによって移植物を保護液と共に押し出すように構成される。
【0035】
なお、図4においては、細胞移植装置110が単一の針状部10を備える形態を図示しているが、細胞移植装置110が複数の針状部10を備える場合も同様に、細胞移植装置110は、吸引押出部60を備えていればよい。吸引押出部60は、複数の針状部10に対して一括して移植物の吸引を行ってもよいし、針状部10ごとに独立した吸引が可能であってもよい。同様に、吸引押出部60は、複数の針状部10に対して一括して移植物の押し出しを行ってもよいし、針状部10ごとに独立した押し出しが可能であってもよい。
【0036】
続いて、針状部10の詳細な構造を説明する。図5が示すように、針状部10は、先端部の開口13に通じる内部流路14を有し、内部流路14の途中から開口13までの領域を囲む部分が、移植物を保持する保持部30として機能する。保持部30は、移植物が保持部30よりも針状部10の基端側に流れることを抑えて、移植物とその保護液とを含む液状体を収容する。保持部30の具体的な構成の例として、繊維状物の配置によって保持部30を形成する例を説明する。なお、以下の図においては、細胞移植装置110が単一の針状部10を備える場合を例示して説明するが、上述のように、細胞移植装置110は複数の針状部10を備えてもよい。
【0037】
針状部10は、針状部10の先端部を含む第1管11と、第1管11よりも大きい流路断面積を有する第2管12とを備えている。この場合、針状部10は、支持部50とは別々の部材である。第1管11と第2管12との各々は、針状部10の延びる方向に沿って延びる。第1管11の先端部は、針状部10の先端部を構成し、開口13を有する。第2管12は、第1管11の基端部に接続されている。針状部10の内部に区画される内部流路14は、針状部10の延びる方向に沿って延び、開口13に通じている。
【0038】
例えば、第1管11の開口13を除く部分と第2管12との各々は、一定の内径を有する円筒状であり、第2管12の内径は、第1管11の内径よりも大きい。第1管11と第2管12との接続部分において、第1管11の端部は第2管12の端部に挿入されている。
【0039】
針状部10は、流路断面積が変わる箇所の付近に、繊維状物21から構成された留止部20を備えている。留止部20は、内部流路14の途中で内部流路14を横断する。留止部20は、留止部20に対して針状部10の先端側から基端側へ、保護液を通す一方で移植物が通ることを抑える。移植物の通過を抑えることが可能であれば、留止部20を構成する繊維状物21の本数、材質、配置は特に限定されない。留止部20から開口13までの領域において内部流路14を囲む部分が、当該領域に移植物を留める保持部30として機能する。
【0040】
例えば、留止部20は、複数本の繊維状物21がメッシュ状に配置された構成を有し、第1管11の基端部に被せられている。各繊維状物21は、第1管11の基端部を跨ぐように配置され、第2管12内で内部流路14を横断する。言い換えれば、繊維状物21の両端は、第1管11の外周面上に固定され、繊維状物21はその一端から他端へ第1管11の基端部の端面上を通って延びている。繊維状物21は、第2管12内において、第1管11の基端部の端面に接していてもよいし、当該端面から離れていてもよい。
【0041】
繊維状物21は、糸状に細長くのびる構造体であれば、その材料は限定されない。繊維状物21は、例えば、絶縁性を有する材料から構成される。繊維状物21は、一般的な繊維に限らず、ワイヤー状に加工された構造体や、管状に加工された構造体であってもよい。繊維としては、綿、麻、亜麻、ラミー、ジュート等の植物繊維、毛、絹等の動物繊維、鉱物繊維、レーヨン、ポリノジック、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、ガラス繊維等が利用可能である。なお、1本の繊維状物21は、複数本の繊維が縒り合わされた構成を有していてもよい。
【0042】
針状部10の延びる方向において、保持部30の長さ、すなわち、開口13の基端から留止部20までの長さは、移植物の径よりも大きければよい。
発毛または育毛に寄与する細胞群として、細胞凝集体等の細胞の集合体を移植しようとする場合、細胞群が含む細胞数は、1×10cellsから4×10cellsの程度である。この場合、細胞群を球体に近似したときの当該球体の直径、すなわち、細胞群に外接する最小の球の直径は、100μmから1000μm程度となる。
【0043】
したがって、上記保持部30の長さは、1mm以上であることが好ましい。また、開口13から移植物を放出する際に、移植物と共に放出される保護液が多すぎると、移植の対象領域が保護液であふれて移植物の配置が阻害される場合がある。こうした観点では、上記保持部30の長さは、50mm以下であることが好ましい。
【0044】
細胞移植装置110は、第1導体部41と第2導体部42とを備えている。第1導体部41と第2導体部42との各々は、検知部120に電気的に接続されている。第1導体部41と第2導体部42とは、例えば、絶縁被覆を有して端部に導体部分が露出された導線に具体化される。
【0045】
第1導体部41の端部は、移植物が保持部30に保持される前、および、移植物が保持部30に保持された後のいずれにおいても、針状部10の外側で、保持部30を構成する第1管11の外周面に接している。第2導体部42の端部は、第1管11の内部における基端付近、すなわち、留止部20の付近に位置している。そして、第2導体部42の端部は、移植物が保持部30に保持される前において、第1管11の内周面から離れており、かつ、移植物が保持部30に保持されたときに、移植物に押されて第1管11の内周面に接する位置に配置されている。例えば、第2導体部42は、内部流路14を斜めに横断するように、第2管12内から留止部20を越えて第1管11内に延びている。第2導体部42は、例えば、針状部10を貫通する、あるいは、針状部10の基端部から引き出される等によって、針状部10の外部に引き出されて、検知部120に接続されている。
【0046】
保持部30を構成する第1管11においては、少なくとも、第1導体部41の端部が接している部分と、移植物の保持時に第2導体部42の端部が接する部分とが、導電性材料から構成されて互いに連続し、導電部を構成している。例えば、第1管11は、その全体が金属製であって導電部を構成していてもよいし、基端部付近が金属製で導電部を構成し、その他の部分が樹脂製であってもよい。なお、第2管12の材料は特に限定されない。
【0047】
[細胞移植システムの動作]
細胞移植システム100の動作を、細胞移植装置110を用いた移植物の移植方法と共に説明する。移植方法は、細胞移植装置110への移植物の収容工程と、生体における移植の対象領域への移植物の配置工程とを含む。なお、以下において、一部の図では、第1導体部41および第2導体部42を割愛して示している。
【0048】
図6が示すように、細胞移植装置110への収容前において、移植物Cgは、培養容器等のトレイ130に保護液Plと共に保持されている。例えば、図6が示すように、移植物Cgと保護液Plとは、トレイ130が有する凹部131に入れられている。トレイ130における移植物Cgと保護液Plとの保持態様は、凹部131に移植物Cgと保護液Plとが保持される形態に限らず、例えば、トレイ130が有する平面上に移植物Cgと保護液Plとが配置されていてもよい。
【0049】
保護液Plは、細胞の生存を阻害し難い液体であればよく、また、生体に注入された場合に生体に与える影響の小さい液体であることが好ましい。例えば、保護液Plは、生理食塩水、ワセリンや化粧水等の皮膚を保護する液体、あるいは、これらの液体の混合物である。保護液Plは、栄養成分等の添加成分を含んでいてもよい。また、トレイ130が培養容器であって、移植物Cgがトレイ130にて培養される場合、保護液Plは、細胞の培養のための培地であってもよいし、培地から交換された液体であってもよい。移植物Cgと保護液Plとを含む液状体は、低粘度の流体、あるいは、高粘度の流体であり得る。
【0050】
収容工程において、細胞移植装置110は、開口13から、移植物Cgを針状部10の内部に取り込む。より詳細には、トレイ130にて、移植物Cgが保護液Plと共に位置する部分に、針状部10の先端部が向けられ、保護液Plと共に移植物Cgが保持部30に取り入れられる。例えば、図6が示すように、凹部131と針状部10との位置が合わせられた後、図7が示すように、凹部131に針状部10の先端部が入れられる。そして、吸引押出部60の作動によって、図8が示すように、保護液Plと共に移植物Cgが開口13から内部流路14に引き込まれる。
【0051】
開口13から内部流路14に入った移植物Cgは、保護液Plの流れとともに第1管11内を留止部20に向けて移動する。留止部20は保護液Plを通すため、保護液Plは、吸引の流れに従って、第1管11から第2管12に入り、さらに基端側に向けて流れる。一方、留止部20は移植物Cgを通さないため、移植物Cgは、留止部20よりも先端側に留められる。これにより、保持部30に移植物Cgが保持され、針状部10の内部に移植物Cgが収容される。
【0052】
図9は、保持部30が移植物Cgを保持した状態の針状部10を示す。図9が示すように、針状部10の内部に入った移植物Cgは、保護液Plの流れとともに留止部20まで移動する過程において、第2導体部42に接触し、第2導体部42を変位させる。その結果、第2導体部42の端部が第1管11の内周面に接触し、第1導体部41と第2導体部42とが導通する。第2導体部42が、内部流路14を斜めに横断するように、第2管12内から留止部20を越えて第1管11内に延びていると、移植物Cgが、留止部20に向けて移動する過程において、第2導体部42を押して変位させやすい。
【0053】
検知部120は、保持部30における電気的変化として、第1導体部41と第2導体部42との導通状況の変化を検出することにより、移植物Cgの保持を検知する。例えば、検知部120は、検知部120に接続された第1導体部41と第2導体部42との端部間に電圧を印加し、これらの導体部41,42に流れる電流を検出することに基づき、第1導体部41と第2導体部42との導通を検知する。第1導体部41と第2導体部42との導通の検知が、すなわち、移植物Cgの保持の検知である。
【0054】
図10は、収容工程を中心とした細胞移植システム100の動作の手順を示すフローチャートである。トレイ130に対して細胞移植装置110が配置された後、ステップS10の処理として、収容処理が行われる。収容処理は、移植物Cgを針状部10の内部に取り込むための処理であって、例えば、吸引押出部60の作動による移植物Cgの吸引が含まれる。
【0055】
続いて、ステップS11の処理として、保持部30への移植物Cgの保持が検知されたか否かが判定される。移植物Cgの保持が検知されたとき(ステップS11にて肯定判定)、ステップS12の処理へ進み、配置工程が行われる。収容処理後、所定の時間がたっても移植物Cgの保持が検知されないとき(ステップS11にて否定判定)、ステップS13の処理として、保持の再試行処理が行われる。移植物Cgが保持部30に保持されない、すなわち、針状部10の内部に入らない原因として、移植物Cgが針状部10の先端部付近の外周面に付着していることや、移植物Cgがトレイ130に取り残されていること等が想定される。再試行処理は、こうした状況の改善のための処理であって、例えば、針状部10やトレイ130を振動させることや、針状部10内の保護液Plをトレイ130に向けて放出させることや、針状部10に対する再度の吸引を行うことが含まれる。再試行処理の後、ステップS11以降の処理が繰り返される。
【0056】
なお、図10のフローに示した処理は、細胞移植システム100が備える制御部の指示に基づき連続して行われてもよい。例えば、上記制御部は検知部120を備え、検知部120の検知結果に基づき、移植物Cgの保持が検知されないとき、細胞移植装置110に制御信号を送信して再試行処理を行わせる。
【0057】
あるいは、図10のフローに示した処理は、細胞移植装置110の使用者の操作を介して進められてもよい。例えば、検知部120によって移植物Cgの保持が検知されたときには、表示ランプの点灯等によって当該検知が使用者に通知される。使用者は、通知を確認して、配置工程を進める。もしくは、検知が通知されないとき、使用者は、再試行処理を進める。
【0058】
配置工程では、生体における移植の対象部位まで細胞移植装置110が運ばれ、図11が示すように、針状部10が例えば皮膚Skである対象部位に刺される。これにより、第1管11の先端部が対象部位の内部に進入して、移植の対象領域に開口13が配置される。発毛または育毛に寄与する細胞群を移植しようとする場合、対象領域は、皮内および皮下の少なくとも一方である。
【0059】
図12が示すように、吸引押出部60の作動によって、第1管11の内部に収容されている移植物Cgは、保護液Plと共に押し出され、開口13から出る。これにより、対象領域に移植物Cgが配置される。その後、針状部10は対象部位から引き抜かれる。
以上により、移植物Cgの対象領域への移植が完了する。
【0060】
細胞移植装置110を用いた上記移植方法によれば、移植物Cgをトレイ130から取り出して移植の対象領域へ配置するまでを1つの装置によって連続して行うことができるため、細胞の円滑な移植が可能である。
【0061】
そして、移植物Cgが針状部10に保持されたことが、検知部120によって検知されるため、移植物Cgの保持状況を目視によって確認する場合と比較して、保持状況を容易に把握可能であり、保持状況の確認の精度も高められる。したがって、トレイ130からの移植物Cgの取り込み効率を高めることが可能であり、細胞移植装置110を用いた細胞の移植をより円滑に進めることができる。
【0062】
具体的には、移植物Cgの保持状況を目視によって確認しようとしても、移植物Cgおよび針状部10が微小であるため、確認は容易ではない。また、針状部10が不透明であったり、トレイ130等の周囲の器具に遮られたりして、移植物Cgの視認が困難なこともある。さらに、細胞移植装置110が複数の針状部10を備える場合には、各針状部10における移植物Cgの保持状況を1つずつ確認することは、使用者にとって負担が大きい。特に、発毛または育毛に寄与する細胞群を移植する場合には、多数の移植物Cgの移植を要することが多いため、移植物Cgの保持状況の確認に要する労力は多大となる。
【0063】
こうした状況に対し、本実施形態の細胞移植システム100であれば、検知部120による移植物Cgの保持の検知に基づき移植を進めることができるため、移植物Cgの移植の効率が大きく高められる。
【0064】
図13は、複数の針状部10を備える細胞移植装置110を用いた移植方法の一工程を示す。複数の針状部10の各々が、保持部30を有する。第1導体部41および第2導体部42は、針状部10ごとに設けられ、検知部120は、針状部10ごとに移植物Cgの保持を検知する。
【0065】
収容工程においては、各針状部10と移植物Cgとが向かい合うように、細胞移植装置110とトレイ130との位置が合わせられることによって、複数の針状部10に一括して移植物Cgを収容することができる。また、配置工程においては、各針状部10から移植物Cgを放出することによって、複数の移植物Cgを一括して対象領域に配置することができる。したがって、移植の効率がより高められる。
【0066】
なお、図10に示したフローが、細胞移植装置110が複数の針状部10を備える細胞移植システム100に適用される場合、例えば、すべての針状部10について、移植物Cgの保持が検知された場合に、配置工程が行われる。この場合、すべての針状部10について移植物Cgの保持が検知されるまで、再試行処理が行われる。
【0067】
あるいは、予め定められた数以上の針状部10について移植物Cgの保持が検知された場合に、配置工程が行われてもよい。発毛または育毛に寄与する細胞群を移植する場合には、所定の範囲に、多数の移植物Cgの移植を行うため、複数の針状部10のなかに、移植物Cgを保持しておらず対象領域に移植物Cgを配置しない少数の針状部10が含まれていたとしても、移植の効果に与える影響が小さい場合もある。こうした場合には、すべての針状部10に移植物Cgが保持されていなくても、予め定められた数以上の針状部10に移植物Cgが保持されているときには移植を進めることで、配置工程までに要する時間の短縮が可能である。
【0068】
なお、第1実施形態において、保持部30は、針状部10における内部流路14の途中から開口13までにおいて保持部30が囲む領域に移植物Cgを留めることが可能に構成されていれば、上記実施形態とは異なる構成を有していてもよい。そして、第1導体部41が針状部10の外部で保持部30に接し、第2導体部42が移植物Cgの保持時に針状部10の内部で保持部30に接するように構成されていればよい。
【0069】
例えば、内部流路14において、留止部20が配置される位置は、流路断面積が変わる箇所でなくてもよい。具体的には、留止部20は、第2管12内において第1管11の基端部から離れた位置に配置されていてもよいし、第1管11内に配置されていてもよい。また、針状部10は1つの管から構成されていてもよい。留止部20の配置位置に応じて、繊維状物21は、例えば、針状部10を貫通して針状部10の外周面に端部が固定されるように針状部10に組み付けられてもよい。また、支持部50と一体に形成される針状部10において、内部流路に留止部20が配置されることによって、保持部が形成されてもよい。
【0070】
さらに、繊維状物21から構成される留止部20の配置に代えて、シート状のフィルタの配置や、内部流路14における流路断面積の変化によって、移植物Cgを留める保持部が形成されていてもよい。
【0071】
以上説明したように、第1実施形態の細胞移植システムによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)移植物Cgが針状部10に保持されたことが、検知部120によって検知されるため、細胞移植装置110への移植物Cgの取り込み効率を高めることが可能であり、細胞移植装置110を用いた細胞の移植を円滑に進めることができる。
【0072】
(2)針状部10は、移植物Cgが基端側に流れることを抑える保持部30を備え、検知部120は、保持部30に移植物Cgが保持されたことを検知する。こうした構成によれば、移植物Cgが保持部30に保持されることで、針状部10内の奥まで移植物Cgが入り込むことが抑えられるため、移植が円滑に進められる。そして、移植物Cgが保持部30に保持されたことが検知されるため、針状部10における移植物Cgの保持が的確に検知される。
【0073】
(3)針状部10において、内部流路14の途中から開口13までの領域を囲む部分が、開口13から入った液状体が含む移植物Cgを当該領域に留める保持部30として機能する。したがって、移植物Cgを針状部10の先端付近に的確に保持することができる。
【0074】
(4)第1導体部41が、保持部30の導電部に接し、第2導体部42が、移植物Cgの保持時に保持部30の導電部に接するように配置されている。そして、検知部120は、第1導体部41と第2導体部42との導通状況の変化を検出することにより、移植物Cgの保持を検知する。このように、第1導体部41と第2導体部42とを配置して導通状況の変化を利用することで、移植物Cgの保持を的確に検知することができる。
【0075】
(5)細胞移植装置110が複数の針状部10を備え、検知部120は、針状部10ごとに移植物Cgの保持を検知する。細胞移植装置110が複数の針状部10を備える場合、各針状部10における移植物Cgの保持状況を目視にて1つずつ確認することは、大きな労力を要する。したがって、複数の針状部10を備える細胞移植装置110を含む細胞移植システム100に、本実施形態の構成が適用されることによって、移植の効率が大きく高められる。
【0076】
(第2実施形態)
図14図18を参照して、細胞移植システムの第2実施形態を説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0077】
第2実施形態の細胞移植システムにおいては、細胞移植装置の保持部の構成および第1導体部と第2導体部との配置が第1実施形態と異なっており、支持部50および吸引押出部60の構造や機能、検知部120の構成は第1実施形態と同様である。
【0078】
[細胞移植装置]
図14が示すように、第2実施形態の細胞移植装置111が備える針状部15は、支持部50とは別々の部材であって、筒状の外筒部16と、外筒部16の内側に位置する筒状の保持部31とを備えている。外筒部16は、その先端部が、皮膚等の移植の対象部位を刺すことの可能な形状を有していれば、その他の形状は特に限定されない。例えば、外筒部16は、円筒状に延び、外筒部16の先端部は、円筒をその延びる方向に対して斜めに切断した形状を有し、尖っている。
【0079】
保持部31は、外筒部16の内側で、外筒部16の延びる方向に沿って延びる。保持部31は、筒状であれば、その他の形状は特に限定されない。例えば、外筒部16が円筒状に延びる場合、保持部31も円筒状に延びていればよい。保持部31の先端部の端面は、保持部31の延びる方向と直交する平面であることが好ましい。
【0080】
保持部31は、外筒部16に対して相対的に、これらの筒の延びる方向、すなわち、針状部15の延びる方向に沿って移動可能に構成されている。詳細には、保持部31の先端部が、外筒部16の先端部の開口17から突き出さずに外筒部16の内部に位置する状態と、保持部31の先端部が、開口17から突き出して外部に出ている状態との間で、外筒部16に対する保持部31の位置が変更可能に構成されている。
【0081】
細胞移植装置111は、外筒部16と保持部31とを相対的に動かすための構造や機構を含む位置変更部70を備えており、位置変更部70の作動によって、外筒部16に対する保持部31の位置が変更される。
また、吸引押出部60の作動によって、保持部31内の吸引、および、空気圧による保持部31内への加圧が可能とされている。吸引押出部60は吸引部の一例である。
【0082】
保持部31は、保持部31内の吸引に基づき移植物を引き寄せ、保持部31の先端に移植物を保持する。保持部31の内径は、移植物の全体が保持部31の内側に入り込まない程度の大きさを有する。一方で、保持部31の内径は、移植物を引き寄せるために十分な吸引力を発揮できる程度に大きいことが好ましい。
【0083】
細胞移植装置111は、第1導体部43と第2導体部44とを備えている。第1導体部43と第2導体部44との各々は、検知部120に電気的に接続されている。第1導体部43と第2導体部44とは、例えば、絶縁被覆を有して端部に導体部分が露出された導線に具体化される。
【0084】
第1導体部43の端部は、移植物が保持部31に保持される前、および、移植物が保持部31に保持された後のいずれにおいても、保持部31に接している。例えば、第1導体部43の端部は、外筒部16の内側、かつ、保持部31の外側に位置し、保持部31の外周面に接している。
【0085】
第2導体部44の端部は、保持部31の先端付近に位置している。そして、第2導体部44の端部は、移植物が保持部31に保持される前において、保持部31から離れており、かつ、移植物が保持部31に保持されたときに、移植物に押されて保持部31に接する位置に配置されている。例えば、第2導体部44は、外筒部16の内側、かつ、保持部31の外側に延び、第2導体部44の端部は、保持部31の先端部の開口から保持部31の内側に回り込んでいる。
【0086】
第1導体部43および第2導体部44の各々は、例えば、針状部15を貫通する、あるいは、針状部15の基端部から引き出される等によって、針状部15の外部に引き出されて、検知部120に接続されている。
【0087】
保持部31においては、少なくとも、第1導体部43の端部が接している部分と、移植物の保持時に第2導体部44の端部が接する部分とが、導電性材料から構成されて互いに連続し、導電部を構成している。例えば、保持部31は、その全体が金属製であって導電部を構成していてもよいし、先端部付近が金属製で導電部を構成し、その他の部分が樹脂製であってもよい。なお、外筒部16の材料は特に限定されない。
【0088】
[細胞移植システムの動作]
第2実施形態の細胞移植システムの動作を、細胞移植装置111を用いた移植物の移植方法と共に説明する。なお、以下において、一部の図では、第1導体部43および第2導体部44を割愛して示している。
【0089】
図15が示すように、収容工程において、細胞移植装置111は、保持部31の先端部が、外筒部16の先端部の開口17から突き出した状態とされる。そして、移植物Cgに、保持部31の先端部が近づけられ、保持部31内が吸引される。これにより、図16が示すように、移植物Cgが保持部31の先端部に引き寄せられ、移植物Cgが保持部31の先端部に保持される。その後、図17が示すように、外筒部16に対して保持部31が動かされることによって、保持部31の先端部が外筒部16の内部に引き込まれ、これにより、移植物Cgは針状部15の内部に収容される。移植物Cgは保護液Plと共に取り込まれ、針状部15の内部において、移植物Cgの周囲には、保護液Plが存在する。
【0090】
図18は、保持部31に保持された状態で移植物Cgを収容した針状部15を示す。図18が示すように、移植物Cgは、保持部31の先端に当接した状態で保持部31に保持される。保持部31に保持されるとき、移植物Cgは、第2導体部44に接触し、第2導体部44を変位させる。その結果、第2導体部44の端部が保持部31に接触し、第1導体部43と第2導体部44とが導通する。第2導体部44の端部が、保持部31の先端部の開口から保持部31の内側に回り込んでいると、移植物Cgが、保持部31の先端に当接したときに、第2導体部42が保持部31の先端部に接しやすい。
【0091】
検知部120は、第1実施形態と同様に、保持部31における電気的変化として、第1導体部43と第2導体部44との導通状況の変化を検出することにより、移植物Cgの保持を検知する。また、第2実施形態においても、第1実施形態の図10に示したフローと同様の手順で、収容工程および配置工程が行われる。なお、第2実施形態においては、移植物Cgが針状部15の内部に収容される前、保持部31に保持された時点での検知が可能である。したがって、移植物Cgの保持が検知された後に、外筒部16に対して保持部31が動かされて、移植物Cgが針状部15の内部に収容されてもよい。
【0092】
なお、移植物Cgが針状部15の内部に収容された状態において、針状部15の延びる方向における開口17の基端と保持部31の先端との間の長さは、移植物Cgの径よりも大きければよい。
【0093】
配置工程は、第1実施形態と同様に行われる。すなわち、生体における移植部位に針状部15が刺され、吸引押出部60の作動によって、針状部15の内部に収容されている移植物Cgが保護液Plと共に押し出されて、開口17から出る。これにより、対象領域に移植物Cgが配置される。その後、針状部15は移植部位から引き抜かれ、移植物Cgの対象領域への移植が完了する。
【0094】
なお、移植部位に針状部15が刺された後に、保持部31に対して外筒部16が基端側に引かれ、開口17から移植物Cgと保持部31の先端部とが突き出た状態とされてもよい。これにより、対象領域において、針状部15の先端部が位置していた空間に、移植物Cgと保持部31の先端部とが配置されるため、移植物Cgを針状部15から円滑に押し出して対象領域に配置することができる。
【0095】
第2実施形態においても、移植物Cgが針状部15に保持されたことが、検知部120によって検知されるため、移植物Cgの保持状況を目視によって確認する場合と比較して、保持状況を容易に把握可能であり、保持状況の確認の精度も高められる。したがって、トレイ130からの移植物Cgの取り込み効率を高めることが可能であり、細胞移植装置111を用いた移植物Cgの移植をより円滑に進めることができる。
【0096】
また、収容工程において、保持部31の先端部が外筒部16の開口17から突き出た状態で、保持部31の先端部に移植物Cgが保持される。したがって、針状部15の内部で移植物Cgが保持されることと比較して、移植物Cgの保持部分をより移植物Cgに近づけた状態で移植物Cgを保持することができる。それゆえ、移植物Cgの保持を円滑に行うことができる。
【0097】
第2実施形態の細胞移植装置111も、第1実施形態と同様に、単一の針状部15を備えていてもよいし、複数の針状部15を備えていてもよい。細胞移植装置111が複数の針状部15を備える場合、検知部120は、針状部15ごとに移植物Cgの保持を検知する。
【0098】
なお、第2実施形態において、保持部31は、外筒部16に対して相対移動が可能に構成されていなくてもよく、常に外筒部16の内部に位置していてもよい。すなわち、保持部31の先端部が外筒部16の内部に位置した状態で吸引が行われ、保持部31の先端部に移植物Cgが保持されてもよい。この場合、細胞移植装置111は、位置変更部70を備えない。また、外筒部16は、支持部50と一体に形成されていてもよい。要は、移植物Cgが針状部15に収容された状態において、第1導体部43および第2導体部44の双方が、針状部15の内部で保持部31に接するように構成されていればよい。
【0099】
以上説明したように、第2実施形態の細胞移植システムによれば、第1実施形態の(1)、(2)、(4)、(5)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(6)針状部15が、外筒部16と、外筒部16の内側に位置する筒状の保持部31とを備え、保持部31内の吸引によって、保持部31の先端部に移植物Cgが保持される。したがって、移植物Cgを針状部15の先端付近に的確に保持することができる。
【0100】
(第3実施形態)
図19図21を参照して、細胞移植システムの第3実施形態を説明する。以下では、第3実施形態と第1実施形態および第2実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0101】
第3実施形態の細胞移植システムにおいては、検知部による移植物の保持の検知態様が第1実施形態および第2実施形態と異なっており、支持部50および吸引押出部60の構造や機能は第1実施形態と同様である。
【0102】
[細胞移植装置]
図19が示すように、第3実施形態の細胞移植装置112が備える針状部15は、第2実施形態と同様の構成を有する。すなわち、針状部15は、外筒部16と保持部31とを備えている。第2実施形態と同様に、保持部31は、針状部15の延びる方向に沿って、外筒部16に対して相対的に移動可能であってもよいし、外筒部16に対する保持部31の位置は固定されていて、保持部31は常に外筒部16の内部に位置していてもよい。
【0103】
第3実施形態では、細胞移植装置112は、第1導体部および第2導体部を備えていない。検知部121は、保持部31における圧力変化を検出することにより、移植物の保持を検知する。
【0104】
具体的には、検知部121は、保持部31に対する吸引押出部60の吸引経路上に接続されて、保持部31内の圧力に相当する圧力を検出するセンサを含む。検知部121は、当該センサの検出結果に基づいて、保持部31が移植物を保持したことを検知する。
なお、第3実施形態においては、外筒部16および保持部31の材料は特に限定されず、保持部31は、導電部を有していなくてもよい。
【0105】
[細胞移植システムの動作]
第3実施形態の細胞移植システムの動作を、細胞移植装置112を用いた移植物の移植方法と共に説明する。第3実施形態の収容工程では、第2実施形態と同様に、保持部31の先端部が外筒部16の開口17から突き出た状態で、保持部31に移植物が保持された後、保持部31が動かされて移植物が外筒部16の内部に収容されてもよいし、外筒部16の内部に保持部31の先端部が位置する状態で、移植物の保持および収容が行われてもよい。以下では、外筒部16の内部に保持部31の先端部が位置する状態で、移植物の保持および収容が行われる場合を図示して説明する。
【0106】
図20が示すように、収容工程において、保持部31の先端部は、外筒部16の内部に位置する。移植物Cgに、針状部15の先端部が近づけられ、保持部31内が吸引されると、図21が示すように、移植物Cgが、外筒部16の内部に入り込んで保持部31の先端部に引き寄せられ、保持部31の先端部に保持される。これにより、移植物Cgは針状部15の内部に収容される。移植物Cgは保護液Plと共に取り込まれ、針状部15の内部において、移植物Cgの周囲には、保護液Plが存在する。
【0107】
図21が示すように、移植物Cgは、保持部31の先端に接した状態で保持部31に保持される。そのため、保持部31内が吸引されている状態で移植物Cgが保持部31に保持されると、保持部31の先端部の開口の一部もしくは全部が塞がれた状態となることに起因して、保持部31内の圧力が高くなる。
【0108】
検知部121は、保持部31内の圧力変化を検出することにより、移植物Cgの保持を検知する。保持部31内の圧力の上昇の検知が、すなわち、移植物Cgの保持の検知である。
【0109】
第3実施形態においても、第1実施形態の図10に示したフローと同様の手順で、収容工程および配置工程が行われる。なお、保持部31の先端部が外筒部16の開口17から突き出した状態で移植物Cgが保持される場合には、移植物Cgが針状部15の内部に収容される前、保持部31に保持された時点での検知が可能である。したがって、移植物Cgの保持が検知された後に、外筒部16に対して保持部31が動かされて、移植物Cgが針状部15の内部に収容されてもよい。配置工程は、第2実施形態と同様に行われる。
【0110】
第3実施形態においても、移植物Cgが針状部15に保持されたことが、検知部121によって検知されるため、移植物Cgの保持状況を目視によって確認する場合と比較して、保持状況を容易に把握可能であり、保持状況の確認の精度も高められる。したがって、トレイ130からの移植物Cgの取り込み効率を高めることが可能であり、細胞移植装置112を用いた細胞の移植をより円滑に進めることができる。
【0111】
第3実施形態の細胞移植装置112も、第1実施形態と同様に、単一の針状部15を備えていてもよいし、複数の針状部15を備えていてもよい。細胞移植装置112が複数の針状部15を備える場合、検知部121は、針状部15ごとに移植物Cgの保持を検知する。
【0112】
以上説明したように、第3実施形態の細胞移植システムによれば、第1実施形態の(1)、(2)、(5)、第2実施形態の(6)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0113】
(7)検知部121は、保持部31が移植物Cgを保持したときの保持部31内の圧力の変化を検出することにより、移植物Cgの保持を検知する。このように、保持部31内の圧力の変化を利用することで、移植物Cgの保持を的確に検知することができる。
【0114】
(変形例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・保持部は、液状体が含む移植物が保持部よりも針状部の基端側に流れることを抑えることが可能に構成されていれば、上記各実施形態とは異なる構成を有していてもよい。
【0115】
・上記各実施形態では、検知部は、保持部における電気的変化もしくは圧力変化を検出することによって、移植物の保持を検出した。針状部における移植物の保持が検知可能であれば、検知部による検知態様は上記各実施形態の態様に限られない。例えば、検知部は、保持部を含む回路における抵抗値の変化、針状部における静電容量や電磁界の変化、針状部における光の反射率や透過率の変化といった光学的変化を利用して、針状部における移植物の保持を検知してもよい。
【0116】
・針状部を構成する管状あるいは筒状の部材、すなわち、第1管11、第2管12、外筒部16、保持部31といった部材は、先端部と基端部とに開口を有し、これらの開口が部材内の空間を通じて連通している構成を有していればよく、円筒状に延びる構造体に限られない。上記部材の外形は、円柱状であってもよく、錐体状であってもよく、角柱体状であってもよく、特に限定されない。また、上記部材の内部に区画される空間の形状は、円柱状であってもよく、錐体状であってもよく、角柱体状であってもよく、特に限定されない。
【0117】
・針状部は、保持部を備えない1つの筒状であってもよい。この場合、針状部が内部に移植物を取り込むことが移植物の保持であり、検知部は、移植物の保持として、移植物が針状部の内部に入ったことを検知すればよい。
【0118】
・検知部は、トレイ130の観察によって、針状部における移植物の保持を検知してもよい。例えば、細胞移植システムは、トレイ130の凹部131内を撮影するカメラを備え、収容工程において、検知部は、当該カメラの撮影画像の解析によって、凹部131内に移植物が存在するか否かを判定する。凹部131内に移植物が存在しないと判定されたとき、検知部は、移植物が針状部に取り込まれた、すなわち、移植物が針状部に保持されたと判断する。これにより、移植物の保持が検知される。
【0119】
・検知部は、収容工程における移植物の保持の検知に加えて、配置工程において、針状部が生体の移植部位に刺された後、針状部における移植物の保持が解除されたことを検知してもよい。移植物の保持の解除が検知されることによって、針状部内に移植物が残留して移植が適切に行われないことが抑えられる。
【符号の説明】
【0120】
10,15…針状部、11…第1管、12…第2管、13,17…開口、14…内部流路、16…外筒部、20…留止部、21…繊維状物、30,31…保持部、41,43…第1導体部、42,44…第2導体部、50…支持部、60…吸引押出部、70…位置変更部、100…細胞移植システム、110,111,112…細胞移植装置、120,121…検知部、130…トレイ、131…凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図17
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図20
図21