(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、利用ユニットへの冷媒の逆流は考慮されているが、圧縮機を停止状態から起動する際に生じ得る熱源ユニットの問題は考慮されていない。例えば、利用ユニットに冷媒が溜まっている状態で圧縮機を起動すると、圧縮機が液冷媒を吸い込み、液圧縮が生じるおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、圧縮機を起動するときに液圧縮が生じるのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
利用側機器に接続されて冷媒回路(6)が構成される熱源ユニットを前提とする。
【0007】
この熱源ユニットは、
上記冷媒回路(6)の少なくとも一部を構成する熱源側回路(11)と、
上記熱源側回路(11)の動作を制御する制御器(100)と、
を備え、
上記熱源側回路(11)は、
低段圧縮要素(23)と該低段圧縮要素(23)で圧縮された冷媒をさらに圧縮する高段圧縮要素(21)とを有する圧縮部(20)と、
上記低段圧縮要素(23)と上記高段圧縮要素(21)との間に設けられ、冷媒と熱媒体とが熱交換可能な中間熱交換器(17)と、
上記低段圧縮要素(23)の吸入管(23a)と吐出管(23b)とに該低段圧縮要素(23)をバイパスして接続されたバイパス通路(23c)と、
を備え、
上記制御器(100)は、上記圧縮部(20)の起動時に、上記低段圧縮要素(23)を停止して高段圧縮要素(21)を運転する第1動作が可能に構成されている
ことを特徴とする。
【0008】
第1の態様では、利用ユニット(50)と低段圧縮要素(23)の吸入管(23a)との間の経路に液冷媒が存在する状態で熱源ユニットを起動するときに第1動作を行うと、利用ユニット(50)から熱源ユニットへ流入する冷媒は、バイパス通路(23c)と中間熱交換器(17)を通って高段側圧縮要素に流入する。第1動作時には中間熱交換器(17)が蒸発器になるため、高段側圧縮要素には、中間熱交換器(17)で蒸発した冷媒が流入する。よって、圧縮部(20)の起動時に液圧縮が生じるのを抑制できる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
上記中間熱交換器(17)は、冷媒と空気とが熱交換をする空気熱交換器であり、
上記中間熱交換器(17)に空気を供給するファン(17a)を備え
上記制御器(100)は、上記ファン(17a)を動作させた状態で上記第1動作を行うように構成されている
ことを特徴とする。
【0010】
第2の態様では、第1動作を行うときにファン(17a)を回転させることにより、空気熱交換器である中間熱交換器(17)において、冷媒が空気と熱交換して蒸発する。
【0011】
本開示の第3の態様は、第1または第2の態様において、
上記制御器(100)は、上記圧縮部(20)の吸入圧力が所定値より高くなると、上記第1動作を行う
ことを特徴とする。
【0012】
利用ユニット(50)から圧縮部(20)への吸入ガス経路に液冷媒が存在し、液冷媒が所定量以上に溜まると、吸入ガス経路の圧力が上昇する。そこで、第3の態様では、圧縮部(20)の吸入圧力が所定値より高くなると第1動作を実施し、液冷媒を中間熱交換器(17)で蒸発させてから高段側圧縮要素へ吸入させることができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、第1から第3の態様の何れか1つにおいて、
上記制御器(100)は、上記圧縮部(20)の起動時に吸入圧力が所定値以下であると、上記低段圧縮要素(23)と上記高段圧縮要素(21)の両方を運転し、上記中間熱交換器(17)を冷却器とする第2動作を行う
ことを特徴とする。
【0014】
圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下であると、圧縮部(20)への吸入冷媒に所定の過熱度が付いていると判断される。そこで、第4の態様では、圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下である場合は液圧縮が生じないと判断して第1動作を行わず、低段圧縮要素(23)と高段圧縮要素(21)の両方を運転し、中間熱交換器(17)を冷却器とする第2動作(二段圧縮運転)を行う。
【0015】
本開示の第5の態様は、第1から第3の態様の何れか1つにおいて、
上記制御器(100)は、第1動作中に上記圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下になると、上記低段圧縮要素(23)と上記高段圧縮要素(21)の両方を運転し、上記中間熱交換器(17)を冷却器とする第2動作に移行する
ことを特徴とする。
【0016】
第5の態様では、第1動作中に圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下になると、液圧縮が生じないと判断し、第1動作から第2動作へ移行する。このことにより、低段圧縮要素(23)と高段圧縮要素(21)の両方を運転し、中間熱交換器(17)を冷却器とする第2動作(二段圧縮運転)が行われる。
【0017】
本開示の第6の態様は、第1から第5の態様の何れか1つにおいて、
上記冷媒回路(6)の冷媒は、二酸化炭素である
ことを特徴とする。
【0018】
第6の態様では、二酸化炭素を冷媒とする冷媒回路(6)において、圧縮部(20)の起動時に液圧縮が生じるのを抑制できる。
【0019】
本開示の第7の態様は、
熱源ユニット(10)と、利用側機器である利用ユニット(50)とが接続され、冷凍サイクルを行う冷媒回路(6)が構成される冷凍装置であって、
上記熱源ユニット(10)が、第1から第6の態様の何れか1つの熱源ユニット(10)であることを特徴とする。
【0020】
第7の態様では、熱源ユニット(10)と利用ユニット(50)とを有する冷凍装置において、第1〜第6の態様と同様に、圧縮部(20)の起動時に液圧縮が生じるのを抑制できる。
【0021】
本開示の第8の態様は、第7の態様において、
第1動作中は、利用ユニット(50)に設けられる利用膨張機構(53)を閉止する
ことを特徴とする。
【0022】
第8の態様では、第1動作中は、冷媒回路(6)において利用膨張機構(53)より下流側に存在する冷媒が熱源ユニット(10)へ流入し、中間熱交換器(17)で蒸発して高段側圧縮要素に吸入される。
【0023】
本開示の第9の態様は、第8の態様において、
上記第1動作は、上記圧縮部(20)の停止途中または停止後に冷媒回路(6)の高圧圧力が予め定められた第1圧力より高くなり、上記利用膨張機構(53)が開放された後、上記圧縮部(20)を起動させる時に実行可能である
ことを特徴とする。
【0024】
圧縮部(20)の停止途中または停止後に冷媒回路(6)の高圧圧力が第1圧力より高くなると、熱源ユニット(10)に液冷媒が溜まっていると考えられる。この場合、圧縮機が停止して利用膨張弁(53)を開いたときに液冷媒が利用ユニット(50)に流入するおそれがあるが、第9の態様では、その後の圧縮部(20)の起動時に第1動作を実施することにより、液圧縮を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0027】
《実施形態》
〈全体構成〉
実施形態に係る冷凍装置(1)は、冷却対象の冷却と、室内の空調とを行う。ここでいう冷却対象は、冷蔵庫、冷凍庫、ショーケースなどの冷凍設備内の空気を含む。以下では、このような設備を冷設と称する。
【0028】
図1に示すように、冷凍装置(1)は、室外に設置される室外ユニット(10)と、室内の空調を行う室内ユニット(50)と、庫内の空気を冷却する冷設ユニット(60)と、コントローラ(100)とを備える。
図1では、1つの室内ユニット(50)を示しているが、冷凍装置(1)は、並列に接続される複数の室内ユニット(50)を有してもよい。
図1では、1つの冷設ユニット(60)を示しているが、冷凍装置(1)は、並列に接続される複数の冷設ユニット(60)を有してもよい。この実施形態では、これらのユニット(10,50,60)が4本の連絡配管(2,3,4,5)によって接続されることで、複数の構成要素を含む冷媒回路(6)が構成される。
【0029】
4本の連絡配管(2,3,4,5)は、第1液連絡配管(2)、第1ガス連絡配管(3)、第2液連絡配管(4)、及び第2ガス連絡配管(5)で構成される。第1液連絡配管(2)及び第1ガス連絡配管(3)は、室内ユニット(50)に対応する。第2液連絡配管(4)及び第2ガス連絡配管(5)は、冷設ユニット(60)に対応する。
【0030】
冷媒回路(6)では、冷媒が循環することで冷凍サイクルが行われる。本実施形態の冷媒回路(6)の冷媒は、二酸化炭素である。冷媒回路(6)は、冷媒が臨界圧力以上となる冷凍サイクルを行うように構成される。
【0031】
〈室外ユニット〉
室外ユニット(10)は、屋外に設置される熱源ユニットである。室外ユニット(10)は、室外ファン(12)と、室外回路(11)(熱源側回路の一例)とを有する。室外回路(11)は、冷媒回路(6)の構成要素として、圧縮部(20)、流路切換機構(30)、室外熱交換器(13)、室外膨張弁(14)、気液分離器(15)、冷却熱交換器(16)、及び中間熱交換器(17)を有する。室外回路(11)は、冷媒回路(6)の少なくとも一部を構成する。
【0032】
〈圧縮部〉
圧縮部(20)は、冷媒を圧縮する。圧縮部(20)は、第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、及び第3圧縮機(23)を有する。圧縮部(20)は、二段圧縮式に構成される。第2圧縮機(22)及び第3圧縮機(23)は、低段圧縮要素を構成する。第2圧縮機(22)及び第3圧縮機(23)は、互いに並列に接続される。第1圧縮機(21)は、低段圧縮要素で圧縮された冷媒をさらに圧縮する高段圧縮要素を構成する。第1圧縮機(21)及び第2圧縮機(22)は、直列に接続される。第1圧縮機(21)及び第3圧縮機(23)は、直列に接続される。第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、及び第3圧縮機(23)は、モータによって圧縮機構が駆動される回転式圧縮機である。第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、及び第3圧縮機(23)は、運転周波数、ないし回転数が調節可能な可変容量式に構成される。
【0033】
第1圧縮機(21)には、第1吸入管(21a)及び第1吐出管(21b)が接続される。第2圧縮機(22)には、第2吸入管(22a)及び第2吐出管(22b)が接続される。第3圧縮機(23)には、第3吸入管(23a)及び第3吐出管(23b)が接続される。
【0034】
第1吸入管(21a)と第1吐出管(21b)には、第1圧縮機(21)をバイパスする第1バイパス通路(21c)が接続される。第2吸入管(22a)と第2吐出管(22b)には、第2圧縮機(22)をバイパスする第2バイパス通路(22c)が接続される。第3吸入管(23a)と第3吐出管(23b)には、第3圧縮機(23)をバイパスする第3バイパス通路(23c)が接続される。
【0035】
第2吸入管(22a)は、冷設ユニット(60)に連通する。第2圧縮機(22)は、冷設ユニット(60)に対応する冷設側圧縮機である。第3吸入管(23a)は、室内ユニット(50)に連通する。第3圧縮機(23)は、室内ユニット(50)に対応する室内側圧縮機である。
【0036】
〈流路切換機構〉
流路切換機構(30)は、冷媒の流路を切り換える。流路切換機構(30)は、第1配管(31)、第2配管(32)、第3配管(33)、第4配管(34)、第1三方弁(TV1)、及び第2三方弁(TV2)を有する。第1配管(31)の流入端と、第2配管(32)の流入端とは、第1吐出管(21b)に接続する。第1配管(31)及び第2配管(32)は、圧縮部(20)の吐出圧が作用する配管である。第3配管(33)の流出端と、第4配管(34)の流出端とは、第3圧縮機(23)の第3吸入管(23a)に接続する。第3配管(33)及び第4配管(34)は、圧縮部(20)の吸入圧が作用する配管である。
【0037】
第1三方弁(TV1)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、及び第3ポート(P3)を有する。第1三方弁(TV1)の第1ポート(P1)は、高圧流路である第1配管(31)の流出端に接続する。第1三方弁(TV1)の第2ポート(P2)は、低圧流路である第3配管(33)の流入端に接続する。第1三方弁(TV1)の第3ポート(P3)は、室内ガス側流路(35)に接続する。
【0038】
第2三方弁(TV2)は、第1ポート(P1)、第2ポート(P2)、及び第3ポート(P3)を有する。第2三方弁(TV2)の第1ポート(P1)は、高圧流路である第2配管(32)の流出端に接続する。第2三方弁(TV2)の第2ポート(P2)は、低圧流路である第4配管(34)の流入端に接続する。第2三方弁(TV2)の第3ポート(P3)は、室外ガス側流路(36)に接続する。
【0039】
第1三方弁(TV1)及び第2三方弁(TV2)は、電動式の三方弁である。各三方弁(TV1,TV2)は、第1状態(
図1の実線で示す状態)と第2状態(
図1の破線で示す状態)とにそれぞれ切り換わる。第1状態の各三方弁(TV1,TV2)では、第1ポート(P1)と第3ポート(P3)とが連通し、且つ第2ポート(P2)が閉鎖される。第2状態の各三方弁(TV1,TV2)では、第2ポート(P2)と第3ポート(P3)とが連通し、第1ポート(P1)が閉鎖される。
【0040】
〈室外熱交換器〉
室外熱交換器(13)は、熱源熱交換器を構成している。室外熱交換器(13)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室外ファン(12)は、室外熱交換器(13)の近傍に配置される。室外ファン(12)は、室外空気を搬送する。室外熱交換器は、その内部を流れる冷媒と、室外ファン(12)が搬送する室外空気とを熱交換させる。
【0041】
室外熱交換器(13)のガス端には、室外ガス側流路(36)が接続される。室外熱交換器(13)の液端には、室外流路(O)が接続される。
【0042】
〈室外流路〉
室外流路(O)は、室外第1管(o1)、室外第2管(o2)、室外第3管(o3)、室外第4管(o4)、室外第5管(o5)、室外第6管(o6)、及び室外第7管(o7)を含む。室外第1管(o1)の一端は、室外熱交換器(13)の液端に接続される。室外第1管(o1)の他端には、室外第2管(o2)の一端、及び室外第3管(o3)の一端がそれぞれ接続される。室外第2管(o2)の他端は、気液分離器(15)の頂部に接続される。室外第4管(o4)の一端は、気液分離器(15)の底部に接続される。室外第4管(o4)の他端には、室外第5管(o5)の一端、及び室外第3管(o3)の他端がそれぞれ接続される。室外第5管(o5)の他端は、第2液連絡配管(4)に接続する。室外第6管(o6)の一端は、室外第5管(o5)の途中に接続する。室外第6管(o6)の他端は、第1液連絡配管(2)に接続する。室外第7管(o7)の一端は、室外第6管(o6)の途中に接続する。室外第7管(o7)の他端は、室外第2管(o2)の途中に接続する。
【0043】
〈室外膨張弁〉
室外膨張弁(14)は、室外第1管(o1)に接続される。室外膨張弁(14)は、利用側の熱交換器(54,64)が蒸発器として機能するときに放熱器になる室外熱交換器(13)と気液分離器(15)との間の冷媒の経路に位置する。室外膨張弁(14)は、冷媒を減圧する減圧機構である。室外膨張弁(14)は、熱源膨張機構である。室外膨張弁(14)は、開度調整が可能な電子膨張弁である。
【0044】
〈気液分離器〉
気液分離器(15)は、冷媒を貯留する容器(冷媒貯留器)を構成している。気液分離器(15)は、冷媒回路の放熱器(13,54)の下流側に位置する。気液分離器(15)では、冷媒がガス冷媒と液冷媒とに分離される。気液分離器(15)の頂部には、室外第2管(o2)の他端と、ガス抜き管(37)の一端が接続される。ガス抜き管(37)の他端は、インジェクション管(38)の途中に接続される。ガス抜き管(37)には、ガス抜き弁(39)が接続される。ガス抜き弁(39)は、開度が可変な電子膨張弁である。
【0045】
〈冷却熱交換器〉
冷却熱交換器(16)は、気液分離器(15)で分離された冷媒(主として液冷媒)を冷却する。冷却熱交換器(16)は、第1冷媒流路(16a)と、第2冷媒流路(16b)とを有する。第1冷媒流路(16a)は、室外第4管(o4)の途中に接続される。第2冷媒流路(16b)は、インジェクション管(38)の途中に接続される。
【0046】
インジェクション管(38)の一端は、室外第5管(o5)の途中に接続される。インジェクション管(38)の他端は、第1圧縮機(21)の第1吸入管(21a)に接続される。換言すると、インジェクション管(38)の他端は、圧縮部(20)の中間圧力部分に接続される。インジェクション管(38)には、第2冷媒流路(16b)よりも上流側に減圧弁(40)が設けられる。減圧弁(40)は、開度が可変な膨張弁である。
【0047】
冷却熱交換器(16)では、第1冷媒流路(16a)を流れる冷媒と、第2冷媒流路(16b)を流れる冷媒とが熱交換する。第2冷媒流路(16b)は、減圧弁(40)で減圧された冷媒が流れる。従って、冷却熱交換器(16)では、第1冷媒流路(16a)を流れる冷媒が冷却される。
【0048】
〈中間熱交換器〉
中間熱交換器(17)は、中間流路(41)に接続される。中間流路(41)の一端は、第2圧縮機(22)の第2吐出管(22b)、及び第3圧縮機(23)の第3吐出管(23b)に接続される。中間流路(41)の他端は、第1圧縮機(21)の第1吸入管(21a)に接続される。換言すると、中間流路(41)の他端は、圧縮部(20)の中間圧力部に接続される。
【0049】
中間熱交換器(17)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。中間熱交換器(17)の近傍には、冷却ファン(17a)が配置される。中間熱交換器(17)は、その内部を流れる冷媒と、冷却ファン(17a)が搬送する室外空気(熱媒体)とを熱交換させる。
【0050】
中間熱交換器(17)は、圧縮部(20)が二段圧縮を行う際に、低段圧縮要素(22,23)から吐出された冷媒を冷却して高段圧縮要素(21)に供給する冷却器として機能する。
【0051】
〈油分離回路〉
室外回路(11)は、油分離回路(42)を含む。油分離回路(42)は、油分離器(43)と、第1油戻し管(44)と、第2油戻し管(45)と、第3油戻し管(46)とを有する。油分離器(43)は、第1圧縮機(21)の第1吐出管(21b)に接続される。油分離器(43)は、圧縮部(20)から吐出された冷媒中から油を分離する。第1油戻し管(44)の流入端は、油分離器(43)に連通する。第1油戻し管(44)の流出端は、第2圧縮機(22)の第2吸入管(22a)に接続される。第2油戻し管(45)の流入端は、油分離器(43)に連通する。第2油戻し管(45)の流出端は、中間流路(41)の流入端に接続する。第3油戻し管(46)は、主戻し管(46a)、冷設側分岐管(46b)、及び室内側分岐管(46c)を有する。主戻し管(46a)の流入端は、油分離器(43)に連通する。主戻し管(46a)の流出端には、冷設側分岐管(46b)の流入端と、室内側分岐管(46c)の流入端とが接続される。冷設側分岐管(46b)の流出端は、第2圧縮機(22)のケーシング内の油溜まりに連通する。室内側分岐管(46c)の流出端は、第3圧縮機(23)のケーシング内の油溜まりに連通する。
【0052】
第1油戻し管(44)には、第1油量調節弁(47a)が接続される。第2油戻し管(45)には、第2油量調節弁(47b)が接続される。冷設側分岐管(46b)には、第3油量調節弁(47c)が接続される。室内側分岐管(46c)には、第4油量調節弁(47d)が接続される。
【0053】
油分離器(43)で分離された油は、第1油戻し管(44)を介して第2圧縮機(22)に戻される。油分離器(43)で分離された油は、第2油戻し管(45)を介して第3圧縮機(23)に戻される。油分離器(43)で分離された油は、第3油戻し管(46)を介して、第2圧縮機(22)及び第3圧縮機(23)の各ケーシング内の油溜まりに戻される。
【0054】
〈逆止弁〉
室外回路(11)は、第1逆止弁(CV1)、第2逆止弁(CV2)、第3逆止弁(CV3)、第4逆止弁(CV4)、第5逆止弁(CV5)、第6逆止弁(CV6)、第7逆止弁(CV7)、第8逆止弁(CV8)、第9逆止弁(CV9)、及び第10逆止弁(CV10)を有する。第1逆止弁(CV1)は、第1吐出管(21b)に接続される。第2逆止弁(CV2)は、第2吐出管(22b)に接続される。第3逆止弁(CV3)は、第3吐出管(23b)に接続される。第4逆止弁(CV4)は、室外第2管(o2)に接続される。第5逆止弁(CV5)は、室外第3管(o3)に接続される。第6逆止弁(CV6)は、室外第6管(o6)に接続される。第7逆止弁(CV7)は、室外第7管(o7)に接続される。第8逆止弁(CV8)は、第1バイパス通路(21c)に接続される。第9逆止弁(CV9)は、第2バイパス通路(221c)に接続される。第10逆止弁(CV10)は、第3バイパス通路(23c)に接続される。これらの逆止弁(CV1〜CV7)は、
図1に示す矢印方向の冷媒の流れを許容し、この矢印と反対方向の冷媒の流れを禁止する。
【0055】
〈室内ユニット〉
室内ユニット(50)は、屋内に設置される利用ユニットである。室内ユニット(50)は、室内ファン(52)と、室内回路(51)(利用回路の一例)とを有する。室内回路(51)の液端には、第1液連絡配管(2)が接続される。室内回路(51)のガス端には、第1ガス連絡配管(3)が接続される。
【0056】
室内回路(51)は、液端からガス端に向かって順に、冷媒回路(6)の構成要素として、室内膨張弁(53)及び室内熱交換器(54)を有する。室内膨張弁(53)は、第1利用膨張機構である。室内膨張弁(53)は、開度が可変な電子膨張弁である。
【0057】
室内熱交換器(54)は、第1利用熱交換器である。室内熱交換器(54)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。室内ファン(52)は、室内熱交換器(54)の近傍に配置される。室内ファン(52)は、室内空気を搬送する。室内熱交換器(54)は、その内部を流れる冷媒と、室内ファン(52)が搬送する室内空気とを熱交換させる。
【0058】
〈冷設ユニット〉
冷設ユニット(60)は、冷凍設備の庫内を冷却する利用ユニットである。冷設ユニット(60)は、冷設ファン(62)と冷設回路(61)(利用回路の一例)とを有する。冷設回路(61)の液端には、第2液連絡配管(4)が接続される。冷設回路(61)のガス端には、第2ガス連絡配管(5)が接続される。
【0059】
冷設回路(61)は、液端からガス端に向かって順に、冷媒回路(6)の構成要素として、冷設膨張弁(63)及び冷設熱交換器(64)を有する。冷設膨張弁(63)は、第2利用膨張弁である。冷設膨張弁(63)は、開度が可変な電子膨張弁で構成される。
【0060】
冷設熱交換器(64)は、第2利用熱交換器である。冷設熱交換器(64)は、フィン・アンド・チューブ型の空気熱交換器である。冷設ファン(62)は、冷設熱交換器(64)の近傍に配置される。冷設ファン(62)は、庫内空気を搬送する。冷設熱交換器(64)は、その内部を流れる冷媒と、冷設ファン(62)が搬送する庫内空気とを熱交換させる。
【0061】
〈センサ〉
冷凍装置(1)は、各種のセンサを有する。各種のセンサは、高圧圧力センサ(71)、高圧温度センサ(72)、冷媒温度センサ(73)、室内温度センサ(74)を含む。高圧圧力センサ(71)は、第1圧縮機(21)の吐出冷媒の圧力(高圧冷媒の圧力(HP))を検出する。高圧温度センサ(72)は、第1圧縮機(21)の吐出冷媒の温度を検出する。冷媒温度センサ(73)は、放熱器となる状態の室内熱交換器(54)の出口冷媒の温度を検出する。室内温度センサ(74)は、室内ユニット(50)の対象空間(室内空間)の室内空気の温度を検出する。
【0062】
各種のセンサは、さらに、中間圧力センサ(75)、中間圧冷媒温度センサ(76)、第1吸入圧力センサ(77)、第1吸入温度センサ(78)、第2吸入圧力センサ(79)、第2吸入温度センサ(80)、外気温度センサ(81)、液冷媒圧力センサ(81)、液冷媒温度センサ(82)を含む。中間圧力センサ(75)は、第1圧縮機(21)の吸入冷媒の圧力(中間圧冷媒の圧力(MP))を検出する。中間圧冷媒温度センサ(76)は、第1圧縮機(21)の吸入冷媒の温度(中間圧冷媒の温度(Ts1))を検出する。第1吸入圧力センサ(77)は、第2圧縮機(22)の吸入冷媒の圧力(LP1)を検出する。第1吸入温度センサ(78)は、第2圧縮機(22)の吸入冷媒の温度(Ts2)を検出する。第2吸入圧力センサ(79)は、第3圧縮機(23)の吸入冷媒の圧力(LP2)を検出する。第3吸入温度センサ(80)は、第3圧縮機(23)の吸入冷媒の温度(Ts3)を検出する。外気温度センサ(81)は、室外空気の温度(Ta)を検出する。液冷媒圧力センサ(82)は、気液分離器(15)から流出した液冷媒の圧力、言い換えると気液分離器(15)内の冷媒の実質的な圧力を検出する。液冷媒温度センサ(83)は、気液分離器(15)から流出した液冷媒の温度、言い換えると気液分離器(15)内の冷媒の実質的な温度を検出する。
【0063】
冷凍装置(1)において、他のセンサ(図示省略)が検出する物理量として、高圧冷媒の温度、室外熱交換器(13)の冷媒の温度、冷設熱交換器(64)の冷媒の温度、庫内空気の温度などが挙げられる。
【0064】
〈コントローラ〉
制御器であるコントローラ(100)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータを動作させるためのソフトウエアを格納するメモリディバイス(具体的には半導体メモリ)とを含む。コントローラ(100)は、運転指令やセンサの検出信号に基づいて、冷凍装置(1)の各機器を制御する。コントローラ(100)による各機器の制御により、冷凍装置(1)の運転が切り換えられる。
図2に示すように、コントローラ(100)は、室外ユニット(10)に設けられた室外コントローラ(101)と、室内ユニット(50)に設けられた室内コントローラ(102)と、冷設ユニット(60)に設けられた冷設コントローラ(103)とを有する。室外回路(11)の動作を制御する室外コントローラ(101)と、室内回路(51)の動作を制御する室内コントローラ(102)は通信可能に構成されている。室外コントローラ(101)と、冷設回路(61)の動作を制御する冷設コントローラ(103)は通信可能に構成されている。コントローラ(100)は、冷媒回路(6)の高圧冷媒の温度を検出する温度センサを含む各種センサと、通信線で接続されている。コントローラ(100)は、第1圧縮機(21),第2圧縮機(22),及び第3圧縮機(23)などを含む冷媒回路(6)の構成部品と通信線で接続されている。
【0065】
コントローラ(100)は、冷媒回路(6)の動作を制御する。具体的には、室内ユニット(50)の停止条件が満たされると、室内コントローラ(102)からサーモオフ要求が送信される。冷設ユニット(60)の停止条件が満たされると、冷設コントローラ(103)からサーモオフ要求が送信される。以下では、室内コントローラ(102)からサーモオフ要求が送信された場合を例に挙げて説明する。室外コントローラ(101)が室内コントローラ(102)からサーモオフ要求を受信すると、室外コントローラ(101)は、室内ユニット(50)の冷媒(の少なくとも一部)を室外ユニット(10)に回収するポンプダウン動作を実行可能に構成される。室外コントローラ(101)は、熱源ユニット(10)の圧力が冷媒の臨界圧力以上であることを示すポンプダウン禁止条件(第1条件)が満たされると、ポンプダウン動作を禁止して、冷媒を室外ユニット(10)に回収せずに圧縮部(20)を停止するポンプダウン禁止動作(第2動作)を実行可能に構成される。具体的には、室外コントローラ(101)は、熱源ユニット(10)の気液分離器(15)の内部の圧力が冷媒の臨界圧力(第1圧力)以上であることを示すポンプダウン禁止条件が満たされると、ポンプダウン動作を禁止して、冷媒を室外ユニット(10)に回収せずに圧縮部(20)を停止するポンプダウン禁止動作を実行可能に構成される。
【0066】
室外コントローラ(101)は、外気温度センサ(81)で検出した外気温度(Ta)が所定温度より高いと、ポンプダウン禁止条件が満たされると判断する。また、室外コントローラ(101)は、冷媒回路(6)の高圧圧力(HP)が所定値よりも高いと、ポンプダウン禁止条件が満たされると判断する。この所定値は、気液分離器(15)の内部の圧力が冷媒の臨界圧力である場合に、高圧圧力センサ(71)と液冷媒圧力センサ(82)との間の差圧(冷媒の圧力損失に相当する圧力値)を臨界圧力の値に加えた値である。高圧圧力センサ(71)で検出される高圧圧力(HP)が気液分離器(15)の内部の圧力よりも圧力損失分だけ高いためである。
【0067】
室外コントローラ(101)が、ポンプダウン動作を開始するとき、室外コントローラ(101)は、室内コントローラ(102)に室内膨張弁(53)を閉鎖する第1指示を送信する。室内コントローラ(102)が第1指示を受信したとき、室内コントローラ(102)は室内膨張弁(53)を閉鎖する。そのため、ポンプダウン運転時は、室内膨張弁(53)が閉鎖されて、室内膨張弁(53)より下流側の室内熱交換器(54)および第1ガス連絡配管(3)の冷媒が、室外ユニット(10)に回収される。
【0068】
室外コントローラ(101)がポンプダウン禁止動作を行うとき、室外コントローラ(101)は、室内コントローラ(102)に室内膨張弁(53)を開放するまたは開状態を維持する第2指示を送信する。室内コントローラ(102)が第2指示を受信したとき、室内コントローラ(102)は室内膨張弁(53)を開放する。そのため、ポンプダウン禁止動作時は、室内膨張弁(53)を開放したままで圧縮部(20)が停止する。
【0069】
室外コントローラ(101)は、ポンプダウン動作が行われる状態では、気液分離器(15)に溜まる冷媒の圧力が臨界圧力よりも低くなるように、室外膨張弁(14)の開度を調整する。言い換えると、気液分離器(15)の中の冷媒の圧力が臨界圧力に近づくと、室外膨張弁(14)の開度を開く方向に制御して、気液分離器(15)へ流入する冷媒の圧力を低下させる。
【0070】
室外コントローラ(101)は、低段圧縮要素である第2,第3圧縮機(22,23)を停止して高段圧縮要素である第1圧縮機(21)を運転する液圧縮回避動作(第1動作)を実施可能である。液圧縮回避動作は、室内ユニット(50)側の室内熱交換器(54)や配管に液冷媒が溜まっていると判断されるときに実行される(配管内に液冷媒が溜まると圧力が上昇するため)。室内熱交換器(54)や配管に液冷媒が溜まっていると判断されるのは、例えば、圧縮部(20)の吸入圧力が所定値より高いときである。この吸入圧力は、吸入圧力センサ(77,79)で検出される圧力であるが、圧縮部(20)が停止している状態では、冷媒が低段側圧縮機構(22,23)をバイパスするため、中間圧力センサ(75)で検出された圧力でもよい。また、室内熱交換器(54)の出口側の冷媒の温度や圧力から、冷媒が湿り状態であると判断された時も、室内熱交換器(54)や配管に液冷媒が溜まっていると判断され、液圧縮回避動作が実行される。
【0071】
液圧縮回避動作は、圧縮部(20)の停止途中または停止後に所定条件が満たされた状態で、室内膨張弁(53)が開放された後に圧縮部(20)を起動させる時に実行可能である。この所定条件としては、冷媒回路(6)の高圧圧力(具体的には気液分離器(15)内の冷媒の圧力)が、臨界圧力(第1圧力)より高くなることが挙げられる。具体的には、液圧縮回避動作は、ポンプダウン禁止動作を実行した後の圧縮部(20)の起動時に実施可能である。
【0072】
この液圧縮回避動作では、第1圧縮機(21)のみを起動することにより、室内ユニット(50)から室外ユニットへ流入した液冷媒は、第3バイパス通路(23c)を通って中間熱交換器(17)へ流入する。このとき、冷却ファン(17a)を回転させると、中間熱交換器では、液冷媒が室外空気と熱交換して蒸発する。言い換えると、中間熱交換器(17)は冷媒を冷却する冷却器としては機能せずに、液冷媒を加熱して蒸発させる蒸発器として機能する。中間熱交換器(17)で蒸発した冷媒は第1圧縮機(21)に吸入されて圧縮され、室外熱交換器(13)及び気液分離器(15)に流入し、これらに貯留される。
【0073】
室外コントローラ(101)は、圧縮部(20)の起動時に吸入圧力が所定値以下であると、吸入冷媒が過熱状態であると判断する。このとき、室外コントローラ(101)は、低段圧縮要素(22,23)の一方である第3圧縮機(23)と高段圧縮要素である第1圧縮機(21)を運転し、上記中間熱交換器(17)を冷却器とする通常起動動作(第2動作)を実施可能である。さらに、室外コントローラ(101)は、液圧縮回避動作中に圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下になると、第3圧縮機(23)と第1圧縮機(21)の両方を運転し、中間熱交換器(17)を冷却器とする通常起動動作に移行するように構成されている。中間熱交換器(17)を冷却器とするとき、例えば外気温度が低い場合は、室外コントローラ(102)は、冷却ファン(17a)の回転数を低下させる。
【0074】
室外コントローラ(101)は、液圧縮回避動作時に、圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下になると、室内熱交換器(54)の出口冷媒の過熱度に基づいて室内膨張弁(53)の開度を調整する。この構成によれば、圧縮部(20)の吸入圧力が低下すると、室内膨張弁(53)を絞る方向に制御することで、室内熱交換器(54)の出口冷媒の過熱度が調整される。
【0075】
−運転動作−
冷凍装置(1)の運転動作について詳細に説明する。冷凍装置(1)の運転は、冷設運転、冷房運転、冷房/冷設運転、暖房運転、暖房/冷設運転、暖房/冷設熱回収運転、暖房/冷設余熱運転、及びデフロスト運転を含む。冷凍装置(1)の運転は、さらに、利用ユニットである室内ユニット(50)を一時的に休止する、いわゆるサーモオフ時に行うポンプダウン動作及びポンプダウン禁止動作と、ポンプダウン禁止動作後の液圧縮回避動作(第1動作)及び通常起動動作(第2動作)を含む。
【0076】
冷設運転では、冷設ユニット(60)が運転され、室内ユニット(50)は停止する。冷房運転では、冷設ユニット(60)が停止し、室内ユニット(50)が冷房を行う。冷房/冷設運転では、冷設ユニット(60)が運転され、室内ユニット(50)が冷房を行う。暖房運転では、冷設ユニット(60)が停止し、室内ユニット(50)が暖房を行う。暖房/冷設運転、暖房/冷設熱回収運転、及び暖房/冷設余熱運転のいずれにおいても、冷設ユニット(60)が運転され、室内ユニット(50)が暖房を行う。デフロスト運転では、冷設ユニット(60)が運転され、室外熱交換器(13)の表面の霜を融かす動作が行われる。
【0077】
暖房/冷設運転は、室内ユニット(50)の必要な暖房能力が比較的大きい条件下で実行される。暖房/冷設余熱運転は、室内ユニット(50)の必要な暖房能力が比較的小さい条件下で実行される。暖房/冷設熱回収運転は、室内ユニット(50)の必要な暖房能力が、暖房/冷設運転の間である条件下(冷設と暖房がバランスする条件下)で実行される。
【0078】
〈冷設運転〉
図3に示す冷設運転では、第1三方弁(TV1)が第2状態、第2三方弁(TV2)が第1状態となる。室外膨張弁(14)が所定開度で開放され、冷設膨張弁(63)の開度が過熱度制御により調節され、室内膨張弁(53)が全閉状態となり、減圧弁(40)の開度が適宜調節される。室外ファン(12)、冷却ファン(17a)、及び冷設ファン(62)が運転され、室内ファン(52)は停止する。第1圧縮機(21)及び第2圧縮機(22)が運転され、第3圧縮機(23)は停止する。冷設運転では、圧縮部(20)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(13)で放熱し、冷設熱交換器(64)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0079】
図3に示すように、第2圧縮機(22)で圧縮された冷媒は、中間熱交換器(17)で冷却された後、第1圧縮機(21)に吸入される。第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(13)で放熱し、気液分離器(15)を流れ、冷却熱交換器(16)で冷却される。冷却熱交換器(16)で冷却された冷媒は、冷設膨張弁(63)で減圧された後、冷設熱交換器(64)で蒸発する。この結果、庫内空気が冷却される。冷却熱交換器(16)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0080】
〈冷房運転〉
図4に示す冷房運転では、第1三方弁(TV1)が第2状態、第2三方弁(TV2)が第1状態となる。室外膨張弁(14)が所定開度で開放され、冷設膨張弁(63)が全閉状態となり、室内膨張弁(53)の開度が過熱度制御により調節され、減圧弁(40)の開度が適宜調節される。室外ファン(12)、冷却ファン(17a)、及び室内ファン(52)が運転され、冷設ファン(62)は停止する。第1圧縮機(21)及び第3圧縮機(23)が運転され、第2圧縮機(22)は停止する。冷房運転では、圧縮部(20)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(13)で放熱し、室内熱交換器(54)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0081】
図4に示すように、第3圧縮機(23)で圧縮された冷媒は、中間熱交換器(17)で冷却された後、第1圧縮機(21)に吸入される。第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(13)で放熱し、気液分離器(15)を流れ、冷却熱交換器(16)で冷却される。冷却熱交換器(16)で冷却された冷媒は、室内膨張弁(53)で減圧された後、室内熱交換器(54)で蒸発する。この結果、室内空気が冷却される。室内熱交換器(54)で蒸発した冷媒は、第3圧縮機(23)に吸入され、再び圧縮される。
【0082】
〈冷房/冷設運転〉
図5に示す冷房/冷設運転では、第1三方弁(TV1)が第2状態、第2三方弁(TV2)が第1状態となる。室外膨張弁(14)が所定開度で開放され、冷設膨張弁(63)及び室内膨張弁(53)の各開度が過熱度制御により調節され、減圧弁(40)の開度が適宜調節される。室外ファン(12)、冷却ファン(17a)、冷設ファン(62)、及び室内ファン(52)が運転される。第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、及び第3圧縮機(23)が運転される。冷房/冷設運転では、圧縮部(20)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(13)で放熱し、冷設熱交換器(64)及び室内熱交換器(54)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0083】
図5に示すように、第2圧縮機(22)及び第3圧縮機(23)でそれぞれ圧縮された冷媒は、中間熱交換器(17)で冷却された後、第1圧縮機(21)に吸入される。第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室外熱交換器(13)で放熱し、気液分離器(15)を流れ、冷却熱交換器(16)で冷却される。冷却熱交換器(16)で冷却された冷媒は、冷設ユニット(60)と室内ユニット(50)とに分流する。冷設膨張弁(63)で減圧された冷媒は、冷設熱交換器(64)で蒸発する。冷設熱交換器(64)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。室内膨張弁(53)で減圧された冷媒は、室内熱交換器(54)で蒸発する。室内熱交換器(54)で蒸発した冷媒は、第3圧縮機(23)に吸入され、再び圧縮される。
【0084】
〈暖房運転〉
図6に示す暖房運転では、第1三方弁(TV1)が第1状態、第2三方弁(TV2)が第2状態となる。室内膨張弁(53)が所定開度で開放され、冷設膨張弁(63)が全閉状態となり、室外膨張弁(14)の開度が過熱度制御により調節され、減圧弁(40)の開度が適宜調節される。室外ファン(12)、及び室内ファン(52)が運転され、冷却ファン(17a)及び冷設ファン(62)が停止する。第1圧縮機(21)及び第3圧縮機(23)が運転され、第2圧縮機(22)は停止する。暖房運転では、圧縮部(20)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(54)で放熱し、室外熱交換器(13)で蒸発する冷凍サイクルが行われる。
【0085】
図6に示すように、第3圧縮機(23)で圧縮された冷媒は、中間熱交換器(17)を流れた後、第1圧縮機(21)に吸入される。第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室内熱交換器(54)で放熱する。この結果、室内空気が加熱される。室内熱交換器(54)で放熱した冷媒は、気液分離器(15)を流れ、冷却熱交換器(16)で冷却される。冷却熱交換器(16)で冷却された冷媒は、室外膨張弁(14)で減圧された後、室外熱交換器(13)で蒸発する。室外熱交換器(13)で蒸発した冷媒は、第3圧縮機(23)に吸入され、再び圧縮される。
【0086】
〈暖房/冷設運転〉
図7に示す暖房/冷設運転では、第1三方弁(TV1)が第1状態、第2三方弁(TV2)が第2状態に設置される。室内膨張弁(53)が所定開度で開放され、冷設膨張弁(63)及び室外膨張弁(14)の開度が過熱度制御により調節され、減圧弁(40)の開度が適宜調節される。室外ファン(12)、冷設ファン(62)、及び室内ファン(52)が運転され、冷却ファン(17a)が停止する。第1圧縮機(21)、第2圧縮機(22)、及び第3圧縮機(23)が運転される。暖房/冷設運転では、圧縮部(20)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(54)で放熱し、冷設熱交換器(64)及び室外熱交換器(13)で蒸発する冷凍サイクル(第3冷凍サイクル)が行われる。
【0087】
図7に示すように、第2圧縮機(22)及び第3圧縮機(23)でそれぞれ圧縮された冷媒は、中間熱交換器(17)を流れた後、第1圧縮機(21)に吸入される。第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室内熱交換器(54)で放熱する。この結果、室内空気が加熱される。室内熱交換器(54)で放熱した冷媒は、気液分離器(15)を流れ、冷却熱交換器(16)で冷却される。冷却熱交換器(16)で冷却された冷媒の一部は、室外膨張弁(14)で減圧された後、室外熱交換器(13)で蒸発する。室外熱交換器(13)で蒸発した冷媒は、第3圧縮機(23)に吸入され、再び圧縮される。
【0088】
冷却熱交換器(16)で冷却された冷媒の残りは、冷設膨張弁(63)で減圧された後、冷設熱交換器(64)で蒸発する。この結果、庫内空気が冷却される。冷設熱交換器(64)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0089】
〈暖房/冷設熱回収運転〉
図8に示す暖房/冷設熱回収運転は、第1三方弁(TV1)が第1状態、第2三方弁(TV2)が第2状態となる。室内膨張弁(53)が所定開度で開放され、室外膨張弁(14)が全閉状態となり、冷設膨張弁(63)の開度が過熱度制御により調節され、減圧弁(40)の開度が適宜調節される。室内ファン(52)及び冷設ファン(62)が運転され、冷却ファン(17a)、及び室外ファン(12)が停止する。第1圧縮機(21)及び第2圧縮機(22)が運転され、第3圧縮機(23)は停止する。暖房/冷設熱回収運転では、圧縮部(20)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(54)で放熱し、冷設熱交換器(64)で蒸発し、室外熱交換器(13)が実質的に停止する冷凍サイクル(第1冷凍サイクル)が行われる。
【0090】
図8に示すように、第2圧縮機(22)で圧縮された冷媒は、中間熱交換器(17)を流れた後、第1圧縮機(21)に吸入される。第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒は、室内熱交換器(54)で放熱する。この結果、室内空気が加熱される。室内熱交換器(54)で放熱した冷媒は、気液分離器(15)を流れ、冷却熱交換器(16)で冷却される。冷却熱交換器(16)で冷却された冷媒は、冷設膨張弁(63)で減圧された後、冷設熱交換器(64)で蒸発する。冷設熱交換器(64)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0091】
〈暖房/冷設余熱運転〉
図9に示すように、暖房/冷設余熱運転では、第1三方弁(TV1)が第1状態、第2三方弁(TV2)が第1状態となる。室内膨張弁(53)及び室外膨張弁(14)が所定開度で開放され、冷設膨張弁(63)の開度が過熱度制御により調節され、減圧弁(40)の開度が適宜調節される。室外ファン(12)、冷設ファン(62)、及び室内ファン(52)が運転され、冷却ファン(17a)、が停止する。第1圧縮機(21)及び第2圧縮機(22)が運転され、第3圧縮機(23)は停止する。暖房/冷設余熱運転では、圧縮部(20)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(54)及び室外熱交換器(13)で放熱し、冷設熱交換器(64)で蒸発する冷凍サイクル(第2冷凍サイクル)が行われる。
【0092】
図9に示すように、第2圧縮機(22)で圧縮された冷媒は、中間熱交換器(17)を流れた後、第1圧縮機(21)に吸入される。第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒の一部は、室外熱交換器(13)で放熱する。第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒の残りは、室内熱交換器(54)で放熱する。この結果、室内空気が加熱される。室外熱交換器(13)で放熱した冷媒と、室内熱交換器(54)で放熱した冷媒とは、合流した後、気液分離器(15)を流れ、冷却熱交換器(16)で冷却される。冷却熱交換器(16)で冷却された冷媒は、冷設膨張弁(63)で減圧された後、冷設熱交換器(64)で蒸発する。この結果、庫内空気が冷却される。冷設熱交換器(64)で蒸発した冷媒は、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0093】
〈デフロスト運転〉
デフロスト運転では、
図4に示す冷房運転と同じ動作が行われる。デフロスト運転では、第2圧縮機(22)及び第1圧縮機(21)で圧縮された冷媒が、室外熱交換器(13)で放熱する。この結果、室外熱交換器(13)の表面の霜が内部から加熱される。室外熱交換器(13)の除霜に利用された冷媒は、室内熱交換器(54)で蒸発した後、第2圧縮機(22)に吸入され、再び圧縮される。
【0094】
〈サーモオフ及びサーモオンの制御〉
室内ユニット(50)や冷設ユニット(60)がサーモオフ及びサーモオンになる時の動作について、
図10及び
図11のフローチャートを用いて説明する。この動作は、
図3の冷設運転時、
図4の冷房運転時、及び
図5の冷房/冷設運転時に行われる。
図10では、これらの運転をまとめて「冷却運転」と示す。以下では、代表例として、冷房運転時の動作について説明する。
【0095】
冷房運転時に、室内ユニット(50)の停止条件が満たされると、
図10のステップST1で、室内コントローラ(102)は、室外コントローラ(101)にサーモオフ要求を送信する。
【0096】
ステップST2では、室外コントローラ(101)は室内コントローラ(102)からサーモオフ要求を受信する。そうすると、室外コントローラ(101)は、ステップST3において、室外ユニット(10)(気液分離器(15))の内部の圧力が冷媒の臨界圧力以上であることを示すポンプダウン禁止条件が満たされているかどうかを判別する。ステップST3の判別の結果、ポンプダウン禁止条件が満たされていないとステップST4へ進んでポンプダウン動作が行われ、ポンプダウン禁止条件が満たされているとステップST5へ進んでポンプダウン禁止動作を行う。
【0097】
ステップST4では、室外コントローラ(101)は、ポンプダウン動作を行う。具体的には、室外コントローラ(101)は、室内コントローラ(102)に室内膨張弁(53)を閉鎖する第1指示を送信する。室内コントローラ(102)が第1指示を受信したとき、室内コントローラ(102)は室内膨張弁(53)を閉鎖する。さらに、室外コントローラ(101)は、圧縮部(20)を継続して運転する。これにより、室内膨張弁(53)より下流側の室内熱交換器(54)と第1ガス連絡配管(3)に残存している冷媒が室外ユニット(10)に回収される。ポンプダウン動作により、室内膨張弁(53)より下流側の冷媒は、圧縮部(20)への吸入後に吐出され、室外熱交換器(13)及び気液分離器(15)に貯留される。ポンプダウン動作が行われるときは、気液分離器(15)に溜まる冷媒の圧力が臨界圧力よりも低くなるように、室外コントローラ(101)は、室外膨張弁(14)の開度を調整する。そのため、気液分離器(15)の冷媒の圧力が臨界圧力に近づくと、室外コントローラ(101)は、室外膨張弁(14)の開度を開く方向に制御する。その結果、気液分離器(15)へ流入する冷媒の圧力が低下する。よって、気液分離器(15)内の圧力上昇が抑えられる。また、ポンプダウン動作時には、室内膨張弁(53)が閉鎖されているため、室外ユニット(10)から室内ユニット(50)へ冷媒はほぼ流れて行かない。なお、ポンプダウン動作時に所定条件が満たされると、圧縮部(20)が停止する。この所定条件には、室内ユニット(50)からの冷媒の回収がほぼ完了していると判断される条件、例えば圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下になる条件がある。
【0098】
ステップST3の判別の結果、ポンプダウン禁止条件が満たされていると、ステップST4において、室外コントローラ(101)は、ポンプダウン禁止動作を行う。具体的には、室外コントローラ(101)は、室内コントローラ(102)に、室内膨張弁(53)を開放するまたは開状態を維持する第2指示を送信する。室内コントローラ(102)が第2指示を受信したとき、室内コントローラ(102)は、室内膨張弁(53)を開放するまたは開状態を維持する。さらに、室外コントローラ(101)は、圧縮部(20)を停止する。このようにすると、冷媒は室外熱交換器(13)や気液分離器(15)へ流入しない。ポンプダウン禁止条件は、気液分離器(15)の内部の圧力が冷媒の臨界圧力以上であることを示す条件であるが、ポンプダウン禁止動作により冷媒は室外熱交換器(13)や気液分離器(15)へ流入しないので、室外熱交換器(13)や気液分離器(15)の圧力がそれ以上に上昇するのが抑えられる。
【0099】
サーモオンの動作について簡単に説明する。室外コントローラ(101)は、ポンプダウン禁止動作を実行した後の圧縮部(20)の起動時には、低段圧縮要素である第2,第3圧縮機(22,23)を停止して高段圧縮要素である第1圧縮機(21)を運転する液圧縮回避動作(第1動作)を実行する。このとき、第1圧縮機(21)のみを起動することにより、室内ユニット(50)から室外ユニットへ流入した冷媒は、第3バイパス通路(23c)を通って中間熱交換器(17)へ流入する。中間熱交換器(17)では、冷却ファン(17a)を回転させることにより、冷媒が室外空気と熱交換して蒸発する。このとき、中間熱交換器(17)は、冷媒を冷却する冷却器としては機能せずに、冷媒を加熱して蒸発させる蒸発器として機能する。中間熱交換器(17)で蒸発した冷媒は第1圧縮機(21)に吸入されて圧縮され、室外熱交換器(13)及び気液分離器(15)に流入する。気液分離器(15)の冷媒は、さらに室内ユニット(50)へ流れていく。
【0100】
室外コントローラ(101)は、圧縮部(20)の起動時に吸入圧力が所定値以下である場合や、液圧縮回避動作中に圧縮部(20)の吸入圧力(または中間圧力)が所定値以下になると、低段圧縮要素(22,23)の少なくとも一方と高段圧縮要素(21)を運転し、上記中間熱交換器(17)を冷却器とする通常起動動作(第2動作)を実施する。通常起動動作において、冷媒は低段圧縮要素(22,23)と高段圧縮要素(21)で二段圧縮される。
【0102】
ステップST11では、室外コントローラ(101)が室内コントローラ(102)からサーモオン要求を受信したかどうかを判別する。サーモオン要求がなければ、ステップST12以降へは進まない。ステップST11でサーモオン要求があった場合はステップST12に進む。ステップST12では、室外コントローラ(101)は、第1圧縮機(21)の吸入圧力である中間圧(MP)が4MPaより高いかどうかを判別する。室外コントローラ(101)は、中間圧(MP)が4MPaより高いと、第1ガス連絡配管(3)に液冷媒が貯留されているために中間圧(MP)が高くなっていると判断する。
【0103】
ステップST12で中間圧(MP)が4MPaより高いと判断された場合、ステップST13で、室外コントローラ(101)は、室内コントローラに室内膨張弁(53)を閉鎖した状態に維持する指示を送信する。ここが、液圧縮回避動作の起点となる。次に、ステップST14では、室外コントローラ(101)は、室外ファン(12)をオンにし、中間熱交換器(17)のファン(冷却ファン)(17a)をオンにし、高段圧縮要素である第1圧縮機(21)を起動する。室外コントローラ(101)は、第2,第3圧縮機(22,23)は起動しない。
【0104】
次に、ステップST15では、室外コントローラ(101)は、室外ファン(12)の制御(制御(a)という)と、第1圧縮機(21)の制御(制御(b)という)と、中間熱交換器(17)のファン(冷却ファン)(17a)の制御(制御(c)という)を行う。
【0105】
図12Aに示す制御(a)では、室外コントローラ(101)は、室外ファン(12)の回転速度を条件に応じて増減する。具体的には、高圧圧力(HP)と冷媒の臨界圧力(約7.2MPa)との関係と、各部の温度を判断条件として、図示のダウン条件が満たされると、室外コントローラ(101)は、室外ファン(12)の回転速度を減少させる。高圧圧力(HP)と冷媒の臨界圧力(約7.2MPa)との関係と、各部の温度を判断条件として、図示のアップ条件が満たされると、室外コントローラ(101)は、室外ファン(12)の回転速度を増加させる。これにより、室外ファン(12)の回転速度を適切な速度にするよう制御する。
【0106】
図12Bに示す制御(b)では、室外コントローラ(101)は、高段側圧縮要素である第1圧縮機(21)の運転容量、言い換えると回転速度を、中間圧(MP)と目標蒸発圧力との関係に応じて制御する。具体的には、室外コントローラ(101)は、中間圧(MP)が目標蒸発圧力より低いとダウン条件が満たされていると判断し、運転容量を低下させる。室外コントローラ(101)は、中間圧(MP)が目標蒸発圧力より高いとアップ条件が満たされていると判断し、運転容量を増加させる。これにより、第1圧縮機(21)の運転容量を適切な容量になるよう制御する。
【0107】
図12Cに示す制御(c)では、室外コントローラ(101)は、中間熱交換器(17)の冷却ファン(17a)の回転速度を、条件に応じて増減する。具体的には、室外コントローラ(101)は、外気温度が第3圧縮機(23)の吸入冷媒の温度(Ts3)より低いとダウン条件が満たされていると判断して冷却ファン(17a)の回転速度を低下させる。室外コントローラ(101)は、第1圧縮機(21)の吸入過熱度(SH1)が5(deg)より小さいとアップ条件が満たされていると判断して冷却ファン(17a)の回転速度を増加させる。
【0108】
ステップST15において、室外ファン(12)の回転速度と、第1圧縮機(21)の運転容量と、冷却ファン(17a)の回転速度を制御した後は、ステップST16へ進む。ステップST16では、室外コントローラ(101)は、中間圧(MP)が4MPaより低いか、またはステップST16の前に予め求められた第3圧縮機(23)の吸入冷媒の過熱度が5(deg)より大きいかの、どちらかの条件が満たされているかどうかを判別する。ステップST16の判別結果が「YES」であればステップST17へ進む。逆に判別結果が「NO」であればステップST15へ戻り、ステップST15,ステップST16を繰り返す。
【0109】
ステップST16の判別結果が「NO」になっている間は、室外コントローラ(101)は、第1圧縮機(21)のみを起動する。これにより、冷媒回路(6)において室内膨張弁(53)より下流側に存在する冷媒が室外ユニット(10)に流入し、第3バイパス通路(23c)を通って中間熱交換器(17)へ流入する。中間熱交換器(17)では、冷媒が室外空気と熱交換して蒸発する。中間熱交換器(17)で蒸発した冷媒は第1圧縮機(21)に吸入されて圧縮される。このように、ステップST16までは液圧縮回避動作が行われる。
【0110】
ステップST16の判別結果が「YES」になってステップST17へ進むと、室外コントローラ(101)は、室内膨張弁(53)を開ける。次に、ステップST18では、室外コントローラ(101)は、中間圧(MP)が4MPaより低く、且つ第3圧縮機(23)の吸入冷媒の過熱度が5(deg)より大きいかどうかを判別する。判別結果が「NO」であれば判別を繰り返すループを行い、判別結果が「YES」であればステップST19へ進む。ステップST19では、室外コントローラ(101)は、第3圧縮機(23)を起動する。このとき、液圧縮回避動作から通常起動動作に移行したことになる。
【0111】
以上のフローチャートに基づいた動作を行うことにより、サーモオフ時のポンプダウン禁止動作後の起動時には、室外ユニット(10)へ流入した冷媒が中間熱交換器(17)で蒸発してから第1圧縮機(21)へ吸入されるので、液圧縮が生じるのを抑制できる。また、吸入冷媒に所定の過熱度が付くと通常起動時の二段圧縮動作が行われる。
【0112】
−実施形態の効果−
本実施形態では、二酸化炭素を冷媒とする冷媒回路(5)の動作を制御する室外コントローラ(101)を有する冷凍装置(1)において、低段圧縮要素である第2,第3圧縮機(22,23)と第2,第3圧縮機(22,23)で圧縮された冷媒をさらに圧縮する高段圧縮要素である第1圧縮機(21)とを有する圧縮部(20)と、第2,第3圧縮機(22,23)と第1圧縮機(21)との間に設けられ、冷媒と熱媒体とが熱交換可能な中間熱交換器(17)とを設けている。第2,第3圧縮機(22,23)の吸入管(22a、23a)と吐出管(22b、23b)とに、第2,第3圧縮機(22,23)をバイパスするバイパス通路(22,23c)を接続している。
【0113】
そして、上記室外コントローラ(101)により、圧縮部(20)の起動時に、第2,第3圧縮機(22,23)を停止して第1圧縮機(21)を運転し、中間熱交換器(17)を蒸発器とする液圧縮回避動作(第1動作)を可能にしている。
【0114】
従来の冷凍装置では、利用ユニットに冷媒が溜まっている状態で圧縮機を起動すると、圧縮機が液冷媒を吸い込み、液圧縮が生じるおそれがある。液圧縮が生じると、圧縮機が損傷するおそれがある。
【0115】
ここで、本実施形態において、室内ユニット(54)と第3圧縮機(23)の吸入管(23a)との間の経路に液冷媒が存在する状態で室外ユニット(10)を起動することを考える。このときに液圧縮回避動作を行うと、室内ユニット(50)から室外ユニット(10)へ液冷媒が流入する。液冷媒は、第3圧縮機(23)が停止しているので、第3バイパス通路(23c)と中間熱交換器(17)を通って第1圧縮機(21)に吸入される。
【0116】
液圧縮回避動作時には、中間熱交換器(17)が蒸発器として機能する。具体的には、中間熱交換器(17)が、冷媒と空気とが熱交換をする空気熱交換器であり、中間熱交換器(17)に空気を供給する冷却ファン(17a)を動作させることにより、冷媒が中間熱交換器(17)で蒸発する。よって、第1圧縮機(21)には、中間熱交換器(17)で蒸発した冷媒が流入する。その結果、圧縮部(20)の起動時に液圧縮が生じるのを抑制できる。
【0117】
本実施形態では、室外コントローラ(101)は、圧縮部(20)の吸入圧力が所定値より高くなると、液圧縮回避動作を行う。これは、室内ユニット(50)から圧縮部(20)への吸入ガス経路に液冷媒が所定量以上に溜まると、吸入ガス経路の圧力が上昇するためである。本実施形態では、圧縮部(20)の吸入圧力が所定値より高くなると液圧縮回避動作を実施することにより、液冷媒を中間熱交換器(17)で蒸発させてから第1圧縮機(21)へ吸入させることで、液圧縮が生じるのを抑制できる。
【0118】
本実施形態では、圧縮部(20)の起動時に吸入圧力が所定値以下であると、第2,第3圧縮機(22,23)と第1圧縮機(21)の両方を運転し、中間熱交換器(17)を冷却器とする通常起動動作が行われる。これは、圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下であると、圧縮部(20)への吸入冷媒に所定の過熱度が付いていると判断されるためである。このように、本実施形態では、圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下である場合は液圧縮が生じないと判断し、液圧縮回避動作を行わずに、第2,第3圧縮機(22,23)の少なくとも一方と第1圧縮機(21)を運転する。そして、中間熱交換器(17)を冷却器とする通常起動動作(二段圧縮運転)を行う。
【0119】
本実施形態では、第1動作中に圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下になった場合も、第2,第3圧縮機(22,23)の少なくとも一方と第1圧縮機(21)を運転し、中間熱交換器(17)を冷却器とする通常起動動作に移行するようにしている。液圧縮回避動作中に圧縮部(20)の吸入圧力が所定値以下になると、液圧縮が生じないと判断できるためである。
【0120】
本実施形態では、液圧縮回避動作中は、室内ユニット(50)に設けられる室内膨張弁(53)を閉止するようにしている。
【0121】
このように構成すると、液圧縮回避動作中は、冷媒回路(6)において、室内膨張弁(53)より下流側に存在する冷媒が室外ユニット(10)へ流入する。そして、室外ユニット(10)へ流入した冷媒が中間熱交換器(17)で蒸発して第1圧縮機(21)に吸入されるので、液圧縮が抑制される。
【0122】
本実施形態では、液圧縮回避動作は、圧縮部(20)の停止途中または停止後に冷媒回路(6)の高圧圧力が臨界圧力より高くなり、室内膨張弁(53)が開放された後に、圧縮部(20)を起動させる時に実行可能である。これは、圧縮部(20)の停止途中または停止後に冷媒回路(6)の高圧圧力が臨界圧力より高くなると、室外ユニット(10)に液冷媒が溜まっていると考えられるためである。そして、この場合は、圧縮部(20)が停止して室内膨張弁(53)を開いたときに、液冷媒が利用ユニットに流入するおそれがある。本実施形態では、圧縮部(20)の停止途中または停止後に冷媒回路(6)の高圧圧力が臨界圧力より高くなり、室内膨張弁(53)が開放された後に、圧縮部(20)を起動させることにより、液圧縮を抑制できる。
【0123】
特に、本実施形態では、ポンプダウン禁止動作でポンプダウン動作を禁止した後の圧縮部(20)の起動時に、低段圧縮要素である第3圧縮機(23)を停止して、高段圧縮要素である第1圧縮機(21)を運転し、中間熱交換器(17)を蒸発器とする第3動作を行うようにしている。
【0124】
ポンプダウン動作を禁止して室内ユニット(50)の動作を停止した状態では、室内膨張弁(53)の下流に冷媒(液冷媒)が残っていることがある。本実施形態では、この状態で圧縮部(20)を起動するときに、低段圧縮要素である第3圧縮機(23)を停止して、高段圧縮要素である第1圧縮機(21)を運転する液圧縮回避動作を行う。そうすると、室外ユニットに回収される液冷媒は、第3圧縮機(23)に吸入されずに、バイパス通路(23c)を通って中間熱交換器(17)で蒸発してから、第1圧縮機(21)に吸入される。よって、圧縮部(20)において液圧縮が生じるのが抑制される。
【0125】
《その他の実施形態》
上記実施形態は、以下のような構成としてもよい。
【0126】
冷凍装置(1)は、1台の熱源ユニットと1台の利用ユニットから構成された装置であってもよい。利用ユニットは、空調用の室内ユニット(50)であってもよいし、庫内を冷却する冷設ユニット(60)であってもよい。
【0127】
冷凍装置(1)は、1台の室外ユニット(10)に複数の室内ユニット(50)が並列に接続された装置であってもよいし、1台の室外ユニット(10)に複数の冷設ユニット(60)が並列に接続された装置であってもよい。言い換えると、冷凍装置(1)は、複数の利用ユニットから熱源ユニットの圧縮部へ冷媒を吸入する吸入配管が共通の配管である装置であってもよい。
【0128】
上記実施形態では、液圧縮回避動作を、室内ユニット(50)のサーモオフ(休止運転)時に行われるポンプダウン禁止動作の後の圧縮部(20)の起動時に行うようにしている。しかしながら、液圧縮回避動作は、ポンプダウン禁止動作後に限らず、利用側のユニット(50,60)から圧縮部(20)までの冷媒経路中に液冷媒が溜まっていると判断される場合に行えばよい。
【0129】
上記実施形態では、中間熱交換器(17)を空気熱交換器にしている。しかしながら、中間熱交換器(17)は、空気熱交換器に限らず、水などの熱媒体が冷媒と熱交換するプレート熱交換器など、他の種類の熱交換器でもよい。
上記実施形態において、冷媒回路の冷媒は二酸化炭素に限定されない。また、冷媒回路は、冷媒の高圧圧力が臨界圧力以上になる回路に限定されない。
【0130】
上記実施形態において、室外コントローラ(101)が、ポンプダウン禁止条件の判別およびポンプダウン動作/ポンプダウン禁止動作の実行を行う例を説明したが、このような判別や動作の実行は、他のコントローラが行う構成にしてもよい。例えば、冷凍装置(1)の運転を制御する集中リモコンが接続されているシステムにおいては、集中リモコンの内部に備えられている集中コントローラが上記の制御を行う構成にしてもよい。液圧縮回避動作も、集中コントローラが制御する構成にしてもよい。
【0131】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。